
やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
発達障害を持つお子さんが不登校になる、または不登校のお子さんが発達障害と診断されると、親御さんは次のような不安を抱えがちです。
あなたも、そんなお悩みをお持ちではありませんか。
親御さんも、発達障害を持つお子さんも、「悪い」ということはもちろんありません。
それぞれのお子さんやご家庭に合う対応も必ずあります。
この記事を読んでわかること
この記事を読むことで、お子さんも親御さんも、「次の一歩」が見つかると思います。(ご紹介する事例は、個人の特定ができないように一部事実を変更しています)
目次
一般的に学校は、「音や人の刺激」が家庭よりも強い環境です。
定型発達のお子さんには問題ない学校環境が、発達障害を持つお子さんにとっては過ごしやすい環境ではないことで、不登校になることがあるのです。
近年では、発達障害のお子さんが学校環境で「生きづらさ」を感じて不登校になるケースが、病院等でも多く報告されています。
例えば、2010年に発表された研究では、不登校の要因の1つとして、「子どもに発達障害がある可能性」が示されました。
不登校児童のおよそ20%が、知的障害をともなわない発達障害を抱えている
また、学習遅滞によって学校に行きづらくなるお子さんも、その学習遅滞の背景に発達障害が関係している場合があります。
より詳細な内容は、次章でご紹介します。
私たちキズキ共育塾では、不登校や発達障害のお子さんの勉強・メンタルについて、無料相談を行っています。親御さんだけでのご相談も可能です。お気軽にご連絡ください。
キズキ共育塾を詳しく知る種類によって、お子さんの特性、学校での「生きづらさ」、不登校になる原因などは変わります。
この章では、次のようなことをお伝えします。
すでに病院などでお聞きになった方もいるかもしれませんが、改めてご覧ください。(各特徴や要因は「傾向」の一部であり、全ての方に当てはまるとは限りません)
LDとは
カンタンに言えば、LDを持つお子さんは、学習スキルを獲得する際に困り感が生まれる可能性があります。
LDの原因は、親の養育や環境、本人の性質は関係なく、脳の中枢神経の機能障害だと考えられています。
○学業等の成績が下がり、学校にいると周りと比べて「自分はできない」と劣等感を持ち、自尊心を持てなくなること
○一生懸命がんばっても報われない経験をたくさんしたことにより、無気力になること
ADHDとは
学校生活でよくある困り事の例には、次のようなことがあります。
○不注意や落ち着きがないことを周囲からからかわれたり、馬鹿にされたりして、学校で生活する中で次第に自己否定が進むこと
○「できない」体験をたくさんすることで、否定的な自己像を形成し、二次障害として不登校になること
ASDとは
ASDの具体的な特徴には、次のようなことがあります。
社会的コミュニケーションが苦手
限定された興味
感覚過敏
学校場面における感覚刺激の例には、運動会のピストルの音、家よりも広く多い窓から入ってくる日光などがあります。
○感覚過敏によって、学校にいると過剰に疲れてしまうこと
○相手の視点に立って考えることが苦手なので、周囲の人とコミュニケーションが上手にとれず孤立したり、いじめにあったり過剰な叱責を受けたりして、学校が嫌いになること
発達障害の種類と、各発達障害が不登校に至る要因を簡単にお伝えしました。
いずれにしても、まず親御さんには次のことをご理解いただきたいです。
発達障害のお子さんには、何らかの『特性』(による生きづらさ)がある
では、「特性」があることを理解した次には何ができるでしょうか。
次の章で、私が出会った発達障害の子どもの話を例に、不登校と発達障害、そして「特性」による生きづらさを減らす方法について考えてみます。
私は、訪問支援のボランティアである男の子(Aくん)と出会いました。
Aくんは、小学6年生のときにADHDとASDの診断を受けています。
私とAくんとの出会いは、夏休みの過ぎた10月頃、彼が中2のときでした。
Aくんは、その年の春頃に、部活動の顧問とのコミュニケーションのすれ違いがありました。
それをきっかけに、それまでも抱えていた学校生活でのストレスが爆発し、不登校になり、家に引きこもっていました。
Aくんは剣道部に所属しており、その部では活動中は「はだし」になることがルールでした。
Aくんは、発達障害を抱え、感覚過敏の一種である触覚過敏の性質を持っていました。
そのため、学校の体育館の床のザラザラした表面が「まるで針のように尖って感じた」ため、靴下を履いて部活動をしていたそうです。
そしてある日、靴下をはいて部活動をしていたことを部活の顧問に大きな声で叱責されたそうです。
Aくんはルールが絶対と考える顧問の口ぶりに納得がいきませんでした。
Aくんは、大きな音も苦手でした。
Aくんは衝動的に、部活の道具を窓に投げつけ、窓ガラスを割ってしまいました。
こうした一連の行動について、部活の顧問やほかの先生にも叱責されたことをきっかけに、不登校になったのです。
Aくんの不登校の背景には、発達障害の特性である感覚過敏や衝動性、そして周囲がそうした特性を理解できないという環境がありました。
これらは、Aくんの学校での「生きづらさ」につながっていました。
私はそんなAくんと出会い、最初は一緒に彼の好きなゲームをしたり、アニメを一緒に見たり、ご飯を一緒に食べたりしました。
毎週家に訪問する中で、少しずつ関係性を作っていきました。
訪問支援で触れ合う中でも、彼の「生きづらさ」は垣間見えました。
例えば、一緒に話しているときに、外からサイレンの大きな音がするだけでイライラしてものを壊す、などです。
車のサイレンが「ASDの特性である過敏な聴覚」を刺激したことで、「ADHDの特性である衝動性」が行動に表れているのです。
私は、Aくんは過敏な感覚が緩和されれば「生きづらさ」も少し緩和されると考えました。
そこで、例えば音については、次のように、「刺激」に過剰に反応しなくていいような対策を一緒に考えました。
音への対策
衝動的な行動を減らすためには、次のように働きかけました。
衝動性への対策
そしてAくんは、「対策」を試行錯誤すると同時に、次のような方法で、様々な角度から自身の発達障害(による特性)と向き合うようになっていきました。
対策や通院などを行っても特性は完全にはなくならないのですが、それらによってAくんは、少しずつ、確実に、「生きやすく」なっていきました。
そんな生活が続き、Aくんは中学に復学することはありませんでしたが、中学卒業後には、自分の特性や将来なども考えた上で、ある通信制高校に進学することができました。
通信制高校を選んだのは、自分のペースで勉強したい、趣味などにも多くの時間を費やしたいという思いからです。
現在のAくんは、大学進学を検討しています。
自分の特性と向き合える・付き合えるようになったからこそ、将来に向かって前向きに行動できるようになったのだと思います。
Aくんの例からは、以下のことが言えると思います。
前章でお伝えしたとおり、まずはお子さんの「特性」を(親御さんにもお子さん自身にも)ご理解いただき、次に「対策」を考えていただきたいと思います。
これまでの話をカンタンにまとめます。
最後に、「発達障害で不登校のお子さん」の親御さんに伝えたいことがあります。
それは、苦しい状況の中にいるあなた方のために手を差し伸べる人は必ずいる、ということです。
発達障害や不登校に対する社会の理解は、少しずつかもしれませんが、確かに深まっています。
次のような各種専門機関を利用することで、親子ともに、様々な人からの様々な方法による支援を受けることができます。
専門機関の例
お子さんは、そうした支援を受けながら自分自身と向き合い、将来の道をきっと見つけます。
「特性」についても、「対策」についても、そして将来についても、どうか親御さんだけ、ご家族だけで悩まず、ぜひ積極的に支援を求めてください。
支援者から、それぞれのお子さん、ご家庭に応じた具体的なアドバイスがもらえると思います。
お子さんと親御さんが少しでも生きやすくなり、将来に進めるよう、心から祈っています。
私たちキズキ共育塾には、不登校や発達障害の生徒さんが多く在籍しています。
ご相談は無料ですので、少しでも気になるようでしたら、お気軽にご相談ください。
経験豊富な講師とスタッフが、お子さん個人の事情に応じて、勉強とメンタルをサポートします。
キズキ入塾に関して少しでもご興味があれば、まずはLINEで友だち追加を。
キズキのカリキュラムなど塾についての全般を知りたい方は「資料請求」を。
「お名前」「電話番号」「メールアドレス」だけの入力で、電子パンフレットをすぐに返信いたします。
電子パンフレットなら場所を取らないのでとっても気軽。
卒業生の声なども載せていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
/Q&Aよくある質問
ADHDの子どもが不登校になる理由を知りたいです。
ASDの子どもが不登校になる理由を知りたいです。