不登校中の勉強法は?遅れ対策・教材・高校進学も解説【体験談あり】

こんにちは。不登校中の勉強とメンタルを完全個別指導で応援する『キズキ共育塾』です。

不登校が長く続くと、勉強への不安が大きくなるのではないでしょうか。

学校に行かない日が続いていて、勉強が遅れないか不安です。

そこで今回は不登校中の勉強法についてお伝えします
自宅での勉強法は、通信教育・映像授業などが主流です。
その一方で、学習塾や公的な教育支援センターを利用する方もいます。

不登校は学校に通っていないのだから、塾にも通えないのではないですか?
実は学校に行くのは難しくても、個別指導の塾なら大丈夫というケースが意外と多いんです。

このように様々な勉強法や対策を知ることで、より良い選択肢を見つけられるでしょう。

この記事を読んでわかること

  • このままだと勉強の遅れが心配。
  • 家での勉強だと、なかなかやる気が見られない。
  • 勉強を再開したいけど何から始めればいいかわからない…。
  • 今からでも学校の内容に追いつくことはできる?
  • 不登校で勉強できていない…高校受験はどうなる?

最後には、不登校から大学受験合格を果たした体験談もご紹介します。
かなり長いコラムとなりますので、目次からスキップして気になるところを読んでみてください。

監修 / キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

共同監修 / 不登校新聞社代表理事 石井志昂

いしい・しこう。
1982年、東京都町田市出身。NPO法人全国不登校新聞社代表。
中学校受験を機に学校生活が合わなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から2022年まで編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた。

【著書など(不登校新聞社名義も含む)】

「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること(ポプラ社)』『フリースクールを考えたら最初に読む本(主婦の友社)』『学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』『続 学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』

【寄稿など(一部)】

AERAdot」「プレジデントオンライン」「東洋経済オンライン」「FRaU」など多数

サイト運営 / キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2023年7月現在、全国に10校とオンライン校(全国対応)がある。

共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス

このページは、不登校中の勉強の攻略wikiです

このページの内容は、「不登校中の勉強の攻略wiki」だと思って、羅針盤(らしんばん:やるべきことの参考)にしてみてください。特に非常に有益な情報は「不登校で気になる勉強の遅れ…追いつくには何からすべき?」の章と、「不登校中の勉強に!オススメ教材」の章です。

なお、いまのあなたに勉強へのやる気が出なくても、あなたが「弱い」とか「なまけている」とかではありません。誰にでも、勉強ができない時期はあるものです。その場合、「いまは勉強はやらなくてもよい」ということ。勉強を再開して追いつくことは、もう少し後になってからでも大人になってからでも、可能です。

目次

不登校で気になる勉強の遅れ…追いつくには何からすべき?

不登校中の勉強に関するお悩みには

不登校になってから勉強する機会がないので、どんどん遅れる一方です。どうしたらよいでしょうか?

といったものがとても多いです。
勉強に取り組む機会がなくなると、お子さんはもちろん、親御さんも不安になると思います。

「既に勉強に遅れが出ている。早く周りに追いつきたい。」
こんなとき、まず何からすべきなのか、今からすぐにできること・勉強に取り組む前の準備についてお伝えします。

準備①勉強の遅れは取り戻せることを知ろう

まずは、「勉強の遅れは取り戻せる」ということを、お伝えしておきたいと思います。

もちろん、同級生たちが毎日学校で受けている授業の内容を、短期間ですぐに取り戻すのは大変かもしれません。
ですが、学校では主要5教科のほか、技能教科・学校行事など多面的な教育活動を行なっています。そのため、不登校であることで、部分的に省略できる勉強があるのです。

さらに、学校は理解のスピードが違う複数の生徒達に向けて丁寧に指導するため、授業の進度は比較的ゆっくりとしたペースです。
進学校など学校によっては、速く進んだり難易度が高くなったりしますが、受験に必要な科目に集中することを考えると、必ずしも焦る必要はありません。

つまり、不登校に悩む人は、自分に合った学習法で効率的に学ぶことで、今後の進路に必要な科目の遅れを取り戻すことは、十分に可能だということです
まずはこのことを覚えておき、必要以上に不安になったり心配したりせずに、心を落ち着かせましょう。

準備②部屋を片付け、学習環境を整えよう

次に自分の部屋や学習スペースなどを片付け、学習環境を改めて整えましょう。

自分の部屋と勉強、どんな関係があるのでしょうか?

このように思うかもしれませんが、環境は人の行動に大きな影響を与えます。

オーストラリア ボンド大学の専門家も「散らかった空間は、ストレスや不安のレベルだけでなく、集中力、食の選択、そして睡眠にさえネガティブな影響を与えうる。」と述べています。

このように部屋を片付けて環境を整えることは、机に向かいやすくなることに繋がるのです。

準備③体を動かし、生活リズムを整えよう

何事も、体が資本なのは言うまでもありません。
不登校中はどうしても運動不足になり、知らず知らずのうちに体力が低下しています。

体をできるだけ健やかに保つためには、運動が必要です。
激しい運動は必要はないので、短い時間でもよいのでウォーキングやストレッチなど取り組みやすいものから始めてみましょう。

外に出かけるのが難しい人は、自宅で簡単なヨガやピラティス、筋トレを行ってみてください。
最近は新型コロナの影響もあり、室内で運動する方のためのオンラインプログラムもあるようです。

また、運動と同時に生活リズムを整えることも意識しましょう。
夜になると妙に元気になり、ゲームがやめられない、なんてことはありませんか?

夜はしっかり睡眠をとり昼間に活動すると、この後にご紹介する教育サービスを受けやすいというメリットがあります。
将来的に、学校や実社会に復帰することも考えてる場合は、なるべく早寝早起きを心がけてみてください。

準備④学習スタイルを見直してみる

記事の後半では、不登校中のさまざまな勉強法について紹介します。
今の学習スタイルが本当に合っているか、自分に合いそうな勉強方法がないか、検討してみましょう。

新しい学習スタイルを取り入れることが、勉強を再開するきっかけになるかもしれません。
もし、誰かに勉強を教わる機会があれば、新たな先生に出会い悩みを聞いてもらうことが、新たな一歩のきっかけになることもあるでしょう。

準備⑤勉強が自分に必要だという「気づき」が大切

「早く勉強の遅れを取り戻したい、でもなかなか進まない。」
そんな切実な悩みを、今すぐに改善できる方法をお伝えしてきました。

最後にご紹介するのは、勉強が自分に必要だという「気づき」です。
これは、今すぐにできるものではありません。

ですが、とても大切な気づきであり、本気で勉強に取り組むきっかけになることがあります。

親は「勉強が我が子にとって必要なもの」だと分かっています。
だからこそ、あの手この手で励ましながら、勉強するように促すのです。

小学生のうちはそれで問題ないことが多いですが、だんだん大きくなり中学生・高校生となるにつれて、「言われてやる」ことに限界がきます。
そして、子どもが自ら「勉強って一体何なの?」と自問自答するようになるのです。

しかし、自発的に「勉強は自分にとって必要だ」と気づければ、お子さんはきっと大きく変わります。

具体的には、お子さん自身が目的を持つことです。
「将来〇〇になりたいから勉強しなければ」
「こんな仕事をしたいから、何としてもこの位の大学に進学したい」
「憧れの〇〇高校に入りたい」

もちろん、今は大きな目的がなくても、次のような些細なことでもよいでしょう。
「少しでも自分を変えたい」
「ちょっとした自信が欲しい」

そういった気づきを得るまでは、お子さんにさまざまな情報を伝えたり、安心して考え事ができる環境を整えたりするようにしてみてください

不登校による勉強の遅れについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

不登校で勉強できていない…高校受験はどうなる?

中学生で不登校となっている場合、高校受験がに対する不安や心配が大きいと思います。

結論からいうと、中学生で不登校だとしても、高校受験・進学は可能です

ですが、やはり「入りやすい学校」と「入りづらい学校」があります。

公立高校では、選考の際に中学校からの内申書を考慮されることが多いです。
そのため、中学での出席日数や成績がダイレクトに評価されるため、不利になることがあります。

中学不登校でも進学しやすい高校

  • 私立高校
    私立高校では、内申書をあまり考慮せず、入学テスト一発勝負のところも多いです。
    それに受験科目が少なく、3科目で済むことが多いのも私立高校のオススメポイントです。
  • 通信制高校
    通信制高校は近年、私立の個性豊かな通信制高校が増えてきており、注目度が高まっています。
    入学試験は面接や作文だけのところがほとんどですので心配いりません。
  • 定時制高校
  • チャレンジスクール
    チャレンジスクールとは、東京都が設置する特色ある高校のうちの一つです。
    小中学校時代に不登校だった人、高校中退者などに特化した総合学科・三部制(午前部・午後部・夜間部)の高校です。

このように、地域により不登校生に特化した学校が設けられているケースもありますので、気になる方は一度お住いの地域の情報を調べてみてください。

ちなみに大学進学は、一般入試だと過去の経歴は問われないことが多いです。
ただし、気になる点として、高校からの調査書の統一様式が変更となり、その情報量が増える傾向があります。

そして、国公立大学から、調査書の内容を合否判定に活用する動きが少しずつですが出てきています。
一方、私立大学では、まだそこまでには至っていない学校が多い印象です。

ただし、大学進学の全体の流れとして、高校での活動実績が多少なりとも加味される傾向になりつつあります。
(これは、あくまでも「多少」なので、あまり心配はいりません。)

不登校からの高校進学については、以下の記事でさらに詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

不登校中はその子に合った勉強法を

ただ、不登校といっても、状況は人それぞれです。
ここからは、不登校生の状況に合わせた勉強法を解説します。

*不登校生の状況別ケーススタディ*

  • 集団は苦手…1人で勉強したい場合
  • 勉強しない・やる気が出てこない場合
  • 生活リズムが崩れやすくなっている場合
  • 生活全般に気力が出てこない場合

これらの状況に合わせて、それぞれの対策方法を順にお伝えします。

ケース①集団は苦手…1人で勉強したい場合

学校では、35~40人ほどの集団で過ごさなければなりません
その集団生活が自分のペースに合わない場合、学校に通うことが難しくなります。

同年代にも大人にも、とにかく誰にも会いたくない場合は、まずは自宅で1人で勉強を始めてみましょう。
誰にもコンタクトを取らずに学習することができる通信教育や、あらかじめ録画された動画を使用する映像授業などがオススメです。

通信教育の中には、毎月提出物を送ることでご褒美をもらえるなど、独自のシステムを設けているものもあります。
こういったサービスは、学習習慣を身につけることに役立つはずです。

また、1人で自主学習するにあたって活用できる教材を、後述の「オススメの教材」で紹介しています。
そちらもぜひ参考にしてみてください。

ケース②勉強しない・やる気が出てこない場合

冒頭でもお伝えしましたが、不登校中になかなか勉強しない・やる気が出てこないことで、勉強が遅れていると悩んでいる方はとても多いです。

これは、勉強そのものに意味・意義を見出せないケースもあれば、漠然とした不安から勉強に手につかない場合もあるでしょう。
あるいは、単に1人ではなかなか勉強する気持ちになれないこともあるかもしれません。

勉強へのモチベーションを保てない人は、どのような勉強方法が適しているのでしょうか?

比較的心身の状態は安定している、といった場合には、塾やフリースクール・教育支援センター(適応指導教室)にチャレンジしてみるのもよいかもしれません。
「学びの場」に定期的に通い、外の環境に触れることで、新たな気づきが得られるでしょう。

外に出ることや定期的に通うことが難しいようなら、家庭教師などがオススメです。

前項の完全1人の自主学習とは違い、他人の目があるため「勉強しよう」という気持ちになりやすいです。
加えて、安心できる先生と出会うことで悩みを話したり、刺激を受けたりするなどのメリットも得られるかもしれません。

その他にも、次のような方法を試してみてもよいでしょう。

  • 勉強をする環境を変えてみる
  • 計画を立ててみる
  • 一時的に勉強をやめてみる

勉強のモチベーションを保つ方法について、キズキ共育塾では以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

ケース③生活リズムが崩れやすくなっている場合

学校へ通わなくなると、どうしても生活リズムは崩れやすくなります。
「朝の時間は、登校時のにぎやかな声が聞こえてきて憂うつで、昼まで寝て過ごしたい」という声も聞かれます。

夜になると逆に元気になる人もいます。夜型の生活は朝日を浴びる時間が少なくなって、だんだん憂うつになることもあります。
しかし、学校復帰や進学・就職など、後のことを考えても、昼夜逆転は避けた方がよいでしょう。

生活リズムを整えたい場合は、決まった時間に出かけるルーティンを作ることがオススメです。

  • フリースクール
  • 教育支援センター(適応指導教室)
  • 長時間がまだ難しいときは、塾など

このような場所へ、定期的に通うようにするのもよいかもしれません。

長時間がまだ難しい時は、短時間の塾や習い事を始めるのもよいでしょう。
出かけるのが難しければ、午前中の決まった時間に勉強することから始めてみるのもオススメです。

1週間の中に、短時間でも時間の決まった予定やルーティンを入れ込むのがポイントです。
できれば、午前中などのなるべく早い時間に予定が入れてみてください。

ケース④生活全般に気力が出てこない場合

そして4つ目は、生活全般に気力が出てこない場合の勉強法です。

「何で勉強をしなきゃいけないんだろう」
「勉強しなきゃとは思うけど、まったく身体が動かない」
「毎日生きるだけで精一杯」

このように勉強だけでなく、何事につけてもやる気や気力が出ない人もいると思います。
もしかしたら、今はひどく疲れて、身体が動かないのかもしれません。

こういった場合は、まずは、生活を整えてみましょう
生活リズムを整えることは、勉強をするための土台づくりにもなります。

まずは、自身の体調や気持ちをしっかりと整えることを優先してみてください。

不登校中の勉強法とメリット・デメリット

ここまで触れてきた勉強方法も含めて、不登校中の勉強法を改めてリストアップしました。
それぞれのメリットやデメリットについても、あわせて解説します。

*不登校中の勉強法リスト*

  • 自主学習
  • 通信教育・映像授業
  • オンライン(リモート)型個別指導
  • 家庭教師に来てもらう
  • 塾に通う
  • フリースクール
  • 教育支援センター(適応指導教室)

それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。

勉強法①自主学習

自主学習とは、教材を購入するなどして自分1人または保護者の指導を受けながら勉強する方法です。
教科書や教材を柱にして、家庭内である程度のスケジュールを立てて進めていきます。

自主学習のメリット
  • 費用は教材費のみに抑えられる
自主学習のデメリット
  • 苦手科目やつまづいた箇所について質問する相手がいない
  • モチベーションの維持が難しく、孤独になりやすい

こうして見ると、親の負担が大きくなりそうですね。

個人的な意見ではありますが、自主管理が難しいため、あまりオススメはできません。

お金はかかりますが、少なくとも何らかのサービスと併用することがオススメです。

家庭学習に活用できるテキストやサービスは、「オススメの教材」で紹介していますので、そちらも参考にしてみてください。

勉強法②通信教育・映像授業

通信教育には、紙テキスト型・映像授業型があり、その両方をよいところを組み合わせたものも増えています。
通信教育は一方通行ではなく、郵便やインターネットなどの情報通信を用いて添削するなど、双方向でやり取りする機能を備えていることが特徴です。

通信教育・映像授業のメリット
  • 定期的に送られてくるタイプは学習のリズムを掴みやすい
  • 勉強することで得られるごほうびやポイントがあるサービスも
通信教育・映像授業のデメリット
  • サービスによっては、分からない箇所の質問にすぐ対応してくれない
  • 動画見放題のタイプはスケジュール管理が難しい

いまは、YouTubeで授業をしている様子を無料で配信している人もいますし、スマホアプリを使った教材を利用している人も多くいます。
詳しくは、「オススメの教材」でご紹介します。

勉強法③オンライン(リモート)型個別指導

オンライン(リモート)型個別指導では、前項の通信教育・映像授業と違い、オンライン上でリアルタイムで先生とつながって指導が行われます
大きく分けて、「オンライン対応の個別指導塾」と「オンライン型家庭教師」があります。

オンライン型個別指導のメリット
  • ダイレクトに先生とやりとりできる
  • 分からないところをすぐに質問できる
オンライン型個別指導のデメリット
  • パソコン画面でのやりとりに「オンライン疲れ」する人も

コロナ禍において、学校や企業でのオンライン化が急速に進みました。
直接対面で授業を受けるよりも疲れる、といった意見も見られますが、場所に縛られずに指導を受けることができる利便性は圧倒的です。

勉強法④家庭教師に来てもらう

家庭教師に家まで来てもらって、勉強を教わるやり方です。

家庭教師のメリット
  • 他人の目があるのでモチベーションを維持しやすい
  • 家族以外の人と話す機会になる
  • 分からないことをその場で質問・解決できる
  • 自宅から出なくてすむ
家庭教師のデメリット
  • 費用が高くなりやすい

家庭教師は多くのメリットがあります。

大手家庭教師センターには、不登校向けのプランが用意されていることもあります。

メリットが大きい分、費用も高い傾向があるというわけですね。

コストダウンの方法として、英語や数学の1科目だけ、短時間プランで利用する方法もあります。
自宅からあまり出られない場合は、人と触れ合う絶好の機会になるでしょう。

勉強法⑤塾に通う――「不登校は塾に通えない?」

民間の学習塾などに入塾して、決まった時間に塾へ通い、勉強を教わるという方法です。
マンツーマン、2〜3人での個別指導、少人数授業、集団授業など、いろいろな形態があります。

さらに、学校の定期テスト対策向け、公立校受験向け、国私立校受験向け、など、目的も細かく分かれます。
新型コロナの影響もあり、通塾だけでなく動画配信をする塾も増え、バリエーションは豊かです。

塾に通うメリット
  • 定期的に出かけるきっかけになる(時間は遅めのことも多い)
  • 他人の目があるのでモチベーションを保ちやすい
塾に通うデメリット
  • 決まった時間に通わないといけない

ちなみに、「不登校では、学校に通えないのだから、塾にも通えない」と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、そんなことはありません
「学校は合わないけど、この塾は自分に合う」ということもあるのです。

個別指導を行っている塾か、または集団指導か、自分に合っている方を選びましょう。中には不登校の人向けの塾もあります。

例えば、私たちキズキ共育塾もその1つです。
キズキ共育塾は、メンタル面と学習面の両方を、一人ひとりに合った丁寧な個別指導で徹底サポートしています。
少しでも興味をお持ちでしたら、電話やLINEで気軽に相談してみてください。

勉強法⑥フリースクール

フリースクールとは、主に不登校の人向けの、民間の教育施設です。
学校にいけない子ども達の、学校の代わりの居場所として利用されています。

フリースクールは学習支援のほか、相談やカウンセリングを受け付けています。
学習カリキュラムは、画一的ではなく生徒のペースに合わせて学習を進められるようになっていることが多いです。

また芸術活動や社会科見学、レクリエーションなど、それぞれのスクールが独自のプログラムを展開し特色を出しています。

ポイントとしては、学校復帰を目的にしているところもあれば、そうでないところもあるという点です。

子供との相性を、よく考えないといけないですね。
フリースクールのメリット
  • 主要教科の勉強だけでなく、多面的な教育を受けることができる
  • 昼間の長い時間を過ごす居場所となり得る
  • 在籍している学校と連携できれば、学校の出席扱いにできる
フリースクールのデメリット<
  • 環境が合わなければ続けるのは難しい
  • 費用はそれなりにかかる

メリットにあるとおり、現在在籍中の学校長の承認があれば、フリースクールへ通った日数を学校の出席扱いにできます。
公的な施設と比べると出席扱いとなるケースは少ないものの、相談してみる価値はあるでしょう。

私たちキズキ共育塾においても、通塾を学校への出席にカウントできる場合があります。気になる方はお気軽にお問い合わせください。

勉強法⑦教育支援センター(適応指導教室)

教育支援センター(適応指導教室)は、主に市町村の教育委員会が設置している、不登校の人向けの公的な教育機関です。

教育支援センターのメリット
  • 公立小中学校と連携しやすく、通所が学校の出席扱いになりやすい
  • 基本的に費用はかからない
教育支援センターのデメリット
  • なるべく学校に復帰させられるように指導を行っている

公立小中学校を管轄している教育委員会の施設ということもあり、学校や先生同士との連携がしっかりと行われています。
学校は無理でも、教育支援センターに通うことで、出席日数を確保することは十分に可能です。
(新型コロナの影響で、出欠席の扱いがかなり緩和されていることも事実ですが)

ただし、「学校に戻れそうなら戻す」というのが基本方針になります。
学校へ通うのは(まだ)厳しい、しばらくは自分のペースで過ごしたい、という方には合わないと感じるかもしれません。

不登校中の勉強にオススメの3つの教材

学校へ通わなくても勉強に取り組める方法があることをお伝えしてきました。
それではここで、より具体的に、どんな教材を用いるとよいかをお伝えします。

予算を抑えたい、いまは家にいたいなどの理由で、家庭学習をする方はもちろん、他の勉強方法を採用する方でも、これらの教材をぜひチェックしてみてください。

教材①「とある男が授業をしてみた」チャンネル(YouTube)

はいちさんによるYouTubeチャンネルです。
もちろん、無料で見ることができます。

各科目の教科書全体をカバーするように動画が組まれているため、とても細やかでわかりやすいことが特徴です。
またホワイトボードを使った動画は、問題の解き方を「流れ」として理解できるようになっています。

そのほか動画には、次のようなメリットがあります。

  • わからなかった部分はリピートして何度も見れる
  • わかっている部分は跳ばして見れる

このようなメリットから、最近はYouTubeで学習する人が増えているようです。

教材②スタディサプリ(インターネット予備校)

TVCMでもおなじみのスタディサプリ
月額1,980円(税抜)を支払うことで、主要5教科の講師による解説動画を無制限で見ることができます

こちらも動画なので、繰り返し見て理解を深めて、自分のペースで勉強に取り組めます。

教材③「ひとつひとつわかりやすく」シリーズ(テキスト、学研)

こちらは、学研が「家勉」用に出しているテキストです。
写真や図が多いため見やすく、とてもよくまとまっています。

特に、中学版が充実しているため、中学校の内容を学習したい人にオススメです(学研公式のウェブサイトはこちら)。
パソコンやスマホで勉強するのに抵抗がある人も、ぜひ検討してみて下さい。

「不登校中の勉強法」について、キズキ共育塾の講師からのアドバイス

この章では、「不登校中の勉強法」について、不登校の人たちのための個別指導塾・キズキ共育塾の講師たちからのアドバイスを紹介します。実際に不登校の人たちに勉強を教えている講師の「生の声」ですので、きっと参考になると思います。(これまでの内容もキズキ共育塾の知見に基づくものであるため、一部重複する部分もあります。また、講師名は仮名の場合もあります)

また、私たちキズキ共育塾の無料相談では、「実際のあなた」のための、より具体的なアドバイスが可能です。ぜひご相談ください。

F.N講師のアドバイス

英語 数学 化学 生物

ひとつひとつわかりやすく』シリーズ

中高生にオススメの教材は、「ひとつひとつわかりやすく」シリーズです。

〈オススメポイント〉
・丁寧でやさしい解説なので、ひとりでも始めやすい
・文字が大きく、文章が多くないので読みやすい
・見開き1ページに解説と練習問題がまとまっているので取り組みやすい

私も実際に授業でこの教材を使用しています。中学校の内容を網羅しているので、中学生の学習補助にはもちろん、高校生が中学校の復習のために使うのにもオススメです。

【補足】教材を選ぶ際に、問題の難易度や問題数はもちろん大事なポイントですが、文字の大きさ、図の多さ、色使いなど、教材ごとにそれぞれ特徴があり、生徒さんによってかなり好みが分かれるポイントです。可能であれば書店に足を運んでさまざまな教材を見比べてみてください。「これならできるかも!」と自分で選んだ教材で少しずつでも学習を進められると、自信や学習意欲にもつながると思います。

N.T講師のアドバイス

英語 数学 現代文 小論文

中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。

中学生から大人の方まで、幅広くオススメできるテキストです。この教材のオススメポイントは大きく3つあります。

1つ目は、中学英語の文法事項を1冊でマスターできるところです。1冊にまとまっていることで、「中学校範囲全体の中で、この辺りまで進められた!」という達成感を得やすく、目標設定もしやすくなっています。

2つ目は、内容がわかりやすいところです。イラストや例文が豊富なことに加えて、例えば覚えるべき不規則動詞などがきちんとまとめられているため、ハードルの高さを感じずに取り組むことができます。

3つ目は、問題演習までしっかりできるところです。解説1ページ、問題1ページの見開き構成になっているため、説明を見ながらすぐに最低限の演習をすることができ、定着しやすいです。ただ、基本的には和文英訳のみで、英文和訳や英作文の問題がないため、その点は他のテキストの併用が必要です。

N.T講師のアドバイス

数学 物理

青チャート

数学につき、「教科書の問レベルは解けるけれど、入試レベルの問題には歯が立たない」という人には、『青チャート』の例題の問題と解答をノートに書き写し(読むだけではなく)、解法を暗記することをオススメします。

ただし、チャート式は膨大な数の問題が掲載してあるので、例題を読んで理解し、その後にエクササイズを解くという勉強法では時間がかかりすぎます。チャート式の網羅性をうまく活用しつつ効率的に勉強するには、入試の基礎レベルに相当するコンパスマークが3個と4個の例題の解法を暗記していけばよいでしょう。

またチャート式(特に『青チャート』)の利点として、使用している人が非常に多いです。不明点が出てきたときに、ほしい情報がネット上に転がっている可能性が高いことも挙げられます。

小川真凜講師のアドバイス

ミニノートを活用する

私はとにかく覚えることが苦手で、公式、英単語、教科別の単語を覚えるのが嫌いでした。克服のため、「ミニノート」を利用して勉強していました。

ミニノートとは、ポケットに入るぐらいのノートのことです。それに覚えたいことを書き込み、勉強のスタートはその確認から始めるということを徹底させました。毎日確認することで、記憶の定着に繋がっていきます。また、忘れているところがあればその復習を行うことで、その後の勉強にもスムーズに繋がりました。

勉強のモチベーションがないときや、勉強と向き合いたくない日もありました。そんなときも、「ミニノートだけはベッドに横になりながら見る」ことをやりやすく、勉強を始めるハードルを低くしてくれます。ずいぶん助けられました。

また、自分にとって覚えたいことや大事な内容を全てミニノートに書いておけば、試験の前の少しの時間でもすぐに確認できます(参考書の中から大事な部分を探す必要がありません)。

さらに、ミニノートにふせんを貼ることで、ミニノートの中でも特に重要な部分を差別化して覚えることもできました。

注意点としては、「見ているだけ」では、英単語や漢字の「意味」や「読み」は覚えられても、英単語や漢字を「書く」こと覚えられない可能性があることです。ミニノートを利用しながら、紙に書くなどのアウトプットがあると、さらによいと思います。

飯田美樹恵講師のアドバイス

勉強系ユーチューバーによる動画配信の視聴

勉強系ユーチューバーによる動画配信の視聴をオススメします。主に大学受験を対象にしたものが中心にはなりますが、受験に関するさまざまな情報が発信されており、とても参考になるものが数多くあります。

授業形式の動画はもちろん、各教科の勉強方法のほか、参考書の紹介などもあります。また、一般に「勉強生配信」と言われるライブ配信では実際に配信者が勉強している様子が見られるので、身近に受験生がいない環境であっても、一緒に勉強している感覚で自身のモチベーションアップにつなげることができるかもしれません。

岩間俊宏講師のアドバイス

教材

教科書の内容を基本から丁寧に解説しているものを選びましょう。無理なくスモールステップで勉強を進めることができます。高校生であれば東進ブックスの「はじめからていねいに」、中学生であれば学研の「ひとつひとつわかりやすく」がオススメです。少し厚めのものもありますが、文字が大きくイラストも豊富で読みやすいです。他にも、書店などで、自分に合いそうなものを探してみてください。

勉強法

1ページ読んだら、「何が書いてあったか」「どんな解き方が書いてあったか」を自分で説明してみましょう。声を出さず頭の中でやっても大丈夫です。内容の理解も深まりますし、しっかり説明できたという達成感はとても大きく、モチベーションの向上にもつながります。

不登校からの大学合格体験談

ここでは「不登校からの大学合格体験談」として、キズキ共育塾に寄せられた体験談をご紹介します。
不登校から歩んだ一つの例として、より良い勉強方法を見つけるのに役立ててみてください。


私は、小学4年生から中学校を卒業するまで、約6年間不登校でした。
そんな私は、通信教育を契約して、私は家でそれなりに勉強をしていました。

もちろん、勉強の得意・不得意はありました。
数学は得意でしたが、国語は全くわからず、社会や理科も苦手でした。

得意な科目を伸ばしつつ、苦手な科目については自分なりに工夫して勉強しました
例えば、国語については本をたくさん読むようにしたり、暗記が必要な部分は、通信教育でもらった冊子を常に持ち歩いて勉強するようにしたりしました。

もしかしたら、中学校へ通わないと高校へ進学できないのでは、と不安に思うかもしれません。
しかし、少なくとも私は、こういったやり方で勉強した結果、中学校へ通わなくても定時制・単位制の高校へ進学できました。

高校では、同じように元不登校だったり高校中退経験があったりする同級生や先輩達と出会い、それなりに楽しく通いました。
勉強については、国語の授業1つ取っても、基礎クラスと発展クラスとで分かれていたので、自分のペースに合わせて勉強することができました。

そして、高校を3年で卒業したあと、大学へ進学できました。
話は戻りますが、進学を目指して勉強をしていたとき、インターネットで次のような情報と出会いました。

「不登校になると、怠け癖がつくから、学校復帰なんてできない。」

私は、これは間違いだと思っています。
少なくとも、すべての人がこの通りではないと断言できます。

不登校から進学した人は、実際にたくさんいるからです。
また、この社会で暮らす人の中には、不登校の経験を持つ人がたくさんいます。

みんなそれぞれ得意・不得意がありながら、助け合って生きています。
不登校だと、大変なことや不安なことはたくさんあると思います。

ですが、どうか絶望したり、必要以上に不安になったりしないでください。
いろいろな情報やサービスに調べると、あなたにとってよりよい勉強法や生き方が見つかります。

最後に:不登校中はいろいろな勉強法にトライしてみましょう

今回は、不登校で気になる勉強の遅れ、高校・大学受験はできるのか、そしてさまざまな勉強法について、お伝えしてきました。

改めて、お伝えした勉強法をおさらいします。

*不登校中の勉強法リスト*

  • 自主学習
  • 通信教育・映像授業
  • オンライン(リモート)型個別指導
  • 家庭教師に来てもらう
  • 塾に通う
  • フリースクール
  • 教育支援センター(適応指導教室)

学校以外で勉強をする方法は、たくさんあるので迷うかもしれません。
また、よく考えて選んだつもりが、実際にやってみるとイマイチだった、ということもあると思います。

しかし、一度やってみて、合わないと思ったら別の勉強方法を試せばよいのです
先生との相性一つとっても印象はガラリと変わりますし、どれが正解だとはっきりさせるのは簡単ではありません。

選択肢はいくつもあるので、ぜひ可能な限りトライしてみてください。

「そもそも勉強するってなに?」
「どうして勉強しなきゃいけないの?」

この問いに答えるのは、とても難しいことです。
なぜなら、答えは一つではなく、人それぞれ答えは違うからです。

そのため、一度問い方を変えてみてください。
次のような問いだったら、人それぞれの答えを出すことができるのではないでしょうか。

「私にとって、勉強するとはどういうことか」
「あなたにとって、勉強する理由はなにか」

このコラムを書いている私にとって、勉強とは、世界の仕組みや謎を知る喜びであり、誰かとのコミュニケーションであり、同じ景色を見ていても勉強をする前と後で「見え方」が変わってくる、楽しいものです。

学校での勉強は必ずしも楽しいものではありませんでしたが、自分の興味が湧くような領域を知り、自分なりの疑問を持てるようになると、勉強はグッと身近で楽しいものになっていきました。

このような問いを周りの人に投げてみて、話を聞いているうちに、その人なりの「勉強する意味」「勉強する理由」が見つかるかもしれません。


さて、私たちキズキ共育塾では、ただ勉強を教えるだけではなくさまざまな悩みにも耳を傾けています。

「あなたにとって、勉強する理由とはなにか」

そんな問い・悩みについても、一緒に考えていきます。
不登校の生徒さんも大勢通っており、ご相談は無料です。少しでも気になるようでしたらお気軽にご連絡ください。保護者さまだけでのご相談も可能です。

 

/Q&Aよくある質問

不登校で勉強できてなくて、高校受験/進学が不安です。

中学不登校から進学できる高校はたくさんあります。例えば、私立高校、通信制高校、定時制高校、チャレンジスクールなどです。詳細はこちらをご覧ください。

不登校中の勉強法を知りたいです。

一般論として、次の7つがあります。(1)自主学習、(2)通信教育・映像授業、(3)オンライン(リモート)型個別指導、(4)家庭教師、(5)塾、(6)フリースクール、(7)教育支援センター(適応指導教室)。メリットや注意点も含めて、詳細はこちらをご覧ください。
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