「高校に行かない」と言う子どもに親ができる対応 行かないメリットを解説

こんにちは。生徒さんの勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする完全個別指導塾・キズキ共育塾です。

このコラムを読んでいるあなたは、中学卒業後の進路について以下のようなことを感じているのではないでしょうか?また、お子さんから以下のようなことを伝えられて、悩んでいる親御さんもいらっしゃるかもしれません。

  • 高校に行く意味が見つからない
  • 勉強が苦手だから高校に行かない
  • 不登校で高校に進学したくない
  • 高校に行かない

先に結論をお伝えすると、一般的な高校としてイメージされる全日制高校には通わなければならないということはありません。

ですが、現実として高卒資格や高卒認定を取得することで、今後の進路の選択肢が広がりやすくなります。

このコラムでは、「高校に行かない」と言う子どもに親ができる対応や高校に行かないメリット、デメリット・注意点などについて解説します。

このコラムは、中学卒業の進路として高校に行かないと考えているお子さんはもちろん、お子さんから「高校に行かない」と伝えられ悩んでいる親御さんにも役立つ内容になっています。

また、親子で今後の進路について話し合うきっかけにもなるかと思いますので、ぜひご活用ください。

共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス

なぜ進学したくないか、一緒に考えることが大切です

お子さんの進学拒否に驚く親御さんは、多いのではないかと思います。
私が出会ってきたケースでは、「精神的に疲れて、高校に行く気力がない」という人が最も多いです。
親にも言えない心の傷や秘密を抱えているのです。

例として、成績不振、生徒間のいじめ、教員からのいじめなどが挙げられます。
高校からは、選択肢がたくさんあります。通信制高校、定時制高校、高校認定試験、高校専門学校、高等専修学校などです。

まずは、「絶対に16歳になる年度の春に進学しなければならない」という考えを捨てましょう。
お子さんの考えやこだわりに耳を傾けて共感し、お子さんの目線になってみてください。
そして、なぜ進学したくないかを一緒に考えましょう。 そこには、子どもなりに一生懸命考えた理由があるはずです。

私たちキズキ共育塾は、高校進学に関してお悩みの人のための、完全1対1の個別指導塾です。

生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。

ゲーム依存、昼夜逆転、勉強の話、子どもにしてもいいの…? 疑問への答えが見つかるウェブメディア 不登校オンライン 不登校の親のためのオンラインコミュニティできました! 不登校の親専用 親コミュ オンラインコミュニティ

「高校に行かない」はたくさんの選択肢の中の1つ

中学校までは義務教育ですが、高校は義務教育ではありません。

つまり、法律上は、高校は行かなくてもよいのです。親御さんも、お子さんを高校に行かせる法律上の義務はありません。

多くの中学生が卒業後に高校に進学するため、必ず高校に行かなければならないと思うかもしれませんが、高校に行かないことはたくさんの選択肢の中の1つなのです。

また、高校といっても、さまざまな種類の学校があります。こちらで解説しますが、自分に合った通学方法や勉強方法の学校を選ぶことができるのです。

そのため、中学校卒業後の進路については、高校に行くか・行かないか、という二択ではなく、個人の状況に合ったさまざまな選択肢を検討することをオススメします。

高校に行かない3つのメリット

この章では、高校に行かないメリットについて解説します。

メリット①時間を自由に使える

高校に行かなければ自由に時間が使えるため、明確な目標や打ち込んでいることがある場合、それに向かって全ての時間を使えるようになります。

例えば、以下のような場合は、自分のやりたいことにたくさんの時間を使えるでしょう。

  • 特定のスポーツに打ち込んできた
  • 芸能活動が軌道に乗ってきている
  • 既に起業をするなどビジネスとして成立し始めている。

このように明確で前向きな理由によって、高校に行かないという選択をする場合、プラスに働く可能性があります。

メリット②就職すれば早くから収入を得られる

高校に行かずに就職をすることで、自分で収入を得ることができ、親の元から独立をしたり、自分で意思決定をしやすいという面があるでしょう。

中学卒業後すぐの就職については、学歴を問わない職種を選ぶ必要はあるものの、就職ができれば経済的にも自立でき、自分の道を歩めるようになります。

メリット③心身を回復させるための猶予期間になり得る

中学時代に学校生活でつらい体験をしたり、精神的に調子が悪くなっている場合、すぐに卒業後の進路を考えることが難しいこともあるかと思います。

一旦高校に行かないという選択をすることで、心と体を休めることができ、焦らずに心身の状態が良くなってから、改めて進路を考えることもできるのです。

一部の私立高校や進学校など学校によっては、卒業年度を限定している場合もありますが、基本的に高校の受験資格に年齢制限はありません。

中学卒業後はすぐに高校に進学しないといけないという気持ちはあるかもしれません。しかし、心身を回復させてから高校に通い始めたほうが、無理なく高校生活を楽しめるはずです。

高校に行かない5つのデメリット・注意点

この章では、高校に行かないデメリット・注意点について解説します。

注意点①就職の難易度が高くなる

中卒の人が応募できる求人は、高卒や大卒の人が応募できる求人と比べて数が少なく、就職の難易度が高くなる傾向があります。

2023年度の新卒者に対する求人数を例にすると、高卒新卒者に対する求人数は約46万5000人だったのに対し、中卒新卒者への求人数は784人となっています。 (参考:厚生労働省「令和5年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」

求人数がとても少ないという現状があるため、就職したくてもなかなかできないということになり得ます。

また、アルバイトであっても高卒以上という制限がある場合もあり、中卒で仕事を得ることの難しさがうかがえます。

注意点②職業の選択肢が狭まる可能性がある

職種によっては学歴が求められ、中卒の人にとって選択肢が狭くなるという事情があります。

例えば、公務員では、中卒で応募できるものがいくつかありますが、面接以外に公務員試験があり、高卒レベルの内容を問われることも珍しくありません。

中卒で応募できる職種であっても、高卒レベルの学力を求めているという職種があるため、結果的に体力や技術を生かして働く職種に絞られるという傾向があります。

例えば、以下のような職種です。

  • 工場作業員
  • 大工などの建設業
  • トラック運転手
  • 介護職
  • 新聞配達
  • 農業・漁業
  • 林業
  • 畜産業
  • 飲食店の店員(ホール・キッチン)
  • スーパーや各種ショップの店員
  • ガソリンスタンドのスタッフ
  • 遊園地のスタッフ
  • ネイリスト
  • 伝統工芸など後継者不足である職業
  • 寿司職人や和菓子職人など弟子入りする職業

世の中に必要とされる素晴らしい仕事ばかりですし、ほかにもさまざまな職業に就ける機会が見つかるかもしれませんが、高卒や大卒と比べると選択肢が狭まりやすいといえるでしょう。

注意点③特定の資格試験を受けられない

職種によっては、資格試験を受けるために学歴が必要とされる場合があります。

例えば、医師や薬剤師や公認心理師などでは、資格試験の応募条件がその分野の大卒以上となっています。

資格によって受験資格はさまざまであり、変更されることもあるので随時確認が必要です。

例えば、二級建築士や介護福祉士などは制限はないものの実務経験が数年必要です。また、税理士では会計学に限って受験資格に制限がなくなったものの、やはり検定試験合格や実務経験が必要となっています。

看護師などの専門学校入学が必要になる資格では、入学のために高卒認定試験を受ける必要があります。

公務員試験は種類がさまざまですが、応募の際に高卒程度の学力を証明する必要があるものが多いため、こちらも高卒認定を受けることが最低限必要になります。

公認会計士試験や司法試験、予備試験ルートは学歴の制限はありませんが、高校で習う内容をどこかで学ぶ必要があるため、学校に通わずに独学で全て学ぶより、高校に進学したほうが近道とも言えるでしょう。

つまり、資格試験自体には中卒でも応募資格があったとしても、必要になる実務経験を積むための場所に応募する際や、合格後の就職の際に不利になり得るという現状があります。

注意点④高卒や大卒と比べると年収が低い傾向にある

中卒の人は、高卒や大卒の人と比べると、生涯年収が低い傾向があります。

労働政策研究・研修機構によると、2022年の男性の企業規模を問わない全体の生涯年収は以下のとおりです。 (参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2023」

  • 中卒:約1億9600万6000円
  • 高卒:約2億300万円
  • 大卒:約2億4700万8000円

もちろん、中卒でも、さまざまな分野で年収が高い人や活躍している人がいますが、統計的にみると高卒、大卒との差があると言えるでしょう。

注意点⑤将来高校に進学したくなった時に、選択肢が狭まる可能性がある

中学生や高校生の頃は成長著しい時期であるため、日々心身ともに変化していきます。

中学校を卒業したあと、アルバイトや就職といった就業経験や、さまざまな人とのコミュニケーションなどを経て、「やはり高校に進学したほうが自分にとってプラスになる」と思う可能性もゼロではありません。

高校の中には、途中で入学できない、卒業年度の指定がある高校もあるため、高校に進学したくなった時に選択肢が狭まる可能性があるのです。

今考えていることや感じていることは、経験や時間を経て変化していくことも少なくありません。さまざまな経緯により「やはりこちらのほうがいいかもしれない」と感じることは誰しもあるものです。

そのため、高校に行かないという選択だけでなく、自分に合いそうなタイプの高校を探してみることがオススメです。「この高校であれば通えるかもしれない」と思える高校が見つかれば、まずは入学し高校生活を送ってみて、その後ゆっくりと今後の進路を考えるという方法もあるでしょう。

「高校に行かない」と言う子どもに親ができる8つの対応:理由別に解説

お子さんから「高校に行かない」と伝えられたら、親御さんは不安になるでしょう。

子どもは、親とは違う一個人ではありますが、一方で未成年の子どもでもあります。

つまり、子どもの意見を尊重することは大切なのですが、子どもが未熟な決断をしそうな時は、親がよりよい方向に導くことも必要なのです。

それでは、子どもが「高校に行かない、高校に進学しない」と言ったとき、親は具体的にどう対応すればいいのでしょうか?

この章では、「高校に行かない」と言う子どもに親ができる対応について解説します。

理由①自分のペースで勉強したい

自分のペースで勉強をしたいという理由から「高校に行かない」とお子さんが言っている場合、その奥には以下のような気持ちがあることが考えられます。

勉強の必要性はわかっていて、将来的に大学などにも進学したい。しかし高校は、自分が必要だと思う勉強以外の望まないことにも拘束される場なので、行きたくない。自分で勉強して高卒認定を取りたい。

ここでお伝えする対応は、これからお伝えする全ての理由にも共通する基本的な対応です。他の理由の場合も、まずはこの対応を行ってみてください。

まずは、頭ごなしに否定せず、お子さんの気持ちを受け止めるようにしましょう。

何年か後に振り返ったとき、結果としてお子さんの言うとおり、高校に行かないまま、自分で勉強する選択が向いていた、ということはあります。

しかし、自分から望んで高校に行かなかったとしても、中学卒業から半年くらいが過ぎると、「世間の同い年は高校生なのに自分は違う」といったコンプレックスや不安を感じることが多いのです。

高校の代わりに定期的に通う、学習塾や習い事、アルバイト、ボランティアなどの場所がない場合は、なおさらコンプレックスや不安が大きくなります。

高校が望まないことを強制される場所というマイナスのイメージを持っている場合でも、一度高校に入ってみなければ、高校に行かない方がよいかどうかを正確に判断できないものです。

さらに、高卒認定試験を受けるにしても、はじめに受けられる試験は1年生の8月なので、それまでの時間があります。

これらをお子さんに伝えた上で、お子さんには以下のように提案してみてください。

  • 試しに1学期だけでも高校に通ってみてはどうか。合いそうな学校を一緒に探そう。行ってみたら楽しいかもしれない
  • 全日制高校が嫌なら、通信制高校や定時制高校ならどうか
  • 実際に高校が合わなければ、その時点で別の高校への転校を検討したり、中退や休学をして高卒認定に切り替えるという手段がある

親御さんからこのような提案をすることで、お子さんも高校に行くか行かないかという考えだけでなく、幅広い視点をもって柔軟に考えられるようになるはずです。

理由②学校にいいイメージがない

学校にいいイメージがないお子さんの心境としては、以下のようなものが考えられます。

  • これまでの学校での経験から、いじめや人間関係などで学校にいいイメージがない
  • 結局高校でも同じことになるのではないか?

このような理由から学校に行きたくないお子さんへの対応は、「小学校や中学校が合わなかったからといって、高校も合わないとは限らない」と声かけをすることです。

高校に行く必要はない、と決めているお子さんもいれば、学校にいいイメージがないから行きたくないけれど高卒の資格は必要だ、と思っているお子さんもいると思います。

どちらの場合であっても、高校は中学校までとは違い、さまざまな自分に合った選択肢がある、ということを伝えてみましょう。

特に、公立中学校のようなたまたま同じ地域に住んでいる人たちが集まる学校と、校風などに惹かれて、ある程度学力も同じくらいの人たちが集まる学校などでは、雰囲気や人間関係などは大きく異なります。

例えば、厳しい中高一貫校の中学校が合わなかったのなら、全く別の自由な校風が特徴の高校であれば楽しく過ごせる可能性が高いです。

また、全日制高校だけでなく通信制高校や定時制高校も含めて、お子さんに向いていそうな高校を一緒に探しましょう。

全日制高校以外の選択肢については、こちらで解説しています。

理由③すぐに働きたい・仕事をしたい

「すぐに働きたい、仕事をしたい」という気持ちから、高校に行きたくないと思う子どももいます。そうした子どもには、以下のような気持ちや考えがあるでしょう。

  • 勉強したくないから仕事をする
  • 勉強するよりお金を稼ぐ方が面白そう
  • 自立して家を出たいから、すぐに働きたい
  • 家計が大変そうだから、就職して親を助けたい

大前提として、中卒で働くことが悪い、中卒で働いて自立することはできない、非正規雇用はダメというわけではありません。

また、このような言い方でお子さんを説得しようとすると、お子さんがこれまで以上に反発する可能性があります。

ただし、学歴が中卒である場合、以下のような現実に直面する可能性があることは、伝えた方がよいでしょう。

  • 中卒で社会人経験もない場合、特に正規雇用の求人は少ない
  • 正規・非正規を問わず、高卒や大卒に比べて、賃金や雇用条件が悪い場合が多い
  • アルバイトの場合でも、応募すると「あれ、高校行ってないの?」と言われるなど、中卒であることに偏見を持たれ、居心地の悪さを感じることや、採用されないこともある
  • 中卒後すぐに仕事を見つけたとしても、その仕事が向いてるとは限らない
  • 始めた仕事が向いてなかったときに、次の仕事がすぐに見つかる保証はない
  • 始めた仕事が向いてたとしても、その仕事をずっと続けられるどうかはわからない
  • 「店長になりたい」「出世したい」となったときには、高卒以上の学歴や高校以上で学ぶ知識が必要になることもある

現代の日本においては、中卒後にあえて労働一本に絞るのは、よほどの事情や決意がない限りは厳しい現実があることも事実です。

このようなことを伝えた上で、それでも「高校には行かないで仕事をする」とお子さんが言うのであれば、仕事をしながら通信制高校や定時制高校にも通うことを条件にするのもよいかもしれません。

未成年の保護者として、子どもの行動にこのような条件をつけることは、場合によっては必要です。

ほかにも、高校に入学してすぐに休学や長期欠席をして働くという条件でもよいかもしれません。

働いていて出席日数が少ない分、留年する可能性はありますが、高校に籍があれば、仕事をやってみて向いていなければ、高校生に戻ることができます。

また、お子さんが家計を心配して「高校に行かない」と言っているのであれば、以下の2つの対応があります。

  • 実際、家計に問題がない場合は、話し合ってお子さんを安心させる
  • 実際に家計に問題がある場合は、学費の安い高校や、奨学金・補助金などを一緒に探す
  • お子さんが働く必要がある場合は、アルバイトなどの労働が可能な全日制高校・通信制高校・定時制高校を探す

中卒からの就職については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

理由④高校そのものや、高卒の学歴に意味を感じない

学歴に意味を感じないために、高校に行かないと考える子どももいます。

学歴が中卒であることによって生じる不利なことやデメリット・注意点についても、頭ではわかった上で、高校に行くこと自体や、高校で学ぶこと、高卒の学歴などに意味を感じないのでしょう。

また、このような場合は、以下のように「高校に行かない分、こうやって過ごそう」という明確な考えを持っている場合が多いです。

  • 高卒認定をとって大学に進学しよう
  • フリーターなどで技術を身につけ、いずれ起業しよう
  • 自分の趣味を仕事にできるように、本格的に取り組もう

このようなお子さんに対しては、こちらで解説した基本的な対応で、お子さんの意思が変わる可能性はあります。

基本的な対応を行った上で、「わかっているけれど、やっぱり高校には行かない」などとお子さんから伝えられた場合は、無理に高校に進学させようとする必要はありません。

親としては心配かもしれませんが、高校は義務教育ではありませんし、中卒で充実した人生を送っている人もいるからです。

どうしてもという場合は、高校に行かないことを許可しましょう。

ただし、お子さんが「高校に行かずに、これをしよう」と思っていることを許可する条件として、通信制高校や定時制高校で学んで、高卒資格の取得も並行して行うことは、つけ加えてもいいかもしれません。

このような、はっきりとした考えがあって高校に行かないお子さんであれば、後に「やはり学歴は必要だ」と思ったときには、方向転換をして努力もできるタイプであることが多いです。

高校や大学への進学は、何歳からでもチャレンジできます。

お子さんが「改めて高校に進学したい」「高卒認定試験を受けたい」と言ったときには、あたたかく応援してあげてください。

ただし、こちらで解説しますが、勉強や学歴ついて安易に考えている場合との見極めは、とても重要です。

理由⑤勉強や学歴について、安易に考えている

こちらで解説したように、しっかり考えた上で、高校に行かない場合の言動と似て見える理由に、勉強や学歴について、安易に考えていることがあります。

具体的には、以下のような心境・言動がみられることが多いです。

  • 「中卒で年収◯億」など、学歴なしで成功した人をテレビなどで見た。学歴なんて必要ないのではないか?
  • 勉強や学校生活が嫌いだから避けて通りたいけれど、そんな本音は認められないかもしれないので、「高校に行かないままマンガ家になる」「高校に行かないまま起業する」など、学歴や資格の制限がない職業になると言おう

高卒という肩書は、学歴だけを表すものではありません。

「私は高校を卒業できる学力のある人間です」「僕は高校を卒業できる程度に努力のできる人間です」ということを証明する名刺でもあるのです。

もちろん、中卒や高校中退の人にはそれぞれ事情があります。高卒でなければ、知識がなく努力もできないという意味では一切ありません。

ただし、少なくとも、高卒であればある程度の知識があり努力もできるという名刺になるのも事実です。

世の中を渡っていくためには、高卒という名刺があった方がよいということを、学歴差別にならないように注意しつつお子さんに伝えましょう。

加えて、中卒で年収◯億を実現した人や、中卒で有名マンガ家・起業家なった人たちは、ごく一部の天才を除き、受験や学校の勉強以上の血のにじむような努力の結果、そのようにな人生を歩んでいることも伝える必要があります。

また、同じようなことに挑戦して失敗した人もいるでしょう。しかし、世間で目にするのは成功した人だけなのです。

さらに言うと、中卒で年収◯億を実現した人などの中には、客観的な証明がない、嘘をついている人や経歴を詐称している人もいる可能性があります。

それらを伝えた上で、親子で合いそうな高校を一緒に探すと、次第にお子さんの考えは変わっていくはずです。

理由⑥中学不登校で高校受験・進学ができないと思っている

中学までに不登校を経験しているお子さんは、「高校に進学できない」と思い込んでいることがあります。

この場合の思い込みは、主に以下の2つのパターンが考えられます。

  • 出席日数が少ないから、受験・進学自体ができない
  • 高校に進学しても、また不登校になるから、進学してもしょうがない

実際に、出席日数・内申点も含めて受験結果を審査する高校は多いです。出席日数や内申点の影響で、進学できる高校の幅が狭まることも、残念ながら事実です。

しかし、全ての高校が出席日数を審査するわけではありません。一部の私立高校や通信制高校など、中学校の出席日数を問わない学校も全国にたくさんあります。

また、高校に進学しても、また不登校になるという思い込みに対しては、こちらで解説したように、これまでの学校が合わなかったからといって、高校も合わないとは限らないことを伝えることが大切です。

不登校に伴って勉強があまり得意ではないために、高校に進学できないと思っている場合は、入試が比較的簡単な高校もたくさんあることも伝えてみましょう。

例えば、東京都には、不登校の生徒を対象にした都立高校のチャレンジスクールやエンカレッジスクールといった高校があります。(参考:東京都教育委員会「これまで設置してきた多様なタイプの学校」

これらの情報をお子さんに伝えた上で、親子で一緒にお子さんに向いている、無理なく通える高校を探しましょう。

特に、通学や学校での人間関係に苦手意識がある場合は、通信制高校がオススメです。

通信制高校やチャレンジスクールについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

理由⑦精神的に疲弊していて高校に行く気力がない

以下のような消極的な状況・心境から高校には行かないと言うお子さんもいます。

  • エネルギーや気力がない
  • 人間関係などで疲れきった
  • やりたいことも特にない

この場合、こちらで解説した基本的な対応が功を奏す場合もあります。ただ、まずはお子さんのエネルギーを回復させることが大切です。

エネルギー回復のために親御さんができることには、以下のようなものがあります。

  • 栄養のある食事を食べさせる
  • 家の中の居心地をよくする
  • 朝起きて夜は寝るなど、規則正しい生活をさせる
  • 簡単な運動をさせる
  • 日光を浴びさせるようにする
  • 本、音楽、映画、生き物など、感性に訴えかけるものに触れさせる
  • 子どもの趣味の活動を応援する
  • 子どもが好きなアーティストのライブに親子で参加する
  • 子どもが好きな電車に乗りに行く
  • 芸能人やペットの話題など、子どもの不安に抵触しない話題を取り上げて、親子で会話する

このような対応をしていると、お子さんのエネルギーが回復していき、お子さんから「暇だな」などと言い出したり、「勉強をしたい」と言ったりすることがあります。

そういったタイミングに、高校受験や高卒認定試験の受験を勧める、学習塾や習い事を探す、家事を任せるなどの簡単なことから始めてみてください。

そのようなステップを経て、次の一歩に進めるようになります。

なお、無気力になっているお子さんに対して、叱責したり、将来の話をしたりするのは、逆効果です。勉強する気になるかもしれないと考え、勉強のテキストや高校のパンフレットを食卓などのお子さんの目につくところに置くのもやめましょう。

また、よくある誤解ですが、家の中の居心地がよいと、そのままひきこもりになるということはほとんどありません。

お子さんは「このままでいい」と口では言うかもしれません。ですが、内心では「何かやらなくては…」と思っていることがほとんどです。親には見せられないあせりに苦しんでいることもあるでしょう。

気力のなくなったお子さんへの対応は、引きこもりのお子さんへの対応と共通している部分があります。

ひきこもり支援を専門とする精神科医・斎藤環さんの書籍も参考になるはずです。 (参考:斎藤環『社会的ひきこもり 終わらない思春期』『中高年ひきこもり』

理由⑧やりたいことがはっきりしている

特定のスポーツに打ち込んでいたり、得意な分野で既に活躍し始めていたり、芸能活動などを行っていたりする中学生が、「忙しいから高校には行かない」と言うことがあります。

また、学校に行きたいけれど、活動が忙しく学校を休みがちになっている経験から、高校に行かないという選択をする場合もあるでしょう。

すでに世の中に出ている場合、仕事として成立している場合であれば、いまは仕事に集中して、学び直したいと思ったときに改めて高校に入るという選択があります。

繰り返すとおり、高校は義務教育ではないため、全員が、中学卒業後すぐに高校に通わなければならないわけではありません。

中卒だと仕事の面で不利になるという一般論も、スポーツや芸能などの世界ではあまり関係ないかもしれません。

しかし、そうは言っても仕事がなくならないとは限りませんし、「活動をずっと続けたい」と思い続けるとも限りません。

高校で学ぶことが仕事に活きることもあるはずです。

今の仕事の状況がどうであれ、こういったお子さんに対しては、親子で、活動と両立できる高校を探しましょう。

通信制高校や定時制高校、スポーツや芸能コースのある高校など、活動と両立できる高校もたくさんあります。

また、最近では芸能人やスポーツ選手の中にも高卒以上の学歴がある人が増えています。高卒や大卒の学歴もキャリアになることを意識しておくのもよいかもしれません。

補足:「高校に行かない」と言う子どもに悩んだときは、専門家に相談する

お子さんから「高校に行かない」と言われた親御さんは悩むでしょう。

ですが、高校は中学校までのシステムとは異なります。新たなスタートを切れるよい機会であるともいえます。ぜひ親子で高校について話し合ってみてください。

とはいえ、親子だけだと感情的になり話し合いにならないこともあるでしょう。

そんな場合は、ご家庭だけで抱えずに、ぜひ専門家に相談してください。

専門家とは、中学生年齢の子どもの心理・進路・事例などに詳しい人たちのことです。

こちらで解説した対応法についても、専門家に相談することで、それぞれのお子さんに向いたより具体的な進路や説得方法がわかるはずです。

例えば、以下のような専門家・相談先があります。

  • かかりつけの医師
  • 不登校や精神的疲弊など心理的な要素もあって高校に行かないと言っている場合の専門家・相談先
  • 在籍している学校のスクールカウンセラー
  • 児童相談所
  • 児童相談センター
  • ひきこもり地域支援センター
  • 発達障害支援センター
  • 教育センター
  • 不登校の親の会
  • フリースクールなど民間の不登校支援団体
  • 心療内科

進路・学習面での不安があって高校に行かないと言っている場合の専門家・相談先

  • 学校の担任や進路指導の先生
  • 一般の学習塾・予備校・家庭教師など
  • キズキ共育塾のような、通信制高校・高卒認定試験などに詳しい学習塾

経済的な不安があり高校に行かないと言っている場合の専門家・相談先

  • 学校の担任や進路指導の先生
  • 市区町村の相談窓口

どこに相談したらいいのかわからない場合は、まずは市区町村のウェブサイトを見たり代表電話に問い合わせたりして、お子さんの状況に合った窓口を探してください。

高校に行かない場合の3つの選択肢

この章では、高校に行かない場合の選択肢について解説します。

選択肢①就職して仕事をする

1つ目の進路として、就職があります。

すぐに自分で収入を得る必要がある、親のもとから独立する必要がある、といった場合には、就職して収入を得るという道が候補に出てくるかと思います。

最終学歴が中卒の場合は、就職先の候補が少なく、希望した給料や待遇が得られない場合もあるかもしれません。

こちらで解説した通信制高校や定時制高校と組みあわせて、「日中は働いて、夜は勉強する」「働きながら高卒認定資格取得を目指す」といった生活をするという選択肢もあります。また、こちらでも解説したとおり、高卒認定があるだけで求人数も挑戦できる資格も増えるため、自立への近道となる可能性があるでしょう。

選択肢②海外留学する

留学する場合、現地の学校を卒業すれば、日本でいう高卒資格とともにその国の言葉も身につけられるという利点があります。

海外留学は、言語面・資金面・精神面などに多くのハードルが存在しますが、もし実現すれば、身に着けた言語力とほかの人にはない経験をアピールでき、日本での就職もとても有利になる可能性があります。

日本とは異なる価値観のもとで、日本の学校生活では感じられなかった自分らしさを再発見することもあるでしょう。

留学にはさまざまな準備が必要なので、しっかりと下調べをすることが重要です。

選択肢③高卒認定資格を取得して大学進学を目指す

高卒認定試験とは、高校卒業と同程度の学力があることを公的に証明する試験のことです。

正式名称を「高等学校卒業程度認定試験(旧大検)」と言い、取得することで、大学・短大・専門学校、一部の公務員試験などの受験が可能になります。

取得には、年に2回(8月・11月)実施される試験に合格する必要があり、その年度で16歳以上、かつ大学入学資格のない人であれば、誰でも試験を受けられます。

さらに、一度合格となった科目は、その後もずっと有効です。

高卒認定資格を取得するには、まずは制度を理解し、あなたに合った学習方法を見つけることが大切です。

学習塾によっては、専門の講師やスタッフが、高卒認定資格の取得から大学受験までを総合的にサポートしてくれるところがあります。キズキ共育塾もその1つです。気軽にこうした学習塾などにサポートしてもらいましょう。

高卒認定試験については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

「高校に行かない」と決める前に知っておきたい高校の種類

義務教育だった中学校までとは異なり、高校からはさまざまなタイプの学校があります。

また、システムが随時変化していくため、最新情報に注意しながら、自分に合った高校を見つけていきましょう。

この章では、「高校に行かない」と決める前に知っておきたい高校の種類について解説します。(参考:文部科学省「中学生の多様な進路」「高等学校教育の現状について」、「高等学校教育」、東京都教育委員会「これまで設置してきた多様なタイプの学校」)

種類①全日制高校

全日制高校とは、いわゆる一般的な高校で、平日の朝から、毎日決められた時間に通学して、学校で学習する高等学校課程のことです。

学校行事や課外活動も多く、勉強以外にも多くの時間を使います。

クラスで授業を受け、定期的にテストを受け、必要な単位を取得することができれば、卒業できます。

主に学年制と単位制というふたつの制度があり、学年制では、学校が定める一律の時間割に従って、年度ごとに学習する教科・科目があらかじめ決まっています。単位制では、学校が定める時間割がなく、その年度に学習する教科・科目を、学校と相談しつつ、自分で決めるシステムです。

所定の出席日数やテストの点数を満たすと単位を取得でき、年度ごとに必要な単位を取得すると進級・卒業です。必要な単位を取得できなければ進級・卒業できず留年します。留年した場合、再度その学年からの進級・卒業に必要な単位を全て取得する必要があります。

一部の学校では、受験の際に卒業年度に制限があり、途中で入学することが難しい場合もあります。

種類②定時制高校

定時制高校とは、夜間、もしくは昼間の決められた時間に通学して学習する高等学校課程のことです。基本的に全日制高校より1日の授業時間が少ない場合が多く、通学する時間帯も選べるのが特徴です。(参考:文部科学省「三 新制高等学校の発足:文部科学省」

定時制高校は、1948年に勤労青少年、つまり就業などのために全日制高校に進学できない青少年のために発足しました。

全日制高校とは異なる時間帯にも授業を受けられるため、働きながら高等学校教育を受けたい人や、自分のペースで学びたい人にオススメです。

定時制高校については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

種類③通信制高校

通信制高校とは、通信教育で学習する高等学校課程のことです。基本的に毎日通学する必要がないため、場所を選ばずに勉強できる点が特徴です。(参考:文部科学省「高等学校通信教育の質の確保・向上」

学校から送られてくる教科書や動画などの教材を利用して、自宅で学習します。成績は、レポートの提出やテストの点数で決まります。卒業の要件を満たせば、高校卒業資格が得られ、最終学歴は高校卒業(高卒)になります。

学習以外の時間を確保したい人や、自分のペースで学習したい人にオススメです。

通信制高校については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

種類④高等専修学校

高等専修学校とは、高校を中退した人や中卒の人が入学でき、専門学校と同じようなことを学べるけれど、専門学校よりも基礎的なことを学ぶ学校です。

一般的に世間でイメージされることが多い専門学校は、高等課程のない専門学校で、基本的には高校卒業、高卒認定試験取得、高等専修学校卒業をしている人が入学できます。

つまり、高等課程のない専門学校に入学できる人は、入学時点ですでに高卒程度の知識を身につけていると公的に証明されているため、専門学校では、さらに専門的な内容を学びます。

一方、高等専修学校では、専門科目を通して職業に直結する専門的な知識を中心に学びつつ、中卒であることを前提に、いわゆる五教科などの普通科目も学び、社会に出るために必要となる基礎知識を身につけるのです。

そして、高等専修学校を卒業すると、高等課程のない専門学校や、高等課程のある専門学校の専門課程に進学することができるようになります。

なお、高等専修学校のうち、「3年間(以上)在籍でき、所定の内容を学べる」等の要件を満たす学校であれば、大学受験の資格が取得できることもあります。(参考:文部科学省「高等専修学校」

種類⑤高等専門学校

高等専門学校、いわゆる高専とは、実践的・創造的技術者を養成することを目的とした大学や専門学校と同じ高等教育機関のことです。つまり、仕事の現場で即戦力となることができる専門的な技術者を養成するための学校なのです。

5年一貫教育で、いわゆる五教科などの一般科目と、工学・技術・商船などの専門科目の両方を学びます。なお、商船学科の場合は5年6か月です。

3年次を修了すると、大学受験の資格も得られます。

学べるのは、電気、工業分野、商船分野、理系分野などです。

高等専門学校で学ぶ内容は専門性が高いため、高専の教員は一般的な教員免許ではなく、専門科の博士号を持った教員が授業を行います。

現場で即戦力となるエンジニア・技術者の養成が目的であるため、卒業後の就職率が高いのも特徴です。将来仕事をしたい特定分野について専門的に学びたい人にはオススメです。(参考:文部科学省「高等専門学校(高専)について」

種類⑥チャレンジスクール

チャレンジスクールとは、小・中学校時代に不登校の経験のある生徒や、長期欠席などが原因で高校を中途退学した生徒などを主に受け入れる東京都立高校のことです。(参考:東京都教育委員会「これまで設置してきた多様なタイプの学校」、東京都教育委員会「多様なタイプの学校の紹介」、東京都立大江戸高等学校「Q&A」、杉森共和・東京都立小台橋高等学校校長「チャレンジスクール」

総合学科の定時制・単位制高校で、自分のライフスタイルや学習ペースに合わせて、午前部・午後部・夜間部の三部の中から選んで入学できます。

これまでの学校生活でさまざまな難しさを感じてきた場合でも、新たに自分の目標を見つけ、それに向かってチャレンジする学校と言えるでしょう。

チャレンジスクールは東京都立高校であるため、東京都にのみありますが、東京都以外にもチャレンジスクールに似ている学校はあります。

東京都以外にあるチャレンジスクールに似ている学校については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

種類⑦エンカレッジスクール

エンカレッジスクールとは、学力の遅れた生徒の学び直しを重視した、全日制・学年制の東京都立高校のことです。

小・中学校時代に十分に能力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、頑張りを励まし、応援する学校として、社会生活を送る上で必要な基礎的・基本的学力を身に付けることを目的として設置されました。

発達障害などがあり、特別な配慮が必要な生徒の学び直しなどにも力を入れています。

定時制・単位制高校であるチャレンジスクールに対して、エンカレッジスクールは全日制・学年制の高校です。いずれも都立高校である点は共通していますが、制度が異なります。

また、総合学科のみのチャレンジスクールに対して、エンカレッジスクールは普通科や工業専門科などが存在します。

チャレンジスクール、エンカレッジスクールについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

補足:フリースクール

フリースクールという言葉もよく見かけると思います。

フリースクールとは、さまざまな理由で、学校に行かない選択をした子どもたちが通える学校以外の学びの場のことです。

主に学習活動、教育相談、体験活動を行い、同年代の友達との交流ができます。

2015年度の文部科学省の調査では、全国に474のフリースクールが確認されています。(参考:文部科学省「フリースクール・不登校に対する取組」

なお、多くのフリースクールは、NPO法人や民間企業、個人が運営しています。

フリースクールについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

高校に行かない人が大学に進学するための3つのステップ

最終学歴が中卒であっても、いくつかのステップを踏めば、大学に進学することが可能です。

この章では、高校に行かない人が大学に進学するためのステップについて解説します。

ステップ①高卒認定試験合格を目指して勉強する

大学受験には受験資格があり、中卒のままでは大学受験ができません。高校に行かずに大学受験の資格を得るには、高卒認定試験に合格する必要があります。

従って、まず第一のステップは、高卒認定試験合格を目指して勉強することです。

高校に行っても行かなくても、大学に進学したい場合は、日々勉強に取り組むことが必要になってきます。

勉強は、やる気があり勉強習慣をつけられれば、誰しも取り組めるようになります。

しかし、やる気を出すことも、勉強習慣をつけることも簡単なことではないため、工夫することが必要です。

勉強習慣をつけるためには、勉強しやすい環境が必要です。例えば、以下のような方法で環境を整えてみてください。

  • 自宅で勉強に集中できるように、自分の部屋の環境を整える
  • 1日のなかで決まった時間に勉強できるように学習塾や家庭教師などを活用する

また、「勉強しよう」と思ったとき、やらなければならないことは、勉強の計画を立てることです。

今やるべき勉強を決めるためには、最終目標を定め、必要量を確認した上で、日割りにして、優先順位まで考える必要があります。

さらに、さまざまな受験がありますが、共通しているのは、受験勉強には日常の勉強と比べて特別な対策や手続きが必要という点です。

  • 受験に必要な科目の対策
  • 受験する試験の出題傾向の分析
  • 受験する学校や試験の過去問対策
  • 各種申し込み

特に高卒認定試験の先に控える大学受験は、入試改革で毎年変更点も多いため、1人ですべての情報を集め、的確な対応を行うことは難しいです。

そのため、学習塾や家庭教師などを活用して、一緒に受験に取り組める体制を作っておくと安心です。

気軽にサポートを受けながら、スモールステップで目標を決め、勉強習慣をつけ、勉強計画をたてることから始めましょう。

ステップ②高卒認定試験に合格する

高卒認定試験に向けて勉強することも大切ですが、試験に合格するためには、きちんと試験についての理解を深めておくことが欠かせません。

まず、高卒認定試験は、毎年2回実施されています。実施の1回目は8月初旬、2回目は11月初旬から中旬です。詳細な日程は年によって異なるので、受験を考えている方はしっかり確認しましょう。

高卒認定を取得するためには、全部で8〜9科目の試験に合格する必要があります。合否は科目別に判定され、必要な全ての科目で合格すると高卒認定資格取得となります。

ちなみに、1回の試験で全ての科目に合格する必要はなく、全ての科目で合格するまで何回でも受験可能です。

高卒認定試験に合格するためには、高校1年生レベルの学力があれば充分だと言われています。なぜなら、試験の範囲は、基本的には1年生で習う内容だからです。

また、各科目の合格点はおよそ40点とされているため、満点を目指す必要はありません。なお、正式な合格ラインは公表されていませんが、通説としてそのように認識されています。

そのため、基礎的な学力を固めたり、科目ごとにきちんと過去問を解いたりと、基本的な対策を丁寧にすれば合格は可能です。

わたしたちキズキ共育塾もそうですが、高卒認定試験の対策を行っている学習塾や家庭教師などに気軽に活用しましょう。

高卒認定試験については以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

ステップ③大学受験に合格する

高卒認定試験に合格できたら、次は大学受験合格を目指して勉強に取り組みましょう。

まず、大学入試の方式には、大きく分けて以下の3つがあります。

  • 一般選抜
  • 学校推薦型選抜(公募制・指定校制)
  • 総合型選抜

一般選抜は、当日の学力テストの結果で合否を判定する、一般的な大学入試です。

学校推薦型選抜は、高校の校長の推薦が必要で、一般的に出願書類、面接、小論文で審査します。高校の学業成績や活動実績も評価されます。

総合型選抜は、高校の校長の推薦は不要で、同じく出願書類、面接、小論文での審査が一般的です。学校の活動よりも、個人的な経験や学ぶ意欲も評価されます。

高校に行かない場合は、一般選抜で受験することになります。

国公立大学、私立大学、それぞれ一般選抜の仕組みは異なるため、志望校を決めた上で、志望大学の情報をよく調べることが大切です。

大学受験に関しては以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

参考:学校休んだほうがいいよチェックリストのご紹介

2023年8月23日、不登校支援を行う3つの団体(キズキ不登校新聞Branch)と、精神科医の松本俊彦氏が、共同で「学校休んだほうがいいよチェックリスト」を作成・公開しました。LINEにて無料で利用可能です。

このリストを利用する対象は、「学校に行きたがらない子ども、学校が苦手な子ども、不登校子ども、その他気になる様子がある子どもがいる、保護者または教員(子ども本人以外の人)」です。

このリストを利用することで、お子さんが学校を休んだほうがよいのか(休ませるべきなのか)どうかの目安がわかります。その結果、お子さんを追い詰めず、うつ病や自殺のリスクを減らすこともできます。

公開から約1か月の時点で、約5万人からご利用いただいています。お子さんのためにも、保護者さまや教員のためにも、ぜひこのリストを活用していただければと思います。

私たちキズキでは、上記チェックリスト以外にも、「学校に行きたがらないお子さん」「学校が苦手なお子さん」「不登校のお子さん」について、勉強・進路・生活・親子関係・発達特性などの無料相談を行っています。チェックリストと合わせて、無料相談もぜひお気軽にご利用ください。

まとめ:「高校に行かない」については専門家を交えて親子で話し合いましょう

義務教育ではない高校は、必ず行かなければならないわけではありません。ですが、今の日本では、中卒という学歴の場合、選択肢が狭まる場面が多いことも事実です。

そのため、あえて高校に行かない、高卒認定も取得しないという選択は、積極的にはオススメできません。

また、中学生であるお子さんの行動には、親御さんの制限がある程度あって然るべきかもしれません。

しかし一方で、お子さんは一人の人間でもあります。

そして、一度学校から離れても、再び高校に進学することもできます。また、高卒認定の取得という選択肢もあるでしょう。

お子さんの考えや思いを頭ごなしに否定せずコミュニケーションをとりながら、専門家とも相談しつつ、お子さんの進路について考えていきましょう。

あなたや、あなたのお子さんが、よりよい将来に向かって進めますよう、心から祈っています。

さて、私たちキズキ共育塾は、お悩みを抱える人たちのための個別指導塾です。

生徒さんには、通信制高校に在籍している人や、高校に行かずに高卒認定試験・大学受験を目指している人がたくさんいます。

「高校に行かない」と考えているものの不安を感じているあなたはもちろん、「高校に行かない」とお子さんから伝えられてお悩みの親御さんは、ぜひ一度ご連絡ください。

ご本人や、保護者さまだけでの相談も可能です。また、相談は無料です。

Q&A よくある質問

高校に行かないメリットとはなんですか?

以下が考えられます。

  • 時間を自由に使える
  • 就職すれば早くから収入を得られる
  • 心身を回復させるための猶予期間になり得る

詳細については、こちらで解説しています。

子どもが高校に行かないと言い出した理由を知りたいです。

以下が考えられます。

  • 自分のペースで勉強したい
  • 学校にいいイメージがない
  • すぐに働きたい・仕事をしたい
  • 高校そのものや、高卒の学歴に意味を感じない
  • 勉強や学歴について、安易に考えている
  • 中学不登校で高校受験・進学ができないと思っている
  • 精神的に疲弊していて高校に行く気力がない
  • やりたいことがはっきりしている

詳細については、こちらで解説しています。

監修 / キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

共同監修 / キズキ相談担当 半村進

はんむら・すすむ。1982年、茨城県生まれ。東京大学文学部卒。
小学校時代から転校を繰り返し、運動ができないこと、アトピー性皮膚炎、独特の体形などから、いじめの対象になったり、学校に行きづらくなっていたことも。大学に入学してようやく安心できるかと思ったが、病気やメンタルの不調もあり、5年半ほど引きこもり生活を送る。30歳で「初めてのアルバイト」としてキズキ共育塾の講師となり、英語・世界史・国語などを担当。現在はキズキの社員として、不登校・引きこもり・中退・発達障害・社会人などの学び直し・進路・生活改善などについて、総計1,000名以上からの相談を実施。

【執筆記事・インタビューなど(一部)】

日本経済新聞 / 朝日新聞EduA / テレビ東京 / 不登校新聞 / 通信制高校ナビ

サイト運営 / キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2024年10月現在、全国に11校とオンライン校(全国対応)がある。

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