高卒認定からの大学受験。状況に合わせて勉強しましょう。

高卒認定からの大学受験。状況に合わせて勉強しましょう。

高卒認定からの大学受験をサポートする完全個別指導塾・キズキ共育塾で講師をしている深山修二と申します。

次のような疑問は、高校中退から大学受験を考えている生徒さんからよく聞かれるものです。

  • 高等学校卒業程度認定試験(高卒認定、高認)ってどういう制度?
  • 高卒認定取得から大学受験まで、どれくらいの時間がかかる?

高卒認定は、制度そのものを知らない方もいらっしゃいます。

また、「高卒認定に受かってそこからさらに大学受験の勉強をするなんて、時間がとてもかかるのでは?」という不安を持っている方も多く見受けられます。

このコラムでは、「高卒認定から大学受験を目指すケース」について、私の指導経験から具体的な事例をご紹介します

高卒認定の詳細はコラム「【すぐ読める】高卒認定試験とは?意外と簡単!取得のメリット・合格のポイントをご紹介」に、高卒認定に向いている方のタイプについてはコラム「高校を中退した後、自分に合った次の一歩は何か」に記載されています。そちらも合わせてご参照ください。

高卒認定から大学受験にチャレンジした生徒さんの事例

この章では、キズキ共育塾での私の指導経験をもとに、高卒認定を取得した生徒さん、高卒認定から大学受験を行った生徒さんの事例を紹介します。

「あなたのこれから」の参考になると思いますので、まずはお気軽にお読みください。(個人の特定を避けるために、記事の趣旨を損なわない範囲で一部事実を変更しています。)

事例①「苦手な英語」を「好きな科目」に変えたA君

苦手科目を「できる!」に変えたA君

ある生徒さん(以下、A君)は、高校中退後、いくつかの科目については独学で高卒認定を取得した状態でキズキ共育塾に入塾しました

また、数学や物理など、得意な理系科目については、すでに大学受験に向けた学習も段階的に進めていました。

しかしA君は、英語を非常に苦手にしており、高卒認定も取得していませんでした。。

英語は高卒認定でも必修科目ですし、大学受験でもほぼ必須ということで「とにかく英語をどうにかしたい」と考えて、キズキ共育塾に入塾したのです。

そこで授業では、中学英語の基礎から学習を始めました

授業を始めてみて気づいたのですが、彼の間違いにはある特徴がありました。

例えば「I speak to English.」や「He don’t studied English.」など、基本的な部分に間違いがあります。

一方で、write-wrote-writtenの変化は理解していたり、waterが不可算名詞であることを知っていたりしました。

つまり、「断片的な知識」が混在している状態だったのです。

かつて学校や塾で学んだことが、体系的にならずランダムに残っていて、かえって後からの学習を妨げている、ということです。

そこで、最初の3か月くらいの授業は、「中学校レベルの最初から学習し直す方針」で行いました。

頭の中でゴチャゴチャになっている知識を整頓し直したのです。

A君は、最初こそ自嘲気味に「中学範囲からのやり直しなんですね。大学受験は遠いですね」と言っていました。

ですが、授業が進むにつれて表情も穏やかになり、勉強に前向きに取り組めるようになっていきました

質問に答えられるようになる、問題に正解できるようになる、という経験を一つずつ積み重ねていった結果だと思われます。

入塾から4か月あまりが経ったころには中学の復習をひととおり終え、高校レベルの英文法に取り掛かり始めました。

そして、それから半年ほどで(=入塾から合計10か月くらいの勉強で)、高卒認定の英語に合格しました

高卒認定取得が大きな自信になったのか、A君はそのままキズキ共育塾で大学受験のための勉強を進めていきました。

そしてA君は、志望していた大学に合格しました。

最終授業のときには、次のような言葉を口にしていました。

「先生、おれ、留学とかしてみたいです。せっかく英語も勉強したし」

正直な話、英語が嫌いだったA君が留学を希望するとは思っていなかったので、とても驚きました。

もともと苦手な科目であっても、時間をかけて積み重ねていけば克服できて、好きになることもあり、そこからさらにやりたいことが見つかることもある、ということでしょう。

事例②勉強にブランクがある状態から再挑戦したBさん

ある生徒さん(以下、Bさん)は、高校中退後にフリーターをしていました。

Bさんは、高卒認定は高校中退の翌年に全て独学で取得していました

後は大学受験を目指すだけ…という状態だったのですが、家族の介護やアルバイトの忙しさなどもあって、実際には大学受験の勉強には手をつけていませんでした。

そんなBさんは、家族の状況に余裕が出てきたことから、20歳を過ぎたくらいに「やっぱり大学に行きたい」「再び大学受験を目指そう」と決意しました

そこで、高卒認定からの大学受験に実績のあるキズキ共育塾に入塾したのです。

入塾時点のBさんは、大学受験を本格的に目指すための、という意味では、学力はほとんどありませんでした

また、家族の介護に「余裕が出てきた」とは言え、介護もアルバイトもなくなったわけではありません。

1週間のうち4日間はアルバイトが入っていて、授業を受けられるのはアルバイトのない日のみ

Bさんが大学受験の勉強に使える時間は限られていました。

そこで、授業では基本的な事項の解説をメインに行い、例えば英単語の暗記や文法問題の演習・丸付けは全て自習という形で進めていきました。

通い始めて2か月くらいまでのBさんは、「なかなか勉強が進められない」と悩んでいました

なので私は、「まずは、今できる量でいい」ということを何度も認識してもらっていました。

そして、生活リズムの変化に慣れてくると、こなせる宿題の量も少しずつ増え、徐々に学習の成果が出るようになりました

その後Bさんは、家族の引っ越しに伴ってやむを得ずキズキ共育塾を休塾されました。

ですが勉強は続けていたようで、休塾から3か月ほど経って、関西の大学に合格したというメールをいただきました。

そのメールには、「最初はブランクもあって、大学受験なんてやっぱり無理だと思っていました。でも少しずつ勉強ができるようになっていって『あ、自分でもやればできるんだ』って思えるようになりました」と書いてありました。

「限られた時間の中でできるところから少しずつ進めていく大切さ」は、ブランクがあっても変わらないものなのだと、私も改めて認識しました。

なお、高卒認定の合格には、有効期限はありません(一度合格したら、ずっと有効です)。

Bさんのように、高卒認定を取得してから期間が空いても、大学受験の資格は消えない、ということです。

事例③高卒認定取得からすぐに大学受験に合格したCさん

高卒認定から短期で大学受験に受かったCさん

最後に、高卒認定を8月に合格し、同年度の大学受験に受かった生徒さん(以下、Cさん)のケースをお話しします。

Cさんは、高校3年生になってすぐに中退しました。

そして中退から間もなく、「その年のうちに高卒認定を取って、大学受験をする」ためにキズキ共育塾に入塾しました

Cさんは高校中退から日が開いていませんでした。勉強のブランクが短く、生活リズムなども特に大きな乱れがなかったため、スムーズに授業を行うことができました。

Cさんは、高校に行かない分の時間をキズキ共育塾での授業と自宅での自習に使っていました

「半年足らずの期間での、高卒認定取得と大学受験合格」に向けて、がんばっていました。

また、Cさんは高校に2年間在籍して単位を取得していたため、高卒認定では6科目が免除となっており、受験する必要があったのは理系科目だけでした

その理系科目も、努力の甲斐あって、見事合格しました。

高卒認定の取得後は、キズキ共育塾での授業も、授業内容を大学受験に向けたものに切り替えました。

ここまではスムーズな流れと言ってよいでしょう。

一方、「高卒認定を取得するための勉強」と「大学受験に合格するための勉強」の間には、ある程度の差があるのが現実です

Cさん自身、半年足らずの受験勉強で間に合うのか、非常に不安に思っていました。

ですが、Cさんには、「将来的に観光に関する仕事に就きたい。そのため観光について学べる大学(学部)に進学したい」という明確な目標がありました。

そして、その目標意識がCさんの受験勉強へのモチベーションを維持していました

結果、Cさんは大学受験にも見事合格

後日、Cさんは「迷ってる時間がなかったのが、かえってよかったかもしれませんね」と振り返っていました。

Cさんのように、「自分の目標と現状を総合的に判断し、適切な努力を続ける」のは、言葉にするとシンプルですが、実施するのは大変です

大学受験(受験勉強)に限らず、特にやりたいこと(目標)が自分でもわからない場合、努力を維持するのは簡単ではないでしょう。

もっと言えば、努力以前に何をすればいいのかさえわからないこともあるでしょう。

そうした、「目標」「現状」「必要な努力」「やりたいこと」は、勉強する中で、また人と話す中でわかることもよくあります

あなたが「この先どうすればいいのかわからない…」と悩んでいるようであれば、私たちキズキ共育塾に、お気軽にご相談ください。

高卒認定のよくある3つの不安とその実態

高卒認定のよくある不安

以上に見てきたような具体的なケース以外にも、高卒認定を取ろうと考えている方がお持ちの不安はあります。

この章では、高卒認定に関するよくある不安とその実態について解説します。

不安①難しそう、合格できるかな…→高卒認定は4割の得点で合格!しかも複数回受験できる!

高卒認定は難しいかも…合格できるか不安…と思っていませんか?

しかし実は、高卒認定は比較的カンタンに合格できるのです

高卒認定試験の実施者である文部科学省は、合格点を明言していません。ですが、様々な塾や予備校などが、「高卒認定は、4割(100点満点中の40点)を取れれば合格する」と言っています

なので、高校の全範囲を隅々まで学ぶというよりは、要点を押さえて要領よく学ぶことができれば、1回の受験で複数科目に受かることもよくあります

また、高卒認定は、絶対評価(=自分の点数が基準)で合否が決まります。

大学受験のように、「自分もがんばって6割得点したけれど、他の受験生がみんな8割以上得点したから不合格…」というような事態にはならない、ということです。

さらに、試験自体も年2回(8月・11月)行われます

「8月の試験では緊張して失敗したけれど、11月では要領がわかっていて合格できた」というケースも度々見てきました。

以上から、高卒認定に合格することは決して困難ではありません。

それでいて「勉強して受かった!」という経験は、自分への自信を取り戻す非常によいきっかけにもなります。

そうした意味でも、高校を中退した方にとって、高卒認定はチャレンジする価値があると思います。

不安②科目が多くて大変そう…→免除科目がある人も多い!また、大学受験への指標として最適!

高卒認定を取得するためには、最大で8〜10科目の試験に合格する必要があります。

「そんなに勉強できるのかな…」「大学受験に使わない科目は無駄なのでは?」などの疑問もよく聞かれます

ですが、そうした不安や悩みは必要ありません。

まず、前項でお伝えしたとおり、高卒認定の試験は比較的カンタンな内容ですし、年に2回受験できます。

そして、高校在籍時で単位を取得していた科目では、受験が免除されるのです

こうした事実から、科目が多いこと自体は、実際にはあまり問題になりません(もちろん、苦手な科目については塾などを頼った方が効率的でしょう)。

また、大学受験時に使わない科目であっても、多くの科目を学ぶことは、文系・理系の選択や大学の学部選び(なんの分野に自分が興味を持てるのか)など、進路の判断材料としても役に立ちます

実際に、ある生徒さんは、「自分では歴史に興味があると思っていたけれど、高卒認定のために『現代社会』を勉強したら、歴史よりも経済の方に興味が出てきた」ということで、志望学部を史学科から経済学科に変更しました。

さらに、高卒認定のために学ぶ内容は、大学受験以外の機会に求められる場合があります

例えば、社会人に求められる基礎教養として重要であったり、公務員試験などでは問題範囲に含まれていたりするなどです。

このように、科目が多いことは、「不安材料ではなく、むしろ自分のためになる」と言えるでしょう

不安③高卒認定から大学受験に挑めるの…?→高卒認定で基礎がしっかり固まります

繰り返すとおり、高卒認定の試験は比較的カンタンな内容です。

大学受験のための勉強とは、多かれ少なかれ「差」があります

「高卒認定を取得できる学力があれば、大学に合格できるか」と言われると、「一般的には、もっと学力が必要」ということです。

ただし、高卒認定のための勉強は、大学受験のために役に立たないわけではありません。

むしろ、高卒認定の勉強をしっかりやっておくことで、大学受験に必要な基礎力が身につくのです

その意味で、特に大学受験でも必要な科目に関しては「とりあえず高卒認定を取得できればよい」と考えて取り組むよりは、「大学受験に向けてしっかり基礎から勉強しておこう」という心構えで臨む方がよいと思います。

いずれにしても、高卒認定は、大学受験のために資格として必須なだけではなく、それ以上に有益なことが多々あるということです。

まず最初の第一歩を踏み出してみることから、次の選択肢も広がっていきます。

まとめ〜現状と目標の距離を知ることからはじめよう〜

まとめ

高卒認定からの大学受験につき、ご紹介した事例は、それぞれの状況に合わせて「うまくいった」ケースです。

共通していることは、自分の現状と目標の間にどれくらいの距離があって、それを埋めるためにはどうしたらいいのかについてよく考え、実践した、ということです。

A君であれば、自分の持っていた知識にこだわらず、最初からの学び直しを選ぶ、という決断力。

Bさんであれば、限られた時間を有効に活用する、継続力。

Cさんであれば、学校に行かない分の時間を普通の受験生以上に勉強に使う意志の強さ。

それぞれの状況に合わせたやり方で着実に努力を重ねた結果が志望校の合格であり、それを実行できたのが3人に共通する「強さ」だと思います。

あなたも、現状と目標の距離を知り、強みを生かして、高卒認定からの大学受験を進めていきましょう。

高卒認定からの大学受験を行い、合格する人は、きっとあなたが思っている以上に大勢います。

「高卒認定を取りたい(取った)」ということは、「『次』に進みたい」という意思の表れだと思います。

「意思あるところに道は開ける(Where there’s a will, there’s a way.)」という言葉があるように、「『次』に進みたい」という意思があれば、高卒認定からの大学受験(合格)は十分に可能です。

また、高卒認定のための勉強→高卒認定に合格→大学受験のための勉強→大学合格と、一つ一つ関門を突破していく経験を重ねていくことで、「自分はやればできる」という自信も身につきます。

とは言え、現状も目標も強みも、「自分ではよくわからない」ということはよくあります

そんな方は、ぜひ私たちキズキ共育塾にご相談ください。

あなたのためのサポートを、全力で行います。

「明確な目標がないんだけど…」とお悩みの方も、遠慮はいりません。まずは話してみるだけでも、何かのきっかけにつながるかもしれませんよ。

監修 / キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

共同監修 / キズキ相談担当 半村進

はんむら・すすむ。1982年、茨城県生まれ。東京大学文学部卒。
小学校時代から転校を繰り返し、運動ができないこと、アトピー性皮膚炎、独特の体形などから、いじめの対象になったり、学校に行きづらくなっていたことも。大学に入学してようやく安心できるかと思ったが、病気やメンタルの不調もあり、5年半ほど引きこもり生活を送る。30歳で「初めてのアルバイト」としてキズキ共育塾の講師となり、英語・世界史・国語などを担当。現在はキズキの社員として、不登校・引きこもり・中退・発達障害・社会人などの学び直し・進路・生活改善などについて、総計1,000名以上からの相談を実施。

【執筆記事・インタビューなど(一部)】

日本経済新聞 / 朝日新聞EduA / テレビ東京 / 不登校新聞 / 通信制高校ナビ

サイト運営 / キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2023年7月現在、全国に10校とオンライン校(全国対応)がある。

/Q&Aよくある質問

高卒認定試験は難しそうで不安です。

変に不安にならなくて大丈夫です。高卒認定試験は、4割の得点で合格できると言われています。また、複数回受験することもできます。詳細はこちらをご覧ください。

高卒認定試験は科目が多くて大変そうです。

高校に1年以上在籍していた場合は、受験を免除される科目がある可能性があります。また、高認の勉強をすることが、受験する大学や学部を考える際に役立つこともあります。詳細はこちらをご覧ください。

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