チャレンジスクールとは? 特徴やメリット・デメリット、エンカレッジスクールとの違いなどを解説

こんにちは。生徒さんの勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする完全個別指導塾・キズキ共育塾です。

このコラムでは、チャレンジスクールに興味があるあなたに向けて、チャレンジスクールの概要や入試制度、授業内容などの基礎情報から、メリットとデメリット・注意点、エンカレッジスクールとの違い、東京都以外のチャレンジスクールに似た学校などを紹介します。

このコラムがあなたのお役に立てば幸いです。

私たちキズキ共育塾は、チャレンジスクールへの進学を検討している人のための、完全1対1の個別指導塾です。

生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。

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チャレンジスクールとは?〜概要や特徴・特色、学校ごとの違いを解説〜

この章では、チャレンジスクールの概要や特徴・特色、入試制度、カリキュラム・授業内容、卒業後の進路などを紹介します。(参考:東京都教育委員会「これまで設置してきた多様なタイプの学校」、東京都教育委員会「多様なタイプの学校の紹介」、東京都立大江戸高等学校「Q&A」、杉森共和・東京都立小台橋高等学校校長「チャレンジスクール」

チャレンジスクールの概要

チャレンジスクールとは、小・中学校時代に不登校の経験のある生徒や、長期欠席などが原因で高校を中途退学した生徒などを主に受け入れる東京都立高校のことです。(参考:東京都教育委員会「これまで設置してきた多様なタイプの学校」、東京都教育委員会「多様なタイプの学校の紹介」、東京都立大江戸高等学校「Q&A」、杉森共和・東京都立小台橋高等学校校長「チャレンジスクール」

総合学科の定時制・単位制高校で、自分のライフスタイルや学習ペースに合わせて、午前部・午後部・夜間部の三部の中から選んで入学できます。

これまでの学校生活でさまざまな難しさを感じてきた場合でも、新たに自分の目標を見つけ、それに向かってチャレンジする学校と言えるでしょう。

チャレンジスクールは東京都立高校であるため、東京都にのみありますが、東京都以外にもチャレンジスクールに似ている学校はあります。

一覧はこちらで紹介します。

これまでの教育体制の中では自身の能力や適性を十分に生かしきれなかった生徒などが、学校生活を通じて自分の目標を見つけ、それに向かってチャレンジする学校と言えます。

補足:総合学科

幅広い選択科目の中から生徒自身が科目を選択して学ぶ学科。一般教科(国語、数学など)や専門教科(実習など)を含む複数の科目から自身の希望進路に応じた学習が可能。(参考:文部科学省「総合学科について」

補足:定時制

全日制高校(朝から夕方まで授業がある高校)とは異なる時間帯などにも授業を行っている学校。全日制高校同様、毎日の登校が必要。

補足:単位

学習した量のこと。週1時間の授業を35週にわたって学習=履修した場合、1単位に相当する。一般的には、「その科目の授業への出席日数」と「その科目のテストの点数」が両方とも合格基準を満たすと取得できる。(参考:東京都立大江戸高等学校「Q&A」

補足:単位制

学校側が時間割を定めず、その年に受ける授業を自分で決めていく制度のこと。入学から卒業までに決められた単位数を修得できれば卒業できる。必履修科目の他に、自分で教科・科目を選択して自分のペースで授業を受けられるため、学年という概念が薄い。

補足:学年制

学校側が時間割を定める制度(学年別に学習する教科・科目が定められている制度)。成績や出席日数などから学習成果が認められると単位が与えられて次の学年に進級でき、学習成果が満たないと判断された場合、進級や卒業ができない。

チャレンジスクールの特徴・特色

チャレンジスクールは、入学から卒業までに4年間かけて学ぶことを基本としています(他部の科目を履修したりすることで、3年間で卒業することも可能です)。

高等学校学習指導要領の定めにより、卒業の条件として、74単位以上の取得(1科目の平均が2単位のため、約37科目前後の履修)が必要です。(参考:文部科学省「総則編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説」

単位制のため、「学年としての留年」の制度はなく、また最長6年間の在籍が可能です。

各自が自身の特性や能力、学習速度に応じた計画を立て、各自のペースで学ぶことができます。

スクールカウンセラーやソーシャルワーカーによるカウンセリングや教育相談が充実している点も、チャレンジスクールの特徴・特色と言えるでしょう。

長期休暇期間を除き、平日は毎日授業が行われます(通信制高校とは異なり、「毎日の登校」が必要ということです)。

また、都立高校であるため、都内在住者しか受験できません。

都外に住んでいる場合、入学日までに保護者と一緒に都内に転居し、入学後も引き続き都内に在住するのであれば受験できます。

チャレンジスクールのカリキュラム・授業内容

チャレンジスクールは単位制を導入しています。

そのため、生徒それぞれが自身の興味関心や適性、能力にあわせて、学校の先生やスクールカウンセラーの人と相談しながらカリキュラム(時間割)を組んでいきます。

必修科目に加えてたくさんの選択科目が用意されているのもチャレンジスクールの特徴の1つです。

国語・数学・英語などの一般教科については、各教科への理解度や学習レベル別の授業があります。「わかる国語」などの科目名で基礎的な内容を学べる授業を用意しているため、中学校の学習内容の復習にも対応しています。

もちろん、大学進学を目的とした授業も用意されています。

そのほかの選択科目は、「情報・ビジネス」「伝統・文化」「生活・福祉」などの教科の内容ごとに系列が設けられており、学校によって用意されている系列は異なります。

また、ボランティアや福祉活動などの体験的な学習を重視したものも授業の一環として行っています。加えて、社会生活のルールやマナー、言葉遣いなどに関する授業もあり、コミュニケーション能力や社会性を養うこともできます。

授業は基本的に少人数制で、生徒それぞれに合わせた指導が行われています。

チャレンジスクールの学校ごとの違い

一口にチャレンジスクールと言っても、学校ごとの特徴・特色の違いがあります。

例えば、東京都立大江戸高等学校の場合は、しっかりとした校則があり、制服も指定されています。一方、東京都立六本木高等学校の場合は、服装自由など、自由な校風が特徴です。

文化祭や体育祭などの行事の有無も学校によって異なる場合があります。

また、入試問題も各チャレンジスクールごとに異なります。

面接と作文が重視される点は全校に共通していますが、作文の問題内容は学校によって大きく異なります。

各チャレンジスクールごとの過去問は各校のWEBサイトで公開されています。興味がある学校があれば、調べてみてください。

チャレンジスクールの一覧

チャレンジスクールは、現在7校が存在します(2023年9月現在)。

また、2025年に立川市にて開校する予定です。

今後も増加する可能性はあるでしょう。

東京都立六本木高等学校

  • 住所:〒106-0032 東京都港区六本木6-16-36
  • 最寄り駅:東京メトロ日比谷線・都営大江戸線・六本木駅、都営大江戸線・南北線・麻布十番駅
  • WEBサイト:https://www.metro.ed.jp/roppongi-he/

東京都立大江戸高等学校

  • 住所:〒135-0015 東京都江東区千石3-2-11
  • 最寄り駅:東京メトロ東西線・東陽町駅、東京メトロ半蔵門線・都営新宿線・住吉駅
  • WEBサイト:https://www.metro.ed.jp/roppongi-he/

東京都立世田谷泉高等学校

東京都立稔ヶ丘高等学校

東京都立桐ヶ丘高等学校

  • 住所:〒115-0052 東京都北区赤羽北三丁目5-22
  • 最寄り駅:JR埼京線・北赤羽駅 、都営三田線・志村坂上駅
  • WEBサイト:https://www.metro.ed.jp/kirigaoka-he/

東京都立小台橋高等学校

  • 住所:〒120-8528 東京都足立区小台2-1-31
  • 最寄り駅:都電荒川線・小台駅、日暮里・舎人ライナー・足立小台駅
  • WEBサイト:https://www.metro.ed.jp/odaibashi-he/

東京都立八王子拓真高等学校(チャレンジ枠)※

※普通科高校内に「チャレンジスクール枠」を用意。

チャレンジスクールの入試:面接の質問事例や小論文の過去問を解説

この章では、チャレンジスクールの入試制度や偏差値・倍率・受験難易度、面接・質問事例、小論文(作文)の過去問、卒業後の進路などを紹介します。(参考:東京都教育委員会「これまで設置してきた多様なタイプの学校」、東京都教育委員会「多様なタイプの学校の紹介」、東京都立大江戸高等学校「Q&A」、杉森共和・東京都立小台橋高等学校校長「チャレンジスクール」

チャレンジスクールの入試制度

チャレンジスクールは、「小論文(作文)」「面接」「志願申告書」の3点で合否を判定します。(参考:東京都「東京都立高等学校チャレンジスクール入学者選抜実施要綱」

学力考査がないだけでなく、内申書の提出が不要な点は、チャレンジスクールの入試制度の特徴と言えるでしょう。

また、2学年相当以上の既卒生(以前に高等学校に1年以上在学し、出願時に高等学校に在籍していない人で、過去に19単位以上修得している人)の入試も基本的に実施しています。

受験の際は、午前部・午後部・夜間部の三部の中から第一希望、第二希望を選びます。試験の結果で判断されるため、合格となっても第一志望に入れないこともあるので、注意が必要です。

チャレンジスクールの偏差値・倍率・受験難易度

チャレンジスクールは、学力考査がないため、合格の目安となる偏差値や内申点はありません。

小論文(作文)と面接、志願申告書の結果により、合否が決定します。

2023年度のチャレンジスクールの倍率は、平均1.25倍です。(参考:東京都中学校長会進路対策委員会「令和5年度 都立高校全日制等志望予定(第1志望)調査結果」

各校の倍率は、以下の通りです。

  • 東京都立六本木高等学校 1.48倍
  • 東京都立大江戸高等学校 1.50倍
  • 東京都立世田谷泉高等学校 1.36倍
  • 東京都立稔ヶ丘高等学校 1.33倍
  • 東京都立桐ヶ丘高等学校 0.65倍
  • 東京都立小台橋高等学校 1.13倍
  • 東京都立八王子拓真高等学校(チャレンジ枠) 1.47倍
  • 平均 1.25倍

ほとんどの学校で、倍率が1倍を超えています。

チャレンジスクールの人気の高まりが伺えますが、それにあわせて、合格の難易度が上がっていると言えるでしょう。小論文(作文)と面接、志願申告書の作成の対策が求められるかもしれません。

また、定時制高校の傾向として、基本的に1部や2部が人気です。

チャレンジスクールの面接・質問事例

面接は、面接官(先生)2〜3人に対して受験者1人という形式で、1回15分〜20分程度行います(過去実施された東京都立六本木高等学校と東京都立大江戸高等学校の場合)。

1人ひとりの面接時間は、比較的長いと言えるでしょう。

面接ではその学校への入学に対する意欲が見られます。

「意欲が見られる」と聞くと、元気でやる気があれば入れると思うかもしれません。しかし、チャレンジスクールの人気が高まっているため、その意欲と校風がどの程度マッチしているかが重要になっています。

「六本木高校は自由な校風だから…」のようなことは、おそらく誰でも言えることでしょう。より具体的に、「どのような点が自由で、その校風に自分にどのように合っているか」を言えるようにしておくといいでしょう(以上の視点は面接に限らず、志望理由書や小論文・作文でも必須です)。

質問の項目は受験者や学校によってばらつきがありますが、基本的に下記のようなことを聞かれる傾向になります。

  • この学校に入って通い続けられることができるのか
  • その学校の特色を理解していて、その特色に合わせて学校に入った後何を頑張りたいと思っているか
  • 不登校時代はどのように過ごしていたのか
  • 希望の部に入れなかったらどうするか

面接では、不登校時代のことなど、あえて「いじわる」な質問をされることもあります。

そう言ったときも焦らず、回答することが大事です。

例えば、不登校時代のことを聞かれたときは、不登校のことをマイナスに思う必要はなく、そのときのことをどれだけ理解しようとして向き合っているかが大事です。

また、「希望の部に入れなかったらどうするか」と聞かれたら、「希望の部じゃなかったとしても、それならそれで○○な風にして通えるように頑張る」など堂々と答えるといいでしょう。

チャレンジスクールの小論文(作文)の過去問

チャレンジスクールの入試で出される小論文(作文)のテーマは、各チャレンジスクールによって異なります。

例えば、2022年度は次のようなものでした。

東京都立六本木高等学校 2022年度

    (1) あなたが六本木高校を志望するにあたり、高校生として頑張りたいことや始めたいこと等を、理由も含め具体的に書きなさい。

        

    (2) 『後悔先に立たず』ということわざは、「自分がしたことをあとでしなければよかったと残念に思っても、取り返しがつかないこと。」という意味で用いられています。あなたが今までの学校生活で『後悔先に立たず』と感じた経験を述べた上、それを今後、どのように生かしたいと考えているかを具体的に書きなさい。

        

        (各201 字以上250 字以内・句読点も一字と数える)

東京都立大江戸高等学校 2022年度

    マイナビ研修サービスは、2022 年度の新入社員を対象とした意識調査を実施しました。

        

    A あなたが今、会社で発揮できる力はどのような力だと思いますか。

    「他人に働きかけ巻き込む力」 12.6%(12 項目中の 9 位)

        

    B これから自分に必要だと思われる力は何ですか。

    「他人に働きかけ巻き込む力」 31.8%(12 項目中の 2 位)

        

    (複数回答可 一部抜粋)

        

    Aで「他人に働きかけ巻き込む力」と回答した社員の割合よりも、Bで「他人に働きかけ巻き込む力」と回答した社員の割合が高くなっているのはなぜだと思いますか。また、「他人に働きかけ巻き込む力」とは具体的にどのような力なのだと思いますか。

    「他人に働きかけ巻き込む力」を身に付けるために大江戸高校でどのようなことに取り組みますか。

    600 字程度で具体的に述べなさい。

東京都立世田谷泉高等学校 2022年度

    第1学年相当

        

    Ⅰ 次の「ことば」はどのようなことだと思うか、三〇〇字程度で説明しなさい。ただし、自分の経験や見聞きした ことを入れること。

        

    一歩踏み出せるなら、もう一歩も踏み出せる。 トッド・スキナー(アメリカの登山家)

        

    Ⅱ 世田谷泉高等学校の特色と高校生活で取り組みたいことを、三〇〇字程度で説明しなさい。

        

        

    第2学年相当以上

        

    Ⅰ 次の「ことば」はどのようなことだと思うか、三〇〇字程度で説明しなさい。ただし、自分の経験や見聞きした ことを入れること。

        

    チャンスは、準備のない者には微笑まない。 ルイ・パスツール(フランスの細菌学者)

        

    Ⅱ 世田谷泉高校の特色と高校生活で取り組みたいことを、三〇〇字程度で説明しなさい。

東京都立稔ヶ丘高等学校 2022年度

    推測にもとづいておこなった五回の実験は、千回の気ままな観測に匹敵する。 (ウィリアム・ハーシェルイギリスの天文学者天王星の発見者)

        

    囲みの言葉についてあなたの考えを書きなさい。 また、その考えをいかして、稔ヶ丘高校でどのような高校生活を送りたいか、具体的に述べなさい。字数は、五〇一字以上六〇〇字以内とする。

東京都立稔ヶ丘高等学校 2022年度

    桐ヶ丘高校の特徴を二つ取り上げ、それらを生かして入学後にしたいことを具体的に述べなさい。ただし、次の文章を読み、その内容をふまえて 600 字以内で書くこと。

        

    ※作文問題につきましては、著作権の関係上、出典及び掲載を控えさせていただきます。

東京都立小台橋高等学校 2022年度

    次の文章を読んで541字以上600字以内で述べなさい。(句読点、改行分も文字数に含める。)

        

    東京都立小台橋高等学校では、卒業するまでに、「新たな環境で、学びや勤労にチャレンジする生徒」 「良き社会の一員として自立する生徒」 「自ら調べ、自ら考え、自ら発する生徒」になるために、いくつかの総合的な力を身に付けていきます。

    それらの力の一つに「他者と協働する」ことがあります。あなたは高校で「他者と協働する」力を身に付けることがなぜ必要なのだと考えますか。具体例を挙げて答えなさい。

    また、そのことをふまえて、あなたが本校で取り組みたい学習活動を具体的に一つ挙げ、その理由も含めて述べなさい。

東京都立八王子拓真高等学校(チャレンジ枠) 2022年度

    この文章を読んでこれからの高校生活をあなたはどのように過ごそうと考えますか。あなたのこれ までの経験を含んで、六〇〇字以内で述べなさい。

    その際、努力・実行・習慣の三つの語を全て使って書きなさい。 なお、書き出しや改行の際の空欄、、や。や「なども字数に数えなさい。

        

    最初は今日だけでいい。1日だけ努力してみればいい。

    「今日だけは筋力トレーニングをやってみよう」「1時間だけ歩いてみよう」「いつもと違うスタイルで会議の資料をつくってみよう」など、努力目標はなんでもいい。

    実行したときに充実感がともなえば、「明日もやってみようか」となる。2日やり終えれば、3日目もとなる。3日続けば1年続く、1年続けば3年続く。そうすれば、努力はいつしか習慣になる。

    まず、1日努力せよ。

    そうすれば、昨日と違う自分を発見できる。

    その、昨日と違う自分を好きになれば、3日続き、1年続く。不器用な人間だから1日1日なのである。それでも、小さな満足を積み重ねていけばいつか大きな花を咲かせることができる。

    (野村克也「野村克也全語録」による)

各チャレンジスクールの小論文(作文)の前年以前の過去問は、各校のWEBサイトで公開されています。興味がある学校があれば、調べてみてください。

チャレンジスクールの卒業後の進路

チャレンジスクールの卒業生は、多様な進路に向かっています。

例えば、東京都立大江戸高等学校であれば令和5年度は、約41%が大学・短大に、約30%が専門学校に進学。約8%が就職しています。(参考:東京都立大江戸高等学校「進路状況」

「その他の進路」や「進路未定」の人も年々減少しています。

チャレンジスクールの受験サポートは、「総合型選抜のサポート」を重視している傾向にあります。

一般選抜(学力試験)を受けるのであれば、学校以外の塾などの学習サポートが必要かもしれません。

チャレンジスクールのメリット・デメリット

この章では、チャレンジスクールのメリットとデメリット・注意点をそれぞれご紹介します。

チャレンジスクールのメリット

チャレンジスクールのメリットは、以下の通りです。

  • 入試に調査書がいらない
  • 都立なので学費が安い
  • 定時制なので、午前・午後・夜間と好きな時間帯に通学できる
  • 3部制のすべてを受験できる
  • カウンセリングなどが充実している
  • 通常の科目に加えて、「芸術」「福祉」「情報」など、自分の興味のある分野や将来の仕事に結びつく分野を勉強できる

チャレンジスクールのデメリット・注意点

チャレンジスクールのデメリット・注意点は、以下の通りです。

  • 定時制なので、基本的に、卒業までに4年かかる(学費も4年分)
  • 基本的に週5日で登校することを求められる
  • 人気があるため倍率が高くなっている
  • 大学受験の一般入試(学力試験)のサポートがあまりない(チャレンジスクールの勉強だけで一般入試に合格することが難しい可能性がある)

チャレンジスクールとエンカレッジスクールとの違い

チャレンジスクールとしばしば混同される学校の種類として、エンカレッジスクールが挙げられます。

この章では、チャレンジスクールとエンカレッジスクールとの違いを、エンカレッジスクールの概要、特徴・特色、入試制度それぞれを紹介しながら違いを解説します。(参考:東京都教育委員会「これまで設置してきた多様なタイプの学校」

エンカレッジスクールの概要と、チャレンジスクールとの違い

エンカレッジスクールとは、学力の遅れた生徒の学び直しを重視した、全日制・学年制の東京都立高校のことです。

小・中学校時代に十分に能力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、頑張りを励まし、応援する学校として、社会生活を送る上で必要な基礎的・基本的学力を身に付けることを目的として設置されました。

発達障害などがあり、特別な配慮が必要な生徒の学び直しなどにも力を入れています。

定時制・単位制高校であるチャレンジスクールに対して、エンカレッジスクールは全日制・学年制の高校です。いずれも都立高校である点は共通していますが、制度が異なります。

また、総合学科のみのチャレンジスクールに対して、エンカレッジスクールは普通科や工業専門科などが存在します。

チャレンジスクール、エンカレッジスクールについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

エンカレッジスクールの特徴・特色と、チャレンジスクールとの違い

エンカレッジスクールの特徴・特色は以下の通りです。

複数の点でチャレンジスクールとは異なります。

  • 1年次は30分授業
  • 定期試験なし
  • 二人担任制で手厚いサポート
  • 習熟度別&少人数授業
  • 体験学習や選択授業が充実
  • 全日制なので毎日、朝から登校する必要がある
  • 都立なので学費が安い(これはチャレンジスクールも同じです)
  • 人気があるので倍率が高くなっている傾向にある(これもチャレンジスクールと同じです)

エンカレッジスクールの入試制度と、チャレンジスクールとの違い

エンカレッジスクールの入試には、学力検査はありません。

「調査書+作文+面接」の受験となります。

チャレンジスクールと異なり、調査書が必要になります。

エンカレッジスクールの一覧

エンカレッジスクールは、現在6校が存在します(2023年9月現在)。

チャレンジスクール同様に、今後、増えていく可能性はあるでしょう。

東京都立蒲田高等学校

  • 住所:〒144-0053 東京都大田区蒲田本町1-1-30
  • 最寄り駅:JR・東急池上線・東急多摩川線・蒲田駅
  • WEBサイト:https://www.metro.ed.jp/kamata-h/

東京都立中野工科高等学校(工業科)

東京都立練馬工科高等学校(工業科)

東京都立足立東高等学校

東京都立東村山高等学校

東京都立秋留台高等学校

東京都以外に存在するチャレンジスクールに似た公立学校

チャレンジスクールと似たような学校は、東京都以外にも存在します。

この章では、東京都以外に存在するチャレンジスクールに似た公立学校の例を、埼玉県・神奈川県・愛知県・大阪府から紹介します。それ以外の道府県にお住まいの方も、お近くに似たような学校があるか、ぜひお調べください。

なお、いずれの学校も今後、文部科学省が全国につくる不登校特例校に吸収される可能性もあると言われています。

不登校特例校については、下記コラムを参考にしてみてください。

パレットスクール(埼玉県)

パレットスクールとは、「不登校経験者や高校中退者、働きながら学びたい社会人などを積極的に受け入れる普通科・定時制・単位制の埼玉県立高校」です。

クリエイティブスクール(神奈川県)

クリエイティブスクールとは、神奈川県にある、「一人ひとりが持っている力を必ずしも十分に発揮できなかった生徒に対して、これまで以上に学習意欲を高める取組みを行う全日制・普通科・学年制の神奈川県立高校」のことです。(参考:神奈川県「新しい学びのかたちから高校をさがす」

フレキシブルスクール(神奈川県)

クリエイティブスクールとは、「一人ひとりの生活スタイルや学習のニーズに合わせて、時間帯を選んで学べる普通科・単位制の神奈川県立高校」のことです。(参考:神奈川県「新しい学びのかたちから高校をさがす」

フロンティアスクール(神奈川県)

フロンティアスクールとは、「午前部と午後部に分かれ、1日約4時間(半日単位)の授業を受けられる定時制・単位制の神奈川県立高校」のことです。(参考:神奈川県「新しい学びのかたちから高校をさがす」

インクルーシブ教育実践推進校(神奈川県)

インクルーシブ教育実践推進校とは、「知的障害のある生徒が高校教育を受ける機会を広げながら、全ての生徒が共に学び相互に理解を深める教育に取り組む神奈川県立高校」のことです。(参考:神奈川県「新しい学びのかたちから高校をさがす」

通級による指導導入校(神奈川県)

通級による指導導入校とは、「発達障害等のある生徒が大半の時間を通常の学級で学びながら、必要に応じて別の教室で障害に応じた特別の指導(自立活動)を受ける「通級による指導」に取り組む神奈川県立高校」のことです。(参考:神奈川県「新しい学びのかたちから高校をさがす」

長期欠席者等にかかる選抜方法(愛知県)

公立高校の区分とは異なりますが、愛知県の「長期欠席者等にかかる選抜方法」という受験選抜制度を紹介します。

長期欠席者等にかかる選抜方法とは、「不登校(長期欠席者)でも愛知県のすべて公立高校での受験が可能な選抜枠制度」のことです。やむを得ない事情で長い欠席をしていた場合、長期欠席者等にかかる選抜に該当します。(参考:愛知県「8.欠席日数が多い生徒が高校受験をする際の配慮について」

エンパワメントスクール(大阪府)

エンパワメントスクールとは、「学力的について行けない子を対象として、勉強においてつまずいたところを徹底的に学び直し、社会で活躍するために必要な力をつけることを目指す大阪府立高校」です。(参考:大阪府「エンパワメントスクールに関すること」、大阪府立布施北高等学校「エンパワメントスクール」

まとめ〜あなたに合った学校選びを〜

ここまでチャレンジスクールを中心に、いくつかの学校を紹介してきました。

学校選びにおいて最も重要なのは、「あなたに合った学校かどうか」です。

このコラムが、あなたに合った学校選びの参考となれば幸いです。

私たちキズキでも、不登校の方やチャレンジスクール志望の方なども含めて、多様な進路相談を無料で行っています。ぜひお気兼ねなくお問い合わせください。

監修 / キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
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KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

共同監修 / キズキ相談担当 半村進

はんむら・すすむ。1982年、茨城県生まれ。東京大学文学部卒。
小学校時代から転校を繰り返し、運動ができないこと、アトピー性皮膚炎、独特の体形などから、いじめの対象になったり、学校に行きづらくなっていたことも。大学に入学してようやく安心できるかと思ったが、病気やメンタルの不調もあり、5年半ほど引きこもり生活を送る。30歳で「初めてのアルバイト」としてキズキ共育塾の講師となり、英語・世界史・国語などを担当。現在はキズキの社員として、不登校・引きこもり・中退・発達障害・社会人などの学び直し・進路・生活改善などについて、総計1,000名以上からの相談を実施。

【執筆記事・インタビューなど(一部)】

日本経済新聞 / 朝日新聞EduA / テレビ東京 / 不登校新聞 / 通信制高校ナビ

サイト運営 / キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2024年10月現在、全国に11校とオンライン校(全国対応)がある。

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