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発達障害の子どもの進路の選択肢は?小・中・高校・大学別に紹介します

2020年9月10日 木曜日 投稿

発達障害の子の進路の選択肢は?小・中・高校・大学別に紹介します

キズキ共育塾の寺田淳平です。

発達障害のお子さんをお持ちの、またはお子さんが発達障害ではないかと思っているあなたは、進路選択のことでお困りではありませんか?

「そもそもどういう進路があるのか分からない」
「発達障害の子の進路選びで大切なことは?」

発達障害の特性と程度は人によって異なるため、それに合わせた進路選びが必要です。

また、お子さんの成長段階によっては、「進学か就職か」という大きな分岐も生じますので、判断に迷う方は少なくないと思います。

そこで今回は、発達障害を持つ子が選ぶことのできる、成長段階ごとの進路の選択肢をメリット・デメリットと併せてご紹介いたします

進路選びのポイントも紹介しますので、発達障害のお子さんの進路でお悩みの方は参考にしてみてください。(参考:鈴木慶太『親子で理解する発達障害 進学・就労準備の進め方』)

発達障害とは?

まず、発達障害の概要について説明します。

少し長いので、既にご存じの方は、次章「小学校・中学校編:発達障害の子の3つの進路」までお進みください。

発達障害とは、先天的な脳の機能の偏りによって、社会生活やコミュニケーションに困難が生じている状態のことです

2013年に刊行されたアメリカ精神医学会の定める診断基準「DSM-V」によると、主な発達障害として以下の3つを挙げることができます。

  • ADHD(注意欠陥・多動性障害)
  • ASD(自閉症スペクトラム障害)
  • LD(学習障害)

発達障害の症状の中には、程度は異なりますが、発達障害ではない人にも見られる症状があるため、専門医でないと判断が難しいです。

中には、診断基準を満たすほど特性が強くないことから、確定診断は下りないものの、社会生活で困りごとを抱えている「グレーゾーン」と呼ばれる人もいます。

お子さんの発達障害を疑っている方は、以下の各発達障害の特性を参照しつつ、まずは専門医のもとで検査を受けることをオススメいたします(参考:村上由香『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に暮らすための本』)

①ADHD(注意欠陥・多動性障害)

ADHD(注意欠陥・多動性障害)

ADHDは、正式名称を注意欠如・多動性障害(Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)という、発達障害の一種です

特性の程度や現れ方には個人差がありますが、ADHDには大きく分けて「不注意」と「多動・衝動性」の2つの特性が見られます。

具体的な困難としては、以下が挙げられます。

■不注意による困難

  • 忘れ物や記入漏れなどのミスが多い
  • 確認作業がうまくいかない
  • 整理整頓が苦手で物を失くすことが多い

■多動・衝動性による困難

  • 気が散りやすく、貧乏ゆすりなど常に身体を動かしていないと落ちつかない
  • 他人の意見に耳を傾ける前に発言したり行動したりする
  • 優先順位をつけることが苦手で、場当たり的になりやすく、締切を守りづらい

ただし、後に紹介するASD・LDともに、発達障害は病気とは異なり、あくまでその特性が目立ちやすいというだけです。

日常生活などにおける「困難」は、過ごし方の工夫などで対策できますので、ご安心ください

②ASD(自閉症スペクトラム障害)

ASD(自閉症スペクトラム障害)

ASD(Autism Spectrum Disorder、自閉症スペクトラム障害)とは、社会性・コミュニケーション・想像力の3つにおいて特性が目立つ発達障害です

具体的には、以下のような特性が目立ちやすいと言われています。

■社会性における特性

  • 場の状況や上下関係に気が回りづらく、TPOに合わせた行動が難しい
  • 話を聞いていないと誤解されやすい

■コミュニケーションにおける特性

  • 質問の意図、身振り、比喩、冗談などを理解しづらい
  • 報告、連絡、相談がうまくできない

■想像力における特性

  • 決まった順序に強いこだわりを見せる
  • 予定が変わるとパニックになりやすい
  • 暗黙のルールなど明示されてない決まりに疎い

その他にも、ASDには聴覚過敏などの「感覚過敏」を併せ持つ子が少なくありません。

③LD(学習障害)

LD(学習障害)

LD(学習障害)とは、「読む・聞く・話す・書く・計算する・推論する」といった6つの能力の1つ以上に、習得や使用の困難がある発達障害です

ただし、文部科学省の定義によると、「学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない」という条件が付きます。

「読む・聞く・話す・書く・計算する・推論する」のうち、どれに困難を覚えるのかは、各々の特性により異なるため一概には言えません。

しかし、「特定の情報処理が難しい」という困難に共通点があります

例えば、読字障害の場合は「教科書の文章がうまく読めない」、書字障害の場合は「文字を書いたり覚えたりすることが苦手」です。

このようなLDは、その他の発達障害に比べると、初等教育が始まる段階で症状を自覚しているケースが少なくありません。

発達障害の子の進路選択のポイント4点

ここからは、前の章で説明した発達障害の子が進路選択のときに気をつけたいポイントを紹介します。

前提として大切なのは、親御さんや親子だけで抱え込まず、周囲の人を適切に頼ることです

大前提としては、担任の先生やスクールカウンセラーなど、お子さんが在籍している学校に相談するようにしましょう。

お子さんの学校生活や勉強の興味といった進路選択に関わる情報だけでなく、支援機関や公的な補助制度に関する情報も得られるはずです。

進路を考える際は、上記の点を特に意識しながら、以下のポイントを押さえるとよいでしょう。

ポイント①:医師や専門機関に相談する

医師や専門機関に相談する

1点目は「医師や専門機関に相談する」です。

学校の先生も専門的な見地から助言を与えてくれますが、発達障害の子どもを多く見てきた専門医や臨床心理士は、また別の視点からのアドバイスをくれます

特に、「まだ発達障害であるかどうかわからない」という親御さんは、まずは病院を受診するようにしましょう。

また、各地に設置された「発達障害者支援センター」といった公的な専門機関であれば、たとえ診断が下りていなくても、進路の話題に関わらず、無料で相談することができます

その他にも、発達障害のある子を指導した実績のある塾であれば、進路選択について、より具体的な助言を得られるでしょう。

まずは、専門家の助力を得られないかを検討してみてください(これから紹介する他のポイントについても、適宜助力が得られると思います)。

ポイント②:特性を考慮して進路を選ぶ

特性を考慮して進路を選ぶ

2点目は「特性を考慮して進路を選ぶ」です。

発達障害の子どもは、得意・不得意や向き・不向きが、比較的はっきり出やすいと言われています

また、ASDやADHDのように、特定分野への強い「こだわり」を持っている場合には、専門性を磨いたり、専門職に就いたりすることで、強みをいっそう伸ばすこともできます。

特性に合った進路を選ぶことは、お子さんのストレスを軽減するだけでなく、自己肯定感を養うことにもつながるでしょう

お子さんについて、「何ができて何ができない・やりづらいか」「何をするのが好きで何が苦手か」といった特性の理解をお考えください。

ポイント③:準備は早めに進める

準備は早めに進める

3点目は「準備は早めに進める」です。

発達障害の子どもが、その時々に応じて得られる福祉サービスを調べたり、申請に必要な書類などを準備したりするのには、ある程度のまとまった時間が必要です

例えば、本コラムの6章で解説する「高校の特例申請」のように、受験の願書提出よりも前に申請を行う必要があるときなど、非発達障害の子と同じスケジュール感で動いていると、支援を得づらくなる場合があります。

また、進学にせよ就職にせよ、受け入れ先と相談・調整を重ねて、発達障害の子が馴染みやすい体制を整えておくと、修学や就労がスムーズに進みます。

情報収集や申請の手続きなど、余裕をもって準備を進めましょう

ただ、このコラムをお読みの時点で「○○の申請締め切りを過ぎていた」という場合でも、変に焦らず、「代替手段はないか」などを詳しい人に相談するようにしましょう。

ポイント④:本人の意思を尊重する

本人の意思を尊重する

4点目は「本人の意思を尊重する」です。

進学であれば本人が無理なく通い続けられる学校を、就労であれば本人が働きやすいと感じる就職先を選ぶなど、進路を決めるときには本人の意思を尊重するようにしましょう

これは、発達障害は「脳の機能の偏り」という本人では変えられない部分に原因があり、「合わない環境(による困難・苦労)」などについても、本人の努力ですべてをカバーすることは難しいためです。

合わない環境で無理や我慢が続くと、それが意欲の減退や精神的なストレスとして表れ、うつ病や適応障害といった二次障害・精神疾患につながることもあります

発達障害に由来する苦労は、ある程度は工夫でカバーできますし、支援する人たちもたくさんいます。

ただ、「発達障害の苦労は本人の努力で全てカバーできる」「親である自分が、発達障害の子どもの進路を決めなくてはいけない」などと思わず、お子さん本人の意思を尊重することで、「より、お子さんにあった環境」が見つかります。

ポイント⑤:各進路の特徴を理解して判断する

各進路の特徴を理解して判断する

最後のポイントは、「各進路の特徴を理解して判断する」です。

例えば、進学することに決めた場合、後で詳しく解説するように、全日制高校と通信制高校では「通学と自宅学習のどちらを基本にするか」といった大きな違いがあります

全日制高校ではクラスメイトとの交流があるため、人と接することが好きな子には向いているかもしれません。

しかし、ASDのように、コミュニケーションにおいて特性が目立ちやすい場合には、「通信制の方が勉強しやすい」といったケースも考えられます。

このように、各進路の特徴を理解した上で、お子さんの特性と照らし合わせて判断することが大切です

なお、これ以降の項目で、「小学校・中学校」「高校」「大学」の各発達段階で選べる進路を紹介していきますが、お子さんの年齢に応じて、必要な情報を優先してご覧いただくことをオススメします。

小学校・中学校編:発達障害の子の3つの進路

それでは、具体的に選ぶことのできる進路を見ていきましょう。

ここでも、「実際の、あなたのお子さんのこと」については、学校の先生やスクールカウンセラー、専門医などに都度相談することを忘れないようにしてください

小学校や中学校の段階は、特に子どもの発達や変化が著しい時期にあたります。

そのため、去年までは発達障害を持たない子と何の問題もなく関わっていたのに、ある日途端に困りごとや悩みが増えたというケースがあります。

まだ発達障害かどうかがわからないという親御さんであっても、お子さんに悩みが生じていないかを注視しながら相談に乗ったり、進路を一緒に考えたりすることが大切です

また、卒業するまで同じ学級・学校に通わなければならないというわけではありません。

状況に応じて、学校の先生と相談しながら、環境や条件を変えることも必要です。

その点に注意しながら、進路の候補を確認していきましょう。(参考:文部科学省『特別支援教育』、文部科学省『特別支援学級及び通級指導に関する規定』)

進路①:通常学級

通常学級

1つ目は「通常学級」です。

通常学級とは、基本的には教師1名に対して、生徒40名(小1は35名)などの大人数でクラスが編成される、スタンダードな学級です

それゆえ、発達障害を含む障害のある子以外の、定型発達の子とも机を並べることになります。

発達障害の症状の程度が甚だしくなければ支障はありませんが、場合によってはクラスメイトとうまくコミュニケーションを取れなかったり、勉強についていくのが困難になったりするケースもあります。

そうしたときは、先生と相談の上で「合理的配慮」を受けられる可能性があります

例えば、書字障害の子であれば、「特別にタブレットのような電子端末の使用許可を得る」といったことが、この「合理的配慮」にあたります。

LDの子どもは情報の入出力の媒体を変えるか、電子機器などの道具を頼ることで、学習に伴う困難がだいぶ緩和されるため、こうした合理的配慮が効果を発揮します。

また、勉強とは別に、障害に応じた特別指導を受けられる「通級指導教室」(通称:通級)や「特別支援教室」などを組み合わせることで、大きな困難を感じることなく進級・卒業できる場合もあるでしょう。

通級指導教室では、障害を持つ本人が在籍校から拠点校に通う必要があるのに対し、特別支援教室は在籍校に教員が巡回に来るため、移動・送迎の負担が少ないという違いがあります。

いずれのサポートを受ける場合も、担任やカウンセラーの先生との相談が基本になりますので、お子さんが発達障害に伴う苦労を抱えているときは、まずは相談してみましょう

進路②:特別支援学級

特別支援学級

2つ目は「特別支援学級」です。

特別支援学級とは、障害のある子ひとりひとりに応じて適切な教育を行うために編成された、少人数(上限定員8人)の学級のことです

したがって、特別支援学級には、知的障害や肢体不自由など、発達障害に限らない障害を持つ子が在籍しています。

指導は教員と保護者が一緒に作成した「個別の指導計画・教育支援計画」に基づいて行われるため、お子さんの障害に合わせた指導を受けられる点に大きなメリットがあります

また、先生と保護者、あるいは専門機関を中継したり、相談に乗ったりしてもらえる「特別支援教育コーディネーター」を配置している点にも特長があります。

基本は学校に設置された特別支援学級内で指導を受けますが、給食や体育、音楽の時間は通常学級で行動するなど、通常学級と交流するケースもあります。

特別支援学級の支援を受けるためには、特別支援学級が設置されている学校に在籍する必要がありますので、進学の際にはあらかじめ確認するようにしましょう。

進路③:特別支援学校

特別支援学校

3つ目は「特別支援学校」です。

特別支援学校とは、心身に障害のある児童・生徒に対し、障害特性に配慮しながら自立に必要な教育指導を行っている学校のことです

「幼稚部・小学部・中学部・高等部」があり、それぞれ幼稚園・小学校・中学校・高等学校に準じた教育を施しています。

前の項目で述べた「特別支援学級」同様に、発達障害以外にも、知的障害や視聴覚障害など、様々な障害を持つ子が在籍しており、「個別の指導計画・教育支援計画」に基づく指導を受けています。

1クラス平均3人で構成される少人数教育が基本で、教員は通常の教員免許に加えて特別支援学校の教員免許を持っており、障害への知識・理解があるという点に特長があります

特別支援学校では、障害に応じた様々な医療的ケアやサポートが受けられますが、発達障害の子が学ぶ上で助けになるものの一つに、「教科書についての配慮」が挙げられます。

通常学級で使用されている教科書とは異なり、必要に応じて、視覚や聴覚に障害のある子どもや、計算能力に困難を抱える子ども向けに作成された教科書を使用しますので、学習障害のある子が勉強しやすいというメリットがあるでしょう

また、他の学校の行事に参加したり、地域の人と催事やボランティア活動を通じて交流したりといった機会もあります。

なお、入学条件は学校によって異なり、障害者手帳が必須ではない学校もあります。

特別支援学校に入学・編入する際は、お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせたり、地域にある特別支援学校のウェブサイトを確認して問い合わせたりするなどして、早めに準備を進めるようにしましょう。

中学校卒業編:発達障害の子の8つの進路

ここからは、中学校卒業に際し、高校相当の発達障害の子の進路を紹介していきます。

進路選択の際は、学校システムの特徴を理解した上で判断することが大切です

また、受験の際には、本コラムの6章にあるような特別措置を受けられる場合がありますので、進学を検討されている方は、早めに担任の先生や専門機関に相談するようにしましょう。

ここでは8つの進路を挙げさせていただきます。

進路①:全日制高校

全日制高校

1つ目は「全日制高校」への進学です。

全日制高校は、「高校」と聞いて一般的にイメージされる、平日の朝から夕方に授業を行う、通常修了年限が3年間の課程の高校です

基本的には、小・中学校の項目で説明した「通常学級」に相当するものと考えていただいてかまいませんが、全日制高校では入学試験を受けて合格することが求められます。

また、進級・卒業には、出席して授業を受けるとともに、定期考査で合格点(赤点以上の点)を取る必要があります。

全日制高校では、クラス単位で同じ授業を受けることが基本ですが、学校や学年によっては、学習到達度に応じて、特定の教科の授業を、クラス分けをして行うところもあります。

発達障害の「程度」が軽い場合には、(多少の苦労があることや工夫が必要なことは否定しませんが、)進路として有力な選択肢になると思います

その上で、小・中学校同様に、発達障害がある場合には「合理的配慮」を受けられる可能性があります。

「程度」が軽くない場合でも、最初から「入学・通学・卒業は無理だ」と決めつけずに、支援体制について、学校に確認・相談してみましょう

なお、「発達障害かどうか」にかかわらず、「校風、体制、進路指導などはどんな感じか」を確認することは、どの進路でも確認が必要です。

また、高校受験では、発達障害の特性に応じた「特別措置」を受けられることもあります。

進路②:定時制高校

定時制高校

2つ目は「定時制高校」への進学です。

定時制高校とは、全日制高校と異なり、昼、または夕方からの時間帯などで授業を受ける高校のことです

定時制高校の授業のコマ数は、1日4コマが目安になるので、全日制高校よりも自由な時間が多く、調子を見ながら通いやすいという特徴があります。

高校によっては、卒業にかかる年数が4年になるところもあります。

また、定時制高校には、発達障害の有無に限らず、一度は高校を中退した人など、様々な背景を持った人が多くいますので、年齢を越えた交流を持つこともできます。

そのため、発達障害の特性に関連して、全日制高校の同質性・均質性に息苦しさを感じやすいという子は、定時制高校を候補に入れるのもよいかもしれません

なお、定時制高校では、後述する通信制高校と同様に、「技能連携校」へ並行して通うことができます。

技能連携校とは、就職に役立つような技能教育を行う高等専修学校ことで、条件次第ではそこで学んだ単位を高校の卒業単位に充てることができます。

興味のある方は、進学を希望する高校に、技能連携制度があるかどうかを問い合わせてみるとよいでしょう。

進路③:通信制高校

通信制高校

3つ目は「通信制高校」への進学です。

通信制高校とは、学校から送られてくる教科書や動画といった教材を使う、自宅学習がメインの高校です

通信制高校では、基本的に授業への出席ではなく、レポートの提出や試験などで卒業単位を修得していきます。

出席する必要があるのは、「スクーリング日」と呼ばれる特定の日数のみです。

お子さんのペースに応じて単位を取っていくことができるため、発達障害の特性で人とのコミュニケーションが苦手だったり、全日制高校の授業のペースについていけそうになかったりする場合には、オススメの進路と言えるかもしれません

また、日常的に登校するのは困難でも、学校行事を楽しみたい、学校行事を通じて社会性を養いたいという場合は、スクーリングの一環として、文化祭やスポーツ大会などを多く催している通信制高校を選択することもできます。

お子さんだけでは通信制高校での勉強についていくのが難しい場合は、発達障害のある子どもを指導している塾にも通う、という方法があります(通信制高校と連携した「サポート校」というタイプの塾もあります)。

なお、前の項目で挙げた「定時制高校」と同様に、通信制高校も卒業をすれば、「高卒」となりますので、大学受験資格が得られます

進路④:高等専修学校・高等専門学校

高等専修学校・高等専門学校

4つ目の進路は、「高等専修学校」「高等専門学校」への進学です。

高等専修学校と高専は、いずれも「職業」に直結した内容を学べる学校です

特に、ASDに見られる強い「こだわり」を専門職への就労に結び付けたい方などが視野に入ると思われます。

後述の「各学校で学べる分野」に関連した就職に興味のある方には向いているでしょう。

一方、発達障害に伴う「こだわり」を学究的な方面に活かしたい方、現時点で「大学進学」を視野に入れている方には、あまりオススメできないかもしれません(また、各関連分野の就職も、大学や専門学校など、他のルートを通じて行うこともできます)。

高等専修学校とは、職業もしくは実生活において必要な知識・技能の教育を行っている専修学校の一課程です

中学校の卒業者に対して、「工業/農業/医療/衛生/教育・社会福祉/商業実務/服飾・家政/文化・教養」の8つの専門分野に関する教育指導を行っています。

特定の高等専修学校では、修業年数が3年以上などの条件を満たすと大学受験資格が得られます(全ての高等専修学校で大学受験資格が得られるわけではありません)。

発達障害を持つ生徒は全体の9.1%在籍しており、発達障害に関連した支援体制を整えたところも多数あります(参考:文部科学省『中学卒業後のもう一つの進路 高等専修学校』)

なお、高等専修学校を卒業しても学歴上「高卒」にはならない点には注意が必要です。

「高等専門学校(高専)」とは、技術者になるために、いわゆる五教科などの一般科目と、工学・技術・商船などの専門科目の両方を学べる学校のことです

こちらについても、お子さんが学べる内容や卒業後の進路について興味がありそうなら、具体的にお子さんに向いていそうか、発達障害に関する支援体制はあるかなどを確認するようにしましょう。(参考:全国高等専修学校協会『高等専修学校とは?』)

進路⑤:特別支援学校の高等部

特別支援学校の高等部

5つ目は「特別支援学校の高等部」への進学です。

特別支援学校の高等部では、個別の指導計画に基づき、障害に合わせて通常の高等学校相当の教育を施しています

幼稚部~中等部との違いは、就労を目指した職業教育にも力を入れている点です。

具体的には、以下のような職業訓練を行っている学校があります。

  • 企業への職業実習
  • 農作業
  • 工芸品の製作体験など

また、特別支援学校の高等部は、卒業すれば大学受験の資格は得られますが、学歴上は通常の「高卒」ではなく、「特別支援学校高等部卒」となります

これは学校教育法において、高等学校と特別支援学校が別々に定義されており、法律上は異なる種類の学校として扱われているためです。

ただし、「特別支援学校高等部卒」では「高卒」の求人に応募できません。

「高卒」という学歴を得たいといった人は、前の項目で述べた「通信制高校」などに通う必要がある点には注意が必要です。

進路⑥:高等特別支援学校

高等特別支援学校

6つ目は「高等特別支援学校」への進学です。

高等特別支援学校とは、障害を持つ人の中でも、一般企業への就職ができる可能性が高い生徒に対して、就労に向けた教育を重点的に施している学校です

特別高等支援学校は、職業訓練を念頭に置いたカリキュラムになっているため、卒業後に大学へ進学して勉強したいという人を想定していません。

そのため、「特別支援学校の高等部」と同様に、大学受験資格は得られるものの、学歴上は「特別支援学校高等部卒」という形で、通常の「高卒」とは区別される点には注意が必要です

進路⑦:チャレンジスクール、クリエイティブスクールなど

チャレンジスクール、クリエイティブスクールなど

7つ目は「チャレンジスクール、クリエイティブスクールなど」への進学です。

チャレンジスクールとは、特別支援学校とは別に、発達障害や知的障害、不登校になった生徒などに対して支援教育を行っている、東京都の学校です

形態としては、定時制の単位制高校となっており、幅広い選択可能科目を設置したり、カウンセリング体制を充実させたりと、様々な事情を抱えた生徒のニーズにあわせた新しい試みを行っています。

東京都の例をご紹介しましたが、他の道府県でも、次のように、同様の目的で設置された学校がある場合もあります。

■東京都

  • エンカレッジスクール
  • トライネットスクール

■神奈川県

  • クリエイティブスクール

■埼玉県

  • パレットスクール

例えば、エンカレッジスクールでは授業時間を30分に短縮したり、トライネットスクールではインターネットなどの情報通信技術を取り入れた教育を行ったりと、それぞれの学校によって特色は異なります。

ご興味があるなら、すでにそうした学校をご存知の方は学校に、ご存知ではない方は市区町村の窓口に相談してみるとよいでしょう。

進路⑧:進学せずに就職する

進学せずに就職する

最後は「進学せずに就職する」という進路です。

ただし、発達障害であるかどうかにかかわらず、求人数や待遇の面から、一般的にはあまりオススメできません

学歴が中卒であることが「悪い」という意味では決してないのですが、残念ながら現代日本の現実では、「中卒」と「その後の学校の卒業」では、選択肢や待遇が大きく変わるためです。

例えば、厚生労働省の統計によれば、15~34歳までの若年労働者における正社員の割合は、中卒で「35.4%」なのに対し、高卒では「56.3%」、大卒で「80.9%」と、最終学歴によって大きな開きがあります。(参考:厚生労働省『平成30年若年者雇用実態調査の概況』)

正社員の割合が少ないということは、働き先や待遇の選択肢が少ないということです(「一般的に非正規雇用はよくない」という意味ではもちろんありません)。

そして、特に発達障害の特性を持つ場合、選択肢が少ないという状況は、非発達障害の人以上に「苦労」につながる可能性が高いのです。

ただ、お子さんの「個性」はそれぞれですので、発達障害者の就労に「詳しい人」に協力を仰ぐなどすれば、あなたに合った職種・就職先に巡り合える場合もあります(現実として可能性が低いことは事実ですが)。

もし中卒で働きたいにもかかわらず、あなたに合った職種・就職先が見つからないということであれば、自治体の設置している「障害者職業能力開発校」などに入校するのもひとつの手段です

障害者職業能力開発校では、就労に必要な自己管理から、アプリ開発、総合事務といったビジネススキルの訓練まで、1日8時限まで訓練を受けることができます。

ただし、入校するためには診断書が必要なことに加えて、開発校が実施する選考に合格する必要があります。

募集は入学する前の年の12月頃から始まるため、前もって窓口となるハローワークに必要な書類や準備を問い合わせるようにしましょう。

なお、一度中卒として働き始めても、その後通信制高校や定時制高校に(働きながら)通うことで「高卒」になることもできますし、さらにその後大学などに進学することもできます。

また、「高校卒業程度認定試験」に合格すれば、高校に通わずとも大学受験をすることは可能です。

高校卒業編:発達障害の子の3つの進路

ここからは、高校やそれに類する学校の卒業、または高校卒業程度の年齢・学力である発達障害の子の進路を紹介いたします。

この章では具体的に3つの進路を挙げさせていただきます。

進路①:各種大学(通信制含む)

各種大学(通信制含む)

1つ目は「各種大学(通信制含む)」への進学です。

大学にも、複数学科を兼ね備える総合大学の他に、美術大学や商業大学など、専門ごとに多様な大学があります

修学年数も4年生の大学から、2年生の短期大学など様々です。

基本的には、発達障害を持つご本人の興味・関心や、将来就きたい職業などを考慮して選ぶことになるかと思います。

また、大学の形態にも、各キャンパスに通って講義・演習を行う大学の他に、自宅学習が基本となる「通信制大学」があります

通信制であれば、集団で講義を受けるのが苦手な発達障害の子どもであっても、自分のペースで勉強をしながら、レポートや課題をこなすことで単位を取得し、卒業することができます。

また、大学によっては、発達障害のある学生向けに、受験時の特別措置を実施している場合があります(受験時の特別措置については、高校を例に後で紹介します)。

入学後も、「障害学生支援室」で専門の支援員が修学相談に乗ってくれたり、講義やレポート提出のスケジュール管理についてアドバイスをもらえるなどのサポートを受けられます。

大学進学を検討している方は、早めに学校の先生や受験校に問い合わせるようにしましょう。

進路②:専門学校

専門学校

2つ目は、「専門学校」への進学です。

専門学校は、デザイン、服飾、アニメーションなど、専門分野ごとに就職に結びつくような知識や技能の習得を目指す学校です

基本的に、卒業にかかる年数は2年ですが、学校によっては3年や4年の場合もあります。

特定の職能を身につけて、就職に活かしたいという方にオススメです

また、大学同様に、専門学校でも、学習障害で文字の読み書きに時間がかかる場合には、写真撮影や電子端末の使用を許可してもらえるなど、相談次第では発達障害の特性に応じた「合理的配慮」を受けることが可能です。

具体的な配慮の内容・程度は学校ごとに異なりますので、発達障害の特性を伝えた上で問い合わせてみるとよいでしょう。

進路③:進学せずに就職する

進学せずに就職する

最後の進路は「進学せずに就職する」です。

2019年現在、高卒で就職した人は約18万人います。(参考:文部科学相『平成31年3月高等学校卒業者の就職状況(平成31年3月末現在)に関する調査について』)

高卒で就職した場合も、中卒での就職同様に、大卒に比べると、正規雇用での就労が難しい傾向にあります(15~34歳の正社員の割合は高卒では「56.3%」、大卒で「80.9%」)。(参考:厚生労働省『平成30年若年者雇用実態調査の概況』)

そのため、給与や待遇、キャリア面を気にされる場合は、大卒で就職した方が、希望の就職先を見つけやすいというのはあるでしょう

もし、高卒でそのまま就職するのが難しい場合には、中学の項目で述べた「職業能力訓練開発校」や「ハローワーク」など、発達障害者向けの職業訓練を実施している公的機関を頼るのも有効です。

特に、通信制や定時制の高校に通っている人であれば、時間の融通が利きやすいため、多少大変ではありますが、学業と並行して職業訓練を受けることもできます

一例を挙げると、「就労移行支援事業所」では、プログラミングや会計などの専門スキルの習得の他に、就職先の紹介や企業へのインターンなど、就職に直結する可能性の高い就労支援サービスを、最低0円から受けることが可能です。

発達障害であることを証明する診断書があればサービスを受けられますので、興味のある方は気になる事業所に問い合わせたり、「障害者就業・生活支援センター」に相談して紹介してもらうとよいでしょう。

なお、「やっぱり大卒での求人に応募したい」「学び直しをしたい」という方は、働きながらでも大学受験を目指すことはできますので、就職をした後にも状況に合わせて進路を変更することは充分可能です。

発達障害の子が進路を選択するときの特別措置について~高校入試の特例申請を例に~

発達障害の子が進路を選択するときの特別措置について

発達障害の子が進路選択をするときには、特別な措置を得られる場合があります

具体的には、入学試験の際に、以下のような合理的配慮を受けられます。

  • 別室受験
  • 試験時間の延長
  • 問題用紙の読み上げ
  • 介助者の同席
  • 監督者による口述筆記
  • 面接の際の回答を急かさない

こうした特例申請は、基本的には在籍校で申請を行い、教育委員会を介して手続きが進められます。

ここでは、高校入試の特例申請の手続きの流れを挙げておきます。

  • ①在籍する中学校に申請の相談をする
  • ②中学を通して教育委員会へ連絡がいく
  • ③教育委員会から中学校経由で申請用紙をもらう
  • ④必要事項を記入して中学校に提出する

申請用紙が受理されたら、在籍校・受験校・教育委員会で受験者の障害特性や中学校での指導状況を考慮し、前に述べたような措置が取られることになります。

特例措置を希望する場合は、在籍する学校にできるだけ早い段階で相談するようにしましょう

申請の締め切りが受験の願書提出よりも早いことが多いため、注意が必要です。(参考:文部科学省『高等学校の入学試験における発達障害のある生徒への配慮の事例』)

まとめ〜発達障害でも進路の選択肢はたくさんあります〜

発達障害でも進路の選択肢はたくさんあります

ここまで、発達障害のある子の進路選択のポイントから、発達段階ごとの進路、得られる特別措置について解説してきました。

お子さんに合いそうな進路は見つかりましたか?

繰り返しにはなりますが、進路選択の際に大切なのは、親子間で抱え込まずに、周囲の人に相談することです

担任の先生やスクールカウンセラーの他にも、専門医や塾の先生など、頼れる人は大勢います。

是非その人たちと意見を交えながら、お子さんが伸び伸びとした生活を送ることのできる進路を見つけて、サポートしてあげてください。

このコラムが、発達障害の子を持つ親御さんが進路を考える際の助けになれば幸いです。

さて、この記事の運営元である株式会社キズキは、様々なお悩みを抱える方のための支援事業を行っています。

キズキ共育塾」は、一人ひとりに合わせた授業を行う個別指導塾であり、発達障害の方々の支援・勉強指導にも実績があります。

キズキビジネスカレッジ」では、発達障害をお持ちの方々の就労を支援しています。

ともに、少しでも気になるようでしたら、お気軽にお問い合わせください。

お子さんのための進路を、一緒に考えていけると思います。

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