
やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
キズキ共育塾の岡田和哉です。
あなたは、高校を中退して(または中退を検討中で)、これから編入可能な高校(進路)について知りたいと思っているのではありませんか?
そんなあなたのために、次の3つをご紹介します。
「次の一歩」にどう進むか、参考になれば幸いです。
目次
今いる高校から違う高校に移ることについて、「編入」や「転入」という言葉を聞いたことはありませんか?
同じようなものじゃないの…と思っているかもしれませんが、実は、編入と転入は、意味が異なります。
まずは、編入と転入の違いからお伝えします。
簡単に説明すると、次のようになります。
編入
転入
すでに高校を中退した方は、「編入」のみ可能です(もちろん、改めて高校受験をして1年生からやり直す「再入学」は可能です)。
高校中退を検討中の方は、中退せずに「転入」するか、中退して「編入」するかを選べます。
「編入と転入、どっちがいいの?」という質問も多いので、お答えします。
結論としては、転入の方がメリットのある場合はありますが、そこまで大きな差はありません。
なので、「もう中退して編入しかできない」と気に病む必要はあまりありません。
詳細は次章でご紹介します。
では、実際に編入や転入を考えるとき、何に気をつければいいのでしょうか。
単位や在籍期間など、注意点をお伝えします。
「学校を変わる場合、単位ってどれくらい引き継げるの?」と思っていませんか?
編入でも転入でも、引き継げる単位は、「先に在籍していた高校(いま在籍中の高校)で認定された単位のみ」です。
ですので、自分がどれだけ単位を取得している(引き継げる)のかは、在籍中・在籍していた高校に確認してみましょう。
多くの高校は、年度の終わり(3月末)に単位の認定を行います。
つまり、前の年度が終了した時点で取得している単位のみ、編入先の高校に引き継ぎ可能ということです。
ほとんどの場合、次のようになります。
学年途中で中退・編入をした場合、その学年になってから学んでいた授業は、編入した高校でまたイチから授業を受ける必要があるということです(例外もあるようですが、あくまで例外です)。
「通信制高校への編入の場合、年度途中の単位も引き継げる」という情報もありますが、私が調べた範囲では、そのような通信制高校はありませんでした(これも例外はあるのかもしれませんが…)。
高校1年生で中退・編入した場合は、引き継げる単位が基本的にないために、編入ではなく「入学」という形になる場合もあるようです。
また、1年間に取得可能な単位は学校によって異なります。
卒業に必要な単位を編入先の高校で何年で取得できるか、という計算も必要です(高卒認定の合格科目を単位認定する高校もあります)。
いずれにしても、在籍中・在籍していた高校と、編入を考えている高校の両方に、「自分の単位の状況」をきちんと確認すると、今後の方向も見えてくると思います。
「編入したら、卒業の時期が変わるの?」というのもよくある質問です。
在籍期間も、前の高校から編入先の高校に引き継ぎ可能です。
ですが、高校を卒業するためには、高校に36か月(以上)在籍する必要があります。
中退・編入の場合、学校に在籍していない空白期間があります。合計36か月(以上)の在籍期間を設けるために、基本的には「3年生の3月」での卒業はできない、と考えた方がよいでしょう(こちらも例外はあるようですが、基本的にはできません)。
転入の場合は在籍に空白期間が生じないため、単位の引き継ぎがスムーズにいった場合は「3年生の3月」で卒業できます。
特に通信制高校では、「転入は随時受けつけるが、編入は時期が固定されている(例えば4月・9月のみ)」という学校も多くあります。その点も含めて注意が必要です。
単位同様、前の(今の)高校と、編入を考えている高校に「自分の在籍日数・卒業までに必要な日数」「卒業時期のめど」を確認しましょう。
将来的に就職活動をするときの履歴書では、転入の場合は、「中退」という言葉を書かずに「○○高校転入」と書けます。
一方、「編入」の場合は、最初の高校について「○○高校中退」と書く必要があります。
「高校中退の経歴は就職に不利なのでは…?」という声もあります。
ですが、「中退の理由」を筋道立てて話すことができれば、あまり関係ありません。
個人的には、「中退の理由」は「全くの嘘」はいけませんが、多少の「後付け」や「盛った話」でもいいと思います。
ここからは、編入する高校の選択肢について紹介します。
全日制高校への編入は、引っ越しなどの理由がない限り、あまり例がないようです。
中途退学者向けの募集や学期ごとの補欠募集を行っている場合もありますが、枠が限られているので、一般的にハードルは高くなります。
編入ではなく、もう一度高校受験をして1年生からの再スタート、ということも考えられます。
なお、一度全日制高校を中退して別の全日制高校に編入した人が再び中退することは、「よく聞く話」です(もちろん編入した全日制高校で充実した高校生活を過ごす人もいます)。
自分がなぜ前の高校を中退したか(中退しようとしているか)、再び全日制高校に通えそうかなどは、どんな全日制高校なら通えそうかなど、よく検討しましょう。
定時制高校は、全日制高校と同じように通学して授業を受けます。
授業時間が昼から、夕方から、夜からなど、遅めに設定されているのが全日制高校との違いです。
どの時間帯に通うかを選ぶことができる学校もあります。
「1年生から入学した場合、卒業までに4年間が必要」という学校も多いです。
通学が苦にならない方や、友達と学校生活を送りたいという方にはおすすめです。
中退などの経験がある生徒も多いので、そういう意味では「馴染みやすい環境」とも言えるでしょう。
全日制高校同様に、制度的な部分も含めて、「校風などが自分に合いそうな高校か」ということを調べましょう。
定時制高校については、コラム「定時制高校ってどんなところ?定時制出身の私が紹介する、定時制のリアル」に詳細を書いていますので、ご興味がありましたらご覧ください。
高校中退後の編入先として人気が高いのが、通信制高校です。
通信制高校は、基本的には自宅での学習とレポートの提出などで単位を取得します。
通学して授業を受ける機会が少ないので、自分のペースで勉強したい方や、継続的な通学に苦手意識のある方におすすめです。
編入について複数の時期が用意されている学校も多いです。
通信制高校はたくさんあり、高校ごとに特徴が大きく違います。それぞれがどんな高校かを比較してみることが大切です。
例えば、通学する日が多いか少ないか、文化祭などのイベントがあるかないかなどの点です。
自分で勉強を進めることが苦手な方、自信のない方は、通信制高校と同時に塾などにも通って、勉強の習慣をつくっていくことをおすすめします。
通信制高校については、コラム「通信制高校とは?特徴・メリット・選び方・オススメの高校などをご紹介」に詳細を書いていますので、ご興味がありましたらご覧ください。
高校とは異なりますが、専修学校・高専という選択肢も紹介します。
専修学校は、次の3つに分かれていますが、今回は高等課程(高等専修学校)について紹介します。
高等専修学校は、中学卒業者を対象としています。社会に出てすぐに役立つ実践的な職業教育を行い、高等学校の枠に収まらない多様な教育を行っています。
授業は、座学だけでなく、実習・実技も多くあります。仕事に直結する知識やスキルを学びたい方や、そのための資格を取得したい方にオススメです。
学科は「工業」「農業」「医療」「衛生」「教育・社会福祉」「商業実務」「服飾・家政」「文化・教養」の8つの分野があり、学校ごとにさまざまなコースがあります。
1年制や5年制などさまざまな制度があり、学校によっては高卒の資格も取得できます。
また、「高等専門学校(いわゆる高専)」も中卒から入学でき、主には技術者になることを目的に、いわゆる五教科などの一般科目と、工学・技術・商船などの専門科目の両方を学びます。
一般的に、専修学校も高専、「高校の普通科」よりも学ぶ内容が専門的です。そのため、自分が向いているかどうか、しっかり検討しましょう。
専修学校・高専については、コラム「高校中退から専門学校への進学方法を紹介!〜高等専修学校・高専も解説〜」に詳細を書いています。ご興味がありましたらご覧ください。
編入とは異なりますが、高卒認定についても紹介します。
高卒要件が必要な大学受験、専門学校受験などを受験できるようになる資格が、高校卒業程度認定試験(高卒認定)です。
高校に在籍したまま受験することも可能です。
高卒資格とは異なるのですが、高卒資格が必要な大学や専門学校の受験、一部の公務員試験・公的資格の受験が可能になります。
大学受験に現役年齢で受験したい方や、高校に通わずに大学などの受験資格がほしいという方にオススメです。
高卒認定の難易度はほぼ高1レベル、合格ラインは100点満点で約40点と言われているので、適切な勉強をすれば合格できます。
勉強に慣れていない方や、効率的に対策したい方などは、塾などに通って勉強することをオススメします。
高卒認定については、コラム「【すぐ読める】高卒認定試験とは?意外と簡単!取得のメリット・合格のポイントをご紹介」に詳細を書いています。ご興味がありましたらご覧ください。
私たちキズキ共育塾は、高校中退から大学などへの進学を目指す人のための完全個別指導塾です。勉強や生活について、無料相談ができます。高認・大学合格実績多数。お気軽にご連絡ください。
フォームで問い合わせこの章では、「高校中退からの編入・転入(転校)」について、高校中退経験のある人たちのための個別指導塾・キズキ共育塾の講師たちからのアドバイスを紹介します。
高校中退から編入・転入・高卒認定・大学受験などを目指す人たちに勉強を教えている講師の「生の声」です。きっと参考になると思います。(これまでの内容もキズキ共育塾の知見に基づくものであるため、一部重複する部分もあります。また、講師名は仮名の場合もあります)
また、私たちキズキ共育塾の無料相談では、「実際のあなた」のための、より具体的なアドバイスが可能です。ぜひご相談ください。
S.K講師のアドバイス
①編入・転入前にしておいた方がよいこと
「本当に転校していいか」を、改めて時間をとって、自分に問いかけておきましょう。
②編入・転入について、注意しておくべきこと
(1)高校転校の経歴は履歴書に残るため、さまざまな「面接の場」で聞かれやすいです。高校転校に対するエピソードや感じたことなどを、あらかじめ答えられるようにしておくとよいです(「挫折を乗り越えた」のようなプラスのエピソードだとなおよしです)。
(2)特に通信制高校に転校した場合、生活が乱れたり、家から出なくなったりする人も多いようです。できることなら、規則正しい生活や適度な外出を心がけましょう。
③編入・転入について、気にしなくていいこと
高校転校の経歴は、一切後ろめたくありません。経歴は、全く気にしなくてOKです。
この章では、「高校中退からの編入・転入(転校)」の経験がある、キズキ共育塾の講師たちの体験談を紹介します。前章同様、こちらも参考にされてください。(講師名は仮名の場合もあります)
また、私たちキズキ共育塾の無料相談では、他の具体例もお話しできます。ぜひご相談ください。
S.K講師の体験談
高1の10月に、全日制高校から通信制高校に転校しました。高校を変えてよかったことをお伝えします。
①人間関係の強いストレスから解放された
いじめられていて、精神的に限界だったためです。
②「本気で勉強をがんばって人生を変えてやろう」という気持ちになれた
元の高校に何事もなく通っていたら、大学受験はおそらく適当に終わらせていただろうと思います。転校に伴い気持ちを切り替えたことで、「元の全日制高校のボリューム層が進学する大学」よりも、偏差値的に上の大学に合格できました。
ここまでの内容をまとめます。
それ以外には、あまり大きな違いはありません。
先に在籍していた高校で取得した単位は編入先の高校に引き継げます。
ですが、年度途中での編入の場合は、基本的には引き継げません。
卒業のタイミングが気になる方は、中退・編入の時期に注意が必要です。
単位も在籍期間も、具体的には先の高校と編入を検討している高校に確認しましょう。
編入する高校・学校の選択肢はたくさんあります。
だからこそ、「それぞれがどのような学校か」「自分に合うか」をしっかり調べることが重要です。
中退後、高校には通わずに高卒認定を取得して大学や専門学校に進学する、という手段もあります。
中退・編入や転入を検討していると、将来について漠然とした不安を抱いてしまいがちです。
どうか一人だけで悩んだり思いつめたりせず、周りの人や詳しい人、各学校などに相談してほしいと思います。
自分一人で考えるよりも、「よりよい方法」がきっと見つかると思います。
キズキ共育塾でも無料相談を行っています。お気軽にご連絡ください。知識と経験が豊富なスタッフが、あなたと一緒に進路を考えます。
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関連リンク
/Q&Aよくある質問
高校の「転入」と「編入」の違いを知りたいです。
別の高校に転入・編入する際に気をつけておくことを知りたいです。