
やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
こんにちは、キズキ共育塾の寺田淳平です。
あなたは、高校中退を検討しているけれど、「高校を中退すると、悲惨な末路が待っている…」と思って決断できずにいるのではありませんか。
結論から言いますと、高校中退からその後の人生を充実させている人はたくさんいます。
しかし一方で、高校中退にまつわる「苦労」があることは否定しません。
高校中退については、一般的な事実をきちんと知った上で、「あなた」の状況をしっかり検討して、中退後の進路も考えてから決断することが大事です(中退後のことを考える余裕がない状況なら、まずは中退ではなく休学という手段もあります)。
そこで今回は、高校中退者のいわゆる「末路」について、そしてその後の人生を有意義なものにするための進路の選び方について解説いたします。
高校中退を考えている人、中退後の進路に悩んでいる人の助けになれば幸いです。
目次
高校中退者のその後を語るときに、「末路」という言葉が使われることがよくあります。
実際にインターネットでも、「高校中退 末路」と検索して、中退後の人生について調べている人が多数います。
こうした「高校中退すると先がない」という印象の背景には、以下のようなイメージがあるのではないでしょうか。
確かに、高校を中退してそのままだと、大卒の人に比べて、就職先の選択肢が狭まるといった困難が生じるのは事実です(理由は後述します)。
また、文部科学省の調査によると、2021年度の高校中退者数は全国で「約39,000人」、そのうち昼間に授業を受ける全日制課程での中退者は「約25,000人」にのぼります。(参考:文部科学省『令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果』)
その理由として2番目に多い「約30%」を占めるのが「学校生活・学業への不適応」であるため、「学校に慣れることができずに逃げた」とも思われやすいです。
しかし、高校中退から2年後の若者を対象とした2011年度の追跡調査では、80%以上の人が、次のステップに進んでいることがわかります。(参考:内閣府『若者の意識に関する調査(高等学校中途退学者の意識に関する調査)』)
中でも進路として最も多いのは、「就職」で全体の56.2%、次に多いのが「在学中」で30.8%の割合となっています。
したがって、高校中退者の「80%以上」は、「悲惨な末路」を辿ることなく、何らかの形で前進できているのです。
また、前に挙げた資料で進路が決まっていない20%の人たちも、「調査時点(中退から2年後の時点)に決まっていなかった」というだけで、その後の学び直しや就職などは可能です。
例えば、私たちキズキ共育塾の生徒さんだけを見ても、高校中退から2年以上のブランクがある状態から大学受験に合格する人は珍しくありません。
高校中退にネガティブなイメージを持つ人もいるかと思いますが、「中退したら将来がない」というわけではないのです。
ただし、どうしても行き止まり感を覚える「末路」に向かわないためには、高校中退後の進路を慎重に考えることが重要になってきます。
また、あなたやお子さんがすでに高校を中退していて、現時点で「『望まない末路』に行き着いた…」と思っていたとしても、これからのこと一緒に考えて支援する専門家・団体が世の中にはいますので、ご安心ください。
それでは、高校中退後にはどのような困難が起こりうるのでしょうか?
この章では、具体的に5つに分けて解説していきます。
1つ目は「大学に進学しづらくなる」です。
もちろん高校中退しても、大学に進学することは可能ですが、大学受験・進学に向けたルートが多少複雑になります。
高校に通い続けて卒業すれば、自動的に大学受験の資格を得ることができます。
しかし、高校を中退した場合、まずは大学受験資格の取得から目指さなければなりません(具体的な大学受験・進学のルートについては後述します)。
また、中には高校中退後に就職して、働きながら勉強をすることを選ぶ人も出てくるでしょう。
そうすると、仕事を続けながら勉強することで、上手く時間を取れなかったり、疲れて参考書を開く気にならなかったりと、様々な悩みを抱えやすくなります。
さらに、自力で勉強をする場合は、解説を読んでも納得できない問題があったとしても、自分自身で解けるようになるまで、試行錯誤を繰り返すしかありません。
それらを踏まえた結果として、「大学に進学しづらくなる」という困難を抱えることになるのです。
なお、高校中退を経験した人の中には、自力で勉強をするのが難しいため、予備校や塾に通うという人も少なくありません。
勉強に困難を感じたときには、高校中退後の進路のサポート実績がある支援機関を探すのも良いでしょう。
2つ目は「学歴で判断されることがある」です。
ややきつい言葉を使うと、「学歴差別を受けることがある」となります。
もちろん、学歴のみで人柄や能力が決まるわけではありません。
しかし、残念ながら現在の日本社会では、学歴が大きな判断材料のひとつにもなっています。
働く中でも、高校中退という経歴を見て、「やり抜く力がない人だ」といった色眼鏡で見られることがあるという話も聞きます。
また、このような困難が続くことで、「自分の経歴に自信が持てなくなる」「学歴に対してコンプレックスを抱える」といった人もいます。
学歴で判断された経験から、大卒の資格が欲しいと強く思うようになり、学び直しを始める人も多くいます。
3つ目は「就職先の選択肢と収入が減る」です。
働き方の重要な選択肢の一つに、「正規雇用かどうか」があります。
もちろん、「正規雇用がよい」「非正規雇用(アルバイト・パートなど)はよくない」と一概に言えるものではありません。
しかし、「給料、その他の待遇、キャリア」という観点では、一般的には正規雇用の方が非正規雇用よりもよい、というのは事実です。
「正規雇用で働きたい」という人にとっては、「望まぬ非正規雇用」は避けたいところでしょう。
厚生労働省の統計によれば、15~34歳までの若年労働者における正社員の割合は、中卒で「35.4%」なのに対し、高卒では「56.3%」、大卒で「80.9%」と、最終学歴によって大きな開きがあります。(参考:厚生労働省『平成30年若年者雇用実態調査の概況』)
そもそも高校中退で最終学歴が中卒の場合、正規雇用での募集自体が少ないため、派遣労働などの少ない選択肢の中から就職先を選ぶことが多いというのが現状です。
残念ながら、同じ職種の正規雇用の人に比べて、収入は少ないでしょう。
とはいえ、長く働き続けている人の中には、「正規雇用への転換を提案された」という話も聞きます。
就職時点で非正規雇用でも、「その後の展開次第で可能性が広がるかもしれない」という点は、心に留めておいてください。
4つ目は「進学した友達と疎遠になりやすい」です。
前に挙げた令和3年度の文部科学省の統計によれば、高校を中退する人の割合は例年1.5%前後と数が少なく、同級生の多くが進学することを考えると、中退を選ぶ人は少数派となります。
そのため、進学した友達が大学生活について話している際に、「どうしても話題についていけない」「興味の対象が異なる」など、距離を感じることも少なくありません。
もちろん、全員がそうではありませんし、高校中退を選択したことによって、新しい人脈が得られることもあるでしょう。
しかし、境遇が変わることによって、進学した友達と疎遠になりやすいという悩みを抱える人は、一定数いるようです。
ただ、中退せずに卒業していても、新たな環境に行くことで「それまでとの友達」と疎遠になること自体は珍しくありません。
結果としてかつての友達と疎遠になったとしても、「高校を中退したからだ」と変に思い詰める必要はありません。
最後は「何もしない期間が生じる可能性がある」というものです。
進路が定まらない状態で高校を中退した人の中には、仕事や勉強をせずに(できずに)、毎日を過ごしている人もいます。
こうした「何もしない期間」は、「絶対に悪いこと」というわけではありません。
休養にもなるでしょうし、長い人生の中では遊ぶ事期があってもいいでしょうし、「そのブランクがあったからこそ、今後の人生で巻き返しを図ろうと決心し、頑張ることができた」と言う人もいます。
しかし、後になって振り返ってみると、「あのときにもっと頑張っていればよかった」と、後悔する人もいるのです。
また、その時点では生活することができても、先行きに不安を感じたり、就職活動で空白期間について尋ねられて応えられずに困ったりと、心理的に安心できないことで調子を崩す人もいます。
何もしない期間があっても、問題なく生活できていれば、特に気にする必要はないのかもしれません。
ですが、後になって困難に発展する可能性があるということは、覚えておいてもよいかもしれません。
それでは、望まない「末路」を辿らないために、高校中退後に選択できる進路には、どのようなものがあるのでしょうか?
この章では5つ紹介しますが、「どの選択が自分にとってよいかわからない」「選択できずに迷う」という人も多いと思います。
そのときには、あなたと同じく高校を中退した人を指導した実績のある塾や、専門家のいる支援機関に相談してみることをオススメします。
無料で相談や面談を受けているところはたくさんありますので、進路選択に悩んで行動に移せないという人は、ぜひ積極的に問い合わせてみてください。
1つ目は「高卒認定資格の取得」です。
正式名称は「高等学校卒業程度認定試験(旧大検)」と呼ばれ、高卒認定資格は「高校卒業と同程度の学力があること」を公的に証明する資格です。
その資格を取得することで、大学・短大・専門学校、一部の公務員試験などの受験が可能になります。
取得には、年に2回(8月・11月)実施される試験に合格する必要があり、その年度で16歳以上、かつ大学入学資格のない人であれば、誰でも試験を受けることができます。
もちろん、中退後の再入学によって高校に在籍しているという人も受験可能です。
全部で8〜10科目を受ける必要がありますが、高校での学習状況次第では、受験を免除される科目もあります。
また、一度合格となった科目は、その後もずっと有効です。
高卒認定資格の取得を目指す際は、まずはその制度を理解し、あなたに合った学習環境を整えることが大切です。
専門の講師やスタッフが、高卒認定資格の取得から大学受験までを総合的にサポートする塾もありますので、高卒認定資格に興味のある方はぜひ一度調べてみてください。
高卒認定資格についてもっと詳しく知りたい方は以下のコラムが参考になるかと思います。
2つ目にオススメしたいのは、「通信制高校への転校・再入学」です。
通信制高校とは、学校が送付する教科書や動画などの教材を使った、自宅学習がメインの高校です。
通信制高校では、基本的に通学の必要はなく、レポート提出や試験で卒業単位を修得することになります。
仮に通学を求められたとしても、「スクーリング日」と呼ばれる限られた日に出席するのみです。
マイペースに勉強を進められるため、「学校の授業に追いつけない」、または、「授業の進度が遅すぎた」という理由で高校を中退した人には、うってつけの進路と言えるでしょう。
通信制高校に興味が湧いてきた方は、ぜひ、以下のコラムをご参照ください。
3つ目にオススメしたい進路は、「定時制高校への転校・再入学」です。
定時制高校は、朝から夕方に通学する「全日制高校」とは違い、昼、または夕方からの時間帯に授業を受けることが可能な高校になります。
定時制高校の授業のコマ数は、1日4コマが目安のため、全日制高校よりも時間をコントロールしやすいという特徴があります。
ただし、高校によっては、卒業までに4年かかるところもあるので、前もって確認しておくことが大切です。
また、定時制高校には、高校中退者が少なからず在籍しています。
同じ悩みを抱えたことのある人と友達になりやすいため、「中退したけど、学校という空間は好きだった」という人は、進路のひとつに考えてみてもよいかもしれません。
定時制高校の詳細は以下のコラムにまとめてありますので、あわせてご参照ください。
4つ目の選択肢は「就職して仕事に励む」です。
高校中退後に就職した人の中には、「仕事が充実したことで生活に張り合いがでた」という人も多くいます。
また、前に挙げた統計にもある通り、就職は、高校中退後の進路としては最も主要な選択肢です。
ただし、中卒の場合は求人件数が少なく、希望した給料や待遇が得られない場合もあります。
そのため、上に述べた通信制高校や定時制高校と組みあわせて、「日中は働いて、夜は勉強する」「働きながら高卒認定資格取得を目指す」という生活をしている人も少なくありません。
「仕事と勉強以外の時間が減る」というデメリットはありますが、「勉強だけをしていたときよりも充実している」という人も多いです。
特に、「経済的な理由で就職を選んだ」など、やむを得ない理由で中退を選んだ人は、前向きに検討してみるとよいでしょう。
高校中退後に「海外留学する」という選択肢を取る人もいます。
具体的には、アメリカやイギリス、カナダといった英語圏を中心に、英語を身につけつつ現地の学校を卒業するというルートです。
これは、「集団行動が求められる日本は合わない」「グローバルな場で活躍できる人になりたい」という人が実行する選択肢になります。
実際に、私の知人に、高校を中退してオーストラリアへ留学・卒業した人がいました。
その人は、オーストラリアの普通高校を卒業し、日本の大学に進学しましたが、海外に慣れたことで、そのまま国際的なキャリアを積むことも考えていたそうです。
しかし、海外留学という進路は、お金の面でも精神的な面でも、非常に難易度の高い選択肢であるということは正直にお伝えしておきます。
海外が合っていたとしても、様々な条件から「誰にでも可能」な選択肢ではないため、検討する際には家族でよく話し合う必要があるでしょう。
私たちキズキ共育塾は、高校を中退した人・したい人のための完全個別指導塾です。勉強や生活について、無料相談ができます。高認・大学合格実績多数。お気軽にご連絡ください。
フォームで問い合わせ「末路」という言葉を皮切りに、高校中退後に起こりうる困難や進路選択について紹介してきましたが、役立ちそうな情報はあったでしょうか?
高校中退に際して不安を感じない人は、ほとんどいないと思います。
それは前に述べた通り、「末路」という言葉がよく使われている点からもわかることです。
その後の進路について不安を感じる人は、まずは塾や予備校の門を叩いて、相談してみることをオススメします。
ひとりで抱え込むのではなく、人に話すことで、新たな可能性が見えてくることは多いです。
高校中退を検討している人も、すでに高校中退を経験している人も、一度誰かに相談してみてください。
このコラムが、高校中退後の進路を考える人の助けになれば幸いです。
私たちキズキ教育塾では、高校中退の悩みから次のステップへ進もうとしている方を支援しています。
高校・大学受験、高卒認定試験、学校復帰など、無料相談も随時行っておりますので、不登校でお悩みを抱えている方は、ぜひ一度相談にいらしてください。
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