
やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
こんにちは、キズキ共育塾の寺田淳平です。
高校中退を考えている、あるいは既に中退したというあなたは、「これからどうすればいい?」と悩んでいませんか?
「学校が合わないからとにかく中退したい」という人もいるでしょう。
世の中には進路や目標が決まっていなくても、高校中退する人は少なくありません。
しかし、高校を中退することによって、その後に困難が生じることもあります。
大切なのは、中退後に「どうすればいい?」という状態に留まらず、「その後の進路選択についてじっくり考えること」「ゆっくりでも次の一歩を踏み出すこと」です。
そこで今回は、高校中退の前後にあなたができること、中退後の進路選択について徹底解説いたします。
生徒さんだけでなく、「子どもに高校中退したいと言われたけど、どうすればいい?」と悩んでいる親御さんができることも紹介しますので、興味のある方はぜひ一度、読んでみてください。
目次
高校中退を考えている人の中には、その後に直面する困難によって、「中退を後悔するのではないか」と心配な人も多いかと思います。
しかし、2009年の内閣府による調査では、高校中退について「やめてよかった」「まあ、やめてよかった」と回答した人の合計は57.5%と、過半数を超えています。(参考:内閣府『高校生活及び中学校生活に関するアンケート調査』)
実は、高校中退を前向きに捉えている人が多いのです。
そして、高校中退者が直面する困難を事前に知っておくことで、高校中退を前向きに捉えられる確率は上がります。
事前に知ることで、その後の進路を考えるときに「何を重視したいか・どうすればいいかが見えてくる」など、得られることも多いのです。
そこで、ここからは高校中退者が直面する困難を、5つご紹介いたします。
あなたを心配させるつもりはありませんが、もし心身に余裕があるようでしたら、この章の「困難」と、次章の「中退前にできること」を検討してみてください。
また、「何も考える余裕がないくらい、高校を中退したい」という場合も、すぐには中退せずに、まずは休学や欠席を検討してみましょう。
あなたの状況を知らないうちに、高校中退を「するべき」とも「しないべき」とも言いませんが、一度立ち止まって考えた方が、よい決断ができることが多いのです。
1つ目は「学歴で判断される場合がある」ことです。
もちろん、人柄や能力は「学歴のみ」でわかるものではありません。
しかし、残念ながら現在の日本社会では、学歴が大きな判断材料のひとつにもなっています。
そのため、やや厳しい言い方をすると、「学歴差別を受ける」ことがあるかもしれません。
特に就職の際には、高校中退という経歴を取りあげて、「やり抜く力がなさそうだ」と評価されたという話も耳にします。
こうした困難が続くことで、自分の経歴に自信が持てなくなる、いわゆる「学歴コンプレックス」に悩む人もいるのです。
しかし、学歴で判断された悔しさをバネにして、大学進学を目指すべく、学び直しをする人も多くいます。
中退後にどうすればいいかわからないという人は、学び直しで学歴を更新するという方法もあることを覚えておきましょう。
2つ目は「大学(・短大・専門学校)進学へのルートが複雑になる」です。
高校を中退せずに卒業すれば、自動的に大学受験の資格を得ることができます。
しかし、高校を中退すると、まずは大学受験資格を取得するところから始めなくてはなりません。
そのため、大学進学に向けたルートが多少複雑になり、どうすればいいのかわからないという方も少なくないでしょう。
なお、最終学歴が中卒の状態から大学受験を目指す方法については、以下のコラムに詳細にまとめてありますので、あわせてご参照ください。
3つ目は「就職先の候補と給料が少ない」です。
就職先を探すときの重要な確認事項の一つとして、「正規雇用かどうか」があります。
非正規雇用は「悪い」ものではありませんし、正規雇用に比べて「雇われやすい(辞めやすい)」「興味のある仕事を掛け持ちしやすい」「シフトによって労働時間を調整しやすい」などといった利点はあります。
一方、「給料、福利厚生、キャリア」の点から言えば、一般的には非正規雇用(アルバイト・パートなど)よりも、正規雇用の方が条件がよいと考えられます。
よって、正規と非正規のどちらがよいかは一概には言えないものの、正規雇用を希望しているならば、「望まぬ非正規雇用」は避けたいでしょう。
しかし、厚生労働省の統計によれば、15~34歳までの若年労働者における正社員の割合は、中卒で「35.4%」なのに対し、高卒では「56.3%」、大卒で「80.9%」と、最終学歴によって大きな差があります。(参考:厚生労働省『平成30年若年者雇用実態調査の概況』)
高校中退で最終学歴が中卒になると、正規雇用での募集自体が少ないため、派遣労働などの限られた候補の中から就職先を探すことも多くなる、ということです。
もちろん、長く働き続けているうちに、「正規雇用への転換を提案された」という人もいますので、就職時点では非正規雇用でも、「その後の展開次第で可能性が広がるかもしれない」という点は、心に留めておいてください。
4つ目は「あなたの中退後も高校に在籍し続けている友達」や、「その後、大学などに進学した友達」と疎遠になりやすい」です。
文部科学省の統計によれば、高校中退者の割合は例年「1.5%」前後と少なく、高校を卒業して進学する人と比べると、少数派となります。(参考:文部科学省『令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果』)
そのため、高校在学中の友達や大学進学した友達と話をしているときに、「話題に共感できない」「話についていくのが難しい」と感じることがあるのです。
もちろん、全員がそうではありませんが、境遇が変わることで、進学した友達と距離ができたと悩む人もいます。
ただ、「高校時代の友達」と疎遠になること自体は、高校を中退せずに卒業したとしても、充分に起こりうることです(中退・卒業しなくても、クラス替えなどでも起こります)。
中退後にかつての友達と疎遠になったとしても、「高校を中退したせいだ」と思い詰める必要はありません。
最後は「何もしない期間ができて不安になる」というものです。
進路を決めずに高校を中退した人の中には、仕事や勉強をせずに(できずに)、どうすればいいのかわからないまま、毎日を過ごす人もいます。
こうした「何もしない期間」は、「絶対に悪いこと」ではありません。
休養が必要な人もいますし、長い人生の中では遊ぶ時期があってもよいでしょう。
「そのブランクがあったからこそ、今後の人生で巻き返しを図ろうと決心し、頑張ることができた」と言う人もいます。
しかし、後になって振り返ってみると、「あのときにもっと頑張っていればよかった」と、後悔する人も少なくありません。
その時点では生活することができても、先行きに不安を感じたり、履歴書を見せるときに空白期間について尋ねられたりと、心情的に困難を抱える人もいます。
どうすればいいのかわからないまま「何もしない期間」だけが延びることに、焦りを感じる人もいるようです。
確かに「何もしない期間」があっても、生活ができれば、気にする必要はないかもしれません。
ですが、その後の人生で困難が生じる可能性があるということは、頭の片隅に留めておいてもよいでしょう。
この章では、高校中退を検討している人向けに、中退前にできることを4つご紹介します。
高校中退の理由は人それぞれですが、最も多く見られるのは「学校生活や勉強が自分に合わない」という理由です。
文部科学省の調査によると、2021年度の高校中退者数は全国で「約39,000人」、そのうち昼間に授業を受ける全日制課程での中退者は「約25,000人」にのぼります。(参考:文部科学省『令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果』)
その高校中退の理由で2番目に多い「約30%」を占めるのが、「学校生活・学業への不適応」です。
こうした学生生活上の困難に対して、どうすればいいかわからず、高校中退を選ぶ人が多いのです。
しかし、学校生活や学業の問題は、高校中退以外にも、解決できる選択肢があります。
これから解説する4つの対処法を参考に、高校を中退しなくても問題を解決できるかどうか、ぜひ一度考えてみてください。
繰り返しになりますが、あなたの状況を知らない私が「高校中退はしない(する)方がいい」と言うわけではありません。
ただ、中退するにしてもしないにしても、「高校中退するしかない!」と思い込んで行動するよりも、一度立ち止まった方が、「よりよい選択」ができる可能性が高まるのです。
高校中退を考えている人は「まずは親に相談する」ようにしましょう。
いきなり高校中退の話をすると、親御さんは驚くかもしれません。
ですので、その前に、あなたが抱えている学校での悩みを打ち明けてみてください。
親御さんであれば、悩みを解決するために、あなたに寄り添って一緒に考えてくれると思います。
もし、真面目に取り合ってくれない場合は、高校中退を考えている旨を率直に告げた上で、慎重に今後のことを話し合うようにしましょう。
本当に高校中退する際は、後述するように、担任の先生を交えた三者面談をすることになります。
どういった結論を出すにせよ、どうすればいいかわからないという人は、まずは親に相談してみてください。
次に「担任の先生やスクールカウンセラーに相談する」という選択肢です。
担任の先生は、親御さんではわからない、あなたの学校の様子をしっかりと把握していますので、相談もスムーズに進むはずです。
また、通っている学校の制度にもよりますが、心のケアやストレス対処を専門とするスクールカウンセラーが在籍していることもあります。
高校を中退する前に相談をすることで、現在の状況を変えるための有益なアドバイスをもらえるかもしれません。
もし、あなたが抱えている悩みがクラスの人間関係にある場合は、担任の先生やスクールカウンセラーに相談した上で、「保健室登校」に切り替えることも可能です。
また、高校中退を考える理由に、学費などのお金の面が関係している場合は、担任の先生に相談することで、あなたが利用できそうな奨学金制度などを紹介してくれるかもしれません。
担任の先生やスクールカウンセラーは、あなたの知らない対処法や制度を多く知っている頼りになる相談先のひとつです。
あなたの抱えている「どうすればいいかわからない」という悩みを解決する方法を提示してくれるはずです。
3つ目は「塾などの専門の支援機関に頼る」です。
あなたが不登校や引きこもりの悩みを抱えて中退を考えているのであれば、専門の支援機関や塾などを頼るのも一つの手段です。
世の中には不登校や引きこもりの子などを、専門的に支援している機関があります。
「どの支援機関に頼ってよいかわからない」という場合には、お住まいの自治体のウェブサイトをご覧いただくことで、関連窓口の案内を見つけることが可能です。
また、民間の支援機関であれば、フリースクールやサポート校を利用するのもよいでしょう。
学校によっては、フリースクールやサポート校への出席が、「学校への出席」に代わることがあります。
ただし、あなたの通っている学校と連携していない場合もありますので、まずは学校やご検討中のフリースクールに確認してみてください。
その他にも、塾や予備校の中には、不登校や引きこもりの子を支援した実績を持つところがあります。
そういった支援機関であれば、事例も豊富ですので、具体的で役立つアドバイスや心のケアを得られるはずです。
最後は「他校への転校を考える」です。
いまの学校の雰囲気や授業の進め方が合わずに高校中退を考えているという人は、環境を変えてみるだけで、学校生活が楽になる場合があります。
特に、「今の学校や人間関係がつらい」という理由で高校中退を考えている場合は、転校・転入について親御さんと話し合ってもよいでしょう。
また、後述しますが、通信制高校や定時制高校への転入という方法もあります。
これは特に、どうすればいいかわからずに引きこもっている人が、次の一歩を踏みだしたいというときに多く選ばれる方法です。
ただし、一度、高校を中退してから再入学しようとすると、ブランクができたことで卒業時期が延びることもあります。
そのため、高校中退前に手続きを進めて、中退と同時に転入する人もいます。
いずれにせよ、高校中退前に「他校への転校・転入」で不満が解消されないか、周囲とよく相談をした上で、選択肢のひとつとして考えるのもよいでしょう。
高校中退を決めたものの、「手続きはどうすればいい?」という人のために、ここでは一般的な退学手続きについて解説いたします。
学校によって多少変わりましたが、一般的・具体的な手順としては、主に以下の4つに分かれます。
①担任・学年主任の先生との三者面談 ②退学届の提出 ③金銭面の処理 ④私物や書類の持ち帰り
ひとつずつ順に確認していきましょう。
親御さんとの間で話がついていることが前提になりますが、まずは担任の先生を交えての三者面談を行います。
学校によっては、学年主任の先生とも話すところがあるようです。
三者面談では、退学の意思確認、理由説明ののちに、手続きに必要な書類などについて案内されます。
進路について問われるかと思いますが、明確に定まっていなくても大丈夫です。
三者面談が終わったら、退学届を提出しましょう。
意思が固く、印鑑などを持ってきているのであれば、当日中に提出することもできます(もちろん後日でも大丈夫です)。
退学届には以下の内容を記載することになります。
退学理由は「進路変更」や「一身上の都合」といった書き方で問題ありません。
基本的には親御さんが行う手続きになると思いますが、中退に伴って、金銭的な処理が必要になります。
高校では、授業料、教育費、生徒会費などを分割で払っている学校が多いです。
そのため、まだ支払っていない分を清算し、不足分を納金しなくてはなりません。
中退の時期が3月末ではなく、4月1日以降にずれ込んだ場合などは、新年度の分の学費を払わなければならないなど、日付によって変わってくるケースもありますので、早い段階で先生に確認して、計画的に進めましょう。
最後に、学校に置いてある私物を片付けて終了になります。
ロッカーの中にある教科書やプリント、上履きなどを持ち帰りましょう。
また、可能であれば、中退までに「単位取得証明書」という書類を申請して、受け取っておくことをオススメします
単位取得証明書は、あなたが中退するまでに修得した単位が記載・証明されています。
これは、後で説明する高卒認定試験の際の「受験科目の免除」に役立ったり、就職の際に必要になったりします。
もちろん後日でも構いませんが、持っていて損にはならないため、受け取っておくとよいでしょう。
私たちキズキ共育塾は、高校を中退した人・したい人のための完全個別指導塾です。勉強や生活について、無料相談ができます。高認・大学合格実績多数。お気軽にご連絡ください。
LINEで問い合わせここからは、高校中退後の進路を5つに分けて、ご紹介します。
進路を最終的に決めるのはあなた自身です。
しかし、進路を考える際には、「どうすればいい?」とひとりで考え込まずに、信頼できる家族や専門家の人に相談することをオススメします。
あなたが思いつかなかった進路や、気付かなかった視点、アドバイスをもらえることで、将来についての考えがもっと深まるはずです。
ここで紹介するものがすべてではありませんので、あなた自身が周囲の人の話を聞くという姿勢を忘れないようにしましょう。
1つ目は「高卒認定資格を取得して大学(・短大・専門学校)進学を目指す」です。
高卒認定資格は「高校卒業と同程度の学力があること」を公的に証明する資格です。
正式名称を「高等学校卒業程度認定試験(旧大検)」と言い、取得することで、大学・短大・専門学校、一部の公務員試験などの受験が可能になります。
取得には、年に2回(8月・11月)実施される試験に合格する必要があり、その年度で16歳以上、かつ大学入学資格のない人であれば、誰でも試験を受けることができます。
もちろん、中退後に再入学して高校に在籍しているという人も受験できます。
全部で8〜10科目を受ける必要がありますが、高校での学習状況によっては、受験を免除される科目もあります。
さらに、一度合格となった科目は、その後もずっと有効です。
高卒認定資格を取得するには、まずは制度を理解し、あなたに合った学習方法を見つけることが大切です。
塾によっては、専門の講師やスタッフが、高卒認定資格の取得から大学受験までを総合的にサポートしてくれるところがあります。
制度があることは知っているけれど、どうすればいいかわからないという人は、こうした塾を調べてみてください。
高卒認定資格についてもっと詳しく知りたい方は以下のコラムが参考になるかと思います。
2つ目は、「通信制高校への再入学」です。
通信制高校とは、学校から送られてくるテキストや動画などを使った、自宅学習を軸とする高校です。
通信制高校の最大の特徴は、基本的に「通学の必要がない」という点です。
通学が必要なのは、「スクーリング日」と呼ばれる限られた日数だけです(必要なスクーリング日は、学校によって大きく異なります)。
「通学して受ける授業」の代わりに、レポート提出や試験で卒業単位を修得することになります。
あなたのペースで勉強できるため、「学校の授業に追いつけない」、または、「授業の進度が遅すぎた」という理由で高校を中退した人に適した選択肢と言えるでしょう。
通信制高校に興味が湧いてきた方は、ぜひ、以下のコラムをご参照ください。
3つ目にオススメしたい進路は、「定時制高校への再入学」です。
定時制高校は、朝から夕方に授業を受ける「全日制高校」とは違い、昼、または夕方から授業を受けることが可能な高校です。
定時制高校の授業のコマ数は、1日4コマが目安のため、全日制高校よりも時間管理がしやすいというメリットがあります。
ただし、高校によっては、卒業までに4年かかるところもありますので、あらかじめ確認が必要です。
また、定時制高校には、高校中退者が少なからず在籍しています。
同じ背景を持つ人と友達になりやすいため、卒業後の進路をどうすればいいかわからないという悩みを持った際の助けになってくれるかもしれません。
「中退したけど、学校自体は好きだった」という人は、ぜひ定時制高校への再入学を検討してみてください。
定時制高校の情報は以下のコラムに詳しくまとめてありますので、ご参照ください。
4つ目の進路として「就職して仕事をがんばる」という選択肢があります。
「仕事が充実したことで高校中退前よりも生活が楽しくなった」という人はたくさんいます。
しかし、前にも述べた通り、最終学歴が中卒の場合は就職先の候補が少なく、希望した給料や待遇が得られない場合もあります。
そのため、上に述べた通信制高校や定時制高校と組みあわせて、「日中は働いて、夜は勉強する」「働きながら高卒認定資格取得を目指す」という生活をしている人もいます。
「仕事と勉強以外の時間が減る」という困難はありますが、「勉強だけをしていたときよりも充実している」という人も少なくありません。
特に、「家計を助けるために高校を中退した」という人は、仕事をしながら勉強するという選択を検討してみてはいかがでしょうか。
高校中退後には「海外留学する」人もいます。
留学して現地の学校を卒業すれば、日本でいう高卒資格とともにその国の言葉も身につけることができて、一石二鳥だという考えです。
留学先としては、アメリカ、イギリス、カナダといった例が見られます。
私の知人にも、高校を中退してオーストラリアへ留学・卒業した人がいました。
その人は、留学した理由として、「グローバルに活躍できるようになりたい」「日本の学校の雰囲気が合わなかった」ことを挙げていました。
オーストラリアの普通高校を卒業し、最終的には日本の大学に進学しましたが、海外に慣れたことで、その後の進路選択の幅が広がったという話をしていました。
しかし、海外留学という進路は、言語能力・お金・精神面などで、「誰でもカンタンにできること」ではないということは正直にお伝えしておきます。
留学までに整えなくてはならない段取りも多く、高校中退して「どうすればいいかわからない」という人が、勢いや「なんとなく」で実行するには、ハードルが高い面もあります。
もし本気で検討したいという方は、家族と相談を重ねた上で、経験者の意見を聞くことが大切です。
最後に、お子さんが高校中退を希望しているという親御さん向けに、お伝えしておきたいことがあります。
いきなりお子さんから高校中退の相談をされると、慌てたり驚いたりして、「そんなのはダメ」と否定から入ることもあるかと思います。
しかし、まずはお子さんの選択や判断を否定せずに、話を聞くことに徹しましょう。
頭ごなしに否定されると、お子さんに反抗心が芽生え、意固地になって「なんとしても中退する」と言い張る場合があります。
自分がどうすればいいのか、どうしたいのかがわからなくなって、混乱してしまうお子さんもいるはずです。
お子さんの本心としては、「単に悩みを聞いてほしい」「引き留めてほしい」と思っているだけかもしれません。
まずはじっくり話を聞いて、このコラムで述べてきた「高校中退後の困難」や「高校中退前にできること」をアドバイスとして伝えましょう。
それを踏まえて、「中退せずに今の学校で頑張る」というようであれば、サポートをするためにできることを一緒に考えたり、悩みの相談に乗ったりするとよいでしょう。
それでもやはり高校を中退するというようであれば、その後の進路選択についてじっくり話し合うことをオススメいたします。
ちなみに、お子さんが不登校や引きこもりで悩んでいたとしても、次の一歩を踏みだすためにできることは様々にありますので、ご安心ください。
具体的な対処法や不登校・引きこもりの子の心理については、以下のコラムにまとめてありますので、よろしければ参考にしてみてください。
この章では、「高校中退」について、中退経験者や検討者のための個別指導塾・キズキ共育塾の講師たちの体験談を紹介します。講師たちの中には、実際に高校を中退した人も、中退を迷ったけれどしなかった人も、たくさんいます。あなたの「これから」を考えるために、きっと参考になると思います。
また、私たちキズキ共育塾の無料相談では、「実際のあなた」のための、より具体的なアドバイスが可能です。ぜひご相談ください。
近藤翔平講師の体験談
高校2年生のときに人間関係に疲れたことが理由で、高校中退を考えました。ただ、大学には行きたいという気持ちがあり、高認試験を受けるよりは、無理のないように学校に通った方が負担が少ないと判断して、中退はしませんでした。
その後は休むこともありましたが、高校には通い続けました。人間関係に疲れたときはすぐ帰宅したり、放課後を仲のよい友達と過ごしたりして気をまぎらわせていました。「受験が終わったらもう悩まなくてすむのだから、いまは勉強に集中しよう」と自分自身に言い聞かせていたことを覚えています。
ゴールを意識することによって、目の前のことに取り組めたことがよかったのだと思います。
大草健太講師の体験談
普通科に通っていた私は、2年生の12月に病気のため通学が困難になりました(2年生は修了することができました)。3年生の6月ごろに正式に退学して、同年(2012年)11月に高認を受験しました。全ての科目で免除要件を満たしていたので、数学Ⅰのみ受験し合格しています。
補足〜高校中退のタイミングと高卒認定の科目免除についてのアドバイス〜
まず、高卒認定試験の内容は、基本的には普通科なら1年生と2年生で習う範囲です。
そして、高卒認定試験には科目免除制度があります。カンタンに言えば、「その科目で、テストや出席日数が基準を満たして学年を終えていれば、試験を受けずに合格扱いになる」ということです。受験免除のために必要な書類などは、在籍していた高校に依頼すると取得できます。
全ての科目で免除を適用できる場合は、いずれか一つの科目は受験して合格する必要があります。どの科目でもよいので、得意科目を選べるということです。
免除の目安は、次のようになります(※あくまで目安ですので、「実際のあなた」がどうなのかは、学校に確認しましょう)。
■1年生を修了した→全科目数の1/3〜1/2免除
■2年生を修了した→全科目免除(1科目のみ受験)
「この先大学受験をしたい(するかもしれない)から中退を迷っている」場合も、高校に通っていた年数などによっては、高認試験を楽に乗り切れる(=高校を中退しても大学受験に挑みやすくなる)可能性があるということです。
まとめ:高校に通っていたことは高認受験において制度的にもムダにはなりません!
私たちキズキ共育塾は、高校を中退した人・したい人のための完全個別指導塾です。勉強や生活について、無料相談ができます。高認・大学合格実績多数。お気軽にご連絡ください。
資料を無料ダウンロード高校中退後の困難から、中退前後にできること、進路選択までを徹底解説してきましたが、興味が持てる選択肢はありましたか?
「どうすればいい?」と一人で悩み続けるのではなく、誰か相談して、考えを聞いてみることが大切です。
また、人に話すことで、あなた自身が本当にしたいことに気が付くという場合もあります。
ぜひ、信頼できるご家族や先生、塾講師などの専門家の人に、相談してみてください。
このコラムが、高校中退後の進路について悩む人の助けになれば幸いです。
私たちキズキ共育塾では、高校中退の悩みから、次のステップへ進もうとしている方を支援しています。
高校・大学受験、高卒認定試験、学校復帰など、無料相談も随時行っておりますので、お悩みを抱えている方は、ぜひ一度相談にいらしてください。
/Q&Aよくある質問
高校を中退したら、どんな「困難」があるのでしょうか。
高校中退の前に、できることはありますか?