いじめによる不登校|親ができる10の対応・「その後」の体験談を紹介

いじめによる不登校|親ができる10の対応・「その後」の体験談を紹介

こんにちは、学校が苦手なお子さんのための完全個別指導塾・キズキ共育塾の藤井祐太朗です。

このコラムをご覧のあなたは、いじめによって不登校になったお子さんのことで、お悩みなのではないでしょうか

「子どもがいじめが原因で不登校になったけど、親としてどう対応すればいい?」
「いじめによって不登校になった子どもの「その後」はどうなるのだろう…」

このような悩みや不安を抱えていらっしゃるかもしれません。

今回は、いじめによって不登校になった子どもに対して親にできる対応、「今の学校以外」の選択肢、「その後」の体験談などお伝えします

また、いじめによる不登校に関する文部科学省の調査結果も紹介します。

このコラムが、少しでもあなたのお役に立てれば、嬉しいです。

なお、「なぜ、学校でいじめが起きるのか」「いじめの原因は何なのか」については、以下のコラムをご覧ください。

また、「ハッキリといじめられているとわかっているわけではないけど…」「学校に行きたがらないけど、不登校とまで言っていいのか…」とお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、このコラムは、「公的ないじめ・不登校の定義」に当てはまるかどうかにかかわらず、「いじめと学校・不登校」に関心があれば役に立つ内容となっています。まずはリラックスしてお読みください

共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス

大切なのは、「学校だけが全てではない」と思えること

いじめは暴力であり、ときとして人の命を奪います。絶対に許されるものではありません。

しかし、実際に子どもの世界で起きていることです。「いじめの予防」や「大人による介入」が簡単にできるほど甘くないのが現状です。

犯罪にあうことや、上司のハラスメントと同様に、避けようがないかもしれません。大人でも、「ハラスメントにあっている」と周囲には言いづらいものです。

大切なのは、子どもが「被害にあっていること」を周囲に伝えられることです。親御さんは、子どもと信頼関係が築けていると思っているかもしれません。ですが、子どもの方に合わせるようにしてほしいと思います。

いじめを受けた子どもを、孤立させないでください。「学校だけが全てではない」と思えるかどうかが大切です。

いじめによる不登校の実態|文部科学省の調査より

いじめによる不登校の実態|文部科学省の調査より

まずは、いじめと不登校の関係について、文部科学省の調査に基づいてお伝えします。

少し長いので、「お子さんへの対応法」を先に知りたい方は、次々章「いじめに関連して不登校なお子さんに、親御さんができる10個の対応」までお進みください。

文部科学省の調査結果によると、全国の小、中、高等学校及び特別支援学校が把握したいじめの認知件数は次のとおりです。(参考:文部科学省「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」)

  • 2021年:517,163件
  • 2020年:615,351件

1年間で、約10万件増加しています。

具体的ないじめの態様の内訳は次のとおりです。

  • 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる…57.8%
  • 仲間はずれ、集団による無視をされる…12.0%
  • 軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする…22.9%
  • ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする…6.0%
  • 金品をたかられる…0.9%
  • 金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする…5.1%
  • 嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする…9.3%
  • パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる…3.6%
  • その他…4.4%

また、いじめが要因で不登校になったと回答している人数は、次のとおりです。

  • 小・中学校…不登校児童生徒数244,940人のうち、749人(うち、いじめが主たる要因なのは516人)
  • 高校…不登校生徒数50,985人のうち、125人(うち、いじめが主たる要因なのは104人)

いじめの認知件数は、平成23年度の70,231件に対し、令和3年度は615,351件と、10年で10倍以上となっています。

「これまでいじめとして取り上げられなかったものが明るみに出るようになった」と解釈すれば、ある意味では喜ばしいことかもしれません。

ですが、後ほど詳しく解説しますが、近頃はSNSによるいじめなども新たに発生しており、実際の数は把握しづらいのが現実です。

いじめの認知件数が増加した背景

続いて、いじめの認知件数が増加した背景として考えられることをお伝えします。

背景①「時代」によるいじめの内容の変化

①時代によるいじめの内容の変化

いじめの認知件数が上がった背景の一つが、インターネットやSNSの発達です。

インターネットが発達する以前は、物理的な暴力や学校内での嫌がらせなどのいじめが多かったことが考えられます。

しかし、現代では、スマートフォンやSNSなどを利用したいじめが散見されます

先程のデータで、「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」では、全体の割合こそ3.6%と少数ですが、高校生に対象を絞ると17.3%と激増します。

インターネットを利用したいじめの大きな特徴は、「いじめが学校内に限らないこと」「匿名であること」です

24時間365日、誰かわからない人からいじめを受ける可能性がある状態は、精神的に大きな負担となるでしょう。

背景②「社会の変質」による子どもの変化

社会の変質が、子どもの攻撃性の増加させ、いじめの増加につながっていることも考えられます。

例えば、次のようなことが考えられるでしょう。

  • 生活様式の変化による親子のコミュニケーションの減少
  • テレビゲームなどのバーチャルメディアの進歩

コミュニケーション不足などで、親からの受容を得られていないと感じる子どもは、攻撃性が高まるという研究結果があります(参考:「両親との情緒的関係が青年期の攻撃性に与える影響-自己愛・自尊心を仲介に-(※PDF)」)

これは、社会心理学の欲求不満攻撃理論(欲求不満がたまると、その人の攻撃性も高まる)に繋がるでしょう。(参考:「社会心理学 補訂版」)

また、インターネットやゲームなど、メディアの暴力・残虐表現が、子どもたちの攻撃性の高まりや、共感の欠如、社会行動の欠如などの人格にマイナスな効果を与える可能性がある発表とされているのです(参考:文部科学省委託調査「青少年を取り巻くメディアと意識・行動に関する調査研究―メディアによって表現された暴力的有害情報が青少年に与える影響に関する文献調査―」)

ただし、もちろん「コミュニケーションの少ない家庭の子どもは絶対にいじめをする」「テレビゲームが絶対にいじめにつながる」などの考え方は、差別的で短絡的です。

あくまで一つの可能性として、ご理解ください。

背景③「いじめへの意識」の変化

③いじめへの意識の変化

いじめに対する意識の変化によって、「いじめられている側」が相談しやすくなり、いじめの認知件数増加につながっているとも考えられます。

一昔前までは、「いじめはいじめられる方に原因があり、いじめられる方が悪い」という価値観が少なからずありました。

私も、雑談レベルではありますが、そのような話を何度も耳にしたことがあります。

「自分はいじめられた経験がない=正常」「いじめられた経験がある人=異常」という偏見が、いじめを相談ができない雰囲気を作っていたのかもしれません/p>

ですが、近頃は、「いじめ=絶対悪」と考えられるようになりつつあるような気がします

しかし一方で、上記の文部科学省の調査結果によると、本人が訴えて発覚したケースは17.4%で、いじめについて他人に相談できない問題には、まだまだ根深いものがあるのです。

また、NPO法人共育の杜は、教職員を対象とするアンケート調査の中の「子どもたちの様子で懸念していること」の結果によると、「今後いじめが増える可能性が高い」と回答した割合が88.77%でした。(参考:「NPO法人「共育の杜」が教職員勤務実態調査を文部科学省で記者会見」)

いじめだけに限らず悩みや不安は、自分一人で考え込むよりも誰かに相談したほうが知恵は2倍になり解決しやすくなりますし、安心感にもつながります。

子どもには、親、先生、友達など、信頼できる人に相談することの大切さを伝え、親は日頃から子どもと話しやすい関係性・環境をつくりましょう/span>。

いじめによる不登校の子に親ができる10の対応

自分の子どもがいじめにあい不登校になっているとわかったとき、力になりたいと思う親御さんは多いでしょう。

そこでここからは、いじめによる不登校の子ども対して親ができる対応をお伝えします。

なお、「前提」の内容は、いじめがあるかどうかに関わらず行っていただきたいことです。

また、先にお伝えしておくと、大切なのは「いじめや不登校のことを家庭だけで抱え込まず、専門家をに相談すること」です。

前提①良好な親子関係を築く

前提①良好な親子関係を築く

いじめについて、子どもから相談しやすくなるよう、ふだんから良好な関係を築きましょう。

いじめられている子どもは、次のように思っていることがあります。

  • いじめられていることを親に言うのが恥ずかしい
  • 親は忙しそうだから、自分のことを相談するのは申しわけない
  • 親は自分のことなんて気にしていない

このような思いから、いじめられているお子さんは、親に相談できないことが多いです。

また、親御さんも、つい次のようなことを考えがちです。

  • 子どもが何も言ってこないから、学校生活は大丈夫なんだろう
  • うちの子はしっかりしているから、学校で何かあっても対応できるはず
  • 困ったことがあるなら、きっと相談してくれるだろう

こうした考えによるすれ違いを避けるためにも、日頃から良好な親子関係を築けるよう心掛けてみてください

もちろん、「どんな関係がよいのか」は、お子さん・親御さん・家庭によって異なりますが、例えば次項②のような関係が考えられます。

前提②味方であることを伝えて相談に乗る

ふだんの子どもとの会話の中で、言葉に出して伝えてほしいことがあります。

それは、「私(親)はいつでもあなたの味方だよ」という言葉です

日常的にこのような声掛けを行うことで、お子さんがいじめにあったときに、親御さんに相談しやすくなります。

また、いじめに限らず日常的に子どもから相談があった際は、話をさえぎらず、子どもが満足行くまで話を聞き続ることが大切です

子どもの伝達力や言語能力がつたなく、言っていることがわからないこともあるかもしれません。ですが、まずは子どもが話し終わるのを待ちましょう。

子どもが話し終わってから、質問を通じて子どもの言いたいことを正確に把握するようにしてみてください。

大人の目から事態を軽く見積もったり、安易な言葉で言い換えて終わらせたりせず、子どもの言うことを真正面から受け止め、実態を正確に把握できるよう努めることが大切です。

とはいえ、相談を受けた親は、子どもが話している途中でも、自分が知りたい情報を聞き出したいと思うでしょう。

ですが、無理に話を聞き出そうとすると、心に傷を負った子どもをさらに傷つけ、子どもは話したくなくなる可能性があるのです。

前提③子育ての専門機関を利用する

前提③子育ての専門機関を利用する

ここまでの話だけでは、「具体的に、どうにしたらいいのかわからない」と思うこともあるでしょう。

そういった場合は、ぜひ子育ての専門機関を利用してください。

専門機関の例としては、市区町村の子育て相談窓口や、学校のスクールカウンセラーなどがあります

民間の相談機関や、親同士の互助会などがありますので、インターネットで「子育て 相談」「親子のコミュニケーション 相談」などと検索し、気になるところに問い合わせてみましょう。

今現在で「いじめられている」と決まっていなくても、不安であれば「いじめが発生したときのために、ふだんのコミュニケーションをどうすればいいかなどを教えてほしい」などと相談するとよいでしょう。

前提④普段から子どもの様子をチェックする

ただ、どんなに良好な関係を築いても、「いじめられてることを言えない」お子さんもいます。

そういったお子さんの場合、普段の様子をよくチェックしておくことが大切です。

もちろん「お子さんのことを何でもかんでも把握する」のではなく、あくまでいじめに関する部分だけです。

チェックする内容の一例として、文部科学省による、保護者向けの「いじめのサイン発見シート」があります。子どもの様子を確認する際のご参考にご覧ください(PDFはこちら)。

いじめのサイン発見シート

文部科学省の「いじめのサイン発見シート」以外の参考になる項目としては、次のようなものがあります。(出典:沖縄県教育庁義務教育課「沖縄県いじめ対応マニュアル」、島根県教育委員会「いじめ発見のための家庭用チェックシート」、茨城県教育委員会「家庭用いじめ発見チェックリスト」)

  • 「転校したい」や「学校をやめたい」と言い出す
  • 一人で登校したり、遠回りして帰って来たりしている
  • お風呂に入りたがらなかったり、裸になるのを嫌がったりする
  • テレビゲームなどに熱中し、現実逃避しようとする
  • 親の学校への出入りを嫌う
  • 成績が下がり、書く文字の筆圧が弱くなる
  • 友達の話をしなくなったり、いつも遊んでいた友達と遊ばなくなったりする
  • 友達から頻繁に電話がかかってきて外出が増える。メール(ブログなど)を気にする
  • いじめの話をすると強く否定する

また、前項の「子育ての専門家」に話を聞く中でも、チェックするべきことを教えてもらえるはずです。

対応⑤家庭を安心できる場所にする

⑤家庭を安心できる場所にする

ここからは、実際にお子さんがいじめられていて、学校に行きたくないと言ったり不登校になったりした場合の対応です。

まず、家庭を、お子さんにとって安心できる居場所にしましょう

いじめられている子どもは、心に悩みを抱え、自信を失い、自分の存在価値を見失っていることが多いです。

学校や教室に居場所がなくても、家だけは自分の居場所だと思えると、子どもは安心できるでしょう。

また、家族に受け入れられると、「自分は一人じゃない」「自分を必要としてくれる人がいる」ことにも気づけるはずです

そうすると、自分の存在価値を再確認したり、自己肯定感や自尊感情を回復するきっかけにもなります。

また、「家庭という安心できる居場所」を足がかりに、「次の一歩」にも進めることもあるでしょう。

対応⑥「学校に行かなくていい」と子どもに伝える

子どもが学校に行きたくないと言っている場合は、「休んでもいい、行かなくていい」と伝えましょう。

大切なのは、言葉にして子どもに直接伝えることです

子どもが「学校に行かない」と言い出したときにはすでに、様々な葛藤に苦しんで、がんばりきった後の状態であることが多いです。

親の目からはがんばっていたように見えないかもしれませんし、子ども自身もがんばった自覚がないこともあります。

ですが、がんばって悩み抜いた結果、「学校に行かない」結論に達したのだと考えましょう。

そして、「がんばったね」「学校に行かなくていいよ」と、直接言葉にして伝てください

子どもは、親から直接「学校に行かなくていい」と言われることで安心できます。

休んで回復した後、子どもは必ず前に向かって歩き出せるのです。

対応⑦子どもが興味を示すものをさせる

⑦子どもが興味を示すものをさせる

学校に行かない時間に、趣味や遊びなどで子どもが興味を示すものがあれば、それに取り組ませてみてください(健康や家計の範囲内で)。

趣味などがきっかけで自信を取り戻したり、自己肯定感が高まったりするケースがあるからです

また、この期間に身につけたことが、将来つながる可能性も十分にあります。

「いつまでも遊ばせておけばいいの…?」と不安になるかもしれませんが、そうした不安は後掲⑨の専門機関に相談しましょう。

対応⑧学校に連絡する

実際に「いじめがある」と判断した場合は、学校にも連絡しましょう。

学校は、いじめ防止対策基本法に基づき、いじめに対応する義務があります

学校によるいじめ隠蔽などのニュースなどを見て、学校への相談をためらう人もいますが、相談するに越したことはありません。

その上で、次項以下の対応も並行して行っておくと、学校の対応が不誠実だったり、お子さん向きの解決法が提示されなかったりした場合のことも考えられます。

対応⑨いじめや不登校の専門機関を頼る

対応⑨いじめや不登校の専門機関を頼る

「子育ての専門機関」同様に、いじめや不登校の専門機関を頼ることもオススメです(子育ての相談機関が兼ねていることもあります)。

専門機関を利用することで、前項までの対応も、あなたのお子さんのための具体的な対応もわかりますし、他の対応も見つかります

家庭内で悩みを抱え込んでいると、ストレスがたまり悪循環になりやすいので、カウンセラーに話しストレスを軽減させましょう。

また、専門機関は様々なケースを通じて知識やノウハウを蓄積しているため、類似ケースから解決策を見出してくれることもあります。

以下、相談窓口の例を紹介します。

  • 子どもの人権110番
    TEL:0120-007-110
    いじめ、虐待など、子どもの人権問題に関する専用相談電話です。保護者などの大人が利用することもできます。
  • みんなの人権110番
    TEL:0570-003-110
    差別や虐待、パワーハラスメントなど、様々な人権問題に関する専用相談電話です。全国の法務局・地方法務局、及びその支局で開設しています。
  • 24時間子どもSOSダイヤル
    TEL:0120-0-78310
    文部科学省が設置している、子ども本人のための相談窓口です。
  • チャイルドライン
    TEL:0120-99-7777
    18歳までの子どもの相談窓口です。

ほかにも、支援団体やフリースクール、我々キズキ共育塾のような学習塾などの民間企業でも、いじめや不登校に関して相談できる場所はたくさんあります。

インターネットで「子育て 相談」「不登校 いじめ 相談」などと検索すると候補が見つかると思いますので、気になるところ、お子さんに合いそうなところがあれば、ぜひ相談してみてください。

繰り返しとなりますが、自分一人だけ、家庭内だけで悩みやストレスを抱え込まないことが大切です。

対応⑩転校を検討する

残念ながら学校に相談しても、学校側が真剣に解決へ向けて取り組んでくれなかったり、いじめる側の態度が変わらなかったりすることがあります。

そんな場合は、無理に同じ学校に通い続けず、転校する手段があります

転校を「逃げ」と考えたり、被害者側が転校しなければならないことに理不尽さや憤りを感じたりするかもしれません。

もちろん、そういった気持ちは十分に理解できます。

ですが、粗悪な環境で我慢するよりも、新しい環境で再スタートを切るほうが、長期的に見れば比べ物にならないほど有益です

不登校からの転校に関する考え方や手続きなどは、以下のコラムをご覧ください。

いじめによる不登校の子に伝えたい「今の学校以外」の選択肢

参考として、「今在籍している学校」以外の選択肢をカンタンにご紹介します。

それぞれ気になる場合は、お子さんに合いそうか、お近くにあるかなどを、インターネットで調べたり見学に行ったりしてみてください。

選択肢①フリースクール

①フリースクール

フリースクールとは、何らかの理由で学校に通えない人が学校の代わりに通える場所です。

運営は、民間の団体やNPOなどが行っています。

各フリースクールに共通する部分は、通う人にとって安心できる「居場所」としての面が強いことです

それ以外の運営方針は団体によって違っており、勉強に力を入れているところ、精神面や生活面での支援が中心のところ、人との交流がメインのところなど、その種類や特徴は多岐にわたります。

フリースクールは「正式な学校」ではありませんが、在籍している学校によっては、フリースクールへの出席を学校への出席にカウントできる場合があります。

選択肢②適応指導教室

適応指導教室も、学校に通えない人のための教育機関です。

フリースクールとの違いは、市区町村の教育委員会が運営している点になります。

フリースクールに比べて費用がかからない点がメリットの一つです

適応指導教室への出席も、学校の出席日数としてカウントできる場合があります。

ただし、適応指導教室の基本的な方針は、「不登校の小中学生を、本籍地である学校へと復帰させること」です

「学校に戻るのは嫌」「しばらくは自分のペースで過ごしたい」場合は、お子さんが合わないと感じるかもしれません。

選択肢③通信制高校

③通信制高校

特に高校生の場合は、転校先の候補として、通信制高校があります。

通信制高校とは、「通学して授業を受けるのではなく、学校から送られてくる教材や課題を自宅で勉強する」システムの学校です(年に何回かは、「スクーリング」という、登校日もあります)。

正規の高校ですので、卒業すると高卒資格が得られます。

いじめに関連して、あまり外出したくない、誰にも会いたくないお子さんには、良い選択肢になるでしょう。

通信制高校の詳細は、以下のコラムをご覧ください。

選択肢④定時制高校

同じく、高校生の場合は、転校先の候補として、定時制高校があります。

定時制高校とは、「通学して授業を受けるけれど、全日制高校よりも授業の時間帯が遅い」システムの学校です(最近は、朝から授業を受けられる定時制高校もあります)。

正規の高校ですので、卒業すると高卒資格が得られます。

今の高校には通いたくないけれど、「いわゆる高校生活」を送りたい人には、向いているかもしれません。

通信制高校の詳細は、以下のコラムをご覧ください。

選択肢⑤学習塾

⑤学習塾

学校が苦手な人、不登校の人などのサポートに実績のある学習塾や予備校もあります(私たちキズキ共育塾もその一つです)。

そうした塾などでは、「学校が苦手なこと」に配慮した授業を受けられることが多いです

特に高校生の場合、出席日数が少ないと留年・退学になる可能性はありますが、前掲の通信制・定時制高校へ転校して大学受験や高卒認定試験の勉強を塾で行う、方法もあります。

高卒認定の詳細は、以下のコラムをご覧ください。

<体験談>いじめによる不登校を経験した人の「その後」

この章では、いじめによる不登校を経験したキズキ共育塾の生徒さんの「その後」を紹介します。

それぞれの「その後」の詳細は、各リンク先をご覧ください。

体験談①いじめ・不登校・ひきこもりからの志望校合格

中村崇浩さん(仮名)は、小学校・中学校までは順風満帆な生活を送り、高校受験にも無事成功して進学校に合格しました。

ですが、高校の指導方針が合わず、成績はどんどん下降。

クラスメイトたちに目をつけられ、悪口を言われるようになりました。

「学校に居場所がない」と感じ、半年間の不登校・引きこもり生活を送ります。

そこから志望校である東京電機大学にするまでの経緯は、以下の体験談で詳しく紹介しています。

体験談②いじめ・不登校を経験。高3で基礎から学び直し大学合格

加納真紀さん(仮名)は、中学1年生のときにいじめにあい、別の学校に転校しました。

ですが、転校先の学校でもうまく人間関係を築けず、中学校2年生の初めに不登校になりました。

高校は、成績が足りなかったことと、絵を描くことが好きだったことから、工芸高校の定時制に進学します。

その状態から東京農業大学を志望校にして合格した経緯は、以下の体験談で紹介しています。

参考:学校休んだほうがいいよチェックリストのご紹介

2023年8月23日、不登校支援を行う3つの団体(キズキ不登校新聞Branch)と、精神科医の松本俊彦氏が、共同で「学校休んだほうがいいよチェックリスト」を作成・公開しました。LINEにて無料で利用可能です。

このリストを利用する対象は、「学校に行きたがらない子ども、学校が苦手な子ども、不登校子ども、その他気になる様子がある子どもがいる、保護者または教員(子ども本人以外の人)」です。

このリストを利用することで、お子さんが学校を休んだほうがよいのか(休ませるべきなのか)どうかの目安がわかります。その結果、お子さんを追い詰めず、うつ病や自殺のリスクを減らすこともできます。

公開から約1か月の時点で、約5万人からご利用いただいています。お子さんのためにも、保護者さまや教員のためにも、ぜひこのリストを活用していただければと思います。

私たちキズキでは、上記チェックリスト以外にも、「学校に行きたがらないお子さん」「学校が苦手なお子さん」「不登校のお子さん」について、勉強・進路・生活・親子関係・発達特性などの無料相談を行っています。チェックリストと合わせて、無料相談もぜひお気軽にご利用ください。

まとめ:いじめによる不登校は相談できます

まとめ:いじめによる不登校は相談できます

いじめも不登校も、少しのきっかけで誰にでも起こる可能性があります。

しかし、起こりやすい分、解決や対処する策もたくさんあるのです。

いじめや不登校を予防・対処するためにも、日頃から子どもと良好な関係を築けるよう心掛けましょう。

そして、ためらわずに各種の専門機関を積極的に利用してください

この記事が、あなたとお子さんのお役に立ったなら幸いです。

さて、私たちキズキ共育塾は、お悩みを抱える方々のための個別指導塾です。

生徒さんには、いじめを経験した方、学校が苦手な方、不登校の方などが大勢いらっしゃいます。

ご相談は無料で、親御さんのみの相談も受け付けておりますので、少しでも気になるようでしたらお気軽にお問い合わせください。【2021年2月4日、一部データを最新内容に改訂】

/Q&Aよくある質問

いじめに関連した不登校に、親ができる対応を知りたいです。

一般論として、次のような対応があります。
  • 前提(1)良好な親子関係を築いておく
  • 前提(2)親は子どもの味方だとを伝えて、きちんと相談に乗る
  • 前提(3)子育ての専門機関を利用する
  • 前提(4)子どもの様子をふだんからよくチェックする
  • 対応(1)家庭を安心できる場所にする
  • 対応(2)学校に行かないことを許し、子どもに伝える
  • 対応(3)興味を示すものがあれば、取り組ませる
  • 対応(4)学校との連絡を行う
  • 対応(5)いじめや不登校の専門機関を頼る
  • 対応(6)転校を検討する
詳細はこちらをご覧ください。

いじめに関連した不登校で、「今在籍している学校への登校再開」以外の選択肢を知りたいです。

例として、次のようなところがあります。
  1. フリースクール
  2. 適応指導教室
  3. 学習塾
  4. (高校生の場合)通信制高校
  5. (高校生の場合)定時制高校
詳細はこちらをご覧ください。

監修 / キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

共同監修 / 不登校新聞社代表理事 石井志昂

いしい・しこう。
1982年、東京都町田市出身。NPO法人全国不登校新聞社代表。
中学校受験を機に学校生活が合わなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から2022年まで編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた。

【著書など(不登校新聞社名義も含む)】

「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること(ポプラ社)』『フリースクールを考えたら最初に読む本(主婦の友社)』『学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』『続 学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』

【寄稿など(一部)】

AERAdot」「プレジデントオンライン」「東洋経済オンライン」「FRaU」など多数

サイト運営 / キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2023年7月現在、全国に10校とオンライン校(全国対応)がある。

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