不登校の親は仕事を辞めるべき? 子どもの気持ちを不登校経験者が回答

不登校の親は仕事を辞めるべき? 子どもの気持ちを不登校経験者が回答
こんにちは。不登校のお子さんの勉強とメンタルを完全個別指導で応援するキズキ共育塾の木原彩です。

子どもが不登校状態にあり、面倒を見るために仕事を辞めるかどうか悩んでいます。

不登校状態にあるお子さんをお持ちで、仕事をしている親には、以下のようなお悩みがつきものです。

  • 子どもは、不登校になる前も不登校になった今も、苦しんでいる…
  • 自分が仕事を辞めて世話をした方がいいんだろうか…

このコラムでは、不登校状態にあるお子さんがいる親御さんに向けて、不登校状態にあるお子さんの親が仕事を辞めるべきではない理由や家庭・学校以外の「第三の居場所」の重要性について解説します。

私自身、中学3年生の秋から春にかけて不登校だった「不登校当事者」です。

このコラムを読むことで、「不登校状態にあるお子さんの親」と「仕事をする個人」という両方の立場を持つあなたの気持ちが少しでも軽くなり、「次の一歩」が見つかれば幸いです。

不登校状態にある子どもの親は仕事を辞めるべき?続けてもいい?

小学生の娘が不登校になりました。家に一人でいると、学校でつらかったことを思い出してしんどいかもしれません…。仕事を辞めて、娘と一緒に過ごした方がいいんでしょうか?

中学生の息子が不登校になりました。私が仕事で家にいない間、息子は無事に過ごせているのでしょうか?一人で外出して、事故や事件に合わないか心配です。仕事を辞めて、家でケアした方がいいんでしょうか…?

このように、お子さんを思って「仕事を辞めようか」と考える親は多いです

親が「仕事を辞めようか」と考える大きな理由は、お子さんが心配だからという「お子さんへの愛」だと思います。

では、親が仕事を辞めることで子どもは幸せになるのでしょうか?

この問いに対して、全ての家庭に当てはまる答えはありません。

というのも、収入・支出、仕事の内容、お子さんの状況などの諸条件は、それぞれの家庭によって異なるからです。

ですが、「できる限り、親は仕事を辞めるべきではない」というのが私の考えです。

不登校経験者の体験談「お母さん、私のために無理しないで」

不登校経験者の体験談「お母さん、私のために無理しないで」
「親は仕事を辞めるべきではない」という理由を説明するために、まずは私の不登校時代の話をさせてください。

私は中学3年生の秋に不登校になりました。

不登校の直接のきっかけとなったのは、「部活動のチームメイトのきつい言葉」です。その言葉を思い出して、涙が止まらない日もありました。

また、高校進学を考えていた私は、「不登校からの高校受験」のプレッシャーに押しつぶされそうになっていました。

そんな日々、母は仕事を早退し、私の好きなご飯をつくってくれたり、「勉強疲れてない?彩の好きなお菓子を買ってきたよ」と声をかけたりしてくれました。

母は、当時のことを次のように振り返っています。

彩が受験のプレッシャーで苦しんでいたから、少しでもそばにいて励ましたかった。

私はそんな母の対応が嬉しかったのですが、一方で、次のように、母が無理をしている様子も見てとれました

  • 仕事の早退について職場の同僚に電話で謝っている様子
  • 「私が仕事をしてなかったらもっと彩の相談に乗れて、彩は不登校になるまで悩まなかったんじゃないか…」と親戚に悩みを打ち明ける姿

そんな母を見て、以下のような不安や罪悪感でいっぱいになりました。

自分が不登校になったせいで、母は仕事を辞めるのかもしれない。

そのほかにも、当時の気持ちを、昨日のことのように覚えています。

当時の気持ち

  • お母さんが、自分のことを思ってくれて嬉しい
  • お母さんに、自分のために仕事を早退させて申し訳ない
  • お母さんはお母さんらしくいてほしい。無理しないでほしい
  • でも、ひとりで家にいるのは寂しい…

つまり、母への思いには、「感謝」と同時に、「罪悪感」や「自分でも、母にどうしてほしいのかわからない気持ち」などが入り混じっていたのです。

私たちキズキ共育塾は、不登校状態にある人のための、完全1対1の個別指導塾です。

生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。

子どもが不登校でも親が仕事を辞めるべきではない理由

子どもが不登校でも親が仕事を辞めるべきではない理由

不登校状態にある私たちは、親に対して、以下のような複雑な気持ちを持っています。

不登校状態にある子どもの気持ち

  • 親が働いていると寂しいこともある反面、自分のために仕事に支障があると申し訳ない

そのため、親が仕事を辞めると「親に対する申し訳なさ」は増していきます。

もちろん、家に親がいると、寂しさはなくなります。

ですがやがて、以下のような気持ちになることもよくあるのです。

親が仕事を辞めた後の子どもの気持ち

  • いつもいるからうっとうしくなってきた…。あまり話したくないな…
  • 仕事を辞めるなんて、よっぽど自分は信用されていないんだな…

そして、不登校状態にあるお子さんが思う「親に対する申し訳なさ」の一つには、「家計」のこともあります。

お子さんには、次の②の「思いこみ」によって、悩みが深くなることがあるのです。

親が仕事を辞めた後の家計への思い

  1. 自分のために親が仕事を辞めた
  2. 自分のために収入が減ったんだから、自分は高校や大学に進学しない方がいいな
  3. でも、進学以外で『次』に何ができるのかわからない…
  4. ますます悩みが深くなる…

以上のような状況になると、家族仲がどんどんギスギスしていきます。

あなたのために仕事を辞めたのに!

辞めてほしいなんて言っていない!

不安にさせるつもりは決してありませんが、こういう状況になっては、お子さんはなかなか「次の一歩」に進めません。また、親も苦しくなるでしょう。

これが、「お子さんのために仕事を辞めるべきではない」という理由です。

お子さんへの愛はわかります。
親がお子さんに寄り添うことは重要です。

ですが、「仕事を辞めてつきっきり」になることはオススメしません

ポイント

先述のとおり、お子さんは親に対して「複雑な気持ち」を持っていて、自分でもうまく表現できません。まずは、自分の気持ちをうまく表現できないお子さんの声をじっくり聞いてください。

その上で、お子さんが「そばにいてほしい」と願うときは、「いきなり退職」ではなく、以下のような手段が取れないか、職場に相談することをオススメします。

  • 柔軟な遅刻・早退
  • 時短勤務
  • 時間の都合がつきやすい部署への異動
  • (一部を)在宅勤務化

「お子さんの複雑な気持ち」の理解が難しければ、カウンセラーへの相談や相談機関の利用も考えてみてください
私たちキズキ共育塾も無料相談を受け付けています。

家・学校以外の「第三の居場所」を利用しましょう

でも、自分が仕事をしているときに子どもが家で一人でいるのは不安です。
家でも学校でもない、第三の居場所を利用しましょう。

お子さんとしても家で一人っきりではさみしいはず。そして、不登校の「次」に向けた準備も必要です。

最近では、フリースクールや適応指導教室などが増えてきました。

そこでは、お子さんと一緒にご飯を食べる人や、一緒に趣味の話をする人や、勉強を教える人がいます。

ポイント

フリースクールのような、家でも学校でもない「第三の居場所」をうまく利用できれば、お子さんは孤独を感じることはありません。

また、「今日は楽しかったな」「そろそろ次のことを考えようかな」と前向きな気持ちを持てるようになります。親としても、家を空けている時間の心配が減ります。

送迎が難しかったり、近くにそういう場所がなかったり、行ってみた団体がお子さんに合わなかったりしたときは、オンラインで話ができるサービスもあります。

「子どもの不登校と、親である自分の仕事」についての体験談

この章では、「我が子の不登校と、自分の仕事」について、学校が苦手な人たちのための個別指導塾・キズキ共育塾の講師たちの、「親」の立場からの体験談を紹介します。お子さんへの接し方の参考として、ぜひご覧ください。(講師名は仮名の場合もあります)

また、私たちキズキ共育塾の無料相談では、他の事例も紹介可能です。ぜひご相談ください。

加藤殿音講師の体験談

数学 現代文 古文 漢文

子どもは、小学校の入学式に行けなかったときから、学校には行っていません。最初の担任の先生とおりが合わず、不登校になりました。学年の変わり目で担任が変わるときを機に、がんばって保健室登校をしていた時期もありましたが、連休を境にして行けなくなりました。いまではもう学校に行っていない状況です。

親として何ができるのか、子どもになるべく付き添い、話をしてました。解決できないか、学校に行ける方法はないかと手を尽くしましたが、次第に反抗も加わるようになり、状況は悪くなる一方でした。

そんなときに、偶然、勤務先でリモートワークが始まりました。リモートワークのため、インフラを整えようと、タブレットとPCを購入しました。仕事以外に子どもと楽しめる使い方がないかと考え、私は絵が好きだったこともあり、タブレットのお絵かきソフトで絵を描くことをし始めたんです。

私自身、「子どもの不登校」という状況に追い詰められていたんだと思います。逃げるような気持ちはなかったのですが、私自身が楽しめることを見つけ、そちらに流れてしまったんです。

子どもは、初めはあまり興味を示しませんでした。ですが、私がネットを通じてイラストを販売し始めたあたりから、すごく興味を持ち始めたんです。そして、隣に来て一緒に絵を描くようになりました。

最近では、学校のプリントもやるようになってきました。無理矢理やらせようとしても嫌がってやらなかったのに、何も言わなくなったいま、なぜ自分でやるようになったのか、私にはわかりません。でも、そんな我が子を見ていて、何故かすごく愛おしく、自慢に思えてくるんです。いま思えば、私自身に余裕がなかったんだと思います。義務のように子どもと向き合い、言うことを無理矢理聞かせようとしていたのかと、反省しています。

まとめ〜子どもの不登校で仕事を辞めることはオススメできません~

まとめ〜お子さんも親御さんも、両方が幸せになれますように願っています

不登校状態にあるお子さんのために、「仕事を辞めて面倒を見た方がいいのだろうか」とお思いでしょう。

しかし、実際に仕事を辞めると、お子さんは嬉しい反面、以下のような感情を覚えることがよくあります。

  • 「自分のせいで仕事を辞めさせて申し訳ない」という罪悪感
  • 「自分を信じてもらえてないんじゃないか」という不信感
  • 家計に対する過剰な気遣い

仕事を辞めてつきっきりで面倒を見ると「いつも顔を合わせるとうっとうしいな」と思うようになることもあります。

そうなると家族仲がギスギスし、お子さんも親も苦しい状況が続きます。

そのため、仕事を辞めることはオススメしません

まずは落ち着いて「お子さんの声を聞きつつ、仕事を辞めずにお子さんをケアする方法」を探してみませんか?

お子さんがどう思っているのかわからなかったり、お子さんに対して何ができるか悩んでいたりする場合は、相談機関等を利用しましょう。

相談することで、それぞれのご家族・お子さんに応じてより具体的なアドバイスがもらえると思います。

このコラムが、不登校に悩むお子さんと親の、「次の一歩」につながったなら幸いです。

さて、私たちキズキ共育塾でも無料相談を行っており、親だけのご相談も可能です

キズキ共育塾では、不登校経験を乗り越えた講師やスタッフも大勢働いています。

私たちとの出会いを通して、何かお子さんの気持ちに「気づく」きっかけになればと思います。

少しでも気になるようでしたら、お気軽にご相談ください。

/Q&Aよくある質問

不登校状態にある子どものために、親は仕事を辞めた方がよいのでしょうか?

概には言えません。ですが、一般的には「辞めない方がいい」と言えます。親が仕事を辞めると、子どもは罪悪感を持ち、家族仲がギスギスしていく可能性があるからです。既に辞めた場合も、変に不安にならず、改めて今後のことを考えていきましょう。詳細はこちらをご覧ください。

仕事で親が家にいないとき、子どものことが心配です。

家でも学校でもない「第三の居場所」を利用しましょう。例えばフリースクールや適応指導教室などがあります。詳細はこちらをご覧ください。

監修 / キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

共同監修 / 不登校新聞社代表理事 石井志昂

いしい・しこう。
1982年、東京都町田市出身。NPO法人全国不登校新聞社代表。
中学校受験を機に学校生活が合わなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から2022年まで編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた。

【著書など(不登校新聞社名義も含む)】

「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること(ポプラ社)』『フリースクールを考えたら最初に読む本(主婦の友社)』『学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』『続 学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』

【寄稿など(一部)】

AERAdot」「プレジデントオンライン」「東洋経済オンライン」「FRaU」など多数

サイト運営 / キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2023年7月現在、全国に10校とオンライン校(全国対応)がある。

共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス

体験談をたくさん読むと、解決策が見えてきます

このコラムは、「かゆいところに手が届く」コラムです。

不登校状態にあるお子さんがいる親御さんは、誰しも一度は「子どものために仕事を辞めるかどうか」を考えるものです。そのお悩みを解決するためには、このコラムをはじめ、たくさんの体験談を読んでいただくといいかなと思います。

「読んだ体験談の内容があなたのお子さんに似ているかどうか」はあまり関係ありません。ただ、読んでいくうちに、お子さんの気持ちが見えてくる瞬間があるのです。

そして、お子さんの気持ちが見えてくると、「実際のあなた」がどうするべきか、答えも見えてくるはずです。

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