教育支援センター(適応指導教室)とは? 支援内容や利用の流れを解説
こんにちは。生徒さんの勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする完全個別指導塾・キズキ共育塾です。
不登校状態にあるお子さんがいる親御さんの中には、教育支援センター(適応指導教室)についての疑問や不安がある人もいるのではないでしょうか?
- 教育支援センター(適応指導教室)は、どんな施設なの…?
- 利用条件や利用するまでの流れを知りたい
- 教育支援センター(適応指導教室)が子どもに合うかわからない…
このコラムでは、教育支援センター(適応指導教室)の概要や支援内容、現状、メリット、デメリット・注意点、利用条件、利用の流れについて解説します。あわせて、教育支援センター(適応指導教室)以外の不登校に関する相談先も紹介します。
このコラムを読むことで、不登校状態にあるお子さんの居場所を探すためのヒントが見つかるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
目次
教育支援センター(適応指導教室)とは?
この章では、教育支援センター(適応指導教室)の概要や役割、フリースクールとの違いについて解説します。
教育支援センター(適応指導教室)の概要
教育支援センター(適応指導教室)とは、主に不登校状態にある児童生徒の学校復帰を支援し、社会的自立をサポートする施設のことです。集団生活への適応や情緒の安定、基礎学力の補充などのサポートを行っています。(参考:文部科学省「適応指導教室(学校支援センター)の取り組みについて」)
教育支援センター(適応指導教室)の具体的な支援内容については、こちらで解説します。
なお、適応支援教室とは、教育支援センターの旧名称で、同じ施設を指します。不登校状態にある児童生徒の増加や文部科学省の通知などを受けて、2003年に正式名称が適応支援教室から教育支援センターに変更されています。(参考:立川市教育委員会「適応指導教室から教育支援センターへの名称変更について」)
教育支援センター(適応指導教室)の役割
教育支援センター(適応指導教室)の主な役割は、不登校状態にある児童生徒の学校復帰を支援することです。
2019年の文部科学省の調査では、学校復帰を重要視している教育支援センター(適応指導教室)が最も多い結果となっています。(参考:文部科学省「「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果」)
しかし、学校復帰がすべてではないと考える施設も増えてきており、不登校状態にある児童生徒の居場所や自信・自尊感情を持たせるための場という役割も出てきています。
教育支援センター(適応指導教室)の利用条件
教育支援センター(適応指導教室)は、不登校の生徒の学校復帰をサポートする施設になるため、利用条件が設けられていることも多く、自治体によって利用条件は大きく異なります。事前に、条件に当てはまるかを確認しておきましょう。
教育支援センター(適応指導教室)の利用条件の具体的な例をいくつか紹介します。(参考:奥多摩町『適応指導教室「せせらぎ学級」のお知らせ』、新宿区立教育センター「つくし教室」、大阪市「不登校児童生徒支援のための大阪市教育支援センターについて」、京都市「京都市教育支援センター(適応指導教室) ふれあいの杜」)
奥多摩町の教育支援センター(適応指導教室)の場合
- 学校に行けないでいる、もしくは休みがちになる等、学校になじめなくて困っている。
- 本人または保護者が教育相談を受けている、または受ける予定がある。
- 本人と保護者が入級を希望し、在籍校の校長からの申請がある。
- その他奥多摩町教育委員会(以下「教育委員会」という。)が認めた児童・生徒
新宿区の教育支援センター(適応指導教室)の場合
- 様々な理由で学校に登校できない児童・生徒
大阪市の教育支援センター(適応指導教室)の場合
- 大阪市立の小中学校及び義務教育学校に在籍している児童生徒
京都市の教育支援センター(適応指導教室)の場合
- 京都市立小学校4年から中学校3年までの児童・生徒(西大路御池及び伏見学習室は,中学生のみ)
教育支援センター(適応指導教室)の利用の流れ
教育支援センター(適応指導教室)の利用の流れとしては、在籍校に相談して教育委員会に利用申請をするのが一般的です。
まずは、今在籍している学校に相談してみましょう。すると、学校側から相談や申請書の記入など、次にやるべきことを伝えられます。
また、直接教育委員会に問い合わせられるケースもあるので、各自治体の教育支援センター(適応指導教室)のホームページを確認してみてください。
補足:教育支援センター(適応指導教室)とフリースクールとの違い
教育支援センター(適応指導教室)と似ている施設として、フリースクールがあります。
フリースクールとは、不登校状態にある児童生徒に対して学習活動や教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設のことです。(参考:文部科学省「フリースクール・不登校に対する取組」)
活動内容は大きくは変わりませんが、以下のような違いがあります。
- 管轄や運営主体
- 受け入れ対象
- 出席扱いの可否
教育支援センター(適応指導教室)の運営は、教育委員会が主体となっています。一方で、フリースクールは民間の団体が主体です。
また、教育支援センター(適応指導教室)は、中学生までを受け入れ対象としているところもある中、フリースクールは高校生まで受け入れているケースが多くあります。
学校の出席扱いに関しては、フリースクールよりも教育支援センター(適応指導教室)の方が認められることが多いのが現状です。
教育支援センター(適応指導教室)の利用条件については、こちらで解説します。
教育支援センター(適応指導教室)の支援内容
この章では、教育支援センター(適応指導教室)の支援内容について解説します。
支援内容①集団生活への適応
1つ目の支援内容は、集団生活への適応です。
不登校状態によって学校での集団生活を体験できない児童生徒が、他人と一緒に行動するということを経験できるサポートを行っています。
具体的には、グループでのレクリエーションや話し合い、スポーツなどを行います。ほかにも、調理実習や野外活動をすることもあり、他人と生活するとはどういうことかを学ぶことができます。
支援内容②情緒の安定
2つ目の支援内容は、情緒の安定です。不登校状態特有の悩みから普段の生活の悩みまで、定期的に相談できる場を設けられます。
ほかにも、進路に関する教育相談ができたり、保護者との面談も実施されたります。
お子さんはもちろん、不登校状態にあるお子さんの相談先としても利用できるのです。親御さんがお子さんの不登校について相談できる機会は多くないため、積極的に利用してみてください。
支援内容③基礎学力の補充
3つ目の支援内容は、基礎学力の補充です。不登校状態にある児童生徒は、学校の授業を受けられないため、勉強が遅れる可能性があります。
勉強の遅れを極力なくすために、教育支援センター(適応指導教室)では勉強のサポートも行っています。
学校のような集団授業ではなく、一人ひとりに合わせて勉強を教えているため、それぞれのペースで無理なく勉強を進められるでしょう。
支援内容④生活習慣の改善
4つ目の支援内容は、生活習慣の改善です。不登校状態になり学校に行くことがなくなると、生活習慣が乱れやすくなります。
そのため、教育支援センター(適応指導教室)では、時間割を決めており、子どもはその時間通りに生活を送ることで、生活習慣の改善につながるのです。
また、朝決まった時間に出かける習慣ができると、自然と起床時間や就寝時間も決まり、規則正しい生活になっていきます。
学校への復帰を目指すうえでも、生活習慣の改善は欠かせない支援内容なのです。
教育支援センター(適応指導教室)の現状
2019年の文部科学省の調査によると、教育支援センター(適応指導教室)は約63%の自治体で設置されています。2015年の約60%と比べると、わずかながら増加していることがわかります。(参考:文部科学省「「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果」)
また、受け入れ対象児童生徒については、小学生・中学生に比べ、高校生は少なくなっています。そのため、お子さんが高校生の場合は、お住いの自治体の教育支援センター(適応指導教室)の受け入れ対象を確認しておきましょう。
学校への復帰率はそれぞれ以下のとおりです。
- 小学校:約42%
- 中学校:約35%
- 高校:約43%
教育支援センター(適応指導教室)に通っている児童生徒の傾向としては、学校に行きたくても行けないタイプ(不安など情緒混乱)と人間関係によるタイプが多く、それぞれ17%を超えています。
内訳は以下のとおりです。
- 学校に行きたくても行けないタイプ(不安など情緒混乱):約17.5%
- 人間関係によるタイプ(他の児童生徒との関係、教職員との関係、部活動など):約17.3%
- 学校に行きたくないタイプ(無気力):約13.2%
- 学校に行きたくないタイプ(学業不振・家庭環境など):約12.8%
- 学校に行きたくても行けないタイプ(学校のきまりをめぐる問題):約7.4%
- 保護者の意向や意図的な拒否型の児童生徒:約7.3%
- 特別支援学校、特別支援学級に在籍する児童生徒:約6.7%
- 学校に行きたくないタイプ(遊び・非行):約4.2%
- いずれにも当てはまらない:約0.8%
教育支援センター(適応指導教室)のメリット
この章では、教育支援センター(適応指導教室)のメリットについて解説します。
メリット①お金がかからない
教育支援センター(適応指導教室)は、自治体によって設置されている施設なので、基本的に無料で利用できます。そのため、お金について心配することはありません。
一方、教育支援センター(適応指導教室)以外の不登校状態にある子どもの居場所として挙げられることが多いフリースクールは、民間で運営されているためお金がかかります。
2015年度の文部科学省の調査によると、授業料の平均額は月額約3万3,000円、入会金の平均額は約5万3000円です。(参考:文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」)
もちろん、不登校状態にある子どもの居場所は、フリースクールだけではありません。ですが、ほかの施設の場合も、フリースクールのようにお金がかかる可能性があります。
そのため、お金がかからないことは、教育支援センター(適応指導教室)の大きなメリットと言えるでしょう。
メリット②学校への復帰を目指せる
教育支援センター(適応指導教室)では、こちらで解説したように、生活習慣の改善や基礎学力の補充など、学校復帰を目指してさまざまなサポートを利用できます。
生活習慣の乱れや学力への不安から、学校に復帰したくてもできない児童生徒もいます。
教育支援センター(適応指導教室)に通えば、そういった不安などを克服するためのサポートを受けられます。そのため、学校復帰を目指したい児童生徒にとっては、大きなメリットとなるでしょう。
メリット③個人のペースに合わせて勉強ができる
教育支援センター(適応指導教室)では、児童生徒一人ひとりのペースに合わせた学習指導を行っています。
そのため、勉強に不安を感じていたり、学校のような集団で受ける授業に苦手意識があったりする児童生徒であっても、安心して勉強に取り組めます。
また、教育支援センター(適応指導教室)での勉強を通じて、学習習慣を身につけられれば、学校復帰後の勉強に関する不安も軽減できるでしょう。
メリット④健康を保てる
教育支援センター(適応指導教室)では、スポーツなどをして身体を動かす機会や定期的に悩みを相談できる機会があります。そのため、心身の健康を保ちやすいのです。
不登校状態になり自宅に一人でいることが増えると、身体を動かす機会が減り、気分も落ち込みやすくなります。
教育支援センター(適応指導教室)に通うことで、こういった不登校特有の心身の健康に関する不安を軽減できることもメリットの1つです。
教育支援センター(適応指導教室)のデメリット・注意点
この章では、教育支援センター(適応指導教室)のデメリット・注意点について解説します。
注意点①教育支援センター(適応指導教室)のない自治体がある
教育支援センター(適応指導教室)は、自治体によって設置されていますが、中には教育支援センター(適応指導教室)のない自治体があります。
教育支援センター(適応指導教室)がない理由としては、以下のような理由があるようです。(参考:文部科学省「「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果」)
- 通所を希望する不登校の児童生徒が少ないと見込まれる
- 教育支援センター(適応指導教室)を運営する予算、場所の確保が困難
そのため、自宅近くに教育支援センター(適応指導教室)がない場合は、通いたくても通えない状態になる可能性があるのです。
教育支援センター(適応指導教室)が近くにない場合は、自宅から少し距離のある教育支援センター(適応指導教室)へ通うことやフリースクールの利用も検討しましょう。
フリースクールについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
注意点②小学生・中学生以外を受け入れ対象としている施設が少ない
こちらで解説するように、教育支援センター(適応指導教室)は、小学生・中学生以外を受け入れ対象としていない施設もあります。
そのため、高校生以上の場合は、まず近隣の教育支援センター(適応指導教室)の受け入れ対象を確認する必要があります。高校生が受け入れ対象でない場合は、フリースクールなどほかの選択肢も検討する必要が出てくるでしょう。
不登校状態にあるお子さんの居場所については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
注意点③学校の出席日数にカウントされないケースがある
教育支援センター(適応指導教室)への登校が、学校の出席日数にカウントされないケースがあります。
教育支援センター(適応指導教室)への登校を出席扱いするか否かは、いくつかの条件を満たす場合に、在籍している学校の校長が判断します。(参考:文部科学省「義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」)
そのため、出席扱いを目的としている場合は、教育支援センター(適応指導教室)と学校の両方に、出席日数としてカウントされるかどうかを確認しておきましょう。
注意点④受け入れ可能人数を超えている可能性がある
教育支援センター(適応指導教室)が存在している地域であっても、不登校の生徒さんの近年の急増に伴い、受け入れ可能人数を超えている可能性があり、すぐに利用を始められない場合があります。
空き状況についても、早めに確認しておくとよいでしょう。
教育支援センター(適応指導教室)以外の不登校に関する相談先
お子さんの不登校については、教育支援センター(適応指導教室)以外にも頼れる相談先がいくつもあります。
この章では、教育支援センター(適応指導教室)以外の不登校に関する相談先を紹介します。
相談先①担任の先生
最も身近な相談先として挙げられるのが、お子さんの学校での状況がわかる担任の先生です。
学校でお子さんがどのような生活を送っていたか、何かに悩んでいる様子はなかったか、今のクラスはどのような状況か、などについて教えてもらえるでしょう。
また、学校での人間関係が原因で不登校状態になっている場合は、担任の先生に伝えることで、席を離したりグループ分けの際に配慮したりしてくれる可能性があります。
お子さんにとって学校で一番身近な大人は担任の先生ですから、一度相談してみるのがオススメです。
相談先②スクールカウンセラー
不登校に関する悩みは、スクールカウンセラーに相談するのもいいでしょう。
スクールカウンセラーは、全国の小中学校に配置されており、児童生徒本人はもちろん、保護者の抱える悩みを受け止め、学校におけるカウンセリング機能の充実を図っています。
主に、心のケアをしてくれるので、お子さんにスクールカウンセラーへの相談を促すのもよいですし、親御さんとお子さんが一緒に相談に行ってもいいでしょう。
対面のみならず、電話やオンラインでも相談できるケースがあります。スクールカウンセラーへの相談を希望する人は、まず学校に相談してみてください。
相談先③学習塾
不登校状態にある子どものサポートを行っている学習塾でも、不登校に関する相談ができます。
一般的に学校より学習塾のほうが人が少ないため、学校で人間関係の問題を抱えている場合は、学習塾のほうが足を運びやすいでしょう。学習塾によっては、講師と生徒が一対一の個別指導を行っているところもあります。
学習塾にもさまざまなタイプがありますが、自分のペースで勉強を進められるところがオススメです。
また、不登校のお子さんを積極的に受け入れている学習塾もあります。私たちキズキ共育塾もその一つです。不登校や高校中退など、さまざまな状況の生徒さんが通っています。
不安な点や疑問点も多いと思います。まずは私たちにお悩みをお聞かせください。
まとめ~教育支援センター(適応指導教室)を利用して一歩踏み出してみましょう~
教育支援センター(適応指導教室)は、不登校状態にある児童生徒の学校復帰を支援し、社会的自立をサポートをする施設です。
学校復帰を目標とするお子さんにとっては、目標に向けたさまざまなサポートを受けられるでしょう。
また、無料で利用できるという側面もあるので、今の状況を変えたいと思うのであれば、一度教育支援センター(適応指導教室)を利用してみるのもいいかもしれません。
教育支援センター(適応指導教室)以外にも、頼れる相談先があるので、お子さんご本人はもちろん、親御さん自身も安心できる相談先を見つけて、ぜひ悩みを打ち明けてみてください。
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