
やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
私は中学生までは勉強が嫌いで、勉強できない落ちこぼれでした。
好きな科目は1つしかありませんでした。
「どれくらい勉強できなかったか」というと、中3の夏に受けた模試では、偏差値が26でした。
しかし勉強を工夫して何とか高校に合格、そしてその後大学にも合格しました。
この記事は、「自分の子どもは勉強ができない」とお悩みの親御さんに向けて書いています。
かつて勉強ができなかった当事者として、また現在塾講師・家庭教師として働く者として、「勉強ができない」お子さんについてのアドバイスをお伝えします。
この記事を読んでわかること
これを読んだ親御さん、そしてお子さんが少しでも「今は勉強ができない。でもこれからは何とかなるぞ」と希望を持っていただければ嬉しいです。
目次
私は、キズキ共育塾以外でも、家庭教師やボランティアなどでたくさんの子どもに勉強を教えてきました。
親御さんとお話しする機会も多々あるのですが、「うちの子は、本当に勉強ができないんです…」というお悩みは、本当によくお聞きします。
私が見てきた限り、お子さんが「勉強できない」のには、いくつかの理由があります。
今回は中学生を想定して、勉強ができないお子さんの傾向を大きく4つに分け、アドバイスとともにご紹介します。
勉強ができない理由の一つ目は、「基礎学力がない」です。
中学校の主要教科は、小学校の頃に比べて、より高度な単元を扱います。
算数の例
高校入試でも、記述問題や思考問題などを問われる場合があります。
しかし、「高度な問題」を解くために問われるのは、実は小学校内容の基礎的な学力です。
例えば、2018年の神奈川県の高校受験の問題には、2桁の割り算の知識+αの知識があれば正解できるものがありました。
65ab÷5a
この問題では、数字は65÷5を計算し、文字(定数)はa÷aを計算します。
割り算や多項式の基礎的な学力があれば解ける問題です。
逆に言うと、基礎的な学力がついていないと、この問題を解くために何をどうしたらいいのかわからないのです(よく言われる、「何がわからないのかわからない」状態かもしれません)。
基礎学力の時点でつまづいて「勉強できない」お子さんは、基礎から学び直すことで成績が伸びます。
基礎から学び直せる塾や方法を探しましょう。
【基礎から学び直して勉強ができるようになった例】
以前私が数学を指導した、中3の男の子の例をお話しします。
ご両親からは、「勉強ができない。クラスではビリから2番目だ」と紹介されました。
彼は、2桁の割り算がわかっていないために問題が解けず、途方に暮れていました。
つまり、小3から小4の頃の基礎学力のつまづきが、中3時点での「数学ができない」につながっていたのです。
そこで私は、基礎学力の定着のために、授業の冒頭に簡単な計算問題を解くところから指導を始めました。
彼は少しずつ小学生内容を総復習し、次の数学のテストで、はじめて2桁台の点を取りました。
その後も、別の教科も含めて基礎から学び直すことで、彼は次第に勉強ができるようになりました。
勉強ができない理由の二つ目は、「勉強の仕方がわからない」です。
そもそも「勉強の仕方」とはどういうことでしょうか?
単語をノートに写したり、テキストを読んだりすることでしょうか?
机に座って黙々と問題を解くことでしょうか?
私の思う「勉強の仕方」とは、次のようなことです。
「勉強の仕方」とは
自分に合わない「勉強の仕方」をしているために勉強ができないお子さんは、「自分の強みを生かした勉強法」が見つかると勉強できるようになります。お子さんの特性を理解し、お子さんに合った勉強の仕方を探しましょう。
では、どうやったら自分に合った方法がわかるのでしょうか。
方法の一つに、「認知特性を理解すること」があります。
お子さんによって、「外界からの情報をどう捉え、どう覚えるか」という認知特性は異なるのです。
例えば、「聴覚優位」「視覚優位」という言葉をご存知でしょうか?
耳で聞いた情報を処理するのが得意なこと
聴覚優位向きの勉強法
目で見た情報を覚えるのが得意なこと
視覚優位向きの勉強法
聴覚優位の人が文字メインで覚えようとしたり、視覚優位の人が先生の話す内容メインで学ぼうとしたりしているために「勉強ができない」場合があります。
また別の例として、ハーバード大学の心理学者ハワード・ガードナー氏による「マルチプル・インテリジェンス」があります。
簡単に言うと、全ての人間には8分野の知能があり、自分の得意・不得意分野を知ることで、自分に合った「勉強の仕方」などもわかるというものです。
①言語的知能
②論理・数学的知能
③空間的知能
④音楽的知能
⑤身体運動的知能
⑥対人的知能
⑦内省的知能
⑧博物的知能
わかりやすいように単純化した例ですが、次のように、得意な知能に合わせた「勉強の仕方」ができるようになれば、「勉強できない」状況を解決できます。
先ほどの「優位」と同じく、自分の特性や知能に合わない「勉強の仕方」をしているために「勉強ができない」状態を作り出している可能性があります。
勉強ができない三つ目の理由は、「モチベーションがない」です。
もう少し具体的に言うと、次のようなことを思っているために勉強にモチベーション(動機)がなく、勉強をしない結果、勉強ができない状態になるということです。
「勉強してよいことがある」と思えないために勉強できないお子さんは、勉強のためのモチベーションが必要です。お子さんと一緒に、「なぜ勉強するのか」「勉強すると、将来がこう変わる」「勉強すると、こんないいことがある」といった、希望につながることを考えましょう。
中学時代の私も、モチベーションがなくて勉強ができない状態になりました。
私は、中3のときに不登校になりました。
学校の先生をはじめ、いろんな人から「成績も悪いし、不登校の経歴がある生徒は高校には行けない可能性が高い」と言われました。
そんな言葉を聞いた私は、「これから勉強したって高校に行けないのか…」と絶望して、余計に勉強をしなくなり、ますます勉強ができなくなるという悪循環になった経験があります。
ですがその後、私を心配してくれる家族の言葉によって将来に少しずつ希望を持てるようになり、勉強を再開し、高校に合格しました(後で詳しく述べます)。
勉強ができない四つめの理由は、「自信がない」です。
「勉強しても、わからない」という経験をたくさんしたお子さんは、自信をなくし、「どうせ勉強したって自分はできるようになんかならない」と考えて、勉強しなくなる場合があります。
すると、ますます勉強ができなくなっていきます。
「がんばってもできない」体験で自信をなくし、「勉強してもどうせ無駄」と無気力になっているお子さんは、自信を取り戻す必要があります。できるところまで戻って学習したりして成功体験を積み上げていくことで、勉強できるようになります。
成功体験を積むことで、「自分はやればできる」という自信と、「勉強したらできるようになる」という希望が持てるようになります。
私が「勉強できない」を実感したのは、不登校になったばかりの中3の秋でした。
当時の私は、次のような思いを抱えて、勉強ができない状態でした。
ですが、中3当時の私にはなりたい職業があり、それを叶えるためには大学に進学する必要がありました。
そして大学に進学するためには、高校(特に大学に進学実績の高い高校)に行った方がよいと気がつきました。
調べてみると、中学での出席日数が問われない高校も、受験科目が少ない高校も見つかりました。
そこで勉強へのモチベーションが上がり、受験勉強を開始しました。
幸い私は母をはじめ周囲の援助を受けて、「できるところまで戻り、わからないところは調べる」という勉強をし、高校に合格しました。
私の場合は、「モチベーションがない」と「基礎学力がない」という状態を解決することで、「勉強ができない」という状態を抜け出したということです。
その後の私は、大学に進学することもできました。
これまでの話をまとめます。
お子さんが「勉強できない」理由には、いくつかのパターンがあります。
大きく分けると、次の4つです。
それぞれの「勉強ができない」理由を解決できれば、お子さんは少しずつ勉強できるようになります。
とは言え、理由や、お子さんの特性や、どこでつまづいているのかなどは、親御さんとお子さんだけでは理解・解決に至ることが難しい場合も多々あります。
ご家族だけで悩まずに、学校、塾、家庭教師、カウンセラーなどに相談すると、それぞれのお子さんに合った具体的なアドバイスがもらえると思います(私たちキズキ共育塾でも、無料相談を行っています)。
どうかお子さんに寄り添い、「子どもはきっと勉強できるようになる」と信じてほしいと思います。
お子さんも親御さんも、希望を持っていただけたなら幸いです。
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