中1ギャップとは? 原因や予防策、解消法を解説

こんにちは。生徒さんの勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする完全個別指導塾・キズキ共育塾です。

小学校までは楽しく通学していた子どもが、中学校に入学すると学校に馴染めなかったり、いじめにあったり、不登校になったりすることがあります。

なぜそのような状況になるのでしょうか?

これには、小学校と中学校のさまざまな差、いわゆる中1ギャップが関係する可能性があります。

中学校生活の中には子どもがストレスを抱える場面が多く、すべての子どもがそのストレスや環境の変化にすぐに適応できるわけではないのです。

このコラムでは、中1ギャップの原因や中1ギャップのサイン、家庭でできる予防策、解消法について解説します。

このコラムを読むことで、中1ギャップで悩むお子さんはもちろん、親であるあなたのお悩みも減らしていけると思います。

共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス

中1ギャップが始まると、保護者や周囲の方はもちろん、本人自身も驚くものです。「まさか自分が学校へ行きづらくなるとは」と。 しかし、本コラムでも紹介したとおり、本人はさまざまな理由で違和感や生きづらさを感じています。

こんなときに必要なのは、中1ギャップが起きる原因探しではありません。悩んでいる本人を支えてあげることが大切です。

中1ギャップは、本人にとっては苦しいことなので、「よいこと」とは言えません。ただ、中1ギャップに限らず、「人は誰しも、成長する中で苦痛を感じることがある(=そうした苦痛を覚えることは、悪い意味で特別なものではない)」と考えると、気が楽になるかもしれません。

私たちキズキ共育塾は、中1ギャップに悩む人のための、完全1対1の個別指導塾です。

生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。

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中1ギャップとは?

この章では、中1ギャップの概要と具体例、現状などについて解説します。

中1ギャップの概要

中1ギャップとは、中学校入学後に学校生活に適応できず、精神的に不安定な状態が続くことで起こる困難のこととされています。

中1ギャップという言葉には、明確な定義がありません。

その上で、文部科学省の資料には中1ギャップについて、以下のように記載されています。

児童が、小学校から中学校への進学において、新しい環境での学習や生活へ移行する段階で、不登校等が増加したりするいわゆる中1ギャップが指摘されている


(参考:文部科学省「小中連携、一貫教育に関する主な意見等の整理」

中学校では、以下のような多くの部分で小学校とは異なり、子どもは今まで経験したことのない変化に直面します。

  • 勉強の難易度
  • 定期テスト
  • 人間関係
  • 生活環境
  • 部活動
  • 中学卒業後の進路

このような変化により新しい環境に馴染むことができず、不登校やいじめなど、さまざまな困難に直面することを表現する言葉として、中1ギャップという言葉が使われるようになりました。

中1ギャップの具体例

中1ギャップの具体的な行動の例として、以下のようなものがあります。

  • 遅刻や欠席が増える
  • 朝になると体調が悪くなる
  • 授業についていけなくなる
  • 元気がなくなる
  • 家での会話が減る
  • 友だちとの交友関係が少なくなる
  • 家にいる時間が増える

なかには、中1ギャップに関係なく、思春期や反抗期が原因で、家庭での会話が減るケースも考えられます。

しかし、中学校に上がったタイミングで、急に以上のような様子が見られるようになった場合は、中1ギャップが原因かもしれません。

中1ギャップの現状

中1ギャップについての正式な調査結果は、今のところ報告されていません。しかし、以下の学年別の不登校児童生徒数から中1ギャップの現状を推測することができます。(参考:文部科学省初等中等教育局児童生徒課「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」

  • 小学校1年生:6668人
  • 小学校2年生:1万47人
  • 小学校3年生:1万3823人
  • 小学校4年生:1万8373人
  • 小学校5年生:2万5430人
  • 小学校6年生:3万771人
  • 中学校1年生:5万3770人
  • 中学校2年生:7万622人
  • 中学校3年生:6万9544人

以上のデータから、小学校6年生から中学校1年生にかけて、不登校の生徒数が急増していることが分かります。

これは、小学校から中学校にかけて生活の環境がガラリと変わることで生じる中1ギャップによって、学校に通いづらくなる子どもが増えていると考えられるのです。

補足:小1プロブレムと高1クライシス

中1ギャップとあわせて覚えておきたいのが、小1プロブレムと高1クライシスです。

小1プロブレムとは、小学校入学後に学校生活に適応できず、精神的に不安定な状態が続くことで起こる困難のこととされています。

以下のような意味として報告されています。(参考:名張市教育委員会「平成 28 年度~平成 30 年度 幼児教育の推進体制構築事業 事業実施報告書」

「小1プロブレム」とは、1年生の学級において、入学後の落ち着かない状態がいつまでも解消されず、教師の話を聞かない、指示通りに行動しない、勝手に授業中に教室の中を立ち歩いたり教室から出て行ったりするなど、授業規律が成立しない状態へと拡大し、こうした状態が数ヵ月にわたって継続する状態をいう。


(参考:名張市教育委員会「平成 28 年度~平成 30 年度 幼児教育の推進体制構築事業 事業実施報告書」

また、高1クライシスとは、高校入学後に学校生活に適応できず、精神的に不安定な状態が続くことで起こるお子さんの行動のこととされています。

中1ギャップ同様に、小1プロブレムと高1クライシスともに、明確な定義はありません。

中1ギャップに限らず、小学校、中学校、高校へと上がる節目でお子さんに大きなストレスや負担がかかるということを覚えておきましょう。

中1ギャップの原因11選

文部科学省の調査では、中1ギャップの原因について、以下のように指摘されています。(参考:文部科学省「小中連携、一貫教育に関する主な意見等の整理」

「授業の理解度」「学校の楽しさ」「教科や活動の時間の好き嫌い」について、中学生になると肯定的回答をする生徒の割合が下がる傾向にあることや、「学習上の悩み」として「上手な勉強の仕方がわからない」と回答する児童生徒数や、暴力行為の加害児童生徒数、いじめの認知件数、不登校児童生徒数が中学校1年生になったときに大幅に増える


(参考:文部科学省「小中連携、一貫教育に関する主な意見等の整理」

この章では、以上の調査内容も踏まえつつ、小学校と中学校の違いを踏まえて、学校生活、人間関係、学習の観点から、中1ギャップの原因について解説します。

原因①校則が厳しくなる

中学校では、小学校とは生活スタイルや環境が大幅に変わります。

急な変化として、まず挙げられるのが校則が厳しくなることです。

学校によって程度は異なりますが、中学校に入学した途端、急に多くの校則に縛られるため、小学校との差に違和感を抱く子どももいるのです。

例えば、多くの中学校では、制服を着て登校することを校則として定めています。

制服に憧れを持つ子どももいますが、「小学校では自分の好きな服を着ることができたのに…」と疑問や違和感を持つ子どももいるでしょう。

学校によっては、靴下の色や髪型や髪の長さ、スカートの長さ、身だしなみなども校則で決められていることがあります。

また、生徒に校則を守らせるために、厳しい指導や抜き打ちの身だしなみ検査、持ち物検査などを行う学校もあり、こういった規律を正す習慣に納得できない子どももいるでしょう。

原因②自由な時間が少なくなる

学校生活の変化は、校則だけではありません。

生活リズムが激変し自由な時間が減ることで、精神的にも体力的にも厳しい状況が増えていきます。(参考:青森県三戸郡三戸町「不登校の予防に向けた取組」

例えば、中学校では、部活動が始まります。

小学校でもクラブ活動はありますが、中学校の部活動は、活動日や活動時間が大幅に増え、小学校よりも本格的です。

朝練や放課後の練習が毎日あったり、土日に試合や遠征があったりするなど、部活に割く時間が増えることで、休む時間や自由な時間が少なくなります。

また、自由な時間が減ることで、体力的にも精神的にもストレスを抱えることがあるのです。

疲れやストレスが溜まると、無気力になり、イライラしやすくなります。

その結果、部活動や授業でやる気を失ったり、人間関係が上手くいかなくなったりするなど、学校生活にまで影響を及ぼすことがあるのです。

原因③小学校までと違う人たちとの交流が始まる

一般的に、中学校には複数の小学校の生徒が入学することもあるため、小学校のころとは違った人たちとの交流が始まります。

このような新しい人との出会いも、中1ギャップの原因になります。

小学校では小さいころからの知り合いが多く、新しく出会う人ともすぐに仲良くなれることが多かったかもしれません。

しかし、中学校では、思春期に差しかかるデリケートな時期に知らない人たちといきなり生活することになります。

単純に、知らない人たちとの交流に疲れることもあれば、文化やルールの違いに戸惑うこともあるでしょう。

原因④部活動などで上下関係が発生する

部活動ではじめて経験する、先輩・後輩という上下関係も中1ギャップの原因になることがあります。

小学校では、上級生であっても友達という感覚である場合が多いですが、中学校に入学した途端に先輩・後輩として接しなければいけません。

優しいお兄さん・お姉さんが、自分を指導する先輩へと変わるため、小学校のときと同じように接するのが難しくなります。

このような人間関係の変化に戸惑いを感じて、悩む子どもも多いでしょう。

原因⑤クラスのグループ形成などで関係が複雑になる場合がある

中学生になると、小学生の時には気にしていなかったクラス内での自分のポジションやグループについて考え始める子どもがいます。

そういった複雑な人間関係が、中1ギャップにつながることもあります。

小学生のころとは同じようにいかない人間関係に疲れを感じるのです。

また、小学生のときに仲のよかった友達とクラスわけで離ればなれになった場合、寂しさもあいまって悩みがより深くなることがあります。

ほかにも、周囲に合わせることが苦手、内気な性格で強く出られない子どもは、いじめに巻き込まれるケースもあります。

いじめの原因については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

原因⑥友だちとの過ごし方・遊び方が変わる

小学生のころとは違った友だちとの過ごし方、遊び方に変わることも、中1ギャップの原因になる可能性があります。

小学生までは、公園で泥んこになって遊んだり、おもちゃを使って遊んだり人形遊びをしたりするなどの遊び方を好む子どももいたでしょう。

そして、周りの友だちも一緒になって遊び、親や学校の先生などの周りの大人もそれを許容しています。

中学生になったらそういう遊びをしてはいけないというわけでは、もちろんありません。

しかし、以下のような状況によって、自分のやりたい遊び方や過ごし方ができなくなる場合があるのです。

  • 自分は小学校のころの遊び方をしたいのに、周りは違うことに興味を持ち出した
  • 周りの大人から「もう中学生なんだからやめなさい」と言われた

このような状況になると、小学校のころとのギャップを強く感じたり、友達と距離ができたりして、悩みを覚えるのです。

原因⑦スマホやSNSの影響

中1ギャップの原因として、見えにくいものにスマートフォンやSNSの影響があります。

近年では、小学校6年生から中学校1年生にかけてスマホデビューする子どもが増えています。(参考:MMD研究所「スマホデビューが低年齢化、小学生が51.6%と2019年より11.5pt増 最も多い学年は小学6年生が14.2%、中学3年生は11.2%」

中学生になると、小学生時代よりもさらに特定の間柄の仲間意識が強くなります。

そこにスマートフォンやSNSといった便利なツールが加わることで、親や学校の先生の見えない所でのコミュニケーションが加速し、場合によってはいじめなどに発展するケースもあるのです。

また、SNS上での知らない人との交流、誹謗中傷、ゲームアプリなどへの課金など、スマートフォンの使い方を誤ることで起こるトラブルもたくさんあります。

スマートフォンは便利な反面、子どもたちが簡単にいじめや犯罪の被害者・加害者になりかねないツールであることを覚えておきましょう。

原因⑧教科ごとに先生が異なる

学校の先生との関わり方の違いも、中1ギャップに影響します。(参考:文部科学省「小・中学校間の連携・接続に関する現状、課題認識」

小学校でも数学や英語、理科などは高学年になるにつれて教科担任制になりますが、基本的にはクラス担任の先生が全ての教科を教えて、朝の会から帰りの会まで一日中一緒に過ごします。

そのため、小学校の担任の先生は、生徒と接する時間が長いので、子どもの様子ををよく観察できます。

また、家庭との連絡のやり取りも多く、細やかなフォローができるので、安心して学校で過ごせていた子どもも多かったでしょう。

一方、中学校からはどの教科の授業も教科担任制になり、毎時間先生が変わります。

そのため、小学校のときよりも担任の先生と過ごす時間は短くなります。

担任の先生と接する時間が少なくなることで、先生との信頼関係をつくることが難しくなり、困りごとや悩みを誰かに相談したくなっても、どの先生を頼ってよいのかわからなくなる子どももいるでしょう。

また、一般論として、小学校よりも中学校の方が、生徒のために厳しくしている先生や生徒を信頼してあまり口出しをしない先生が多いと言えるでしょう。

その結果、以下のような悩みや不安につながり、中1ギャップにつながることがあるのです。

  • 自分の悩みを誰に相談したらよいかわからない
  • 学校は安心できる場所ではない

原因⑨勉強が難しくなる

中学校での勉強は、算数が数学に変わったり、本格的な英語の勉強が始まったりするなど、小学校のときに比べ格段に勉強や授業の難易度が上がります。

また、学習量が増えるため、一回の授業で学ぶ量も多くなり、授業のスピードも速くなります。

そのため、授業についていけず、勉強ができる子との学力の差が大きくなり、勉強や授業そのものにストレスを感じる子どももいるのです。

特に、英語を学習する上では、注意が必要です。

小学校の英語の授業は、英語を使った遊びや歌、かんたんな英会話が中心でした。

しかし、中学校では、文法や長文読解、英作文、リスニングなど、学習内容が大きく変わります。

小学校ではみんなで楽しく取り組んでいた英語が急に難しくなり、英語嫌いになる子どもも多いのです。

民間の企業が中学校1、2年生の子ども600人を対象に行ったアンケートによると、約40%が「英語を嫌い」と回答しており、その一番の理由は「英語の授業が理解できずについていけない」だったという調査結果も出ています。(参考:株式会社セガトイズ「母親 600 名に聞く!中学生の英語教育に関する実態調査」

ほかにも、学校以外でもやらなければいけない勉強の多さに戸惑うこともあるでしょう。

各教科の宿題が増えたり、難易度やスピードが上がる授業についていくための予習や復習が必要になったりするためです。

このように、勉強が難しくなることによって、学校の授業についていけなくなったり、勉強への苦手意識が出てきたりすることで、中1ギャップにつながる場合があります。

原因⑩勉強のプレッシャーが増える

中学生になると、勉強が難しくなることに加えて、勉強で感じるプレッシャーも大きくなります。

そして、そのプレッシャーが中1ギャップになる原因となることがあるのです。

勉強によるプレッシャーは、勉強が得意な子でも苦手な子どもでも感じます。

勉強が得意な子ども

  • 今の成績をキープできるだろうか…
  • いつまで勉強を続けなければいけないんだろう

勉強が苦手な子ども

  • 授業で当てられたらどうしよう…
  • どうしたら勉強ができるようになるのだろう…
  • どんなに頑張っても勉強ができるようにならないし、自分はダメなのかも…

このようなプレッシャーが増えるのは、定期テストが行われることや高校受験を意識するようになることが考えられます。

また、学校によっては定期テストの結果として、学年順位やクラス順位を伝えられることもあり、この順位が強いプレッシャーになっている子どももいるでしょう。

原因⑪自主性が重視される

中学生になり、小学校ではそれほど求められなかった自主性を求められるようになったことで、ギャップを感じる子どももいます。

中学校では、体育祭や文化祭などの学校行事は、生徒が主体となって進めることが多く、自主性が重視される場面が増えます。

勉強や学生生活の心配事などにおいても、先生からあれこれ声をかけることは少なくなるため、自分から先生に声をかけて相談するしかありません。

担任の先生の存在が近くサポートも手厚かった小学校と比べて、中学校では自主性が求められるようになるため、戸惑ったり取り残されるような不安を感じたりするケースもあります。

中1ギャップの5つのサイン

子どもが中1ギャップを感じているときには、何かしらのサイン・兆候が見られます。

この章では、中1ギャップの兆候としてよく見られるサインについて解説します。

また、お子さんに中1ギャップのサインが見られる場合は、こちらで紹介する相談機関を利用することで、お子さんはもちろん親御さんにも合った対応方法が見つかりやすくなります。ぜひ参考にしてください。

サイン①元気がなくなる

1つ目のサインは、元気がなくなることです。

中学校に入学すると、勉強や部活で忙しく、休む時間が少なくなります。

また、部活の朝練で早起きしたり、塾通いで就寝時間が遅くなったりすることもあるでしょう。

そうした生活リズムの変化による睡眠時間や休息時間の不足で、疲労が蓄積していることがあります。

お子さんの様子を見ていて「最近元気がないな…」と感じたら、このような疲れが影響している可能性があります。

サイン②朝学校に行く時間になると体調が悪くなる

2つ目のサインは、学校に行く時間になると体調が悪くなることです。

家を出る時間が近づくと頭痛や腹痛を訴えたり、そのまま学校を休みがちになったりする場合は、中1ギャップのサインかもしれません。

体調不良については必ず病院に行き、医師の診断のもと適切な対処をするようにしましょう。

また、症状自体は軽いこともあります。例えば、朝学校に行く時間になると体調が悪くなるけれどお昼頃になると回復する、といったケースです。

元気になってテレビを見たり、ゲームをしたりする姿を見ると、「仮病では?」と疑いたくなるかもしれません。

ですが、「学校に行かなければ」という思いと「学校に行きたくない」という気持ちがせめぎ合うことで、腹痛や頭痛などの症状が表れている可能性があるのです。

学校を休みがちなお子さんへの対応方法ついては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

サイン③イライラするようになる

3つ目のサインは、イライラするようになることです。

中学生になったことで、疲労が溜まっていたり、疲れやすくなっていたりすると、イライラしやすくなる傾向にあります。

また、勉強の難易度が上がることで、「授業内容を理解できない」「定期テストでよい点数を取ることができない」など、思うようにいかないことが多くなると精神的に追い詰められイライラしやすくなるでしょう。

中学生になると勉強が急に難しくなるので、小学校では成績がよかった子でも、授業についていくのが大変になることもあります。

さらに、部活での悩みやクラスでの人間関係の悩みなどで、イライラすることもあるでしょう。

サイン④部屋に閉じこもりがちになり、親と話さなくなる

4つ目のサインは、部屋に閉じこもりがちになり、親と話さなくなることです。

以下のような様子がお子さんに見られる場合、中1ギャップのサインかもしれません。

  • 帰宅したらすぐに自分の部屋に行き、閉じこもっている
  • 家で学校のことを話したがらなくなる

思春期・反抗期だからかもしれないと思うこともあるかもしれません。

しかし、中学入学から1〜2か月程度でこのような変化が起きる場合は、中1ギャップの可能性も考えられます。

また、こういった時に無理やり部屋から出させようとしたり、学校についてしつこく聞いたりすると、かえって子どものストレスを増やすことになります。

親御さんから根掘り葉掘り聞くのは控え、お子さんのペースで話してくれるのを待つのがよいでしょう。

サイン⑤自分に自信がない発言をするようになる

5つ目のサインは、自分に自信がない発言をすることです。

中学入学後に、お子さんが以下のような発言をするようになっている場合、中1ギャップで悩んでいる可能性があります。

  • 自分は何をやってもだめ…
  • 勉強も部活もついていけない…
  • がんばっても上手くいかない……

小学校ではさまざまなことを要領よく行なってきたお子さんでも、中学校に入り自分よりもすごいと思える友だちや先輩に囲まれると、次第に自信をなくしていくことがあります。

特に、勉強や部活動に関する話題で自信がない発言が増えたら、注意してお子さんの様子を見るようにしましょう。

中学入学前から家庭でできる中1ギャップへの予防策3選

この章では、中学入学前や中学入学後すぐの段階から家庭でできる中1ギャップへの予防策について解説します。

どの予防策もご家庭でできるものではありますが、こちらで紹介するような子どもの心理・悩み・勉強などに詳しい専門家に相談しながら行うと、より効果的です。

また、今お子さんが中1ギャップと思えるような状態である場合は、こちらの解消法をご覧ください。

予防策①家庭学習の習慣をつける

勉強面での中1ギャップを防ぐ方法として、家庭学習の習慣をつけることが有効です。

ただし、突然お子さんに勉強に取り組むよう促すことは難しいため、まずは、中学校は小学校よりも学習の難易度が高くなること、授業のペースが速くなることなどを、お子さんに伝えましょう。

その上で、お子さんの無理のない範囲で少しずつ学習習慣を身につけていけるように取り組んでみてください。

早い段階で学習習慣が身につけば、学校の授業の予習・復習をお子さん自身で自主的にできるようになり、中学校の授業にもついていきやすくなるはずです。

また、家庭学習の習慣を身につけるポイントは、全てをお子さんに任せるのではなく、お子さんと親御さんが一緒に取り組み、習慣化していくことです。

お子さんが勉強する中でわからないところがあった場合、親御さんが「一緒にやってみよう」と声をかけ、一緒に勉強に取り組む姿勢を見せることで、お子さんは安心感を持つことができます。

勉強に行き詰ったとき、親や先生など頼れる人がいれば心強いものです。

また、お子さんの勉強をサポートする際は、学習内容を理解できない、問題が解けないなどのことに対して叱らず、お子さんのペースに寄り添いながら、お子さんが理解しやすいようさまざまな角度からアドバイスをしてみてください。

ただし、親御さんだからと言って必ずしもお子さんに向いている勉強内容や勉強方法を教えられるわけではありません。また、仕事や家事、育児、介護など、お子さんの勉強のために時間をさけない場合もあるでしょう。

そんな場合は、学習塾や家庭教師などを利用することも検討してみてください。

予防策②中学校生活に関する情報を子どもに共有する

中学校に入学する際、中1ギャップに対する心の準備がないと、困難に直面したときに戸惑いを感じやすくなります。

特に、先生や先輩に対する礼儀は、小学校ではあまり経験することがありません。

そのため、お子さんが中学校に入学する前に、小学校と中学校の違いをお子さんにきちんと伝えておくことが大切です。

また、地域や学校によって、中学校の文化や礼儀は異なります。親同士のつながりや学校の先生を通じて話を聞き、より具体的な情報を集めましょう。

聞いた話をお子さんに伝える際は、親御さん自身の中学生時代のことも交えて話すのがオススメです。

なぜなら、親御さんの経験談があることで、お子さんは身近な話題だと感じやすくなるためです。

先輩や先生へのあいさつの仕方やどんな校則があったかなど、ご自身の経験を話すと、お子さんもより身近な話題として興味を持ってくれるはずです。

予防策③子どもが家庭でリラックスできる環境をつくる

中学校での部活動、勉強、人間関係などで疲れることが多いお子さんのために、家庭がゆっくり休めて安心できる場所になるよう整えましょう。

学校から帰ったときにホッとできる場所があれば、お子さんが中1ギャップを感じたとしても、家では安心して毎日を過ごせます。

また、親は味方なんだと子どもにしっかり伝わっていれば、中学進学後も学校での悩みごとを話してくれるかもしれません。

そうすれば、万が一、お子さんが中1ギャップで悩むことがあったとしても、いち早く気づくことができ、解決策を考えることもできます。

中1ギャップの解消法2選

この章では、実際に中1ギャップで悩んでいるお子さんに向けて、中1ギャップの解消法について解説します。

お子さんが中1ギャップで悩んでいる、こちらで解説した中1ギャップのサインが見受けられるなどの場合に実践できる解決法です。ぜひ参考にしてみてください。

解消法①ありのままを受け入れ、子どものいい部分をほめる

中1ギャップになったお子さんの多くは、自分に自信がなかったり、そんな自分にイライラしていたりすることが多いです。

そういったお子さんの不安やいら立ちを和らげるためには、親御さんがお子さんのありのままを受け入れ、お子さんの良いと思う部分を伝えてほめることが大切です。

逆に、一方的にアドバイスをしたり、叱ったりしないようにしましょう。

また、お子さんから何も言ってこないからと言って、何もしなくても大丈夫というわけではありません。

お子さんが中学生になると、コミュニケーションが少なくなりやすいです。また、思春期や反抗期を迎え、悩みや不安を親に言えない子どもが増えてきます。

そのため、お子さんが何も言ってこない場合でも、疲れてイライラしているように見受けられたら、親御さんから「どうしたの?最近元気がないね」と声を掛けましょう。

このように、「何かあったらいつでも力になるよ」という姿勢を見せることで、お子さんが悩みを相談しやすくなります。

お子さんひとりで悩むことがないよう、親御さんはお子さんの様子を日頃からよく観察し、変わったことがあればすぐに声を掛けましょう。

解消法②専門家・支援機関に相談する

お子さんが中1ギャップで悩んでいる場合は、専門家・支援機関を積極的に利用しましょう。

家庭内だけで解決しようとせず、不登校の専門家や支援機関に相談することが大切です。

これは、すでに解説してきた中1ギャップのサイン中1ギャップの予防策などについても同じです。

身近な相談先としては、いつもお子さんの状況を見ている担任の先生やスクールカウンセラーが挙げられます。

スクールカウンセラーは、カウンセリングなどを通じて、学校に通う子どもの心をケアする心理学の専門家です。

また、各自治体が運営する児童相談所や教育センターなど、地域ごとにも相談できる支援機関があります。

気になる人はインターネットで検索したり、自治体の窓口に聞いたりしてみてください。

中1ギャップを解決するためには、問題を親御さんやご家庭だけで抱えこまず、専門家のアドバイスを受けることが大切です。私たちキズキ共育塾でも、中1ギャップや不登校に関するご相談を承っています。

また、以下のような親御さんの言動は、ただでさえ中1ギャップでストレスを抱えているお子さんに、さらに負担を与える可能性があります。

  • 子どもと周りを比較する
  • 子どもができていない部分を責める
  • 求められていないうちからアドバイスをする
  • 無理やり学校の話を聞こうとする、行かせようとする

常に子どもの味方であることを伝え、お子さんの気持ちに寄り添う行動を心がけると、お子さんも中1ギャップを乗り越えやすくなるはずです。

参考:学校休んだほうがいいよチェックリストのご紹介

2023年8月23日、不登校支援を行う3つの団体(キズキ不登校新聞Branch)と、精神科医の松本俊彦氏が、共同で「学校休んだほうがいいよチェックリスト」を作成・公開しました。LINEにて無料で利用可能です。

このリストを利用する対象は、「学校に行きたがらない子ども、学校が苦手な子ども、不登校子ども、その他気になる様子がある子どもがいる、保護者または教員(子ども本人以外の人)」です。

このリストを利用することで、お子さんが学校を休んだほうがよいのか(休ませるべきなのか)どうかの目安がわかります。その結果、お子さんを追い詰めず、うつ病や自殺のリスクを減らすこともできます。

公開から約1か月の時点で、約5万人からご利用いただいています。お子さんのためにも、保護者さまや教員のためにも、ぜひこのリストを活用していただければと思います。

私たちキズキでは、上記チェックリスト以外にも、「学校に行きたがらないお子さん」「学校が苦手なお子さん」「不登校のお子さん」について、勉強・進路・生活・親子関係・発達特性などの無料相談を行っています。チェックリストと合わせて、無料相談もぜひお気軽にご利用ください。

まとめ~中1ギャップは専門家に相談しましょう~

小学生から中学生になると、学習面や人間関係、学校生活などの変化により、さまざまな困難に直面し、中1ギャップに悩むお子さんは少なくありません。

お子さんが中1ギャップで悩んでいる様子があっても、親御さんがお子さんの悩みに寄り添い、適切に専門家に相談することで、お子さんの心は晴れていきます。

また、お子さんが今は小学生で、これから中学校に進学するのであれば、進学先の情報を集めて準備しておくとよいでしょう。

このコラムが、中1ギャップで悩むお子さんと親御さんの不安や困りごとを解決するヒントになりましたら幸いです。

さて、私たちキズキ共育塾は個別指導塾であり、お悩みのあるお子さんなどの勉強を支援してきた経験が豊富です。

キズキ共育塾は、無料相談も承っております。ご相談いただければ、お子さんの勉強や受験などについて、「あなた」のための具体的なお話ができると思います。

キズキ共育塾の概要をご覧の上、少しでも気になるようでしたらお気軽にご相談ください。親御さんだけでのご相談、お子さんと親御さんご一緒でのご相談も承っております。

Q&A よくある質問

中1ギャップとはなんですか?

中1ギャップとは、中学校入学後に学校生活に適応できず、精神的に不安定な状態が続くことで起こる困難のこととされています。

詳細については、こちらで解説しています。

中1ギャップのサインはありますか?

以下が考えられます。

  • 元気がなくなる
  • 朝学校に行く時間になると体調が悪くなる
  • イライラするようになる
  • 部屋に閉じこもりがちになり、親と話さなくなる
  • 自分に自信がない発言をするようになる

詳細については、こちらで解説しています。

監修 / キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

共同監修 / キズキ相談担当 半村進

はんむら・すすむ。1982年、茨城県生まれ。東京大学文学部卒。
小学校時代から転校を繰り返し、運動ができないこと、アトピー性皮膚炎、独特の体形などから、いじめの対象になったり、学校に行きづらくなっていたことも。大学に入学してようやく安心できるかと思ったが、病気やメンタルの不調もあり、5年半ほど引きこもり生活を送る。30歳で「初めてのアルバイト」としてキズキ共育塾の講師となり、英語・世界史・国語などを担当。現在はキズキの社員として、不登校・引きこもり・中退・発達障害・社会人などの学び直し・進路・生活改善などについて、総計1,000名以上からの相談を実施。

【執筆記事・インタビューなど(一部)】

日本経済新聞 / 朝日新聞EduA / テレビ東京 / 不登校新聞 / 通信制高校ナビ

サイト運営 / キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2024年10月現在、全国に11校とオンライン校(全国対応)がある。

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