
「友達いらない」と思う5つの理由~友達は多い方がいいって、本当?~

キズキ共育塾の井上敦司です。
「友達は多い方がいい」という話を見聞きすることがありますが、これは本当でしょうか?
友達がたくさんいれば必ず幸せかというとそうではないし、1人で過ごす時間だって大事なはずです。
わずらわしい友人関係や、めんどうなつき合いだってあるでしょう。
何らかのトラウマにより、友達づき合いをするのが難しい場合も考えられます。
「友達は多い方がいい」という常識は、一度見直してみる必要があります。
そこで今回は、「友達いらない」と思う理由、心理、そのメリットを、私自身の経験やキズキ共育塾の講師の方々の意見をもとにまとめてみます。
あなたの「友達いらない」と思う気持ちの整理に役立てば幸いです。
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目次
「友達いらない」と思う理由
あなたがいま、「友達いらない」と思っているとしたら、その理由は何ですか?
この章では、考えられる理由を、大きく5つにわけて紹介します。
①友達づき合いがめんどくさい

「友人Aと友人Bがケンカをして、3人で一緒に遊べなくなった。
AとB両方から相手への愚痴を聞かされて、イヤな気分になった」
例えば、こんなふうに友人同士のケンカに巻き込まれると、大変ですよね。
楽しく遊んでいるうちはいいけれど、友達づき合いにおいては、めんどくさいことだってあります。
その他にも、こんなことが考えられます。
- 興味のない話題でも、友達に話を合わせないといけない
- 仲間外れにされないために、友達の間で流行っていることをチェックしないといけない
- 友達の期待に応えていたら、自分が自分じゃなくなってきたような気がしてきた
- 友達に嫌われないように気をつかわないといけない
そんな状況によって、
「いっそ友達がいなくなれば、めんどくささから解放されるかもしれない」
「つき合う友達の数を減らしてしまおう」
などと考えることがあります。
②必要以上に気をつかってしまう

友達に気をつかいすぎて疲れてしまったというケースもあります。
対立をつくらないように。
相手に不快な思いをさせないように。
その一方で、素っ気なくならないように。
相手の好意にしっかり応えられるように。
このような人間関係の繊細さを、社会学者の土井隆義氏は、次のように論じています。
現代の若者たちは、自分の対人レーダーがまちがいなく作動しているかどうか、つねに確認しあいながら人間関係を営んでいる。 周囲の人間と衝突することは、彼らにとってきわめて異常な事態であり、相手から反感を買わないようにつねに心がけることが、学校での日々を生き抜く知恵として強く要求されている
(土井隆義『友だち地獄』2008年、筑摩書房、pp.16-17)
よりよい関係のために、お互いに気をつかう・配慮することは大事です。
でも、やりすぎると疲れてしまって、本末転倒です。
「もっと気楽に過ごしたい」と考える人は少なくないはずですが、それを許さないプレッシャーがあるのでしょう。
他人に気をつかうのが得意だという人は問題ありません。
ですが、苦手な人は「必要以上の気づかい」にものすごく疲れるため、「友達いらない」と思うようになるのです。
③コミュニケーションが難しい

昨今では「コミュニケーション能力」が重視されるようになり、コミュニケーションが苦手な人を意味する「コミュ障」という言葉などもが使われるようになりました。
- 「空気が読めない」と非難されてしまう
- 自分から話しかけるのが苦手
- 相手の気持ちを考えることができない
このように、コミュニケーションが苦手な人は、
「友達ができない。
しかもその理由や原因は自分のコミュニケーション能力にあるらしい。
だったらもう、友達なんていらない!」
と考えるかもしれません。
私も以前、6年間の不登校を経て高校進学した際には、どのように人と話せばいいかまったくわかりませんでした。
友達はほしいけれど、どうすればいいのか見当がつかないし、失敗したらどうしようと思うと怖かったです。
コミュニケーションは複雑です。
前節で引用したように、現代の人間関係ではより繊細なやりとりが要求されます。
そんな現代では、「友達いらない」と思うことも、ある意味自然な話ではないでしょうか。
コミュニケーションの難しさについて、以下のコラムをご紹介します。
人見知りや自己嫌悪があったり、劣等感が強かったりする人はぜひ読んでみてください。
④他人を信用できない

いじめや裏切りなど、人間関係でトラウマや後遺症があるために「友達いらない」と思う人もいるでしょう。
「誰かを信用するかしないか」の判断は、人間関係の成功や失敗の積み重ねによる経験則から導かれるものです。
一度他人を信じられなくなったら、その心理状態を変えるのは難しいことです。
トラウマや後遺症があれば、なおさらです。
そんなときは、無理して友達をつくる必要はありません。
もしあなたがこのタイプなら、まずは1人で過ごしたり、ゆっくり趣味の時間を持ったり、心療内科やカウンセリングなど専門家の力を頼ることをオススメします。
⑤友達といる以外の時間が充実している

- 趣味が忙しい
- 目標に向けて努力したい
- 家族や恋人がいるので、友達はいらない
- 1人でいても何も困らない
このように、自分一人や、友達以外の人たちと過ごす時間が充実しているために友達がいらないという場合もあります。
何も問題がないように思えます。
しかし、もしあなたがこのタイプで、このコラムにたどり着いたということは、「とはいえ、やっぱり友達って必要?」という考えがあるのかもしれません。
その場合、1人でいる時間を大事にしつつ、たまに遊べる友達を持ってみるというのはいかがですか?
趣味や目標を共有する友達ができたら、お互いに刺激しあったり話題を共有したりできて、楽しいかもしれません。
私も、年に1~2度だけしか会わない友達が何人かいます。
ちょくちょく会う友達とは違って、詳しく相手のことを知ることはできませんが、それはそれでほどよい距離感を保てているようにも思います。
友達がいない(少ない)メリット

「友達いらない」と考える理由には、様々なものがありました。
総じて言えるのは、昨今では、友達をつくったり友達と過ごしたりするために必要な時間やエネルギーは増え、技術は複雑になっているということです。
そのために、「めんどくさい」「難しい」「自分には無理だ」と感じるのではないでしょうか。
そのような「大変なこと」の裏返しとして、友達がいない(少ない)ことのメリットは、次のようにまとめられます。
- 自分ひとりで行動・判断する力や習性が身につく
- 友達関係以外のこと(自分が好きなこと、自分に必要なこと)に時間やエネルギーを使える
- 対人関係の技術を磨く手間や労力が省ける
- 無理をしなくてよい
特に「自分ひとりで行動・判断する力や習性が身につく」については、集団に適応しすぎることなく、個人として思考・判断する主体は、近代以降の社会の前提ですから、大きなメリットです。
なお、これらのメリットは「友達がいなければ、必ず得られる」というものでなく、あくまで「可能性が高い」という程度のものとご理解ください。
また、「友達がいると、これらのメリットは必ずなくなる」というものではありません。
例えば、「無理をしなくてよい」については、「友達を持つと、必ず無理をする」というわけではないでしょう。
居心地のよい友人関係では、リラックスできたり、楽しい時間を過ごしたりできます。
友達がいる(多い)メリット

では逆に、友達がいることのメリットを考えてみましょう。
「友達がいらない理由」でも述べてきたとおり、友達がいることはメリットばかりではありません。
ただ、ここでは、比較のためにあえてメリットだけを取り上げてみます。
- 楽しい時間を共有できる
- 自分1人ではできない行動ができたり、想像できないことを知ったりできる
- 困ったときに助け合える
- つらいときに寄り添い合える
いかがでしょうか。
ここでも注意してほしいのは、「友達がいないメリット」と同じく、上記のいずれも確定ではなくて、「その可能性がある(高い)」というだけだということです。
友達だからといって、メリットを期待しすぎるのもよくありません(それでも、「こうしてほしい」ということがあれば、それを言葉にして伝えることが重要です)。
さて、これは持論ですが、友達は損得勘定でつくるものではありません。
「友達をつくるとこういうメリットがある」という言い方は、損得勘定なのでよくないようにも思います。
友達は、必ずしも自分に尽くしてくれるわけでもないし、必ずしも気をつかってくれるわけでもありません。
しかし、これを逆に考えると、自分も友達に対して無理に尽くす必要もないし、気をつかいすぎる必要もないのです。
これくらいの心持ちでいられると、友達関係はグッと楽になるように思いませんか?
まとめ〜友達づきあいは、メリットだけでもデメリットだけでもありません〜

今回の記事をまとめます。
「友達は多い方がいい」という言説は、必ずしも正しくはありません。
- 友達づき合いがめんどくさい
- 必要以上に気をつかってしまう
- コミュニケーションが難しい
- 他人を信用できない
- 友達といる以外の時間が充実している
このような場合は、1人で(または友達以外の人たちと)過ごす時間を大事にしたり、友達づき合いを減らしたりしてみてはいかがでしょうか。
友達がいない(少ない)ことは、悪いことでも恥ずかしいことでもありません。
以上、「友達いらない」と思うあなたの気持ちの整理に役立ったなら幸いです。
さて一方、友達がいる(多い)ことは、「必ずよいこと」ではないものの、「よいこともあるもの(悪いことばかりではないもの)」ではあります。
もし「友達いらないと思ってたけど、ちょっとほしくなったな」と思ったなら、しばらく休息を取ってから、居心地のよい関係が築けるように再度挑戦してみるのがおすすめです(友達の作り方については、コラム「友達の作り方がわからない?仲よくなる7つの方法と簡単なコツ」もご参考にご覧ください)。
最後に、私たちキズキ共育塾は、主に「お悩みを抱える方々」のための個別指導塾です。
生徒さんの中には、友人関係に疲れた人や、コミュニケーションが苦手な人も多くいらっしゃいます。
授業では、勉強を教えるだけではなく、様々な悩み相談も可能です。
友人関係やコミュニケーションでお悩みの方は、お気軽にご相談ください(ご相談は無料です。保護者さまだけのご相談も歓迎です)。
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