
コミュニケーション障害とコミュ障ってどう違うの?コミュ力を高める3つの方法

キズキ共育塾のあべあいりです。
ここ数年で日常的に「コミュ障」という言葉が使われるようになりました。
コミュ障はもともとネット用語として生まれたようですが、それがどんどん日常的に使われるようになりました。
そして、コミュニケーションが苦手な人のことを表す言葉として、ネット以外の場にも溶け込み始めました。
この記事では、コミュニケーションについて広く知りたい人のために、まず「医学的なコミュニケーション障害」と「俗語としてのコミュ障」について紹介します。
また、「自分はコミュ障で…」と悩んでいる人のために、ソーシャルスキルトレーニング(SST、社会生活を営む上で必要なコミュニケーションのトレーニング)の実践例から、コミュ障を克服し、コミュ力を上げるための方法もお伝えします。
それではまずは、医学的なコミュニケーション障害について解説していきたいと思います。
目次
医学的なコミュニケーション障害とは

すでに述べたとおり、「コミュ障(コミュ症)」とは、コミュニケーション障害を略した言葉で、ネットから発生した俗語です。
近年「自分はコミュ障だ」「あいつはコミュ障だ」など日常会話でも広く使われるようになりました。
しかし、俗語ではない、精神医学的な「コミュニケーション障害」も、実は存在します。
①医学的なコミュニケーション障害の定義
日本の精神医療でも広く使われているアメリカ精神医学会の『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』によると、コミュニケーション障害とは、次のようなことを指します。
- 言葉を使うことに対して障害が発生する複数の疾患の総称である「コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群」<
②医学的なコミュニケーション障害の特徴
『DSM-5』の診断基準によると、コミュニケーション障害には、下記のような特徴があります。
- 話し言葉と敬語を使い分けるなど、状況によってコミュニケーションを変えることが苦手
- アイコンタクトや表情を読んだりなど非言語的な合図を理解することが苦手
- ユーモアや比喩表現などあいまいな言葉を理解することが苦手
- 会話のルールに従うことや、推測することが苦手
- それらの困難さが、社会的な関係や学業、仕事などに支障がある
- 子どもの頃から以上の症状がある(就職などのタイミングで分かる人もいる)
病気としてのコミュニケーション障害は、個人の努力で解消できる程度の苦手な感覚ではなく、社会的な活動に支障をきたすほどの困難さがあるのです。
場の空気に応じて言葉を読み取ることや言葉を変えることが困難であり、上記のような症状が、日常的に、継続して起こります。
それが、俗称としての「コミュ障(コミュ症)」とは大きく異なる特徴です。
もし「自分はコミュニケーション障害かも…」と思った場合は、お近くの精神科・心療内科を受診してみることをオススメします。
専門の医師やカウンセラーと治療的なコミュニケーショントレーニングなどを行うことで、症状は改善していきます。【参考書籍:日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院,2014)】
俗語としてのコミュ障(コミュ症)とは

次に、俗語としての「コミュ障(コミュ症)」について述べていきます。
コミュ障の特徴
コミュ障はネットスラングに由来する言葉です。そのため、明確に定められた定義や特徴はありませんが、一般的には次のような特徴を指しています。
- 常に周りの人に対して遠慮しがちで、自分の意見が話せない
- 空気を読まない発言や言葉遣いで話してしまう
- 人見知りや緊張が激しく、人と話すときに動揺してしまう
- 人前に立つと緊張によるパニックで頭が真っ白になる
- 人の話をさえぎってまで自分の話をしてしまい、周りが迷惑していることに気づかない
- 周りの会話のペースについていけず、黙ってしまう
- 会話や質問などにうまく受け答えできない(内容も話し方も)
- 自分から上手で積極的なコミュニケーションができない(会話を拒む)
病気としての「コミュニケーション障害」と比べると、「コミュニケーションが得意ではない」は共通しています。しかし、「日常的・継続的ではない」「仕事や通学など、社会的生活において致命的なまでの支障はない」といったところが違いでしょうか。
そして、「病院にかからなくても改善できる」ことも、大きな違いでしょう。
変に人見知りや緊張をしなくなったり、コミュニケーションの練習をしていったりするうちに、上記のような特徴は出にくくなります。
次章では、コミュ障を改善する方法(コミュニケーション能力を高める方法)をご紹介します。
なお、「コミュ障」じゃなくても、急に発言を求められる無茶振りに対応することができなかったり、人との会話のペースについていけなかったりなどは、誰にでも経験があることです。
「自分はコミュ障で、どうしようもない」などと、変に自分を卑下しないようにしましょう。
コミュニケーション能力を高めるためには

「自分はコミュ障かも…」と思った人は、下記のことを念頭に置いて、日々の生活を送ってみましょう。
ソーシャルスキルトレーニングの実践例から、コミュニケーション力を高めるために日常的に使えるトレーニングを抜粋しました。
①コミュニケーションがうまい人をよく観察して真似する
コミュニケーションが上手い人は、人と気持ちよく付き合うコツを知っている人です。
そんな人をよく観察してみると、「こういう場面でこんなふうにお礼をしている」とか「こういうときにはこういう声をかけている」など、人との関係性を円滑にしている一手が見えてきます。
それらを真似をして実践してみることで、徐々に人と上手く付き合えるコツを掴めます。
②相手を尊重しながら、自分の意見を言う練習をする
日常生活では、会話を重ねながら、誰かと何かを進めていくことはとても大切なことです。
ですが、自分にそもそも意見がなかったり、意見があっても遠慮してしまったりなど、そういうことで悩んでいる人もいると思います。
意見がないと感じることが多い人は「自分ならどうするか」という視点で常に物事を見てみるといいでしょう。
そして出てきた自分の意見に対して「どうしてそう考えるのか」とどんどん深掘りをしていくと、「自分はこういう考えの傾向がある人なんだ」と考え方の軸を知ることができます。
誰かにその意見を伝えるときには「自分の意見を述べる前に、相手の意見を受容すること」を意識してみることをオススメします。
相手と意見が違っていても、まずは相手の意見を受け止め、それから自分の意見を述べてみてください。
例えば…
相手(Aさん)「あなたの仕事、こういうところを気をつけた方がいいかもしれません」
自分「ありがとうございます!確かにここは気をつけないといけませんね。
それと、ここはAさんがまとめてくださる資料を元につくりたいので、引き続き連携してやっていきたいです!」
これが否定だった場合、相手はあまりよい印象を持たなくなるでしょう。
相手(Aさん)「あなたがやってる仕事、こういうところを気をつけた方がいいかもしれません」
自分「わかってますが、Aさんが資料を送ってくれないとできません。」
相手を頭から否定しないことが円滑なコミュニケーションを行う上で大切なことです。
最初は難しいかもしれませんが、カッとなったり、相手と異なる意見が口から出そうになったときは「まずは受容」と心の中で唱えて、会話をしてみてください。
③信頼できる人にフィードバックをもらう
信頼できる友人・家族・恋人などから、普段のコミュニケーションや、上記方法を実践してみてのフィードバックをもらってみてください。
フィードバックには、よい意見もあれば、もっとここを直してほしいという改善的な意見もあります。
フィードバックをもらうことはとても怖いことかもしれません。ですが、コミュニケーション能力をあげると同時に、フィードバックをくれる人との関係も深めて、よりよいものにしていけます。
恐れずに聞いてみてください。
フィードバックをもらうときは、悪いところだけではなく、よいところも必ずちゃんと教えてもらってください。
改善すべきところを改善しながら、既にあるよいところはしっかり伸ばしていくように心がけましょう。
以上のように、ちょっとしたことでもコミュニケーション能力を高める方法はたくさんあります。
ソーシャルスキルトレーニングには、上記以外にも方法があります。
参考書などを読みつつ実施することもできますし、精神科・心療内科などでも受けられることもあります。
もっと詳しく知りたい人は、書籍を探したり、お住まいの地域にある精神科・心療内科・カウンセリング機関などに問い合わせてみることをオススメします。
まとめ〜自分の状態を知って、コミュニケーションの悩みを減らしていきましょう

医学的なコミュニケーション障害と、ネットスラングから派生したコミュ障について紹介しました。
コミュニケーション障害は、日常的に、継続して、社会生活を営む上で支障があるほどにコミュニケーションにおける困難さがあります。
改善のためには、適切に医療機関を頼ることが大切です。
コミュ障は、状況や環境によってコミュニケーションがうまくできない状況が発生します。
ソーシャルスキルトレーニングなどを利用し、周囲の人にも頼ったりすることで、コミュニケーション能力は向上していきます。
コミュニケーションの問題は、一人だけで悩む必要はありません。
付け加えると、あなたのコミュ障は、あなた自身ではなく、周りの家族・友人・恋人など相手側に原因がある場合もあります。
ですので、一人だけでは悩まずに気軽にカウンセリングや医療機関の受診をしてみることもオススメします。
いろんな方法を試して、楽しくコミュニケーションできるようになりましょう。
さて、私たちキズキ共育塾は、不登校、引きこもり、コミュ障など、お悩みを抱える人のための個別指導塾です。
授業では、勉強の話だけではなく、雑談や悩み相談を通じてコミュニケーションの練習もできます。
家族や友人以外ではない講師とコミュニケーションを取ることによって、新しい考え方や新しい人間関係をつくることができるのも、キズキ共育塾のよさのひとつだと考えています。
小さなことでも構いませんの。少しでも気になるようでしたら、お気軽にお問い合わせください。
コミュニケーションに悩む日々から、大きく一歩前進するために協力・応援します!