高校中退、成功の6ポイント!具体的な進路や高校中退の有名人も紹介
こんにちは、高校中退の生徒さんの勉強とメンタルを完全個別指導でサポートするキズキ共育塾の寺田淳平です。
高校中退を検討中、または高校をすでに中退したあなたは、以下のことで悩んではいませんか?
- 「高校中退後に、どうやったら『成功』につながるんだろうか?」
- 「高校中退後の進路にはどんなものがある?」
- 「高校中退後の生活はどうやったらいいんだろうか」
このような疑問は、とてもよくお聞きします。
そこで今回は、高校中退を成功させるため(高校中退からの生活を成功につなげるため)に押さえておくべきポイント、その後の進路、高校中退の有名人と関連した注意点などを、キズキ共育塾の生徒さんの実体験も交えて、徹底解説いたします。
このコラムを読むことで、あなたが思う高校中退からの「成功」に近づくことができます。
高校中退についてお子さんから相談されてお悩みの親御さんは、コラム「高校中退を決めた子どもに親ができること~高校中退したい3つの気持ち・親の心構え〜」をご覧ください。
私たちキズキ共育塾では、高校中退後の進路・進学について、無料相談を行っています。少しでも気になるようであれば、お気軽にご相談ください(※なお、このコラムは長いので、目次を見て気になる部分だけ読んだり、読まずに問い合わせていただいたりしてOKです)。
目次
高校中退を成功と考えている人は約60%
最初にお伝えしておくと、実際に高校を中退した方の過半数は、「高校中退したこと」を「成功」と考えています。
これは、2009年に内閣府が行った調査『高校生活及び中学校生活に関するアンケート調査』から明らかになっています。
やや古いデータですが、キズキ共育塾の実感からも、「高校を中退してよかった」と思う人は少なくありません。
この調査によると、実際に高校中退した人のうち、高校中退について「やめてよかった」「まあ、やめてよかった」と回答した人の合計は57.5%と、約60%なのです。
「高校中退したら、今よりも悪い人生になる」という心配は、当てはまらないことの方が多いということです。
ただし、約40%は前向きにとらえていないことも事実です。
いずれにせよ、高校中退からの人生を、あなたの思う「成功」に近づけるためのポイントを知っておくことが重要です(後で紹介します)。
また、「何も考える余裕がないくらい、高校を中退したい」という状況なら、いきなり中退に踏み切らずに、まずは休学や欠席を検討してみましょう。
あなたの状況を知らないうちに、高校中退を「するべき」とも「しないべき」とも言いません。ですが、一度立ち止まって考えた方が、よい決断ができることが多いのです。
高校中退から「次の進路」に進んでいる人は大勢いる
次に、高校中退からの進学・就職などについて、実際の割合を見てみましょう。
こちらも少し古い資料になりますが、高校中退から2年後の若者を対象とした、内閣府の2011年度の追跡調査の結果から紹介します(参考:内閣府『若者の意識に関する調査(高等学校中途退学者の意識に関する調査)』)
高校中退後の進路として最も多いのは、「就職」で全体の56.2%。
次に多いのが「在学中(中退した高校とは別の高校や大学などに在籍中)」で30.8%の割合となっています。
高校を中退した後も、「次の進路」に進んでいる人が大勢いることを理解していただければ幸いです。
高校中退にネガティブなイメージを持つ人もいるかと思いますが、「中退したら将来がない」というわけではないのです。
「特に何もしていない」という人もいますが、それも「調査時点(中退から2年後の時点)で何もしていない」というだけで、その後の学び直しや就職などは可能です。
実際に、私たちキズキ共育塾の生徒さんだけを見ても、高校中退から2年以上のブランクがある状態から大学受験に合格するなど、次のステップや成功に向けて踏みだしている人は珍しくありません。
高校中退から「成功」に進むための6つのポイント
高校中退それ自体は、よいことでも悪いことでもありません。
高校を中退する方(または、中退を検討している方)はたくさんいますし、高校中退後に「成功」に進んでいくことはもちろん可能です。
ただし、何をもって「成功」とするかは人によって違いますし、中退後にはある程度の困難があるのは事実です。
また、中退した方がいいのかしない方がいいのかは、「実際のあなた」の状況によります。
それらを踏まえた上で、この章では、高校中退から様々なタイプの「成功」に進むために押さえておくべきポイントを紹介します。
なお、全てに共通して、あなた自身がじっくり考えることはもちろん、高校中退や中退後の進路について詳しい人にも相談しながら、今後のことを決めていきましょう(私たちキズキ共育塾でも、無料相談を行っています)。
また、高校中退の理由が病気・怪我・障害に関連する場合には、お医者さまからのアドバイスをしっかり踏まえることも必要です。
ポイント①大学などの受験ルートについて考える
1つ目のポイントとして、大学などへの進学という「成功」に進みたい場合は、中退してからどのようなルートで大学などの受験を目指すか、考えておきましょう。
大学・短大・専門学校などに進学するためには、高卒資格か高卒認定の取得が必要です。
つまり、高校中退から大学などに進学する場合は、別の高校を卒業するか高卒認定を取得する必要があり、どのルートで行くかも考える必要がある、ということです。
「高校中退後には、働きながら受験勉強をするつもりだ」という人は、仕事と勉強を両立させる方法も考えておきましょう。
なお、中退後に再入学しやすい高校と高卒認定については、後の章でご紹介します。
ポイント②学歴について考える
2つ目のポイントは、「学歴について考える」です。
あなたが考える「高校中退からの成功」と学歴がどのように関係するか、自分が(一時的に)中卒という学歴になることをどのように受け止めそうなのか、考えておきましょう。
高校を中退した状態では、学歴は中卒です。
人の性格や能力は、学歴のみでわかるものではありません。
しかし残念ながら、現在の日本社会では、学歴は、人を判断する基準のひとつになっています。
よりキツい言い方をすると、「中卒の状態では学歴差別を受ける可能性がある」ということです。
学歴差別は「する方が悪い」のですから、本来的にはあなたが気にする必要はありませんし、あなたの味方も必ずたくさんいます。
ただ、現実として学歴差別をする人がいることも事実です。
また、あなた自身が学歴コンプレックスを抱える可能性もあります。
なお、もちろん、高校中退の後に別の高校や大学を卒業して、学歴を「高卒」「大卒」に変えることは可能です(そのルートや候補は後で紹介します)。
学歴コンプレックスの解消法については、コラム「学歴コンプレックスを抱いている人必見!克服方法と原因を紹介」をご覧ください。
ポイント③就職先の選択肢と給料について考える
3つ目は、「就職先の選択肢と給料について考える」です。
これは、特に高校中退後に「働くことで成功しよう」と思っている人に向けたポイントです。
結論から言いますと、今すぐじゃなくても働きながらでもいいので、高卒資格の取得をオススメします(オススメの高校は後で紹介します)。
世の中には、「中卒」で働いて楽しく生きている人はいます。
ですが、学歴が中卒だと、高卒・大卒・専門学校卒などと比較した場合に、就職先や給料の選択肢が少ないのです。
まず、求人サイトを確認すると、応募条件が「高卒以上」や「大卒以上」となっているものがたくさんあることは、すぐにご確認いただけると思います。
次に、高校中退の場合は「正規雇用」の求人が少なくなります。
厚生労働省の統計によれば、15~34歳までの若年労働者における正社員(正規雇用)」の割合は次のとおりです。(参考:厚生労働省『平成30年若年者雇用実態調査の概況』)
- 中卒で正規雇用:35.4%
- 高卒で正規雇用:56.3%
- 大卒で正規雇用:80.9%
最終学歴によって大きな差があります。
非正規雇用(アルバイト、パート、派遣社員、契約社員など)が「悪い」というわけではありません。
非正規雇用には、正規雇用に比べて、「雇われやすく、辞めやすい」「興味のある仕事を掛け持ちしやすい」「シフトによって労働時間を調整しやすい」などといった利点も多くあります。
しかしその一方で、「給料、福利厚生、キャリア」の点から言えば、一般的には非正規雇用(アルバイト・パートなど)よりも、正規雇用の方が条件がよいと考えられます。
また、非正規雇用は、不況になったり会社の業績が悪くなったりしたときに、解雇されたり契約を更新できなかったりする可能性があるのも事実です。
正規雇用を希望しているならば、「望まぬ非正規雇用」は避けたいところでしょう。
高校中退で最終学歴が中卒になると、正規雇用での募集自体が少ないため、就職先の選択肢がかなり限られます。
正規雇用で就職できたとしても、将来「店長になりたい」「役職者になりたい」「転職したい」などと思ったときに、高卒以上の資格がないと壁にぶつかる可能性もあります。
「義務教育は中学までなのに、こんなに差があるのはおかしい」と思うかもしれませんし、私もそう思う一人です。ただ、現実的に就職を考えた際には、高卒以上の資格を取得することをオススメします。
参考として、中卒の状態で就きやすい仕事や行きやすい業界については、コラム「中卒からの就職、行きやすい5つの業界をご紹介」をご覧ください。
ポイント④人との交流方法を考える
4つ目のポイントは、「人との交流方法を考える」です。
高校中退後には、高校の友達と会う機会は減ります。
人は、一人になると、気弱になったりネガティブな考えが浮かんだりしやすくなります。
そうした状態では「成功」が難しくなるのはおわかりいただけると思います。
人との交流は、楽しい時間や心の安定につながるだけでなく、「今後どうするか」の参考になることもあります。
今後の具体的な進路にもよりますが、予備校、習い事、アルバイト、趣味のサークル(地域のサッカークラブなど)などを通じて、人との交流を保つようにしましょう。
なお、高校時代の友人とは、高校中退後も放課後や休日に会って楽しく過ごせることはもちろんあります。
ただ、生活が変わったことで、「話題に共感できない」「話についていくのが難しい」と感じたり、「なんとなく会いたくない」などと思うようになったりして、だんだんと疎遠になることもあるようです。
そうすると、「高校中退したから友達が減った…」と悩む方もいるのですが、高校の友達と疎遠になること自体は、中退以外にクラス替えや卒業などでも起こり得ます。
高校時代の友達と交流が減っても、「高校を中退したせいだ」とあまり思いつめないようにしましょう。
ポイント⑤高校中退の理由の伝え方を考える
5つ目のポイントは、「高校中退の理由の伝え方を考える」です。
「高校中退について、他人からどう思われてもいい」という価値観はもちろんアリです。ですが、伝え方を工夫することで「成功」につながることがあるのも事実だからです。
高校中退者の割合は、ここ5年ほどの平均「1.5%」を下回っており、卒業する人と比べると少数派です。(参考:文部科学省『令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果』)
高校中退はちょっと珍しいため、昔からの友達や同級生、親戚や近所の人、職場の人などから、「どうして中退したの」と聞かれることもよくあるのです。
特に就職活動における面接などでは、より詳細に聞かれることもあります。
そうした場面で前向きな経緯や合理的な理由を伝えることで、より「成功」に近づく、ということです。
事実に関する100%の嘘はいけません。ただ、伝え方を工夫することは可能ですし、心の中で思っていたことは正直に伝える必要はありません。
あくまで一例ですが、「先生が嫌いだったから中退した」と伝えるよりも、「先生の○○な教育方針が自分の●●な価値観と異なっていた。先生の考えを理解しようと努めたが、結果として心身に疲労がたまって中退した。その後、何がよくなかったのかを考えて、現在は××に取り組んでいる」などと伝えた方が好印象、というのは、おわかりいただけると思います。
ポイント⑥「何もしない期間」が生じる可能性を考える
6つ目は、高校中退後に「何もしない期間」が生じる可能性を考える、です。
これは、特に高校中退後の進路を決めていない人向けのポイントです。
高校を中退した人の中には、仕事や勉強をせずに、どうすればよいのかわからないままに毎日を過ごす人もいます。
こうした「何もしない期間」は、必ずしも「悪いこと」とは限りません。
長い人生の中にはそんな期間があってもいいでしょう。「そのブランクがあったからこそ、今後の人生で巻き返しを図ろうと決心し、がんばることができた」と言う人もいます。
しかし、後になって振り返ってみると、「あのときにもっとがんばれたのではないか」と、負い目を感じる人もいるのです。
また、先行きに不安を感じたり、就職活動で空白期間について尋ねられたりと、ストレスを抱え込む人も少なくありません。
何もしないならいつまでその状態を続けるか、何をしたらいいのかわからない場合はどのように進路を探すかなどについて考えることで、あなたの考える「成功」を見つけたり、「成功」に近づいていくと思います。
高校中退を成功につなげるための進路9選
ここからは、高校中退を「成功」につなげるための具体的な進路を紹介します。
「何を成功とするか」も含めて、中退後の進路を選ぶときには、あなた一人だけで抱え込まずに、中退後の進路に詳しい人や家族にも相談することが大切です。
例えば、大学受験を目指す場合は、高校中退からの大学受験に詳しい塾に相談する、というイメージです(私たちキズキ共育塾でも無料相談を行っています)。
また、高校中退の理由に病気・怪我・障害などが関係する場合は、病院にもよく話をしましょう。
進路①高卒認定資格を取得して大学などの進学を目指す
1つ目の進路は、「高卒認定資格を取得して、大学・短大・専門学校への進学を目指す」です。
大学などへの進学を通じた「成功」を目指すのならば、高卒認定の取得か、次項以下の通信制高校・定時制高校の卒業をオススメします。
高卒認定資格は正式名称を「高等学校卒業程度認定試験」という公的な資格です。
高卒認定を取得することで、高校を卒業していなくても、大学・短大・専門学校、一部の公務員試験などの受験が可能になります。
取得のためには、英語や世界史など、全部で8〜10科目で行われる試験に合格する必要があります(中退前の学習状況によっては、受験を免除される科目もあります)。
試験は年に2回(8月・11月)実施されており、その年度で16歳以上、かつ大学入学資格のない人であれば、誰でも試験を受けることができます。
注意点としては、高卒認定の取得は、正式な学歴にはならないということです。
高卒認定を取得した後に大学や専門学校を卒業しない場合、学歴は高校中退(中卒)のままです。
高卒認定についての詳細は、コラム「【すぐ読める】高卒認定試験とは?意外と簡単!取得のメリット・合格のポイントをご紹介」をご覧ください。
進路②通信制高校へ再入学(編入)する
2つ目の進路は、「通信制高校へ再入学(編入)する」です。
通信制高校は正規の高校ですので、高卒資格を通じた「成功」や、自分のペースで勉強を進めるという「成功」を考えている方には、オススメです。
通信制高校とは、学校から送られてくるテキストや動画などを使った、自宅学習がメインの高校です。
通信制高校の最大の特徴は、基本的に「通学の必要がない」という点です。
通学が必要なのは、「スクーリング日」と呼ばれる限られた日数だけです(必要なスクーリング日は、学校によって大きく異なります)。
「通学して受ける授業」の代わりに、レポート提出や試験で卒業単位を修得することになります。
あなたのペースで勉強できるため、「学校の授業に追いつけない」、または「授業の進度が遅すぎた」という理由で高校を中退した人に適した選択肢と言えるでしょう。
そして、通信制高校と次項の定時制高校には、高校中退を経験した人が比較的多く在籍しているため、学校や周囲が「あなたの事情」に理解が深い可能性も高いです。
なお、中退前に取得していた出席日数や単位については、編入先の通信制高校に引き継ぐことができます(次項・定時制高校も同じです)。
通信制高校についての詳細は、コラム「通信制高校とは?特徴・メリット・選び方・オススメの高校などをご紹介」をご覧ください。
進路③定時制高校へ再入学(編入)する
3つ目の進路は、「定時制高校へ再入学(編入)する」です。
高卒資格を通じた「成功」や、自分向きの高校でもう一度高校生活を送るという「成功」を考えている方にオススメです。
定時制高校は、朝から夕方に授業を受ける「全日制高校」とは違い、昼、または夕方から授業を受けることが可能な高校です。
もちろん正規の高校ですので、卒業すると高卒資格が得られます。
定時制高校の授業のコマ数は、1日4コマが目安のため、全日制高校よりも時間管理がしやすいというメリットがあります。
ただし、高校によっては、卒業までに4年かかるところもありますので、あらかじめ確認が必要です。
前述のとおり、定時制高校には、過去に高校中退を経験した人が比較的多く在籍しています。
同じ背景を持つ人と友達になりやすいため、「卒業後の進路をどうすればよいかわからない」という悩みを持った際の助けになってくれるかもしれません。
「中退したけど、学校自体は好きだった」という人は、定時制高校への再入学を検討してみてください。
定時制高校の詳細は、コラム「定時制高校ってどんなところ?定時制出身の私が紹介する、定時制のリアル」をご覧ください。
進路④全日制高校へ再入学(編入)する
4つ目の進路は「全日制高校へ再入学(編入)する」です。
先に結論を言うと、こちらはあまりオススメはできません。
まず、全日制高校は、中退経験者向けの募集や学期ごとの補欠募集の機会や人数が限られており、通信制高校や定時制高校に比べて、再入学(編入)のハードル自体が高いのです。
また、再入学(編入)できたとしても、その後再び中退する、という人も珍しくありません。
私が知っているケースでは、再度中退して、今度は定時制高校や通信制高校へ転校したり、その後は高校に通わなくなったり、という方が多いのも事実です。
これは、「他の生徒と年齢が違うこと」「高校中退に引け目を感じていること」「高校中退の理由を言いたくないこと」などから周りに心を開けず、高校で友達ができない、高校の居心地がよくない、といった状況になるためのようです。
全日制高校への再入学(編入)を検討されている場合は、「全日制高校に行きたい理由」「実際に募集があるか」「その高校で自分が高校生活を送れそうか」などを、しっかり検討しておきましょう。
進路⑤高等専門学校(高専)へ進学する
5つ目の進路は「高等専門学校(いわゆる『高専』)へ進学する」です。
特に、技術を身につけて就職するという「成功」を考えている方にオススメです。
「高等専門学校(高専)」とは、技術者になるために、いわゆる五教科などの一般科目と、工学・技術・商船などの専門科目の両方を学べる学校のことです。
また、高等専門学校では、専門技能の習得だけでなく、社会人としてのマナーも身につけることができるので、即戦力として働く力を養える点に特長があります。
ただし、高専では、「普通科の高校」よりも濃い内容を学びます。
向いている人にはすごく向いている学校ですが、全員に向いているとは言えません。
高専への進学を考えている場合は、学校見学や資料請求などを行い、詳しい人にも相談して、自分に向いているかをよく検討しましょう。
進路⑥高等専修学校へ進学する
6つ目の進路は「高等専修学校へ進学する」です。
すぐに手に職をつけたい、社会人として基礎的なことを学びたいという「成功」を考えている方にオススメです。
高等専修学校のことを簡単に説明すると、「高校中退(中卒)で入学できて、世間でイメージされる専門学校と同じようなことを学べるけれど、専門学校よりも基礎的なことを学ぶ学校」のことです。
高等専修学校では、8つの専門分野(工業/農業/医療/衛生/教育・社会福祉/商業実務/服飾・家政/文化・教養)について、職業や実生活に関連した知識・技能を学べます(学べる分野は学校によって異なります)。
特定の高等専修学校では、3年以上通うなどの条件を満たすと、大学受験資格が得られることもあります(全ての高等専修学校で大学受験資格が得られるわけではありません)。
実際、卒業生のうち、「56%」は就職しますが、残りの44%の中には、大学などに進学する人も多いです。(参考:e-Stat『学校基本調査 / 令和4年度 高等教育機関《報告書掲載集計》 卒業後の状況調査 高等専門学校』)
大学進学も視野に入れながら、技能を学びたいという人は、高等専修学校を進路の候補に入れるのもよいでしょう。
進路⑦専門学校に進学する
手に職を付けるタイプの「成功」を目指したいのならば、各種職業に直結する技術などを学べる「専門学校」も、高校中退後の進路として有力です。
専門学校とは、簡単に言うと、「職業人を育成するための高等教育機関」です。
令和4年度時点で、専門学校は全国に約2,700校あり、約58万人の生徒が学んでいます。(参考:文部科学省※PDF『令和4年度学校基本調査の公表について』)
ただし、専門学校は、基本的には高校中退のままでは(=学歴が中卒では)、入学できません。
専門学校に入学するためには、「高校または高等専修学校(3年生以上)卒業以上」または「高卒認定の取得」が必要です。(参考:文部科学省『専修学校入学資格について』)
高校中退と専門学校については、コラム「高校中退から専門学校への進学方法を紹介!〜高等専修学校・高専も解説〜」にまとめていますので、ご興味があればご覧ください。
進路⑧就職する(働く)
8つ目の進路として「就職する(働く、フリーターなども含む)」という選択肢があります。
高校を中退して働いている人の中には、「仕事が充実したことで、高校中退前よりも生活が楽しくなった」という人もいます。
しかし、前にも述べたとおり、最終学歴が中卒の状態では、就職先の候補が少なく、希望した給料や待遇が得られない場合もありますので、積極的にはオススメできません。
どうしても高校中退して働きたい人や、働く必要がある人は、今すぐでなくてもいいので、これまでにご紹介した各種学校を合わせて検討することをオススメします。
「仕事をしながら勉強なんてできるのかな」と不安に思うかもしれませんが、働きながら勉強をしている人はたくさんいます。
補足して、「家計を助けるために高校を中退して働きたい」という方は、今一度「高校を卒業できる可能性」を考えてみてください。
家庭の事情のために高校を卒業できない若者を支援する奨学金や支援制度も多くあります。
自治体などの支援制度や奨学金を使いながら高校を卒業している人もたくさんいます。
学校の先生やお住まいの自治体の相談窓口に聞いて相談してみましょう。
誰に相談すればいいかわからない場合は、私たちキズキ共育塾でも無料で相談を受け付けています。
参考として、中卒から行きやすい業界については、コラム「中卒からの就職、行きやすい5つの業界をご紹介」にまとめていますので、ご興味があればご覧ください。
進路⑨海外留学する
高校中退後に「海外留学する」人もいます。
日本でずっと過ごす生き方とは違う「成功」が見えてくるかもしれません。
留学して現地の学校を卒業すれば、日本でいう高卒資格とともに、その国の言葉も身につけることができて、一石二鳥だという考えです。
また、「日本の学校文化」や「それまでの生活地域の環境」に馴染めないゆえの高校中退であれば、楽しい学校生活を送れるようになる可能性もあります。
キズキ共育塾が知っている事例として、留学先としては、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドといった例が見られます。
私の知人にも、高校を中退してオーストラリアへ留学・卒業した人がいました。
その人は、留学した理由として、「グローバルに活躍できるようになりたい」「日本の学校の雰囲気が合わなかった」ことを挙げていました。
オーストラリアの普通高校を卒業し、最終的には日本の大学に進学しましたが、海外に慣れたことで、その後の進路選択の幅が広がったという話をしていました。
しかし、前述した高専同様、向いている人には向いている選択肢ではある一方、こちらも「全員にオススメできる選択肢」ではないことは、正直にお伝えします。
それは、言語能力・お金・精神面・ビザなど、高校とは別の大変さがあるからです(2020年7月現在では、コロナウイルスの関係もあります)。
留学までに整えなくてはならない段取りも多く、高校中退して「どうすればよいかわからない」という人が、勢いや「なんとなく」で実行するには、ハードルが高い面もあります。
もし本気で検討したいという方は、家族と相談を重ねた上で、経験者や留学エージェントなどの意見を聞くことが大切です。
なお、「今住んでいる地域から離れたいから留学したい」のならば、外国ではなく、違う都道府県や市区町村の学校などに再入学・編入するという手段もあります。
高校中退を成功につなげた体験談~キズキ共育塾の事例から~
ここからは、高校中退後に大学進学というタイプの「成功」をつかんだ人の体験談として、私たちキズキ共育塾の生徒さんの事例を紹介します。 高校中退後の進路を具体的にイメージする参考にしてみてください。
事例①高卒認定合格後に一般入試で慶應義塾大学に合格したAさん
最初の例は、引きこもり生活を経て高卒認定に合格、そして一般入試で慶應義塾大学に合格したAさんです。
Aさんは、高校受験で志望校に入れなかった悔しさをバネに、入学した高校では1年生の頃から必死に勉強を頑張っていました。
ところが、2年生になったときに、猛勉強による疲労性の体調不良で学校に通えなくなった結果、自室に引きこもり、好きなゲームばかりして毎日を過ごすようになりました。
そして最終的には、高校を中退し、そのまま1年ほどはゲームばかりの生活を続けていました。
しかし、時間が経つうちに、「自分は無理をしていたのだ」と当時を振り返る余裕も生まれ、体調も安定してきたことで、アルバイトを始めました。
そして、「高校中退」や「フリーター」に対する社会の厳しさに気付いたAさんは、現状に危機感を覚えて、大学受験を目指すことにしました。
Aさんはキズキ共育塾に通うことを決心し、高卒認定試験の合格と並行して受験勉強を開始しました。
指導を受ける中で嬉しかったのは、担当してもらった講師の先生のひとりが、志望する慶應義塾大学の現役学生であった点です。
弱点科目を重点的に教わる一方で、大学の様子などを話してくれたことがモチベーションにつながりました。
その結果、アルバイトを続けながらの勉強は苦しい時もありましたが、1年間の受験勉強の末にAさんは慶應義塾大学に合格しました。
Aさんは大学受験を成功させたことで、引きこもりのときに失われた自信を回復することができ、大学に通える喜びを味わっているそうです。
事例②高卒認定合格後にAO入試で日本大学に合格したBさん
2つ目の例は、高卒認定試験合格後に、AO入試(現:総合型選抜入試)で日本大学に合格したBさんです。
Bさんは、小学校5年生の頃から学校が苦手で、登校したりしなかったりを繰り返していました。
中学校までは何とか卒業し、高校へ進学したものの、通うのがつらくなって、中退することにしました。
高校中退後のBさんは、「何をしたらいいのかもわからず、ただ時間だけが過ぎていく」ことに対して、「このままではいけない」と思い、大学に入学して、自分のやりたいことを見つけようと決心したと言います。
その後、高卒認定試験と大学受験対策を兼ねてキズキ共育塾に入塾したBさんを最初に担当したのは、同じように高校中退経験がある講師でした。
勉強のアドバイスだけでなく、気がふさいだり、落ち込んだりしているときには、気遣ってくれるなど、温かいサポートを受けられたことで、自分のペースで勉強を進められました。
そして高卒認定試験に合格した後、文章を書くのが好きなBさんは、キャンパス見学で感じた自由な雰囲気に魅力を感じたこともあり、日本大学の芸術学部をAO入試で受験することを決めました。
Bさんは受験対策をする中で、「勉強したくない・塾に行きたくない」と感じる時もありましたが、キズキのスタッフが「話をしに来るだけでいいよ」と声を掛けてくれたことに助けられたそうです。
無事に志望校に合格したBさんは、塾に通ううちに、「一人で抱え込んでしまいがち」だった自分が、人間的にも成長できたことに喜びを感じている、と言っていました。
事例③高卒認定合格後にセンター型で立教・明治・中央大学に合格したCさん
最後の例は、高卒認定合格後に、センター型で立教・明治・中央大学に合格したCさんです。
Cさんは、通っていた高校が進学校で、課題が多いながらも、きちんと勉強をこなしながら友達とも遊ぶ「普通の高校生活」を送っていました。
しかし、あるとき「自分が高校に通っている理由」がわからなくなり、考える時間がほしくなったことがきっかけになって、不登校になりました。
不登校の間は、単に考え事をするだけでなく、オンラインゲームをやったり、マンガを読んだり、アニメを観たりして、昼夜逆転の生活を送っていたといいます。
そして結局、登校を再開せずに、高校を中退することになりました。
中退から1ヶ月ほど経った頃、このままの生活に嫌気が差して、高卒認定試験に向けた勉強ができるキズキ共育塾に入塾します。
Cさんはスタッフと相談しながら、高校在籍時の単位取得に伴う受験科目の免除など、高卒認定試験の仕組みにあわせた準備・勉強をしました。
すると、本人が思っていた以上に、簡単に高卒認定に合格することができました。
それからは、オープンキャンパスで感じた学校の雰囲気などから、立教大学を志して、受験勉強を開始しました。
Cさんは、高校在学当時に「嫌だ嫌だ」と思ってやっていた勉強も、塾で学び直してみると「面白い」ことに気が付いたと言います。
そして地道に勉強を続けて、立教大学の他にも、明治大学と中央大学にセンター型(センター試験の点数のみで合否が決まる方式)で合格することができました。
Cさんは、キズキ共育塾に入ることで、高校中退後に感じていた将来への不安や悩みが次第に消えていき、「なんとかなる」というマインドに変わってきたことが大きいと言っていました。
高校中退後に成功した有名人3名の紹介と、関連した注意点
芸能人、スポーツ選手、実業家、芸術家など、いわゆる「成功した人たち」の中にも、高校中退経験がある方はたくさんいます。
たとえば、実業家の家入一真さん、熊谷正寿さん、タレントの伊集院光さんなどです。
カンタンにご紹介します。
①家入一真さん(実業家)
家入一真さんは、いじめをきっかけに高校中退し、その後、ひきこもりになりました。
就職後も対人関係に悩み、「誰にも会わずに仕事がしたい」と起業を決意します。
現在も、クラウドファンディングサイトのCAMPFIREの代表取締役(社長)などとして活躍中です。(参考:『なめらかなお金がめぐる社会。 あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ』)
②伊集院光さん(タレント)
伊集院光さんは、不登校から高校中退後、落語家の三遊亭楽太郎さん(故・六代目三遊亭円楽さん)に弟子入りしました。
その後、ラジオ番組に出演して人気を博し、タレントになります。
現在も、NHK/Eテレ「100分de名著」などで活躍中です。(参考:『世間とズレちゃうのはしょうがない』)
③熊谷正寿さん(実業家)
熊谷正寿さんは、高校に首席で入学しましたが、安心したため成績が落ち、先生からいじめを受けるようになります。
高校が嫌になって中退し、その後、放送大学で学びます。
そしてパチンコ店店長などを経て、後にGMOインターネットとなる会社を創業、現在もGMOグループの代表として活躍中です。(参考:「GMO社長『パチンコ屋の釘師』から、グループ89社のトップへ』)
④有名人の事例は、直接的な参考にしないことをオススメします
ご紹介したように、高校中退後に様々な世界で活躍している人がいます。
お伝えした3名以外にも、高校中退している有名人・芸能人は大勢います。
高校中退を経て活躍している有名人を見ることは、あなたの心が明るくなると思います。
一方で、「この人たちは、高校中退したから大成功したんだ」「大成功するためには、今すぐ高校を中退して別のことをがんばらないと」などと安易に思うのは危険です。
なぜならば、有名人になるくらい成功・活躍している人たちは、高校を卒業する以上の勉強や努力を重ねているからです(場合によっては、才能や運も必要です)。
熊谷正寿さんは、「たくさん本を読んで勉強し、放送大学でも勉強した」と言っていました。
有名人の事例を希望にするのは問題ありません。ですが、あなたの思う「成功」と「高校中退(後の進路)」の関係は、あなた自身のことや高校中退後の進路に詳しい人にも相談しながら、どのように行動するのか決断するようにしましょう。
そして、将来の選択肢を広げるための一般論としては、前にご紹介したような高卒に類する学歴・資格(高卒、高専卒、高等専修学校卒、高認取得)を得ることをオススメします。
今すぐ新しい高校に入学したり、高卒認定の勉強を始めたりするのが難しい人もいるでしょう。
そんな方は後からでもいいので、ぜひそうした選択肢があるということだけは覚えておくと、きっと役に立つと思います。
まとめ:高校中退から「成功」することは可能です
高校中退を「成功」につなげるための考え方のポイントや具体的な進路などをご紹介しました。
あなたの進路選びの参考になりそうな情報はありましたか?
繰り返しにはなりますが、大切なのは、一人で抱え込まないことです。
ご家族だけでなく、塾の講師の先生など、あなたが頼ることができる人はたくさんいるはずです。
「自分も高校を中退した経験がある」ということで、親身になって相談に乗ってくれる人もいるでしょう。
ぜひ、そうした専門家の人や、高校中退後のことに詳しい人に相談してみてください。
このコラムが、高校中退で悩んでいる人の参考になったなら幸いです。
さて、私たちキズキ共育塾は、お悩みを抱える方々のための個別指導塾です。
生徒さんには、高校中退からの高校再入学・高認受験・大学受験などを目指す方や、実際に合格した方が大勢いらっしゃいます。
無料相談も承っておりますので、ご相談いただければ、「あなた」のための具体的なお話ができると思います。
キズキ共育塾の概要をご覧の上、少しでも気になるようでしたらお気軽にご相談ください(親御さんだけでのご相談も承っています)。