不登校の原因とは? 原因TOP5や不登校への対応を解説
こんにちは。生徒さんの勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする完全個別指導塾・キズキ共育塾です。
不登校の原因は人それぞれです。以下のようにお悩みの親御さんはきっと多いでしょう。
- 我が子が不登校になった原因がわからない
- 他の子はどのような原因で不登校になったのか参考にしたい
このコラムをお読みのあなたも、不登校の原因を知りたいのではないでしょうか?
あるいは、不登校の原因の中に、次の一歩を踏み出すためのヒントがあると考えているのではないでしょうか?
このコラムでは、不登校の原因と対応を解説します。
あわせて、実際に半年近く不登校を経験した筆者の体験談も紹介します。いま不登校で悩んでいる人にも参考になるはずです。
このコラムが、不登校の原因と対応方法について知りたい人の助けになれば幸いです。
共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス
不登校の要因や背景は千差万別であり、要因は複雑に絡み合っています。
「子どもが悪い」「親が悪い」と決めつけることはやめましょう。解決のためには、子どもの周囲にいる大人が「不登校からの選択肢」をより多く知ることが大切です。
「学校に行かなくても、社会でやっていけるんだ」という安心感は子どもを救う武器になるはずです。
目次
不登校の原因探しは解決につながるのか?
そもそも、不登校の原因探しは、不登校の解決につながるのでしょうか?
結論から言うと、解決につながることもありますし、つながらないこともあります。
逆に言うと、「不登校の原因を特定・解決できなくても、『次の一歩』に進むことはできる」となります。
また、不登校になった直接の原因と、不登校が続いている原因が異なることも珍しくありません。
不登校は、様々な原因が複雑に絡み合っているものです。
例えば、不登校になった直接の原因が「厳しい先生の指導や叱責」であったとしても、その後、不登校が続く原因は「不登校中の生活リズムの乱れ」「勉強の遅れによる登校再開への抵抗感」などであるケースがあります。
このような場合、「不登校になった直接の原因が解決した=厳しい先生が担任ではなくなった」などとしても、「不登校が続いている原因が解決できていない=昼夜逆転が続いている」場合は、さらに不登校が続くこともあるのです。
一方、「先生の叱責」「生活の乱れ」「勉強への抵抗」という、不登校の原因がどれも解決できていない状態だとしても、先に「自己肯定感の獲得」などができれば、それを足掛かりに「次の一歩」に進めることもあります。
私たちキズキ共育塾は、不登校の人のための、完全1対1の個別指導塾です。
生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。
不登校の6つの原因
不登校の具体的な原因には、どのようなものがあるのでしょうか?
この章では、小学校から高校までに当てはまる不登校の原因を、キズキ共育塾の知見に基づいて、 解説します。
こちらでも解説しましたが、どれかひとつが主な原因というより、いくつかの原因が重なりあって不登校というかたちで現れていると考えているのが自然です。
その点に注意しながら、以下の原因を見ていきましょう。
原因①学校の人間関係が難しい
不登校の原因としてよく挙がるのが、「学校の人間関係が難しい」です。
集団生活を基本とする学校では、以下のように、様々な人間関係が生じてきます。
- 先生との関係
- クラスメイトとの関係
- 部活の先輩後輩との関係
特に、年度のはじまりなど、学年が変わって人間関係が変化する時期には、悩みを抱える子も多いです。
中には、いじめなどに発展するケースもあります。
こうした「学校の人間関係が難しい」は、不登校の原因の筆頭に挙げられるものと言えるでしょう。
いじめによる不登校については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
原因②学校の勉強についていけない
2つ目の原因は、「学校の勉強についていけない」です。
学校では基本的に、学力に関係なく、みんなで同じ授業を受ける集団授業が行われます。
高校では特定の授業のときに学力別にクラスを分けることもありますが、小学校や中学校ではほとんど全ての授業をクラスで受けることになります。
そのため、学習内容がなかなか理解できない子どもは、「学校の勉強についていけない」という状況に陥る場合があります。
また、決して勉強が苦手でない子どもでも、何らかの単元でつまずいたことをきっかけに、その後の授業についていけなくなるということもあるでしょう。
学習塾で勉強して追いつこうと思っても、中には経済的な面で通えないという子どももいます。
日本財団の調査でも、学習面での原因が多く挙げられていました。理由やきっかけは様々ですが、「学校の勉強についていけない」というのも、不登校の原因として多いのです。(参考:日本財団「不登校傾向にある学生の実態調査」)
原因③環境に慣れない
3つ目の原因は、「環境に慣れない」です。
これは小学校から中学校へ、中学校から高校への進学、他校への転校などで、変化した環境に慣れることができず、不登校になるという場合を意味します。
文部科学省の調査でも、高等学校の不登校に関して「入学,転編入学,進級時の不適応」(約8.4%)が3番目に多く挙げられているように、この環境に慣れないことも主な不登校の原因として考えられます。(参考:文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」)
学校にはそれぞれ独自の教育方針や校風があり、日頃の授業だけでなく、文化祭や体育祭などの学校行事の際には、その校風が表れてきます。
そうした学校の雰囲気や学校行事に馴染むことができず、学校に通いづらくなる子どももいるのです。
他に、「通学時間・距離が変わった」「進学・転校に伴い生活リズムも変わった」ということもあるでしょう。
こちらで解説したように、クラス替えのタイミングなどで環境が変わったときに、ある種の不適応を起こすというケースもあります。
原因④家族関係がうまくいかない
4つ目は、「家族関係がうまくいかない」です。
学校生活ではなく、家庭環境がお子さんのストレスになっている場合もあります。
基本的に家というものは、子どもがリラックスしてくつろげる場所であるはずです。
しかし、ご家庭に何らかの事情があったり、母親や父親、兄弟姉妹との家族仲があまり良好でなかったりすると、子どもが学校から帰ってきてもくつろげず、次第に「家庭が安心できる場所ではない」と思うようになります。
その結果、疲弊して学校へ行く気力を削がれて、学校に通えなくなる場合があります。
不登校というと、学校生活に問題があるように思われやすいですが、「家族関係がうまくいかない」ことを原因に挙げる子もいるのです。
そういった「子どもが不登校になりやすい家庭環境になっていないか」という点も、不登校の原因としてしばしば検討されます。
不登校の原因になりうる家庭環境については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
原因⑤他にやりたいことがある
5つ目の原因は、「他にやりたいことがある」です。
例えば、高校の普通科に通っている子どもの中には、「工業系の高校へ転校して工学系の勉強をしたい」と考えたり、「早く専門学校に入学して、職業につながる訓練を積みたい」と考えたりする子どももいるようです。
他にやりたいことがあるために、興味を持てない勉強や学校生活を送ることがつらく、不登校になるというケースがあります。
また、経済的に困難な状況にあるご家庭や、シングルマザーのご家庭などでは、家族や親御さんを助けたいという気持ちから、「学校に通わずにバイトをしたい」「就職をしたい」という希望を持つ子どももいます。
このように、他にやりたいことがあるときには、学校に通うこと自体が「もどかしい」と感じる子もいるのです。
原因⑥なんとなく学校へ行きたくない
最後に原因として挙げておきたいのは、「なんとなく学校へ行きたくない」です。
文部科学省の調査においても、最も多く挙げられた不登校の原因は、「無気力・不安」(小・中学校で約51.8%、高等学校で約40.0%)です。(参考:文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」)
これは、実際に不登校を経験した筆者自身が感じていたことです。
私が不登校になったきっかけは、「なんとなく学校へ行きたくない」という思いでした。
この「なんとなく」には、これまで解説した原因が絡みあってストレスになり、「自分でも収拾がつかなくなっている」「なぜ行きたくないのかはっきりわからない、言葉にできない」という心情が込められています。
だからこそ、「ひとりでゆっくり考える時間がほしい、休ませてほしい」と思って不登校になるのです。
この「なんとなく」という原因は、不登校の子には意外と多いのではないでしょうか?
不登校の原因TOP5
この章では、2022年に発表された文部科学省の調査結果に基づき、不登校の原因の上位5つをランキング形式で紹介します。
ただし、この調査に答えたのは学校の教員です。原因の割合については、本人や保護者と少し感覚が違う部分もあるかもしれません。(参考:文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」)
小学生・中学生の場合の不登校の原因TOP5
小学生・中学生の不登校の原因の上位5つは以下のとおりです。(参考:文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」)
- 無気力・不安:約51.8%
- 生活リズムの乱れ・あそび・非行:約11.4%
- いじめをのぞく友人関係をめぐる問題:約9.2%
- 親子の関わり方:約7.4%
- 該当なし:約5.0%
文部科学省によると、小学生・中学生の不登校の原因上位は、「無気力・不安」「生活リズムの乱れ」「友人関係」「親子の関わり方」という順になっています。
小学生・中学生という心身の成長段階にある子どもにとっては、学校や家庭の中でもストレスが蓄積して不登校になることも少なくありません。
高校生の場合の不登校の原因TOP5
高校生の不登校の原因の上位5つは以下のとおりです。(参考:文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」)
- 無気力・不安:約40.0%
- 生活リズムの乱れ・あそび・非行:約15.9%
- いじめをのぞく友人関係をめぐる問題:約9.2%
- 入学・転編入学・進級時の不適応:約8.4%
- 該当なし:約8.0%
文部科学省によると、高校生の不登校原因の上位は「無気力・不安」「生活リズムの乱れ」「友人関係」「入学・転編入学時の不適応」となっています。
高校生になるときには、中学から高校という大きな環境の変化があるため、不適応を起こし、不登校になることが少なくありません。
不登校の原因には「ばらつき」がある
不登校の原因にはばらつきがあります。
このばらつきから、不登校の原因は、個人によって大きく異なることがわかります。
少し話はそれますが、文部科学省によると、2022年度時点での不登校の児童生徒数は以下となります。(参考:文部科学省『令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について』)
小学校 | 10万5112人(全体の約1.7%) |
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中学校 | 19万3936人(全体の約6.0%) |
高等学校 | 6万575 人(全体の約2.0%) |
以上の不登校の児童生徒数の1人ひとりが、さまざまな原因を抱えて不登校になっているのです。
また、1人の子どもの不登校でも原因が1つであることはあまりなく、複数の原因が複雑に絡まり合っていることも少なくありません。
そのため、お子さんの不登校の原因を1つに絞るためではなく、「さまざまなことが不登校の原因となっている可能性がある」ことを意識しながら、お子さんの不登校の原因と向き合うことが大切になります。
不登校への7つの対応
この章では、不登校の対応を解説します。
前提:周囲の人や詳しい人に頼り、登校再開にこだわらない
大切なのは、「周囲の人や詳しい人を頼ること」「いま通っている学校への登校再開にこだわらないこと」です。
前向きな気持ちで「次の一歩」を踏み出すことを考えた際に、転校や、違う手段での大学受験など、登校再開とは異なる選択肢が浮かんでくる場合があります。
そうしたときに、登校再開にこだわると、不登校から抜けだそうという前向きな気持ちを妨げることがあるのです。
ご家庭だけでお悩みを抱え込まず、専門家や支援機関の意見も聞きながら、広い視野を持つようにしてください。
対応①信頼できる先生やスクールカウンセラーに相談する
学校に、信頼できる先生やスクールカウンセラーがいるなら、相談してみましょう。
お子さんのご家庭での様子だけでなく、学校での様子などをより深く知ることができるはずです。
スクールカウンセラーは、心のケアやストレス対処を専門とするプロフェッショナルですので、有益なアドバイスをもらえるでしょう。
不登校のお子さんだけでなく、親御さんのカウンセリングもスクールカウンセラーの業務の一環になります。
すでにお子さんのことを学校と話していて、学校に不信感がある場合は、学校への相談を無理にし続ける必要はありません。
学校に信頼できる人がいてもいなくても、こちらで紹介する学校外の相談先も利用してみてください。
対応②保健室登校をはじめる
2つ目の対応は「保健室登校をはじめる」です。
保健室登校とは、クラスで授業を受けずに、保健室で自学自習を行うことで、通常の登校と同じ扱いとなる措置のことです。
もちろん、保健室とは言え、いきなり登校するのを嫌がる子どももいますし、学校側でもそれ相応の準備が必要になります。
そのため、この対応はお子さんがある程度、不登校からの「回復期」に入り、かつ学校の先生やスクールカウンセラーへ十分な相談を行った上で、提案するようにしましょう。
保健室登校の詳細については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
不登校の回復期については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
対応③学校支援センター(旧:適応指導教室)を利用する
学校支援センター(旧:適応指導教室)を利用するのもいいでしょう。
学校支援センター(旧:適応指導教室)とは、不登校の子どもの支援を目的に、自治体の教育委員会などが学校以外の場所や校内の空き教室などに設置する施設のことです。(参考:文部科学省「不登校に関する調査研究協力者会議フリースクール等に関する検討会議合同会議(19回)配布資料」)
不登校の子どもに対して、生活指導や勉強のサポートなどの学校生活への復帰の支援を行っています。学校支援センター(旧:適応指導教室)の利用についても、学校の先生やスクールカウンセラーと相談した上で、検討してください。
対応④支援機関や学習塾を利用する
4つ目の対応は「支援機関や学習塾を利用する」です。
不登校については、公民問わず、支援機関が多数存在します。
具体的に利用できるものとしては、以下のものが挙げられます。
- 児童相談所、児童相談センター
- ひきこもり地域支援センター
- 発達障害支援センター(発達障害が関係すると思われる場合)
- 教育センター(高校相当年齢)
- フリースクール
- 不登校に対応した学習塾や家庭教師
「どの支援機関と話をしたらよいかわからない」という場合には、お住まいの自治体の部署・窓口に相談してみてください。
支援機関に相談することで、あなたのお子さんに向いた具体的な解決法が見えてきます。
また、「同じ学校に在籍したいけれど、登校再開が難しい」ときには、フリースクールや不登校に対応した学習塾や家庭教師の利用を検討してみましょう。
そうしたところは、不登校などの子どものための教育施設です。
学校によっては、そうしたフリースクールや学習塾への出席を、「学校への出席」とカウントできる場合があるのです。
ただし、必ずしも通っている学校と連携しているわけではなく、最終的には転校を勧められる可能性もあります。まずは、学校やご検討中のフリースクールに確認してみてください。
対応⑤通信制高校に転校する
高校生の場合、「通信制高校に転校する」という対応があります。
通信制高校とは、学校から送られてくる教科書や動画といった教材を使う、自宅学習がメインの高校のことです。
通信制では、基本的に授業への出席ではなく、レポートの提出や試験などで卒業単位を修得していきます。
仮に出席を求められたとしても、「スクーリング日」と呼ばれる特定の日数のみです。
自分のペースで勉強に専念できるので、授業についていけずに不登校になった人や、クラスの人間関係が苦手という人に向いています。
通信制高校の詳細については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
対応⑥定時制高校に転校する
高校生の場合ですが、「定時制高校に転校する」という方法があります。
定時制高校では、朝から夕方にかけて勉強する「全日制高校」と異なり、昼、または夕方からの時間帯などで授業が行われます。
また、定時制高校の授業のコマ数は、1日4コマが目安になるので、全日制高校よりも時間が調整しやすく、バイトやお仕事をしながらでも通えるというメリットがあります。
ただし、高校によっては、卒業にかかる年数が4年になるところもある点にはご注意ください。
また、定時制高校には、一度不登校で高校を中退した人など、様々な背景を持った人が集っています。
そのため、同じ悩みや苦労を持つ人と交流しながら、勉強や学生生活に取り組めるため、比較的勉強が続けやすいかと思います。
定時制高校の詳細については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
対応⑦中退して高卒認定試験を受ける
「中退して高卒認定試験を受ける」という方法があります。こちらも高校生が対象です。
高卒認定試験とは、正式名称を「高等学校卒業程度認定試験」と言い、高校卒業程度の学力があるかどうかを審査する試験になります。
高卒認定試験に合格することで、大学・短大・専門学校、一部の公務員試験などの受験が可能になります。
試験は年に2回(8月・11月)実施されます。
高卒認定試験は、その年度で16歳以上、かつ大学入学資格のない人(=高校を卒業していない人)であれば、受けることが可能です(高校に在籍していても受験できます)。
全部で8〜10科目を受ける必要がありますが、高校中退後に大学受験を目指すケースの場合、高校での学習状況(単位取得状況)によっては、受験を免除される科目もあります。
また、1回の試験で全ての科目に合格する必要はなく、一度合格となった科目はずっと有効となります。
受験にあたっては、そうした仕組みを理解した上で、効率的な学習環境を整えることが大切です。
中には、専門の講師やスタッフが高卒認定試験の勉強をサポートする学習塾もあります。
私たちキズキ共育塾でも高卒認定試験の勉強サポートをしています。
高卒認定試験に興味のある方は、ぜひ一度、助けになるような学習塾などを調べてみてください。
高卒認定試験の詳細については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
私たちキズキ共育塾は、不登校の人のための、完全1対1の個別指導塾です。
生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。
不登校から復帰していく3つの段階
特別支援教育士である下島かほる氏によると、不登校から「回復」するまでの段階は、3つに分けられるそうです。(参考:下島かほる・監修『登校しぶり・不登校の子に親ができること』)
この章では、不登校初期から回復期までの3つの段階と、回復期に大切な考え方について解説します。
不登校の回復期については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
段階①不登校開始期(初期)
「不登校開始期(初期)」では、腹痛や頭痛といった体調不良などで学校を休む日が増え始めます。
遅刻・早退・保健室での勉強をすることが増えるなど、本格的な不登校に移っていく境目です。
段階②ひきこもり期(中期)
「ひきこもり期(中期)」では、学校に行かずに、ほとんどの時間を家で過ごすようになります。
昼夜逆転生活になったり、学校の話がイヤだったり、家族との関わりを避けたりするなどの様子が見られます。
段階③回復期(後期)
「回復期(後期)」は、学校での人間関係、勉強、将来への悩みなどで疲れた心に、エネルギーが溜まってくる時期です。
この回復期を経て、それぞれの「不登校の、次の一歩」へ進んでいきます。
回復期が大切な理由は、2つあります。
理由の1つ目は、次のステップを踏みだす「転換点」だからです。
回復期に、前向きな気持ちを邪魔されたり、ショックなことがあったりすると、ひきこもり期に逆戻りすることがあります。そのため、回復期にどう過ごすかを考えることは、不登校の「次の一歩」に進む上でとても重要です。
とはいえ、回復期に前のめりになりすぎて、ブレーキが利かなくなり、疲れることもあります。「ときにはブレーキを掛けることも必要」だということは、覚えておきましょう。
理由の2つ目は、「レジリエンス」が身につくからです。
近年、心理学の世界では、ショックな出来事が起こったときに、ガマンして耐えるのではなく、つらさを受け止めた後に回復していくことが大切だと言われています。この回復力のことを、心理学の用語で「レジリエンス」と言います。(参考:内田和哉『レジリエンス入門 折れない心のつくり方』)
このレジリエンスを人生の早い段階で意識して身につけることで、社会人になっても自分の心を大切にしながら生きていくことができます。
回復期に自分の気持ちを前向きにするコツをつかむことで、その後の人生にも活きてくる「回復力」がつきます。
不登校からの回復期は、自分の心のことを知るための貴重な機会です。ポジティブに捉えてみてもよいかもしれません。
不登校の子どもを持つ親ができることとやってはいけないこと
お子さんが不登校になると、多くの親御さんが「原因を突き止めて解決してあげたい」「早くまた学校に行けるようにサポートしたい」と思いがちです。
もちろん、お子さんのことを心配することは大切です。ですが、不登校のお子さんへの働きかけを間違うと、さらに状況を悪化させる可能性があります。
たとえば、以下のような働きかけは逆効果になりがちです。
- 学校に行きさえすれば不登校状態は解消していくだろうと、無理やり学校に行かせる
- 原因を突き止めたいあまり、子どもに「なぜ行きたくないのか」を問い詰める
- 「そろそろ学校行ってみたら?」「もう元気になったんじゃない?」と声をかける
- 「以前の状態に戻る」ことが最良と考えて、今の学校への通学にこだわる
- どう関わったらよいかわからなくなり、子どもと距離を置く
「なぜかわからないけど、学校に行くことができない」「自分でもどうすればいいかわからない」といった心理状態のお子さんに対して、励ましの言葉や厳しい言葉はかえって逆効果となることがあります。
では、不登校のお子さんにはどのように関わっていくとよいのでしょうか?
お子さんが安心して少しずつ回復していくためには、以下のような働きかけをしていくとよいでしょう。
- 「つらいときは休んでもいい」と伝える
- 普段の生活の中で、小さな頑張りを認める言葉をかける
- 子どもの言葉をしっかり待って、話を聞く
- 担任の先生やスクールカウンセラーと連絡を取って、サポートを求める
不登校の子どもは、家で好きなことをしたり寝ていたりするため、親から見ると怠けているように見えるかもしれません。ですが、多くの場合、子ども自身も今の状況や将来に対する不安や焦りを抱え、悩んでいます。
お子さん自身の気力が回復し、自分から自発的に「〇〇がしたい」と言うまでは、しっかりと休むこと、休息することを最優先に考えましょう。
家庭が「子どもにとって安心できる環境」であることが、お子さんの心理的な回復のためになにより大切です。
とはいえ「ただ回復を待つだけ、というのは先が見えなくて怖い」という親御さんも多いと思います。
また、不登校の期間が長くなってくると、勉強のことも心配になってくると思います。
そういったときには、不登校支援をしている学習塾やフリースクール、オンライン教材などの活用も考えてみましょう。
私が不登校になった原因~不登校だった私の体験談~
この章では、実際に不登校を経験した筆者の体験談を紹介します。
私が不登校の状態になったのは、高校2年生になったばかりの4月でした。
はじまりは、こちらでも触れたとおり、「なんとなく通いたくない」という感覚です。
不登校生活の当初は、自分が不登校になった原因を私なりに考えて、以下の4つだろうと見当を付けました。
- クラス替えによって人間関係が変わり、ストレスが増した
- 授業の進度が合わなかった
- 担任の先生が苦手だった
- 家族が病気になって不安だった
しかし、「不登校になった原因」はある程度分かったものの、それらが複雑に絡みあっているせいで、解決策を考えることが嫌になった覚えがあります。
そして、そのまま「なんとなく」を原因に、ズルズルと不登校を継続しました。
流れが変わったのは、夏休みの直前に担任の先生や両親と三者面談をしたときです。
その面談では、原因探しよりも「具体的にどうしたいのか?」「これからどうするのがよいか?」という、今後のことが話し合われました。
私が「勉強を続けたいこと」「クラスではなく、自分のペースで勉強したいこと」を話すと、先生は「保健室登校」という解決策を提案しました。
当時は保健室登校という選択肢を知らなかったため、「それなら自分でもできる」と、救われた気持ちになりました。
また、以前のことを考えるのではなく、今後の進路をシンプルかつ前向きに考えることで、悩みが軽くなりました。
その後、夏休み明けから徐々に保健室登校を始めて、休みを挟みながらではありますが、最終的には留年することなく、無事に卒業することができました。
いまになってみると、どの原因に一番の問題点があるかを考えるよりも、人に相談しながら「これからどうしたいのか」を考えはじめてからの方が、ずっと前進できたように思います。
そのように考え方を変えてからは、徐々にとはいえ、次の一歩を踏みだせるようになりました。
参考:学校休んだほうがいいよチェックリストのご紹介
2023年8月23日、不登校支援を行う3つの団体(キズキ、不登校新聞、Branch)と、精神科医の松本俊彦氏が、共同で「学校休んだほうがいいよチェックリスト」を作成・公開しました。LINEにて無料で利用可能です。
このリストを利用する対象は、「学校に行きたがらない子ども、学校が苦手な子ども、不登校子ども、その他気になる様子がある子どもがいる、保護者または教員(子ども本人以外の人)」です。
このリストを利用することで、お子さんが学校を休んだほうがよいのか(休ませるべきなのか)どうかの目安がわかります。その結果、お子さんを追い詰めず、うつ病や自殺のリスクを減らすこともできます。
公開から約1か月の時点で、約5万人からご利用いただいています。お子さんのためにも、保護者さまや教員のためにも、ぜひこのリストを活用していただければと思います。
- 「学校休んだほうがいいよチェックリスト」はこちら(LINEアプリが開きます)
- 「学校休んだほうがいいよチェックリスト」作成の趣旨・作成者インタビューなどはこちら
- 「学校休んだほうがいいよチェックリスト」のメディア掲載・放送一覧はこちら
私たちキズキでは、上記チェックリスト以外にも、「学校に行きたがらないお子さん」「学校が苦手なお子さん」「不登校のお子さん」について、勉強・進路・生活・親子関係・発達特性などの無料相談を行っています。チェックリストと合わせて、無料相談もぜひお気軽にご利用ください。
まとめ〜不登校の原因探しより「これからどうしたいか」を考えることが大切です〜
筆者の体験談からも言えるように、不登校の原因探しが、不登校の解決に直結するとは限りません。
「不登校になった原因」を考えるよりも、「これからどうしたいか」を考えることの方が大切です。
そのときには、一人で抱え込まずに、できるだけ周囲の人に相談するようにしてください。
このコラムが、不登校でお悩みの親御さん、お子さんの助けになれば幸いです。
私たちキズキ共育塾では、不登校の悩みから次のステップへ進もうとしている方を支援しています。
高校・大学受験、高卒認定試験、学校復帰など、無料相談も随時行っておりますので、不登校でお悩みを抱えている方は、ぜひ一度相談にいらしてください。
Q&A よくある質問