不登校からの復帰と、復帰後の通学持続のために、親御さんにできる4つの行動
2017年5月12日 金曜日 投稿
2021年4月8日 更新

お子さんが不登校になったとき、一番悩んでいるのは、もちろんお子さん本人なのですが、お子さんと一番近くで接している保護者の方の不安もまた大きいことでしょう。
次のように不安な日々を過ごしている保護者の方も多いかと思います。
- 休みがちでも学校へ行ってくれれば…
- もう1年間学校に行っていない…復帰できるのだろうか…
お子さんにとって、「学校復帰まで」に大きなエネルギーがいるのはもちろんなのですが、「学校復帰後」はエネルギーを維持しなくてはなりません。
この記事では、不登校のお子さんの学校復帰について、徹底解説します。
この記事を読んでわかること
- お子さんの学校復帰のために親御さんができること
- お子さんが学校に復帰した後に親御さんができること
- 不登校から学校に復帰した体験談
ご紹介するような「手助け」があると、お子さんは安心して学校復帰までの道のりを歩め、また復帰後に再びつらくなっても通い続けられるようになる可能性が高まります。
お子さんが「次の一歩」に進むための、具体的なご参考になれば幸いです。
お子さんへの接し方を相談いただけます
不登校からの復帰のために、保護者の方にできる4つの行動
まずは、お子さんが不登校から復帰するために、保護者の方にできる4つの行動をご紹介します。
行動①不登校への罪悪感を減らす
お子さんの、「不登校であること」への罪悪感を減らしましょう。
お子さんは、不登校になると、周囲の人に対して罪悪感や絶望感でいっぱいになります。
罪悪感の例
- 親御さんへ:せっかく産み育ててくれたのに、こんな自分でごめん…
- 部活の仲間へ:チームの人数が減って迷惑をかけている…
- 世間へ:自分は取り残されてしまった…
こういう気持ちがあると、授業のある昼間に起きていることがつらくなり、寝て過ごすようになります。
カーテンを閉め切り、だんだん昼夜逆転の生活となります。
私の見てきた限り、「お悩み」を抱えている方々にとって、昼夜逆転がよい結果につながったケースはほとんどありません。
昼夜逆転になると、気持ちがどんどん沈み込み、復帰に向けて気持ちの向上が難しくなります。
不登校に罪悪感を覚える必要は、全くありません。
また、不登校を経て成功した有名人もたくさんいます(例えば髭男爵の山田ルイ53世さんなどもそうですね)。
具体的な行動例
- 「不登校である」という状態に目を向け過ぎない
- 「健康でいてくれればよい」などと明確に言葉にして伝える
以上のような対応をすると、お子さんの罪悪感・絶望感が軽減され、昼夜逆転を招かず、復帰しやすくなることがあります。
不登校であることにどうしても目が向くようであれば、「『不登校の子』には『普通の人』と違った感受性やよさがあるかもしれない」と発想を変えてみるのも一手です。
行動②生活習慣を少しずつ改善する

親御さんは、お子さんの生活習慣の乱れを防いだり、すでに乱れているなら少しずつ改善するようにしましょう。
前項でご紹介したような理由から、不登校のお子さんには、生活習慣が乱れがちな方が多いです。
昼夜逆転を防げればよいのですが、すでにそうなっていたり、昼夜逆転まではいかなくても睡眠や食事が乱れがちだったりすると、気力も沸かないものです。
具体的な行動例
- 午前中に予定を入れる
- 昼寝をしないように言う
- 「睡眠クリニック」に通ってみる
生活習慣がよくなることで、時間とともに気力・体力が回復して、不登校からの復帰につながることがあります。
ですが、ただ「規則的な生活をしなさい」と言っても、授業のある時間に起きていたくないお子さんは嫌がることもあります。
お子さんへの「自分はあなたの味方である」という意思表示を前提に、不登校であることを責めず、「段階的でもよい」と考えて粘り強くはたらきかけることが必要です。
後ほど、保護者の方のご協力もあって昼夜逆転を解消し、不登校から復帰した生徒さんの例をご紹介します。
行動③家などの、学校以外で安心できる場所を確保する
お子さんにとって「安心できる居場所」があると、気持ちが安定していきます。
不登校になって「学校」という居場所をなくしたお子さんにとって、安心できる場所が他にあるかどうかは非常に大切な問題です。
居場所の例
- 家庭
- 塾
- 習い事
- 趣味や遊びの団体・場所など
一番わかりやすい例は、家庭でしょう。
「家庭」が安心できる場所であったから(安心できる場所になったから)、次第に気力・体力が満たされて不登校から復帰した…という方たちは多く見てきました。
そして「居場所」は、家庭以外にも複数あるとより気持ちが安定します(多すぎても疲れることがあるので、その辺りはお子さんの性格などにもよります)。
お子さんが通いたいと思う塾があれば通うのも一手です。塾を利用することで、学校復帰のために勉強面でのハードルを下げたり、復帰しなくても進学のために勉強できたりします。
お子さんの興味のあることを開始する・再開することも、復帰に繋がることも多々あります。「楽しいこと」が、気分転換や気力・体力の充電になるのです。
不登校のお子さんは、勉強であれ趣味であれ、「学校へ行っていない自分にはやる資格はないのでは」と思いがちです。
ですが、そんなことは決してありません。
また、家族同様、信頼できる「居場所」での人との交流は、「がんばること」の支えになります(これは不登校のお子さんだけでなく、大人でもそうですよね)。
学校以外で充実した人間関係があると、それを支えにして、不登校からの復帰につながります。
後ほど、趣味の市民劇団に通い続けて不登校から復帰した生徒さんの例をご紹介します。
行動④学校との連絡を保つ
学校との連絡は、なるべく保つようにしましょう。
特に担任の先生との連携があれば、復帰しやすさは大きくなります。
本格的な復帰以外にも、次のようなことを相談できれば、学校へ部分的に復帰し進級や卒業ができる場合もあります。
相談内容の例
- 保健室登校(出席日数カウント、定期テスト受験)は認められるか
- (高校生なら)あとどのくらい休んでも進級・卒業できるか
私自身も高校3年生のときに不登校になりましたが、親が担任に相談してくれたおかげで、学校には別室でのテスト受験、課題の提出、出席日数の考慮等をしてもらいました。
その結果、不完全ながらも学校に復帰し、卒業と大学進学をすることができました。
学校や先生によっては、意外と柔軟な対応があります。「教室登校の完全な復帰」以外にも方法がないか、相談してみましょう。
ただし残念ながら、次のような先生など、相談しても「あてにならない」場合があるのも事実です。
- 聞く耳を持たない先生
- 勉強が苦手な生徒は相手にしない先生
- 生徒や、特に女親に高圧的に接する先生
- 多忙で話せない先生
- 正論や一般論しか言わない先生
- 自身もいっぱいいっぱいな先生
このような場合、不登校から一時的に復帰できても学校からのケアは薄く、再び不登校になるというケースも見受けられます。
先生(学校)を「悪い」と決めつけるつもりはありません。
ほとんどの先生は生徒思いの「いい」先生なのかもしれません。
ですが、こういう先生「も」いるというのは、ご自身の学校生活を振り返ると、保護者の方にも覚えがあるのではないでしょうか。
また、お子さんも先生(学校)も「悪い」わけではないのに、どうしてもお互いにソリが合わないということもあります。
もし学校や先生があてにならない、ソリが合わないようであれば、無理にその学校に復帰しなくても、「次」に進む手段はあります。
【例】お子さんに合う学校に転校/学校には行かず、塾などで勉強/(高校生の場合は)中退して高卒認定資格を取得
私たちキズキ共育塾の生徒さんにも、先生や学校に相談してもうまくいかなかったために、学校に見切りをつけて前向きに「次」に進んだ方は大勢います。
「この学校に復帰しなくてはならない理由」があるかどうか、お子さん本人ともよく話し合いましょう。
不登校からの高校・大学進学実績多数
不登校から学校に復帰したお子さんへの行動

不登校からの復帰直後は、多かれ少なかれ、先生やクラスメイトたちの「今までどうしたの?」といった質問や噂話が、お子さん本人の耳にも入ってきます。
授業ごとに先生や生徒が異なる場合は、授業が変わるたびに同じ状況を味わうことになります。
ただでさえ久しぶりの登校で緊張しているお子さんは、しばらくの間は体力のみならず精神的にもエネルギーを使い切って帰宅してくるということです。
そういう状況のお子さんについて、保護者の方にできる行動をご紹介します。
復帰後のケアと復帰までの道のりは共通しています
不登校から学校に復帰した直後のお子さんは、何かのきっかけで気持ちが落ち込んだりするとことで、不登校の状態に逆戻りすることもあります。
学校から帰ってきたお子さんには、「学校に行けたこと」自体をぜひ認めてください。
学校復帰後も、復帰までのプロセスでご紹介した4つの行動は有効です。
行動①不登校だったことへの罪悪感を減らす

復帰後は、「不登校だったこと」への罪悪感を減らしましょう。
不登校から復帰したお子さんは、何か失敗をしたときに、自身の不登校経験について必要以上に気にしてしまいがちです。
- 自分は不登校だったから、こんなこともできない
- 自分が不登校だったことを、みんなが気にしている
確かに、長く学校に通っていないことによる失敗は起きうるでしょう。
しかし、「不登校だったこと」を気にしすぎると、最終的には「不登校を経験した自分は、何をやってももうダメだ」となり、再度不登校になることもあるのです。
客観的には、「不登校であったことは、そんなに気にしなくていいのにな」と思うこともあるのですが、子ども本人としてはどうしても気になってしまうのです。
不登校経験への罪悪感は、保護者の方が「不登校だったことは悪いことじゃないよ」「不登校だったことを気にする必要はないよ」と明確に伝えることによって、おさまっていきます。
そして次第に不登校経験について気にならなくなっていき、通学を持続することができます。
行動②生活習慣を引き続き改善していく
登校を継続するためには、生活習慣も大事です。
不登校から復帰しても、毎日朝から学校に行ったり、休まず通ったりできるとは限りません。
- 昼夜逆転がなかなか治らない
- 体力や集中力が続かない
こうしたお子さんは、学校に通うこと自体はできるようになっても、週に何日か欠席したり、遅刻や早退をしたりすることもあるでしょう。
ですが、「すぐに完全な朝方・昼型の生活になれ」「体力を身につけろ」と言っても、いきなりは無理な話です。
逆に考えてほしいのですが、朝方・昼型の生活をしている人に夜型になれと言っても、いきなりは無理ですよね。
復帰前と同様に、また復帰前から地続き的に、お子さんの生活習慣が少しずつ改まるようにしていきましょう。
「学校を休んだ日」や「学校に行けなかった時間」ではなく、「登校できた日」「登校できた時間」に目を向け、「完全じゃないけど、通学を持続できている」とポジティブに考えるようにしましょう。
そうするとお子さんも「自分は完全復帰に向けて歩んでいるぞ」と自分に自信を持つことができます。
逆に、次のようなネガティブな考えでは、それがお子さんに伝わり、お子さんは「やっぱり自分はダメなんだ…」と思い、不登校に逆戻りする場合があるということです。
- どうして夜型の生活が治らないんだ
- どうして全部の授業を受けられないんだ
生活習慣の改善と不登校からの復帰(・持続)は、「少しずつ進む」と、ある意味割り切って考えることが重要です。
行動③家などの、学校以外で安心できる場所をキープする
安心できる場所も、引き続き重要です。
学校へ復帰した子どもは、居場所をひとつ取り戻しますが、「安心」できるかは別の話です。
- はじめからリラックスして通学できるわけではない
- そもそも学校が安心できる場所とは限らない
家などの「学校以外の、安心できる場所」で十分な休息をとることができれば、学校へ通い続けるエネルギーを充電できます。
「不登校から復帰したから、学校以外の居場所にはもう気を使わなくて大丈夫」と考えるのではなく、「引き続き、子どもにとって安心できる場所を保とう」と考えましょう。
とは言え、「いい家庭」を無理に持続しようとすると、今度は保護者の方が追い詰められてしまいます。
「家族の誰にとっても、無理せず、安心して過ごせる家庭」が理想なのですが、そのために何をすべきか考えすぎると、かえって身動きが取れなくなったりもします。
親御さん自身も、カウンセリングに行ったり、友人に相談したりなど、家庭の外部の力を借りることを考えてみましょう。
家庭の外部の居場所も大切です。
お子さんに「不登校の最中」に通っていた団体などがあり、お子さんがそれを楽しんでいたようであれば、復帰後もしばらくは通い続けることをオススメします。
これも、「子どもの居場所になる!」と変に気負うよりも、「子どもが楽しんでいるから続けさせよう」と気軽に考えた方が、お子さんの「安心」に繋がることが多いように見受けられます。
行動④学校との連絡を取り続ける
復帰後も、学校との連絡は保ちましょう。
不登校から復帰したばかりのお子さんは、気持ちも体調も、不安定になっていることが多いです。
学校と連絡を保っていると、お子さんが学校でどんな様子なのか把握しやすくなります。その結果、お子さんが通学を持続するために必要なことや、保護者にできる具体的な対応も見えてきます。
逆に、学校に対してお子さんへ望む対応を伝えることもできます。
学校と家庭で連絡を保ち、お互いに信頼関係を築いておくことで、お互いに情報・要望を伝えやすくなります。
「あなたのお子さん」への対応を、ともに考えます
生活習慣を少しずつ改善して、学校に復帰したA君

不登校のA君は、中学3年生のときにキズキ共育塾に入塾しました。
A君は、不登校に加えて深夜番組が好きなこともあって生活リズムが乱れていました。
親御さんは、A君が段階的に規則正しい朝方の生活になるように、毎日協力していました。
- 「学校には行かなくてもいいから、健康に過ごしてほしい」と伝える
- 朝食を一緒に食べる
- 朝食を食べられないときは、冷たい飲み物で意識をはっきりさせる
- 午前中に外出する用事をつくる(ドライブや買い物、海に行くなど)
- 深夜番組は録画して午前中に見るようにする
- 夜はスマホを見ないよう約束する
キズキ共育塾への入塾にも、勉強だけでなく、生活リズムを整えるためという意味がありました。
どれも無理やりではなく、A君の心身の調子を見ながら、少しずつ少しずつの改善でした。
その甲斐あってA君は次第に気力が充実し、学期が変わるタイミングで学校に復帰しました。
復帰したては、朝出かけるギリギリに起きてなんとか準備して出かける、というスタイルでした。
その状態について保護者の方は、「ギリギリの登校とは言え復帰できたので、まずはこれでいいと思っています」と話していました。
次第にA君は余裕を持って登校できるようになり、再び不登校になることはありませんでした。
保護者の方が「復帰=いきなり完璧な生活リズム」という状態を求めず、段階的な改善を持続していたこと。
A君は、復帰後もキズキ共育塾への通塾は続けて、志望する高校に合格しました。
趣味で気分転換をして学校に復帰したBさん

不登校のBさんは、中学2年生のときにキズキ共育塾に入塾しました。
Bさんは、学校には行っていませんでしたが、演劇を趣味とし、制作側として所属する市民劇団には精力的に出かけていました。
演劇について生き生きと話す姿が印象的で、保護者の方も「市民劇団に友人がいるから、外出や人との交流はできている」と話していました。
つまり、子どもが不登校であることには注目しすぎず、趣味を尊重する姿勢でした。
Bさんは、市民劇団で公演を成功させることなどによって、自分に自信をつけたようでした。
また、市民劇団では、学校では出会ったことのないタイプの人たちと知り合い、楽しく接していました。
そうしたことが「充電」や「支え」になったようで、Bさんは、学年が変わるタイミングで学校に復帰しました。
復帰後も、休日は市民劇団に精力的に出かけることによって気分転換を行い、その後も継続して通学することができました。
保護者の方が、「不登校であること」を意識しすぎなかったこと。
学校以外に「楽しく過ごせる、安心できる居場所」があったこと。
Bさんは、学校復帰後もキズキ共育塾で受験勉強を行い、演劇関係のことを学べる高校に合格しました。
不登校からの高校・大学進学実績多数
まとめ〜不登校からの復帰は可能です〜
次のような行動を取れば、不登校から学校に復帰することは、十分に可能です。
親御さんにできる行動
- 不登校への罪悪感を減らす
- 生活習慣を少しずつ改善する
- 家などの、学校以外で安心できる場所を確保する
- 学校との連絡を保つ
ただし、「今の学校」への登校再開は、必ずしも目指さなくてはいけないものではありません。
どうしても、「(今の)学校・クラス」に合わないお子さんもいます。
次のような方法で、「次の一歩」に進めることもあります。
- お子さんに合う学校に転校
- 学校には行かず、塾などで勉強
- (高校生の場合)高卒認定を取得
いずれにしても、ご家族だけで考えすぎず、「不登校の子どものこと」を相談できる団体などを頼ることで、お子さんもご家族も、「よりよい、次の一歩に進む方法」が見つかると思います。
このコラムが参考になったなら幸いです。
私たちキズキ共育塾の生徒さんには、中学不登校から学校復帰と受験合格を果たした方や、高校不登校から大学進学を果たした方が多くいます。
お子さんのこと、ぜひ私たちにご相談ください。それぞれのお子さんやご家庭の事情に応じて、このコラム以上に具体的なお話ができると思います。
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