不登校から全日制高校に進学!6つのポイント・高校の選び方を解説

不登校から全日制高校に進学!6つのポイント・高校の選び方を解説

こんにちは。学校が苦手な人の勉強とメンタルを完全個別指導で応援するキズキ共育塾の濱野です。

あなたは中学で不登校になり、次のような不安や疑問を抱えていませんか

  • 全日制高校への進学するのは難しい…?
  • 不登校でも行ける全日制高校はある?

特に、不登校で勉強から離れていたり出席日数が少なくて内申点が低かったりすると、不安が大きいと思います。

実際、成績や内申点が低いと、進学が難しい全日制高校はあります。

ですが、不登校でも進学できる全日制高校があることも、また事実です

このコラムでは、キズキ共育塾の知見などに基づき、不登校から全日制高校進学を目指す際のポイントや高校の探し方などをお伝えします。

不登校から全日制高校への進学を目指したいと思っているあなたが、「次の一歩」に進むためのヒントとなれば嬉しいです

なおこのコラムは、主には中学生向けに書いていますが、中学で不登校になったお子さんの親御さんが読んでも参考になる内容となっています。

共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス

進路には多様な選択肢があります

中学不登校からの進路や選択肢は、世間のイメージより多様です。しかし、その多様な選択肢を、小中学校の教員が知らないこともあります。

そのために、親や子に負担がかかることも少なくありません。不登校になる過程で、子どもは深く傷つき、休息を必要とする場合も多いです。

充分な休息があれば、子ども自身が自分にあった選択肢を選べます。親御さんには、焦らずに子どもの意思を支えてもらいたいと思います。

選択肢として、全日制高校、通信制高校、定時制高校の3種類は、同じレベルで検討して構いません。また、「16歳になる年度の春に高校進学すること」が絶対よいとは限りません。高校浪人をする選択もあります。

全日制高校の特徴

全日制高校の2つの特徴

高校には、全日制高校・定時制高校・通信制高校の3種類があります。

この章では、あなたが進学を目指したいと思っている「全日制高校」について、解説します

少し長いので、すでに知っている場合は、次章に進んでください。

特徴①毎日、朝から夕方まで学校がある

全日制高校の生活スタイルは、「高校」と聞いて多くの人がイメージするものです。

日曜・祝日・夏休みなどの長期休暇を除き、平日の週5〜6日間、毎日朝から学校に行って夕方まで6時間ほどの授業を受けます

放課後は、部活動・生徒会活動・アルバイト・塾通いなど、人それぞれです。

いま不登校だと「毎日通えるかな…」と不安かもしれませんが、「いま(まで)」と「これから」は全く違います。

また、高校は、校風・教育方針などが学校ごとに大きく異なり、自分に向いている学校を探して受験できます

そのため、必要以上に不安になることはありません。

なお、「全日制高校」と「定時制高校・通信制高校」の違いを簡単にお伝えすると、次のようになります。

  • 定時制高校は、全日制よりも授業の時間帯が遅い
  • 通信制高校は、毎日の通学がなく、送られてきた教材を利用して、基本的には家で勉強する

それぞれの学校の詳細を知りたい方は、次のコラムを参考にしてください。

特徴②3年間の学年制の学校が多い

多くの全日制高校は、「3年間の学年制」です。

学年制とは、「学年ごとに、学校が定めた時間割に従って授業を受ける仕組み」です

その学年で定められた時間割(授業)の全てで「単位」を取得できれば、次の学年に進級または卒業ができます。

「単位の取得」とは、「高校生として必要な知識を身につけた」ことを証明するもので、一般的には、各科目ごとに「テストの成績+出席日数」で認定されます(細かな条件は、学校によって異なります)。

多くの全日制高校では、「3年間で卒業できるような時間割」となっているのです

そのため、単位を取得できない科目が一つでもあると、進級・卒業できず留年となり、もう一度同じ学年で勉強することになります。

前項と同じく、いま不登校だと「毎日授業を受けて進級できるかな…」と不安かもしれませんが、まずは「そういう制度だ」とを知っておきましょう。

高校での留年に関しては、以下のコラムでさらに詳しく解説しています。

なお、「学年制」ではない学校は、「単位制」と言われます。

単位制の学校では、「その年に受ける授業(時間割)を、生徒自身で決める仕組み」です

少数派ではありますが、全日制高校にも単位制の高校はありますので、気になる場合は探してみてください。

例えば2023年5月現在、東京都の公立高校では、「全日制の学年生高校」は149校、「全日制の単位制高校」は23校あります。

不登校から全日制高校進学を目指したい理由

この章では、キズキ共育塾の講師・生徒さんなどの事例から、中学校で不登校になった人が全日制高校に進学した理由をご紹介します。

「自分と同じことを考えている人がいる」「こういう気持ちから全日制高校に進学できる」などがわかると、安心感につながるかもしれません

ただ、ご紹介する理由は一部ですし、全日制高校に進学したい理由は人それぞれです。

あなたが思う理由と似たものがなくても、「色々な人が、中学不登校から全日制高校に進学している」ことを知り、安心していただければと思います

理由①「普通」の学校生活を送りたい

理由①「普通」の学校生活を送りたい

「『普通』の学校生活・高校生活を送りたい」という理由は、中学不登校から全日制高校を選ぶ理由としてよく耳にします

「不登校は『普通』じゃない」わけではありませんし、「普通」じゃないとしても悪いことではありませんし、そもそも「普通」に基準はありません。

ただその上で、「多くの学生と同じような」という意味で、「全日制高校に進学し、『普通』に過ごしたい」と思う人が多い、のでしょう。

不登校になると、次のような「普通」の学校生活を経験することが少なくなるかもしれません。

  • 制服を着て登校する
  • みんなと一緒に授業を受ける
  • 部活動に取り組む
  • 体育祭・文化祭・修学旅行などのイベントに参加する
  • 学校の友達と遊ぶ

全日制高校に進学することで、「『普通』の学校生活」「みんなと同じような高校生活」を送れるでしょう

通信制高校や定時制高校でも、学校によっては同じような経験ができるものの、全日制高校の方が「普通な感じがする」のかもしれません。

実際に、中学不登校から全日制高校に進学して、「普通」の高校生活を過ごしている人は、たくさんいます

「普通(多数派)」が正しいわけではありませんが、「普通」の高校でみんなと同じ経験をすることで、「友達と過ごせてうれしい」「毎日、学校に通い、みんなと一緒に勉強や部活をすることが幸せ」などといった安心感が生まれることも事実です。

理由②コンプレックスを解消したい

理由②コンプレックスを解消したい

「不登校(だった)というコンプレックスを解消したい」思いから、全日制高校への進学する人もいます

さきほどから何度もお伝えしている通り、不登校は決して「悪いこと」ではありません。

しかし、人からそう言われても、頭ではわかっていても、学校に行けないことに劣等感や罪悪感を抱く人は、少なくないのです。

また、不登校そのものにコンプレックスがなくても、不登校になった原因にコンプレックスを抱えている人もいます。

例えば、人間関係のつまずき、成績不振、部活での失敗などです。

全日制高校への進学・受験は、こうしたコンプレックスを解消するための大きなチャンスと言えます

「不登校の状況をリセットしたかった」と表現した人もいました。

特に、家から遠い高校や、同じ中学の人があまり進学しない高校は、一層「新しい環境」になります。

そして、全日制高校への進学は「みんなと同じ」環境なので、「不登校だった自分でも、みんなと同じことができる」という自信につながるはずです

高校は、公立中学校のように「たまたま同じ地域に住む人が通う学校」ではありません。

校風に興味があったり学力のレベルが近かったりと、自分と同じような価値観を持つ人と出会える確率も高いのです。

私立中学に通っていた場合も、新たに自分に合う全日制高校に進学することで、コンプレックスの解消につながるかもしれません。

不登校から全日制高校進学を目指す際の6つのポイント

「中学で不登校だと、全日制高校への進学は難しそう…」と不安を感じる人は多いと思います。。

しかし、キズキ共育塾が見てきただけでも、不登校から全日制高校に進学した人はたくさんいますので、必要以上に不安になることはありません

いま不登校であっても、これまでに不登校の経験があっても、「これまで」と「これから」は違うものだからです。

ただし、いくつか確認すべきポイントがあります。

この章では、不登校から全日制高校受験・進学を目指す際の6つのポイントをお伝えしますので、学校探しの参考にしてください。

また、前提として、お伝えするポイントは、「あなた一人でなんとかしなければいけないもの」ではありません

各項でカンタンに解説しますが、不登校からの全日制高校進学に関して相談できるところはたくさんあるので、積極的に人を頼りましょう。

ポイント①生活リズムを整える

ポイント①生活リズムを整える

不登校からの全日制高校への進学を目指す場合、生活リズムを整えることが大切です

不登校が続くと、生活リズムが乱れる傾向があります。

「スマホを見たり、ゲームに集中したりしていて、気づいたら夜明け近くになっていた」「いつの間にか、昼夜逆転生活になっていた」などの話もよく耳にします。

そもそも、昼夜逆転や生活の乱れは、健康のためにもオススメできません。

また、全日制高校は、受験も授業も「朝から夕方まで」に行われるため、そのリズムに慣れておく必要があるのです。

健康のためにも進学のためにも、日常生活の中で次のことをを意識してみてください。

  • 朝起きて、夜眠る
  • 一定の生活リズムを保つ
  • 朝食をとって健康管理をする

生活に関しては、医者やスクールカウンセラー、フリースクールなど、不登校の人の生活に詳しい塾などに相談することで、アドバイスがもらえるはずです。

そうした専門家のアドバイスのもと、親御さんやご家族にも協力を求めて取り組みましょう。

不登校による昼夜逆転については、以下のコラムでさらに詳しく解説しています。

ポイント②無理のない学習計画を立てる

このポイントは、「学校には行ってないけど塾などで勉強を続けている」「すでに登校を再開していて、勉強も追いついた」人は、読み飛ばしてください。

不登校からの全日制高校への進学のためには、無理のない学習計画が必要です

不登校が続くと、塾などに通っていない限り、「勉強していない期間」も長くなります。

そのため、受験を意識し始めると、「受験のために勉強の遅れを取り戻さないと…!」とやみくもに問題集をやり始めたり、急に長時間勉強をしたりする人もいるかもしれません。

しかし、ブランクある状態から急に勉強を進めると、気力・体力がついていかず、つらい思いをすることになることがあります。

あせらずに、次のようなことを考えたり試行錯誤したりして、無理のない計画で勉強に取り組みましょう

  • 自分はどこまで勉強がわかっているのか
  • 自分に向いた勉強方法は何か
  • いまの自分は一日にどれくらい勉強できて、それをどれくらい維持できるのか
  • 高校受験までのスケジュールを踏まえて、これからどう勉強を進めていくか

勉強に関しては、学校の先生、不登校からの勉強に詳しい塾・家庭教師などにアドバイスがもらえます。

塾や家庭教師はお金がかかるのでご家族への相談も必要かもしれませんが、私たちキズキ共育塾のように、無料相談を行っているところもあります。

自分に合いそうな塾があるか、ご家族にも相談しながらインターネットなどで探してみましょう。

ポイント③その高校の合否判定の基準を確認する

ポイント③その高校の合否判定の基準を確認する

高校を探す際は募集要項を見て、合否判定の基準を確認することが大切です

不登校だと、内申点(評定点)が低いことがあると思います。

内申点とは、「成績、出席日数、生活態度、取得資格などに基づいて中学校が決める点数」のことで、高校受験の際には「学力試験の点数」とともに審査の対象となることが多いです

内申点が審査の対象となる場合は、さらに次の2つの分かれます。

  • 全学年の点数が対象になる
  • 中3のときの点数のみが対象になる

残念ながら、高校の審査基準によっては、内申点が低い進学とできない学校もあるのです。

ただし、内申点をそれほど重視しない高校や、全く審査しない入試もあります

あなたが中3で不登校なら、内申点を重視しない高校・入試方法を探してみてください。

中2以下の場合は、内申点を重視しない高校・入試方法を探すか、中3で出席日数を増やして中3の内申点しか見ない高校を探しましょう。

また、中3で内申点を増やした上で、内申書の中で「中2までは欠席が多かったけど、3年生からは減った。高校に入ってからも通える可能性が高い」などと説明できるようであれば、中1・2の内申書を審査する高校でも合格する可能性が高まります(内申書に何を書くかは中学の先生によりますので、先生に確認してみましょう)。

なお、出席日数を増やす方法は、「クラスへの出席」だけではありません

保健室登校やフリースクールへの登校が、学校への登校とみなされる場合もあるのです。

また、内申点を上げるためには、出席日数以外にも「授業態度をよくする」「提出物をしっかり提出する」「資格試験に合格する」などが、効果的であることもあります

内申点の状況・上げ方、保健室登校、いまの内申点で進学できそうな全日制高校などは、学校の先生に確認・相談してましょう。

いまの内申点で進学できそうな全日制高校は、塾や家庭教師に聞くこともできます。

学校への登校とみなされるフリースクールや塾は、インターネットでお近くの不登校の支援団体を探して相談してみてください。

ただし、「全日制高校に進学するために」と無理に中学に登校することで、心身の調子を崩す可能性があります

がんばることもときには必要ですが、高校はたくさんありますので、無理のない範囲でできることに取り組んでみてください。

補足:不登校から全日制高校進学を目指せる受験方法の例

繰り返すとおり、中学不登校から全日制高校に進学することはできます。

ですが、「実際のあなたの学力・内申点で進学できる高校で、あなたの性格などにも向いた高校」は、中学校の先生などに確認した上で探したり、今後の対策を考えたりすることが大切です

そのため、このコラムでも「この高校なら中学不登校から進学できる」といった具体的な高校名は、あえて出しません。

自分で先生に聞くのが難しいようであれば、親御さんなどを通して相談しましょう。

その上で、ここでは、参考として、「学力試験なし」「学力試験のみ」の試験を行う全日制高校を、2020年の東京都の例を挙げて紹介します

  • 内申点はなんとかなりそうだけど、勉強が不安…
  • 勉強には自信があるけど、内申点が間に合わなさそう…

このようなお悩みを抱えるあなたの安心に繋がれば幸いです。

また、「選択肢は意外と多い」と知るだけでも、安心感につながるかもしれません

東京都以外にお住まいの場合も、ご自身の都道府県にも似た仕組みがないか、調べたり詳しい人に聞いたりしてみてください。

①エンカレッジスクール

一つ目は、都立高校のエンカレッジスクールです(参考:東京都教育委員会「これまで設置してきた多様なタイプの学校」「普通教育を主とする学科(コース・エンカレッジスクール・進学重視型単位制・単位制)」)

エンカレッジスクールとは、小・中学校時代に、不登校などで十分能力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、がんばりを励まし、応援する学校です。

受験では、学力試験が行われず、調査書(内申点)・面接・作文などで審査されます

社会生活を送る上で必要な基礎的・基本的学力を身に付けることを目的に、基礎・基本の徹底と体験学習を重視しています。

具体的には、次の6つの高校があります。

②私立高校が実施するオープン入試

二つ目は、一部の私立高校が実施する、内申点を全く考慮しない「オープン入試」です

オープン入試では、「学力試験の結果」だけで合否が審査されます(学校によっては、面接審査も行われます)

一部の例を挙げると、私立大学の附属高校など(青山学院大学、国学院大学、駒澤大学、慶応義塾大学、玉川学園大学、中央大学、帝京大学、明治大学、早稲田大学など)、がオープン入試を実施しています。

他にもたくさんありますので、気になる場合は調べてみてください。

ポイント④学校説明会や相談会に参加する

全日制高校は、たくさんあります。

「その高校」があなたに合っているかどうかを判断するためには、高校が主催する説明会や見学会に参加することが大切です

学校説明会では、校風、教育方針、男女比、部活動の種類・内容、取得を支援している資格、卒業生の進路実績などを、詳しく聞けます。

親だけで参加できる説明会を行っている高校もあるので、外出に不安があったり中学の同級生と顔を合わせたくなかったりする場合は、親に行ってもらいましょう。

学校によっては、個別相談をしたり入試問題の傾向などを確認したりすることもできます

また、「中学不登校から入学できるか」「学力的に大丈夫そうか」「入学後に安心して通学できそうか」「サポート体制が整っているか」などは、個別相談会で直接相談することがオススメです。

個別相談会は事前予約が必要な場合が多いので、事前に確認しておくことが大切です。

いまの時点で説明会は終わっていたら、各学校のウェブサイトを見たり、中学や塾の先生などにその高校のことを質問してみてください。

ポイント⑤全日制にこだわる必要があるかを考える

ポイント⑤全日制にこだわる必要があるかを考えよう

中学不登校から全日制高校に進学したい理由は、人それぞれで様々だと思います。

全日制高校に進学したい気持ちは、とてもよくわかります。

ただしその上で、全日制にこだわりすぎないことも大切です

これは、あなたを不安にさせるためではなく、「全日制高校以外の選択肢もある」と安心してもらうためにお伝えしています。

先述した通り、残念ながら不登校で学力・内申点が低いと、進学できない全日制高校もあります。

そのため、進学先は「自分の学力・内申点で合格でき、毎日通学できる場所の全日制高校」の中から探すことになりますが、その中に「あなたに合った高校」があるとは限りません。

特に高校が少ない地域の場合は、なおさらでだと思います。

自分に合っていない全日制高校に進学するよりも、自分に合った定時制高校・通信制高校に進学した方が楽しく過ごせる可能性が高いです

例えば東京都には、不登校経験者への配慮がある「チャレンジスクール」という都立の定時制高校もあります。(参考:東京都教育委員会「これまで設置してきた多様なタイプの学校」)

他にも、通信制高校や定時制高校は、全日制高校よりも「様々な生徒」への配慮がされていることが多いです。

「全日制であればどこでもいい」と思い込まず、先入観を取り払って進学先考えてみてください

定時制・通信制高校の学校見学会に行ってみたり、学校の先生や塾などに「自分に向いた高校はどこか」とアドバイスを求めたりすることで、「あなたに向いた高校」が見つかりやすくなります。

通信制高校と定時制高校の詳細に興味があれば、次のコラムを参考にしてみてください。

ポイント⑥進学後のコミュニケーションや生活を考える

こちらは、全日制高校に進学した後の話です。

いまの時点で悩みすぎる必要はありませんが、進学後のコミュニケーションや生活などを、頭の片隅くらいでは考えておいた方がよいこともあります

特に、入学直前まで不登校だった人は、例えば次のような、いわゆる「普通」の学生生活やコミュニケーションに慣れていない部分があるかもしれません。

  • 同年代とのコミュニケーションの仕方(会話・態度など)
  • 授業中の受け方
  • 休み時間の過ごし方
  • 学校行事での動き方(体育祭、文化祭、宿泊を伴う行事など)

「同級生とうまくやっていけるかな…」と不安に思うこともあると思います。

しかし、学校生活もコミュニケーションも、試行錯誤しながら少しずつ学んでいけます

他人の目を必要以上に気にしたり、不登校だった自分を卑下したり、逆に虚勢を張ったりせず、自然体を心がけることが大切です。

高校に進学する前に練習したい場合は、塾・フリースクール・習い事などで、同年代の人たちと交流してみましょう。

不登校に限らない知っておきたい高校の選び方

ここまで、特に「中学不登校からの全日制高校進学」の注意点を解説してきました。

しかし、「不登校から全日制高校に進学する」ことだけに注目すると、他のポイントを見逃すことがあります。

前掲の学校説明会などでわかることもありますが、不登校かどうかに関わらない、高校選びのポイントをいくつかお伝えします

選び方①通学時間・通学環境を確認する

ポイント①通学時間・通学環境を確認する

通学時間・通学環境が自分に合うかどうかを確認しましょう

通学時間とは、簡単に言うと家から学校までの距離です。

一概に、近い・遠いのどちらがよいわけではありません。

近ければ、単純に時間と体力を節約できて、自由な時間も増えます。

遠い場合には、次のようなメリットがあります

  • 会いたくない小中時代の同級生に会いにくい
  • 通学時間中に考え事や勉強ができる
  • これまでとは違う「新しい場所」に出会いやすい

通学環境とは、例えば次のことをチェックしてみてください。

  • 通学路に坂道が多いか
  • 満員電車やバスに乗るか
  • 頻繁な乗り継ぎが必要か
  • 繁華街を通る必要があるか
  • 暗い道路を通る必要があるか

こちらも、人によってどんな環境が好きか(向いているか)は違っています

いずれにしても、「自分が3年間通うこと」を想定して、通学時間・通学環境を事前にチェックすることが大切です/span>。

選び方②卒業後の進路・校風を確認する

卒業後の進路と校風も確認しておきましょう

  • 大学進学が多いか(どんな大学が多いか)
  • 専門学校が多いか
  • 就職が多い

同じような目標に向かって進むクラスメイトとは、楽しく過ごせる確率も高いです

また、「卒業後の進路」は、どのようなタイプの生徒が多いか、授業の内容・レベルがどうかなどにも、ある程度は関係します。

例えば普通科の進学校でしたら、基本的には授業レベルは高く、ペースも早いことが考えられます。

関連して、商業科なら簿記、工業科なら製図、看護科なら看護実習などの授業があります。

そして、卒業後の進路に直接関係しない部分の校風も重要です

  • 生活指導や進路指導の体制がどうか
  • 部活に熱心な人が多いか
  • 文化祭などの行事への注力具合がどうか

高校卒業後の進路は、いまの時点では決められない場合は、前項の学校見学会などを利用して、少しでも自分に合いそうなところを選ぶとよいでしょう。

学校見学会をやっていない時期であれば、その学校のウェブサイトを見たり学校の先生に話を聞いたりして、できる範囲で特色などを調べることが大切です。

選び方③必要に応じて、学費を確認する

ポイント③必要に応じて、学費を確認する

ご家庭によっては、学費を確認することも大切です

特に私立高校に行きたい場合、一般的には公立高校よりも高い学費が必要になります。

親御さんが何も言わない場合は、あなたから学費に関して口を出さなくても大丈夫です。

ですが、親御さんが「お金の関係で難しい」と言っていたり、あなたが自分で学費を払おうとしていたりする場合には、奨学金を利用する方法があります

学校の先生やお住まいの市区町村役所などに問い合わせると、あなたの状況に応じた奨学金や助成金が見つかりやすくなります。

例えば、神奈川県では、家庭の経済状況によって年間最大40万円ほどの授業料の補助が受けられる学費支援制度があります。

そのほかにも、ひとり親世帯に就学資金に充てるお金を貸す制度である「母子父子寡婦福祉資金」などを利用できる人もいるはずです。

また、親戚などを頼ることも考えられますし、高校によっては成績優秀者の学費が免除されることもあります。

結果として奨学金や頼る相手が見つからないこともあるかもしれませんが、最初から「高くて無理」とあきらめるのではなく、積極的に探してみてください

生徒さんの事例~不登校から全日制高校に進学したAさん~

【実例】不登校から全日制高校に進学したAさん

この章では、キズキ共育塾の生徒さんで、中学不登校から全日制高校に進学したある生徒さん(Aさん)の実例をご紹介します。


Aさんは、学校の人間関係が原因で中学生のときに不登校になりました

Aさんはいじめにあっていたわけではなく、また誰か特定の「嫌な人」がいたわけではありません。

ただ、それでもAさんは「地元の人たち」と気が合わなかったのです。

多感な思春期に「地元の人たち」とうまく馴染めなかったことで、不登校になりました。

ですが、Aさんはその後進学した全日制高校には問題なく通学できていました

Aさんは、その全日制高校を選んだ理由を、次のように答えました。

校舎がきれいで、制服もかわいいと思ったから。でも、一番大きな理由は、同じ中学の人がほとんどいない学校だったから。

「『普通』の高校生活」を送りたかったAさんは、「地元の人たちが少なくて、自分の性格にあった校風で、入試で内申点をあまり重視しない全日制高校」を選びました。

その選択はAさん自身に合っており、高校では楽しく過ごせたのです。

Aさんのように、中学ではうまくいかなくても、「自分の重視するポイント」をもとに高校を選んだことで、高校生活を楽しめるケースは少なくありません

あなたも、「いまの自分が、これから楽しく過ごせる学校はどんなところだろう…?」と自分自身で考えつつ、高校選びに詳しい人に相談して、自分にあった高校を見つけましょう。

講師からのアドバイス~不登校からの全日制高校進学について~

この章では、「不登校からの全日制高校進学」について、学校が苦手な人たちのための個別指導塾・キズキ共育塾の講師たちからのアドバイスを紹介します。

実際に「中学不登校からの全日制高校進学」を目指す生徒さんに勉強を教えている講師の「生の声」ですので、きっと参考になると思います。(これまでの内容もキズキ共育塾の知見に基づくものであるため、一部重複する部分もあります。また、講師名は仮名の場合もあります)

また、私たちキズキ共育塾の無料相談では、「実際のあなた」のための、具体的なアドバイスが可能です。ぜひご相談ください。

近藤翔平講師のアドバイス

英語 数学 現代文 古文 漢文 小論文 日本史 世界史 地理 地学

昼夜逆転の場合、少しずつ生活を朝方にする

全日制高校の場合、多くは午前中に学校が始まります(また、受験も午前中からでしょう)。そのため、不登校に伴って昼夜逆転になっている場合は、少しずつ戻していく必要があります。

いきなり早寝早起きをすることは難しいので、起きる時間、寝る時間を少しずつ早めていくことがオススメです。1日の流れを紙に書き出してみることも有効です。書くことによって1日の自分の行動が「見える化」されます。昼間の時間を有効に使い、夜はしっかり休めるような計画を立てましょう。

講師の体験談~不登校からの全日制高校進学について~

この章では、「中学不登校からの全日制高校進学」について、学校が苦手な人たちのための個別指導塾・キズキ共育塾の講師たちの体験談をお伝えします。

キズキ共育塾には、自身にも不登校経験のある講師がたくさんいます。無料相談をご利用いただければ、別の事例もご紹介できます。ぜひご相談ください。

S.T講師の体験談

英語 現代文 世界史

小学生から不登校が始まり、中学は3年間まったく学校に行っていません。通信教材で自習していましたが、人に勉強を教わりたいと感じるようになったので進学を考え始めました。

高校選びにあたっては、まず通信制高校を見学しました。勉強をする場所としては十分だと思いましたが、学校生活としてはあまり魅力を感じませんでした。結果として、自由な校風の全日制私立高校を受験することにしました。

中学3年間は勉強は継続しており、試験の厳しい学校でもなかったので、特別な対策はあまりしませんでした。オープンスクールやその学校が開催していた模擬試験には参加しました。国語の論述に重きが置かれているとわかったので、現代文の要約や意見の書き方を重点的に勉強しました。入試は2科目のテストと、志望理由書の提出、面接でした。

中学校までは、特色のある学校は少ないかもしれません。高校は、勉強のレベルや校風にかなり違いがあります。志望校を選ぶ際は、Webサイトを見るだけではなく、実際に足を運んで生徒や教員の雰囲気を見てみるとよいと思います。

受験勉強は、学校のレベルにもよっては、(特別な対策をしなくても、)通信教材で対応できることもあります。あせらずに取り組んでほしいと思います。

まとめ:不登校でも全日制高校に進学できます

まとめ:不登校でも全日制高校に進学できます

いかがでしょうか。キズキ共育塾の事例だけでも、中学は不登校だったけど全日制高校に通えている生徒さんは大勢いらっしゃいます。

そうした人たちからもわかるように、「中学不登校」という「これまで」と、「全日制高校高校進学・通学」という「これから」には、実際にそれほどのつながりがあるわけではないのです。

高校進学に関して詳しい人に相談しながら、いろいろな高校や受験方法を調べると、あなたに向いた学校が見えてくるでしょう

この記事が、あなたの全日制高校進学のお役に立ったなら幸いです。

さて、私たちキズキ共育塾は、お悩みを抱えるあなたのための個別指導塾です。

生徒さんには、中学不登校や中学不登校から全日制高校に進学した人も大勢います

無料相談も承っておりますので、ご相談いただければ、「あなた」のための具体的なお話ができると思います。

キズキ共育塾をご覧の上、少しでも気になるようでしたらお気軽にご相談ください(親御さんだけでのご相談も承っていますので、あなただけでは相談しづらい…と思う場合は、親御さんにも声をかけてみてくださいね)。

監修 / キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

共同監修 / 不登校新聞社代表理事 石井志昂

いしい・しこう。
1982年、東京都町田市出身。NPO法人全国不登校新聞社代表。
中学校受験を機に学校生活が合わなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から2022年まで編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた。

【著書など(不登校新聞社名義も含む)】

「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること(ポプラ社)』『フリースクールを考えたら最初に読む本(主婦の友社)』『学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』『続 学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』

【寄稿など(一部)】

AERAdot」「プレジデントオンライン」「東洋経済オンライン」「FRaU」など多数

サイト運営 / キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2023年7月現在、全国に10校とオンライン校(全国対応)がある。

/Q&Aよくある質問

不登校から全日制高校に合格するためのポイントを知りたいです。

一般論として、次の6つに留意しましょう。(1)生活リズムを整える、(2)無理のない学習計画を立てる、(3)その高校の合否判定の基準を確認する、(4)学校説明会や相談会に参加する、(5)全日制にこだわる必要があるかを考える、(6)進学後のコミュニケーションや生活を考える。対策も含めて、詳細はこちらをご覧ください。

高校を選ぶ際のポイントを知りたいです。

不登校かどうかに関係なく、次の3つを確認しましょう。(1)通学時間・通学環境、(2)卒業後の進路・校風(3)必要に応じて、学費。詳細はこちらをご覧ください。

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