通信制高校の公立と私立の違いを徹底比較!〜学費・サポート・コースなど〜

この記事では、公立・私立の通信制高校の特徴を、比較しながら徹底解説します。
合わせて、通信制高校の入試や、通信制高校で学ぶ人にオススメしたいことも紹介しますので、通信制高校への入学・編入を考えている方はぜひ読んでみてください。
この記事を読むことで、あなたの通信制高校選びの参考になると思います。
目次
通信制高校とは、毎日の通学が必要ない高校のこと
勉強は、学校から送られてくる教科書や動画などの教材を利用して、自宅で行います。成績は、レポートの提出やテストの点数で決まります。
通信制高校は「正規の高校」ですので、卒業したら学歴はもちろん「高卒」になります。
「高校」と聞いてよくイメージされる「平日に毎日通学して、学校で授業を受ける高校」のことは、全日制高校(ぜんにちせいこうこう)と言います。
通信制高校の生徒の特徴
- いわゆる「普通の人」もたくさんいます
- 不登校の経験者や、別の高校を中退して転校してきた人も多いです
- 19歳以上の人も多いです
その他、通信制高校の全体的な説明は、コラム「通信制高校とは?特徴・メリット・選び方・オススメの高校などをご紹介」で紹介していますので、ご興味があればお読みください。
通信制高校、公立・私立の学校数・生徒数
全高校生の16人に1人が通信制高校生です(参考:文部科学省「学校基本調査-令和2年度」)
公立と私立の内訳は、次の表をご覧ください。私立の方が、公立よりも、学校数・生徒数・卒業者数の全てが多いです。
公立 | 私立 | |
---|---|---|
学校数 | 78校 | 179校 |
生徒数 | 55,427名 | 151,521名 |
卒業者数 | 8,042名 | 52,649名 |
1校あたりの 平均生徒数 | 711名 | 846名 |
通信制高校、公立と私立の7つ違い

公立
- 学費が安い。サポートが薄い傾向がある
私立
- 学費が高い。サポートが手厚い傾向がある
これから、より具体的に説明します。ただし一般論ですので、実際の高校選択にあたっては、資料請求や見学会・相談会を利用することをオススメします。
違い①学費
通信制高校は、公立と私立で学費が大きく違います。
初年度の学費の平均は、以下のようになります。(2020年度・授業料は25単位履修の場合。出典:学びリンク『不登校・中退生のための進路相談室2021』)
公立 | 私立 | |
---|---|---|
入学金 | 500円 | 40,000円 |
授業料 | 8,400円 | 225,000円 |
その他費用 | 学校によって 異なる |
102,000円 |
合計 | 8,900円 +その他費用 |
367,000円 |
就学支援金を 利用した場合の合計 (年収約590万円未満) | 500円 +その他費用 |
142,000円 |
就学支援金を 利用した場合の合計 (年収約590万円 ~910万円未満) | 500円 +その他費用 |
246,700円 |
公立の「その他費用」の項目にある、「学校によって異なる」とは、例えば修学旅行費の積立金やPTA会費などのことです。「学校徴収金」と呼ばれることもあります。
表の下の方にある「就学支援金」とは、家庭の収入が一定金額以下の場合にもらえる、返済不要の奨学金のことです。(参考:文部科学省「高校生等への修学支援」)
特に公立高校の場合、世帯の年収が約910万円未満の学生の場合、授業料は実質無料となります。
教科書代などは別途必要ですが、基本的には入学金のみで学費が済むというのは、公立の大きな特徴でしょう。
通信制高校の学費の詳細は、コラム「通信制高校の学費、公立と私立に分けて徹底解説!」で紹介していますので、ご興味があればお読みください。
違い②スクーリングや試験日の柔軟さ
公立
- スクーリングや試験の日程・回数が学校側によって定められており、学生側はそれに合わせるパターンになりやすい。日常のスクーリングは、「週に1回、決まった曜日」のところが多い
私立
- スクーリングや試験日の日程・回数が複数あって、学生側で都合のいい日を選びやすい。日常のスクーリングは、「週1日〜5日の間で、日数や曜日を選べる」ことが多い
違い③日常的なサポート体制
- 私立は、公立よりもスクーリングの日時・回数が柔軟(前項で紹介)
- 公立は、先生の上限数が決まっている(すぐ後で述べます)
- 私立は、公立よりもカウンセラーなどの体制も整っていることが多い
- 私立は、提携するサポート校があることが多い(後述します)
公立の通信制高校の先生の数は、法律で次のように決められています。(参考:e-gov「公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律 第9条・第12条)
- 生徒数1~600人の場合は、生徒46.2人に1人の教員
- 生徒数601~1,200人の場合は、生徒66.7人に1人の教員
- 生徒数1,201人以上の場合は、生徒100人に1人の教員
同じ法律では、公立の全日制高校では「生徒8人〜21人に先生1人」とされているため、公立の通信制高校の先生は少ないと言えるでしょう。
先生の数が少なければ、それだけサポートは薄いと考えられます。
私立高校には、先生の数には決まりはありません。
違い④中退率(卒業率)
- 公立の中退率:5.8%(3,265人)
- 私立の中退率:4.1%(5,711人)
中退率の公立の方が高いのは、これまでに解説した、公立通信制高校の「自由度が低い」「日常的なサポートが薄い」という傾向が関係しているかもしれません。
違い⑤カリキュラム(学べる内容)
公立
- 普通科が中心。いわゆる「五教科」を中心に勉強する
私立
- 普通科の他に、美術・デザインや、介護・福祉など、専門コースもある
①さくら国際高等学校:進学コースのほかに、マンガ・アニメ、声優・タレント、ペット・アニマルなど多彩なコースを設置しています。(参考:さくら国際高等学校「学校生活 コース案内」)
②ルネサンス高等学校:他の専門学校などと提携し、ダブルスクールのような形で、PCスキルの獲得や、税理士・公認会計士・整体師・セラピストになるための勉強ができます。一般の就職についても履歴書の書き方から面接まで、その企業に合った指導を行っています。(参考:ルネサンス高等学校「多彩なスタイル」)
違い⑥入学できる地域
- 現在、その高校がある都道府県に住んでいる人
- 入学までに、その高校がある都道府県に引っ越せる人
- その高校がある都道府県の隣の都道府県に住んでいて、その高校がある都道府県に職場がある人
このように、日常的に過ごしていない都道府県の公立通信制高校には、入学できないことが多いです。
その一方で、私立の通信制高校は、日本全国から入学できるところがたくさんあります。
また、入学できる地域が広い高校は、スクーリング会場もたくさんあることが多く、お住まいの都道府県の中でスクーリングできることもあります。(参考:クラーク記念国際高等学校「FAQ」)
違い⑦入学・転校できる時期
公立
- 入学・編入できるのは、年に1回(4月)なのが一般的(欠員発生などによる、学期ごとの補欠募集もある)
公立
- 年に複数回(4月・7月・10月・1月)入学・編入できることも多い
補足して、私立の場合、転入(書類上、前の学校を中退した翌日に転校すること)は、時期を問わず受け入れている学校もあります。
通信制高校の入試について

- 多いのは、「書類選考」+「面接または作文」の形式
- 「学科試験」がある学校や、「書類選考のみ」「面接のみ」の学校もある
ちなみに、面接や作文では、以下のようなことをテーマとして出題されることが多いです。
- なぜこの高校に進学したいのか(志望動機)
- どのような高校生活を送りたいのか
対策として、学校の先生や、通信制高校の受験に実績のある学習塾などのサポートを受けるとよいでしょう。
通信制高校の入試内容や対策の詳細は、コラム「通信制高校の受験・入試対策はどうしたらよい?〜作文・面接・学力試験にわけて徹底解説〜」で紹介していますので、ご興味があればお読みください。
公立の通信制高校生には、通信制高校に詳しい塾の利用がオススメ
ご紹介してきたように、一般的には、公立の通信制高校では「きめ細やかな指導が得られない」「中退率が高い」などの課題があります。
通信制高校のカリキュラムや、通信制高校の生徒によくあるお悩みに詳しい塾を利用することで、そうした課題を解決できます。
大学受験を目指している人にはよりオススメです。
また、生活についてのサポートも、無料・安価で利用できる「高校生のためのお悩み相談窓口」や「高校生のための居場所サービス」などを探してみましょう。
私たちキズキ共育塾のように、無料相談を行っている塾もあります。
ひとまず相談だけでも、きっと役に立つと思います。
通信制高校生の大学受験については、コラム「通信制高校から大学進学するための6つの対策〜オススメの通信制高校も紹介〜」で紹介していますので、ご興味があればお読みください。
私立の通信制高校生には、サポート校がある
サポート校とは、「特定の通信制高校と提携した塾」のようなものです。
サポート校は、提携高校のカリキュラムに対応した勉強の支援、独自の授業の実施、体験的な学習の実施、生活面の支援などをしています。
私立屋久島おおぞら高等学校と提携しているサポート校・KTCおおぞら高等学院には、「進学コース」の他に、次のようなコースがあり、いわゆる「五教科の勉強」以外のことも学べます。(参考:KTCおおぞら高等学院「コース紹介」)
○子ども・福祉コース
○プログラミングコース
○マンガイラストコース
○ネイルコース
○住環境デザインコース
平均 | 1日通学コース | 3日通学コース | 5日通学コース | |
---|---|---|---|---|
入学金 | 88,000円 | 100,000円 | 74,000円 | 89,000円 |
授業料(年間) | 502,000円 | 180,000円 | 336,000円 | 544,000円 |
施設設備費(年間) | 66,000円 | なし | 61,000円 | 70,000円 |
その他(年間) | 78,000円 | なし | 77,000円 | 82,000円 |
合計 | 734,000円 | 280,000円 | 548,000円 | 785,000円 |
サポート校に通うには、料金もかかりますし、向き不向きもあるかもしれません。
世の中には、サポート校だけではなく、通信制高校に詳しい学習塾もたくさんありますし、そちらの方が向いている人もいるでしょう。
利用する前にきちんと調べて、ご自身に合ったものを見つけましょう。
サポート校の詳細は、コラム「通信制高校の「サポート校」って何?〜サポート校の概要・メリット・注意点など〜」で紹介していますので、ご興味があればお読みください。
まとめ〜あなたに合った通信制高校はきっと見つかります

公立
- 学費が安い。サポートが薄い傾向がある
私立
- 学費が高い。サポートが手厚い傾向がある