自己受容って何?自己肯定感との関係、自己受容のための5つの方法

自己受容って何?自己肯定感との関係、自己受容のための5つの方法

こんにちは。

「お悩みのある人」の勉強とメンタルをサポートする完全個別指導キズキ共育塾の内田青子です。

「自己受容」という言葉を聞いたことがありますか?

テレビやインターネットでもよく使われる言葉なので、「知っているよ」という人もいらっしゃるかもしれませんね。

「自己受容」ができるようになると、自分や周囲をきちんと見極めることができるようになり生きやすくなります

今日は、自己受容とは何かをお伝えし、そして自己受容を高める方法についてもご紹介します。

この記事が、あなたの生きやすさにつながれば幸いです。

自己受容って何?〜「ありのままの自分」を受け入れること〜

自己受容って何?〜「ありのままの自分」を受け入れること〜

「自己受容」とは、「その人が置かれている現実の状況を受け入れること」を意味します

例えば、次のようなことです。

  • 身体的特徴
  • 家庭の貧富
  • 成績の善し悪し
  • 友人や恋人の有無など人間関係
  • 通っている学校や就いている職業

人が置かれている現実の状況には、自分の意志では変えられないものや簡単には変えられないものがあります。

生まれた家の貧富、容姿の特徴、職業、人間関係、学歴などは簡単には変えられません。

「自分の顔が嫌だ」と思ったとしても、生まれ持った容姿は簡単に変えることはできません。

整形手術やメイクがあるといっても、顔そのものを変えることは容易ではないはずです。

このように「こんな自分はイヤだ。だけど、簡単に変えられない」…そのような部分を受け入れることを「自己受容」といいます

たとえば、会社で個人業績などが下の方のAさんが、「自分は仕事ができない」と悩んでいるとしましょう(学生の人は、「学校の成績」や「勉強」と読み替えても大丈夫です)。

Aさんが業績を気にして、次のように思ったとします。

「僕は仕事ができないんだ。だから、ダメな奴なんだ」
「がんばったのに僕の業績が低いなんてありえない。きっと、上司の指導方法が悪かったんだ」

このような考え方は、Aさんの現状を否定した考えです。

他の例として、失恋したBさんが「私がフラれるなんてありえない。彼は本当は好きなのに恥ずかしがっているだけなんだ」といった考え方も、現状を無視していますよね。

現実として、現時点でのAさんの業績(やBさんの失恋)は、変えようのないものです。

Aさんが悩みを克服するためには、まず「自分の個人業績は低いのだ」という現実を受け入れなくてはいけません

プラスであれマイナスであれ、そこに感情(僕の業績が悪いはずがない、僕は業績が悪いからダメなんだなど)を付け加える必要はありません。

ただ、事実として自分の業績を受け入れる。

これが「自己受容」です。

「自己受容」とは、「『ありのままの自分』を受け入れること」と言い換えることができます

「自分の業績が悪いなんて認めたら、みじめな気持ちになっちゃうじゃないか」というAさんの声が聞こえて来そうですが……

まずは、この「自己受容」をするということが、Aさんが「変えようのない、現時点での自分」と上手につき合っていく第一歩なのです。

自己受容するとどうなるの?〜次の選択肢が見えてきます〜

自己受容するとどうなるの?〜次の選択肢が見えてきます〜

では、Aさんがありのままの業績を受け入れて、「自己受容」できると何が起こるのでしょうか?

まずは「自己受容」ができていないとどうなるかを見て行きましょう。

「自分は個人業績が悪い。だからダメな奴なんだ」…などと思ってしまうと、Aさんは「自分はダメな奴」というマイナスの思いにとらわれて、仕事の上達に向けた努力ができなくなってしまいます。

「ダメな自分が努力したって意味がない」と思ってしまうわけです。

「僕の個人業績が悪いなんてありえない。上司の指導が悪かったんだ」と他人や周囲のせいにしてしまう場合も、Aさんは変わらないでしょう。

しかし、「僕は業績が悪い」という事実をありのまま受け入れると、Aさんには、「次の選択肢」が見えてくるのです

例えば、次のような選択肢です。

  • 業績が悪いから、がんばって努力しよう
  • 業績を上げるために、上司に改善点を指摘してもらおう
  • 業績のよい同僚に、仕事のやり方を教えてもらおう
  • この仕事は向いてないみたいだから、異動申請や転職を検討しよう

ありのままの自分を認めることで、「それでは、どうすればいいのだろう」という選択肢が見えてくるわけです

ありのままの自分を認める「自己受容」は、「かっこ悪い自分」「ダメな自分」「できない自分」を認めることです。

それは、つらくて、みじめなことかもしれません。

しかし、「ダメでかっこ悪い自分」を認めるからこそ、「ダメでかっこ悪い自分」から脱却する第一歩を踏み出せるのです。

勇気を持って「自己受容」をしてみてください。

自己受容できると、自己肯定感につながる

自己受容できると、自己肯定感につながる

自己受容ができるようになると、自己肯定感を持つことができるようになります

「自己肯定感」とは、自分のあり方を積極的に評価できる感情、自分の価値や存在意義を評価できる感情を表す語を言います(実用日本語辞典)

「自己肯定感」は、ありのままの自分を評価した上で、そんな自分に「価値がある」と感じる感情のことです。

自己肯定感を持つことで、「ダメでかっこ悪い自分」から脱却できるようになるのです

「個人業績が悪い」と悩むAさんが、業績が悪いありのままの自分を受け入れて自己受容したとします。

するとAさんは、例えば次のような自己肯定感を持つことができるようになるのです。

  • 僕は業績が悪い。だから、仕事のやり方を努力して勉強している。まだ業績は上がっていないけれど、努力できる自分は素晴らしいと思う
  • 僕の業績が悪いのは、お客さんとのコミュニケーションが苦手なためだ。でも、数字の分析では部署に貢献しているから、変に落ち込まないようにしよう。
  • 僕は業績が悪い。だけど仕事が全てじゃない。私生活を考えるとサッカーが得意だし友達も多い。総合的に、僕は自分に満足している。

いかがですか?

Aさんは、「業績が悪い」という現状を受け入れ(自己受容)、その上で、得意なことや努力をしていることを見つけて自分を肯定しています(自己肯定感)

そこには、業績が悪いから「ダメでかっこ悪い」Aさんはいません。

「今の業績」が悪くても、Aさんにできることがたくさんあるのです。

このようになると、「今現在で、個人業績が悪い」ことはAさんにとって悩みではなくなるでしょう。

自己肯定感については、コラム「幸せに生きるために、自己肯定感を高めよう~自己肯定感を高める6つの方法~」もご覧ください。

「理想の自己」と「現実の自己」

さてそもそも、私たちはどうして自己受容できないのでしょうか?

アメリカの臨床心理学者ロジャースは、「人は誰もが『理想とする自己』と『現実の自己』を一致させようとする『自己実現傾向』を持つ」と言いました。

どんな人にも「理想の自分」があり、「現実の自分」を「理想の自分」に近づけようとして生きている、ということです。

そして、「理想の自己」と「現実の自己」の一致する領域の大きい人ほど現実社会に適応でき、一致する領域の小さい人ほど問題を抱えがちになってしまうのです


自己効力感が高い人の特徴

↑【理想と現実が一致する領域が小さい】
自己受容を行い、自己肯定感を高めた方が、生きやすくなる。


自己効力感が高い人の特徴

↑【理想と現実が一致する領域が大きい】
自己受容ができており、自己肯定感も高く、生きやすい。


「理想の自己」と「現実の自己」は、完全に一致させることはできません。しかし、努力などによって一致する部分を広くしたり、理想に近づいたりすることはできます。

「会社で理想の評価を受けるため、業績をアップしようと努力する」といった行為です。

しかし、業績のアップは、必ずできるとは限りません。

業績をアップできなかったとき、「理想の自己」と一致する部分が少ない「現実の自己」を受け入れられず、「自己受容」ができない状態が起こるのです

自己受容する5つの方法

それでは、キズキ共育塾の知見などに基づき、自己受容するための具体的方法をご紹介します。

自己受容には、「自分を通しての受容」と「他者を通しての受容」があります。

「自分を通しての受容」とは、「自分が何かをがんばった結果、自分を認められるようになること」です。

「他者を通しての受容」とは、「他人に褒められたり、『あなただから好きなんだ』と言われたりすることで、自分を認められるようになること」です。

これからご紹介する中で、①②③は「自己を通じての受容」、④⑤は「他者を通じての受容」になります。

①できないことを認識し、それ以外のことを行う

できないことを認識し、それ以外のことを行う

苦手な部分は「苦手だ」と認識した上で、今できることに取り組みましょう

たとえば、仕事が苦手だったり、業績が自分の理想より低かったりしたとします。

そういうときは、まず「今の自分は、今の部署の仕事が苦手だ」とを認めましょう。

その上で、「家事」「趣味」「子育て」など、仕事(=苦手なこと、できないこと)以外にできることを見つけましょう。

「社会人なのに仕事ができない」と自分を責めるのではなく、「今は仕事はできないけれど、家事ならできる」のように考えるのです。

そして、今できる家事、趣味、子育てなどをしっかり行ってください。

苦手なこと以外はしっかりできた自分を認めることで、「自己受容」ができるようになります

②目標をちょっとだけ変える

目標をちょっとだけ変える

目標を達成できなかったとき、その目標をあきらめた上で、ちょっとだけ目標を変えてみましょう

例えば、「○○円くらいの営業成績を目指していたけれど、自分には営業が向いていないようで、達成しなかった」ようなときに、営業成績をあきらめるのです。

「あきらめる」と言うとネガティブな感じがします。しかし、「業績アップや出世をあきらめて、ダメな自分で生きる」ということではありません。

あきらめた上で、目標を「○○円くらいの営業成績を目指す」からちょっとだけ変えてみるのです

「なぜ自分はこの営業成績を目指していたのだろう?」と自分に聞いてみてください。

「高評価を得て、出世したかったから」
「自信のある自社製品を、もっといろんな人に使ってもらいたいから」
などの答えや要素が出てくると思います。

すると、「営業成績」以外でその目標を叶えることができないか、新たな選択肢が出てくるのです。

  • 「高評価を得て、出世したい」なら、自分が得意な経理部署への異動申請を出す、自分が活躍できそうな業界に転職する
  • 「自社製品をもっと使ってもらいたい」なら、広報や商品開発部署への異動申請を出す

上記はあくまで単純化した例ですので、「異動も転職も、そんな簡単にはできないよ」と思うかもしれません。ですが、ここでお伝えしたいことは、「目標の理由」を考えることが重要だということです。

ある「目標」を叶えられない自分を否定するのではなく、その「目標の理由」を達成できる別の方法があるか、それで自分が納得できるかなどを考えてください。

「ちょっとずらした目標」の達成で自分が納得できるなら、自己受容できるようになります

③とことんがんばってみる

とことんがんばってみる

結果にかかわらず、とことんがんばってみるのも一つの方法です

例えば、「〇〇業界に行きたいけど、どうせ無理だろうな」と思っているようなとき、最初から理想をあきらめて何もしないでいる限り、無力な自分しか残りません。

無理だろうなと思っても、とことん就職・転職活動をやってみる、ということです。

その結果、理想の業界に行ければ、自己受容ができるようになります。

そして、行けなかったとしても、限界までがんばれた自分が残るはずです。

「自分はこんなにがんばれた」という気持ちも、自己受容につながります。

しっかりがんばれた自分は、次にどこに行っても努力できるはずです。

④自分を受け入れてくれる環境に身を置く

自分を受け入れてくれる環境に身を置く

不適切な環境にいるために自己受容ができない場合もあります

例えば、優秀な人たちばかりが集まる企業に就職したがために、どれだけ努力してもみんなに追いつけず「自分はできない」と思いこんでしまうような場合です。

筆者も過去、競争の激しい業界にいて、努力すればするほど自己受容ができなくなるという悪循環に陥ったことがあります。

また、いじめなどで「お前はダメだ」と不当なレッテルを貼られることもあるでしょう。

そのようなときは、自分を受け入れてくれる環境に身を置きましょう。

  • 「あなたがいるだけでいい」と言ってくれる家族や友人と一緒に過ごす
  • あなたのすることを評価してくれる職場に転職、学校に転校する

このような方法が考えられます。

人間は、嫌なことのほうが圧倒的に記憶に残るものです。

「あなたはダメだ」と言ってくる環境から、「あなたには価値がある」と言ってくれる環境に変わることで自己受容できるようになり、人生は大きく変わります。

⑤カウンセリングを受ける

カウンセリングを受ける

最後に、自分だけで自己受容が難しい場合はカウンセリングを受けましょう

カウンセラーなどの専門家に自分の受け入れがたい面を話すだけで、少しずつ自分を許し受け入れることができるようになります。

専門家によっては、認知療法やリフレーミングなどの専門的な対処法を行ってくれる場合もあります。

カウンセリングを受ける場所としては、次のようなところがあります。

  • 職場や学校の相談室
  • 心療内科
  • 市町村の相談窓口

苦しい場合は、専門家を利用することも考えてみてください。

まとめ〜自己受容して、自己肯定感も高まりますように〜

まとめ〜自己受容して、自己肯定感も高まりますように〜

「自己受容」とは、自分の受け入れがたい部分をそのまま受け入れることを言います

ありのままの自分を認めることと言い換えてもいいでしょう。

たとえば、「個人業績が悪い」場合、感情を伴わずに、ただ「個人業績が悪い」という事実をありのまま受け止めることが「自己受容」です。

「自己受容」ができるようになると、「では、どうすればいいだろう」という選択肢が見えて来ます。

また、「自己受容」ができるようになると、それを土台として「自己肯定感」も持てるようになります

自己受容するためには、次のような方法がありますので、試してみてください。

  • 「できないこと」を認識する
  • 目標を少しだけ変えてみる
  • とことんがんばってみる
  • 自分を受け入れてくれる環境に身を置く
  • カウンセリングを受ける

あなたの「自己受容」が進み、胸を張って歩いていけますことをお祈りしています。

さて、私たちキズキ共育塾は、お悩みを抱える人のための個別指導塾です。

授業を通じて自己受容のお手伝いもできますので、「ダメな自分、かっこ悪い自分」を受け入れられずに悩んでいらっしゃるのであれば、ぜひお気軽にご相談ください。
ご相談は無料です。保護者さまだけでのご相談も可能です。

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