
やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
将来の夢がないと、親や先生に「将来、何がやりたいの?」と問われる度に、落ち込むこともあるでしょう。
友達が夢に向かってがんばっている姿、子どもが将来の夢をイキイキと話している姿、同い年の人が活躍している姿…
夢がある人がキラキラと輝いて見えて、夢がない自分をちっぽけに思っていませんか?
なぜなら、「夢や目標があるかないか」は、「楽しく幸せに生きられるか」とは関係ないからです。
この記事は、「夢がない」と悩むあなたに向けて、次のようなことをお伝えします。
この記事を読んでわかること
「なぜ夢が見つからないのか」「夢はどうすれば見つけられるのか」と悩むあなたの、夢や目標を見つけるヒントになれば幸いです。
↑動画では、このコラムの内容に関連して、将来の夢を探す方法を、①入り口になる本を読んでみる、②好きなこと・憧れることから考える、③嫌いなこと・なりたくない自分から考える、④得意なことから考えるという切り口から紹介します。
ご興味がありましたら、ぜひご覧ください。
目次
筆者の見聞きする範囲では、学生世代の方が、親世代に比べて「自分には夢がない」と悩む人が多い印象があります。
これは、親世代が学生だったころは、今ほど将来に悩まない時代だったためではないでしょうか。
昔は、将来のイメージを今よりも明確に持てる時代でした。
就職、結婚、男性は仕事、女性は家庭を中心に、生活のスタイルを築く…というイメージを多くの人が共有していました。また、実際にそう生きる方も大勢いました。
「大多数に共通のレール」が昔よりも減って、人それぞれで自由に生きられる時代、つまり「生き方を決めなくてはいけない時代」になりました。
そんな時代だからこそ、「夢を持たなくては」と思ったり、将来のイメージが持てなくて不安を感じたり、という学生が増えているのだと思います。
先ほども言いましたが、「将来の夢がないこと」や、「何がしたいのかわからないことに、変に悩む必要はありません。
ただ、「夢を見つけるヒントがあるなら知りたい」と思っているのなら、これから紹介することを試してみてください。
なぜなら、職業は「夢そのもの」ではなく、「夢を叶える手段」だからです。
「この夢を叶えるためには、どんな職業になる必要があるか」という発想で考えましょう。
その上で、プロサッカー選手、保育士、ユーチューバーなど、「具体的な職業」を探しましょう(ここでいう職業には、ボランティア、副業、専業主婦なども含みます)。
「夢と職業って、必ず関連するの?」と疑問をお持ちではないでしょうか。もちろん、「必ず関連する」わけではありません。ですが、今回のコラムでは、わかりやすい手段である「職業」と関連させてご紹介します。
キーワードは、「深掘り」です。
「将来の夢」を考えるとき、自分の中に明確な基準や軸がないと、夢の内容は狭く限定されたものや、ボンヤリとしたものになります。
「自分の基準」を見つけるために、様々な方法で自分を深堀っていきましょう。
「好きなこと」や「楽しいと思うこと」を深掘りして、自分の夢を探してみましょう。
「マンガを読むのが好き」「サッカーが楽しい」など、自分が好きなことを挙げた上で、そこから自分を深堀ってみます。
まずはシンプルに考えると、「好き」「楽しい」を活かせる職業として、次のような夢が見つかります。
「好き・楽しい」からの直接的な夢
そしてさらに、深堀りすることで、別の発見があるかもしれません。
サッカーなら、「自分がなぜサッカーを好きなのか」を深掘ってみましょう。
こんなふうに、どんなことが好きか、楽しいかを深堀ると、様々な夢・職業が見えてきます。
サッカーの例を続けると、次のように、「好き」な理由が具体的になります。
そうすると、夢と実現手段は、サッカー選手以外にも多く見つかります。
例えば、「プレイするだけでなく、観戦も好き」なら、「みんなにも、その楽しさを知ってもらいたい」という夢が見つかるかもしれません。
そうすると、夢を実現する職業には、次のようなものもあります。
「好き・楽しい」を深堀りした夢
他にも、「ゴールの瞬間のエキサイトが好き」なら、「大勢を楽しませたい」という夢が見つかり、サッカーから離れてエンタメ業界を目指す、ということも考えられます。
「得意なこと」と「好きなこと」は、一緒な場合も違う場合もあります。
あなたが得意なことは、あなたに向いていることです。
「得意」を生かした夢を、探してみてはどうでしょうか。
友達や先生に「自分のこと」を聞いたり、過去の経験を考えてみたりすることで、「得意」を探し、深掘っていきましょう。
過去の経験は、次のように生かせます。
スマホ、PC、家電などに詳しくて、苦手な人に使い方を聞かれたりするなら、あなたは「機械」が得意です。そこから、「機械の知識で世界を変える」という夢が見つかり、ITエンジニアやプログラマーという実現手段が見つかるかもしれません。
技術や家庭科の授業などで、「難しい工作ができた」「裁縫が綺麗に仕上がった」などの経験がある人は、手先が器用な人です。そこから、「モノづくりでみんなの生活をよくしたい」という夢が見つかり、建築士、自動車メーカー、パタンナーなどの職業を目指せるかもしれません。
ただし、「何が得意か」は、様々な経験を積んで見つかることもあります。
これまでの経験から「得意」がないなら、行動してみましょう。
行動については、後ほど紹介します。
「あこがれ」が「夢」になることもあります。
「あこがれ」とは、「理想とする物事や人物に強く心が引かれること」です。
「あこがれ」からの直接的な夢
「現実離れしているかも…」と思うかもしれませんが、「夢」なのですから、現実離れしていても大丈夫です。
そして、あこがれを深掘っていきましょう。
こうしたことにに答えを出していくことで、選択肢が広がったり、より魅力的な夢が見つかったりもします。
例えば、あるマンガ家へのあこがれは、次のように、様々な理由が深掘りできます。
すると、将来の夢と職業は、次のように広がっていきます。
この人みたいに魅力的な絵を描きたい
この人みたいに魅力的な物語を書きたい
この人みたいな生き方を広めたい
さらに、「魅力的なマンガを描きたいけど、自分には無理だな…」と思ったときも、全てをあきらめる必要はありません。
「自分にはマンガは描けないけど、素敵なマンガを世の中にもっと広めたい」という夢を持てば、次のように様々な職業が考えられるのです。
マンガをもっと広めたい
ここまで、ポジティブな視点で、夢を見つける方法をお伝えしました。
少し違った視点として、「なりたくない自分」「やりたくないこと」「きらいなこと」から夢を見つけることもできます。
そこから、「この仕事は絶対避けよう」「こういう仕事ならいいかも」と考えられるようになるのです。
この視点のいいところは、ひとまずはカンタンに夢をみつけられることと、現実的な目標を立てやすいことです。
「不規則な生活をしたくない」なら、逆に考えて、「規則正しい生活をしたい」という夢を持つことができます。すると、「新聞記者や警察官は向いていないな」「事務系の仕事なら規則正しいかも」と、夢を叶える職業を見つけられます。
「嫌なこと」を逆算した夢探しも、悪いことではありません。
ポジティブ方面で行き詰まったら、この視点で考えみましょう。
考えても夢が見つからないときは、行動してみましょう。
興味のあること、新しいこと、好きなこと、楽しそうなことに、どんどん挑戦してみてください。
行動すると、自分の「好き」「得意」「嫌い」などを発見し、そこを深掘ることで、夢も見つかります。
新しい行動への挑戦方法の例
挑戦の後には、振り返りも大事です。
振り返りのポイント
メモなどの記録を取ったり、日記を書いたりするなど、文章にすることで気づけることも多いので、もしよかったらやってみてください。
具体的な「新しい行動」の例
このように、新たな環境に身を置くことで、知らない自分や価値観に出会い、夢のヒントが得られます。
「自分探しの旅」の感想が「知らない人と話すのが楽しかった」なら、「毎日違う人と新しい話をしたい」という夢に繋がり、関連する職業として、ショップ店員、ツアーガイド、キャリアコンサルタントなどが見つかります。
様々な人の話を聞いたり、仕事について調べてみたりすることも、夢探しに繋がります。
話を聞く・調べる方法の例
連絡しても、絶対に会える・話を聞けるとは限りません。また、実際に会う場合は、親や学校の先生に確認してもらったり、大人に同席してもらったり、複数人で会ったりするようにしましょう。
会えたり話せたりするようになったら、その人の話を深掘って質問していきましょう。
質問の例
仕事内容や生活スタイルなども聞くうちに、興味が夢になっていく、ということです。
これまでの方法を試してみると、いくつか夢が見つかると思います。
もしかしたら、人からは「そんな壮大な夢、無理だよ」「そんな小さなことが夢なの?」などと言われたりするかもしれません。
ですが、「夢」なのですから、人の言うことはひとまず気にしなくてOKです。
そして、夢実現のために、具体的なルートを深掘りしてみましょう。
夢が複数ある場合は、まずは一番目の夢へのルートを探しましょう。ルートを調べて、「この方法で夢にたどり着けそう!」と思ったら、実行していきましょう。逆に、「無理っぽいかな…」「現実的には難しそうだな…」と思ったときは、二番目以降の夢のルートを調べましょう。
そして、夢実現のルートを深掘りしていくと、新たな夢が見つかることもあります。
わかりやすい例
途中で夢を変えることだって、悪いことではありませんよ。
生き方が多様化した現在、「夢を持たなくては」と悩む方は、少なくありません。
将来の夢は、あってもなくても大丈夫です。
夢がなくても、楽しく幸せに生きることはできます。
ですが、夢があるからこその、努力、成長、幸せなどもあるでしょう。
職業と夢は関連することが多いですが、「職業を先に考える」のではなく、「夢実現のために職業を探す」と考えましょう。
その上で、夢を見つけるためには、次のような方法があります。
また、夢や人生は、職業のことだけを意味しません。
仕事以外で夢を叶える、ということも可能でしょう。
仕事だけでなく、「どんな人生を生きていたいか」まで考えられると、夢も選択肢も広がります。
さらに、「夢のために就職・進学する」のではなく、「夢を見つけるために、就職・進学する」というパターンも可能です。
新たな環境、友人、経験が刺激となり、夢を見つけることができるかもしれません。
将来の夢を探すのならば、あせらずゆっくり考えましょう。
あなたが「夢」を見つけられるよう、祈っています(ただし繰り返すとおり、「夢」はなくたって大丈夫ですよ。あまり悩みすぎないでくださいね)。
最後に、私たちキズキ共育塾は、講師と生徒が一対一で授業を行う、完全個別指導塾です。
授業では、勉強の話の他に、悩み相談や将来の夢の話もできます。
授業を通じて将来の夢を見つけた生徒さんも、「夢がなくてもOK」と安心し生徒さんも、たくさんいます。
人生経験豊富な講師が揃っていますので、少しでも気になるようでしたら、お気軽にご相談ください(相談は無料です)