
自己効力感とは?その意味と、高めるための4つの方法を詳細に解説します!

みなさんこんにちは、キズキ共育塾のあべあいりです。
突然ですが、自己効力感という言葉をご存知でしょうか?
似たような言葉の、「自己肯定感」はよく耳にすることが多いのではないでしょうか?
自己効力感は、たとえば…
- 「次の試合では、いい点数を取ることができるはず!」
- 「新しいクラスになったけど、新しい友達がたくさんできるはず!」
- 「大変な仕事が回ってきたけど、私だったらうまくできる!」
などのように、
「『自分ならきっとできる!』と思える力」のことをいいます。
自己効力感が低いと、自分の行動に制限をかけてしまったり、チャレンジ精神を欠いたり、自分の可能性を無意識的に狭める場合があります。
ここでは、自己効力感とは何か、自己肯定感との違いは何か、自己効力感を高めるためどうすればいいのか…などについて解説していきます!
自己効力感を高め、あなたの可能性を広げていきましょう。
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目次
自己効力感とは

自己効力感とは、「自分が、ある物事を遂行することができると信じられる力」のことを指します。
自己効力感という概念は、アメリカの心理学者であるアルバート・バンデューラが初めて提唱しました。
バンデューラは「自己効力感が強いほど、人は実際に行動することができる傾向にある」と述べています。
みなさんも、経験の中で培った自己効力感を頼りに、「やったことがないけど、きっとできる」と思ったことがあるのではないでしょうか?
自己効力感があるからこそ、物事にチャレンジできたり、取り組む意欲が湧いたりします。
また、自己効力感が高い人は、自分にとって不利益になりうるものを前もって取り除くことができると言われています。
たとえば困難(ストレス源)に直面した際に、適切な対処行動を取ることができるので、不安や腹痛といったストレス反応を軽減することができるのです。
自己効力感が高いと抑うつ傾向が低く、生活に対する満足感や生活の質が高いことが研究によって明らかにされています。(佐藤祐基「自己効力感と性格特性の関連」2009年)
自己効力感によって、メンタル面も穏やかに保つことができるということです。
そんな自己効力感を高める方法を紹介する前に、「自己効力感」と「自己肯定感」の違いについてお伝えしていきます。
自己効力感と自己肯定感の違いは?
自己効力感は「自分ならできると信じられる力」のことと解説しました。
一方で、自己肯定感とは「できても、できなくても、ありのままの自分を肯定できる力」のことを言います。
その特徴の概要と簡単な例は、次のようになります。
自己効力感
概要 | 「自分ならできる」と信じられる力 |
---|---|
低い例 | 営業に配属されたけど、 未経験だし人見知りだし、 結果を出せないかもしれない…。 |
高い例 |
営業は未経験だけど、 人見知りでもトップセールスマンになった人もいるし、 きっと自分にもできるはず! |
自己肯定感
概要 | できても、できなくても、 ありのままの自分を肯定できる力 |
---|---|
低い例 | 営業に配属されたのは、 人見知りで才能もない自分を退職に追い込むためではないか…。 |
高い例 | 営業は未経験だから、最初は苦手でもOK。 これから試行錯誤して、結果が出たら嬉しいし、 結果が出なくても変に落ち込まないようにしよう! |
自己効力感と自己肯定感には、適度なバランスが必要です。
たとえば、「自己効力感は高いけれど、自己肯定感は低い状態」ならば、
- 挑戦はできるけれど、上手くいかなった場合に必要以上に自分を責めてしまう
- 経験に基づかない架空の自信によって、自身を誇大化させてしまう癖がつく
などの状態になる可能性があるのです。
ですので、どちらか片方のみを伸ばすのではなく、適度なバランスを保つことを心がけましょう。
自己効力感が高い人の特徴

自己効力感が高い人には、次のような特徴があります。
- 自分が立てた計画は、うまくできる自信がある
- 何かをしようと思ったら、すぐに取り掛かる
- 上手く人を頼ることができる
- 失敗しても、原因を明らかにして次に繋げようとする
- 何かをしようとするとき、自分にそれができるか不安でもやりきろうとする
後でも紹介しますが、自己効力感は、過去の達成経験によって育まれていきます。
達成経験は、挑戦の結果として生じます。
挑戦というと重い言葉のようですが、
テストのための勉強、
大会上位に入るための部活の練習、
新しい料理の試作、
予定がある日の早起き、
…などなど、挑戦は日常にもはあふれています。
さて、挑戦はとても素晴らしいことですが、その全てが達成(成功)に繋がるとは限りません。
分野や得意不得意などによっては、成功よりも、失敗が多いことも珍しくないでしょう。
そもそも失敗が怖くて挑戦する気にならない人もいますよね。
また、難しい挑戦を途中で投げ出すこともあるでしょう。
では、「挑戦と達成経験」を積んで自己効力感を高めることは、難しいのでしょうか。
そんなことはありません。
「失敗が怖い」という感情も、結果としての失敗や投げ出しも、程度の差はあれ誰にでも生じるものです。
「怖さは消えないし、失敗するかもしれないけど、それでも自分ならきっと大丈夫だ」と思えるようになることが大切なのです。
そのためには、成功体験だけでなく、失敗した挑戦や投げ出した挑戦についても、価値を見出しましょう。
「失敗」や「投げ出した」ことにはフィードバックや反省を行いつつ、必要以上に自分を責めないで、「挑戦した」こと自体を適切に評価するのです。
適切に自分を評価することが、自己効力感を高めることにも繋がります。
自己効力感を高めるとどうなるの?

さて、自己効力感が高くなれば、フットワークが軽くなり、あらゆることに対して行動力を発揮できるようになります。
自己効力感は「動機づけ」に大きな影響を与える要因のひとつと考えられています。
たとえば、
- どのくらい努力を継続できるか
- 困難に直面したときにどのくらい耐えられるか
などを、人は無意識的に考えて、実際にその行動を始めるかどうかを決めています。
上手くいく・上手くできるセルフイメージを持っている人(=自己効力感の高い人)は、行動へのハードルが低いのです。
反対に、よくないセルフイメージがある人(=自己効力感の低い人)は、行動をためらったり、気が引けたりするのです。
そのちょっとしたセルフイメージの差、つまり自己効力感の差によって、「本当はできること」ことや「少しがんばればできること」ことに取り組むチャンスを逃してしまっている可能性もあります。
このことを「機会損失」といいます。
自己効力感が低い状態はと、いわば「行動における食わず嫌い状態である」といってもよいでしょう。
食わず嫌いな状態ではセルフイメージを成長させることは難しいため、自分の殻を破ることは難しくなってきます。
それでは、どのようにして自己効力感を高めることができるのでしょうか?
次章で詳しく解説していきます。
自己効力感を高める4つの方法・補足つき
バンデューラは、自己効力感は4つの要素を意識することによって高めることができると提唱しました。
その4つの要素と具体的な方法をセットで紹介していきます。
①達成体験〜達成体験の解像度を高める〜

達成経験とは、「過去に自分自身が何かを達成、成功した経験」のことです。
達成経験に関連して自己効力感を高めるためには、過去の達成体験の解像度を高めましょう。
過去を振り返って達成できたことを書き出し、そのプロセスを振り返えるのです。
過去に達成できたことに対しては成功の見通しがつくため、過剰に不安になることも少ないはずです。
自己効力感を高めていく上で、小さくてもいいので成功体験をたくさん積むことが最も大切なポイントだと言われています。
また、なぜ達成できたのか、そのプロセスを自分なりに読み解いてみてください。
たとえば…
- 達成できたときの状況は?
- どんな人が周りでサポートしてくれた?
など、達成できた「条件」を探していきます。
その条件が揃えば、また達成体験を得られる確率は上がります。
再チャレンジでたとえ失敗してしまったとしても、少しずつ条件をチューニングしていけばベストな状態をつくりだすことができます。
②代理経験〜不安要素を潰して達成のイメージを明確にする〜…

代理経験とは、「他者の体験を見本にして、自分でもできるかもしれないと思える経験のこと」です。
代理経験によって自己効力感を高めるためには、「自分もできるかも!」と思えることがゴールです。
そのため、すでに達成したことがある人の話を聞いたり、経験者のブログなどを読みまくるなどの情報収集が大切です。
はじめてのことに対して恐怖心を持つのは、漠然とした不安を持っているからです。
その不安要素を解消するために情報収集をして「自分もできるかもしれない」と思えるように、自分に情報を与えてあげましょう。
実際に身近にいる人に話を聞いたり、ネットを使って探してみたりなど、情報収集の仕方はたくさんあります。
③言語的説得〜自分を高めてくれる環境に身を置く〜

言語的説得とは、「自分も成功できる」と思えるような言葉を他者からもらうこと」です。
言語的説得に関連して自己効力感を高めるためには、チャレンジに対して、否定ではなく、肯定して応援してくれるような仲間からの声をもらえる環境に身をおくことが大切です。
友人から応援されない環境は、「失敗したらどうしよう…何か言われるかもしれな」と思って挑戦をためらってしまいます。
すでに取り組んでいる人たちが大勢所属しているコミュニティに所属して、応援し合える環境に身を置くことが大切です。
しかし応援がプレッシャーになってしまうと、失敗したときにコミュニティに戻りづらくなる原因になってしまうことがあります。
「失敗してもいいから、当たって砕けてこい!」などと言い合えるような仲間を持つことがとても大切です。
④生理的情緒的状態〜カラダとココロを良好な状態に整える〜

生理的情緒状態とは、「心身の状態を良好にすること」です。
どんな人でも、体調が悪ければモチベーションは低下してしまうものです。
まずは健康的で規則正しい生活をして、自分のカラダとココロのコンディションを整えることが大切です。
前に挑戦したときは成功したとしても、コンディションが悪ければ、失敗してしまうこともあります。
睡眠、食事、適度な運動などの習慣ができてくれば、挑戦する意欲や自己効力感も自然と高まってくるようになるでしょう。
補足〜カウンセリングを受けることもひとつの選択肢に!〜

自己効力感を高める方法をご紹介しました。
自己効力感は、ひとりで高めることももちろん可能ですが、カウンセラーなどを頼ることもでも高められます。
カウンセリングは、精神的な病を患っている場合のみに利用するところだと思われがちです。
ですが近頃は、私たちが生活する中でつくり出した認知の歪みを少しずつポジティブな考え方に変えていく認知行動療法などのカウンセリングが注目されるようになりました。
特に病気や障害がなくても気軽にカウンセリングを受けることは可能ですので、お近くの心療内科やネットで受けられるカウンセリングサービスを探してみることをおすすめします。
まとめ〜自己効力感と自己肯定感、バランスよく高めていきましょう

自己効力感は、自己肯定感と同等に大切な概念です。
繰り返しになりますが、自己効力感が高ければ、自分の行動における食わず嫌いをなくし、やったことがないことに対しても挑戦できるようになります。
行動に対して、心のハードルを下げることが可能になるのです。
自己効力感と自己肯定感は、バランスよく保つことが重要です。
あなたの自己効力感が上がり、より充実して生きていけるよう、祈っています。
さて私たちキズキ共育塾は、主には不登校、引きこもり、中退などの経験者が学び直しのために通う個別指導塾です。
入塾したばかりの生徒さんには、自己効力感や自己肯定感が低いことも珍しくありません。
ですが、キズキ共育塾では、ひきこもりや不登校経験のある生徒を数多くみてきた経験から、授業を通じて達成経験を積んでいったり、代理経験を有することができます。
講師とのやり取りを通じて、言語的説得を得られる環境もあります。
また、医師監修のもと、授業と並行した睡眠改善プログラムも実施しており、生活習慣が崩れている人のサポートも可能です。
学習を軸に、自己効力感・自己肯定感を高めるお手伝いができればと思いますので、少しでも気になる場合はお気軽にご相談ください(ご相談は無料です。保護者さまだけでのご相談も歓迎です)。
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