発達障害のあるお子さんに親ができる8つのサポート 代表的な困りごとや支援機関を紹介
こんにちは。「発達に特性のあるお子さん」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする完全個別指導塾・キズキ共育塾です。
発達障害のお子さんがいる親御さん、または「うちの子どもは発達障害ではないか」とお思いの親御さんは、以下のようにお悩みではありませんか?
- 親としてできるサポートは?
- 発達障害のことを子どもにどう伝えていいかわからない
- 発達障害のことを相談できる支援機関は?
このコラムでは、お子さんの発達障害のことで悩んでいる親御さんができるサポートを徹底解説します。
お子さんに発達障害を伝えるタイミングや頼りになる支援機関も紹介します。ぜひ読んでみてください。
目次
発達障害のお子さんがいる親御さんができる8つのサポート
この章では、発達障害のお子さんがいる親御さんができるサポートを解説します。
大切なのは、悩みを親御さん一人で、または親子間だけで抱え込まないことです。
できるだけ専門家を含む第三者に相談しましょう。
その点に留意しながら、以下のサポートを実践してみてください。
サポート①学校の先生やスクールカウンセラーに相談する
1つ目は「学校の先生やスクールカウンセラーに相談する」です。
担任の先生は、お子さんの学校での様子に詳しいはずです。相談することで、発達障害の特性について、理解やサポートを得やすくなるかもしれません。
また、親御さんの目が届きづらい学校生活において、お子さんがどのような困りごとを抱えているのかといった点も共有してもらえるでしょう。
発達障害であることが確定している場合には、発達段階それぞれにおける福祉サポートについても助言を得られると思います。例えば、高校受験時の特別措置などです。
学校によっては、スクールカウンセラーの先生が在籍していることもあります。
スクールカウンセラーの先生は、生徒の心理面をサポートすることに特化しています。よりデリケートな問題を相談するのもよいかもしれません。
発達障害の確定診断がない段階であっても、まずは担任の先生やスクールカウンセラーに相談してみるのがよいでしょう。
サポート②発達障害に詳しい医師や支援機関に相談する
2つ目は「発達障害に詳しい医師や支援機関に相談する」です。専門的な知見によるアドバイスやサポートが得られるはずです。
すでに発達障害の確定診断を受けているなら、かかりつけ医にいろいろな相談ができると思います。
そして、発達障害の確定診断があってもなくても、発達障害と思しき特性について無料相談が可能な支援機関はたくさんあります。
医師の診断を受けていない場合は、「検査・診断を受けるべきかどうか」ということから支援機関に相談できます。
支援機関の一つとして、「勉強」については、発達障害のある子の指導実績がある学習塾や家庭教師もあります。
個人指導を行っている塾の中には、発達障害に理解のある講師が、お子さんの特性に配慮したきめ細やかな指導も行う塾もあります。私たち、キズキ共育塾もその一つです。
ぜひ、あなたや、お子さんが相談しやすい医師や支援機関を探してみてください。
私たちキズキ共育塾は、発達障害のある人のための、完全1対1の個別指導塾です。
生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。
サポート③お子さんの特性を理解して受け入れる
3つ目は「お子さんの特性を理解して受け入れる」です。
親御さんは、発達障害の特性は「本人の努力次第でカバーできる」とお考えのことがあります。
しかし、発達障害は先天的な脳の機能の偏りに起因するため、本人の努力だけではどうにもならない面も多くあります。
カバーできる場合もできない場合も、大切なことは、お子さんが日常生活を送る上で周囲の人から配慮を得られることです。そうなるよう、親御さんがお子さんの特性を理解して受け入れることです。
また、発達障害に伴う特性を受け入れることは、一種の「個性」としてお子さんを尊重することにつながります。結果として、お子さんの自己肯定感を高めることにもなります。
お子さんの特性を受け入れ、「どんな困りごとを抱えているのか」「何が得意で、何が苦手なのか」といった理解を深めるようにしましょう。
サポート④適度に休ませる
4つ目は「適度に休ませる」です。
発達障害の子どもは、同級生とのコミュニケーションや学校での勉強に困難を感じることが少なくありません。そのため、落ち込みや疲れを感じやすい傾向にあります。
こうした心理的なストレスが重なることで、うつ病や適応障害のような「二次障害」を併発するお子さんもいます。
特に体調が悪くなくても、お子さんが「休みたい」と訴えた場合には、その意思を尊重してできるだけ休ませることが大切です。
また、支援機関と連携しつつ、親御さんが「活動」と「休み」のスパンを設定する方法もあります。
なお、お子さんだけでなく、親御さん自身にも、自分の時間を取ってリフレッシュしたり休んだりすることが必要です。
発達障害のお子さんの対応で親御さん自身に疲れがたまると、敏感なお子さんの場合はそれを察知します。そして、「自分が迷惑を掛けているかもしれない」と、さらに悩みを抱え込む可能性があります。
そうならないために、あなた自身も「適度に休む」姿勢を持つようにしましょう。
サポート⑤長所や得意なところをほめる
5つ目は「長所や得意なところをほめる」です。
発達障害は病気ではありません。あくまでも特性が目立ちやすいというだけです。解釈によっては、強みや長所と捉えられる点がたくさんあります。
具体的には、ASDの特性である「こだわりの強さ」は「特定分野に集中力を発揮できる」という長所として捉えることができます。
ADHDであれば、「気が散りやすい」代わりに「いろんなことに積極的に取り組める」という子もいます。
こうした長所や得意なところを見つけて、折に触れてほめることは、発達障害の子どもが自尊心を育む上で必要なことです。
ぜひ、お子さんの強みと思われる面を探して、ほめてください。
サポート⑥進路や進学先の準備を早めに進める
6つ目は、「進路や進学先の準備を早めに進める」です。
早めに準備をすることで、「発達障害についての一般的なサポート」を得やすくなったり、「あなたのお子さんに合いそうな具体的な学校」を見つけやすくなったりします。
発達障害の確定診断がある場合、受験の際に、受験先に「発達障害であること」を開示・相談すると、「試験時間の延長」や「別室受験」といった特別措置を受けられるようになります。
申請の締め切りは受験の願書提出よりも早いことが多いため、早めに準備を進めることが肝要です。
発達障害の確定診断がない場合、または発達障害グレーゾーンである場合、発達障害ではない他の子どもたちと同じ条件で受験をすることになるでしょう。
その際には、お子さんの学力や調査書によっては、それらが合否にあまり関わらない学校を探したりする必要があります。こちらも、早めに探しておくことで、お子さんに合いそうな学校の候補を見つけやすくなります。
発達障害グレーゾーンについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
ほかにも、ASDのある子どもが、特性によって「一般的な高校で行われる集団授業よりも、マイペースに勉強を進めた方が合っている」などの場合、高校を選ぶ時は「通信制高校」や「定時制高校」の高校を検討してもよいでしょう。
通信制高校では、「一般的にイメージされることが多い、平日の朝から夕方に授業を行う、修了年限が3年間の課程の全日制高校」とは異なります。
学校から送られてくる教材を使った自宅学習が軸になります。特定の「スクーリング日」以外は登校の必要がないため、自分のペースで勉強を進めたいという子どもには合っているかもしれません。
また、定時制高校も、昼か夕方からの時間帯に授業を行っているため、全日制に比べると時間の融通が利きやすいでしょう。
こちらも、「早めに視野に入れる」ことで、学校見学や相談などを行いやすくなります。
いずれにせよ、高校を選ぶ際には、お子さんの意思や希望を尊重することが大切です。
そのためには、お子さんと話し合う際に、候補を可能な限り多く提示できるよう、情報収集などの進路選びのための準備を早めに進めることをオススメします。
通信制高校と定時制高校については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
サポート⑦親の会に参加して、発達障害の理解を深める
7つ目は「親の会に参加して、発達障害の理解を深める」です。
発達障害には、その特性に応じた保護者の組織が存在します。
例えば、「特定非営利活動法人 全国LD親の会」では、東北や関東など、各地を6ブロックに分けて、保護者による情報交換会、勉強会、LD/SLDのある子どもの友達作り、イベントなどを催しています。
親の会に参加することで、同じように発達障害のお子さんがいる保護者と意見交換ができます。そうすることで、有益な情報を得たり、悩みを共有できて気持ちが楽になったりといったメリットが期待できるでしょう。
興味のある方は、「発達障害 親の会」と検索してみてください。全国LD親の会以外にも、多くの団体の活動をお調べいただけます。
なお、「親の会」は、それぞれに目的や性質が異なります。もし一つの会が合わなかったとしても落ち込まず、あなたやお子さんに合いそうな別の会を探してみることをオススメします。
参考記事:特定非営利活動法人 全国LD親の会
サポート⑧ペアレントトレーニングを受ける
最後は「ペアレントトレーニングを受ける」です。
ペアレントトレーニングとは、発達障害のお子さんがいる親に、「効果的な親としてのスキル」を教えるプログラムのことです。子どもへの接し方を見直す意味でも非常に有効だと言われています。
ペアレントトレーニングの内容には、以下のようなものがあります。
- 講習会で、各発達障害の特性について理解を深める
- 各発達障害に見られる行動を分類して理解する
- 子どもの良いところへ目を向ける練習する
- 効果的な指示の仕方や好ましくない行動を取ったときの対処法を勉強する
- 同じ悩みを持つ親御さん同士で情報交換をする
医療機関や教育機関などで指導者を招き、毎週決まった時間に上記のようなトレーニングを実施します。
地域の施設で行われているペアレントトレーニングに参加することで、年長のお子さんがいる親御さんから、進学先などで得られる支援について、詳しい話を聞けるかもしれません。
お近くで実施されているペアレントトレーニングを探して、受けてみてはいかがでしょうか?
発達障害のお子さんがいる親御さんが利用できる支援機関3選
この章では、発達障害のお子さんがいる親御さんが利用できる支援機関を紹介します。
公・民を問わず、発達障害のお子さんを支援している機関は、たくさんあります。
確定診断がなくても相談可能な機関もあります。まずは問い合わせをしてみることが大切です。
どの支援機関がよいのか判断に迷うという場合は、お住まいの自治体の障害福祉担当課に問い合わせてみてください。
また、ご紹介するもの以外にも支援機関はあります。あなたやお子さんに合いそうなところを探してみることをオススメします。
支援機関①発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、就労に限らず、発達障害の早期発見と早期支援を目的として、症状に悩む当事者や家族の生活をサポートする支援機関です。窓口は、各都道府県や指定の事業所に設置されています。(参考:国立障害者リハビリテーションセンター『発達障害者支援センター』)
一般的には、特に「まだ発達障害かどうかがはっきりしない方」や「発達障害に対する福祉サービス全般について知りたいという方」にオススメです。具体的な支援内容は自治体ごとに異なります。
確定診断がなくても、発達障害の可能性がある方であれば、窓口での相談が可能です。
特に、精神保健福祉士や社会福祉士などが在籍している場合は、より「発達障害に特化したサポート」を受けられる点が強みです。
お子さんが就職を考える年齢になったときには、ハローワークなどの関連機関と連携して、就職・求人に関する情報提供なども行っています。
支援機関②障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターでは、就業及びそれに伴う日常生活上の支援が必要な障害のある方に対し、センター窓口での相談や職場・家庭訪問などを実施しています。
特に、社会生活に伴って就労に関する悩みを抱えている方にオススメです。
当事者の身近な地域において、就業面と生活面を一体に捉えた相談と支援を行っています。厚生労働省の資料によると、2023年4月時点で337センターが設置されています。
障害者就業・生活支援センターの特徴は、就労だけでなく、金銭管理などの経済面や住居のことまで、多岐にわたって相談できる点にあります。
興味のある方は、お近くの事業所にご相談ください。
支援機関③発達障害に理解がある塾
「発達障害に理解がある塾や家庭教師」「発達障害の子の指導実績がある塾や家庭教師」もあります。
こちらは、特には小・中・高校生年齢のお子さんにオススメです。
特に個別指導を実施している塾では、手厚いサポートを受けられるでしょう。その子の特性に合わせた学習方法を実施しやすいですし、きめ細やかな面談・相談も可能であることが多いからです。
また、高校受験や大学受験などの節目には、お子さんの特性やこだわりを考慮しながら具体的な進路を一緒に探せるなど、学習塾ならではの専門的な相談も可能です。
学校生活だけでなく、学業の面でも不安があるという親御さんは、発達障害の指導実績がある塾に相談してみてはいかがでしょうか。
私たち、キズキ共育塾もその一つです。気になるようならお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。
私たちキズキ共育塾は、発達障害のある人のための、完全1対1の個別指導塾です。
生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。
発達障害のお子さんがいる親御さんの困りごと6選
発達障害のお子さんがいるがいる親御さんは、どのような困りごとを感じやすいのでしょうか?
この章では、親御さんが比較的抱えやすい困りごとを紹介します。
なお、あくまで例であり、「よくある困りごと」は他にもたくさんあります。
「悩んでいるのは自分だけではない」とわかると、「効果的な対応策をいろんな人と一緒に考えられる」「すでに対応策があるかも」などと思えて気が楽になると思います。
困りごとの相談先は必ずあります。困りごとを親御さんだけで抱え込まず、相談先を探して話をしてみることをオススメします。
困りごと①誰に・どこに相談してよいかわからない
1点目は「誰に・どこに相談してよいかわからない」という悩みです。
発達障害の相談先は、こちらで解説したとおりたくさんあります。
まず、確定診断がある場合でも、「いざ自分の子どものこと」となると、「本当に相談していいのだろうか」などとためらうこともあるのです。
また、「この困りごとは子どもの性格によるもので、発達障害は関係ないのではないか」と思ってためらうこともあるようです。
次に、お子さんの発達障害について確定診断がない段階、病院に行ったこともない段階の親御さんは、「病院に行くべきか、学校の先生に相談するべきか」と迷うケースも多いようです。
さらに、お子さんが病院で検査を受けた結果、確定診断が出なかった場合、「発達障害についての支援団体に行ってもよいのだろうか」と悩むこともあります。
実際に、障害者手帳が必須な支援など、確定診断がないと利用できない支援はあります。
ですが、発達障害者支援センターのように、確定診断がなくても相談可能なところはたくさんあります。
発達障害の確定診断があってもなくても、またその困りごとが発達障害に関係するかどうかが不明でも、相談先はあります。
まずは、自治体の障害福祉を担当する部署・窓口、学校の先生、発達障害の支援機関、医師などに、困りごとをお伝えください。
その相談先で悩みを解決できることもありますし、他にふさわしい相談先を紹介されることもあります。
困りごと②発達障害のことを子どもにどう伝えればよいかわからない
2つ目は「発達障害のことを子どもにどう伝えればよいかわからない」という悩みです。
お子さんの年齢によっては、発達障害について噛み砕いて説明をしても、理解することはなかなか難しいかもしれません。
発達障害であることが理解できたとしても、自分が発達障害ではない子とは異なる特性があることに、少なからずショックを受けるお子さんもいるでしょう。
受け止める側であるお子さんへの気遣いゆえに、「どのタイミングで伝えるのが適切かわからない」と悩む親御さんは少なくないようです。
発達障害のことをお子さんに伝える方法については、こちらで解説しています。
困りごと③子どもが言いつけを理解したり守ったりしてくれない
3つ目は「言いつけを理解したり守ったりしてくれない」という困りごとです。
発達障害に限らず、親御さんの中には、お子さんが言いつけを守らないことに困っている人もいるでしょう。
特に、小学校高学年から中学生の思春期のお子さんは、「第二反抗期」とも言われるように、「言いつけは理解しているけれど聞き届けてくれない」ことが多いかもしれません。
しかし、例えばASDのように、コミュニケーションに困難を抱える特性がある発達障害の場合は、そもそも言いつけを理解していない可能性があります。
また、特にADHDの傾向が見られる子どもは、「脱いだものは洗濯機に入れなさい」といった、家庭内では一般に口にされるような言いつけであっても、「整理整頓が苦手」という特性ゆえに、なかなか守ることができないケースが考えられます。
このように、お子さんの発達障害の特性によって、「言いつけを理解したり守ったりしない」という状況に悩む親御さんもいます。
困りごと④発達障害の特徴・特性の理解が難しい
4つ目の困りごとは「発達障害の特徴や特性を理解することが難しい」ということです。
発達障害のあるお子さんは、その特性から、ものの捉え方や感じ方が発達障害のない人と違うことがあります。
そのため、発達障害のない親御さんにとって、お子さんの感覚や行動などへの理解が難しいのは、仕方のないことなのです。
最近は、発達障害について知られるようになってきてはいるものの、ネットの情報や書籍だけで理解しようとするには、限界がある場合もあります。
そのため、こちらで解説した発達障害のある子どもを持つ親のコミュニティ「親の会」への参加や、こちらで解説した発達障害のある子どもに対する効果的な親としてのスキルを学べる「ペアレントトレーニング」に参加することがオススメです。
発達障害への理解を深められることはもちろん、専門家からのアドバイスをもらえたり、親御さんの悩みや困りごとを聞いてもらえたりします。
「親である私が何とかしないと…」と困りごとを抱え込まずに、さまざま機会を積極的に活用してみてください。
困りごと⑤子どもの支援をどう進めたらよいかわからない
5つ目は、「子どもの支援をどう進めたらよいかわからない」ということです。
発達障害のあるお子さんを支援したいと思っていても、「何をすればいいかわからない」「どんな支援が効果的なの?」と悩み、なかなか支援ができないという親御さんは少なくありません。
発達障害のある子どもに対する支援方法の一般論は、ネットや書籍で見つけられると思います。
ですが、「あなたのお子さん」に合った適切な支援は、発達障害に詳しい専門家や支援機関に相談した方が見つかりやすくなります。
また、お子さんが在籍する学校の先生やスクールカウンセラーに相談して、支援方法について一緒に考えてもらうということも可能です。
医師の診断を受けていない、発達障害のグレーゾーンであっても相談できるところはたくさんあります。親御さんが相談しやすいと思えるところに一度問い合わせてみてください。
困りごと⑥親として周囲からの理解を得るのが難しい
最後の困りごとは、「親として周囲からの理解を得るのが難しい」ことです。
次のような発達障害の特性による感覚の過敏さは、見た目には現れずはたから見てもわからないため、簡単には周りの理解を得られません。
- 長袖を着ることが不快
- 腕時計の巻きつく感覚に抵抗がある
- やわらかい食感が苦手
一つひとつは些細なことのように見えるかもしれませんが、日常生活のさまざまな部分に影響し、親御さんがお子さんの感覚過敏に振り回されることは珍しくありません。
また、こういった状況を改善するために、周りの理解を得るために説明したいと考えていても、次のような理由から説明が難しい場合もあります。
- 親であっても、子どもの感覚過敏を理解することは難しいため
- 発達障害のある子どもは、自分の困りごとを言葉にしたり周りに相談したりすることが苦手である場合が多いため
このように、「子どもの発達障害の特性を周りに理解してもらいたいけれど、上手く説明ができず理解を得ることが難しい」という困りごとを抱える親御さんは少なくないのです。
また、周囲の理解を得るためにも、子どもに周りに相談できる力を身に着けてほしいと考えているものの、「どう身に着ければいいかわからない」と悩む親御さんもいらっしゃいます。
「発達障害のことを子どもにどう伝えればよいかわからない」親御さんへ
この章では、こちらで解説した困りごとの2点目である、「発達障害のことを子どもにどう伝えればよいかわからない」という親御さんの悩みに、タイミングなども踏まえてお答えします。
また、以下でお話するタイミングについては、あくまで一般的な目安とされる内容です。
発達障害の特性、または性格や考え方などはお子さんそれぞれで異なります。そのタイミングも厳密に言うとお子さん一人ひとりで異なります。
そのため、かかりつけの医師や支援機関など、専門家の意見を踏まえた上で、お子さんにあったタイミングを見つけていただくことをオススメします。
前提:発達障害を伝えることの意義
まず、発達障害を「いつ・どう伝えるか」を考える前に、「伝えることの意義」を確認しておくことが大切です。
発達障害のある子どもは、学校などで集団行動を求められたときに、「自分はダメだ」と思い詰めて、自信を失うことが少なくありません。
「発達障害がない子ども」と同じように行動できないことが多いからです。
それを踏まえたとき、発達障害であることを伝える意義とは、以下の2点にあると言えるでしょう。
- お子さんが自分の特性をよりよく理解して、周囲の環境に適切に対処するため
- 自分の特性を受け入れて自信を持ってもらうため
発達障害を伝えるタイミング
こちらで解説した意義を踏まえると、お子さんに発達障害を伝えるのは、「発達障害の特性による困りごとや悩みを感じることが多くなってくる時期」が適切だと言われています。
その一例として、発達障害者情報・支援センターでは、具体的に以下のような節目を例示しています。
- まわりの同年代の子どもとのちがいに気づき始めた学童期
- 学業や友人関係につまずき自尊心が低下した思春期
- 進学や就職など適性に沿った進路選択に悩む青年期
- 職場での対人関係や仕事が思うようにいかない成人期
どの節目で困りごとや悩みが増えてくるかは、その子どもの発達障害の程度によっても異なります。
そのため、このような節目の時期に、「本人に最適なタイミングで」、「本人がわかる言葉で」、「本人が納得できる説明の仕方で,/」伝えることが大切です。
ここで言う、「本人に最適なタイミング」とは、「失敗が続いて過度に落ち込んだりしていない、受けいれるだけの精神的な余裕がありそうなタイミング」と言えるでしょう。
発達障害であることを伝えるときに気をつけるべき3つのポイント
実際に発達障害であることを伝えるときには、以下の3つの点に気をつけましょう。
- 普段通りの調子で話し、否定的な言い方は避ける
- 短所に見えることも長所になりうることを伝える
- 特性は生まれつきのものだけれど、成長や経験に伴って変化する可能性があることを伝える
なお、実際の診断名を伝えるときは、思い込みを避けるために、医師やカウンセラーとも相談の上、親御さん自身でも、お子さんの発達障害の内実をよく確認することが重要です。
これは、同じ発達障害という診断名であっても、その程度には個人差があるためです。診断名にこだわりすぎずに、「お子さんにどのような特性があるか」を確認して伝えるのがよいのです。
ちなみに、ASD傾向のあるお子さんなどには、特性上、口頭での説明よりも、文書や図絵の方が伝わりやすい場合があります。
そういった細かな伝え方も含めて、あなた一人で判断する必要はありません。ぜひ、かかりつけ医や支援機関の支援員に相談するようにしてください。
キズキ共育塾の発達障害のお子さんの支援事例
私たちキズキ共育塾では、発達障害の特性があるお子さんや親御さんのサポートを行っています。
ここでは、そうした生徒さんの声を一部ご紹介します。ぜひご参考にお読みください。
山田理乃さん(小学5年生)の親御さんの声
ADHDに関連して集中力が続かず、学校の授業中には本を読んだり歩いたりで、忘れ物も多いです。 キズキ共育塾は、そんな子どもをサポートする場所として、多種多様なバックグラウンドを持つ講師が多いところに魅力を感じました。実際に子どもは先生との相性がいいようで、楽しく通ってます。
柿澤三郎さん(中学校1年生)の親御さんの声
子どもの勉強面の遅れや人間関係に不安を覚えていました。キズキ共育塾は発達に特性のある生徒を多く受け入れているため、信頼できると思い入塾しました。そういう意味で、入塾にあたっての不安はありませんでしたね。。
子どもの勉強面の遅れや人間関係に不安を覚えていました。キズキ共育塾は発達に特性のある生徒を多く受け入れているため、信頼できると思い入塾しました。そういう意味で、入塾にあたっての不安はありませんでしたね。
授業を受けている教科については、少しずつではありますが、自信を持てるようになってきたようです。講師の方々には勉強面に限らず生活面についての相談もできていて、感謝してますね。
藤原一樹さん(高校2年生)の親御さんの声
ASDの特性があり、中1の2学期から不登校に。通信制高校に入学したものの通学できず、ますます勉強が遅れることに不安を感じていました。
キズキ共育塾は不登校や悩んでいる生徒に対する接し方がとても温かく、入塾を決意。決して形だけでなく親身になってくれました。
電車に乗って歩いて塾に通うということだけでも、以前の状況からは大きな変化です。
学習する意義や楽しさも感じつつあるようです。
発達障害とは?
この章では、改めて発達障害について紹介します。
①発達障害の主な3種類
2013年に刊行されたアメリカ精神医学会の定める診断基準「DSM-5」によると、主な発達障害として以下の3つを挙げることができます。
- ADHD(注意欠陥・多動性障害)
- ASD(自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)
- LD/SLD(学習障害/限局性学習症)
発達障害の特性は、程度は異なりますが、発達障害ではない人にも見られるものがあります。発達障害かどうかは、専門医だけが診断できます。
中には、診断基準を満たすほど特性が強くないことから、確定診断は下りないものの、社会生活で困りごとを抱えている「グレーゾーン」と呼ばれる人もいます。
お子さんの発達障害を疑っている方は、以下の各発達障害の特性を参照しつつ、相談機関や専門医に相談することをオススメします。(参考:村上由香『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に暮らすための本』)
②ADHD(注意欠陥・多動性障害)
ADHDは、正式名称を注意欠如・多動性障害(Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)という、発達障害の一種です。(参考:医学書院『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、田中康雄『大人のAD/HD』、岩波明『大人のADHD:もっとも身近な発達障害』)
ADHDには、大きく分けて「不注意」と「多動・衝動性」の2つの特性が見られます(特性の程度や現れ方には個人差があります)。
具体的な困難としては、以下が挙げられます。
不注意による困難
- 忘れ物や記入漏れなどのミスが多い
- 確認作業がうまくいかない
- 整理整頓が苦手で物を失くすことが多い
多動・衝動性による困難
- 気が散りやすく、貧乏ゆすりなど常に身体を動かしていないと落ちつかない
- 他人の意見に耳を傾ける前に発言したり行動したりする
- 優先順位をつけることが苦手で、場当たり的になりやすく、締切を守りづらい
ただし、後に紹介するASD・LD/SLDともに、発達障害は病気とは異なり、あくまでその特性が目立ちやすいというだけです。
日常生活などにおける「困難」は、過ごし方の工夫などで対策できますので、ご安心ください。
③ASD(自閉スペクトラム症、自閉症スペクトラム障害)
ASDとは、「自閉スペクトラム症、自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder)」を意味する発達障害の1種です。
具体的には、以下のような特性が目立ちやすいと言われています。
社会性における特性
- 場の状況や上下関係に気が回りづらく、TPOに合わせた行動が難しい
- 話を聞いていないと誤解されやすい
コミュニケーションにおける特性
- 質問の意図、身振り、比喩、冗談などを理解しづらい
- 報告、連絡、相談がうまくできない
想像力における特性
- 決まった順序に強いこだわりを見せる
- 予定が変わるとパニックになりやすい
- 暗黙のルールなど明示されてない決まりに疎い
他に、感覚過敏(光や音や刺激への敏感さが目立つ)、発達性協調運動障害(不器用さが目立つ)などの特性がある人もいます。
なお、「スペクトラム」というのは、特性に様々なグラデーションがある、という意味です。一口に「ASD」と言っても、その特性の現れ方はひとりひとり異なります。
④LD/SLD(学習障害/限局性学習症)
LD/SLDとは、「学習障害/限局性学習症(Specific Learning Disorder)」を意味する発達障害の一種です。
読むこと、書くこと、計算することなど、特定の学習のみに困難が生じます。(参考:厚生労働省「e-ヘルスネット 学習障害(限局性学習症)」)
文部科学省の定義によると、「学習障害は、その原因として、「中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない」という条件が付きます。
「読む・聞く・話す・書く・計算する・推論する」のうち、どれに困難を覚えるのかは、それぞれの特性により異なるため一概には言えません。
しかし、「特定の情報処理が難しい」という困難に共通点があります。
例えば、読字障害の場合は「教科書の文章がうまく読めない」、書字障害の場合は「文字を書いたり覚えたりすることが苦手」です。
このようなLD/SLDは、その他の発達障害に比べると、初等教育が始まる段階で症状を自覚しているケースが少なくありません。
まとめ:親御さんのサポートで発達障害のお子さんでも伸び伸びした生活を送れます
発達障害のお子さんがいる親御さんの困りごとから、発達障害を伝えるタイミング、親御さんができるサポート、支援機関までを解説してきました。
実践できそうなことはありましたか?
繰り返しにはなりますが、大切なのは、先生や医師、支援機関を適切に相談することです。
あなた一人で、あるいは親子間で抱え込む必要はありません。ぜひ、周りの専門家に相談してみてください。
あなたのお子さんの状態に即した専門家の意見を取りいれながら、これまでに解説してきたサポートを実践してみましょう。発達障害であっても、伸び伸びとした生活を送ることは充分可能です。どうか安心してください。
このコラムが、少しでも発達障害のお子さんがいる親御さんの助けになれば幸いです。
発達障害のお子さんがいる親御さんができる8つのサポート サポート①Q&A よくある質問
発達障害のある子どもにできることを教えてください。
発達障害のお子さんがいる親御さんができることとして、以下が考えられます。
- 学校の先生やスクールカウンセラーに相談する
- 発達障害に詳しい医師や支援機関に相談する
- お子さんの特性を理解して受け入れる
- 適度に休ませる
- 長所や得意なところをほめる
- 進路や進学先の準備を早めに進める
- 親の会に参加して、発達障害の理解を深める
- ペアレントトレーニングを受ける
詳細については、こちらで解説しています。
子どもには発達障害があります。どこに相談すればいいですか?
発達障害のお子さんがいる親御さんが利用できる支援機関として、以下が考えられます。
- 発達障害者支援センター
- 障害者就業・生活支援センター
- 発達障害に理解がある塾
詳細については、こちらで解説しています。