高校退学になったらどうすればいい?退学前後にできること、退学後の進路など

高校退学になったらどうすればいい?退学前後にできること、退学後の進路などを紹介

こんにちは。完全個別指導塾・キズキ共育塾ライターの糸賀貴優です。

あなたは、高校を退学しようかどうか、または退学になりそうで悩んでいるのではありませんか

どちらにしても、現時点で退学後の将来がどうなるのか、はっきり想像できている人は少ないのではないでしょうか。

はじめに、「退学になったからといって、将来に悲観的になる必要はない」ということをお伝えします。

文部科学省の調査によると、令和3年には38,928人が高校を退学しています。(出典:文部科学省「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」)

これだけ多くの高校生が退学しているということは、その後の選択肢もさまざまにあるということです

また、退学を検討していたり退学になりそうだったりしたが、結局退学しなかったという人も、大勢います。

この記事では、次のことを紹介します

  • 高校を退学になった後の進路や就職に対する影響
  • 退学前後で考えること
  • 退学になりたくないときの対処法
  • 相談機関

主には高校生の方へ向けた記事ですが、すでに高校を退学になった人や、そうしたお子さんを持つ親御さんにできることを紹介する章もあります。

高校退学に関する幅広い情報を知りたい人、退学による将来の不安を抱くあなたが、前向きな一歩を踏み出す後押しになれば幸いです。

監修 / キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
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KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

共同監修 / キズキ相談担当 半村進

はんむら・すすむ。1982年、茨城県生まれ。東京大学文学部卒。
小学校時代から転校を繰り返し、運動ができないこと、アトピー性皮膚炎、独特の体形などから、いじめの対象になったり、学校に行きづらくなっていたことも。大学に入学してようやく安心できるかと思ったが、病気やメンタルの不調もあり、5年半ほど引きこもり生活を送る。30歳で「初めてのアルバイト」としてキズキ共育塾の講師となり、英語・世界史・国語などを担当。現在はキズキの社員として、不登校・引きこもり・中退・発達障害・社会人などの学び直し・進路・生活改善などについて、総計1,000名以上からの相談を実施。

【執筆記事・インタビューなど(一部)】

日本経済新聞 / 朝日新聞EduA / テレビ東京 / 不登校新聞 / 通信制高校ナビ

サイト運営 / キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2023年7月現在、全国に10校とオンライン校(全国対応)がある。

高校退学の3種類

高校退学の3種類

高校の退学には、次の3種類があります。

  1. 自主退学:生徒側から、自主的に学校を辞める退学
  2. 除籍:学校側から、授業料未納などの事務的な理由によって行われる退学
  3. 退学処分:学校側から、さまざまな理由に基づき懲戒の一種として言い渡される退学

①は生徒側からの提案で、学校によっては「思い直すように」などと言われることもあるでしょう。
もちろん、学校から何を言われても、退学の意思が固いときは退学できます。

②③は学校側からの強制的な退学ですが、実際にそうなる前には指導や話し合いなどがあることが多いです。

また、除籍・退学処分相当の理由があったとしても、本人や学校に対する世間からの偏見などを避けるために、「自主退学をするように」と言われることもあるようです(これを「自主退学勧告」と言います)。

なお、「中退」は「中途退学」を省略した言葉です。つまり、学校を卒業する前に途中で学校を辞めることを指し、基本的には「退学」と同じ意味です

その上で、「中退」は①、「退学」は②③を意味して使う人もいるようです。

それぞれについて、その前後に行うことは後でご紹介します。

高校を退学になった後の5つのリスク

「高校を退学になったからといって、将来に悲観的になる必要はない」ということは先述しました。

とはいえ、高校を退学になった後に別の高校に進学・卒業せずに学歴が中卒のままでいると、デメリットが生じる可能性や場面があるというのも、事実です

あなたの不安を煽るつもりはなく、後の章では考えられる選択肢や方法についても紹介しています。

深刻に受け止めすぎず、まずは将来について考える一材料としてご覧ください。

高校退学に関するリスクについて、ご存知でしたら、次章「自主退学を検討している人へのアドバイス」まで読み飛ばしてOKです。

リスク①「学歴」で判断される場合がある

リスク①「学歴」で判断される場合がある

一つ目は、「学歴で判断される場合がある」ということです

ちょっときつい言葉を使うと、「学歴差別を受ける可能性がある」となります。

あなたの人柄や能力は、学歴だけで判断できるものではありません。

しかし、特に就職活動時や就職後には、「学歴」で判断されうる場面は多々あります

また、最初は気にならなくても、学歴で判断される機会が増えると、次第に「学歴にコンプレックスを感じるようになる」「自分に自信がなくなる」「何事もやる気がなくなってしまう」などが生じる可能性もあります。

ただ、もちろんそうした偏見を持たない人もいます。そして、偏見を受けたかどうかに関わらず、高校退学から学び直して高校・大学などを卒業することももちろん可能です。

学歴コンプレックスの解消法については、コラム「学歴コンプレックスを抱いている人必見!克服方法と原因を紹介」に詳しく書いています。ご興味のある人はご覧ください。

リスク②大学・専門学校への進学がちょっと複雑になる

二つ目は、「大学・専門学校への進学がちょっと複雑になる」ということ

大学・専門学校への受験・入学資格は、「高校卒業(または高校に準ずる学校を卒業)」、「高卒認定の取得」です。

つまり、高校を卒業すると、自動的に大学や専門学校の受験・入学資格が得られるということです。

逆に、高校を退学になってから大学や専門学校に進学したいなら、まずは大学受験資格の取得を目指すところから始める必要があります

そうして進学をした人は大勢いますが、高校を卒業した人に比べると、入学ルートがちょっと複雑になることは事実です(高校退学からの高校卒業・高卒認定取得については、後でご紹介します)。

仕事をしながら大学資格取得の勉強をする人の場合は、その両立についても考える必要があります。

リスク③就職の選択肢が少ない

リスク③就職の選択肢が少ない

三つ目は、「就職の選択肢が少ない」ということ

求人サイトや雑誌には、応募資格に「高卒以上」「大卒以上」を記載しているものがたくさんあります。

高校を退学すると学歴が「中卒」になるので、そうした仕事に応募することができなくなります。

加えて、「正規雇用」の求人も少なくなります

非正規雇用そのものが悪いわけではもちろんありません。

ですが、非正規雇用は正規雇用に比べて、「自由度が高く責任が重くない分、収入や雇用が不安定」といった特徴があります。

給料、福利厚生、キャリアの観点でいえば、正規雇用の方が条件はよいと言えます。

職種の選択肢を増やしたり正規雇用に就きやすくなったりするためには、「高卒以上」の学歴はあった方がいいと思います

ただし、「高卒以上でないと絶対に正規雇用にはなれない」というわけではありません。

学歴不問の職場もありますし、非正規雇用で働くうちに職場から正規雇用への転換を提案される、ということもあります。

リスク④高校在学中の友達と疎遠になりやすい

四つ目は、「高校在学中の友達と疎遠になりやすい」ということ

高校に在学している友達は、あなたの退学前と同様に、学校で顔を合わせたりして日常的に会っています。

退学後も放課後や休日に会うことはもちろんできます。ですが、「高校生活」を送る友達との間に疎外感、劣等感、寂しさなどを覚えるようになり、次第に疎遠になることがある…ということです

ただ、高校の友達と疎遠になることは、クラス替えや卒業・進学・就職などの際にも起こりえます。

疎遠になったとしても、「高校を退学になったせいだ」と思い詰める必要はありません。

また、もちろん交友関係が続くことも、退学後に別の場所で新たな友人ができることもよくあることです。

リスク⑤「何もしない期間」が長引く可能性がある

リスク⑤「何もしない期間」が長引く可能性がある

最後に、「『何もしない期間』が長引く可能性がある」ということ

何もしない期間というのは、「絶対的に悪いこと」ではありません。

長い人生の中では、何もしない期間があってもよいでしょう。

また、退学を決めた・退学になった人の中には、これまでに大変な思いをしてきて休養が必要な人もいます。

特に病気などが関係する場合は治療が最優先です。

ですが、仕事も勉強もせずに(できずに)「何もしない期間」だけが延びていくと、「次の一歩」に踏み出すまでに時間や手間が増えることもあります

それも「悪いこと」ではありません。しかし、次第に将来に不安や焦りを抱く人がいるのも、また事実です。

後述するように、いろんな人にも相談しながら、また、体調なども検討しながら、「退学になった後のこと」を考えておきましょう。

自主退学を検討している人へのアドバイス

この章では、自主退学を検討している人に向けたアドバイスをお伝えします。

大前提として、自主退学の手続きは、学校ごとに書類の書き方や提出方法などが異なります

実際に自主退学をするときには、在籍している高校の先生に方法を確認しましょう。

また、あなたが「自主退学するしかない」と思う事情があったとしても、人に相談すると退学しなくてもいい方法が見つかる可能性もあります

自分だけ、家族だけで「自主退学する」と決めつけず、「その事情」に詳しい人や支援団体などを探して相談することをオススメします。

①別の高校に転校したいなら、退学・転校時期を検討しよう

①別の高校に転校したいなら、退学・転校時期を検討しましょう

別の高校への転校を考えている人は、「単位」と「在籍期間」に関連して、退学の時期について考えましょう

高校を卒業するためには、「単位」と「在籍期間」が、それぞれ基準を上回る必要があるからです。


■単位について

まずは「単位」についてお伝えします。

単位とは、「高校で必要なことを学んだ」という証明のようなものです。科目ごとに、「授業への出席回数」と「テストなどの成績」によって取得の可否が決まります(詳細な条件は学校によって異なります)。

高校を卒業するためには、法律や各学校の定めによって、一定の単位を取得する必要があります。

新しい高校に編入・転入(転校)する場合、今の学校で取得した単位も引き継ぐことができます

そして通常、その学年の取得単位(成績)は、年度末の3月半ばに判断されます。

そのため、退学時期によって単位の取り扱いが異なります。

  • 年度末(3月中旬以降)で退学する場合は、その学年の単位を取得できており、次の高校にも引き継げます
  • 年度途中で退学する場合は、その学年での単位を取得できていません

つまり、年度途中で転校すると、その学年で途中まで学んでいた科目も、新しい高校でもう一度最初から勉強して単位を取得する必要があるのです。

退学したい理由にもよりますが、年度末が近かったり、学年末まで在籍してもよかったり、単位取得の可能性が高かったりする場合は、その学年の単位を取得してから退学した方がいいかもしれません


■在籍期間について

次に、「在籍期間」についてです。

高校を卒業するためには、「最低3年間の高校在籍期間」が必要です

在籍期間も、今の学校のものを次の学校に引き継ぐことができます。

今の高校の退学から次の高校への転校の間に「どちらの高校にも所属していない日」がないなら、いわゆる「高3の3月」に卒業できます(単位の取得も必要です)。

ただ、今の高校を退学してから次の高校へ転校するまでの間に、「どちらの高校にも所属していない日」がある場合、基本的には「高3の3月」での卒業ができないのです

また、「次の高校」は、編入・転入できる時期が限定されていることがあります(4月だけ、4月と9月だけなど)。

単位同様、退学したい理由によりますが、今の高校をすぐ辞めなくても大丈夫な場合は、「次の高校への転校日」が決まってから退学届を書く(退学日を決める)ことをオススメします


単位についても在籍期間についても、詳細は、今の学校と転校を考えている学校の両方に自分の状況を確認して、いつ退学するかを決めましょう。

また、高校を退学になった後のオススメの転校先は、後でご紹介します。

②高校退学後の高校卒業は可能であると覚えておこう

自主退学後に別の高校への転校を考えていない人にも、さまざまな可能性が広がっています。

  • 就職する
  • アルバイトをする
  • 遊ぶ
  • いったん休む

どの選択肢も否定するわけではありません。しかし、前章でお伝えしたとおり、将来の選択肢を増やすためには、高校の卒業または高卒認定の取得をオススメします

今はそんな気持ちや状況ではないかもしれません。ですが、気持ちや状況が落ち着いたときのために、「高校退学後の高校卒業・高卒認定取得は可能である」ということは、覚えておいてもらえるとうれしいです。

高校を退学してからの高校進学・高卒認定試験受験を支援する塾などももたくさんあります。いつか進学・受験について検討し始めたなら、ぜひ探して、相談してみてください。
私たちキズキ共育塾もその一つです。

除籍・退学処分になりそうな人へのアドバイス

この章では、除籍・退学処分・自主退学勧告になりそうな人に向けたアドバイスをお伝えします。

①除籍や退学処分となる5つの理由

①除籍や退学処分となる5つの理由

除籍や退学処分になる理由は、主には下記の5つに分かれます。

  1. 授業料を払っていない場合
  2. 出席日数が足りない場合
  3. 学力が学校の基準に満たない場合
  4. 校則を守っておらず、指導も効果がないように見える場合
  5. 犯罪行為のうち、その学校の基準に触れるものを犯した場合

上記5つの複数が当てはまる場合もあるでしょう。

②基本的には、除籍・退学処分をいきなり言い渡されることはない

除籍や退学処分は、基本的には、前項の⑤以外では「突然、一方的に言い渡される」ということはありません。

除籍・退学処分というのは非常に重い判断です。そのため、実際に判断される前に複数回の確認や指導を行い、そうならないための方法を探したり実施したりできる学校が多いです

例えば、授業料を払っていない場合には、あなたや家庭に連絡が行きます。

家計の都合でお金を用意するのが難しいようであれば、先生と一緒に奨学金や助成金、アルバイトなどを探すことができます。

規則を守っていない生徒には、注意・指導をする際に「このままでは退学処分になるかもしれないから、気をつけなさい」と助言をする先生もいます。

退学になりたくないのなら、その時点で態度を改めることができます。

学力や出席日数が理由の場合は、生徒に補習を行う高校もあります。

現時点で退学に関する指導を受けていない場合は、「成績が悪いから退学になるかも」「出席日数が足りないからダメかも」と、変に不安になる必要はありません

すでに指導を受けていたり、具体的に「このままだと指導があるかも」と不安だったりする場合は、まずは先生に今後のことを相談してみましょう。

③除籍・退学処分が決定しそうなときも、冷静に話し合おう

③除籍・退学処分が決定しそうなときも、冷静に話し合おう

続いて、除籍・退学処分・自主退学勧告が決定しそうなときにできることについて紹介します。

先述のとおり、自主退学勧告は「先生が生徒に、自主退学をするように言うこと」、退学処分・除籍は「強制的に退学になること」です

学校から退学や除籍についての勧告を受けたときにできることは、次の2つです。

  1. 親も含めて、退学処分・除籍・自主退学勧告が本当に妥当なのかを話し合う
  2. 必要に応じて、反省して、言動や態度を改める

学校・先生・経緯次第ではありますが、自主退学勧告などを言われた場合も、「先生に意地悪をされている」などと思わず、冷静に話し合いましょう

その高校の基準に抵触している場合は、先生も「仕事」として勧告などをしなくてはならないのです。

冷静に話し合うことで、退学・除籍を避けられる場合もあります。そして、退学・除籍が決定しても、その後のことを先生・学校に相談しやすくなります

「先生も、自分のためを思って『改善するべきところ』を具体的に指摘してくれている」と考えられると、話し合いも進めやすいでしょう。

「そんなふうには考えられない」と思う場合も、冷静に話し合うことは意識しましょう。

退学・除籍・自主退学勧告に納得がいかず、話し合いもうまくできない・進まない場合は、高校退学に詳しい専門家や、学校・家族以外の第三者に相談することができます(相談相手については次項で述べます)。

また、「話し合いがうまくいかなくなってから相談する」のではなく、最初から専門家・第三者を入れて話し合うことも考えられます。

④信頼できる相談相手を見つけよう

退学についての悩みは、あなただけ、家庭だけで抱え込む必要はありません。

相談できる相手はたくさんいます。ぜひ積極的に頼ってみてください

一概に「退学」と言っても、理由、状況、あなたの希望によって、今後の選択肢が異なってきます。

そのため、具体的にこれからのことや、退学後の進路・選択肢について信頼して相談できる相手が必要です。

退学になりそうな時点から相談ができれば、より多くの選択肢を検討することができます。
退学前〜退学後ごとに詳しくアドバイスを受けることができます。もちろん、退学決定後、退学後からでも遅すぎることはありません。

以下が相談相手の候補です。

(1)学校の先生やスクールカウンセラー

あなたとの関係性次第ですが、学校の先生はあなたの学校生活を知っています。「どうすれば退学を避けられるか」「退学するなら、その後どのような進路があるか」などを具体的に相談しやすいでしょう。

(2)お住まいの市区町村が運営する、高校生年齢のための相談窓口

具体的には、市区町村役所のウェブサイトで探したり、総合窓口に電話したりすることで確認できると思います。

市区町村によっては、弁護士が参加する無料の法律相談を行っているところもあります。

(3)民間の塾・NPO・高校退学に関する支援団体

「〇〇市 高校 退学 相談」や「〇〇区 高校 中退 相談機関」「弁護士 高校生 相談」などのキーワードで、インターネット検索をすると見つかるでしょう。
私たちキズキ共育塾も、その一つです。

退学について専門的な知識や経験を持ち、親身に相談に乗ってくれる人たちを、ぜひ頼ってほしいと思います。

高校を退学になった後の6つの進路

この章では、高校を退学になった後の選択肢を紹介します。

退学直後にどういった進路がオススメなのかは、あなたが希望する進路や状況によって変わります。

その上で、あなたが大学・専門学校への進路を希望する場合や、就職の選択肢を広げたい場合は、「高卒以上」の学歴を持つことをオススメします。

前提:転入・編入・再入学について

前提:転入・編入・再入学について

はじめに、高校を卒業したい人に向けて、高校の転入・編入について説明します。

  • 転入:書類上、前の高校を退学した翌日に、別の高校に転校すること(高校に在籍している期間が連続している)
  • 編入:前の高校を退学して日が開いてから、別の高校に転校すること(高校に在籍していない期間がある)

編入の場合、高校に在籍していない期間があるため、「前の学校のスケジュールでの、3年生の3月」での卒業は、基本的にはできません。

転入と編入の違いの詳細は、コラム「『高校中退からの編入』の情報まとめー転入との違い、注意点、学校の種類など」をご覧ください。

「再入学」とは、「新しい高校に、新1年生として入学すること」ということです

すでに高校を退学になった人は、「編入」か「再入学」のみが可能です。

なお、新しい高校への編入・転入・再入学を考えている場合、可能であれば、学校見学会や相談会に参加して、実際の雰囲気なども確認することをオススメします

時期や体調によって難しい場合は、その高校のウェブサイトをよく見たり、親だけに行ってもらったり、その高校に詳しい人に聞いたりしてみましょう。

進路①全日制高校

全日制高校とは、一般的に高校と聞いてイメージされる、「平日は毎日通学して、朝から夕方まで授業を受ける高校」のことです。

現実的に、全日制高校には、高校退学からの転入・編入・再入学を受け入れているところは少ないです

退学からの高校卒業を目指す場合、後述の定時制高校・通信制高校をオススメします。

とはいえ、「全くない」わけではありません。「どうしても全日制高校に通いたい」という思いがあるようでしたら、見学や相談に行ったり、前述の相談相手に話を聞いたりしながら探してみましょう。

進路②通信制高校

進路②通信制高校

通信制高校は、高校退学から転入・編入・再入学しやすい高校です

通信制高校では、毎日登校する義務がありません。

勉強は、学校から送られてくる教材を利用して、自宅で自分で進めます。

年に何回かは、登校する必要のある「スクーリング」という日があります。

スクーリングの内容や頻度、また修学旅行や文化祭などの有無は、学校によって大きく異なります。

学校の時間割に縛られないために全日制高校よりも自由な時間が多いこと、自分のペースで勉強を進められることなどが魅力です

通信制高校の詳細は、コラム「通信制高校とは?特徴・メリット・選び方・オススメの高校などをご紹介」をご覧ください。

進路③定時制高校

定時制高校も、高校退学から進みやすい学校です

定時制高校とは、全日制高校と同じように、平日は毎日登校して授業を受ける高校のことです。

ただし、全日制高校とは授業を実施する時間帯が異なります。

定時制高校の授業時間帯は、次のように大きく3つがあります。

  1. 夜間定時制:夜の時間帯に授業を行う
  2. 昼間二部定時制:朝と昼の時間帯に授業を行う
  3. 三部生:朝・昼・夜の時間帯に授業を行う

多様な年齢層が通っていること、毎日登校するために「いわゆる高校生活」を送れることなどが魅力です

定時制高校の詳細は、コラム「定時制高校ってどんなところ?定時制出身の私が紹介する、定時制のリアル」をご覧ください。

進路④高卒認定

進路④高卒認定

次に、高卒認定について説明します。

高卒認定とは、文部科学省が実施する「高等学校卒業程度認定試験」のことで、高認などとも呼ばれています。

合格すると「高等学校卒業者と同等以上の学力がある」と認定されて、高校を卒業していなくても、大学や専門学校の受験・入学が可能になります

「大学や専門学校に進学したいけど、今からもう一度高校に入るのはちょっとな…」という人にはオススメです。

また、高校に在籍しながらでも取得することができます。

取得のためには、全部で8〜10科目の試験に合格する必要があります。(高校で単位を取得している科目については、試験が免除されます)

また、100点満点で40点取れれば合格とも言われており、進学校の定期テストや大学受験などと比べると、難しくありません

あらかじめ傾向と対策のポイントを抑え、計画的に勉強していけば、合格は近づきます。

高卒認定試験に興味がある人は、コラム「【すぐ読める】高卒認定試験とは?意外と簡単!取得のメリット・合格のポイントをご紹介」をご覧ください。

進路⑤仕事

次に、仕事をする選択肢について紹介します。

仕事をするとは、「正規雇用で就職する」以外に、フリーター、個人事業主、起業なども含みます。

仕事をすることで、「高校退学前よりも楽しくなった」と話す人もいます

お金を稼げて自立できます。また、新しい職場で新たな人間関係を築いたり、仕事に一生懸命に取り組んだりすることは、生活の充実につながります。

ただし前述のとおり、最終学歴が中卒だと、選択できる職種の幅が狭くなったり、希望する給料や待遇を得られないこともあったりするのは事実です

前述の通信制高校・定時制高校・高卒認定試験は、働きながらでも取り組むことができます。

「中卒はよくない」などと言うつもりは決してありません。しかし、「今後の選択肢」を増やしたいなら、働きながらの高校卒業や高卒認定取得について確認してみましょう

社会人の勉強を支援する塾などもたくさんあります。
私たちキズキ共育塾もその一つです。

気になる人はコラム「中卒からの就職、行きやすい5つの業界をご紹介」をご覧ください。

進路⑥ちょっと一休み

進路⑥ちょっと一休み

最後に、「ちょっと一休みする」ことについても紹介します。

「学校に行くのも働くのも、今は難しいな」と思うなら、心身ともにしっかり休みましょう

長い人生、少し休む期間があっても何も問題はありません。

時間がたくさんあるうちに、心機一転して海外に行ったり、没頭できる趣味を見つけたり、遊んだりするのもいい経験になると思います。

ただ、先述しましたが「何もしない期間」が長くなりすぎると、「次の一歩」に進むための時間と手間が多くかかることもあります

「○月まで休む期間にする」「○月からはこれをする」などの期限をあらかじめ決めておくといいかもしれません。

また、先ほど紹介した相談先は、高校を退学になった後の生活についての相談を行っているところもあります。

あなた一人で「これからどうするか」を考えず、高校中退後の生活に詳しい人に相談してみましょう。あなたの「次の一歩」も見つかりやすくなります

親御さんへのアドバイス〜お子さんの話をしっかり聴きましょう〜

親御さんへのアドバイス〜お子さんの話をしっかり聴きましょう〜

この章では、子どもが退学になりそう・退学になって心配している親御さんに向けてのアドバイスを紹介します。

親が子どもにできる一番大切なことは「子どもの話を丁寧に聞く」ことです

お子さんから「退学になりそう(なった)」と聞くと、慌てたり驚いたり、思わず怒ったりすることもあるかもしれません。

お子さんを心配するあまり、そうした行動をするのは、ある意味で自然なことかもしれません。

ですが、お子さん自身も不安の渦中にいて、今後の進路に悩んでいます

まずは、なぜ退学になりそうなのか(なったのか)のか、本人の今後の希望はどうかなどについて、丁寧に話を聞いてください。

場合によっては、先生や専門家・第三者も交えて話し合うことが必要なときもあります。

また、お子さんに対して「退学したら将来絶対後悔する」「不安定な人生になるかもしれないよ」などと不安を煽るような言葉は言わずに、この先の選択肢について前向きに話し合ってください

親御さん自身も、どういった選択がいいのか悩むこともあると思います。

先述のとおり、学校以外にも相談相手はたくさんいます。

相談機関では、お子さんだけでなく親御さん自身の不安や悩みもサポートしてくれます。ぜひ積極的に利用してみてください

高校を退学になった後に学び直し、慶應義塾大学に進学した事例

高校を退学になった後に学び直し、慶應義塾大学に進学した事例

内田和也さん(仮名)は、高校時代、勉強のしすぎによる過労からひきこもり・不登校になり、そのまま高校を中退になりました。

体調回復後、アルバイトをする中で、自分を思い直し、大学受験のための勉強を決意します。

しかし内田さんは、勉強から離れていたこともあり、高校時代に学んでいたことも忘れていました。

ですが、少しずつ基礎から学び直すことで、高卒認定の取得を経て、慶應義塾大学に合格しています。

このように、高校を退学になった後の学び直しは、十分に可能です。

あなたも、「高校を退学になったら、もう将来がない…」などと思い詰めないでください。
何度も繰り返すとおり、ぜひ「高校退学後のこと」に詳しい人・団体に相談してみましょう。「あなたのための『次の一歩』」がきっと見つかります。

内田さんの退学・学び直しの経緯の詳細は、体験談「高校中退からの大学受験。ひきこもりを経て慶應義塾大学に合格できた」をご覧ください。

まとめ

まとめ

高校を退学になりそうなときや退学になった後に考えること・できることについて紹介しました。

高校退学前後には、さまざまな選択肢・方法があるとおわかりいただけましたでしょうか。

退学になりそう、退学になったからといって、必要以上に将来を不安視しなくても大丈夫です。

一人で悩まずに、先生、親御さん、相談機関などを利用してみましょう。あなたのための「次の一歩」が見つかります。

このコラムが、高校退学で悩んでいる人の参考になったなら幸いです。

さて、私たちキズキ共育塾は、お悩みを抱える人のための個別指導塾です。

生徒さんには、高校を退学になってから別の高校に転校した人や、高卒認定を経て大学受験を目指す人も大勢いらっしゃいます

無料相談も承っております。ご相談いただければ、あなたのための具体的なお話ができると思います。

キズキ共育塾の概要をご覧の上、少しでも気になるようでしたらお気軽にご相談ください。親御さんだけでのご相談も承っています。あなただけでは相談しづらい…と思う場合は、親御さんにも声をかけてみてくださいね。

/Q&Aよくある質問

自主退学についてのアドバイスはありますか?

一般論として、次の2つが大切です。(1)別の高校に転校したいなら、退学・転校時期を検討する、(2)高校退学後の高校卒業は可能であると覚えておく。詳細はこちらをご覧ください。

除籍・退学処分についてのアドバイスはありますか?

一般論として、次のようなことが大切です。(1)学校や親とは、冷静に話し合う、(2)信頼できる相談相手を見つける。他のアドバイスも含めて、詳細はこちらをご覧ください。
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