中卒からの就職 行きやすい業界を解説
中卒後、就職しようと思っていませんか?
「絶対に働く!」とまでは思っていなくても、
- 中学卒業後のことが決まっていない。
- 高校に進学するかどうか迷っている。
- 高校に進学する意味がわからない。
- 中学卒業後は働き始めようかなと思っている。
といった状況だと、「中卒で就職できるのか」という不安もありますよね。
結論から言いますと、中卒からの就職・自立は、不可能ではありません。
ただし、高卒・大卒・専門卒などと比べて選択肢が狭くなるのは事実です。
また、「働きたいから高校には行かない」と思っている人には、「働きながら通える高校」という選択肢もあります。
中卒と高卒などでどのように選択肢が変わるのかを理解して、自分の将来を考えることが大事です。
この記事を読んで、周りの人やくわしい人にもしっかり相談して、あなたにとって一番幸福な選択肢を選びましょう。
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目次
中卒からの進路は?高卒と比較して紹介
中卒の場合、進路がどうなるのか気になりますね。
「中卒では将来が心配」という声もよく耳にします。
この章では、中卒の進路を高卒などと比較して見ていきましょう。
実は高卒と中卒では平均年収の差は少ない
厚生労働省の賃金構造基本統計調査の、2018年(平成30年)のデータを紹介します。
カンタンに言うと、いろいろな産業の、学歴別・年間平均給料です(詳細は、厚生労働省のウェブサイトに載っています)。
- 【全学歴】年間306.2万円、月間約25.5万円
- 【大卒・大学院卒】年間371.6万円、月間約31万円
- 【高専・短大卒】年間281.2万円、月間約23.4万円
- 【高卒】年間266.1万円、月間約22.2万円
- 【中卒】年間248.7万円、月間約20.7万円
中卒の平均給料は、他の学歴と比べると低いことがわかります。
さらに、「全年齢」の平均ですので、中学を卒業した直後(就職した直後)の給料だと、もっと低いと言っていいでしょう。また、上記の金額からは税金などが引かれるので、実際にもらえる金額ももっと少なくなります。
とはいえ、高卒の平均給料と比べると、一か月あたりの差は、1.5万円とそんなに大きくありません。
あくまで「職についている人の平均値」ですが、まずは「中卒だと、他の学歴よりも給料が低いことが多い」、とはいえ「中卒と高卒で給料が大きく違うことはない」とご理解ください。
中卒と高卒以降で違うのは「正規雇用率」
中卒と高卒以降で異なるのは、正規雇用率です。
厳密な率の差は不明ですが、例えば求人サイトを見てみると、正規雇用の応募条件が「高卒以上」「大卒以上」であることが珍しくないとがわかるでしょう。
もちろん、「正規雇用がいい」「非正規雇用は悪い」と言うつもりはありません。
ですが、「中卒での就職は、選択肢が減る」ということは覚えておきましょう。
とはいえ、「中卒では正規雇用が無理」という話でもありません。
中卒からの正規雇用を募集している会社もあります。また、最初はアルバイトや派遣で働いて途中から正規雇用になったり、実績を積んだり資格を取ったりしてから自分で会社を立ち上げるなども可能です。後でくわしく紹介します。
中卒で就職するデメリットとは
中卒と高卒で年収がさほど変わらないとはいえ、中卒での就職にデメリットがあることは事実です。
あなたを不安にさせるつもりはありませんが、「事実」はしっかり認識しておきましょう。
以下、くわしく見ていきましょう。
デメリット①中卒の正規雇用率は低い
先ほどもお伝えしましたが、特に中卒直後の正規雇用率は低いです。
アルバイト、パートタイム、派遣社員、契約社員などの「非正規雇用が悪い」という意味ではありません。
一般論としては、非正規雇用のメリットには、次のようなことがあります。
- 時間が自由
- 採用されやすい、辞めやすい
- 好きな仕事を掛け持ちできる
- 嫌いな業務を担当しなくてよい
しかし、一般論としては、正規雇用の方が収入=生活が長期的に安定しているということも事実ですの。覚えておきましょう。
デメリット②中卒では取れない資格がある
中卒では取れない資格やなれない職業があります。。
例えば、美容師になるには美容師国家免許が必要です。国家免許の取得のためには専門学校などで学ぶ必要があり、専門学校入学のためには高卒資格または高卒認定の合格が必要となるのです(高卒認定については、後でご紹介します)。
保育士、教員、調理師など、多くの「資格が必要な職業」でも同じことが言えます。
もちろん中卒で取れる資格もありますので、具体的になりたい職業があるのであれば、中卒で大丈夫かを確認しましょう。
デメリット③学歴差別が存在する
残念ながら、学歴差別は現実的に存在します。
中卒というだけで「ダメな人」「変わった人」と見てくる人は、いるのです。
そうした人がいる職場では、面接でしっかり受け答えしても採用されなかったり、仕事をきっちりこなしても昇進できなかったり、日常的に嫌なことを言われたりすることもあるでしょう。
もちろん、学歴差別は「する方が悪い」のであり、本来はあなたが気にする必要はありません。
ですが、「嫌なことを言われる・される可能性がある」ということは、現実的には考えておいた方がよいでしょう。
一方、あなたの味方も必ずいます。
ですので、「自分は悪くない」という気持ちをしっかり持ち、味方を見つけるように心がけましょう。
中卒から行きやすい業種・職業をご紹介
中卒のデメリットについてはご理解いただけたと思います。
ここからは、中卒から行きやすいと言われている業種・職業を紹介します。参考にご覧ください。
もちろん紹介する例以外にも候補はあります。逆に「この業種なら必ず中卒でなれる」というものでもありません。
求人情報は、景気や地方によって、大きく異なります。
中卒からの就職を考えているのなら、なりたい職業ややってみたいこと、逆にやりたくない仕事について、調べてみたり、学校の先生・周りの人・就職エージェントに聞いたりして、具体的に調べてみましょう。
また、公務員以外は、「最初はアルバイトで入って、働くうちに正社員になる」ということも考えられます。気になる職場があれば、「そういう例・可能性はありますか」と聞いておきましょう。
①公務員
中卒でなれる公務員もあります。
市役所の職員などの地方公務員、警察、自衛官、消防官などは、学歴は関係ありません(各職業内の応募可能職種には制限があります)。
ただし、面接以外に公務員試験があるため、試験対策も必要になります。
また、「18歳以上から応募可能」などの年齢制限がある場合もあるため、中卒後すぐになれるとは限りません。
そして、採用試験では、事実上「高校レベル」の内容を問われることも珍しくありません。
くわしくは、それぞれの役所などに確認してみましょう。
珍しい例として、中卒後すぐに入れる「陸上自衛隊高等工科学校」があります。無条件で入れるわけではなく、受験はあります。
同校に入学すると、普通の高校と同じ内容と自衛隊として必要な内容などを学べる「学生」になるとともに、給料をもらえる「国家公務員」にもなります(詳細は同校のウェブサイトをご覧ください)。
このように、中卒から公務員を目指すという道があります。
②力仕事
中卒から力仕事を目指すという選択肢があります。
力仕事とは、次のような職業です。
- 工場
- 大工などの建設業
- トラック運転手
- 介護職
- 新聞配達
- 農業・漁業
- 林業
- 畜産業
体力が必要な仕事では、若い人間が重宝されます。
また、これらの仕事には、普通の昇給に加えて、仕事量に応じて賃金が高くなるという特徴もあります。
力仕事を目指すには、ハローワークや求人サイトから応募するのが主な方法です。
こちらも求人サイトによる求人もありますが、農協(JA)や漁協が仲介している場合もあるので、気になる場合は尋ねてみましょう。
ただし、「若い人が採用されやすい」ということは、年を取ると若いとき同様の量をこなせなくなる懸念がある、ということでもあります。
働きながら、「体力が減ってきたときにどうするか」も考えておくとよいでしょう。
このように、中卒から体力を使って働く仕事の選択肢があります。
③サービス業
サービス業も、中卒の選択肢となる業種です。
わかりやすい例で言うと、次のような職業です。
- 飲食店の店員(ホール・キッチン)
- スーパーや各種ショップの店員
- ガソリンスタンドのスタッフ
- 遊園地のスタッフ
- ネイリスト
サービス業の就職は、ハローワークや求人サイトから応募して選考を受けられますし、店舗に求人の張り紙をしていることもあります。
会社によっては「高卒以上」を応募条件にしているところもありますが、学歴が関係ないところも珍しくありません。
このように、サービス業での就職は比較的間口が広いと言えます。
なお、飲食店の中でも、俗に「水商売」と言われるお店については、18歳以上でないと働けないので中卒後すぐには働けません。
④IT職
IT職も、中卒で選べる選択肢です。
具体的な業種は、次のようなものがあげられます。
- Webライター
- エンジニア
- Webデザイナー
- Webマーケター
こちらも、ハローワークや求人サイトから希望する会社に応募して選考を受けられます。
IT職は技術職的側面が強く、学歴よりも成果物が重視される傾向にある業界です。
ただし、IT業界では、単に「高卒」「大卒」といった肩書のことではありません。「高校や大学で専門のスキルを学んだ」という意味での学歴が必要になることはあります。
それに代わるものとして、高校・大学には通っていなくても、独学でアプリやHPなどをつくった実績などが必要になることもあります。
自分の成果を伝える力が求められる業界でもあるので、学校とは違った勉強が求められる業種とも言えるでしょう。
⑤営業職
営業職も中卒で比較的選びやすい業種です。
営業職とは、カンタンに言うと、「商品を売る仕事」です。
自分の会社の製品や仕入れた商品を、個人や会社に販売するための方法を考え、実行していきます。
例えば、マンション販売の不動産や、雑誌やウェブなどの広告業界があります。
営業職は実力主義が多く、入社にも出世にも学歴が関係ない会社も多くあります。
ただし、そういった会社は体育会系なことも多く、また厳しく成果を求められることもあります。
結果を出すことに面白さを感じる人であれば、向いている職業と言えるでしょう。
共通して、「勉強」が必要になることもあります
ご紹介した職業は、「中卒」からなりやすい職業ではありますが、と言って、中学卒業後の勉強が不要というわけではありません。
わかりやすい例を言えば、農業を行う場合、作物の育成には「理科」の分野の知識が中学校レベル以上で必要な場面もあるのです。
警察官になったなら、法律などの知識が必要になります。
「中卒後は働く」と決めている場合も、次の章を参考に、「働きながら高校に通う」といったことも考えてみましょう。
中卒で選べる選択肢は就職だけではない
中卒後の選択肢は、「正規雇用としての就職」だけではありません。
ご紹介した職業には、年齢制限や必要な資格(運転免許など)があってすぐに働けないものも含まれています。
なので、年齢制限のある職業を目指すとしても、年齢が制限に達するまでに何かをして暮らす必要があるのです。
また、正規雇用で就職したとしても、「働く」以外にできることもあります。
ここからは、中卒で選べる、正規雇用就職以外の選択肢を紹介します。
そして、次の選択肢の中でも並行して行うことも可能です。
①アルバイトをする
アルバイトをしながら勉強するというのも1つの選択肢です。
学歴自体は中卒でなれる職業でも、年齢制限が理由ですぐになれない場合があります。
なので、年齢制限のある職業に応募できる年齢になるまで、アルバイトをしながら必要な勉強をするという選択肢もあるのです。
アルバイトの場合は、「学歴」を問われることは多くありません。
例えば、警察官になりたい場合は、大工など体力職のアルバイトで体を鍛えながら勉強に励むという選択肢もあるでしょう。
②学校へ行く
「高校に行く意味がわからない」「高校に通う学費がない」「中卒後はすぐに働きたい」などと思っているかもしれませんが、高校へ行くという選択肢も検討してみましょう。
なぜなら、前述したとおり、中卒後すぐでは年齢制限で就職できなかったり、学歴は中卒でOKでも採用試験で高校内容のことを問われたりする場合もあるからです。
また、勉強に限らず、高校で学ぶことや「高卒」という学歴そのものは、将来の選択肢を広げます。
なお、「働きたいから、仕事と高校を両立するなんて無理だよ…」と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
高校というと、「朝から夕方まで授業がある高校(=全日制高校)」のイメージが強いかもしれませんが、高校にはそれ以外のタイプもあるのです。
午後や夕方から授業を行う定時制高校や、学校に通わず学校から送られてくる教材や課題で勉強する通信制高校であれば、アルバイトや就職と同時に勉強しやすいでしょう。
中卒後すぐではなく、いったん働き出した後で通うことも可能です。
定時制高校についての詳細は、コラム「定時制高校ってどんなところ?定時制出身の私が紹介する、定時制のリアル」をご覧ください。
また、「高校に通う」のではなく、「高卒認定試験に合格する」という選択肢もあります。
高卒認定試験に合格すると、「高卒」の学歴が必要になる大学や専門学校の受験・入学が可能になり、一部の公務員試験や民間の採用試験でも「高卒」とみなされて応募が可能になります。
高卒認定試験の詳細については、コラム「【すぐ読める】高卒認定試験とは?意外と簡単!取得のメリット・合格のポイントをご紹介」をご覧ください。
まとめ
中卒後の進路についてご紹介してきました。
「中卒なんてダメだ!」「高校には絶対に行くべき!」とは言いません。
中卒からの就職や自立は、もちろん可能です。
ですが、ご紹介してきたように、「中卒だと、他の学歴に比べて給料が低い傾向にある」「中卒だと、選択肢が狭まる」といった、「中卒ならではの不利なことがある」ことは事実です。
「自分は絶対に中卒で働く!」「絶対に高校には行かない!」とあなただけで決めつけず、この記事も参考に、なるべく多くの人に相談してから中卒後のことを考えましょう。
なお、卒業後のことが決まらずに中学を卒業しても、その後高校に入学したり、就職先を探したりすることは可能です。
これからの選択肢」は、意外とたくさんありますよ。
この記事があなたの将来に役立ったなら幸いです。
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