中学校でも留年はある?公立と私立それぞれをわかりやすく解説!

中学校でも留年はある?公立と私立それぞれをわかりやすく解説!

2019年10月21日 月曜日 投稿

中学校でも留年はある?公立と私立それぞれをわかりやすく解説!

不登校の中学生の人の中には、「欠席が多い自分は、中学で留年するのではないか」と心配している方がいるのではないでしょうか

中学校に留年制度があるのかどうか、やはり気になりますよね。

そこで今回は、中学校での留年について、全体像をわかりやすく解説していきます。

結論から言えば、次のとおりです。

  • 公立中学校では、基本的には留年はない
  • 私立中学校では、成績や出席日数によっては留年の可能性がある

それぞれどんな事例があるのかまで紹介していきますので、不登校で不安になっている方はぜひ読んでみてください。

公立の中学は、基本的には留年はない

公立の中学は、基本的には留年はない

まず、公立の中学校では基本的に留年はありません

これは日本が「年齢主義」という考え方をもとにして義務教育を行っているからです。

後でくわしく説明しますが、年齢主義とは「学生の年齢と学年をそろえること」をいいます。

だから出席日数が少なかったり成績が悪かったりしても、基本的には進級・卒業できるわけですね(飛び級がないのも同じ理由によります)。

「不登校だと、ずっと中学を卒業できないのではないか…」という不安に悩む必要はありません。

公立の中学の例外的な留年について

ただし、公立中学校でも、「例外」として留年することはあります

不登校や入院で欠席日数が多い場合などに、学校(校長)から、「留年しますか?」と確認を受けることがあるのです。

この確認を受け入れると、留年となります

ただし、中学校関係者に話を聞く限り、実際に留年を選ぶ人はとても少ないようです。

留年を強制する仕組みは、事実上ないと言っていいでしょう。

逆に、生徒(や家族)の側から、「出席日数が少なくてきちんと勉強できていないので、留年したい」と相談する場合も考えられます。

こちらも、「相談したら必ず留年できる」というわけではなく、むしろ留年となることは現実的に極めて少ないようです(後ほど、事例を紹介します)。

留年の正式名称「原級留置」と、その決定方法

留年の正式名称「原級留置」と、その決定方法

これから留年の仕組みをわかりやすく解説していきますので、ひとつずつ確認していきましょう。

留年のことを、公式には「原級留置(げんきゅうりゅうち)」と言います

普段使っている留年や落第という言葉は、学校制度上ではこの原級留置という言葉に置き換えられます。

学校には、学生に「出席日数が少ない」など何らかの事情がある場合、その学生を原級留置にするかどうかを先生たちが検討する仕組みがあります

この原級留置にするかどうかを決める会議のことを、「進級判定会議」や「卒業判定会議」などと呼びます。

会議の名前は学校によって多少異なりますが、判定会議で留年を決めるという流れは中学校だけでなく、小学校や高校でも同じです。

この判定会議で、対象となる学生が進級・卒業していいかどうかということが議論されるわけですね。

判定会議は、通常学年末に行われます。

しかし、前にも述べたように現在の公立中学の教育は年齢主義がベースになっているため、基本的には原級留置(留年)になることはありません(例外は、先述のとおり学校から「留年しますか」と聞かれて「はい」と答えたときです。留年を強制する仕組みはありません)。

日本は「年齢主義」があるため、公立中学留年がない

ご紹介してきたように、公立中学校で留年が(ほぼ)ない理由は、日本の教育の「年齢主義」によるものです。

年齢主義とは、学習者の年齢と学級をそろえようという考え方です

現在の日本のように、小・中学校の義務教育にて年齢主義を採用している場合、同じ学年に同じ年齢の生徒が集まることになります。

「同じ年齢」とは、同じ学年の生徒同士の生年月日に1年以上の差がないということです。

そのため、学力や出席日数に大きな差があっても、同い年の人たちが同じ学年にいることになり、基本的に留年がない仕組みになっているわけですね。

年齢主義を採用していない国では、公立の中学校でも留年する場合があります。

さらに日本ではこの年齢主義が根強いので、先述のとおり、生徒や親が留年を希望したとしても学校や教育委員会が却下するというケースが見られます。

以下に、留年できなかった事例を紹介します。

留年を認めない事例:神戸市立小学校強制進級事件

留年拒否の有名な例として、1993年の裁判「神戸市立小学校強制進級事件」を挙げることができます(これは小学校のケースですが、義務教育という意味では中学と同じです)。

簡単にいうと、「いじめなどを理由に長期欠席していた児童と両親が原級留置(留年)を希望したけれど、学校側が強制的に進級させたため、それを不満として訴えた」という出来事です。

この事件でもやはり問題の中心は年齢主義でしたが、裁判所は「進級は正当」という判決をくだしています。

正当である理由としては、「留年を認めた場合、年齢によって精神年齢や運動能力、体格などに差が出てくるため、社会生活や日常生活での違和感に耐える努力が必要になり、留年を認めない場合よりも状況が悪化してしまうため」というものでした。

ひきこもりや不登校でも、年齢主義によって留年にはならない

ひきこもりや不登校でも、年齢主義によって留年にはならない

年齢主義によって、ひきこもりや不登校で欠席日数が多い場合でも、公立中学では留年を強制されることはありません。

出席日数が足りなかったとしても、進級は年齢に合わせて行われます。

ひきこもりや不登校で出席していなくても、基本的には進級・卒業するということです

不登校・ひきこもりのまま中学を卒業した人はたくさんいます。

興味のある方は「中学 不登校 卒業」といったワードでインターネットを検索してみてください。

「不登校のままでも中学を卒業できる」と安心できる一方、もしかしたら「中学校で勉強できていないから将来が不安」と思うかもしれませんね。

ですが、学び直しを支援する団体や、出席日数が少なくても進学できる高校はたくさんありますので、必要以上に不安にならなくても大丈夫です

課程主義の国は、公立中学でも留年がある

年齢主義とは反対に、学力やカリキュラムの履修状況をもとに留年を判断する考え方を「課程主義」といいます

ドイツ、フランス、フィンランドなどは課程主義を採用しているため、留年が多く見られます。

ちなみに、この課程主義は飛び級(アクセラレーション)制度とセットになっていることが多いです。

以下に挙げる教育再生実行会議の資料にも書かれている通り、アメリカでは、「学力や能力に合わせて学年を選ぶべきだ」という課程主義が留年制度と飛び級制度を支えています

もし日本の方針が変わって課程主義をとるようになったら、中学でも留年がありえるようになるかもしれません(「学校制度(学制)-諸外国と比較」教育再生実行会議資料)。

ただし、現在の日本は年齢主義が基本になっているため、結論としては公立中学では留年は基本的にはないということは覚えておいてください。

以上、公立中学校の話でした。

それでは、私立中学ではどうなのでしょうか?

私立の中学では留年の事例がある

私立中学校は、公立中学校よりも留年の可能性が若干高いです

実はこれまで解説してきた年齢主義はあくまでも「方針」であり、法的に決まっているものではありません。

だからこそ、公立中学校でも「例外」として留年はありえる、ということです。

そして、私立中学校の場合は、その「例外」の範囲が公立よりも広い傾向にあるのです(とはいえ、留年の数自体は決して多くありません)。

私立中学校の留年の主な理由は、以下の3つです。

  • 成績不良
  • 病気療養
  • ひきこもり・不登校など

全ての理由に共通して、「もう1年、しっかり学び直せる」というポジティブな見方もできるのですが、「恥ずかしい」「友達と学年が離れる」などのネガティブな印象もあるかと思います。

順に詳しく見ていきましょう。

理由①成績不良

理由①成績不良

留年の理由として、成績不良が挙げられます

判定会議では、「この学年で必要なことを身につけたかどうか」が、留年についての一つの判断材料として話し合われます。

その学年で必要な勉強を済ませていない場合は、進級・卒業に問題があると判断されると、留年になります

例えば、東京都で名門校といわれている開成中学では、1年生のころから留年措置をとられる場合もあります(出典:週刊現代「名門中高『授業についていけない子供たち』に退場勧告。」)。

玉川学園のウェブサイトにも、「学習到達度が不足していれば原級留置とします。」と明記しています(出典:「Q&A|中学部・高等部|玉川学園」)。

また、留年しても成績がよくならないときは塾通いをすすめられたり、転校をすすめられたり、といった対応をされるようです。

ちなみに開成ではありませんが、私の大学時代の友達にも成績不良のために私立中学校で留年したという人がいました。

一般的と言えるほど数は多くありませんが、私立中学では成績不良で留年する人は、一定数存在するのです。

理由②病気療養

理由②病気療養

2番目に挙げられる留年の理由として、病気療養というものがあります

厳密には、出席日数が足りていない、そして授業に出ていないために勉強もできていないという理由ですね。

私立中学では、療養や入院によって出席日数が少なかった場合に留年になる、というケースが見られます

本人や親が留年を希望して、学校が受け入れる、ということもあります。

「病気を克服し、もう一度同じ学年に在籍して、しっかり学びたい(学んでもらいたい)」といった趣旨ですね。

例えば玉川学園でのように、(病気に限らず)「欠席が著しく多い場合、学習の到達度が著しく低い場合のみ、原級留置として再度学習させます。」という方針の学校もあります(出典:「Q&A|中学部・高等部|玉川学園」)。

病気療養が理由で留年というのは、私立中学では往々にしてあるということがわかります。

なお、保健室登校は「登校」にカウントされることがありますので、気になる場合はご自身の中学校がどういう仕組みなのか、確認してみましょう。

理由③ひきこもり・不登校など

近年、数を増していると考えられる留年の理由として、ひきこもりや不登校による出席日数不足があります

こちらも厳密な言い方としては、欠席が多いから、そして授業を受けていないため成績もよくないから、となるでしょう。

留年したくない場合は、公立中学校への転校が考えられます

同じ学校に在籍し続けたいけれど留年しても登校の再開が難しい場合には、フリースクールやサポート校が利用できないかを検討してみましょう。

フリースクールやサポート校は、不登校など、主には学校に馴染めない人たちのための教育施設です

学校によっては、そうしたフリースクールやサポート校への出席を「学校への出席」とカウントできる場合があるのです。

カウントできる場合、フリースクールなどに通って勉強していれば、出席日数に余裕があれば留年にはなりませんし、また余裕がなくて1回は留年しても次の年度で再び留年する可能性は低くなります。

あなたの学校とフリースクールの連携について、気になるようなら確認してみましょう(必ず連携しているわけではないので、最終的には転校となることも考えられます)。

なお、フリースクールは、公立中学校に転校しても登校できるかわからないような場合や、転校先に馴染めなかった場合などにも利用可能です。

中学不登校からの高校進学については、コラム「大丈夫です。中学不登校からの高校進学」に事例付きでまとめてありますので、興味のある方はぜひお読みください。

補足:自分の状況をきちんと学校に確認しましょう

理由の①〜③に共通して、留年の判断は、基本的には学校が行います。

「テストでこの点数を取っているから自分は大丈夫」と思っていても出席日数が足りなければ留年する可能性もありますし、逆に「出席日数が足りないから自分は絶対に留年する」と思っていても成績が良ければ進級できることもある、ということです。

大事なことは、学校に自分の状況がどうなのかを確認することです

自分は留年しそうなのかどうなのかを早いうちに確認しておくことで、その後の対策も見えてきます(例:進級のための補習を受ける、転校先の学校を探すなど)

自分だけで「OKだ」「もうダメだ」などと決めつけず、必ず学校に相談するようにしましょう。

まとめ

まとめ

中学校を公立と私立にわけた上で、留年はありえるかどうかについて解説してきました。

簡単にまとめると、次のようになります。

  • 公立中学校では、基本的に留年はない。例外として、出席日数が少ない場合などに、学校からの「留年しますか」という確認を受け入れると留年になる。留年を強制する仕組みはない
  • 私立中学では、成績や出席日数によって留年することがあるが、多くはない

成績不良でも不登校でも、中学校は卒業できます(公立の場合はそのまま、私立の場合は転校するなどして)」。

「ずっと中学校に在籍し続けなきゃいけないかも…」という不安は持たなくても大丈夫です

とは言え、「学校に行ってないから、勉強ができていない。このまま進級・卒業して大丈夫だろうか。高校に行ったり就職したりできるだろうか」というお悩みがあるかもしれませんね。

現在は、学校に行っていない人や行けない人の勉強や進路をサポートする団体はたくさんあります

また、出席日数が少なくても進学できる高校もたくさんあります。

そうしたところを見つけられると、勉強や将来についての不安も解消できますよ。

例えば、「○○市 フリースクール」「○○県 不登校 相談」などのインターネット検索をすると、サポート団体が見つかると思います。

この記事が、中学校との向き合い方や、卒業後の進路を考えるいいきっかけになったなら幸いです。

さて、私たちキズキ共育塾は、不登校などのお悩みを抱える方のための個別指導塾です。

「中学で留年するかも…」と不安に思う状況にいる方のご相談も、これまでたくさん受けてきました。

授業では、勉強の話だけでなく、雑談や進路についての話も可能です。

少しでも気になるようでしたら、お気軽にお問い合わせください。

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