通信制高校からの就職を有利に進める5つのポイント 就職率を解説
※この記事は、主には「これから通信制高校に進学・転校する人」のために書いたものです。ただし、現在すでに通信制高校に在学している人の参考になる部分も多いです。
目次
通信制高校は就職に不利ではありません
以前は通信制への偏見があったかもしれません。ですが現在では、そういった偏見もかなりなくなっていると言えるでしょう。
通信制高校への進学者は年々増えており、令和4年度(2022年度)では238,267人となっています。(参考:文部科学省「令和4年度学校基本調査」)
「通信制高校」というものへの認知は広がり続けています。通信制に行っていたという「だけ」で就職が不利になることは少ないと思います。
実際に、全日制高校の卒業生と通信制高校の卒業生で、「就職した人」の割合はほぼ同じです(通信制高校は19.6%、全日制高校は17.2%。後でもう一度お伝えします)。
「通信制高校に行ったら人生終わりだよ」などという心配をお聞きすることもあるのですが、けっして人生終了などということはありません。
- なぜ通信制高校に進学・転校したのか
- どういったことを学んだのか、経験したのか
- これからどういったことをしたいと考えているのか
これらをしっかりと伝えられれば、採用面接も十分に乗り切れると思います。
ただし、就職後はその面接者とも一緒に働く可能性があります。面接者からネガティブな印象を感じたのであれば、そのあたりは考慮した方がよいかもしれません。
通信制高校生が就職を有利にするためのポイント5つ
ポイント①就職へのサポートがしっかりしている通信制高校に進学する
学校見学をする際には、学校の雰囲気や校風、サポート体制などをしっかり確認してみましょう。
他にも気になる点があれば、あらかじめメモしておいて学校の職員や教員に聞いてみることをオススメします。
また、卒業率や進路実績などのデータをチェックしておくことも大切です。
卒業率や進路実績などのデータは、学校側がどんなふうに生徒を指導しているか、どれだけ授業やカリキュラムが充実しているかをはかる指標にもなります。
自分の目標、卒業後の方向性としっかり合う学校を選ぶためにも大切なポイントのひとつです。
ポイント②3年間での卒業を目指す
通信制高校は全日制高校と違い、単位制の学校(自分で時間割=単位取得のスケジュールを決める学校)が中心です。
入学してすぐに、先生などと相談しながら、3年間の授業計画をしっかり立てて実行していきましょう。
3年で卒業できれば、通信制高校ならではの自己管理力、自分で計画を立て実行する能力のアピールにも使えるでしょう。
ただしもちろん、「3年間で卒業しなければ絶対に不利」なわけではありません。
面接などで「3年で卒業していない理由」を聞かれときに、合理的だったり前向きだったりする説明ができるように準備しておけばOKです。
通信制高校の卒業要件についての詳細は、コラム「通信制高校とは?特徴・メリット・選び方・オススメの高校などをご紹介」の、「通信制高校の卒業要件」の章をご覧ください)
ポイント③在学中に資格や経験を得る
通信制高校では、多種多様な学びをすることができます。以下に一例をあげますと、次のような分野について学べる学校があります。
- 語学
- スポーツ
- ゲーム
- アニメ
- ダンス
- 音楽
- ビューティ
- ネイル
- 介護
- 福祉
- 保育
- ペット関係
また、取得を目指せる国家資格としては、次のようなものがあります。(高校卒業と同時に取得できるという意味ではありません。通信制高校やサポート校・技能連携校を通じて、資格試験や大学・専門学校の進学に向けた勉強ができるという意味です。サポート校・技能連携校については後で説明します)
- 税理士
- 司法書士
- 建築士
- 理容師
- 美容師
- 調理師
- 医師
通信制高校は、学校やコースごとにさまざまな学びが用意されています。卒業後の就職のためにも、あなたの興味に合った学び・経験ができる学校を選んでいきましょう。
また、経験については、全日制高校生よりも自由になる時間が多いので、アルバイトやインターンなどであらかじめ仕事の経験を積むこともできます。
ポイント④志望理由書、面接対策などの就職対策をしっかりとする
就職対策として主に必要になるのは履歴書・志望理由書・面接対策です。
履歴書には「高校名」を書けばよく、その高校が通信制であることは書かなくてOKです。
ですが、面接時に「何を聞かれたらどう答えるか」を考えておく必要があるでしょう。
「なぜ通信に?」「通信制高校はどんなところだった?」「学校でどんな経験をした?」といったことには答えられるようにしておくとよいです。
ただ、そうした質問への回答は、大人でも1人で考えるのは難しいと思います。学校の先生やサポート校、塾などで就職指導を受けることをオススメします。
ポイント⑤就活を始める時期を知る
就活を有利に進めるにあたり、「いつから始めたらいいのか」「選考スケジュール」などは知っておいた方がよいでしょう。
厚生労働省で示されている、新規高等学校卒業予定者の採用選考スケジュールは、次のとおりです。(参考:厚生労働省「令和6年3月新規高等学校卒業者の就職に係る採用選考期日等を取りまとめました」)
令和6年(2024年)3月卒業者の例 ※スケジュールは、毎年変更になる可能性があります。 |
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ハローワークによる求人申込書の受付開始(※) | 6月1日 |
企業による学校への求人申込及び学校訪問開始 | 7月1日 |
学校から企業への生徒の応募書類提出開始 | 9月5日(沖縄県は8月30日) |
企業による選考開始及び採用内定開始 | 9月16日 |
応募書類提出は9月から始まります。
提出に向け、志望理由書や面接対策などのスケジュールを立て、準備しておいた方がよいでしょう。
志望理由書の書き方や面接対策については、指導を行っている塾などがあります。
くわしくは、「小論・面接指導などの就職サポートも行っている塾」で説明しているので、そちらをご覧ください。
通信制高校からの就職をサポートする団体など
①サポート校・技能連携校
サポート校を利用する場合、通信制高校とサポート校を両方で学びながら卒業や就職を目指す形になります。普通の塾と違う、サポート校ならではの特色は、次のような対応があることです。
- 通信制高校生ならではの、学習方法指導や進路相談
- 特定の通信制高校と提携した、その学校に合わせたカリキュラムやスケジュール
サポート校は、名前のとおり「サポート」が目的です。サポート校で授業を受けただけでは単位にはなりません。
サポート校にも特色があり、日常の勉強に加えて大学受験のサポートをしているところもあれば、ITやデザインなどの専門知識を学べる学校もあります。
特に勉強が不安な方は、進学を考えている通信制高校にサポート校があるかということもポイントになるでしょう。
サポート校の詳細は、コラム「通信制高校の『サポート校』って何?〜サポート校の概要・メリット・注意点など〜」をご覧ください。
サポート校の利用の仕方(組み合わせ例)としては、次のようなものがあります。
通信制週5日通学+サポート校週1日通学
通常、高校の学習としては週5日通学すれば十分といえるでしょう。それにプラスアルファとして大学受験などの目標がある場合に、サポート校での学力向上を狙う、といった場合に多い組み合わせ方です。
通信制週1日通学+サポート校週3日通学
通信制高校、サポート校にバランスよく通う組み合わせ方です。自由な時間も確保しつつ、学習も進めていくような形で、自由な時間をアルバイトやインターンなど、自分の興味ある活動に当てることもできます。
通信制週1日通学+サポート校週5日通学
「サポート校の方が魅力的な環境だった」「サポート校の方が自宅から通いやすい」などの理由でこのような組み合わせ方を選ぶケースもあります。最近はこのスタイルの生徒さんも多いです。
サポート校と似た学校に、技能連携校というものもあります。
技能連携校とは、通信制高校と同時に、連携している「技能教育施設(専門学校など)」に通い、両方で学ぶことができる制度です。
工業系や社会福祉系などさまざまなコースがあり、高校の勉強に加えて専門技術を身につけることができるのが特徴です。
進学を考えている通信制高校がどのような施設と連携しているか、自分に向いていそうな施設があるか、確認してみましょう。
②高卒者の就職を支援する就職サービス・就職エージェントなど
就職サービス・就職エージェントにも、さまざまな会社があります。
以下のような点に注意しながら選んでいけば、きっとあなたの希望に沿うことのできる就職サービスにつながっていくことができるでしょう。
- 高卒の方のサポート実績がある
- 高卒の方向けの求人を多く持っている
- あなたが望む業界とのつながりがある
- 担当者が親身になってくれ、あなたとの相性が合う
③小論文・面接指導などの「就職サポート」も行っている学習塾
「就活対策 学習塾」などと検索すると、そうしたところが見つかると思います。(「学習塾」ではない「就活のための塾」もあるのですが、そちらは②に含まれるイメージです)
私たちキズキ共育塾も、就活対策が可能な学習塾の一つです。実際に筆者も、小論文対策、志望理由書対策、面接対策、就職のためのTOEIC対策を授業で行ったことがあります。
キズキでは、1対1で授業を行うので、生徒さんの仕事への希望、働き方・生活に対する希望などをしっかりと反映した小論や志望理由書を作成していくことができます。
また、面接対策においても、より生徒さんの本当の思いが伝わるような言葉選びを提案させていただき、一緒に考えていくことを大切にしています。
全日制高校と通信制高校の進路データや就職率
通信制高校と全日制高校の、卒業後の進路の比較
文部科学省が実施している「学校基本調査」では、高校生の卒業後の進路をまとめています。
そちらによると、就職率はあまり変わりません。一方、全日制高校卒業者は「大学進学」が多いのに対し、通信制高校卒業者は「進路が明確ではない人」が多いことがわかります。
- 通信制高校の卒業生の、就職率:19.6%
- 全日制高校の卒業生の、就職率:17.2%
- 通信制高校の卒業生の、大学などへの進学率:18.0%
- 全日制高校の卒業生の、大学などへの進学率:55.5%
- 通信制高校の卒業生の、進路が明確ではない率:38.3%
- 全日制高校の卒業生の、進路が明確ではない率:5.4%
「明確ではない進路」としては、私たちキズキ共育塾の実感としては、以下のような方が多いような印象があります。
- 進学サポートが薄い通信制高校出身で、浪人中
- 就職サポートが薄い通信制高校出身で、就活中
- 体調的に、通信制高校の卒業まではできるが、就職・進学まではできない
すぐに就職せずに、自分の働きたい職種でアルバイトなどの形で経験を積んでいることも考えられます。
通信制高校卒業者の就職が多い業界
通信制高校卒業後に就職をした人は、次のような業界・職種についていることが多いようです。(参考:文部科学省「令和4年度「学校基本調査」)
- サービス職業従事者(宿泊業、飲食業など)
- 生産工程従事者
- 販売従事者
通信制高校の中には、専門的で実践的な内容を学べる学校も多くあります。そうした学校であれば、「就職に直結しやすい」というメリットがあるでしょう。
また、このときのデータよりも、近年の人手不足等により若い世代の就職しやすくなっていると言えます。
大学・専門学校への進学も視野に入れてみよう
どのような職業に就きたいと思っているかにもよりますが、一般に大学や専門学校を出ていた方が求人や給与などの点で有利になることは多いです。
自分の希望を無理やりに変えてまで大学に進学する必要はありません。ですが、いろんな人に相談して自分の視野を広げてみることはオススメです。
ですので、「通信制卒業後は就職したい」と思っている理由を、通信制高校に詳しい人や、高卒での就職に詳しい人に相談してみると、ひょっとすると就職以外の道も見えてくるかもしれません。
私たちキズキ共育塾でも、「通信制高校卒業後の進路相談」が可能ですので、気になるならぜひご連絡ください。
通信制高校から大学などに進学するためのポイント
では、通信制高校から大学に進学するには、どうしたらよいのでしょうか。
大切なポイントを4つご紹介します。
- モチベーションを維持する
- 大学進学のための学習環境を整えている通信制高校を選ぶ
- 情報に広くアンテナを張る
- 塾や家庭教師をサポーターとして賢く利用
「通信制高校からの大学進学」の詳細は、コラム「通信制高校からの大学進学は不利? 実際の進学率と対策・オススメ高校を解説」でご紹介しています。
情報を一人で集めたり、大学の入試方法や募集要項を一から読み込むのは大変です。ですので、大学進学向けの塾や家庭教師などをサポーターとして上手に利用しましょう。
これらは、大学受験の実績があるプロです。
私たちキズキ共育塾でも、通信制高校から大学進学に向けた受験勉強のサポートも行っています。
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まとめ〜ひとりで悩まず、サポートを活用して就職を目指していきましょう〜
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