不登校の子どもに親ができる7つの対応 子どもの不登校は親のせいではありません

こんにちは。生徒さんの勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする完全個別指導塾・キズキ共育塾です。

お子さんが不登校になると、本人同様に苦しむのが親御さんです。

筆者も高校時代に不登校となったのですが、私の親も私の将来について心配し、だいぶ悩んでおりました。

家族のあり方は多様であり、ひとくくりにして語ることは難しいものです。とはいえ、ある程度共通して語れることもあります。

このコラムでは、不登校状態にあるお子さんがいる親御さんに向けて、キズキ共育塾の知見に基づき、不登校の子どもに親ができる対応について解説します。

お子さんの不登校について、また親御さんのお悩みについて、解決の一助となれば幸いです。

共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス

不登校か否かに関わらず大切な点が書かれています

このコラムに書かれているポイントは、不登校であっても、そうでなくても大事なことです。

特に、正論で子どもを責めないという点や、家庭を子どもの居場所にするという点などは、子育ての中で見落としがちです。

お子さんが不登校になったとき、親御さんご自身に不登校に関する知識がなければ、対応を間違えることは多くあるでしょう。

学校に行きしぶりがあるお子さんや不登校のお子さんの親御さんには、ぜひ参考にしてもらいたいコラムです。

子どもの不登校は親のせいではありません

多くの場合、不登校になる子どもは、いわゆる一般的な家庭環境で育っています。逆に言うと、不登校につながりうる、何か特別な事情がある家庭で育っているわけはありません。

基本的には、親の接し方や遺伝などの要因で不登校になるわけではないのです。

「子どもの不登校は自分の責任だ」と親が思い詰めると、ますます状況を悪化させることにもなりえます。

この章では、子どもの不登校は特別なことではなく、親のせいでもないということについて解説します。

私たちキズキ共育塾は、不登校状態にある人のための、完全1対1の個別指導塾です。

生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。

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どんな家庭の子どもでも、不登校になりうる

世の中では様々な有識者が「理想の子育て」を提唱しており、参考になるものもあります。

しかし、有識者の言うとおりに完璧に子どもを育てることは不可能です。

また、どのような子育てをしても、不登校になる子もいれば、元気に学校に行く子もいます

シングルマザー(ファザー)だから、経済的に余裕がないから、きょうだいに障害があるから、両親が忙しくかまってあげられなかったから……。

そう思っているかもしれませんが、「虐待」などの一部の例外を除き、親の育て方が不登校の原因というわけではありません

もちろん、遺伝的要素のせいでもありません。

「おじいさんが非社交的な人だったから、それがこの子にも遺伝して学校で友達に馴染めず不登校になったんだ」というようなことはありません。

不登校は、どのような家庭の子どもでもなり得ます

お子さんの不登校について、親御さんが一生懸命育ててきた過程を後悔する必要はありません。

「不登校は親のせい」という考えは、親子の相互理解が足りないだけ〜子どもが「不登校は親が原因だ」と考える心理〜

「不登校は親のせい」という考えは、親子の相互理解が足りないだけ

(虐待などの例外を除き)不登校は親の育て方のせいではありません。ですが、お子さんの中には、自身の不登校を「親のせい」と考えるお子さんもいらっしゃいます

「お母さんが受験を強いたから、学校に行けなくなったんだ」
「感情的に叱責する親に育てられたから、自分はダメになったんだ」

不登校の我が子からこのような言葉を投げつけられると、親御さんは心臓に冷水を浴びせられたような気持ちになることでしょう。

子どもが「不登校は親が原因だ」と考えるのは、次のような心理によるものです。

  • 子どもは、不登校のきっかけとなった出来事や学校に行けない悩みをうまく親に伝えられない。または、相談しづらい
  • 親は、子どもが何に悩んで学校に行けないのかわからず、適切な対応ができない
  • 子どもは、適切な対応をしてくれない親に対して、自分の気持ちをわかってくれないのだと不満を抱く。そして親を責めたくなる。「親が不登校の原因だ」と思い始める
  • 親は、「お母さん(お父さん)のせいだ」と言う子どものことが理解できず、自分のことを責める

こうした経緯で、子どもは不登校を「親のせいだ」と思うようになります。

親御さん自身の気持ちもコントロールしましょう

一方、親は「自分の責任だ」と自分を責めます。

しかし、それはどちらが正しいというわけではなく、親子がそれぞれ自分の気持ちをうまく伝えられないだけなのです

これまで私がお会いしてきた不登校経験者の多くは、次のようなことを言います。

「自分の不登校について、親の対応に傷ついたこともある。でも、今にして思えば、親は自分のためを思って行動してくれていた。あのときは、親もどうすればいいのかわからなかったのだろう。親子でお互いに理解が足りなかっただけだ」

不登校でなくても、思春期・青年期の子どもは親に反抗し、親の育て方を批判するものです(ご自身の思春期を思い出しても思い当たるのではないでしょうか?)

そこに「不登校」という要素が加わると、よけいにお互いに歩み寄り理解することが難しくなるのです。

しかし、不登校を乗り越えてお子さんが成長した暁には、いずれ、「親は私を愛してくれていたんだ。お互いに理解が足りなかっただけなんだ」と理解する日が来るはずです

それでも「自分に原因があるのではないか」と不安に思っている親御さんは、コラム「不登校の子供の親に見られる傾向と、解決のために親ができること」をご覧ください。不登校の子どものお子さんに見られる傾向について紹介しています。

また、「親」というより「家庭環境」が関係する不登校は、あります。こちらについては、現在別のコラムを公開予定であり、公開次第改めてご紹介いたします。

不登校の子どもに親ができる7つの対応

不登校が親のせいではないとすると、親は不登校解決のために何をすればいいのでしょうか?

ここからは、不登校の子どもへの適切な親の対応を6つご紹介します。

なお、ここに書いている対応と異なる形でお子さんに接していても、ご自分を責めないでください

これから次第で、お子さんも、そして親であるあなたも、きっと「よりよい次の一歩」へ進めます。

まず、大前提となる2つの対応を紹介した上で、やや具体的な内容を紹介します。

対応①第三者(専門家)に相談する

第三者(専門家)に相談する

大前提の1つ目です。

子どものことを誰よりも一番に考えているのが親です。しかし、不登校は、親だけで解決することは非常に難しいものです

親だからこそ「冷静に子どもと向き合うこと」が難しい場合があります。

子どもにも、「親だからこそ言いにくいこと」もあるでしょう。

親子だからこそ、愛憎が生じたり、率直すぎる言葉で傷つけあったりすることがあるのかもしれません。

不登校のお子さんについては、第三者の冷静なアドバイス・支援が必要になります

ここでいう第三者とは、カウンセラーや支援機関など、不登校の専門家を指します。

親御さんの中には、他人に相談することや頼ることが苦手な方も多く、「自分だけで(家庭だけで)解決しなくては」「相談すると迷惑になる」とがんばってしまう方もいらっしゃいます。

ですが、親は不登校の専門家ではありません。

家族だけで抱え込まず、ぜひ、第三者の助けを借りてください

専門家は、お子さんの学校、自治体の相談窓口、フリースクール、児童精神科、民間の支援団体(私たちキズキ共育塾もその1つです)など様々あります。

まずはインターネットで「○○市 不登校 相談」「○○市 フリースクール」などで検索すると候補がたくさん出てくると思いますので、その中であなたやお子さんに向いていそうなところに資料請求や問い合わせを行うことをオススメします。

より具体的な相談先の探し方については、コラム「不登校の3つの解決策|不登校の原因・学校以外の選択肢・相談先も」をご覧ください

私たちキズキ共育塾は、不登校・中退の方のための、完全1対1の個別指導塾です。

生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。

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対応②親は親で、自分の生活を充実させる

親は親で、自分の生活を充実させる

大前提の2つ目です。

お子さんが不登校だと、心配で不安で居ても立っても居られないのが親心だと思います。

しかし、その気持ちを抑えて、親は自分の生活を充実させることにも務めてください

仕事に行ったり、友人と会ったり、趣味の活動を行ったりなど、日常を楽しんでください。

別の言い方をすると、「親御さんがお子さんにかかりっきりになることはオススメしません」となります。

不登校になった子どもにとって重要なことは、心の休養です。

ところが、親が子どもの心配ばかりして家の中がピリピリしていると、心を休めることができなくなります。

家庭がゆったりとおおらかであれば、子どもの心も楽になります。

家庭がゆったりするために必要なことは、親の気持ちが穏やかで楽しくあることです。

また、「楽しく過ごす親」の姿は、大人のロールモデルにもなります

そのために、親御さんはぜひご自分の生活を楽しんでください。

親御さんの生活の充実が、お子さんの不登校解決につながります。

いずれ子どもが不登校から「次」に進もうと思ったときには、親の力が必要な局面が出てきます。

そんなとき、親御さんの心に余裕があると、お子さんとしても親御さんを頼りたくなりますし、また、いろいろな選択肢を検討することができるのです。

対応➂「学校を休んでもいい」と伝える

ここからは、具体的な対応です。

具体的…と言っても、それぞれのお子さんに効果的な「対応」は、①の「第三者(専門家)」と話す中で明らかになります

ですので、ここからの対応は「必ずこうしなきゃ」と構えるよりも、「こういう事例もある」程度に心にお留め置きください。

具体的な対応の1つ目は、子どもの不登校を認めることです。

子どもが急に「学校に行きたくない」と言い出したら、親御さんは戸惑うでしょう。

「どうして行きたくないの?」「いじめられてるの?」と問い詰めたくなるかもしれません。「勉強に遅れてしまう」と心配にもなります。

しかしまずは、学校を休ませることが大切です。

親から「休んでもいい」と言われることは、子どもに安心感を与えます。

理由を聞くのはそれからです。

ただし、必ずしも理由にこだわる必要はありません

「不登校になった直接的な原因」と、「不登校が継続している現在の『問題』」は違うこともあるためです。

子どもの休みが長引くと、多くの親は「できるだけ早く学校に戻してあげなければ」と考えがちです。

けれども、不登校になったばかりの子どもは、「登校支援」は求めていません。

子どもはただ、ゆっくり休みたいのです。その後のことを考える余裕は、まだありません。

子どもが不登校になったら、いまは休息の時期なのだととらえましょう。

そして可能であれば、親も何日かは休みを取り、子どもと過ごす時間を作ってあげてください。

学校へ行けないことに対して、子ども自身も引け目に感じています。

親が普段通りに接し、共に過ごす時間を楽しむ様子を見せてくれることは、子どもにとってなによりの救いになるはずです。

大切なのは「学校に行く」ことそのものよりも、「子どもが元気になること」です。

いまの学校でなくとも、フリースクールや通信制高校などで学ぶこともできます。

子どもの視野を広げ、可能性を示すことが、子どもの心の回復につながります。

参考:「学校休んだほうがいいよチェックリスト」のご紹介

この記事の運営元であるキズキなどが開発した「学校休んだほうがいいよチェックリスト」を紹介します。

このチェックリストでは、学校に行きたがらないお子さんにつき、保護者さまがLINEで質問への回答を選択をしていくことで「お子さんが学校を休んだほうがよいのか(休ませるべきなのか)どうかの目安がわかります。

詳細は、学校休んだほうがいいよチェックリスト」のご紹介〜作成者インタビュー付き〜をお読みください。

使ってみたいという方は、「学校休んだほうがいいよチェックリスト」からLINEを登録し、早速活用してみてください。

対応④正論で子どもを責めない

正論で子どもを責めない

具体的…と言っても、それぞれのお子さんに効果的な「対応」は、①の「第三者(専門家)」を頼ることで明らかになります。

ですので、ここからの対応は「必ずこうしなきゃ」と構えるよりも、「こういう事例もある」程度に心にお留め置きください。

さて、不登校の子どもを見ていると、「このまま放置しては、ますます引きこもってしまう」と思い、つい正論で叱ってしまうこともあるでしょう。

しかし、正論が不登校解決に結びつくとは限りません

たとえば、キズキ共育塾には次のような生徒さんがいらっしゃいました。

事例①

朝起きられず、遅刻を繰り返していたAさんは、生活指導を度々受けていました

どうしても遅刻が治らないAさんは学校にいづらくなり、とうとう高校1年生の2学期から不登校になりました。

学校での教師のお説教を逃れたAさんを待ち受けていたのは、母親からの“正論”攻めでした。

「遅刻してでも学校に行くしかないじゃない」
「いじめられているわけでもないのに不登校なんて…そんなの甘えよ」

そうした正論を受けて、Aさんは、「自分が悪いと思っているから言い返せない。でもどうしようもない」と思い詰め、母親との接触をさけるようになりました

母親と顔を合わせないように、夜活動して昼まで寝る、昼夜逆転の生活になったのです。

こうしてAさんは不登校になる前よりも朝に起きられなくなり、学校(や社会)への復帰まで、ちょっと時間を要するようになりました。

Aさんの事例を見て、どう思われたでしょうか?

親から正論をぶつけられると、子どもは次のように思います。

  • 冷静に受け止めることができない
  • 自分のことを責める
  • 家庭に居場所がないと感じる

そして子どもは、親と距離を置こうとします。

それが、家庭が落ち着かない、(親と顔を合わせないために)昼夜逆転生活をする、親の目を過剰に気にしてのびのびと生活ができないといった状況につながります。

性格、状況、それまでの親子関係などから、不登校について「親からの正論の説教」が効果的な場合もあるでしょう。

ですが、不登校のお子さんは、「正論」に従えない自分に対してすでに深く悩んでいることが珍しくありません

「常に正論」ではお子さんを追い詰める可能性があることをご理解ください。

対応⑤同情しすぎない

同情しすぎない

正論で叱ってはいけないのなら、同情すればいいのでしょうか?

残念ながら、同情も子どもの活力を奪うことがあるのです

こちらもキズキ共育塾での事例を見てみましょう。

事例②

高校3年生のB君の父親は教育熱心。

小学校の頃から塾に通わせてB君を名門中学に入れましたが、B君は中学校で勉強についていけずに不登校になりました

母親は、不登校の息子に同情し、いたわりました。

最初はそんな母親の存在を嬉しく思っていたB君ですが、不登校でずっと家にいるうちに、母親の同情の視線をうっとうしく感じるようになりました

そのうち、カウンセラーのすすめで、好きだったピアノを習うようになりました。

しかし、ピアノも長続きしませんでした。

それは、母親の過剰な同情・心配が原因でした。

「僕が楽しくやっているときでさえ、母は心配して声をかけてくるんです。だんだん母と話すのにも疲れてきたのですが、気を遣ってくれているのがわかるから強く退けられないんですよね」

その後はどんな気晴らしもできなくなり、一日中家にこもりっきりで特に何もしない無気力な日々が続いたそうです。

母親の心遣いは、B君にどう影響したでしょうか?

B君は母親の態度を察知し、疲弊しています。

同情する側(親)は相手の心に寄り添っているつもりでも、される側(子ども)は「かわいそうだと決めつけられている」ように感じ、自尊心を傷つけられることがあるのです

そんな場合は、親子間に不信感が漂い始めます。

子どもの心に寄り添うことは大切ですが、同情のし過ぎも子どもの心をくじくことがある、ということです。

対応⑥家庭を「子どもの居場所」になるようにする

家庭を「子どもの居場所」になるようにする

家庭を子どもが「安心できる居場所」にしてください。

子どもが不登校という「挫折」から立ち直ろうとするとき、いつでも戻ってこられる安心できる居場所(足がかり、戻ってこられる場所)があると、学校に行くなどの勇気の必要な行動を取りやすくなります

ここでも、キズキ共育塾の事例を紹介します。

事例③

Cさんは、高校1年生の夏休み明け、学校に行くことを拒絶し、外出もしなくなりました。

ご両親はその理由を訊ねましたが、Cさんは決して答えませんでした

ご両親はどうにかして登校を再開させようとしましたが、Cさんの強い抵抗にあい、断念しました。

端的にいうと、Cさんの不登校・引きこもりのきっかけは「失恋」でした

「夏休み中に、好きなクラスメイトが、自分と仲のいい友達と付き合い始めた。それで二人のいる学校には行きたくなかった。外出してバッタリ会うのもイヤだから、家からも出たくなかった」ということでした。

Cさんの両親は夫婦で会社を経営していて、家庭でもいつもピリピリしていました。

なので、そのような忙しい両親に「失恋して悩んでいるなんて相談できないし、そんなことで学校を休んだなんて言えない」とCさんは言います。

Cさんの失恋については、Cさんの許可を得て、スタッフからご両親に伝えました。

ご両親は、「ちゃんと相談してくれればよかったのに」とおっしゃっていたのですが、Ⅽさんにとっては、「失恋なんか」を相談できるような家庭の雰囲気ではなかったのでしょう

「今になれば、あのとき、親に相談して気持ちを受け止めてもらっていれば、つらくっても学校に行けてたかもしれない」とCさんは言います。

なんでもかんでも親子で話し合うべきとは言いません。

ですが、「子どもが安心して戻れる場所」「何かあったときに、相談したり気持ちをぶつけたりできる場所」としての家庭はとても大切です

家庭をお子さんの安心できる場所となるよう心掛けてください。

また、お子さんの居場所の基本は家庭ですが、「学校以外の居場所はほかにもある」と伝えることも大切です。

例えば、以下のような場所です。

  1. フリースクール
  2. 教育支援センター(適応指導教室)
  3. 保健室・別室
  4. 学校内フリースペース
  5. 塾や習い事
  6. 通信制高校
  7. 不登校特例校
  8. 夜間中学

学校以外でも、勉強できる環境はたくさんあることを知ることで、お子さんの不安も和らぐかもしれません。

詳しくは、コラム「不登校中の子どもの居場所は?受け入れ施設・コミュニティを紹介 」をお読みください。

対応⑦不登校の原因にこだわりすぎない

不登校の原因にこだわりすぎない

不登校の原因を追究しても、解決につながらないことがあります。

逆に言うと、原因を解決しなくても、お子さんは次の一歩に進める、ということです

原因を知りたい気持ちはわかりますが、原因追及に向けるエネルギーを、これからの対策に向けることの方が大切です。

例えば、「先生の言葉に傷ついて不登校になった場合」を考えてみましょう。

先生からの謝罪があっても不登校が解決しないことがあり、謝罪がなくても転校からの登校再開などができることもある、ということです。

「なぜ不登校になったのか」を追求するのではなく、現状を把握し、今後の解決策に目を向けてください

ただし、病気や障害が関係している(していそう)な場合は除きます。

不登校そのものは病気・障害ではありませんが、病気・障害が関係する不登校はありますし、不登校になった結果として心身が不調になることはあり得ます。

病気・障害が関係する(かもしれない)場合は、病院や障害の支援機関をしっかり頼りましょう

不登校になった子どもの気持ち

不登校になった子どもがどんな心理状態にあるのかを知ることは、子どもの心を開く第一歩となります。

学校に行けなくなった子どもたちは、いま、どんな気持ちでいるのでしょうか。

親の目には、不登校の間は子どもの状態がどんどん悪化しているように見えるかもしれません。

子どもが部屋から出てこなくなり、口数も少なくなって、「何を考えているのかわからない」と悩むこともあるでしょう。

しかしそれは、子どもにとっては良い変化なのです。

不登校新聞の編集長、石井志昴氏の『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親にできること 』では、不登校になった子どもの気持ちの変化について、次のように解説されています。(一部編集)

学校へ行かなくなった日から、子どもの心は回復し始めます 。

不登校の子どもにとって、 最も苦しいことは、学校にあるのです。

学校に行かないことは、辛い状況から離れて心身を休める時期に入ったことを意味します。

不登校になった子どもは、ようやく危険な時期を脱したばかりです。

この時期、子どもは乱暴になったり、眠ってばかりでなまけているように見えたりすることがあります。

これは、いままでの辛い状況から脱する過程で、心から「膿を出している」時期です。

子どものペースを尊重して、見守ってあげましょう

また、感情の起伏が激しくなり、泣いたり甘えたりといった変化が表れることもあります。

感情のコントロールができず、子ども自身も苦しい時期です。

落ち着くまで、何年もかかることがあります。

親も大変な思いをすることがあるかもしれません。

しかし子どもは、これを乗り越えて初めて、気持ちの整理がつくようになるのです。

こうした子どもの変化を、家庭だけで受け止めるのは難しいことです。

親だけでなんとかしようと思わず、外部のサポートや支援団体の力を借りましょう。

また、以下の記事では臨床心理士の磯部潮氏の著作を参考に、不登校・引きこもりの子供の心理についても触れています。あわせて参考にしてください。

関連コラム:「不登校の心理|親ができる8つの行動・不登校に影響しうる親の特徴も

子どもが負担に感じやすい親のタイプとは?

繰り返すとおり、子どもの不登校は親御さんのせいではありません。

その上で、不登校と直接的な関係がなくても、「親がお子さんに好ましいとは言えない影響を与える可能性があるケース」も存在します。

不登校をきっかけに子どもへの接し方を考え直し、よりよい家族関係について前向きに話し合うことは、悪いことではありません。

ここでは、子どもが負担に感じやすい親のタイプを紹介します。

親子の関わり方を見直すことで、お子さんは「不登校の次の一歩」にも進みやすくなります

ただ、関わり方の改善も親子だけでなんとかしようとする必要はなく、サポート団体を利用した方がスムーズに進むと思います。

関連して、以下の記事でも、「不登校の子供を持つ親御さんに見られる特徴」や子どもとの接し方に関する留意点がまとめてあります。あわせてご参照ください。

関連コラム:「不登校の心理|親ができる8つの行動・不登校に影響しうる親の特徴も

子どもに対する親の距離が適切でない (過保護・過干渉)

子どもを必要以上に大切にすることを、「過保護」と呼びます。

子どもがすべきことにまで口出しし、親がなんでも決める状態は「過干渉」と呼びます。

過保護・過干渉の親は当人がすべきことまで手を出すので、子どもは「自分は何もできない人間だ」と感じ、屈辱感や劣等感を抱きます

また、親の「こうなってほしい」という願望が強すぎて、進路や将来の生き方まで決めるケースもあります。

子どもに愛情があるからこその行動が、子どもの生きる力を奪っているのです。

子どもの人生は子どものものです。

親の役割は、子どもの「自立」をサポートすることです。

過干渉については、下記のコラムもご覧ください。主には「自分の親は過干渉ではないか?」と思うお子さん向けの記事ですが、親御さん読んでも参考になると思います。

関連コラム:「過干渉な親御さんを持つあなたへ〜過干渉の見分け方と5つの対処法〜

他人の目を気にし過ぎている

子どもの不登校について、「親族や知り合いが知ったら、どう思うだろうか」という不安を抱いたり、世間体を気にしたりしたことはありませんか?

世間体を気にするのは、「ちゃんとした家庭を築いていきたい」という真面目な思いの現れかもしれません。

ですが、「子どものこと」よりも世間体を気にするのはオススメしません。

世間体を気にしすぎると、ほかの子どもができることが「自分の」子どもにできないはずがない、という親の思いを子どもが感じ取り、子どもに無理をさせてしまうこともあるかもしれないからです。

まずは親が冷静になりましょう。

ゆっくり気持ちを落ち着かせて、それが本当は誰のためなのか、考えてみてください。

高学歴または学歴コンプレックスを持っている

多かれ少なかれ、親は、自分の生き方を子どもに投影しています。

「自分のときにこうだったから」または「自分にはできなかったから」と、自分の過去の経験をもとに、子どもにとって最も良い選択肢を探すのは間違いではありません。

しかし、「自分と同じように『いい大学』を出て」「自分よりもっと良い成績を出して」などと、子どもの希望や実力を置き去りにして、自分の願望だけを優先させないようにしましょう

子どもは「親とは違う、尊重すべき一個人」です。

子どもの進路や教育方針は、子どもの個性や考えを尊重することが大切です。

望んでいない生き方を期待されることは、子どもに悪い影響を与える可能性があります。

不登校は、「親子関係をよくするきっかけ」になります

不登校の原因にこだわりすぎない

不登校で子どもが家庭で過ごす時間が多くなると、その分、親と接する時間も長くなります。

一日中目の前に子どもがいると、子どもの現状や将来について、心配や不安が浮かんでくるでしょう。

心配や不安を抱くと、どうしてもお子さんを問い詰めたり、自分の考えを押しつけたりすることもあります。

ですが、子どもが不登校となったときには、「不登校は、お子さんのことをより理解するよい機会」と考えてほしいのです

どんな親も完璧ではなく、どのような子育ても完璧ではありえません。

親と子どもが手を取り合って、手探りしながら成長していくのが子育てなのだろうと思います。

前述したように、不登校は親の育て方の責任ではありません。

「育て方が悪かったから」と変に自責する必要はありません。そして、不登校は、親子関係を見直すいいチャンスだと言えなくもありません

そう考えることによって、親子関係だけでなく、お子さんの将来をよりよい方向に変えることができるのではないでしょうか。

私たちキズキ共育塾の生徒さんの中にも、不登校をきっかけに親子がお互いのことを理解し合えるようになったという家庭は珍しくありません。

不登校の結果、親子や家族の関係を見直し、絆が深まったというご家庭も少なくありません。

不登校は、家族の向き合い方によってはプラスに変えることもできる体験であることを、親御さんにはぜひ知っておいていただきたいと思います

最後に不登校の親御さんの体験談として、「不登校の息子が本音を話せる場所と出会い、母親の私も助けられました」をご紹介します。

不登校になったお子さんにとって、家庭以外の第三者が重要であることをご理解いただける内容です。

私たちキズキ共育塾は、不登校・中退の方のための、完全1対1の個別指導塾です。

生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。

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不登校の子を持つ親のためのQ&A

この章では、不登校の定義や年代別の割合など、不登校のよくある疑問と回答をご紹介します。

Q. どれくらい学校を休むと「不登校」になるのですか? そもそも、不登校の定義とは?

A. 文部科学省では、病気や経済的理由ではなく、心理的・情緒的な理由等によって年間30日以上欠席したものを「不登校児童生徒」と定義しています。(参考 : 不登校の現状に関する認識)

上記の基準を満たすのであれば、「学校にまったく行かないわけではないけれど、不登校に含まれる」というケースもあるということです。「週に2、3回は学校へ行く」という不登校の子どもはたくさんいます 。(参考:『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親にできること』石井志昴、ポプラ新書、2021年)

Q. 小学校・中学校・高校の不登校の子どもの人数・割合を教えてください。

A.令和3年度の小学校・中学校・高校の不登校の子どもの割合 は、以下のとおりです。

年代 在籍児童・生徒数 不登校の児童数 不登校の子供の割合
小学校 6,262,256人 81,498人 1.3%(約77人に1人)
中学校 3,266,896人 163,442人 5%(約20人に1人)
高校 3,014,194人 50,985人 1.7%(約59人に1人)

(参考:「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」)

Q. 小学校・中学校・高校などの年代別に、不登校の対応が知りたいです。

A.「そのお子さん」によって、また子どもの成長とともに、適切な対応も変化していきます。

小学校低学年では(専門家のアドバイスも聞きつつ)家庭での対応が中心となることが多いようです。それ以上になると、外部のサポートも含めた家庭外での幅広い支援があるとよいでしょう。

Q. 子どもが不登校になる予兆や前兆はありますか?

A.予兆や前兆として、「体調不良」「食欲不振」「情緒不安定」「宿題が手につかない付かない」「不眠」の5つが子どもからのSOSとして挙げられますています。(参考:『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(石井 志昂著) )

特に「宿題が手につかない」は気づきにくいサインです。

単にさぼっているのではなく、別の大きな不安から、何もできなくなってしまう子どもがいるのです。

中には名前を書くことすらできなくなることもあります。

不登校になる前に、こうしたSOSを見逃さないことが、子どもを救うことにもつながるのです。

また、気持ちの不調、体調の不調が表れることもあります。

朝、起きられなくなったり、学校に関する会話が減ったりするのです。

さらに学校では、友達や先生との関係がうまくいかなくなったり、部活動に消極的になったりするケースもあります。

お子さんの様子が「いつもと違うな」と感じたら、まずは子どもの話を聞いてあげましょう

不登校の予兆・前兆については、こちらの記事もご参照ください。

関連コラム:「中学生の不登校|親が取るべき対応、親自身のメンタルの対処について

まとめ

まとめ

不登校は親のせいではありません。

お子さんが、「お父さん(お母さん)のせいでこうなったんだ」と責めることもあるでしょう。

しかし、思春期・青年期の子どもが親を責めることは、不登校でなくてもよくあることです。

親子がお互いを責め合い、自分が悪かったのではと悩むのは、お互いの理解が足りないだけです。

親御さんがご自身の生活を充実させつつ第三者(専門家)を頼ることで、お子さんは不登校の次の一歩に進めます

そして、不登校を乗り越えた日には、お子さんも親御さんの愛情に気づくはずです。

お子さんが不登校の次の一歩に進み、また親御さんのお悩みが少しでも軽くなるよう祈っています。

さて、私たちキズキ共育塾では、多くの不登校の生徒さんを支援しています。

生徒さんは、穏やかな講師と一対一で会話をしながら、高認や大学受験に向けての勉強を行っています。

ご相談は無料であり、また親御さんのみのご相談も受け付けておりますので、少しでも気になるようでしたら、ぜひ一度ご見学やご相談にいらしてください。

監修 / キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

共同監修 / 不登校新聞社代表理事 石井志昂

いしい・しこう。
1982年、東京都町田市出身。NPO法人全国不登校新聞社代表。
中学校受験を機に学校生活が合わなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から2022年まで編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた。

【著書など(不登校新聞社名義も含む)】

「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること(ポプラ社)』『フリースクールを考えたら最初に読む本(主婦の友社)』『学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』『続 学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』

【寄稿など(一部)】

AERAdot」「プレジデントオンライン」「東洋経済オンライン」「FRaU」など多数

サイト運営 / キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2024年10月現在、全国に11校とオンライン校(全国対応)がある。

/Q&Aよくある質問

不登校は親のせいなんでしょうか。

不登校は、親のせいではありません(「虐待」などの一部の例外を除きます)。どのような子育てをしても、どのような家庭でも、不登校になる子もいれば、元気に学校に行く子もいます。詳細はこちらをご覧ください。

不登校の子どもに親ができることを知りたいです。

一般論として、次のような対応があります。
  1. 第三者(専門家)に相談する
  2. 親は親で、自分の生活を充実させる
  3. 正論で子どもを責めない
  4. 同情しすぎない
  5. 家庭を「子どもの居場所」になるようにする
  6. 不登校の原因にこだわりすぎない
詳細はこちらをご覧ください。
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