
やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
このように、子どもが「教室に入れない」原因がわからず、困惑している親御さんは多くいらっしゃいます。
今日は、子どもが教室に入れない原因と、親にできることを一緒に考えてみたいと思います。
この記事を読んでわかること
このコラムをお読みいただくことで、教室に入れないお子さんの「次の一歩」につながり、親であるあなたのお悩みを減らすことができると思います。
目次
人の輪に入っていけない子や、クラスに仲のよい友達がいない子は、休み時間やグループ活動のときにどうすればいいのかわかりません。
子どもの心理
「人がたくさんいる空間が苦手」で教室に入れない場合があります。
子どもの心理
特に「保健室登校はできていても、教室には入れない」という場合には、当てはまるかもしれません。
保健室では基本的に「養護教諭と自分」の関係性で過ごしますが、教室では何十人ものクラスメイトや先生と過ごさなくてはならないためです。
教室では、次のように、いろんな場面で「人が責められる」機会があります。
繊細で、人の気持ちに過剰に共感して疲れるお子さんは、こうした場面が苦手で教室に入れないのです。
子どもの心理
感性が豊かなのはよいことかもしれませんが、共感性が強すぎる性質(HSP・HSC)が関連している可能性もあります。
HSCの詳細については、コラム「HSCって何?〜正しく理解し、お子さんの生きづらさを解消しましょう〜」をご覧ください。
クラスメイトや先生の視線が自分に向いているのではないかと過剰に気にして、教室に入れない子もいます。
子どもの心理
誰しもある程度は人の目を気にするものですが、それが過剰なタイプです。
ほとんどの場合は実際には注目されていない一方、不登校や入院などでしばらく登校できていない場合などには、実際に好奇の視線を向けるクラスメイトがいることもあります。
クラスメイトと学力的にかなりの差がついた場合、授業を受けたくないと感じ、教室に入れなくなることがあります。
子どもの心理
いじめも、教室に入れない原因となります。
いじめの例
自覚できているいじめはもちろん、自覚できていないいじめも、知らず知らずのうちに自己肯定感などを損ない、教室に行く気力をなくします。
一見すると正義・正論による行動で、「クラスのルールに従わない人は責めてもよい」などのこと。「ルールが正しい。ルールに従えない自分が悪い」と思い込んでしまう。
悪意を持った先生に「お前はバカだなあ」と言われ続けた子どもが、「自分ががんばって勉強しないから先生にあきれられているのだ。そんな自分は教室に入る資格はない」などと思い込んでしまう。
また、自分がいじめられていなくても、別の人がいじめられていることで、教室に入れなくなることもあります。
子どもの心理
いじめの原因や予防・対応については、コラム「どうしていじめは起こるの?いじめの原因と対策・予防、対応まとめ」をご覧ください。
発達障害が関係して、「学校」や「教室」に苦手意識を持っている場合もあります。
また、これまでにご紹介した心理・原因の裏に発達障害が関係する可能性もあります。
発達障害の次のような「特性」のために、教室で過ごすことが苦痛になっているのです。
音・触覚・味覚などの過敏
衝動性
コミュニケーションの困難
勉強面での困難
発達障害による上記の困難のために「変な子」「できない子」とレッテルを貼られていじめを受けるなど、二次被害を受けることもあります。
発達障害は、努力や叱責で「治る」ものではありません。
発達障害は「一見普通の子に見える」ため、親が気づかないケースも多くあります。
発達障害と学校・不登校などとの関係については、コラム「発達障害やアスペルガーって何?〜親御さんのための定義・対応・Q&A〜」をご覧ください。
家庭に子どもが傷つくような「問題」がある場合、それが「教室に入れない」という形で表面化することもあります。
家庭で子どもが傷つく例
両親の不和が不登校に影響しているケースは、少なくありません。(出典:『公認心理師の基礎と実践⑰ 福祉心理学』中島健一、遠見書房)
それぞれの家庭にはそれぞれの事情があるため、もし今あなたの家庭に上記のような「問題」があるとしても、責めるつもりはありません。
ここではまず、ご家庭の問題が子どもに影響する可能性があることをご理解ください。
「教室に入れないこと」そのものは病気ではありませんが、病気が関係して教室に入れないというケースはあります。
例えば、次のような場合です。
子どもの心理
ご紹介してきたように、子どもが教室に入れない原因は様々です。
子どもは、「みんなと同じようにできない」「いじめられている」といった自分を恥ずかしく思い、その事実を一番親に知られたくないと思うことがよくあります。
大好きなお父さんお母さんだからこそ、自分の情けない姿を見せたくないのです。
親御さんは、子どもの気持ちを受け止めつつ、子どもが原因を話す気になるまでゆったりと待ってください。
ただし、特にいじめや病気が関連する場合などには、ゆったり待つのはオススメできません。
「そもそも、いじめなどが関係するかどうか」「原因に対応すべきかどうか」というところから、詳しい人に相談することが重要です。
子どもに対してはゆったりと構える姿を見せながら、次のようなことを行ってみてください。
親だけで子どものことを抱え込まないようにしましょう。
相談内容は「子どものこと」とは限らず、先述のような「家庭環境のこと」も考えられます。
なお、お子さんも、上記の相談先を利用できることもあります。
特にいじめなどがない場合でも、スクールカウンセラーなどの「他人」が相手ならば、子どもも自分の気持ちを話せることがあります。
【原因の追求についての補足】
「教室に入れない原因の追求」は、それほど重要ではない場合もあります。
確かに、いじめや病気が関連する場合などには、原因に対応することで次の一歩に進めるようになるでしょう。
一方、「人の輪に入るのが苦手」などの原因で教室に入れない場合、原因がわかったところで、すぐに子どもの性格を変える(=今の教室に入れるようになる)方法が見つかるとは限りません。
そんなときは、「原因の解決」を目指すのではなく、「原因とは別の部分で自己肯定感を養ったりすること」が次の一歩のためには有効だったりもするのです。
そうした、それぞれの子どものための具体的な「方法」も、詳しい人や団体に相談することで見つかります。
子どもに寄り添い、相談先も頼りながら、「これからどうしたいのか」については、子どもの意思を尊重してください。
無理に教室に向かわせるのではなく、子どもの気持ちをよく聞いた上で、「どうしたら教室に行けるのか」「今の学校(教室)に行きたくないのであれば、これからどうしたいのか」を親子で一緒に考えてください。
ただ、子どもの気持ちは、よくも悪くも揺れ動くことがあります。
「もう今の学校に行きたくない」と言っていても、気持ちを尊重してしばらく休ませると、再び教室に戻れることも珍しくありません。
また、子どもの意思は尊重すべきではありますが、子どもは「知識・経験・判断力が未熟」でもあります。
子どもだけでは「どうしたい」がわからないこともよくありますので、先述の相談機関なども頼ることでアドバイスをもらえます。
私たちキズキ共育塾は、教室に入れないお子さんのための、完全個別指導塾です。生活・勉強・進路・受験などについての無料相談ができます。オンライン授業で全国対応。お気軽にご連絡ください。
資料を無料ダウンロード特に今の教室(学校)への登校再開を目指している場合には、先生・学校と良好な関係を築きましょう。
先生の状況
多忙な先生(学校)にあなたの子どもの事情をきちんと説明するためには、良好な関係が重要、ということです。
変にへりくだる必要はないのですが、少なくとも、最初から「学校に問題がある!」と決めつけたりせず、丁寧に対応しましょう(残念ながら、結果として学校に問題がある場合はあるでしょうが)。
【丁寧な対応がお子さんのためになる例】
子どもが発達障害による味覚過敏で給食を食べられなくて教室に入れないため、お弁当を持たせたいと相談するとしましょう。
先生には、一人だけお弁当にすることについて、周りに説明したり、何かの「手続き」があったりするかもしれません。
そうしたことを考えると、丁寧に接することで、先生側の負担が減り、結果として子どもへの対応に使える時間や対応策が増える、ということです。
学校関連では、担任以外にも、学年主任、養護教諭、スクールカウンセラー、PTAなどが頼りになる場合もあります。
そうした相手とも、まずは丁寧に接するようにしましょう。
自分の子どもと同じような状況の人、同じような状況を経験した人の体験談を聞くことも、大変参考になります。
他の子どもの体験談から、教室に入れるようになるためのヒントや、登校を再開しない場合の解決策が見つかることもよくあるからです。
不登校の体験談を聞く(読む)ことができる場には次のようなものがあります。
「不登校 小学生」「教室に入れない」などと検索し、体験者(またはその保護者)のブログを読んでみましょう。
「不登校の親の会」とは、「そういう名前の、一つの団体」のことではなく、「全国にある、不登校の子どもを持つ親御さん同士の交流会」の総称です。
親の会の情報をまとめてくれているウェブサイト(全国の不登校親の会)もあります。
気になる会が見つかったら、電話をかけたり、会合に参加したりしてみましょう。
近所や職場の人に知られたくない場合には、少し離れた町の親の会に参加してみるといいでしょう。
情報収集のメリット
親が子どもにかかりっきりになると、お互いに不安が増幅しやすいのです。
情報収集の詳細などについては、コラム「我が子の不登校を解決するために親御さんができること〜原因・解決策について解説〜」をご覧ください。
私たちキズキ共育塾は、教室に入れないお子さんのための、完全個別指導塾です。生活・勉強・進路・受験などについての無料相談ができます。オンライン授業で全国対応。お気軽にご連絡ください。
校舎一覧を見る(オンライン校は全国対応)「今の学校」「今のクラス」そのものや、「今の集団生活のルール」に馴染めないことは、「悪い」ことではありません。
また、一部の独創的で個性的な子どもは集団に馴染めないことがあるそうです。
例えば、詩人の谷川俊太郎さんは不登校だったそうです。(出典:『子どもと悪』河合隼雄、岩波書店)
どうしても今の教室に入れない場合は、子どもに合った学校への転校や、「学校に行かない選択肢」も考えてみてください。
まず、義務教育である小中学校は、通わなくても卒業できます。
高校も、内申書が考査されない高校への進学・転校も可能です。
「今の学校」が合わなくても、「将来に進むための、別のルート」は意外とたくさんあるのです。
お子さんが義務教育中の方も、将来の参考になると思います。
なお、教室に入れない状態での勉強方法については、コラム「不登校による勉強の遅れと進学について、元不登校生が対策法を紹介します」をご覧ください。
通信制高校とは、次のような特徴がある高校です。
通信制高校の特徴
最大の特徴は「毎日の登校が必要ない」ことですので、教室に入れない人に向いている高校と言えるでしょう。
また、入学・転校のための試験が比較的カンタンであることも、教室に入れなくて勉強が苦手だった人に向いているポイントです。
中学校卒業後に進学する場合、内申書の内容もほとんど問われません(中学校まで欠席がちだったとしても進学しやすい学校と言えます)。
また、他の高校からの転校生も積極的に受け入れています。
通信制高校の詳細は、コラム「通信制高校とは?特徴・メリット・選び方・オススメの高校などをご紹介」をご覧ください。
不登校からの高校受験の詳細は、コラム「不登校からの高校受験〜調査書・内申点、欠席日数、高校の選び方などを解説〜」をご覧ください。
高校卒業程度認定試験(高卒認定、高認)に合格すると、高校を卒業せずに大学や専門学校に進学できます。
高認の特徴
「今は学校に行きたくないけれど、将来的には大学や専門学校に行きたい」と思っているお子さんにはオススメです。
なお、高認合格は履歴書に書くこともできる資格ですが、学歴としては「高校卒業」にはなりません。
高認に合格したとしても、その後大学や専門学校などを卒業しなければ、最終学歴は「中卒」のままであることには注意が必要です。
高認の詳細は、コラム「【すぐ読める】高卒認定試験とは?意外と簡単!取得のメリット・合格のポイントをご紹介」をご覧ください。
中卒後(または高校中退後)にすぐに就職して働く、というルートがあります。
しかし残念ながら、現代日本では、中卒に対する求人はあまり多くないということは、正直にお伝えします。
「中卒で働くなんて絶対に無理」「やめておいた方がいい」とまでは言いません。
ですが、将来の選択肢を広げるためには、次のような方法をお子さんに伝えることをオススメします。
中卒から働くことについては、コラム「中卒からの就職、行きやすい5つの業界をご紹介」をご覧ください。
以上、「今在籍している学校に行かない選択肢」を選んだ場合のルートをご紹介しました。
キズキ共育塾には、「それまで所属していた学校に行かない」という選択の後に、高認や大学受験を目指す生徒さんが多くいらっしゃいます。ぜひお気軽にご相談ください。
教室に入れない子どもにとって、教室復帰(今の学校への登校再開)だけが道ではないとお話をしてきました。
「勉強」という観点だけで考えると、無理やりに学校に行く必要はありません。
「勉強」は、「塾、問題集、ネット教材などを利用すれば、なんとかなると言えばなんとかなる」ものだからです。
しかし、「学校」は、「勉強を学ぶ場」だけではなく、「社会性を身につける場」でもあります。
ここからは、学校に行かなかった場合や、学校には行けていても人と交流できていない場合の「社会性」について、私自身の経験をもとに考えてみたいと思います。
「教室に入れないかどうか」に限らず重要な話として、先ほどの対応4選とはあえて分けてご紹介します。
私たちキズキ共育塾は、教室に入れないお子さんのための、完全個別指導塾です。生活・勉強・進路・受験などについての無料相談ができます。オンライン授業で全国対応。お気軽にご連絡ください。
フォームで問い合わせ私は、小中高校とまったく学校に馴染めませんでした(小学生時代は、もう30年も前の話です)。
当時は、「不登校」「スクールカウンセラー」などという言葉はなく、「学校に行かない選択肢」など考えられなかった時代です。
クラスに馴染めない子は「困った子」として、一般的には担任にもクラスメイトにも放置されていました。
私は、学校には我慢をして通いつつも、人の輪に入れず、休み時間には逃げるように図書館に通っていました。
そして、ずっと一人で本を読んでいました。
私の場合は、友達の輪には入れなくても、本を読んでいたおかげか勉強は得意でしたので、「問題はない子」という認識を大人たちにされていました。
その結果、世間的には高学歴といわれる大学に進学しましたが、私の社会性は、皆無ではないものの大きく欠けていました。
そして、社会性の欠如は、社会人になる頃から災いしてきました。
30歳を過ぎるまで、「他人とどう接すればいいのか」と悩み続ける毎日でした。
人間形成期に社会性を養わなかった弊害を、ずっと感じてきました。
しかし、一方では、小学生のときにぽつんとしていた私に話しかけてくれた先生や親切なクラスメイトたちのことを思い出します。
当時は、先生やクラスメイトに話しかけられたり遊びに誘われたりするのが怖くて仕方ありませんでした。
ですが、先生や友達が強引にでもコミュニケーションを取り続けてくれていたおかげで、私の社会性は「皆無」ではなくなり、なんとか社会の一員として、人間関係の中で生活できているのではないかと思うのです。
また、もっと人と交流していれば、より社会性を持てていたのかも、とも思います。
そんな私から、私と同じようなお子さんを持つ親御さんに伝えたいことは、次のようなものです。
子どもを無理に登校させる必要はありませんし、「たまたま同じクラスになった人たち」とうまくやっていけなくても大きな問題はありません。
しかし、子どもが家族以外の人と交流する場を、どこかで見つけてください。
次のように、学校に何らかの形で参加できるのであれば、子どもの背中を押してください。
また、学校以外にも、交流を持てる(=社会性を養える)場はたくさんあります。
先ほど紹介した「相談先」、フリースクール、習い事、ボランティア活動、好きなアーティストのオフ会、アルバイト、趣味のコミュニティなどなど。
キズキ共育塾のような塾が交流の場になることもあるでしょう。
フリースクールや塾を利用すると、交流に加えて、勉強そのものや勉強の仕方も学ぶことができます。
子どもが「参加してもいいな」と思える場があれば、ぜひそこに参加し、「社会性」を身につけるように、協力していただければ幸いです。
学校、担任、その他相談先と協力しつつ、どうしても学校に馴染めないようであれば無理をして学校に行く必要はありません。
ただし、学校に行かない場合も、勉強や社会性を学べる学校以外の場所を見つけることはオススメします。
あなたのお子さんが、自分に合った「次の一歩」を見つけられるよう、心から祈っています。
私たちキズキ共育塾では、「学校の教室に入れない」とお悩みの生徒さんが大勢学んでいます。
キズキ共育塾の生徒さんは、穏やかな講師と一対一で会話をしながら、学校での遅れを取り戻したり、コミュニケーションの練習をしたりしています。
「学校に行かない選択肢」を選んで、大学受験に向けてがんばっている生徒さんも多くいらっしゃいます。
子どもが教室に入れずにお悩みでしたら、ぜひ一度ご相談ください(親御さんだけのご相談も受け付けております)。
キズキ入塾に関して少しでもご興味があれば、まずはLINEで友だち追加を。
キズキのカリキュラムなど塾についての全般を知りたい方は「資料請求」を。
「お名前」「電話番号」「メールアドレス」だけの入力で、電子パンフレットをすぐに返信いたします。
電子パンフレットなら場所を取らないのでとっても気軽。
卒業生の声なども載せていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
/Q&Aよくある質問
子どもが教室に入れない原因はなんでしょうか(教室に入れない子どもはどのような心理なのでしょうか)。
教室に入れない子どもに、親ができることを知りたいです。