「自分がわからない」と悩むあなたへ 原因と解決法を解説
こんにちは。さまざまな個性を持つ生徒さんの勉強とメンタルを完全個別指導で応援する、キズキ共育塾の宮野唯です。
あなたは、自分のことがわかりますか?
すんなりYESと言える人はきっと少ないと思います。
大なり小なり自分がわからなくなる状況にぶつかることは、誰しもあるでしょう。
「自分がわからない」と悩むのは疲れますよね。
今回のコラムでは、自分がわからない原因、自分をわかるための対処法について書いていきます。
それぞれ理由も最初に挙げていますので、自分に合った対処法を見つけるときの参考になれば幸いです。
目次
自分がわからない9つの原因
自分がわからなくなる理由にはどのようなものがあるのでしょうか。さっそく9つをご紹介していきます。
原因①周囲に合わせてしまう
「自分さえ我慢すれば…」と常に自分を押し殺していませんか?
人間関係でいうと、空気を読みすぎている状態などのことです。
「自分がどうしたいか」「自分がどう感じているか」ということよりも、「周りと対立しないように」「周りから浮かないように」ということを優先します。
周囲に合わせることは、円滑なコミュニケーションをとるには必要なことです。
とはいえ、過度に自分を押し殺してしまったり、プライベートなことでも人の意見ばかりを受け入れていると、自分の気持ちを知る機会が減ってしまいます。
いざ「あなたの意見は?」と自分の考えを求められたときにうまく答えることができないと、「何て答えればいいのか」「そもそも自分はどのように思っているのか」と、自分がわからなくなったような気持ちになるのです。
「他人に合わせる」ことと「自分の意見を持つ」ことを自分の中で両立させられるとよいのかもしれません。
原因②ストレスを抱えている
ストレスを抱え続けることで、自分のことを考える余裕がなくなってしまうことがあります。
ストレスにもいろいろあります。
例えば、次のようなものが挙げられます。
- 仕事のストレス ハードで体力的にきつい、やりがいが感じられない、うまく仕事をこなせない、キャリアアップのことなど
- 生活のストレス 食事や睡眠がおろそかになっている・休日でも予定が立て込んでゆっくり過ごせないなど
- 人間関係のストレス 職場、友人、夫婦・家族との関係性で悩みがあるなど
時間的にも精神的にも追い詰められていると、目の前のことをこなすことで精一杯になってしまうでしょう。
疲労が溜まった状態では、自分のことを顧みる余裕がなくなるのは当然です。
自分のキャパシティーを超えた忙しさの中で自分がわからなくなってしまうのです。
原因③頭で考えすぎてしまっている
行動を起こす前に頭で考え過ぎたり、何かの基準で計算しすぎたりしていると、自分の本心がわかりにくくなります。
例えば、金銭的な損得を基準にする考え方があります。
ある行動を「面白そうだからやってみたいな」と思っても、取り組む前に、次のように算して考えすぎてしまうのです。
- これをやるといくら儲かるのか
- やったところで得することはないから、やらないでおこう
損得基準が大事な場面もあるでしょう。しかし、あらゆる行動を損得基準で判断すると、他の感情を満たせず、だんだん自分がわからなくなっていきます。
他に、考えすぎや計算しすぎは、次のような状況にもなりえます。
- 何かをしようとするときに、必要以上に怖がる
- ひとりでやってみることに勇気がいる
- 完璧な結果が出せなさそうなら、行動に移せない
どれも、思考が頭の中をグルグル回りすぎて、「〜したい」という気持ちを抑え込んでいるためです。
心が置き去りになってしまっているので、自分がわからないと感じるのでしょう。
原因④やりたいことがない
やりたいことがないことは、別に悪いことではありません。
ですが、やりたいことがないと、進学や就職など大掛かりな選択を前にしたときに、「自分がわからない」と悩む場合があります。
やりたいことがないと、次のようなこともわかりません。
- どんな学校に行きたいのか
- どんな職業に就くのか
- 何が自分に向いているのか
進路の大きな方向性の他に、自己PRや自己分析を行う際にも、「やりたいこと」が軸になる場面もあります。
「やりたいこと」から地続きの将来像をスムーズに思い描くことができないと、次のように、自分に対してネガティブな気持ちになってしまいます。
- 自分は今まで何をしてきたんだろう
- 自分なんて空っぽじゃないか
- 周りはみんな将来に向けて順調に行動しているのに
- こんな自分では何も役に立つことがない
やりたいことが見つからないことで、自分がわからなくなってしまうのです。
原因⑤親の教育スタイルによって自分を見失う
親の価値観の影響は、誰しも多かれ少なかれ受けるものではないでしょうか。
ただ、親から過度に影響を受けると、自分がわからなくなってしまうことにつながる場合もあります。
例えば、次のような状況です。
- 「学校には行かなくてはいけない」と言われた
- 一流企業や親と同じ職業を薦められた、逆に親と同じ道を歩むことに反対された
- 兄弟や身近な人と比較された
親が世間の目などを気にしていてこのようなことを言うこともあります。また、親自身が成功したから同じ道に進めば安心、逆に自分と同じ苦労をさせたくないから反対、という心境もあるでしょう。
特に女性の場合は、次のように、母親が子どもに「自分が生きていない生き方」を期待することがあります。
- 自分は専業主婦だったから、娘には仕事をしてほしい
- 自分は大学に行かずに結婚したから、娘には大学に行ってほしい
- 自分は仕事で苦労したから、娘には「女の幸せ」をつかんでほしい
親御さんには親御さんの思いもあるでしょう。また、家庭それぞれ事情もあります。ですので、上記のようなことも一概に「悪い」というものではありません。
とはいえ、そういう環境で育ったのであれば、「強制された!」という思いを抱いて親に反発していたりしませんか。特に、子どものときは疑問に感じなかったけれど大人になってから「これでよかったのかな」と思い始めたり、ということはあります。
反発するにしても、大人になってから疑問を持つにしても、親の価値観が自分の人生の軸になっていると、「自分がわからない」と感じるときが出てくるのです。
【関連記事〜親の影響で医学部を目指したけれど、やりたいことではなかったと気づき法学部へ進んだ講師の体験談】
原因⑥HSC(HSP)の特性がある
HSCとは、”HighlySensitiveChild”の略で、「とても敏感・繊細であり、豊かな感受性を持った気質の子ども」を意味します。
HSPは、”HighlySensitivePerson”の略で、最後のアルファベットに着目していただけるとわかるように、HSCの大人版だと思ってください。
HSC(HSP)のDOESという特徴のうちのひとつに、「共感力が高い」というものがあります。
共感力が高いので、次のようなことが得意です。
- 親の心を読む
- 誰かつらい思いをしていることに気づく
- 細かいこと(物の移動、人の外見の変化)に気づく
相手のことを思いやれる素晴らしい特性ですが、他人の気持ちに敏感になりすぎることで、自分と他人の気持ちの境界線が曖昧になってしまうことが考えられます。
他人のことを自分のことのように感じやすく、自分がわからない感覚になりやすいのでしょう。
「もしかしたらHSC(HSP)かもしれない」と気になるようでしたら、コラム「HSCって何?〜正しく理解し、お子さんの生きづらさを解消しましょう〜」をご覧ください。
HSC(HSP)について、基本的な概念、チェックリスト、特性、対処法などを詳しくご紹介しています。
原因⑦アダルトチルドレンの傾向がある
簡単に説明すると、「アダルトチルドレン」とは、暴力や虐待などをする親のもと(機能不全家族)で育ったことにより、大人になっても自分を認めることができず生きづらさを抱えている人、という意味です。
「病気」ではなく、生きづらさなどにつながる「概念」です。
子どもらしくふるまうことが叶わず、親の顔色をうかがって過ごしてきた中で、次のような癖がつくのです
- 感情を抑えてしまう
- 自分を否定してしまう
- 依存しがち(人やアルコールなど)
- 自分で決断することに恐れを感じる
- ありのままの自分を隠そうとする
このように「自分を出す」機会に恵まれなかったことで、本音が埋もれてしまい自分がわからなくなってしまいます。
アダルトチルドレンについては、コラム「アダルトチルドレンって何?概要、「役割」、生きづらさ(特徴)をお伝えします」で、その概要、「役割」、生きづらさ(特徴)、回復へのアプローチなどを詳しく解説しています。
原因⑧うつの症状がある
うつの状態になると、会話や本の内容が頭に入ってこないということがあります。
気力がわかなかったり、気分が落ち込むこともあるので、「考える」ことが苦痛になるかもしれません。
本当に自分がわからない、というよりも、考える余裕がないのでわからないように感じてしまうのでしょう。
食欲がない、眠れないなどの身体的な症状があるかどうかも、うつの判断材料にするといいでしょう。
原因⑨境界性人格障害である
境界性人格障害も、自分がわからないことの原因になります。
境界性人格障害の代表的な症状には、次のようなものがあります。(参考:NHKハートネット「『生きるのがつらい…』境界性パーソナリティ障害とは?」)
- 見捨てられるのが不安で、必死にしがみつき相手を困らせる
- 自殺企図や自傷行為を繰り返す
- めまぐるしく気分が変動する
- 対人関係が両極端で不安定
感情をコントロールすることが大変であったり、他人に依存してしまうことがあります。
不安な気持ちでいることが多いので、自分のことがわからなくなってしまうのでしょう。
自分がわからない人に贈る、9つの解決法
ここからは、「自分がわからない」というお悩みにメスを入れていきましょう。
「自分がわかる」きっかけになる方法をご紹介します。
解決法①自分の感情を書き出す
今思っていることをどんどん紙に書き出していきましょう。
最初はうまくできなくても、単語を書くだけで十分です。
書こうと意気込まずに、何か思いついたときに書き留めるというのでもいいです。
思考や感情を言語化することで、自分を知るきっかけをつかむことができます。
特に「自分の気持ちをおさえている人」にオススメです。
私自身には、この方法は効果がありました。
私は夜中に思考が活発になるので、枕もとにノートとペンを用意していました。
感情が湧き出てきたときに勢いよく書くこともありました。何も出てこないときは、「つらい」などの単語だけでページを埋めていたこともあります。
書いていると、「こういうことがつらかったんだ」と苦しかった理由が分かってすっきりしたものです。
単語だけのときでも、つらい気持ちを和らげる効果はありました。
解決法②自分を認める
自分を受け入れることで、過去のつらい経験を乗り越え、自分をわかるきっかけにつながることがあります。
最近のことでも、恋愛や友人関係で大変だったことに対してでも、なんでも構いません。これまでの失敗経験などでも、大丈夫です。
「今までよくがんばったね」「あのときは傷ついたよね」と自分を褒めてあげてください。
「たいしたことじゃないのに傷ついた自分は弱い」「もっとつらい思いをしている人がいるのに」などと思う必要はありません。
つらかったらつらいと思っていいのです。
自分を認めてあげることができたら、気持ちが楽になっていき、自分のことがわかるようになっていきます。
解決法③日常動作をじっくりやる
日常動作をじっくり行う、時間を丁寧に過ごすことで、気持ちが落ち着き、自分のことがわかるようになっていきます。
特に「ストレスを抱えている人」にオススメです。
例えば、次のようなことがあります。
- 目覚ましをかけずに起きる
- 朝食を用意してゆっくり食べる
- お風呂でバスタブにゆっくり浸かる
普段手の届かない場所の掃除を集中してやるのもいいですね。
日常のストレスから離れることで、「そうだ、自分は○○なんだ」ということがわかったり思い出したりしてきます。
解決法④雑念が出る環境から離れる
思考を巡らせる情報量の多い環境から離れることで、思考がクリアになり、自分のことがわかるようになります。
特に「頭で考えすぎてしまう人」にオススメです。
具体的には、次のような方法があります。
- 自然に囲まれ、五感を研ぎ澄ませて過ごす
- スマホの電源を切って外部からの情報を断つ
- 自分の心がホッとする場所で過ごす
自分の気持ちに素直に耳を傾け、どうしたいか感じてみてください。
私の知人にも、「考えることが多かった時期に、座禅に出かけていた。本当に頭の中がスッキリして、自分のことが改めてよくわかった」という人がいます。
解決法⑤萎縮してしまう相手と距離をとる
接していると萎縮してしまうような相手からは離れましょう。
抑圧がなくなり、自分のことがわかってくるようになります。
特に「子ども時代の環境」で自分がわからない人にオススメです。
例えば次のような、自分の気持ちに素直にいられない相手との関係を見直すことを考えてはいかがでしょうか。
- 束縛してくる恋人
- 一緒にいて息苦しい友人
- 高圧的な先生や上司
解決法⑥いろいろな人と出会う
アルバイト先、学校、サークル、会社、どんな関係でも構いません。いろんな人と出会いましょう。
どんな人といると楽しいか、楽しくないか。どんなことが好きか、苦手か。 そういったことをたくさん経験することで、「自分はどんな人間か」を知ることにつながります。
「自分のことを消極的な人間だと思っていたけど、あるコミュニティではいつの間にかリーダー的な役割を担っていた」など、自分が思っていた自分とは違う自分に出会うこともあるでしょう。
これまでの友人や新たに出会った人たちに、あなたのことを「どんな人に見えるか」を聞くと、客観的・具体的な「自分像」も見えてきます。
さまざまな価値観に触れることによって、思っていた自分と違った一面を知ることにつながります。
解決法⑦気になることをどんどんやってみる
気になっていることを片っ端しから試してみてはいかがでしょうか。
特に「やりたいことがない」人にオススメです。
試してくなかで「これをやりたい」という方向性で自分のことがわかることもあるでしょう。「こういうのは苦手だな」というわかり方もあります。
現実的には興味のあることすべてに取り組むことはできないと思います。そのため、優先順位をつけたり、他の人の体験談を読んだりすることもオススメです。
解決法⑧カウンセリングやセラピーを受診する
つらい過去と一人で向き合うのがこわい、病気や特性があるかもしれない、という場合は、カウセリングなどの利用をオススメします。
特に「子ども時代の環境」が影響している人、「病気・特性」が関連する人にオススメです。
自分一人でつらい気持ちに向き合うことには勇気がいります。
場合によっては、今までため込んでいた気持ちがふきだしてパニックになってしまうことも考えられます。
カウンセリング、心療内科などを利用すると、専門家があなたの力になってくれます。
自分について話すことを恥ずかしいと思ったり、病気だったら怖いと思うかもしれません。
ですが、特に本当に「病気」などの場合は、きっと「自分がわからない」を解決し、生きやすさにつながっていきます。
参考として、コラム「自分を変えたいあなたへ〜自分を変える8つの方法〜」で紹介している、自分の価値観を振り返る心理学の手法「人生脚本」もご覧ください。
解決法⑨参考となる本を読む
自分がわからない人は、参考となる本を読むことで、自己理解の一助となります。
以下、オススメ書籍を紹介します。
■『自分を好きになりたい。自己肯定感を上げるためにやってみたこと(わたなべぽん著、幻冬舎)』
幼少期の親子関係から自己肯定感が低くなってしまい、「自分が嫌い」という辛い感情を抱えて生きてきた著者のエッセイ漫画。
自身と向き合い色んな工夫をし、素直に周りの人の意見を受け入れながら進んでいく姿が印象的です。
出版社の公式ページはこちらです。
■『自分軸のつくりかた: 生きるのがラクになる50の方法(中山庸子著、原書房)』
自分の居場所=自分軸を持つことで心が安定して、自己肯定感を保てますというお話です。
かなりやわらかい内容で、読みやすく、気負わず吸収できます。
出版社の公式ページはこちらです。
■『愛すべき娘たち(よしながふみ著、白泉社)』
タイトルのとおり、母と娘のエピソード5作が収められています。
親からの影響について気になる人にオススメです。
描かれている母と娘の姿に共感できるところや思うことがあるのではないでしょうか。
出版社の公式ページはこちらです。
まとめ〜あんまり思いつめなくても大丈夫です~
ここまで、自分がわからない原因と解決法をご紹介してきました。
私も自分がわからず悩むことがありますが、同時に、「自分」というものは「常に変わっていくものだ」ということも感じています。
例えば、次のようなことはよくあります。
- 昔好きだった音楽の歌詞に、当時とは違う解釈を思いつく
- まったく感情移入できなかった小説の登場人物に共感するようになる
上記はあくまでほんの一例ですが、「自分」は、経験などによっていくらでも変わるような気がしています。
ただ、変化するからこそ、自分がわからなくなることがあるのではないでしょうか。
「自分のことがわかっている」ときと「自分のことがわからない」とき、両方あることは自然なことかもしれません。
「自分の核になるものがほしい」「芯の通ったかっこいい人になりたい」という気持ちはわかりますが、あまり思いつめすぎないようにしてくださいね。「自分のことがわからなくてもいい」と割り切る時期があってもいいと思います。
あなたの「自分がわからない」について、このコラムが少しでもお役に立つことを祈っています。
さて、私たちキズキ共育塾は、不登校、引きこもり、中退の当事者・経験者などの学び直しを支援する個別指導塾です。
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