
やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
学校生活は、勉強や人間関係など我慢することも多く、ストレスがたまりがちですよね。
しかし、ストレスは解消可能です。
この記事では、学校生活におけるストレスの原因や対策を紹介します。
ストレス対策を行って、楽しい学校生活を送りましょう。
目次
学生時代のストレスは、漠然としていて言葉にできないこともあります。
「なんとなく不満はあるけれど、具体的に何が学校生活のストレス原因なのかわからない」という場合も多いのではないでしょうか?
この章では、そんな人のために、学生時代に多いストレスの例を具体的に言語化して紹介します。
学校の人づき合いがストレスになる人は少なくありません。
学校生活は、いろいろな人が集まって形成され、多様な価値観が混在しています。
そうした環境での人づき合いでは、自分の意見を主張できなかったり、自分に合わない振る舞いをしたりする場面も多々あります。
例えば、明確に嫌いな人がいなくても、「自分は勉強が嫌いではないが、皆がダルいと言っているのでなんとなくその意見に合せてしまう」、「本当は遊びに行きたくないけど、場の空気を読んで行くと言わざるをえない」といった人づき合いが続くことで、ストレスが増していくのです。
他に、明確に嫌いな人(合わない人)がいて、その人とクラスや部活が一緒だから関係を断てずにストレスを溜める場合もあるでしょう。
毎日の授業が退屈・嫌いという人も多いです。
高校の授業は、週5日間、朝から夕方まであります。
全ての科目や授業が好きな人は、あまりいませんよね。
苦手な教科の授業が苦痛、合わない先生の授業が嫌だ、勉強が理解できなくてつらい、何のために勉強しているのかわからない…。
塾などで勉強を進めている場合、学校の授業のレベルが遅くて退屈ということもあるでしょう。
そんな授業を毎日・毎週受けること自体、そして「来週もまたこの苦痛な授業がある」と思うことは、ストレスにつながります。
学校のルールに納得がいかないというのも、ストレスの理由になります。
ルールとは、校則に限らず、クラスや部活の独自ルールも含みます。
例えば、髪の長さや色が決められていたり、すれ違う先輩に必ず大声で挨拶をしなくてはいけなかったり…。
そうしたルールが気にならなかったり、理由に納得できていたりするなら問題ありません。
ですが、「理不尽に行動を制限されている」と思ったり、逆に「必要なルールが整っていない」感じたりしている状況はストレスになります。
自分のイメージしていた中学・高校生活と違ったというストレスもあります。
理想と現実の違う生活が続くことにストレスと感じる人もいるのです。
わかりやすい例では、真面目な学校だと思って選んだのにチャラチャラした人が多い、逆に思っていたよりも厳しい学校で遊べないなどがあるでしょう。
こうしたギャップは、ストレスにつながります。
朝起きられないのがストレスという人がいます。
多くの学校は朝から授業を行うため、朝起きる必要があります。
しかし、どうしても早起きが苦手なタイプの人はいますし、そういう人は毎日ストレスを抱えてしまいます。
また、普段は起きられても前日に夜更かしすると起きられない人は、夜の時間を好きに過ごせないストレスと、寝ていたい朝に寝ていられないというストレスにつながります。
周りの人と自分を比べてつらいという人もいます。
学校ではたくさんの人がいるので、自分より優れた存在にストレスを感じてしまう人も少なくありません。
例えば、中学までは数学でトップだったのに高校では中の下になった、周りのレベルが高いので相対的に自分のレベルが低いように感じてしまう、など人と比べると自尊心が保てなくなりストレスとなります。
ここまでは、学校生活で起こるストレスの例を紹介しました。
さて例えば、「周りに合わせなくてはならないから、人づき合いがストレス」といった場合、そうした人づき合いそのものは、ストレスではあっても、ストレスの原因ではありません。
「周りに合わせなくてはならない」という思う理由こそが、ストレスの本当の原因なのです。
ストレスの裏側には、必ず原因があります。
原因を理解すると、それに応じて対策も考えられるのです。
ここからは、学校でストレスを感じる原因について紹介します。
全ての人に好かれようと気を使いすぎていませんか?
人には様々な価値観があり、好きや嫌いも様々です。
例えば、大勢に人気のカレーライスだって、嫌いな人は一定数存在します。
どんな人でも、全ての人から好意的に見られることは不可能なのです。
全ての人に好かれることが不可能だと理解していないと、みんなに好かれようと思考・行動します。
しかし実際に皆に好かれることは不可能なので、ストレスの原因となるのです。
学校生活や卒業後に目的がない状態も、ストレスの原因となります。
目的があるなら、その目的に向かう方向で学校生活を充実させることができる(=ストレスがあまり発生しないようになる、ストレスを減らすことができる、ちょっとのことは気にならなくなる)のですが、目的がなければ、ちょっと面倒なことが全てストレスに変わってしまうのです。
目的がないことは、絶対的に悪いことではありません。
ですが、ストレスを減らしたいのであれば、「目的」を意識してみるとよいでしょう(次の章で詳しく述べます)
自分に合わないルール、理想の学校生活と異なる現実、周りと比べすぎてしまう自分…そういう状況を変えられないと思い込んでいることも、ストレスの原因になります。
何もかもが自分の理想どおりに進むということはないかもしれません。
ですが、状況を一切変えられないということでもありません。
それなのに「状況を変えられない」と思いこむことで、自分を追い詰め、ストレスを生むのです。
夜眠れていないという状況は、ストレス耐性を下げます。
ストレス耐性が下がることで、普段は感じないストレスもストレスと感じやすくなるのです。
脳には、眠ることで情動をリフレッシュする機能がありますが、不規則な生活や過度のストレスで眠れない状況が続くと機能が正しく動かなくなります。
中学生・高校生くらいの年齢ならば多少眠らなくても活動できる体力はあるかもしれませんが、適切な睡眠がとれていなければストレスが増すのは当然です。
また、睡眠不足になると認知機能が低下します。
無意識の睡眠不足は、自分が睡眠不足であるという認知すらも鈍らせ、さらにストレスを産んでいく悪循環にもなりえるのです。
前項の「睡眠不足」とも関連する原因です。
抗ストレスホルモン分泌が減少すると、ストレスを感じやすくなります。
抗ストレスホルモンは、運動不足、寝不足、不規則な生活によって不足します。
現代人は運動や睡眠が少ないので、抗ストレスホルモンの分泌が減少しやすい環境なのです。
睡眠不足が抗ストレスホルモンの減少となり、ストレスがさらに睡眠不足を招き…という悪循環に陥るパターンもあります。
ここからは、学校で感じるストレスを緩和する対策、ストレスを生じさせない対策を紹介します。
自分に合いそうな方法をいくつか試してみてください。
人間関係の枠を拡げることは、ストレス対策に役立ちます。
前述のとおり、全ての人には好かれることはできません。
そんな中で、自分に合わない人づき合いを続けることは、ストレスになります。
しかし、これも前述のとおり、状況は変えられます。
「全ての人に好かれよう」ではなく、「自分が楽しく過ごせる人間関係を見つけよう」と考えることで、状況を変えるのです。
学校の中で人間関係を広げる場合、部活を変える、生徒会や委員会活動を始める、これまで話したことのない人と交流を始めるなどがあるでしょう。
そして、学生だからといって、人間関係を学校の中に限定する必要もありません。
ボランティア、習い事、高校生ならアルバイトなど、学校の外にも人間関係は広がっています。
人間関係を広げていくうちに、自分にあった場所(=自分がストレスなく楽しく過ごせる場所)がきっと見つかります。
自分に合った場所が見つかると、それだけでストレスがなくなりますし、これまでの人間関係のストレスも気にならなくなるのです。
学校生活での目的や、卒業後の目的を見つけることも、ストレス対策に有効でしょう。
目的があると、多少のことは気にならなくなりますし、ちょっと嫌なことも目的に関連づけて取り組めるようになります。
例えば、「○○大学に合格する!」というような大きな目的ができれば、高校生活は、「受験勉強」を軸に充実させることができ、他のことがあまり気にならなくなってくる、というイメージです。
また、大きな目的ではなく、「毎週一つ、新しいことにチャレンジする」「英単語を週に10個覚える」といった、日常生活の中で達成可能なものでも大丈夫ですし、複数の目的を同時に持っていてもOKです。
学校生活や卒業後に目的がないことは「悪いこと」ではないのですが、学校にストレスを感じているようでしたら、目的を考えてみることも一つの手段ですよ。
運動をすることでやる気ホルモンの分泌を促進するのも、ストレスに効果的です。
感情は、心だけでなく、肉体によっても左右されます。
ストレスを感じやすい状態というのは、脳のストレス耐性が低くなっている状態とも言えるのです。
ストレスを軽減する抗ストレスホルモンのテストステロンは運動によって分泌されます。
また、運動は楽しい感情ややる気の要因となるドーパミンの分泌も促進するのです。
このように、運動の習慣をつければストレスに強くなれます。
自分に合わないルール、理想の学校生活と異なる現実、周りと比べすぎてしまう自分などがストレスの原因なら、そうした状況を変えられないか調べてみるのもよいでしょう。
調べれば、状況を変える方法が見つかることもあるのです。
そして、状況を変えるためには、一人で取り組む必要もありません。
例えば、学校のルールが理不尽だと思うなら、生徒同士で相談したり生徒会に意見を言ったりした上で、学校と交渉してルールを変えられるかもしれない、ということです。
それでルールが変われば、ストレスは減っていくでしょう。
一方、交渉しても、結果としてルールが変わらなかった…ということも十分にありえます。
そんなときも、ルール自体によるストレスはなくならないかもしれませんが、「行動した」という満足感が得られたり、見つかった仲間と楽しく過ごせるようになったりすることで、ルールとは別の視点からストレスを減らすことができるようになります。
また、「行動したのに、ルールは変わらなかったな…」と絶望せず、「なぜ変わらなかったのか」を分析することで、次に似たような状況になったときに活かせます。
理想の学校生活と違うならばどうしたら理想に近づけるか、周りと比較して劣等感を覚えているならどうしたら自分を変えられるかについても、同じようなことが言えます。
人とも相談しながら、「じゃあ、どうしたらいいか」を考えて行動していきましょう。
攻撃が最大の防御という言葉もあるように、ストレスの原因に立ち向かうという選択もストレスへの対策となるのです。
なお、「今の学校での状況を変える」という考え方以外に、「自分に合いそうな別の学校に転校する」「学校をちょっと休む」という方法もあります。
転校や休学はあなただけで決められることではありませんので、親御さんや学校にもよく相談しましょう。
自分に合う学校生活のストレス対策が見つからない場合は、「中学(高校)生活は、人生のたった3年間」と割り切って淡々と過ごす、という発想もあります。
どうしても変えられないストレス原因もあるでしょう。
しかし、学校生活は、長い人生の一部でしかありません。
今の学校でのストレスを変えられそうになければ、「たった3年間のことだから」と考えるのです。
期限がわかっている環境で割り切って過ごすようになれば、次第にストレスも減っていきます。
ただし、今の学校を卒業した後のことはよく考えて、卒業後の進路で同じ状況に陥らないように注意しましょう。
加えて、「自分は割り切っている。だから大丈夫だ」と思っていても、ストレスが溜まっていく場合があります。
自分だけで「割り切った。もう大丈夫」と決めつけず、次項の心療内科やカウンセラーなども頼るようにしてみましょう。
ストレスを自分だけで対処しようとする必要はありません。
心療内科やカウンセラーなど、ストレスの専門家を頼るという選択肢もあります。
これまでご紹介してきたような対策についても、実際のあなたに合ったより具体的な方法を教えてもらえると思います。
また、「夜眠れない」など、ストレスが心身に影響を及ぼしている場合や病気に関連する場合には、適切な治療も受けられます。
「ストレス程度で病院に行くなんて…」と遠慮せず、心療内科やカウンセラーを頼ってみましょう。
学校でのストレスは、人づき合いやルールへの我慢など様々です。
様々な我慢がストレスになることは、大人であっても少なくありません。
しかし、ストレスには解消方法や対策もたくさんあります。
ご紹介してきたように、自分のストレスの原因を考え、対策を行うことで、ストレスの少ない快適な学校生活を送りましょう。
さて、私たちキズキ共育塾は、一人ひとりに寄り添う完全個別指導塾です。
生徒さんには、学校生活にストレスを抱えている方や、ストレスのために不登校になった方も珍しくありません。
ご相談いただければ、あなたのための「学校とストレス」の話ができると思いますので、少しでも気になったら、お気軽にご連絡ください(親御さんからの相談も受けつけています)。
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