
やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
勉強にブランクのある人の学び直しをサポートする個別指導塾・キズキ共育塾のあべあいりです。
この記事は、ニートについて知りたい人や、今現在ニートであるご本人に向けて書いています。
あなたは、「ニート」について、どんなことを知っていますか?
そもそものニートの定義や、類似している用語との違いについて、しっかり説明できる人は少ないのではないでしょうか?
この記事では、それらをわかりやすく解説していきます。
この記事を読んでわかること
現在ニートであり、次のような具体的なお悩みを持っている人には、特にお役に立つと思います。
あなたの疑問やお悩みを解決し、次のステップへの一助となれば幸いです。
目次
そもそもニートとは、
「Not in Education,Employment or Training」
の頭文字を取ったイギリスの造語のことです。
直訳すると、「就学、就業、職業訓練のいずれもしていない人」になります。
イギリスでは「支援が必要な人たち」という意味合いでつくられた言葉です。
まずは、日本における「ニート」の公的な意味をお伝えします。
ニートに限らず、言葉の意味は公的な定義だけが「正解」ではありません。ですが、公的な定義は公的な支援などにも関わりますので、覚えておいて損はないでしょう。
日本では、厚生労働省がニートを次のように定義しています。
総務省が行っている労働力調査における、15~34歳で、非労働力人口のうち家事も通学もしていない人
もう少しカンタンに言うと、次の条件を満たすがニートです。(参考:総務省統計局「労働力調査に関するQ&A(回答)」)
さらにカンタンにまとめると、ニートとは、「若年無業者」と言えるでしょう。
ちなみに厚生労働省では、35歳~44歳の無業者のことは、ニートではなく「中年無業者」と呼ぶようです。(参考:厚生労働省「平成24年度版 労働経済の分析」)
上記の厚生労働省のニートの定義では、次の人はニートではありません。
一方、上記定義の一つである「すぐに働けない状態」につき、働けない理由が「病気などの、本人ではどうしようもない事情である場合」も、ニートに含まれるのでしょうか。
厚生労働省に確認したところ、次のような回答がありました(表現は一部変更)。
(他の要件も当てはまれば、)働けない理由が病気などの場合も、厚生労働省の定義としてはニートに含む。
(しかし、ニートを一律に考えているわけではなく、)雇用対策などの政策立案においては、働けない理由によって対象などをわけて考えている。
ちなみに、厚生労働省の定義によるニートの人数は、平成30年度では約53万人です。
私たちキズキ共育塾は、今から学び直したい人のための完全個別指導塾です。進路/勉強/受験/生活などについて、無料相談ができます。高認/大学などの合格実績多数。お気軽にご連絡ください。
校舎一覧を見る(オンライン校は全国対応)次に、ニートと意味合いが類似している失業者とフリーターについて、それぞれの特徴と違いを解説していきます。
これも「公的な定義」の話であり、またそれぞれ厳密にはもっと細かい定義があるので、ざっくりした紹介とご理解ください。
ニート | 15~34歳で、 就業も通学も職業訓練も就職活動も、家事もしておらず、 また家事に専従していない人 |
---|---|
失業者 | 15歳以上で、現段階で就業していないが、 すぐに働くことが可能で、 求職活動をしている人のこと |
フリーター | 15〜34歳で、 アルバイト・パートタイムとして働いている人のこと |
現状就業はしていないけれど、就業意欲があり求職活動を行っている人のことを指します。
現在アルバイト・パートタイムで働いている人のことを指します。既婚女性でアルバイト等の仕事を行っている人は定義対象外になります。加えて、現在就業しておらず、これからアルバイト等の仕事を探している人のことをフリーターと指すこともあります。
つまり、いま働いていなくても、求職活動をしていればニートではないのです。(参考:総務省統計局※PDF「失業者の国際比較」、「フリーターの定義について」)
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フォームで問い合わせ次に、ニートとひきこもりの違いを紹介します。
ニートとひきこもりの違いは、「社会的な組織(学校や仕事など)に所属しているか否か」です。
厚生労働省は、ひきこもりのことを、次のように定義しています。
さまざまな要因の結果として、社会的参加を回避し、原則的には6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態
つまり、家族以外の社会との関わりを持たない「ニート」は、「ひきこもり」でもあるのです。(出典:立命館大学、西田亮介※PDF「ニートとひきこもり」)
ニート全体の半数弱である49.5%がひきこもり状態であるという数値も出ています。(出典:厚生労働省※PDF「ニートの状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究」)
しかし、ニートとひきこもりはイコールではありません。
ニート兼ひきこもりの49.5%の人々は、「今後どうすればよいか」を考える際には、ニートではなく「引きこもり」と考えた方が適切かもしれません。
人がニートになる原因はさまざまです。
原因の例
つまり、一人ひとりに異なる「原因」があるのです。
さてあなたは、「ニートになるのは、弱い人だ」と思っている節はありませんか?
あなたが今ニートなら、「自分が弱いからニートになったんだ」と思っていませんか?
そんなことはありません。
人がニートになるのには、例えば次のように、さまざまな事情があります。
事情の例
先程の「原因の例」と並列に考えても問題ありません。
事情はさまざまですが、「自分が悪い」と変に負い目を感じる必要はありません。自分を責め続けるだけでは、どんどんネガティブになっていきます。
必要以上に「原因」ばかりを考えたり、自分を責め続けたりするよりも、これからのことにしっかり目を向けていくことが大切です。
次章からは、ニートの人が就職または就学への一歩を歩み出すためのヒントになる情報を紹介していきたいと思います。
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LINEで問い合わせニート状態にある人は、次のように悩んで立ち止まることもあるでしょう。
だからといって、何もやらないと新たにやりたいことに出会う可能性がどんどん下がり、悪循環に陥るかもしれませんね。
ニートから次の一歩に進むために大事なことは、「嫌ではないことから始めること」です。
就労や就学のためには、家から出て、仕事を探したり、知らない人たちとイチから関係性をつくったりなど、慣れないことや大変なことがたくさん出てくるかもしれません。
そんなときは、「何でもいいから」と嫌なことでも無理をしたりして、余計な負担を増やすべきではないのです。
まずは、行動することをあきらめず、嫌じゃないことからはじめましょう。
次に、慣れない事態と直面したときに心が折れてあきらめてしまわないように、事前の対策をいくつかまとめました。
弱音を吐けたり、相談できたりする安心・安全な相手・場所を持ちましょう。
具体的には、次のようにさまざまな方法があります。
「ここなら自分の弱いところや失敗談を話せる、相談できる」と思えるような安心・安全だと思える環境を見つけたりつくったりしながら行動しましょう。
例えば、「地域若者サポートステーション」は、働くことに踏み出したい15歳~49歳までの人を支援する、厚生労働省委託の支援機関です。
また、私たちキズキ共育塾では、ブランクのある状態からの学び直し(大学受験など)の無料相談を行っています。
他にもさまざまな相談機関やサポート団体がありますので、ぜひ探してみてください。
アドバイスがほしいときだけではなく、ただ話を聞いてもらいたいときや、自分の気持ちの整理ができなくて悩んでいるときなどにも、気軽に電話してみることをオススメします。
なお、サポート団体相手には「頼る」という形で大丈夫です。しかし、仲間や友達相手には、就職や進学の後にも困ったときに助け合えるような、「お互いに頼り合う」という関係性になると、よりよいと思います。
何事もそうですが、ある挑戦に失敗して弱っているときに「次の打ち手」を考えるというのは、気力が必要ですよね。
また、そんなときに考え込んだり重大な決断をしたりするのは、「悪い方向」に思いが向かったりすることもあるため、あまりオススメできません。
例えば、就職したいと思っていた会社に採用されなかったときでも、他の選択肢(応募先)があれば、気持ちを次に切り替えやすくなります。
複数社の候補リストをつくっておくなどして、選択肢を「一つだけ」にしないようにしましょう。
なお、就職したいところを探すときには、職種、商材、給料ベースだけで考えずに、どんな社内環境や働き方をしたいかなど、幅広い軸で考えることもオススメします。
ニート状態そのものについても、就職活動がうまくいかなかったりしたときにも、「自分には価値がない」「自分はもうダメだ」などと自分を責める人がいます。
しかし、ニートであっても就職活動がうまくいかなくても、変に自分を責める必要はありません。
ですが、人からそう言われても、すぐに気持ちを切り替えることは難しいかもしれませんね。
そんなときは、ニートだからこそある自由な時間を活かして、自分の自信につながることをやってみましょう。
例えば、次のような方法があります。
好きなことに打ち込んだり、勉強や資格取得に取り組んだりすると、自分に自信をつけることができます。
ニートの次に進学を目指す場合、勉強はそのための直接的な手段でもありますし、就職を目指す場合、資格取得は有利な条件にもなります。
自信をつけるとともに、「次の一歩」に進むための力にもなるということです。
コンプレックスと向き合うとは、例えば次のように、自分が思う欠点について、前向きに解決方法を考えていくことです。
ニートの時期に自信をつける活動ができると、次の一歩に進みやすくなります。
ニートから次の一歩へ進むときには、あなた一人でがんばることも大事かもしれません。ですが、あなた一人でがんばらなくてはいけないということではありません。
助けを求めることができる部分は、頼れる人や団体を遠慮なく頼ってしまいましょう。
自立とは、「一人でがんばること」という意味だけではなく、「頼れる人をたくさん増やすこと」でもあるのです。
この章では、主に就職活動に関して、ニートの方向けにどのようなサポートがあるのかを紹介していきます。
就職活動においては、ハローワークなどの公的な支援機関や、就職エージェントなど民間の支援機関を利用する人がほとんどです。
就職・就学だけでなく、生活面やメンタル面のサポートなど、多角的な支援を行うNPO法人なども存在します。
あなたをサポートする人や団体は必ずいるので、自分に合うところを探してみましょう。
就業サポートを行う各種団体を紹介します。
ハローワーク(公共職業安定所)とは、厚生労働省が全国544か所に設置する、年齢に関係なく無料で利用することができる機関です。
就職を希望する全ての方のサポートを提供しています。
日本だけではなく世界各国に公的な雇用サポート機関として配置され、職業紹介などを中心に中核的な雇用支援を行っています。
ハローワークでは、求人紹介だけではなく、相談や職業訓練校の紹介なども行っています。
多くの人を就職まで導いたノウハウがある場所ですので、まずはお住まいの地域のハローワークに相談をしてみることがオススメです。(参考:厚生労働省「公共職業安定所(ハローワーク)の主な取組と実績」)
また、45歳未満を対称にした「わかものハローワーク」という機関もあります。
わかものハローワークでは、職業紹介だけでなく、正社員として働いた経験が少ない人向けに、応募書類の書き方や面接対策、ビジネスマナーなどを学ぶセミナーなども開催しています。
必要に応じて、いろいろ利用してみましょう。
地域若者サポートステーション(サポステ)は、厚生労働省の委託機関です(先ほども軽く触れました)。
詳しくは厚生労働省の説明がわかりやすいため、下記に引用します。(出典:厚生労働省「地域若者サポートステーション」)
地域若者サポートステーション(愛称:「サポステ」)では、働くことに悩みを抱えている15歳~39歳までの若者に対し、キャリアコンサルタントなどによる専門的な相談、コミュニケーション訓練などによるステップアップ、協力企業への就労体験などにより、就労に向けた支援を行っています。
サポステは、厚生労働省が委託した全国の若者支援の実績やノウハウがあるNPO法人、株式会社などが実施しています。
「身近に相談できる機関」として、全国の人が利用しやすいよう全ての都道府県に必ず設置しています(全国175箇所)。
サポステの利用可能者は、は15歳から39歳までの人です。公式サイトは、こちら(地域若者サポートステーション)をご覧ください。
ジョブカフェは、各都道府県に設置されている、就業相談や求人など、より実践的なサポートを行っているところです。
こちらも厚生労働省の説明がわかりやすいため、下記に引用します。(出典:厚生労働省「ジョブカフェにおける支援」)
ジョブカフェは通称で、本当の名前は「若年者のためのワンストップサービスセンター」といいます。
その名のとおり、若者が自分に合った仕事を見つけるためのいろいろなサービスを1か所で、もちろんすべて無料で受けられる場所です。
現在、46の都道府県が設置しています。ハローワークを併設しているジョブカフェもあります。
ジョブカフェの多くは県庁所在地にありますが、地域によってはサテライトという出張所を作ってサービスを行っているところもあります。
ジョブカフェでは、各地域の特色を活かして就職セミナーや職場体験、カウンセリングや職業相談、職業紹介などさまざまなサービスを行っています。
また、保護者向けのセミナーも実施しています。ジョブカフェという名のとおり、カフェの気分で一度立ち寄ってみてください。
全国のジョブカフェの一覧は、厚生労働省のウェブサイト「ジョブカフェにおける支援」に記載されていますので、ご興味があればご覧ください。
就職エージェントとは、民間企業の就職支援サービスのことです。
企業のアドバイザーが面談等を行い、履歴書の書き方や面接の受け方を教えたり、その人に合った就職先を紹介してくれたり、というサービスです。
大手サービスでは、リクルートエージェントやマイナビ転職などがありますが、他にもたくさんあります。ネット検索などでいくつか見つけてみましょう。
ほとんどの場合は無料で利用することができます。
サービスを利用したい場合は、各就職エージェントに直接問い合わせてみてください。
いくつかのエージェントを並行して利用すると、それぞれのよいサービスを同時に受けられます。
ニート支援を行っているNPO法人は数多くあり、それぞれの団体で多種多様なサービスを提供しています。
たとえば次のようなことを行っています。
サービスは団体ごとにさまざまです。
サービスや利用料金は団体によって異なりますので、インターネット等で調べて気になる団体があれば直接問い合わせてみてください。
もしあなたがニートで、その原因に発達障害やうつ病が関連しているようなら、【キズキビジネスカレッジ】の就労移行支援サービスを一度ご覧ください。
この章では、公的な支援と民間の就業支援に関して紹介しました。
ひとつの機関をずっと利用することもあれば、段階的に複数の機関を利用したり併用したりする場合もあります。
そして、サポートを受けたり就職試験を受けたりする際に次のようなことがあっても、落ち込まないでください。
人には相性がありますので、一つのサポート団体が合わなくても、あなたに合うサポート団体は必ずあります。
家族などともしっかり話し合いながら、自分に合ったサポートを探していきましょう。
1章で厚生労働省のニートの定義を紹介しましたが、年齢が「15〜34歳」と限定されていたことを覚えていますか?
現在のニート支援は、この定義に則って実施されていることがほとんどです。
つまり、35歳以上になると、34歳以下の人と同じようなサポートを受けることが難しくなるのです。
また、日本では、フリーター等の若年者に雇用機会を与えるためなどの理由で、求人に年齢制限を設けることが認められています(例:35歳未満のみ応募可能)。(参考:厚生労働省「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A」)
そのため、35歳未満の若年者のみを想定したサポートも珍しくありません。
35歳以上の人のサポート・求人を行っているところももちろんあります。ですが、34歳から35歳になったとき、それまで可能だったサポートを受けたり応募ができなくなったりという可能性はありえます。
支援サービスや求人を探したりする際は、年齢制限に注意しましょう。
就学、つまり高校、大学、短大、専門学校などへの進学や高卒認定の取得も、ニートからの「次の一歩」です。
就業同様、「学び直し」をサポートする塾や団体もたくさんあります。自分に合いそうな団体を探してみましょう。
これまでに紹介した就職サポート団体に相談してみるのも一つの手段です。
自分に合いそうなところがあるか、探してみましょう。私たちキズキ共育塾もその一つです。気になるようならお気軽にお問い合わせください。
ニートとは、就労・就学・求職活動をしていない15歳〜34歳の人のことを指します。
ニートとフリータ-の違いとは求職活動の有無であり、ニートとひきこもりの違いは社会参加の有無でした。
人がニートになる原因はさまざまです。原因にこだわらず、いま、これからを考えましょう。
もしあなたがニートでも、「自分が弱いからニートになったんだ」などと、変に自分を責めないでください。
ニートから次の一歩に進むための心得は、嫌ではないことから始めることです。
いきなり無理をして心が折れてしまわないように準備が必要でしょう。
また、ニートであるからこそ持っている「自由な時間」を使って趣味や勉強に打ち込んだり、自分と向き合ったりすると、「次の一歩」に進みやすくなります。
就職や進学など、ニートからの「次の一歩」に進みたい人をサポートする人や団体は、公的にも民間にもたくさんあります。
あなたに合いそうなところがあるか、探してみましょう。
あなたが「次の一歩」に進もうとしているニートの人なら、心から応援しています。
さて、私たちキズキ共育塾は、ニートからの学び直しを支援する個別指導塾です。
年齢制限もありません。「次の一歩」に進学を考えているようでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。相談は無料です。
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