ひきこもりの中学生と親御さんへのお願い ひきこもり経験者の知見から解説
こんにちは。生徒さんの勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする完全個別指導塾・キズキ共育塾です。
このコラムを読んでいるあなたは、ひきこもりで悩んでいる中学生ご本人か、中学生のお子さんが引ひきこもりになってお悩みの親御さんだと思います。
私には、高校卒業後にひきこもり状態になった経験があります。
このコラムでは、ひきこもり経験のある私から、ひきこもり状態にある中学生とその親御さんに向けて、ひきこもりから次の一歩に進むための6つのお願いについて解説します。
お悩みを抱えるひきこもり状態にある中学生ご本人と親御さんの気持ちが少しでも軽くなり、一歩ずつ前に進めるようお役に立てれば幸いです。
共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス
「ひきこもり経験者の話を聞く」などがオススメです
このコラムの内容は、「さすがひきこもりの経験者がまとめた情報」だと思います。私もひきこもり当事者への取材を20年間続けていますが、同じような心境の方が大勢いらっしゃいました。
不登校やひきこもり状態にある人たちは、「当事者・経験者じゃないとわからない景色」も見ているものです。逆に言うと、当事者・経験者以外には想像できないこともあります。
周囲の人にまずオススメする行動は、詳しい人に相談したり、経験者の話を聞いたり(不登校・ひきこもりに関連した講演・イベントなどはたくさんあります)、手記を読んだりすることです。
目次
ひきこもり状態にある中学生のあなたと親御さんへのお願い
この章では、ひきこもり状態にある中学生ご本人と、ひきこもり状態にある中学生のお子さんがいる親御さんに共通してお伝えしたいことについて紹介します。
お願い①ひきこもりになったことを責めないでほしい
私が一番に伝えたいのは、「ひきこもりになったこと自体を責めないでほしい」ということです。
ひきこもり状態になる可能性は誰にだってあります。そして、そのきっかけは人によってさまざまです。
あなたやお子さんがひきこもり状態になったのは、たまたまきっかけに出会っただけなのです。
また、私の知る限り、ひきこもりは「ひきこもりになりたかった」わけではなく、「引きこもる以外にどうすればいいかわからなかった」ケースが多いように思います。
どうか、ひきこもり状態になったことを責めずに、次の一歩を探してほしいと思います。
私たちキズキ共育塾は、ひきこもり状態にある人のための、完全1対1の個別指導塾です。
生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。
ひきこもり状態にある中学生のお子さんがいる親御さんへのお願い
この章では、ひきこもり状態にある中学生のお子さんがいる親御さんへのお願いについて解説します。
お願い②お子さんが安心できる空間をつくってほしい
親御さんには、家庭の中でお子さんが安心できる空間をつくってほしいと思います。
ひきこもり状態になったということは、家の外で、本人では解決ができない、または向き合うのがつらい出来事があった可能性が考えられます。
引きこり本人はとっても不安で、孤独ですし、あせりもあります。
特に中学生の場合は、中学卒業後の不安もあるでしょう。
具体的には、以下のような不安を感じています。
- 高校に進学できるのかな…
- 働くとして、就職先はあるのかな…
- そもそも、外に出られるようになるのかな…
そんなときに、親御さんから「がんばって!」や「このままじゃダメだよ」などの咤激励をされると、逆効果になることがあります。
少なくとも私の場合はそうでした。
親からそういうことを言われたとき、当時の私は以下のように感じていました。
- 私なりにがんばってきたのに、どうしてこんなこと言われなきゃいけないの?
- きっと私のことを真剣に考えてくれていないんだな…
今であれば、親御さんがお子さんのためを思って「がんばって」と言っていることが、とてもよくわかります。
ですが、苦しみの最中にいるお子さんにとっては、投げやりで、具体的な解決策につながらない言葉に聞こえる場合もあるのです。
そうなると、お子さんは以下のように考えてさらに殻にこもり、次の一歩がさらに踏み出しにくくなります。
- 自分の気持ちをわかってくれる人はいないんだ
- やっぱり自分はダメなんだ…
お子さんが引きもっている姿を見ると、いろいろと口を出したくなるかもしれません。
ですが、そこを我慢して、お子さんが安心できる空間をつくってあげてください。
安心できる空間とは、「守られていると感じられる空間」、「自分らしく、自由に振る舞える空間」、「自分が受け入れられていると実感できる空間」などと言い換えられます。
とはいえ、「どうすればお子さんが安心できる空間をつくれるの?」と悩む親御さんもいらっしゃるでしょう。
例えば、ひきこもり期間を、「親子で過ごせる時間が増えた」とポジティブに考えてみるのはどうでしょうか?
そうすると、親子で一緒に料理をしてみたり、動画を観たり、少しの外出が可能ならば近所まで散歩をしてみたりすることができるようになります。
部屋からも出てこられないようだったら、少しそっとしておいてあげるのもいいかもしれません。
そうするうちに、家がお子さんにとっての安心できる場所になり、次第に不安や悩みを打ち明けてくれるようになります。
そして、親御さんが不安や悩みに寄り添うことで、今後どうしていくかを一緒に考えられるでしょう。
お願い③お子さんを「一人の人間」として尊重してほしい
ひきこもり状態にあるお子さんに対して、「あれこれしてあげているのに、どうして言うことを聞かないの?」と思うことがあるのではないでしょうか。
大人の視点から見ると、「こうした方がいい」「こうなってほしい」など、アドバイスはたくさんあると思います。
それが「お子さんのためを思って」であることも否定しません。
ですが、「親が思う形の、ひきこもり状態からの脱出」を強制すると、親御さんもお子さんも苦しくなります。
親子といえども、お子さんと親御さんは他人です。
中学生はまだ若く、親御さんと比べれば知識も経験も不足しています。それでも、お子さんにはお子さんの価値観や選択があります。
お子さんの考えが親御さんの望みと違っても、頭ごなしに否定せず、まずは尊重してほしいと思います。
なぜこれを伝えたいのかというと、私がひきこもり状態だったときに一番悩んだことだからです。
両親は、引きこもる私にある職業を進めてきました。
それは資格の必要な仕事で、求人も多く、安定した職と呼べるものでした。その職業に就くための進学先まで考えてくれていました。
しかし、私はその職業にあまり興味がなく、将来的にやりたいことは別にありました。
それを私が伝えると両親は猛反対し、「私たちがここまでやってるのに、どうしてそれを裏切るようなことをするのか。親をなんだと思っているのか」と言いました。
私は両親に育ててもらったことを感謝していますし、親をバカにしていたつもりもありませんでした。
だからこそ、「私のことを両親が理解してくれていない」という事実に悲しくなりました。
ひきこもりで自己肯定感が下がっていた時期だったので、心のダメージはかなり大きかったです。
両親は両親で、私に期待をしてくれていたのだと思います。
ところが、その期待は私にとっては大きな負担でしたし、私の思いとも関係ないものでした。
その後も私と両親は何度もぶつかりました。ですが、最終的には両親は私の意見を尊重してくれるようになり、私もひきこもり状態から前に進むことができました。
もちろん、「何でもかんでもお子さんの言うことに従うべき」という意味ではありません。また、一般論として親御さんからお子さんへのアドバイスは重要です。
ですが、せっかくのお子さんを思う心がお子さんとすれ違う原因になるのは悲しいことだと思います。
ぜひ、お子さんを一人の人間として尊重した上で接してほしいと思います(以下の④で述べる相談機関などを挟むとスムーズに進むと思います)。
お願い④家庭・親子だけで抱え込まないでほしい
親御さんは、お子さんの一番近くにいる存在ではあるものの、ひきこもりの専門家ではありません。
お子さんのひきこもりに関するお悩みを、親御さんだけ、家庭の中だけで抱え込む必要はありません。
ひきこもり状態のお子さんと向き合うには忍耐が必要です。また、安心できる空間をつくるにしても、不安や悩みに寄り添うにしても、「具体的に、いつ、何をすればいいのか」は家庭(親御さん・お子さん)によって違います。
お子さんも、そして親御さんも、相談機関などを適切に利用することで、次の一歩に進みやすくなるでしょう。
相談機関には、公的なものも民間のものもあります。
インターネット検索などでお子さんやご自分に合いそうなところを探して、以下のようなお悩みを、ぜひ話してみてください。
- 子供が安心できる空間ってどういうこと?「甘やかし」にならない?
- 子供に優しくしたいけど、どうしても口論になってしまう…
- 自分が何をしても、子供は拒絶する…
特に民間の相談機関の探し方は、コラム「元引きこもりが語る、失敗しない引きこもり支援団体の探し方」をご覧ください。
それぞれの事情に応じた具体的なアドバイスがもらえると思います。
ひきこもり状態にある中学生のあなたへのお願い
この章では、ひきこもり状態にある中学生のあなたへのお願いについて解説します。
お願い⑤「大丈夫。なんとかなる」と思ってほしい
ひきこもりを経験している中学生のあなたは、たくさんの悩み事があるでしょう。
その中でも、中学卒業後など将来への不安が特に大きいのではないでしょうか?
私も、引きこもっていた時期には、「このままでいいのかな。将来どうなっちゃうんだろう。でも、どうすればいいのかわからないな。」と、毎日考えていました。
そんなあなたにいまの私が伝えたいのは、「大丈夫。なんとかなる。」ということです。
確かに、「理想どおり」に生きるのは難しいかもしれません。
例えば、中学での出席日数が少なければ進学できない高校があります。
しかし、人の生き方は一つではありません。
想定していたルートで行けなかったとしても、他の道が探せます。
目的地が変わることもよくあります。
高校進学の例を続ければ、中学の出席日数が少なくても進学できる高校もあるのです。
大学や専門学校への進学を考えているのなら、高校に行かずに高卒認定の取得を目指す、というルートも考えられるでしょう。
そうして、少しずつ前に進んでいけば、いつの間にか「あ、もう大丈夫だ」と思える地点に必ず到達できます。
いまお悩みを抱えるあなたは、「何とかなるって言われても、自分には無理」と思うかもしれません。
ですが、あなたの人生は、決して終わりではありません。
気持ちが落ち着いてきたら、「大丈夫。なんとかなる。」と思って一歩踏み出してみてほしいと思っています。
お願い⑥ひきこもりが「無駄な期間」でも大丈夫だと知ってほしい
私は、自分が引きこもっていた時期のことを「自分にとって必要な時間だった」と認識しています。
人生のレールから一歩外れ、悩むうちに自分と向き合えるようになったからです。
一方で、ひきこもり経験のある芸人・髭男爵の山田ルイ53世さんは、「引きこもっていた期間は無駄だったけど、人生には無駄があってもいい」と話されています。(こちらのインタビューはとても面白いです!)
私は「意味がある」も「無駄だったけど、無駄があってもいい」も、どちらも正しいと思います。
ひきこもり期間に得るものがあれば、私のようにそれを足がかりにして次の一歩に進めるからです。
そして、ひきこもり期間に得るものがなかったからといって、次の一歩に進めないということは決してありません。
ひきこもりじゃなくても、日常生活で「これを得たから次に進もう」と意識せずに「普通に」暮らしている人は大勢います。
とは言え、「自分はひきこもり期間中に得るものがなかったな(自分のひきこもりには意味がなかったな、ひきこもりは無駄な期間だったな)」と思うと、何かを得るまで次の一歩になかなか進めない人もいます。
そんなときは、例えば、以下のように、日常生活や娯楽の中から得られるものを探すのも一つの方法です。
- ずっとテレビを見ていたから、学校に行っていたときより芸能人にくわしくなったな
- ずっとゲームをしていたから、引きこもる前よりゲームがうまくなったな
些細なことに思えるかもしれませんが、こういったことも1つの学びや経験であることはもちろん、いつか人生のどこかで役立つときが来るはずです。
まとめ:中学生でひきこもり状態になっても、次の一歩を踏み出せます
ひきこもり状態にある中学生と親御さんに向けて、これまでのことをまとめます。
ご本人と親御さんへ
- 「ひきこもりになったこと」自体を責めないでほしい
ひきこもり状態にある中学生のお子さんをお持ちの親御さんへ
- お子さんが安心できる空間をつくってほしい
- 家庭や親子だけで抱え込まないでほしい
- お子さんを「一人の人間」として尊重してほしい
いま引きこもっているあなたへ
- 「大丈夫。なんとかなる!」と思ってほしい
- ひきこもりが「無駄な期間」でも大丈夫だと知ってほしい
少しでも取り入れられそうなものから実践することで、きっと次の一歩に進めるようになります。
このコラムが、中学生でひきこもりを経験しているあなたや、ひきこもり状態にある中学生のお子さんについてお悩みのお役に立ったなら幸いです。
さて、キズキ共育塾は、ひきこもり状態にいる人たちが次の一歩に進むことを応援しています。
キズキ共育塾で学んで高校に進学したひきこもり状態にある中学生もたくさんいます。
「勉強したいけど、外出できないから通塾できない」という人は、オンラインで授業を受けることもできます。
少しでも気になるようでしたら、お気軽にご相談ください(ご本人のみ、親御さんのみののご相談も可能です)。
勉強のことに限らず、親子の接し方、生活のこと、また「これからどうすればいいのかわからない」といったご相談もお受けしています。
ご相談いただければ、それぞれのご事情に応じて、より具体的な話ができると思います。
私たちと一緒に、次の一歩に進んでみませんか?
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