ひきこもりと病気や障害の関係とは? 脳や身体への影響、立ち直るきっかけを解説
こんにちは。ひきこもりの方の学び直しをサポートする個別指導塾・キズキ共育塾です。
このコラムを読んでいるあなたは、次のようにお悩みではありませんか?
- ひきこもり状態には、何か病気が関連しているのかな…
- ひきこもりの家族が毎日ものすごくつらそうなんだけど、これって病気?
このコラムでは、「ひきこもりと病気」をテーマに、ひきこもりの定義やひきこもり状態の脳・身体への影響と健康問題、ひきこもりが起こる原因、ひきこもりと病気や障害の関係、ひきこもりから立ち直るきっかけを解説します。
あわせて、ご家族や周囲にひきこもり状態の人がいる方に向けて、ひきこもり状態の人への接し方を解説します。
このコラムが、あなたやあなたの周りの人が一歩前に進むきっかけになれば幸いです。
目次
ひきこもりとは?~定義とその症状~
たまに外出をしているし、部屋にこもって出てこないわけではない…。
このような場合、学校や職場に通っていないからといって、それがひきこもりと呼べるのかどうか判断が難しいかもしれません。
この章では、ひきこもりの具体的な定義について解説します。
ひきこもりの定義〜「外出あり」のケースも〜
厚生労働省によると、「ひきこもり」は以下のように定義されています。
(ひきこもりとは、)様々な要因の結果として社会的参加 (義務教育を含む就学, 非常勤職を含む就労, 家庭外での交遊など) を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい) を指す現象概念である。
(参考:厚生労働省「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」)
つまり、「ひきこもり」とは、社会的な孤立を伴う状態のことであり、病気ではなく、一種の事象と捉えられます。
「ひきこもり」といえばずっと自宅の部屋に閉じこもっているというイメージがありますが、実際には(外出をしていても)人との交流が極端に少ない状態も「ひきこもり」とされます。
例えば、「社会と深く関わらない程度に外出する人(コンビニに行くなど)」も、ひきこもりの定義に含まれます。
日本全国のひきこもり人口は2023年時点で約146万人
内閣府の調査では、15 歳~39 歳対象調査及び 40 歳~69 歳を対象に行われ、結果としてアンケート回答者の中でひきこもりに該当する人の割合は、次のようになっています。(参考:内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)」)
- 15歳~39歳:約2.05%
- 40歳~69歳:約2.02%
この割合を、国内の15~64歳の人口(約7401万人、2023年4月時点)に当てはめて計算すると約146万人の人がひきこもりの状態であることが推測されます。 (参考:総務省「人口推計(令和5年(2023年)4月確定値、令和5年(2023年)9月概算値) (2023年9月20日公表)」)
ひきこもりで実際に見られる状態・症状
ひきこもりと一言でいっても、その状態は個人によって異なります。
部屋から一歩も外に出ない重度のひきこもりから、家の中では自由に活動し、「ゲームを買いに行く」「コンビニに行く」といった限られた外出を行うケースまで、さまざまです。
少しでも外出があると、親としては「うちの家族はひきこもりではないのかもしれない」と考えることもあるでしょう。
また、限られた相手としかコミュニケーションを取らない状況、「家族とだけ話す」といったケースもあります。
中には他の人との交流を一切もたない人もいますが、最近ではオンラインゲームのコミュニティやネット、SNSを通じて人とつながりを持つケースも増えています。
ひきこもりに伴う二次的な症状も多様で、不眠症、生活リズムの逆転、家庭内での暴力などが見られることもあります。
ひきこもり状態の人を支援するためには、まずその状況をよく理解することが大切です。
本人の様子を観察し、具体的な状態を把握することが、適切な支援に向けた第一歩です。(参考:花岡陽子・近藤卓「「ひきこもり」に関する文献的考察 -日本国内および外国における「ひきこもり」の概念一」」、厚生労働省「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」)
ひきこもりと病気や障害の関係〜精神疾患などの「病的要因」〜
ひきこもりの要因には、精神疾患や発達障害などが関連していることがあります。
これらの関係について、具体的にみていきましょう。
要因①精神疾患~適応障害や不安障害、統合失調症など~
厚生労働省は、ひきこもりと精神疾患の関係を以下のように示しています。(参考:厚生労働省「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」、厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業「思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究」、斎藤環『改訂版 社会的ひきこもり』、竹中哲夫『ひきこもり支援論 人とつながり、社会につなぐ道筋をつくる』)
「ひきこもりは原則として統合失調症の陽性あるいは陰性症状に基づくひきこもり状態とは一線を画した非精神病性の現象とするが、 実際には確定診断がなされる前の統合失調症が含まれている可能性は低くないことに留意すべきである。」
(参考:厚生労働省「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」)
統合失調症とは、原因不明で幻覚、妄想、まとまりのない思考や行動、意欲の欠如などの症状を示す精神疾患のことです。原因の一部には、脳の神経伝達物質のバランスの乱れが関係しているといわれています。(参考:厚生労働省「統合失調症 | e-ヘルスネット」)
ひきこもり自体は精神疾患ではありませんが、ひきこもりの人の中には、まだ診断を受けていないけれど、精神障害の可能性がある人も存在するということです。
最近の研究によれば、ひきこもりには精神障害が影響していることもあることが示唆されています。
精神保健福祉センターのひきこもり相談でも、精神障害の診断が適用されるケースが多いことが報告されています。
統合失調症以外にも、ひきこもりと関連の深い精神障害があります。例えば、広汎性発達障害(現:ASD)、不安障害、気分障害、適応障害、パーソナリティ障害などが挙げられます。
また、社交不安症(対人恐怖症)は、ひきこもり状態において最も多くみられる症状のひとつとされています。
ただし、誰に対しても強い不安を感じるというわけではなく、限られた人(特定の友人、母親など)とは気兼ねなく話すことができるという人も少なくないようです。
ひきこもり状態が長引く過程で、対人恐怖が悪化したり、うつ病が発症するなど、二次的な症状が見られることも多いようです。
要因②発達障害~ADHD・ASD・LD/SLDなど~
ひきこもりの当事者調査によれば、ひきこもり状態の人の中には、発達障害のある人が一定数いることが示されています。(参考:星野仁彦「※ひきこもりと発達障害」 、竹中哲夫『ひきこもり支援論 人とつながり、社会につなぐ道筋をつくる』)
発達障害とは脳の機能的な問題が関係して生じる疾患のことで、日常生活、社会生活、学業、職業上における機能障害が発達期にみられる状態をいいます。
発達障害にみられるコミュニケーション障害や偏った認知、特徴的な行動などが、学校や職場などへの適応を難しくし、ひきこもりのリスクを増加させることがあります。
具体的な発達障害の種類は、以下のとおりです。(参考:厚生労働省「発達障害 | e-ヘルスネット」)
- ADHD(注意欠如・多動性障害)
- ASD(自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)
- LD/SLD(学習障害/限局性学習症)
- DCD(発達性協調運動障害)
その中でも、知的能力には比較的問題がない軽度の発達障害は、親など身近にいる人から見ても気づきにくく、障害を見過ごされがちだといいます。
発達障害が考えられる場合、早期の支援や適切な介入が不可欠です。
教育機関、専門家、家族、地域社会などが協力して、適切な支援を提供することが必要です。
ひきこもり状態の脳・身体への影響、健康問題
ひきこもり状態が私たちのこころや身体にどのような影響を及ぼすのか、具体的に探っていきます。
ときどき聞くお悩みのひとつである「ひきこもりが脳を委縮させるのではないか」という点についても、最新の研究結果を踏まえて検討します。
①ひきこもり状態によって生じる身体への影響
ひきこもり状態によって生じる身体への影響としては、下記のような症状がみられることもあります。(参考:花岡陽子・近藤卓「「ひきこもり」に関する文献的考察 -日本国内および外国における「ひきこもり」の概念一」)
- 頭痛
- めまい
- 耳鳴り など
ほかにも、「なんとなく具合がよくない」といった原因不明の身体不調(不定愁訴)がみられます。
また、アトピー性皮膚炎や気管支喘息との併発も多いといいます。
②ひきこもり状態によって生じる精神的な症状
精神的な症状としては、下記のような症状がみられることもあります。
- 抑うつ感
- 自己不全感
- 自己卑下
- 劣等感
- 自信のなさ など
ほとんどの場合に「不安感・焦燥感、緊張感」が見られます。
さらに、「死にたい」「消えてしまいたい」といった希死念慮をもつことがあることも指摘されています。
③ひきこもり状態は脳に影響がある?
不安な声のひとつに、「ひきこもりによって脳が萎縮する・脳が退化するのでは?」といったお悩みがみられます。
しかし、現在のところそのような科学的根拠は見当たりません。
ただしそれとは別に、脳への影響に関しては、京都大学が行ったマウス実験から、社会との隔絶(ひきこもり状態)が脳の神経伝達を抑制し、不安感を高める神経メカニズムが発見されています。(参考:京都大学「社会からの隔絶が不安を招く神経メカニズム、マウスで発見 -引きこもりからの社会復帰へ向けた神経科学からのアプローチ-」)
この実験は動物モデルに基づいていますが、同様の神経メカニズムが人間にも存在し、社会から隔絶することが不安を増大させ、社会復帰を難しくする可能性が示唆されます。
ひきこもりになる原因~挫折やトラウマ、対人関係など~
ひきこもりというと、「親の甘やかし」「こころの弱さ」など家庭や個人が原因であるかのように話されることがあります。(参考:ロザリン・ヨン、野村恭子、高塚雄介、藺牟田洋美、谷口仁史、伊藤弘人、大平哲也, 堤明純「年代別ひきこもりの課題,予防,対策」、厚生労働省「まず知ろう!「ひきこもりNOW」!」、厚生労働省「特集2 長期化するひきこもりの実態」、斎藤環『改訂版 社会的ひきこもり』、厚生労働省「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」)
しかし、ひきこもりの背景はひとつに限定されるものではなく、心理的、生物学的、社会的な要因が複雑に絡み合っています。
例えば、心理的側面では、大きな挫折や疲労感などがひきこもりに影響を及ぼすことがあります。発達障害や疾患による適応の難しさ、ストレスは生物学的要因として考えられます。
社会的側面では、学校や職場での期待や規範に適応することが難しい場合があります。多様な生き方への圧力や社会的な困難も、ひきこもりに関連しています。
ひきこもりの具体的なきっかけとしては、以下の要因が挙げられています。
ひきこもり状態になったきっかけ
- 不登校
- 職場になじめなかった
- 就職活動がうまくいかなかった
- ⼈間関係がうまくいかなかった
- 病気
- 受験に失敗した
- ⼤学になじめなかった
特に、「職場で馴染めなかった」や「⼈間関係がうまくいかなかった」など、対人関係にまつわる挫折体験がひきこもりのきっかけとしてよく見られます。
さらに、いじめ被害や不適切な対応、ひきこもり経験そのものがトラウマとなり、ひきこもりが長期化することもあります。
ひきこもりから立ち直るきっかけ〜脱出のカギ「適切な支援」のヒント〜
ひきこもりの状態から立ち直るためには、適切な支援が不可欠です。
ここでは、「社会とのつながり」に注目した支援について考えてみましょう。
ヒント①家族だけで抱え込まず、ひきこもり地域支援センターや家族会へ相談
ひきこもりをサポートする資源や支援方法は、どこかに限定せず「医療・福祉・教育・就労」といった全体に目を向けることが大切です。(参考:竹中哲夫『ひきこもり支援論 人とつながり、社会につなぐ道筋をつくる』)
支援の基本は、地域社会といった「暮らし」がベースになります。そのため、第一に地域のひきこもり支援センターや保健所などを活用してください。
公的な窓口としては、厚生労働省が運営するひきこもり情報サイト「ひきこもりVOICE STATION」があります。
「ひきこもりVOICE STATION」は、経験者、家族会、支援者などが集まり、意見交換をしたり、正しい情報を共有したりする場です。
また、各都道府県の支援センターを検索できます。
支援機関・相談窓口については、下記WEBサイトを参考にしてみてください。
18歳未満では、以下の場所でも相談することが可能です。
児童相談所
18歳未満の子どもやそのご家族を対象として、子育てやしつけの悩み、発達障害、子どもの行動上の問題、里親、ヤングケアラーなど子どもの福祉に関する様々な相談を受け付けている。
教育相談所(教育相談センター)
幼児から高校生までの子どもとその保護者の教育に関する悩みや不安などについての相談・支援を行っている。
私たちキズキ共育塾は、ひきこもの方のための、完全1対1の個別指導塾です。
生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。
ヒント②医療機関の受診・治療も要検討
改めて、ひきこもりそのものは病気ではありません。(参考:斎藤環『改訂版 社会的ひきこもり』、竹中哲夫『ひきこもり支援論 人とつながり、社会につなぐ道筋をつくる』)
しかし、ひきこもりという状態になった方のなかに、うつ病や社会不安症を抱えている場合があることが報告されています。
また、目立った幻覚や妄想が現れた場合は、統合失調症の可能性を検討する必要があります。
具体的には、以下のようなことを話す場合は注意が必要です。
- みんなが悪口をいう/噂されている
- 自分の思考が他人に読まれている/伝わってしまう
- 他人に操られている
独り言をつぶやいているように見える場合、幻聴の兆候という可能性もあります。統合失調症は薬物療法が不可欠であるため、なるべく早く治療を始める必要があります。
ただし、これらの行動が現れたからといって、それが必ずしも統合失調症を示すものではありません。
被害妄想的な考えは統合失調ではないひきこもりの人の中でも頻繁に見受けられるものでもあります。
いずれの精神障害が疑われる場合においても、正式な診断は医師のみが可能です。気になる人は医療機関に相談しましょう。
精神科医へのアンケート調査「ひきこもりの治療を開始した状況」では、下記の回答が多く挙げられました。(参考:厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業「思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究」)
- 本人、もしくは親が希望した場合
- 統合失調症が疑われた場合
- 自傷他害の恐れが高まった場合
また、有効と考えられる治療法には、薬を使用しない「精神療法」が約87%と一番高く、治療技法には約半数が「家族療法」という回答が得られました。
統合失調症のように薬物療法が有効なケースもありますが、医療機関でも薬一択の治療ではなく個別の症例に合わせて、適切な治療法が検討されています。
ひきこもり状態の人を社会に再接続させるための3ステップ~家族ができるサポート~
この章では、公認心理師・臨床発達心理士・精神保健福祉士である廣瀬眞理子氏の論文に基づいて、ひきこもり状態の人を社会に再接続させるためのストーリーラインを解説します。(参考:廣瀬眞理子「ひきこもり者の社会再接続へとつながる親の関わりプロセスに関する質的研究」)
ステップ①コミュニケーション回復への努力
まずは、ひきこもり状態の人との関係性を取り戻すためにコミュニケーションの回復を図ります。
ひきこもり状態の人から無視される状況の中でも、挨拶など小さなステップから始めることが大切です。会話そのものがない場合であれば、「返事がなくても短文の手紙を書く」というのも有効です。
例えば、「夕飯はカレーです」「クッキーを焼いてみたよ。よかったら食べてね」といった親しみやすく共有しやすい一言メッセージからはじめてみるとよいでしょう。
このような小さな関わり合いを通じて、ひきこもり状態の人は少しずつ話す機会を増やし、自分のやりたいことやしたいことを表現するようになります。
また、その人の特性を理解し、小さな変化に敏感に気づくことも重要です。
ステップ②コミットメントの把握と実現化
次に、ひきこもり状態の人がやりたいことやしたいこと(コミットメント)に焦点を当てます。
コミュニケーションの回復が進むと、「写真を撮りたい」「本屋に行きたい」などの具体的な興味関心への意思表明や、「勉強したい」「大学に行きたい」などの長期的な目標の表明が見られるようになります。
それらの人のコミットメントを把握し、好きなことを活用して社会とのつながりを築いたり、小さなステップを踏み出す手助けを行います。
ステップ③親が社会とつながる
さらに、親が社会とつながることも大切です。親が医療機関や支援機関などに足を運び社会的ネットワークを持っていることで、ひきこもり状態の人が動き出すタイミングで適切なサポートに結びつけられる機会が増えます。
このように、関わることを諦めずに、試行錯誤を重ねていくことで、適切な社会とのつながりを構築することができるとされています。(参考:「ひきこもり者の社会再接続へとつながる 親の関わりプロセスに関する質的研究」)
ひきこもり状態の人への接し方
この章では、社会福祉士の山吹健司氏の論文に基づいて、2つの視点からひきこもり当事者への関わり合いを解説します。(参考:山吹健司「「ひきこもり」に対する支援の方法を探る ―生活困窮者自立支援制度では他機関と連携をする前段階においてどのような関わり合いが必要か―」)
接し方①積極的な傾聴(話を聞く姿勢)
ひきこもり当事者は、 自分を守るために攻撃的になったり、回避的な反応を示すことが多いといいます。
こうした反応の裏には、不安や過去の経験に基づく心の傷がしばしば存在しています。
そのため、相手の話に真剣に耳を傾ける「積極的傾聴の姿勢」を持つことが非常に重要です。
自分の気持ちを安心して表現できる場があることで、徐々に心の健康を回復し、自己肯定感を高めることができるのです。
接し方②無条件の支持(ありのままを受け入れる)
長年ひきこもり研究に従事してきた斎藤は、「ひきこもりに対しては、 人間関係そのものが治療的な意味を持つ」と指摘しています。
特に青年期においては、自分を無条件に支持してくれる人が一人でもいることが重要だといいます。
しかし、「無条件の支持=相手の言うことを聞く」と誤解しないように注意してください。無条件の支持とは、「あなたには、良いところも悪いところもある」それを理解して、寄り添っていくという共感的な姿勢です。
ひきこもりのサポートでは、ひきこもり状態の当事者と信頼関係を築くことが不可欠です。
ひきこもりの人が自分を受け入れ、問題に立ち向かえるように、日々のコミュニケーションを通じて支持的なアプローチを心がけることが大切です。
まとめ〜安心できる居場所を社会に増やしていきましょう〜
ひきこもりの背景は複雑であり、さまざまな要因と症状が絡み合っていることをお話しました。
中には、統合失調症などの精神疾患や発達障害の問題が隠れていることも注意が必要です。
また、ひきこもり自体が、身体や精神に影響を及ぼすこともあります。
ひきこもりから抜け出すには、地域の支援センターや家族会などを活用するのが有効であることにも触れました。必要に応じて、医療や教育、就労、福祉といった幅広い機関とのネットワークを構築することが大切です。
社会学者の川北稔氏によれば、自由と安全は互いに影響し合っており、人は安全な場所が存在することで自由に行動できるようになるといいます。(参考:川北稔「ひきこもり経験者による空間の獲得」)
ひきこもりは、社会から孤立し、居場所を失っている状態です。
学校や職場で行き詰まったとき、その場から距離を取ることができ、行き詰まりをあまり感じなくて済む場所が存在することが、社会参加を続けていくカギとなります。
ひきこもりの問題は、当事者や家族だけで抱えるものではありません。さまざまな支援を活用して、安心できる居場所を社会に増やしていきましょう。
Q&A よくある質問