高卒認定からの大学受験。状況に合わせて勉強しましょう。

2017年5月17日 水曜日 投稿

キズキ共育塾で講師をしている深山修二と申します。

「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定、高認)ってどういう制度?」
「高卒認定取得から大学受験まで、どれくらいの時間がかかる?」

こうした疑問は、高校中退から大学受験を考えている生徒さんからよく聞かれるものです。

高卒認定は、制度そのものを知らない方もいらっしゃいますし、また、「高卒認定に受かってそこからさらに大学受験の勉強をするなんて、時間がとてもかかるのでは?」という不安を持っている方も多く見受けられます。

このコラムでは、「高卒認定から大学受験を目指すケース」について、私の指導経験から具体的な事例をご紹介します。

なお、高卒認定の詳細はこちらのコラム、高卒認定に向いている方のタイプについてはこちらのコラムに記載されていますので、ご参照ください。

今回のコラム内容

苦手科目を「できる!」に変えたA君

ある生徒さん(以下、A君)は、高校中退後、いくつかの科目については独学で高卒認定を取得した状態でキズキ共育塾に入塾しました。

また、数学や物理など、得意な理系科目については、すでに大学受験に向けた学習も段階的に進めていました。

しかしA君は、英語を非常に苦手にしていました。

英語は高卒認定でも必修科目ですし、大学受験でもほぼ必須ということで「とにかく英語をどうにかしたい」と考えて、キズキ共育塾に入塾したのです。

そこで授業では、中学英語の基礎から学習を始めました。

授業を始めてみて気づいたのですが、彼の間違いにはある特徴がありました。

例えば「I speak to English.」や「He don’t studied English.」といった基本的な部分を間違う一方で、write-wrote-writtenの変化は理解していたり、waterが不可算名詞であることを知っていたりしました。

これは、端的に言ってしまえば「断片的な知識」が混在している状態だったのです。

かつて学校や塾で学んだことが、体系的にならずランダムに残っていて、かえって後からの学習を妨げている、ということです。

そこで、まず私が授業で心掛けたことは、かつての知識を忘れたものとしておいてもらう、ということでした。

すでに知っているかもしれないけれど、確認の意味も込めて「最初から」学習する。そして、頭の中でゴチャゴチャになっている知識を整頓し直す、ということを、最初の3か月くらいで意識的に行いました。

A君は、最初こそ自嘲気味に「中学範囲からのやり直しなんですね。大学受験は遠いですね」と言っていましたが、授業が進むにつれて表情も穏やかになり、勉強に前向きに取り組めるようになっていきました。

質問に答えられるようになる、問題に正解できるようになる、という経験を一つずつ積み重ねていった結果だと思われます。

入塾から4か月あまりが経ったころには中学の復習を一通り終え、高校英文法に取り掛かり始めました。そして、それから半年ほどで(=入塾から合計10か月くらいの勉強で)高卒認定の英語に合格できました。

高卒認定取得が大きな自信になったのか、A君はそのままキズキ共育塾で大学受験のための勉強を進めていきました。

そしてA君は志望していた大学に合格し、最終授業のときには次のような言葉を口にしていました。

「先生、おれ、留学とかしてみたいです。せっかく英語も勉強したし」

正直な話、英語が嫌いだったA君が留学を希望するとは思っていなかったので、とても驚きました。

もともと苦手な科目であっても、時間をかけて積み重ねていけば克服できて、好きになることもあり、そこからさらにやりたいことが見つかることもある、ということでしょう。

ブランクから再挑戦したBさん

別の生徒さん(以下、Bさん)は、高校中退後にフリーターをしていました。

高卒認定は高校中退の翌年に全て独学で取得しており、後は大学受験を目指すだけ…という状態でしたが、家庭の事情やアルバイトの忙しさなどもあって、実際には大学受験の勉強には手を付けていませんでした。

しかし、20歳を過ぎて「やっぱり大学に行きたい」と思いはじめ、家族の状況にも余裕が出てきたこともあって再び大学受験を目指そうと決意しました。

そこで、高卒認定からの大学受験に実績のあるキズキ共育塾に入塾しました。入塾時点では、「大学受験のための」という意味では、学力はほとんどありませんでした。

Bさんは、1週間のうち4日間はアルバイトが入っていて、授業を受けられるのはアルバイトのない日のみ。同居する家族の通院介助などもあって、大学受験の勉強に使える時間は限られていました。

そこで、授業では基本的な事項の解説をメインに行い、例えば英単語の暗記や文法問題の演習・丸付けは全て自習という形で進めていきました。

通い始めて2か月ほどは「なかなか勉強が進められない」と悩んでいましたが、「まずは、今できる量でいい」ということを何度も認識してもらうことから始めました。

そして、生活リズムの変化に慣れてくると、こなせる宿題の量も少しずつ増え、徐々に学習の成果が出るようになりました。

その後Bさんは家族の引っ越しに伴ってやむを得ずキズキ共育塾を休塾されましたが、休塾から3か月ほど経って、関西の大学に合格したというメールをいただきました。

そのメールには、「最初はブランクもあって、大学受験なんてやっぱり無理だと思っていました。でも少しずつ勉強ができるようになっていって『あ、自分でもやればできるんだ』って思えるようになりました」と書いてありました。

「限られた時間の中でできるところから少しずつ進めていく大切さ」は、ブランクがあっても変わらないものなのだと、私も改めて認識しました。

なお、勉強のブランク以外にも、「高卒認定の資格に有効期限はありますか?」という疑問も耳にします。現行制度では、無期限で有効となっていますので、その点はご安心ください。

高卒認定から短期で大学受験に受かったCさん

最後に、高卒認定を8月に合格し、同年度の大学受験に受かった生徒さん(以下、Cさん)のケースについてお話しします。

Cさんは3年生になってすぐに高校を中退しました。そして中退から間もなく「その年のうちに高卒認定を取って、大学受験をする」ためにキズキ共育塾に入塾しました。

Cさんは高校中退からブランクがなかったたので、勉強のブランクも短く、生活リズムなども特に大きな乱れがなかったため、スムーズに授業を行うことができました。

Cさんは、高校に行かない分の時間をキズキ共育塾での授業と自宅での自習に割くことで「半年足らずでの高卒認定取得と大学受験合格」に向けて適切な努力をしていました。

Cさんは高校に2年間在籍して単位をとっていたため、高卒認定では6科目が免除となっており、実際に高卒認定を受験する必要があったのは理系科目だけでした。

その理系科目も、適切な努力の甲斐あり、見事合格しました。

高卒認定取得後は、授業内容を大学受験に向けたものに切り替えました。とは言え、これまで見てきたように「高卒認定に受かるための勉強」と「大学受験に受かるための勉強」の間には、ある程度の差があるのが現実です。半年足らずの受験勉強で間に合うのか、Cさん自身、非常に不安に思っていました。

ですが、Cさんには、「将来的に観光に関する仕事に就きたい。そのため観光について学べる大学(学部)に進学したい」という明確な目標があり、その目標意識がCさんの受験勉強へのモチベーションを維持していました。

結果、Cさんは大学受験にも見事合格。後日、Cさんは「迷ってる時間がなかったのが、かえってよかったかもしれませんね」と振り返っていました。

Cさんのように、「自分の目標と現状を総合的に判断し、適切な努力を続ける」のは、言葉にするとシンプルです。けれど、実施するのは大変です。

大学受験(受験勉強)に限らず、特にやりたいこと(目標)が自分でもわからない場合、努力を維持するのは簡単ではないでしょう。もっと言えば、努力以前に何をすればいいのかさえわからないこともあるでしょう。

「やりたいこと」は、勉強する中で、人と話す中でわかることもよくあります。もしあなたが、「この先どうすればいいのかわからない…」と悩んでいるようであれば、お気軽にご相談ください。

高卒認定のよくある不安

以上に見てきたような具体的なケース以外にも、高卒認定を取ろうと考えている方がお持ちの不安はあります。その点についても解説します。

高卒認定は4割の得点で合格!しかも複数回受験できる!

高卒認定は大学受験と異なり、相対評価ではありません。「自分もがんばって6割得点したけれど、他の受験生がみんな8割以上得点したから不合格…」というような事態にはならない、ということです。

実際は4割得点すれば合格なので、高校の全範囲を隅々まで学ぶというよりは、要点を押さえて要領よく学ぶことができれば、1回の受験で複数科目に受かることもよくあります。

また、科目数自体は最大9科目と多いように感じられますが、1回ですべてに合格する必要はなく何度でもチャレンジできますし、一度受かった科目は再度受験する必要はありません。

さらに、試験自体も年2回(8月・11月)行われます。試験自体が久しぶりで8月では緊張して失敗してしまったけれど、11月では要領がわかっていて合格できた、というケースも度々見てきました。

以上から、高卒認定に合格することは決して困難ではなく、それでいて「勉強して受かった!」という経験は自分への自信を取り戻す非常によいきっかけになります。

そうした意味でも、高卒認定はチャレンジする価値があると思います。

9科目あって大変…だけど、大学受験への指標として最適!

大学受験で使う科目数は、私立大学であれば2~3科目くらいが中心を占めています。

なので、高卒認定について「9科目も勉強できるのかな…」「大学受験に使わない科目は無駄なのでは?」などの疑問もよく聞かれます。

しかし、大学受験で使わない科目であっても、例えば社会人に求められる基礎教養として重要であったり、あるいは公務員試験などでは問題範囲に含まれていたりするなど、大学受験以外の機会にそうした知識・素養が求められる場合もあります。

さらに文系・理系の選択や大学の学部選び(なんの分野に自分が興味を持てるのか)など、進路の判断材料としても役に立ちます。

実際に、生徒さんご自身では歴史に興味があると思っていたけれど、「現代社会」の勉強を通じて経済の方にもっと興味を持つようになり、将来就きたい仕事を考えると史学より経済学に進む方がよさそうだと判明して志望学部を変えたケースもありました。

高認試験は受験勉強そのものの指標としても有用です

少々厳しいことを言いますが、高卒認定の問題が解けないにもかかわらず、その科目を用いて大学受験に受かる、ということはまずありえません。

設問の難易度として、「高校を卒業できる(=高卒認定を取得する)」と「大学に入れる(=大学受験に合格する)」との間には一定の開きがあるのが事実なのです。

ただし、怖がりすぎる必要はなく、高卒認定の勉強をしっかりやっておくことで大学受験に必要な基礎力が身につくのも事実です。

その意味で、特に大学受験でも必要な科目に関しては「とりあえず高認に受かればよい」というよりは「大学受験に向けてしっかり基礎から勉強しておこう」という心構えの方がよいと思います(もちろん、段階的には「まず高卒認定に受かる」ということが重要ですが)。

いずれにしても、高卒認定は大学受験のために資格として必須なだけではなく、それ以上に有益なことが多々あるということです。

まず最初の第一歩を踏み出してみることから、次の選択肢も広がっていきます。

一方で、不安があるのは当たり前ですから、その気持ちに寄り添って進めていくことをキズキ共育塾では大事にしています。

現状と目標の距離を知ることからはじめよう

いかがでしたでしょうか。

高卒認定からの大学受験につき、ご紹介した事例は、それぞれの状況に合わせて「うまくいった」ケースです。

共通していることは、自分の現状と目標の間にどれくらいの距離があって、それを埋めるためにはどうしたらいいのかについてよく考え、実践した、ということです。

A君であれば、自分の持っていた知識にこだわらず、最初からの学びなおしを選ぶ、という決断力。

Bさんであれば、限られた時間を有効に活用する、継続力。

Cさんであれば、学校に行かない分の時間を普通の受験生以上に勉強に使う意志の強さ。

それぞれの状況に合わせたやり方で着実に努力を重ねた結果が志望校の合格であり、それを実行できたのが3人に共通する「強さ」だと思います。

「高卒認定を取りたい(取った)」ということは、「『次』に進みたい」という意思の表れだと思います。

一般的に、高卒認定からの大学受験(合格)には、時間がかかります。

ですが、「意思あるところに道は開ける(Where there’s a will, there’s a way.)」という言葉があるように、「『次』に進みたい」という意思があれば、目標と状況に合わせて適切な努力をすることで、大学受験(合格)を目指すことは十分に可能です。

また、高卒認定のための勉強→高卒認定に合格→大学受験のための勉強→大学合格と、一つ一つ関門を突破していく経験を重ねていくことで、「自分はやればできる」という自信も身につきます。

私たちは、そのためにできる限りのサポートを行っています。

あなたが、高卒認定を取得したい、高卒認定から大学受験を目指したいと思っているのなら、お気軽にキズキ共育塾にご相談ください。

「明確な目標がないんだけど…」とお悩みの方も、遠慮はいりません。まずは話してみるだけでも、何かのきっかけにつながるかもしれませんよ。

<※紹介した生徒さんの事例は、記事の趣旨を損なわない範囲で、個人の特定ができないように一部事実を変更しています。>
<※文中の写真は、全てイメージです>

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