もっとも多い不登校の原因はがんばりすぎ 特徴を解説
こんにちは。生徒さんの勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする完全個別指導塾・キズキ共育塾の宮野唯です。
不登校の原因はさまざまですが、私たちキズキ共育塾の生徒さんの中でもっとも多かった原因は、がんばりすぎていることでした。
このコラムでは、不登校のお子さんがいる親御さんや保護者さんに向けて、がんばりすぎが原因で不登校になる子どもの特徴について解説します。あわせて、キズキ共育塾の生徒さんの具体的な体験談を紹介します。
これまでがんばってきたように見えるお子さんが不登校になった、または不登校になりそうな親御さんや保護者さんのご参考になれば幸いです。
共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス
「極限までがんばったがゆえに不登校になった」という例は、たしかに多い事例です。
周囲は「優等生だったのに」「これまで積み上げてきたものが」とショックを受けますが、それは本人も同じ気持ちです。とても大きな衝撃を受けています。
ですが、がんばりすぎて不登校になった人の多くが「あのとき少し休んでよかった」と振り返ります。
保護者の方は、ぜひ温かい目でお子さんを見守ってあげてください。
目次
がんばりすぎが原因で不登校になる子どもの特徴3選
がんばりすぎにも、いくつか種類があります。
この章では、がんばりすぎが原因で不登校になる子どもの特徴について解説します。
特徴①完璧主義
がんばりすぎが原因で不登校になる子どもの中でももっとも多い特徴が、自分のあるべき姿や理想像を追いかける完璧主義です。
- こうでなければいけない
- これができないならやる意味がない
- これができない自分はもうダメだ
物事に対して、架空のあるべき姿のために、がんばりすぎ、「あるべき姿と遠い自分は何もできない」と落ち込み、身動きがとれなくなる子どももいます。
勉強の場面であれば、「英単語は絶対に1回で全部覚えなければならない」というあるべき姿に対し、1回で覚えらなかったときに、「もうダメだ。自分は勉強ができない。こんなんじゃ勉強以外も何もできるはずがない」となったりします。
さらに、完璧主義的な思考に陥ると、今の自分が置き去りになります。「こんなんじゃ目標の大学に入れない」という未来、「毎日20個やるはずだった英単語の暗記が今日は10個しか進まなかった」という過去に意識がとらわれて、今の自分の首をしめることになるのです。
完璧主義はうまく働くと大きな結果に結びつきますが、知らず知らずのうちに自分を苦しめていることに気づけないことがあるのが厄介なところです。
この特徴がある子どもは、人生は必ずしも理想どおりでなくてもよい、と力を抜くことをきっかけに、今に応じた行動をとれば、状況が好転することがあります。
完璧主義については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
特徴②ためこむ性格
次に多い特徴が、人に相談ができない、気持ちを一人でためこむタイプです。
- 自分が我慢すればいいんだ
- 人に迷惑をかけたくない
- 悩みを人に相談するなんて恥ずかしい
以上のような思いから、何か嫌なことや困ったことがあったときに、自分の中にためこみ、一人だけでがんばりすぎています。人に相談すればできたかもしれない効果的な行動ができていない状況におちいることもしばしばです。
これは、他人の感情や視線について、過剰に考える傾向が強いためと考えられます。
自分のことがおざなりになり、勉強や体調が限界を迎えたときに不登校につながるのです。
このタイプの子どもは、他人に悩みを相談する場を作ることをきっかけに、不登校からの立ち直りに、日常生活をぐっと楽に過ごせるようになることが多いです。
特徴③疲労が蓄積している
3つ目の特徴は、心身への疲労が蓄積していることです。
- もう疲れてしまった
- エネルギーが切れてしまった
日々の多忙な生活を長期間がんばってきたことで、気力・体力が枯渇することもあるでしょう。
多忙の原因はさまざまですが、受験勉強や習い事、部活動、予備校、日々の授業の予習・復習などがあります。
家と学校生活がメインのお子さんにとっては、多忙な日常が永遠に続くように感じるのでしょう。
人によっては、幼少期からずっとがんばり続けていることもあります。
文化祭や体育祭など、短期間のイベントに全力で取り組んだときにも、心や体に疲れが出て、それをきっかけに不登校となる人もいます。
この特徴がある子どもは、今の生活を立ち止まって自分のペースを見直したり、病気については医療の手を借りたりすることをきっかけに解決に向かう傾向があります。
補足:親からの「無気力で怠けている」「甘えている」という見方が追い打ちをかける
がんばりすぎが原因で不登校になる子どもは共通して、周囲の反応に敏感な傾向があります。
あなたは、不登校状態にあるお子さんに「無気力で怠けているだけだ」「何を甘えているんだ」などと言ったりしていませんか?
本人は、これまで周囲の期待もある中がんばり続けてきただけに、不登校であるという自身の状況に加えて、周囲からの「無気力なだけなんじゃないか」「怠けているだけなんじゃないか」「甘えている」などという見方によって、さらに苦しめられるのです。
先にお話ししたように、体調面さえ回復すれば不登校から立ち直れたかもしれない場合の方でも、「怠けている」「甘えている」と言われたら、周囲の理解を得られない苦しさや、「自分はただ甘えているだけなのかもしれない」という事実とは異なる思い込みが生じたりすることから、気持ちに悪影響をおよぼすことがあるのです。
そうなると、立ち直りに一層の時間がかかってしまいます。
お子さまが不登校になったとき、これまでのお子さまの生活を振り返ってみましょう。
もし「これまでずっとがんばり続けていたな」と思い当たるようなら、「怠けているだけだ」「甘えている」とは言わないでください。
体験談①高すぎる理想像と自分を比べて苦しんでいたAさん
キズキ共育塾の入塾前面談のときに、「勉強が全然うまくいかない」と涙ぐんでいた高校不登校の生徒さん(以下、Aさん)がいました。
ですが、高校に通えていたときの成績を聞くと、客観的には決して悪くなく、どちらかと言えば上位の方でした。
つまりAさんは、受験科目、志望大学、志望学部、大学卒業後の職業に至るまで、「自分はこうしなければ、こうあらなければいけない」と、高すぎる理想を頭に描いていたのです。
その高すぎる理想と現在の自分を比べて、「私はダメだ」と思い込んで身動きが取れなくなり、不登校になってしまったのでした。
「完璧主義」が原因の不登校です。
私は、「こうあらなければ」と苦しみながらも勉強を続けることができていた「過去のAさん」を思い、「今までよくがんばってきましたね。一人でここまで勉強できたのはすごいですね。」と心から言いました。
そして、「これからは先生と相談しながら目標と計画を立てて、一緒にやっていきましょう」と伝えました。
初めて会ったばかりの私にそんなことを言われても、Aさんは素直に受け取れないようでした。
ですが、「勉強がうまくいっていない」という思いから、不登校の方の指導に実績があるキズキ共育塾への入塾を決めてくれました。
その後Aさんは、キズキ共育塾で授業を受けたり講師とコミュニケーションをとったりする中で、まず理想と自分の距離を理解してくれました。
そして、だんだんと「今の自分がするべきこと」、「毎日をそんなに完璧に過ごせなくてもよいこと」、何より「必ずしも理想どおりじゃなくても幸せな人生を過ごせること」などをわかってくれて、高すぎる理想を掲げて完璧にがんばりすぎることはやめました。
そんなAさんは、その後、大学に見事合格しています。
体験談②人に悩みを相談できず、一人で苦しんでいたB君
ある生徒さん(以下、B君)は、「ため込む性格」が原因の不登校でした。
B君は、高校から数学と英語の授業についていけなくなり、毎日つらい思いをしていました。
ですが、その性格から、授業中に質問したり、友人や家族に現状を訴えたり、ましてや助けを求めたりすることもできずにいました。
苦しい思いを我慢して高校に通っていたのですが、それで勉強ができるようになるはずがなく、ある日苦しさは限界を迎えました。
そして高校を不登校となり、不登校状態のまま卒業しました。
高校卒業後、B君は、何をするでもなく毎日を過ごしていたのですが、数年が経ち、改めて前に進もうと決断しました。
そして、「とりあえず」システムや実績などを聞いてみようと、キズキ共育塾を訪れました。
最初は、自分の悩みを私たちに相談するつもりはなかったのです。
そうして訪れたB君と話すうちに、私は、「悩みをためこむタイプの、がんばりすぎる方だ」と、経験から推測しました。
そこで私は、「せっかく来たのだし、入塾しなければもう私と関わることはありませんよ。ですから、試しに、私に悩みを相談してみませんか?私にとっては迷惑じゃありませんし、あなたにとっても恥ずかしいことじゃありませんよ」とB君に伝えました。
すると、B君は、勉強がわからなくてつらい思いをしていたことや、誰にも相談できずに悩んでいたこと、自分がこれからどうしたいかなどについて、ポツポツと話し始めてくれたのです。
一度悩みを吐き出せたことがきっかけに、B君は、他人に相談すること、悩みを打ち明けることの効果を理解しました。
つまり、気持ちが楽になり、ときには具体的な解決方法も見えてくる、ということです。
その後B君は、保護者さまにも、これまでつらかったことやこれから自分はどうしたいのかを話すことができました。
B君は、つらいときや苦しいときに他人と相談することができるようになり、キズキ共育塾の授業でもどんどん質問できるようになりました。
そして、周囲の助けを得ながら学習を続けた結果、志望校に合格することができました。
体験談③毎日深夜まで勉強を続けていたCさん
ある生徒さん(以下、Cさん)は、「心への疲労の蓄積」が原因の不登校でした。
Cさんは、通っている高校では大学受験対策コースに在籍し、熱心に勉強をしていました。
ですが、うまく授業についていけないことから、某予備校にも通い、毎日深夜まで予習・復習をする生活を続けていました。
その時期のことを振り返って、Cさんは、「いつまで経っても終わりが見えず、勉強すればするほどさらに勉強することが増えていくような気分だった」と言っていました。
そうした生活が続く中、Cさんの心には疲労が蓄積していきました。
そしてCさんは、学校へ通えなくなるほど心に変調をきたし、不登校になってしまったのです。
Cさんは、不登校期間に病院での治療と家族・友人によるサポートを受けて、高校通学を再開することができました。
通学再開後、Cさんは、毎日深夜まで勉強をがんばるスタイルをやめました。
高校に通いつつ、高校の授業でわからない部分は、心身への疲労がたまらないようにペースを調整できるキズキ共育塾で勉強するようになったのです。
こうすることで、がんばりすぎず、受験勉強と体調管理の両立ができるようになりました。
参考:学校休んだほうがいいよチェックリストのご紹介
2023年8月23日、不登校支援を行う3つの団体(キズキ、不登校新聞、Branch)と、精神科医の松本俊彦氏が、共同で「学校休んだほうがいいよチェックリスト」を作成・公開しました。LINEにて無料で利用可能です。
このリストを利用する対象は、「学校に行きたがらない子ども、学校が苦手な子ども、不登校子ども、その他気になる様子がある子どもがいる、保護者または教員(子ども本人以外の人)」です。
このリストを利用することで、お子さんが学校を休んだほうがよいのか(休ませるべきなのか)どうかの目安がわかります。その結果、お子さんを追い詰めず、うつ病や自殺のリスクを減らすこともできます。
公開から約1か月の時点で、約5万人からご利用いただいています。お子さんのためにも、保護者さまや教員のためにも、ぜひこのリストを活用していただければと思います。
- 「学校休んだほうがいいよチェックリスト」はこちら(LINEアプリが開きます)
- 「学校休んだほうがいいよチェックリスト」作成の趣旨・作成者インタビューなどはこちら
- 「学校休んだほうがいいよチェックリスト」のメディア掲載・放送一覧はこちら
私たちキズキでは、上記チェックリスト以外にも、「学校に行きたがらないお子さん」「学校が苦手なお子さん」「不登校のお子さん」について、勉強・進路・生活・親子関係・発達特性などの無料相談を行っています。チェックリストと合わせて、無料相談もぜひお気軽にご利用ください。
まとめ〜解決のため、人の力も借りてみましょう〜
不登校のお子さんは、自分だけではどうしたらいいのかわからない、自身の状況に気づけない状態に陥ってしまっていることが多いのですが、周囲の理解と助けで不登校の状況が改善する可能性は大いにあります。
そして、保護者さん自身についても、がんばりすぎて苦労している人がたくさんいるでしょう。
保護者さんも含めて、周囲の理解と助けを求めることを試してみるとよいかと思います。
不登校の原因や取るべき対応は、ちもろん人それぞれです。
もしあなたが不登校状態にあるお子さんのことでお悩みでしたら、キズキ共育塾にご相談ください。それぞれのお子さまに応じたお話ができると思います。
保護者さんだけのご相談もお受けしています。お気軽にご連絡ください。
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