不登校中の昼夜逆転はよくあること? 原因・治し方・親にできること
こんにちは。不登校の人や学校が苦手な人の勉強とメンタルを完全個別指導で応援するキズキ共育塾の内田青子です。
不登校の子のよくあるお悩みに、昼夜逆転があります。
不登校の子の多くが昼夜逆転の生活で悩んでおり、キズキ共育塾にも、お子さんや親御さんからよく以下のようなお悩みをいただきます。
- 昼夜逆転の生活を治したいけれど、朝起きられない…
- 子どもが夜に起きてゲームばかりしていて心配…
本コラムでは、不登校の昼夜逆転の生活についてお悩みのお子さんご本人や親御さんに向けて、その治し方をご紹介します。
共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス
昼夜逆転は、いますぐ治さなくても大丈夫です
昼夜逆転は、不登校中の生活の典型パターンのひとつです。このページには、かなり具体的ないい対策を掲載しているので、ぜひ参考にしてほしいです。
ただ、昼夜逆転は「いますぐに治す方法を見つけなければいけないもの」ではありません。それは、「納得できる、朝起きる用事」ができれば自然に治っていくことが珍しくないからです。治りかけてくると、大体の人間は日があるうちに起きている方が気持ちいいので、いずれそのように落ち着いていきます。その上で、短期的に治したい場合は、紹介しているような方法を一つずつ試してみるといいかなと思います。
補足として、昼夜逆転解消のために早く寝ようとする人がいます。これは、あまりオススメできません。「無理やりに早く寝ること」は、人間の脳ではできません。結果として、寝ようとして眠れない時間で、自分をずっと責めたり学校に行けなくなったきっかけを悔いたりして、苦しむと同時に脳が冴えてきます。自然に眠くなるのを待ちましょう。
目次
昼夜逆転に悩む不登校の子どもは約70%
不登校で昼夜逆転している人は少なくありません。
やや古いデータですが、平成18年度の文部科学省の調査では、「不登校の小中学生の生活リズムの乱れ」の割合は次のようになっています。
不登校中「生活リズムが乱れ苦労した」
- おおいにあった:33.8%
- 少しあった:34.0%
このように、不登校の小中学生の約70%が、多かれ少なかれ生活リズムの乱れに悩んでいるのです。
(出典:
文部科学省『「不登校に関する実態調査」~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~』
私たちキズキ共育塾の実感からも、不登校で昼夜逆転になる子は珍しくありません。
まずは、あなた(あなたのお子さん)だけが、昼夜逆転しているわけではないことを、知ってください。
不登校中に昼夜逆転になる3つの原因
それでは、どうして不登校の子どもは昼夜逆転に陥りやすいのでしょうか?
ここからは、不登校の子の昼夜逆転の大きな原因を3つご紹介します。
また、前提として不登校から昼夜逆転になるのは、あなた(お子さん)が怠け者だからではありません。
不登校同様に、昼夜逆転も、誰でもなり得るものとご理解いただければ幸いです。
原因①不登校への自責の念がある
不登校の子どもは、学校に行けないことに罪悪感を抱いていることが多いです。
朝や昼間は、次のように、自分が不登校であることを強く実感する時間です。
- 「みんなは普通に学校に行っているのに、自分にはそれができない。なんてダメなやつだろう」
- 「家族が仕事や学校に出かける朝の時間が苦痛だった」
- 「登下校の時間帯に、同い年くらいの人たちの声が外から聞こえるのが嫌だった」
罪悪感から逃避したいあまり、昼間は寝て時間が過ぎるのを待ち、みんなが活動していない夜中であれば、ほっと一息つけるため、夜中に動き始めます。
少しでも夜の安心できる時間を長く過ごしたいと、眠らず(眠れずに)にいるようになります。
このように、不登校の子どもは、昼間に自分を責める結果、昼夜逆転に陥りやすいのです。
原因②学校という縛りがなく自己管理が難しい
不登校の子どもは、学校という縛りが無いので、生活の自己管理が難しいといった面があります。
昼間に仕事や家事をしている親御さんも、「もし、自分に仕事や家事がなかったら?」と考えてみてください。
毎日、決まった時間に起きて規則正しい生活ができるでしょうか?
自己管理は、大人でもなかなか難しいものです。
お子さんに対して、次のような認識が必要です。
- 学校や仕事の縛りがあるから、みんなができているように見えるだけ
- 個人差はあるものの、そもそも心身ともに成長期である若者は、大人よりも睡眠を多く必要としている
- 体内リズムが夜型寄りな人もいる
「他の家族は目覚めがいいのに、どうして一人だけ睡眠時間が違うんだろう」などと思わず、親と子は必要な睡眠量や体内リズムがそもそも違うのだと認識してください。
昼夜逆転している自分(お子さん)を責めないことが大切です。
原因③病気・障害が関係する
不登校にも、昼夜逆転にも、病気や障害が関係することがあります。
これには、病気・障害のために不登校と昼夜逆転になったパターンもあれば、不登校や昼夜逆転になってからの不規則な生活が病気につながっているパターンもあります。
例えばですが、「学校生活に悩んで、実はうつ病になっていた。そのため学校にも行けず、昼夜逆転にもなっている」という人は、珍しくありません。
特に「心の病気」は、本人にも自覚がなかったり、親御さんの目で見てもわかりづらかったりするのです。
病気も障害も、「あなたのせい」ではありません。
不登校のあなたに伝えたい昼夜逆転の治し方
このコラムを読んでいる不登校のあなたは、昼夜逆転を治したいと思っていることでしょう。
不登校の昼夜逆転には、前述したようにいろいろな原因がありえますし、解決のための具体策もさまざまです。
この章では、特に不登校の本人に向けて、キズキ共育塾の講師や生徒さんの実体験に基づきつつ、昼夜逆転の治し方をご紹介します(もちろん、親御さんが読んでも参考になると思います)。
治し方①昼間家にいる自分を責めない
先ほどもお伝えしましたが、「不登校の昼夜逆転」の原因の一つは、「昼間家にいる自分への罪悪感」です。
次の3つを意識してみましょう。
- 不登校であること、昼間学校に行けないことは、決して罪悪感を抱くようなことではありません
- 原因がなんであれ、不登校は、どんな人でもなり得ます
- 学校に行っていない自分を許し、責めないでください
自分を責めそうになったら、「学校に行っていなくても大丈夫」「今はそういう時期なんだ」と自分に言い聞かせましょう。
治し方②昼の12時までに起きることを目標にする
不登校の期間は、運動量の低下により体力が落ち、日中もだるくなりやすくなります。
はじめから「毎日、早寝早起きをする」ことを目指すのではなく、「とりあえず、昼の12時までに起きること」を目指しましょう。
それも毎日できなくても大丈夫です。
- 「お昼までに起きれた日はOK」「起きられなかった日はゆっくりする」などと、気軽に取り組む
- 気軽に始めて、一週間のうちに1日でも2日でも午前中に起きるようにする
- 二度寝を防ぐために枕元にバナナなどの果物を用意し、起きたらまずは果物を食べて動くスイッチ入れる
治し方③午前中に用事を作る
午前中に起きるためには、午前中に用事を入れましょう。
オススメは次の3つです。
- 人と会う用事を入れる
- 塾、病院の予約、アルバイト、友達と会う約束を入れる
- 何も用事が作れない人は、家族と午前中に買い物に出かける予定を作る
治し方④日中に運動する
オススメの運動は次の4つです。
(1)昼間に運動する
昼間に運動すると、体が疲れて夜には眠りやすくなります。
運動後、体が疲れても昼寝はできるだけ我慢しましょう。
運動はストレス解消にもなるので、「昼間に家にいて何もしなかった」という罪悪感を和らげてくれる効果もあります。
(2)軽い散歩をする
激しい運動が苦手な人は、朝起きてすぐに軽い散歩をすることをオススメします。
軽い散歩でもストレスは解消されますし、散歩を日課にすると朝起きやすくなります。
散歩をする際は、学校の通学時間が終わったあと、10時~正午くらいが、周囲の目を気にすることなく活動できるので、オススメの時間帯です。
また、午前中の日光を浴びることで、セロトニンという脳内物質が分泌され、気分の落ち込みが軽くなります。
(3)家でできる運動をする
外に出る気持ちにならない場合は、家でできる運動「リングフィットアドベンチャー」「フィットボクシング」もオススメです。
自分でもできそうだなと思う運動をぜひ取り入れてみてください。
また、運動が終わったあとはおやつタイムにするなど、自分へのご褒美をつくると継続しやすくなるかと思います。
治し方⑤寝室のカーテンを日光を遮断しないものにする
朝、日光が顔に当たると、起きやすくなります。
ところが寝室のカーテンが遮光カーテンだと、朝になっても日光が届きません。
寝室のカーテンを朝日が入るもの(遮光しないもの)に変えるだけでも、グッと起きやすくなります。
次の4つを試してみましょう。
- 起きたらカーテンを開けましょう。不登校で昼夜逆転している人の中には、一日中、部屋のカーテンを閉めっぱなしにしている人が多いです。日中も、部屋に光が入ってくると、昼寝をしにくくなります。
- 防犯や寒暖が問題なさそうであれば、「カーテンを閉めずに(レースのカーテンだけ閉めて)寝る」
不登校中に昼夜逆転生活の経験があるキズキ共育塾のスタッフの実体験によると、次の方法も効果があったようです。
- 窓の近くで寝ることで起きる時間に朝日を浴びるようにした
- 日光ではないけれど照明にタイマーをかけ起床時間になると光が顔にあたるようにした
治し方⑥「布団やベッドに入るのは寝るときだけ」と決める
布団やベッドに入るのは、眠たくなったときだけにしましょう。
具体的には、次の4つを意識してみてください。
- 眠くないうちからベッドに入るのをやめる
- 眠たくないときや眠りたくないときはベッドに入るのをやめる
- 朝、目が覚めたらベッドの中から出る
- ベッドの中でスマホや本を見たりゲームを見ない
眠くなったときにだけ布団やベッドに入ることで、「ここは眠るところである」と脳に意識づけるられるので、スムーズに眠れるようになります。
ただし、昼夜逆転している今は、「眠たくなる時間」は朝や昼かもしれませんね。
ですので、他の方法を試しながら「夜に眠たくなる」ような生活にも変えていきましょう。
また、昼夜逆転が直り気味になっても、近くにベッドがあると「昼間にスマホを見ながら寝転んでいたら、ついウトウトして、また夜に眠れない…」ということもあると思います。
そのような人は、次の3つを工夫してみましょう。
- 起きたら布団を畳む
- 昼間はリビングで過ごす
- 昼間は図書館に行く
治し方⑦その他:夜に寝るため・朝に起きるための工夫をする
朝、起きるためには、しっかりと夜に睡眠をとることが大切です。
夜更かしをせずに、夜寝るための工夫をしてみしょう。
夜寝るためには、、次のような工夫がオススメです。。
- アイマスクをする
- アロマを焚いて寝る
- ヒーリング音楽を聴いて寝る
また、朝起きる方法にも、さまざまな方法があります。
夜に眠るための方法は、下記のコラムに書いていますので、ご興味がありましたらぜひご覧ください。
朝起きるための方法は下記のコラムに書いていますので、ご興味がありましたらぜひご覧ください。
治し方⑧病院・支援機関を利用する
前章でお伝えしたように、昼夜逆転には、病気や障害が関係することがあります。
これまでにご紹介した「夜眠る方法」や「朝起きる方法」も試しつつ、病院や支援機関を利用することもオススメします。
(1)病院
病院は、インターネットで「病院 睡眠 相談 ○○市」などと検索すると、お近くの小児科、睡眠外来、自動精神科、メンタルクリニックなどが見つかると思います。
(2)病院以外の支援者
病院以外の支援者も、同じように「不登校 相談 ○○市」などと検索して見つけた団体などに、「不登校の悩み」や「不登校に関連する昼夜逆転の悩み」などを相談できると思います。
病院以外の相談先が信用できるかどうかわからなくて不安な場合は、大人の人にもその団体を確認してもらったり、まずは市役所などの公的な相談窓口を利用したりしてみましょう。
なお、私たちキズキ共育塾も、医師の先生が監修する「睡眠改善プログラム」というものを行っておりますので、気になるようでしたらお気軽にご相談ください。
子どもの昼夜逆転のために親ができる4つのこと
続いて、特に親御さんに向けて、不登校のお子さんの昼夜逆転解消に向けてできることを紹介します。
できること①昼夜逆転を叱らない
不登校のお子さんの昼夜逆転を、叱らないようにしましょう。
不安になり、つい怒りたくなるお気持ちはよくわかります。
しかし、叱責しても昼夜逆転は直りません。
先述したように、昼夜逆転の根底には罪悪感があり、叱責されることで罪悪感はますます強くなるからです。
モヤモヤするかもしれませんが、「お子さんの昼夜逆転を叱らない」「無理に直そうとしない」などのお子さんへの態度が、昼夜逆転克服の第一歩です。
関連して、今現在のお子さんが夜に行っていることも、否定的に捉えないようにしてください。
例えばですが、スマホ、ゲーム、PC、マンガなどです。
不登校のお子さんにとっては、夜中のゲームやパソコンが心の救いであったり、現実逃避の場であったりします。
「今のこの子にとって、夜中のゲームは必要なのだ」と、子どもが夜にしていることを認める姿勢も大切です。
ただし、ずっとそのままだと昼夜逆転が治らない可能性もあります。ですので、あわせて、次項以下の方法を実施していきましょう。
できること②子どもの自己肯定感を上げる
昼夜逆転の原因となる「家にいることへの罪悪感」を解消するためには、お子さんの自己肯定感を上げていきましょう。
「みんなが学校に行っている昼間に家にいる自分はダメな人間だ」と思い込んでいるお子さんの自己肯定感を上げることが、昼夜逆転生活の根本的改善、ひいては不登校の次の一歩につながります。
子どもの自己肯定感を上げるためには、以下のような方法があります。
- 得意なこと、好きなことをさせる
- 日常的に子どもに肯定的な言葉をかける
- 小さなお手伝いを頼んで、できたら褒める
「お皿洗いしてくれて助かる」「あなたと買い物に行くと楽しい」などと、子どもを肯定する言葉がけをしていってください。
特にお手伝いを頼むと、「自分でも何かの役に立つことができるんだ」と子供の自己肯定感を育みやすくなります。
できること③昼間の用事をつくる
昼間に起きる生活をするためには、昼間にお子さんに用事をつくることも効果的です。
お子さんの状況によって、短時間でもいいので外に連れ出す用事をつくりましょう。
- 親と一緒の買い物や外食をする
- 散歩をする
家事などのお手伝いでもかまいません。
できること④第三者(専門家)に相談する
不登校も昼夜逆転も、本人や親の意志や努力だけで改善する必要はありません。
ぜひ、専門家に相談してみてください。
不登校の昼夜逆転を相談できる専門家には次のようなものがあります。
- お子さんが在籍している学校のスクールカウンセラー
- 小児科(小児精神科)、心療内科
- 臨床心理士などのカウンセラー
- 市区町村の相談窓口
- 不登校支援をしている民間支援機関(私たちキズキ共育塾もその一つです)
- 不登校親の会(同じ悩みを持つ親の経験談やアドバイスを聞けます)
外部の力を借りると、解決がスムーズに進むこともよくあります。
不登校が関係する昼夜逆転を克服した体験談
私たちキズキ共育塾では、多くの不登校の生徒さんを支援しています。昼夜逆転に悩んでいる生徒さんや、昼夜逆転を経験した生徒さんも大勢いらっしゃいます。
以下、不登校からの昼夜逆転を克服した生徒さんの事例を2つご紹介します。
体験談①自責の念と親御さんの叱責が昼夜逆転につながったA君
中高一貫校に進学したA君は、クラスメイトの優秀さや勉強への熱意に圧倒されて自信を失ったことから、不登校になり、ひきこもり気味にもなりました。
教育熱心な親御さんはA君を厳しく叱りました。
A君は学校に行けないことに対する自責の念を強めていきますが、一方で、学校に行きたくない気持ちも消えません。
A君はどうすることもできず、家の中で肩身の狭い思いをして過ごしました。
家で勉強しようとも考えましたが、「勉強するなら学校に行け」と言われそうだと思い、勉強もできませんでした。
そしてA君は、「昼間起きていても、家には自分の居場所がない」と思い、昼夜逆転生活に移行しました。
夜は親も寝静まり、家の中でのびのびと過ごせます。
外を散歩しても同世代の人はいないので、周りの目が気になりません。
夜だけは自分の置かれた現実を忘れることができました。
そんなA君は、ずっと「このままではいけない。なんとかしたい」とは思いながらも、「親に相談しても怒られるだけだし…」とも思っていました。
そして昼夜逆転生活が一年以上続き、A君は不登校のまま中学3年生になりました。
この段階で、A君は覚悟を決めました。
親に「高校に入りたい。受験勉強を勉強したい。でも今の学校に行きたくないのは変わらない」と伝えたのです。
A君は「また怒られるんだろうな」と思っていたのですが、親御さんは静かに安堵し、調べていたキズキ共育塾をA君に紹介しました。
そしてA君に今までの態度を謝ったそうです。
A君は、キズキ共育塾で高校受験の勉強を行い、その後、通っていた中高一貫校とは別の高校に進学しました。
そして、A君の昼夜逆転は、「昼間にキズキ共育塾に通う」という予定を行ううちに、次第に治っていきました。
このように、「自責の念が昼夜逆転につながること」「同世代が外にいない時間帯として夜の生活を選ぶこと」「親が叱っても逆効果であること」「昼間の予定に効果があること」などがわかると思います。
体験談②厳しい課題を終えられず昼夜逆転し、うつ病になったB君
進学校に通う高校生のB君は、非常にまじめで、成績も校内上位を示していました。
そんなB君の高校の数学の先生は、ミスをした生徒を皆の前で厳しく叱るタイプだったそうです。
当時のことを振り返って、B君は「数学は恐怖で勉強していました」と言います。
B君は、元来のまじめさと恐怖から、数学の課題に特に集中して取り組んでいました。
すると、他の科目に手が回らなくなりました。
彼はパンクしてしまい、やがてペンを持つと手が震えるようになりました。
それでも彼は、「家で宿題をやり切ろう」と長時間机に向かい続けました。
そして完全に昼夜逆転するようになり、朝起きられないことから学校にも行けなくなりました。
B君の親御さんは、最初は「自分は大丈夫。すぐに元に戻る」と言うB君の言葉をそのまま受け止めていました。
ですが、昼夜逆転になった頃から改めて話をしてみたところ、「大丈夫ではない」との判断に至り、B君を病院に連れて行きました。
結果、B君はパニック障害とうつ病を併発していると診断されました。
B君は通院を始め、症状がよくなってからキズキ共育塾に入塾し、その後通信制高校に転校しました。
昼夜逆転は、厳しい先生から離れ、治療をするうちに治っていきました。
B君の事例からは、次のことがわかると思います。
- 不登校と昼夜逆転は病気が関係する場合がある
- 適切に医者などを頼ることが重要
「不登校中の昼夜逆転の克服」に役立つキズキ共育塾の講師のアドバイス
この章では、個別指導塾・キズキ共育塾の講師たちによる、「昼夜逆転を改善するためのアドバイス」を紹介します。
参考として、ぜひご覧ください。(これまでの内容もキズキ共育塾の知見に基づくものであるため、一部重複する部分もあります。また、講師名は仮名の場合もあります)
O.R講師からのアドバイス
私は中学校と高校に、断続的に不登校を繰り返していました。 学校に行かない期間は、生活リズムも乱れがちで昼夜逆転の生活がほとんどでした。 そんな私が昼夜逆転の生活から改善したポイントは、「昼夜逆転の生活をニュートラル(中立的)に受け止める」ことです。 「昼夜逆転はよくないことだ」と一般によく言われます。ですが、昼夜逆転に自体には良いも悪いもありません。 ではなぜ、昼夜逆転はよくないこととされるのでしょうか? それは私たちの活動時間が、昼間を想定しているためです。 仮に社会が夜に活動するのが基本となったら、昼夜逆転は悪いものとはみなされなくなる可能性もあります。 つまり、昼夜逆転にともなう罪悪感は、「本来あるべき社会の慣習から外れた自分」に認められないがために起こることだと言えます。 その罪悪感を手放す方法の一つとして、「昼夜逆転によって得られるメリット」と「昼夜逆転している自分でも、生きてることで貢献していること」をノートに書きだしていく方法があります。 たとえば、「昼夜逆転することで、静かな環境で過ごせる」「昼夜逆転していても、生きてることで両親が安心する」などです。 最低でも10個ずつ、毎日書き出してみましょう。 ポイントは、「ノートに書きだすこと」「毎日、時間をとって取り組むこと」です。 「昼夜逆転がよくないことだ」という思考を手放していくことが大切になります。
昼夜逆転の原因として、スマホやゲームの長時間の使用も一因の可能性があります。 これらにはブルーライトが出ており、太陽光にも含まれています。 人はブルーライトを感知すると、約16時間後に自然な睡眠に導くメラトニンという物質が分泌されます。 つまり、朝日を午前7時に浴びると午後11時頃に眠気が訪れます。 昼頃に起きてしまうと、それだけ眠気の時間が後ろ倒しになり、昼夜逆転が起きてしまうのです。 人間には体内時計という、約24時間周期で刻むリズムがあります。ほぼ正確ですが、多少ずれることもあります。 これを正しくリセットするのに役立つのが、ブルーライトです。 起床時に日光を浴びることでリセットされますが、就寝前にスマホを見ると脳が朝日と勘違いして眠れない状態になるのです。 昼夜逆転の治すポイントは、就寝前にスマホやゲームをしないことです。 充電する場所も寝室以外にしましょう。そして、毎日の起床時間を一定にして、朝は朝日を浴びるようにしましょう。 そうすれば体内時計もリセットされて、自然と夜に眠気がくるようになっていきます。 このように、リズムが乱れて昼夜逆転しているだけであれば、治すことができます。 しかし、体内時計のリズム自体に障害がおきていると「睡眠リズム障害」の可能性もあります。これは起立性調節障害と関連があるようです。 朝どうしても起きられない、スマホなどを見ていないのにも関わらず夜眠れない場合は、医師の診察を受けましょう。
加藤藍講師からのアドバイス
体の体内時計は、1日24時間ではありません。 その体内時計をリセットするために、朝日を浴びるとよいことはよく知られています。 ですので、まずは朝日を浴びることを目標にしてみましょう。 一回昼夜逆転してしまうと、なかなか朝日を浴びることは難しいかもしれませんが、朝日の入る部屋を寝室にたり、寝室を東向きの部屋にしたり、カーテンを少し開けて就寝してみましょう。 朝日を浴びられれば、最初は起きられなくても大丈夫です。 ある程度の期間、朝日を浴びることを続けることで、「起き上がってみようかな」と思えるようになるかもしれません。 そうなったら、次は「起きたあとに待っている楽しみなこと」を用意してみましょう。 例えば、美味しい朝ごはんや好きな動画、ちょっと良いお茶を飲むなど、あなたが好きなものなら何でも大丈夫です。 朝起きてから準備するとハードルが上がってしまうので、事前に準備しておくこともポイントです。 「あとは電子レンジでチンするだけ」の状態にして冷蔵庫に入れておいたり、ベッドから少し離れたところにスマホやタブレットを置いておいたりするようにするとよいと思います。 「ご褒美」を用意することで、朝に起きるモチベーションを作りましょう。 このように、眠くない状態で無理に寝ようとするのではなく、まずは朝に起きることを目標にすることがポイントです。 自然と夜に眠くなるようなシステム作りを心がけましょう。
私が昼夜逆転の生活になっていたときは、眠りに入るまでに1時間を超えることもありました。 朝は体がだるいので朝食は食べられず、夕方まで体調は不調。 ところが、今では眠りに入るまで15分程になり、理想的な睡眠時間の確保ができています。 そんな私が1番心掛けていたのは、朝8時に目覚ましをかけて、太陽を浴びることでした。 まず、ベランダに出て5分ほど朝日を浴びることからスタートしました。 慣れてきたら、朝日を浴びながらバナナを食べることを習慣にしていました。 バナナには、トリプトファンとビタミンB6が豊富に含まれています。 バナナを食べることで、リラックス効果のあるセロトニンが分泌されて夜ぐっすり寝られるのです。 効果が出るのは人それぞれですが、私の場合は2ヶ月ほどで眠りに入る時間が短くなったと感じました。 また、朝食はたくさん食べるようにしたところ、どんどん睡眠の質が良くなりました。 夜、自然を眠りにつけるようにするために、朝少しの行動からスタートしてみましょう。
I.Y講師からのアドバイス
昼夜逆転を治すために一番大切なことは、朝起きられるようになることです。 人間に最適な起床時間は5時半から8時半と言われています。 その時間内に起きて、活動を始められるようにすることが、正しい生活習慣をつけるために大切です。 では、寝起きを良くするためにはどうすればいいのでしょうか?私が実践していたことを、お伝えします。
お風呂に早めに入る
入浴は睡眠を促す効果があります。 早めにお風呂に入ることで、自然と睡眠に入る体制を整えるようにしていました。 早く就寝することで、起床の時間も相対的に早まります。
カーテンを開け、朝日を浴びる環境を作る
よく言われることですが、朝日を浴びることで自律神経が整い体内時計がリセットされます。 その結果、眠りを促すホルモンが早めに分泌されるようになります。 以上のポイントを参考に、ご自身の起床時間をコントロールできるようになれば幸いです。
まとめ:不登校の昼夜逆転生活は、甘えではありません
昼夜逆転を経験する不登校の子どもは少なくありません。
昼夜逆転生活は、甘えやサボりではありません。
不登校であることへの罪悪感や学校の縛りがなくなることが、昼夜逆転の原因といえます。
不登校で昼夜逆転の自分やお子さんを責めず、今回ご紹介した方法の中から、「自分でもできそうだな」と思うことをぜひ試してみてください。
この記事が、少しでも役に立ったなら幸いです。
さて、私たちキズキ共育塾は、不登校のお子さんの勉強を支援してきた経験が豊富な個別指導塾です。
昼夜逆転で悩んでいる生徒さんも、キズキ共育塾で勉強する中で生活リズムを取り戻しています。
また、医師の監修による「睡眠改善プログラム」も行っています。
無料相談をご利用いただければ、不登校の昼夜逆転の治し方や、不登校からの勉強や受験など、あなたのための具体的なお話ができると思います。
キズキ共育塾の概要をご覧の上、少しでも気になるようでしたらお気軽にご相談ください(親御さんだけでのご相談、お子さんと親御さんご一緒でのご相談も承っております)。
/Q&Aよくある質問
不登校の本人にできる、昼夜逆転の治し方を知りたいです。
- 昼間家にいる自分を責めない
- 昼の12時までに起きることを目標にする
- 午前中に用事を作る
- 日中に運動する
- 寝室のカーテンを日光を遮断しないものにする
- 「布団やベッドに入るのは寝るときだけ」というルールを決める
- その他、夜に寝るため・朝に起きるための工夫をする
- 病院や支援機関を頼る
不登校で昼夜逆転の子どもに、親ができることを知りたいです。
- 昼夜逆転を叱らない
- 子どもの自己肯定感を上げる
- 昼間の用事をつくる
- 第三者(専門家)に相談する