
やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
こんにちは。キズキ共育塾の内田青子です。
卒業式シーズンが近づいてきましたね。
様々な思いを胸に卒業式を迎えることを楽しみにしている学生さんがいる一方、特に不登校だと、卒業式と聞いただけで胸がふさがるような気持ちになってしまう学生さんもいらっしゃることと思います。
そんなお悩みを抱えていませんか?
私は不登校ではありませんでしたが、学生時代は友達が少なく、近づいてくる卒業式が恐怖でした。
受験日程とかぶったと嘘をついて休もうかと悩んだくらいです。
卒業式の後に友達同士で写真を撮る輪に入れずポツンとしている自分が目に浮び、情けない気持ちに押しつぶされそうでした。
今日のコラムでは、「卒業式には出席しなくてはいけないのか」ということについて考えていきたいと思います。
卒業式に関するあなたの迷いや悩みが晴れたら幸いです。
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目次
卒業式には、絶対に出席しなくてはいけないのでしょうか。
答えは「出席しなくてもいい」です。
卒業式は絶対に出席しなくてはならないものではありません。
卒業式は、数ある学校行事の一つに過ぎません。
学校生活最後の行事ではありますが、卒業式への出欠が卒業の可否に関わるということはありません。
卒業式に出席しなくても、学校(小学校・中学校・高校)は卒業できます。
小学校・中学校の場合は、卒業式への出席と卒業は、全く関係ありません。
高校の場合は、全体的な出席日数が足りなければ留年になりますが、すでに出席日数が基準を満たしていれば、卒業式の日に休んだからといって卒業できないということはありません。
卒業式に欠席しても、卒業証書は後から受け取ることができます(インフルエンザや受験で欠席する人たちと同じですね)。
①先生に家に持ってきてもらったり、
②後日自分で学校まで受け取りに行ったり、
③親に受け取りに行ってもらったり、
④学校から郵送してもらったりと、
その方法は様々です。
卒業式を欠席した場合、どのようにして卒業証書を受け取ることができるのか、学校の先生に聞いてみましょう。
なお、「卒業証書(賞状のような、筒に入れて保存するような立派な紙)」は、その後の人生において実務的には必要ありませんので、受け取らなくても問題ありません。
各種受験や就職活動で必要になる場合があるものは、「卒業証明書(賞状のような立派な紙ではなく、住民票のような事務的な書類)」です。
卒業証明書は、出席日数がどうだったか、卒業式に出席したか、卒業証書を持っているかに関係なく、卒業さえしていれば学校に発行を依頼できます。
極端な例かもしれませんが、私の知人は「卒業証書は意味ないし、持って帰るのもめんどくさいから」という理由で、卒業式の後に学校で筒ごと捨てたと言っていました。
ただし、「卒業証書」は一般的には再発行されませんし、「思い出の品」としては意味があるので、その辺りが気になる人はもらっておいた方がいいかもしれません。
「不登校だったけど、私だけ卒業式がないのは寂しいな」
「不登校だったけど、卒業式にはきちんと参加したい」
「だけど、ずっと行っていない学校に行くのは恐い」
などとお悩みではありませんか?
卒業式には様々な形があることを知っていますか?
卒業式では、必ずしも講堂でみんなと一緒に出席しなくてはならないということはありません。
あなたに合った卒業式を行うこともできるのです。
実際に行われている卒業式の形態をいくつかご紹介しますね。
①卒業式の当日や後日、校長室や保健室などの別室で、一人だけの卒業式を行う
②卒業式の後日、別室で、他の欠席した生徒(病気・受験・不登校など)と一緒に少人数の卒業式を行う
③生徒席ではなく、保護者席で参加する
などがあります。
「同級生と一緒の卒業式」以外にも、個別対応の卒業式をしてもらえるかどうか、先生に相談してみてはいかがでしょうか。
さて、「同級生と一緒の卒業式」に参加する場合、本番には入場、合唱、起立・着席、卒業証書授与などがあり、事前練習もあります。
「みんなと一緒の卒業式」に参加するのなら練習にも出るように言われるかもしれません。
もし練習に参加することが難しいのであれば、先生に相談してみましょう。
①起立・着席などの行動が必要なところでも、ずっと着席したままの参加を認めてもらう
②練習を自分一人だけで受ける
③合唱の歌詞カードを用意してもらって、家で覚える
などの対応を受けられることがあります。
「卒業式に行かなかったら、大人になってから後悔するんじゃないかな」
このような不安を持っている人もいることでしょう。
不登校当事者が卒業式をどう思ったのかを調べたアンケートがあります
このアンケートによれば、卒業式を欠席した不登校当事者の80%が「欠席してよかった」と答えています(一方で、「出席すればよかった」と回答している人は7%です)。
この結果からは、「卒業式を欠席しても、必ず後悔するわけではない」ということがわかります。
また、アンケート調査の中で、不登校当事者たちの卒業式に関する思いの一つとして、「(出席するか欠席するか、)選択したかった」というものがありました。
卒業式の出席・欠席に限らず、「自分で決断しなかったことを後悔する」ということはよくあります。
あなたが決断して出席(欠席)を決めたのなら、後悔する必要はありません。
すぐには決断できないかもしれません。
じっくり迷ってもいいのです。
時間をかけて、人に相談したりして、その上で自分で決めましょう。
そうすれば、将来後悔することはないはずです。
「卒業式だけは学校に行きなさい!」
教師や保護者からこのように言われている人もいるかもしれません。
教師や保護者に卒業式への参加を強制されたときは、落ち着いて自分の気持ちをはっきりと言い、話し合いましょう。
むやみに反抗したり、黙って従う必要はありません。
「卒業式に行きたくない」
「まだ迷っている」
などと、自分の気持ちをはっきりと保護者(教師)に伝えて話し合いましょう。
あなたの卒業式です。
素直に気持ちを伝えましょう。
話し合った結果、あなたと保護者(教師)双方が納得する形が見つかるかもしれません。
繰り返しますが、卒業式は一つの行事であり、出席が義務づけられているものではありません。
出席しなかったからといって誰かに責められるようなことはありません。
卒業式に出席しなくても、その後進学すること、社会に出ることはできます。
もちろん、あなたが出席を決めたのなら、卒業式に出席することはあなたにとって大きな意味があります。
胸を張って卒業式に臨んでください。
さて、冒頭にも書きましたが、高校時代の私は友達が少なく、卒業式に行くことが苦痛でした。
みんなが別れを惜しむ輪に入れないんじゃないかと怯えていました。
当時は今よりも「学校行事には必ず出るべきだ」という風潮が強い時代でした。
私は嘘をついて欠席する勇気もなく、胸がつぶれそうになりながら高校の卒業式に向かいました。
学校に行ってみると、受験や遠方への進学準備のため欠席している同級生も何人かいて、拍子抜けしました。
それ以上に驚いたのは、式の後に同級生たちが声をかけてくれたことです。
「青子ちゃんもメッセージ書いて!」
「一緒に写真撮ろう!」
気がつくと私は同級生と写真を撮り、お互いに手帳にメッセージを書いて、握手をして「また会おうね」と約束していました。
昔のことなので多くは覚えていません。
ただ、「私は受け入れられたんだ」と胸が熱くなったことは覚えています。
このエピソードを紹介したのは、「卒業式に出席してください」と言いたいためではありません。
「思いもかけないところに、あなたを受け入れてくれる場所があるのだ」ということが言いたいのです。
それは学校かもしれませんし、卒業後に出会う場所かもしれません。
特に学校の外には、学生時代には思いもよらなかった広い世界が待っています。
そこには必ずあなたを受け入れてくれる場所があります。
世界は意外とやさしいところなのだということ。
卒業を前に不安を抱えているあなたに、このことをぜひ知っておいてほしいなと思います。
これまでのことをまとめます。
不登校だと、卒業式への出席・欠席をどうするか、様々な迷いがあるかもしれません。
「自分の気持ち」に対応した練習や出席ができるか、学校に確認してみましょう。
なお、卒業式に出席しなくても、卒業自体はできますし、卒業証書も受け取れます。
卒業式は数ある行事の一つに過ぎませんので、出席しても欠席しても、どちらでも大丈夫です。
あなたの卒業式があなたの気持ちに沿ったものになるよう、祈っています。
さて、「卒業したけれど進路が決まっていない」
「これまでの学校には行けなかったけれど、大学(高校)受験をしたい」
そのような方は、ぜひ私たちキズキ共育塾にご相談ください。
私たちは、卒業してから受験や学び直しにチャレンジする方たちを多くサポートしてきました。
卒業式への出席・欠席同様、お一人で悩まないでください。
相談は無料ですので、お話だけでも聞かせてくださいね。
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