なぜ学校に行けないの?元不登校の僕が伝える、親御さんへのアドバイス

なぜ学校に行けないの?元不登校の僕が伝える、親御さんへのアドバイス
こんにちは。学校が苦手な人のための個別指導塾・キズキ共育塾の岡田和哉です。

子どもが学校に行けなくて、悩んでいます。

親御さんからもお子さん本人からも、キズキ共育塾では、「学校に行けない」というお悩みをよくお聞きします。

親御さん

・子どもが学校に行きたがらない
・理由を聞いてもわからない
・子どもの将来が不安で、どう向きえばいいのかわからない

お子さん

・学校に行きたいのに行けない
・理由は自分でもわからない
・学校に行けないなんて自分はダメ人間じゃないか

そこでこの記事では、学校に行けないお子さんの親御さんに向けて、「不登校の子どもは、なぜ学校に行けないのか」「子どもに対して、親はどう向き合えばいいのか」をお伝えします。

この記事を読むことで、お子さんの気持ちや、お子さんの将来のためにできることがわかると思います。

「学校に行けなくなった理由」と「今、学校に行けない理由」は違います

なぜ学校に行けないのか?

子どもは、なぜ学校に行けないんでしょうか。
その疑問は、不登校の子ども自身、親御さん、どちらからもよく耳にします。

「学校に行けない」と思う最初のきっかけは、人それぞれです。

  • 勉強についていけない
  • いじめにあった
  • 友達がいなくてつまらない
  • 特に理由はないけど、なんとなく行きたくない…

私自身および見聞きした経験から、次のようなことが考えられます。

「最初に学校に行けなくなった理由(きっかけ)」は、「今現在、学校に行けない理由」と関係が薄いことがよくある。

最初の理由・きっかけが何であれ、一度「学校に行けない状態」になると、「学校に行けない状態」そのものが「学校に行けない理由」に繋がるのです。

もう少し正確に言うと、次のような感じです。

学校に行けないことに関する悩みや罪悪感が、子どもの自信や気力を奪い、新たな「学校に行けない理由」になる。

例えば、最初は「勉強についていけないから、学校に行けない」と思って不登校(気味)になったとしましょう。

しかし、一度不登校になると、新たな悩みが生じます。

新たな悩みの例

「勉強についていけないから学校に行けないなんて、自分はダメな人間なんじゃないか。こんな自分は学校に行く価値がない。もう自分は学校には戻れない。どうしたらいいのかわからない…」

このように、不登校状態が続く理由(学校に行けない理由)は、きっかけである「勉強についていけない」ではなく、「学校に行けなくなった後に生じた、新たな悩み」の方が大きな割合を占めることが多いのです。

子どもの気持ち

「新たな悩み」を抱える子どもは、周りから「甘え」や「怠け」のように見られることも少なくないのですが、本人にとっては非常につらい状態です。

私自身もそうでしたが、学校に行けない子どもは、「どうにかしたい」と思っても自分ではどうにもできないのです。

あなたも、子どもを見ていて「つらそうにしているな」と感じることもあるのではないでしょうか?

子どもは、学校に行けないことをきっかけに、自信や希望を失い、つらくなっているのです

「学校に行けるようになりたい」と思いながら、行けない罪悪感に苦しみ、その結果「どうせ自分なんて」というネガティブな感情に支配されてしまいます。

そして、「どうにかしたいけど、どうにもできない」日々が続くと、自信や希望は失われ続け、どんどん無気力になっていきます

私自身の不登校当時も、何もできない自分に苦しみ、どんどん無気力になっていく悪循環に苦しみ、何もやる気が起きない状態が長く続きました。

「学校に行くのが普通」と思っているから、学校に行けないことを悩む

なぜ「学校に行けない」ことを悩んでしまうのか?

では、子どもも親も、なぜ「学校に行けない」ことを悩むのでしょうか。

それは、無意識のうちに、次のようなことを考えているからではないでしょうか。

「学校に行くのが普通で、普通からはみ出てはいけない」

逆に考えると、よりわかりやすいかもしれません。

「学校に行くことが普通かどうかはわからないし、仮に普通じゃなくても別にいい」

こう思っていれば、学校に行けないことに悩むこともないはずです。

私は、「学校に行かない」は一つの選択肢でしかないと思います。

つまり、行っても行かなくてもいいということです。

「学校は行くのが普通だし、普通に生きなくてはいけない」と思う気持ちは、よくわかります。

私自身も、不登校のときにはそのように悩んでいました。しかし、「普通」とはなんでしょうか。

ポイント

「普通」には、「明確な理由のない多数派」くらいの意味しかないことも、よくあります。

私は、「今在籍している学校に行くこと」は、「普通かどうかはわからないし、普通じゃなくても大丈夫」だと思います。

ですから、「なぜ学校に行けないのか?」と悩む前に、「学校に行けなくてもいい」と今の状態を受け止めることから始めてほしいというのが、私なりのアドバイスです。

その上で、「じゃあ、どうするか」と考えてほしいなと思います。

学校に行けない「大変さ」があっても、代わりの手段も進路もあります

学校に行けないとどうなるのか?
学校に行かないというのは選択肢の一つだとお伝えしました。

だとしても、「学校に行けないとどうなるのか?」というのは気になります。

その疑問に対して、全ての人に当てはまる一つの答えはありません。

学校に行かないという選択がどんな影響をもたらすのかは、人それぞれだからです。

一般論としては、次のような、学校に行かないことによる「大変さ」が生じることは否定しません。

  • 勉強やコミュニケーションの機会が減る
  • 中学生の場合、進学できる高校が減る
  • 高校生の場合、留年や中退になる可能性がある

しかし、だからと言って「もうダメだ」というわけではもちろんなく、「将来」は開けています。

「将来」の例

  • 今の学校で登校を再開する
  • お子さんに合う学校に転校する
  • 学校外で、勉強やコミュニケーションを行う
  • 中学生なら、出席日数が少なくても進学できる高校に行く
  • 高校生なら、高校卒業以外に「高卒認定」を経て大学受験することもできる

「しばらくの間、在籍している学校に行けない」状態だったとしても、将来が閉ざされているわけではありません。

私たちキズキ共育塾の例だけを見ても、不登校を経験した後に、それぞれの人生を前向きに生きている生徒さんや講師がたくさんいます。

つまり、今の学校に行けないことによる大変さがあっても、それをカバーするルートはたくさんある、ということです。

子どもの自己否定・無気力に着目しましょう

子どもの自己否定・無気力に着目してください

学校に行けない子どもが「次の一歩」に進むために、親はどう考えるべきでしょうか。
「不登校になったきっかけ」よりも、「不登校が継続する理由」に注目する方が大切です。

先述のとおり、「学校に行けないと思ったきっかけ」と「学校に行けない状態が継続する理由」は異なることが多いです。

学校に行けない理由の変化

  1. 最初に学校に行けなくなったきっかけは、勉強についていけなかったこと
  2. その後、学校に行けない状態が継続している理由は、自分を「ダメ人間だ」と思っていること

このような場合は、「きっかけの勉強」ではなく、「その後生じた自己否定状態・無気力状態」を解消する必要があるということです。

きっかけとなった「勉強」を解決しようとしても、自己否定状態・無気力状態がある以上は、勉強にも手がつきません。

逆に言うと、自己否定状態・無気力状態を解消していければ、子どもは次の一歩に進めるようになります。

ポイント

子どもが自力で自己否定状態・無気力状態から脱出することもありますが、親御さんがお子さんの「ありのまま」を受け止めることができると、より早く脱出することができます。また、親であるあなた自身も、「よりよい状態」に進むことができます。

「学校に行けないままじゃ、我が子に未来がない」と不安になる気持ちはよくわかります。

私自身もそうでしたが、未来は誰にもわからない中で、レールから外れるのは非常に不安なものです。

ただ、一度レールから外れたとしても、レールに戻ったり、別のレールに進んだりするチャンスは意外にたくさんあるものです

子どもが「学校に行けない」ことを受け止め、今と向き合うことから始めてみませんか?

「専門家」を頼りましょう

親は具体的に何をするべきか

具体的には、親は何ができるのでしょうか。
適切に専門家を頼った上で、お子さんに合ったサポートを見つけていきましょう。

親御さんによる「適切なサポート」は、お子さんにとって大きな力となります。

ただし、「親によるサポート」とは、「親がかかりっきりで子どもの面倒を見ること」ではありません。

親は不登校の専門家ではありませんし、親が子どもにかかりっきりになると親も子も疲れきってしまいます。

専門家のサポートを受けることで、子どもだけ、親だけ、家庭だけで悩みを抱え込まずに、もっと楽に次の一歩に進めるようになります。

専門家の例

  • 不登校の子どもを支援する団体
  • 不登校の親をサポートする団体
  • フリースクール
  • 居場所を提供する団体
  • メンタルクリニック

お伝えしてきたとおり、学校に行けなくても、人生のレールが閉ざされるわけではありません。

ですが、不登校をきっかけに、人生が一時的に止まる人もいます。

学校に行くわけでもなく、かといって別の場所で勉強したりするわけでもなく、ただダラダラ過ごしているように見える生活を過ごすような状態のことです。

ポイント

学校に行けないお子さんは自己否定・無気力状態に陥っていることによって、「次に何をすればいいのか」がわからなくなっていることがよくあります。

お子さんは、「みんなが普通に通っている学校に自分は通えていない。自分はダメ人間だ。弱い人間だ」という悩み・苦しみを抱えています。

ポイント

自己否定状態・無気力状態にある子どもは、積極的に行動することが難しく、また正常な判断ができなくなっていることもよくあります。

そんな状態では、「自分は学校に行けないだけでなく、ほかにも何にもできない」という思い込みが生じ、さらに自己否定と無気力の悪循環の深みへ陥ります。

悪循環に陥る前に何かのきっかけで「次の行動」を実現できる人もいれば、かつての私のようにきっかけを見つけられずに前に進めない人もいます。

きっかけを見つけ、次の行動を実現できないと、より大きな困難につながることもあります。

そんなお子さんについては、親だけ、家庭だけで考える必要はありません。

ポイント

子どもの心理や不登校からの進路などに詳しい専門家を頼る・利用することで、「あなたのお子さん」についての対応が見えてくると思います。

私が不登校になった十数年前は、学校に行かないときの行動の選択肢やサポートがなくて、本当に悩みました。

現在は、学校への復帰をサポートする団体も、学校以外で勉強したりさまざまな経験を得られたりする場所も増えてきました(私たちキズキ共育塾もその一つです)。

もしお子さんがすでに「大きな困難」を抱える状態に見えても、決してお子さんのことをあきらめないでください。

お子さんは前に進みたいと思っていますし、「大きな困難」をサポートする人たちも必ずいます

だから、お子さんが学校に行けなくても大丈夫です。

参考:学校休んだほうがいいよチェックリストのご紹介

2023年8月23日、不登校支援を行う3つの団体(キズキ不登校新聞Branch)と、精神科医の松本俊彦氏が、共同で「学校休んだほうがいいよチェックリスト」を作成・公開しました。LINEにて無料で利用可能です。

このリストを利用する対象は、「学校に行きたがらない子ども、学校が苦手な子ども、不登校子ども、その他気になる様子がある子どもがいる、保護者または教員(子ども本人以外の人)」です。

このリストを利用することで、お子さんが学校を休んだほうがよいのか(休ませるべきなのか)どうかの目安がわかります。その結果、お子さんを追い詰めず、うつ病や自殺のリスクを減らすこともできます。

公開から約1か月の時点で、約5万人からご利用いただいています。お子さんのためにも、保護者さまや教員のためにも、ぜひこのリストを活用していただければと思います。

私たちキズキでは、上記チェックリスト以外にも、「学校に行きたがらないお子さん」「学校が苦手なお子さん」「不登校のお子さん」について、勉強・進路・生活・親子関係・発達特性などの無料相談を行っています。チェックリストと合わせて、無料相談もぜひお気軽にご利用ください。

まとめ〜子どものこと、ひとりで抱え込まないで〜

子どものこと、ひとりで抱え込まないで
今回の内容を、簡単に振り返ります。

  • 子どもは学校に行けない罪悪感に苦しんでいます
  • 「学校に行けない罪悪感」が、新たな「学校に行けない理由」になります
  • 学校に行けなくなったきっかけよりもの、その後の自己否定・無気力状態に着目しましょう
  • 「今の学校に行かない」は一つの選択肢でしかありません
  • 「今の学校」に行かなくても、その後の選択肢はあります
  • 適切に専門家を頼る・利用することが、子どもはもちろん親御さんのためにもなります

あなたとお子さんの今後の生活がよりよいものになるよう、祈っています。

私たちキズキ共育塾の生徒さんには、不登校を経験してから受験などを経て新しい道へ進む方がたくさんいらっしゃいます。

  • 学校に行けない状態から、高校・大学受験を目指す人
  • 高卒認定試験を経て、大学・専門学校を目指す人
  • 資格試験の勉強を行い、就職を目指す人

それぞれの生徒さんがそれぞれの道を選択し、「学校に行けない状態」の次の一歩へ進んでいきます。

あなたのお子さんも、次の一歩へ進めます。

あなたのお子さんが学校に行けないことに悩んでいるのなら、私たちにご相談ください(親御さんだけでのご相談も可能です)。

きっと、あなたとお子さんの力になれます。

キズキ共育塾の入塾に関して少しでもご興味があれば、まずはLINEで友だち追加を。
キズキ共育塾のカリキュラムなど塾についての全般を知りたい方は「資料請求」を。
「お名前」「電話番号」「メールアドレス」だけの入力で、電子パンフレットをすぐにメールアドレスへお送りいたします。

電子パンフレットなら場所を取らないのでとっても気軽。
卒業生の声なども載せていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

監修 / キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

共同監修 / 不登校新聞社代表理事 石井志昂

いしい・しこう。
1982年、東京都町田市出身。NPO法人全国不登校新聞社代表。
中学校受験を機に学校生活が合わなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から2022年まで編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた。

【著書など(不登校新聞社名義も含む)】

「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること(ポプラ社)』『フリースクールを考えたら最初に読む本(主婦の友社)』『学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』『続 学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』

【寄稿など(一部)】

AERAdot」「プレジデントオンライン」「東洋経済オンライン」「FRaU」など多数

サイト運営 / キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2023年7月現在、全国に10校とオンライン校(全国対応)がある。

共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス

学校に行けなくても大丈夫です

本当に大事な情報としてお伝えしますが、学校へ行けないことは、致命的なことでも、絶望的なことでもありません。そして、学校に行かなくても、卒業後の選択肢は様々にあります。不登校の専門家や支援団体などに相談しながら、お子さんを支える環境を整えていただければと思います。

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