元不登校が伝える「不登校の親は仕事を辞めるべきか」への答え

2018年6月6日 水曜日 投稿

元不登校が伝える「不登校の親は仕事を辞めるべきか」への答え

キズキ共育塾大阪校の講師・木原彩です。

私自身は中学3年生の秋から春にかけて不登校だった「不登校当事者」です。

不登校のお子さんをお持ちで、仕事をしている親には、
「子どもは、不登校になる前も不登校になった今も、苦しんでいる。
自分が仕事辞めて世話をした方がいいんだろうか
といったお悩みがつきものです。

今回のコラムは、そんな悩みや不安を抱える親に向けて、
「仕事を辞めるべきか?」
「親として子どもにどう接したらよいのか?」
といった悩みについてのアドバイスをお伝えします。

「不登校のお子さんの親」と「仕事をする個人」という両方の立場を持つあなたの気持ちが少しでも軽くなればと思っています。


娘・息子が不登校に…。「親の私は仕事を続けていいんでしょうか?」

「小学生の娘が不登校になりました。
家に一人でいると、学校でつらかったことを思い出してしんどいかもしれません…。
仕事を辞めて、娘と一緒に過ごした方がいいんでしょうか?」

「中学生の息子が不登校になりました。
私が仕事で家にいない間、息子は無事に過ごせているのでしょうか?
一人で外出して、事故や事件に巻き込まれてしまわないか心配です。
仕事を辞めて、家でケアした方がいいんでしょうか…?」

このように、お子さんを思って「仕事を辞めようか」と考える親は多いです。

親が「仕事を辞めようか」と考える大きな理由は、お子さんが心配だからという「お子さんへの愛」だと思います。

では、はたして親が仕事を辞めることで子どもは幸せになるのでしょうか?

この問いに対して、全ての家庭に当てはまる答えはありません。

というのも、収入・支出、仕事の内容、お子さんの状況などの諸条件は、それぞれの家庭によって異なるからです。

ですが、「できる限り、親は仕事を辞めるべきではない」というのが私の考えです。


私と不登校〜「お母さん、私のために無理しないで」

私と不登校 〜「お母さん、私のために無理しないで」

「親は仕事を辞めるべきではない」という理由を説明するために、まずは私の不登校時代の話をさせてください。

私は中学3年生の秋に不登校になりました。

高校進学を考えていた私は、「不登校からの高校受験」のプレッシャーに押しつぶされそうになっていました。

また、不登校の直接のきっかけとなった「部活動のチームメイトのきつい言葉」を思い出して、涙が止まらない日もありました。

そんな日々、母は仕事を早退し、私の好きなご飯をつくってくれたり、「勉強疲れてない?彩の好きなお菓子を買ってきたよ」と声をかけたりしてくれました。

母は、当時のことを
「彩が受験のプレッシャーで苦しんでいたから、少しでもそばにいて励ましたかった」
と振り返っています。

私はそんな母の対応が嬉しかったのですが、一方で母が無理をしている様子も見てとれました

仕事の早退について職場の同僚に電話で謝っている様子。

「私が仕事をしてなかったらもっと彩の相談に乗れて、彩は不登校になるまで悩まなかったんじゃないか…」と親戚に悩みを打ち明ける姿。

そんな母を見て、
「自分が不登校になったせいで、母は仕事を辞めるのかもしれない」
不安や罪悪感でいっぱいになりました。

「お母さんが自分のことを思ってくれて嬉しい」
「お母さんに自分のために仕事を早退させて申しわけない」
「お母さんはお母さんらしくいてほしい。無理しないでほしい」
「でも、ひとりで家にいるのは寂しい…」

当時のこんな気持ちを、昨日のことのように覚えています。

母への思いには、「感謝」と同時に、「罪悪感」や「自分でも、母にどうしてほしいのかわからない気持ち」などが入り混じっていたのです。


親が仕事を辞めるべきではない理由

親が仕事を辞めるべきではない理由

つまり、不登校の私たちは、親に対して
「親が働いていると寂しいこともある反面、自分のために仕事に支障があると申しわけなく思う」
という複雑な気持ちを持っています。

そのため、親が仕事を辞めると「親に対する申しわけなさ」は増していきます。

もちろん「家に親がいるから寂しくなくなる」のですが、やがて「いつもいるからうっとうしくなってきた…。あまり話したくないな…」となることもよくあるのです。

また、「仕事を辞めるなんて、よっぽど自分は信用されていないんだな」と思うこともあります。

そして、不登校のお子さんが思う「親に対する申しわけなさ」の一つには、「家計」のこともあります。

「自分のために親が仕事を辞めた」となると、「自分のために収入が減ったんだから、自分は進学しない方がいいな」と思い込み、「じゃあ、進学以外で『次』に何ができるんだろう…」とますます悩んでしまうこともよくあるのです。

以上のような状況になると、
親は「あなたのために仕事を辞めたのに!」と思い、
お子さんは「辞めてほしいなんて言っていない!」となり、
家族仲がどんどんギスギスしてしまいます。

おどすつもりは決してありませんが、これでは、お子さんはなかなか「不登校の次」に進めませんし、親も苦しくなってしまいます。

これが、「お子さんのために仕事を辞めるべきではない」という理由です。

お子さんへの愛はわかります。
親がお子さんに寄り添うことは重要です。

ですが、「仕事を辞めてつきっきり」になることはお勧めしません

先述のとおり、お子さんは親に対して「複雑な気持ち」を持っていて、自分でもうまく表現できません。

まずは、自分の気持ちをうまく表現できないお子さんの声をじっくり聞いてください。

その上で、お子さんが「そばにいてほしい」と願うときは、「いきなり退職」ではなく、早退したり、時短勤務にしたり、異動したり、一部を在宅勤務にしたりといった手段が取れないか、職場に相談することをお勧めします。

「お子さんの複雑な気持ち」の理解が難しければ、カウンセラーや相談機関の利用をお勧めしますキズキ共育塾も無料相談を受け付けています)。


家でも学校でもない「第三の居場所」を利用しましょう

とは言え、自分が仕事をしているときにお子さんが家で一人になってしまうのは不安でしょう。

また、お子さんとしても家で一人っきりではさみしいですし、不登校の「次」に向けた準備も必要です。

最近では、フリースクールや適応指導教室などが増えてきました。

そこでは、お子さんと一緒にご飯を食べる人や、一緒に趣味の話をする人や、勉強を教える人がいます。

そういう、家でも学校でもない「第三の居場所」をうまく利用できれば、お子さんは孤独感を感じることなく、「今日は楽しかったな」「そろそろ次のことを考えようかな」と前向きな気持ちを持てるようになります。

親としても、家を空けている時間の心配が減ります。

送迎が難しかったり、近くにそういう場所がなかったり、行ってみた団体がお子さんに合わなかったりしたときは、オンラインで話ができるサービスもあります。


まとめ〜お子さんも親も、両方が幸せになれますように願っています

まとめ〜お子さんも親御さんも、両方が幸せになれますように願っています

これまでのことを振り返ります。

不登校のお子さんのために、「仕事を辞めて面倒を見た方がいいのだろうか」とお思いでしょう。

しかし、実際に仕事を辞めると、お子さんは嬉しい反面、
「自分のせいで仕事を辞めさせて申しわけない」という罪悪感、
「自分を信じてもらえてないんじゃないか」という不信感、
家計に対する過剰な気遣い、
などを覚えることがよくあります。

仕事を辞めてつきっきりで面倒を見ると「いつも顔を合わせるとうっとうしいな」と思うようになることもあります。

そうなると家族仲がギスギスし、お子さんも親も苦しい状況が続きます。

なので、仕事を辞めることはお勧めしません

まずは落ち着いて「お子さんの声を聞きつつ、仕事を辞めなくてもお子さんの面倒をみる方法」を模索してみませんか?

もし、お子さんがどう思っているのかわからない、お子さんに対して何ができるか悩んでいる場合は、相談機関等を頼るとよいと思います。

ご相談の中で、それぞれのご家族・お子さんに応じてより具体的なお話ができると思います。

キズキ共育塾でも無料相談を行っており、まずは親だけのご相談も可能です

キズキ共育塾では、不登校経験を乗り越えた講師や職員も大勢働いています。

私たちとの出会いを通して、何かお子さんの気持ちに「気づく」きっかけになればと思います。


※文中の写真は、全てイメージです。


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