ADHDと不登校の関係性 親ができる対応を解説
こんにちは。生徒さんの勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする完全個別指導塾・キズキ共育塾です。
このコラムをご覧のあなたは、お子さんのADHD(注意欠如・多動性障害)の特性や不登校、学校が苦手なことについてお悩みではありませんか?
ADHD、発達障害、不登校と聞くと、キツい言葉に思えるかもしれませんが、まずは肩の力を抜いて、お気軽にお読みください。
あなたのお子さんに限らず、ADHDの特性から、学校になじめない子どもは大勢います。
私たちキズキ共育塾の生徒さんの中にも、珍しくありません。
以下のようなご相談も、よくお受けします。
- うちのADHDのある子どもが、夏休みが明けから学校に行き渋るようになった
- 子どもが学校に行きたがらないのは、ADHDの特性が原因なんだろうか?
このコラムでは、キズキ共育塾の知見や参考資料に基づき、ADHDの概要やADHDと不登校の関係性、不登校状態にあるADHDのある子どもに親ができる対応について解説します。あわせて、ADHDの二次障害で不登校状態にある子どもに関するアドバイスやADHDや不登校に関する相談先を紹介します。
同じようなお悩みを抱えるお子さん・親御さんが多いということは、その対応策もたくさんあるということです。
このコラムを読むことで、お子さんの次の一歩が見つかるきっかけになるとともに、親であるあなたの安心にもつながれば幸いです。
共同監修・不登校ジャーナリスト 石井志昂氏からの
アドバイス
理解を深めれば、必ずお子さんが笑顔になる日がやってきます
私自身、不登校経験者であり、ADHDの診断も受けています。
障害という言葉には、どの親御さんも心が重くなると思います。
わが子に発達障害があるかもしれないとわかったとき、自分を責めたり、パートナーを責めたり、事態から目を背けたくなったりすることは、ふつうのことです。
「社会でやっていけないのではないか」などと思うかもしれません。身近な人が特性を理解してくれないと、苦しむこともあるかもしれません。
親だからこそ、冷静には考えられません。だからこそ、支援者を頼りながら、理解を深めていきましょう。そうすれば、お子さんが笑顔になる日が、必ずやってきます。
目次
ADHDとは?
この章では、ADHDの概要・特徴・行動特性について解説します。(参考:田中康雄・監修『イラスト図解 発達障害の子どもの心と行動がわかる本』、榊原洋一『最新図解 発達障害の子どもたちをサポートする本』、西永堅『子どもの発達障害と支援のしかたがわかる本』)
少し長いので、ADHDについてすでにご存じの場合、こちらまでお進みください。
ADHDの概要
ADHDとは、発達障害の中の一つのグループです。
発達障害とは、脳の機能のバランスの偏りのために、学校や社会生活の中で困難が生じる特性のことです。
運動機能と同じように、脳・心の機能にもいろいろあります。
脳・心の機能のバランスが悪い、またはばらつきがあるものが、発達障害と呼ばれるものです。
もちろん、誰でも脳・心の機能には多少のバランスの悪さがあるものです。
その上で、ばらつきが非常に大きくて、学校や社会生活に困難を生じるものを発達障害と言います。
また、発達障害は、実行機能の障害とも言われています。
実行機能とは、何かを実行するために必要な機能のことです。
「宿題があることを覚えておく」「遊びに行きたいのを我慢する」というようなことをやり遂げる機能です。
発達障害の子どもは、実行機能の障害から、その場に適した行動がとれないと考えられています。
特性①不注意の特性
ADHDのある人には、不注意の特性があります。
例えば、忘れ物が多く、注意散漫でボーっとしやすい、といったようなことです。
教室の中でもおとなしくて目立たないため、障害・特性に気づかれにくいタイプです。
特性②多動性・衝動性の特性
ADHDには、多動性・衝動性という特性もあります。
例えば、落ち着きがなくおしゃべりが止まらなかったり、授業中に立ち歩いたり、という行動が見られます。
また、ささいなことでカッとなりやすく、乱暴な子だと敬遠されたり叱責を受けたりすることもあります。
具体的によくみられるADHDの行動特性
ADHDのある人に具体的によく見られる行動・特性としては、以下のようなものがあります。
- 忘れっぽい
- 集中力が続かない
- 感情のブレーキがきかない
- 待つことが苦手
- 宿題や提出物を忘れる
- ささいなことでカッとなる
- 整理整頓ができない
以上のような特徴から、「ADHDのある子どもは、自分自身をうまく制御することができない」と言えるかもしれません。
ただし、子どもによって、ADHDの特性の現れ方はさまざまであり、以上の全ての特徴があるとは限りません。
ほかの発達障害が併存することもある
ADHDと一緒に、ASD(自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)やLD/SLD(学習障害/限局性学習症)、ほかの発達障害が併存する子どもも多くいます。
ADHDのある人の約80%は、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)が併存するとも言われています。
ADHDかどうかは、医師だけが判断できる
発達障害かどうかは、医師だけが判断できます。
ADHDをはじめ、発達障害の特性は、誰の中にもある程度は見られるものです。
そのため、「発達障害だ」「発達障害ではない」という判断は、とても難しいのです。
お子さんがまだ診断を受けていない場合は、必ず医師に相談しましょう。
ADHD以外のASD(自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)やLD/SLD(学習障害/限局性学習症)については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
私たちキズキ共育塾は、ADHDのある人のための、完全1対1の個別指導塾です。
生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。
ADHDと不登校の関係性〜二次障害として不登校になることがある〜
この章では、ADHDと不登校の関係性について解説します。(参考:田中康雄・監修『イラスト図解 発達障害の子どもの心と行動がわかる本』、榊原洋一『最新図解 発達障害の子どもたちをサポートする本』、西永堅『子どもの発達障害と支援のしかたがわかる本』)
ADHDの二次障害としての不登校
二次障害とは、発達障害の特性によって生じた困難によって起きる、次の困難のことです。
わかりやすい例でいえば、ADHDの特性によって授業に集中できずに勉強についていけないという困難を抱えた子どもが、そのことを先生や親に叱責されて、自信を失って不登校になるといった状態です。
学校は、みんなが同じように行動することを求められる場所です。
発達障害のある子どもは、がんばっているのになかなか周りと同じようにできず、失敗や挫折を繰り返すことが珍しくありません。
ADHDの特性から勉強について行くことができず、できない子として自尊感情が傷つくこともあります。
トラブルを起こしたりして、からかいやいじめの標的になることも、先生に叱られることも多いでしょう。
そのような状況によって、子どもは、自信を失ったり無力感に陥ったり先生などへ反発したりして、学校に行きたくないと思うようになるのです。
このような不登校は、ADHDの二次障害だと言えるでしょう。
ただしもちろん、周りの大人が早期にその特性に気がつけば、自尊感情を失わないようにサポートできます。また、もし不登校になってもサポートする方法はたくさんあります。
不登校以外の二次障害
発達障害の二次障害として生じる可能性がある状態は、不登校だけではありません。
二次障害には、子どもの怒りや不満が自分の外に向かうものと、自分の内側に向かうものがあります。
以下のような例があります。
外に向かう二次障害の例
- 過度の反抗
- 暴言
- 家庭内暴力
- 非行
内に向かう二次障害の例
- うつ病
- 対人恐怖症
- ひきこもり
親御さんを不安にさせるようなことをお伝えしたかもしれませんが、専門家や支援機関などの相談先などを利用し、適切に対応することで、お子さんの二次障害の予防・対応は可能です。
不登校状態にあるADHDのある子どもに親ができる7つの対応
この章では、不登校状態にあるADHDのある子どもに親ができる対応について解説します。(参考:田中康雄・監修『イラスト図解 発達障害の子どもの心と行動がわかる本』、榊原洋一『最新図解 発達障害の子どもたちをサポートする本』、西永堅『子どもの発達障害と支援のしかたがわかる本』)
大前提として、発達障害・ADHD・不登校のことを、親だけ、ご家庭だけでなんとかしようとする必要はありません。
また、いま所属している学校への登校復帰だけが、次の一歩とは限りません。
一般論として親御さんにできることをご紹介しますが、専門家や支援機関などを利用することで、あなたのお子さんに向いた具体的な方法や進路が見つかると思います。
対応①無理に学校に行かせない
子どもの「学校に行きたくない」という気持ちを受け止めて、まずは家でゆっくり休ませましょう。
ADHDに限らず、不登校または行き渋りの子どもを無理やり登校させようとすると、自尊心の低下や親への反発心がますます強まります。
行き渋りや不登校の子どもは、学校で傷つき、精神的に疲弊しています。
対応②家庭を子どもにとって居心地のいい場所にする
家庭を、子どもにとって居心地のいい場所にしましょう。
学校に行き渋るADHDの子どもは、失敗やできない経験を積み重ねたり、叱責されたり、からかわれしたことで、学校での居場所を失っています。
その上、家庭でも「学校に行かなきゃダメじゃないの!」と叱られたら、子どもは行き場を失います。
親御さんは、家庭を居心地よくしてください。
子どもの話に反論したり、正論で励ましたり、というのは、あまりオススメできません。
「学校で何があったか、お母さんだけに教えて」など、子どもが学校に行きたくない理由を無理に聞き出すことも効果的ではありません。
ありのままのお子さんを受け止めるようにしてください。
対応③ADHDについて学び、子どもの特性を知る
専門家に相談したり本を読んだりして、ADHDについて知りましょう。
ADHDの特性が不登校と関連する場合は、その特性に対する適切なサポートが必要です。
これは、現在の不登校だけでなく、将来的に大学に進学したり社会に出たりしたときのためにも有効です。
親子でお子さんの特性を理解することで、現在への対応も、将来のことも、お子さんにより向いた方向で考えられるようになります。
対応④担任の先生や学校と連絡を取る
担任や学校に連絡を取って、お子さんの学校での様子を聞きましょう。
聞き取った情報は、支援機関を利用する際に役立ちます。
お子さんは、親には話せないトラブルを学校で抱えているかもしれません。
いじめを受けている場合、恥ずかしさや親を心配させたくないという気持ちから、いじめの事実を親に隠す子もいます。
親には話せないことを、先生やスクールカウンセラーには話しているかもしれません。
学校で、ADHDの特性がどのように現れ、どのような影響があるのかをを知ることが重要です。
対応⑤ペアレント・トレーニングや療育などを受ける
ペアレント・トレーニングなど、親子で、または親だけ・子どもだけで受けられる、発達障害の人を支援するプログラムがあります。
ペアレント・トレーニングでは、子どもの行動を理解し、親はどんな対応をするのが望ましいかを、グループワークや個別指導で学んでいきます。
自治体、病院、大学、親の会などが数日間の講座として行うことが多いようです。
そのほかにも、TEACCH、感覚統合法、応用行動分析、放課後デイサービスなどの療育を行っている自治体や支援機関もあります。
ペアレント・トレーニングも含めて、近隣の施設でどのような療育を受けることができるのか、役所の福祉課や児童課、子育て支援センター、発達障害支援センターなどに問い合わせてみましょう。
自治体が主催する場合、多くは無料です。
対応⑥発達障害や不登校の親の会に参加する
同じような悩みをお抱えの親御さんが集まる親の会などで、情報交換をすることも大変有効です。
最近では、発達障害の特性がある子を育てた先輩の親が、現役の親に寄り添い、アドバイスをする「ペアレント・メンター」という活動も盛んに行われています。
子育てに唯一の正解はありません。
家族会や親の会でいろいろな意見を聞き、「いろんな子育てがあっていいんだ」「この子に合う育児が我が家の育児なんだ」と前向きな気持ちを取り戻す親も少なくありません。
具体的な解決策が見つかることもあれば、話すだけで、気持ちを共有するだけで楽になることもあるでしょう。
「親の会」は全国にあります。「発達障害 親の会 ○○市」「ADHD 親の会 ○○県」などとインターネット検索を行うと、いくつも見つかると思います。
また、不登校の親の会も全国にあります。
こちらも、子どもの不登校で悩む親同士で話し合うことで、情報が得られたり心の負担が軽減されたりします。
近隣の親の会で知っている顔に会いたくない場合は、隣県の親の会に参加することも可能です。
一人で悩まず、親の会や家族会に足を運んでみましょう。
対応⑦勉強が気になるなら、ADHDに理解のある塾などを利用する
学校に行かない場合、勉強についていけなくなることが心配かもしれません。
そのような場合は、ADHDの特性に理解のある学習塾などを利用しましょう。私たちキズキ共育塾もその一つです。
そうした学習塾では、一般的なADHDの特性に対応した授業を行うことはもちろん、子ども一人ひとりに合わせて柔軟な対応を行っていること珍しくありません。
こちらも、「発達障害 塾」「ADHD 塾」などとインターネット検索をするといくつか候補が見つかると思います。気になるところに見学に行くことをオススメします。
ADHDの二次障害で不登校状態にある子どもに関するアドバイス
この章では、田中康夫氏の指摘に基づき、ADHDの二次障害で不登校状態にある子どもに関するアドバイスを紹介します。(参考:田中康雄・監修『イラスト図解 発達障害の子どもの心と行動がわかる本』、榊原洋一『最新図解 発達障害の子どもたちをサポートする本』、西永堅『子どもの発達障害と支援のしかたがわかる本』)
また、キズキ共育塾の実感としては、何度も繰り返すとおり、「親子だけ、ご家庭だけで抱え込まずに、詳しい人たちや支援団体を利用する」ことを大前提にすることをオススメします。
発達障害の二次障害は、傷ついた自尊感情を抱えた子どもからのSOSです。
学校に行けないのも、子どもがADHDの特性により学校で困っていることの現れです。
発達障害のある子どもは、家の内外で失敗や挫折を繰り返し、自尊感情が低くなっています。それが積み重なると、無力感、自己否定感、反発心となり、不登校、うつ病、非行などの二次障害につながる可能性があります。
二次障害を予防するためには、早くからの発達障害の特性への気づきと、自尊感情を傷つけない対応が必要です。
学校や支援機関などで、生活面や学習面でサポートを受けましょう。そして、家の中で安心して過ごせる環境を整え、叱られたり罰を受けたりすることのない、穏やかでねぎらいのある家族関係を作ります。
そして、その子の得意なことや好きなことを見つけ、それができたら、たくさん褒めてください。
ADHDのある子どもの言動には叱りたくなるようなものが多いのですが、叱ることより褒めることが大切です。
ADHDの特性のために失敗をした子どもに、「どうしてできないの?」「ダメな奴だなあ」などと人格を否定するような言葉もかけてはいけません。
ADHDを含む発達障害は、できることとできないことが明確な障害です。
できないことのみが目立つって見えて、叱りたくもなる人もいるかも知れません。しかし、できないことだけを見て子どもを否定しないようにしましょう。全体を見て、その子のいいところを発見して、褒めようとする親の姿勢が重要です。
褒めながら少しずつできることを増やし、自己肯定感を育んでいくことが、不登校などの二次障害の予防となります。
また、家庭だけで悩まず、専門家に相談しましょう。
ADHDや不登校に関する相談先
この章では、ADHDや不登校に関する相談先を紹介します。(参考:田中康雄・監修『イラスト図解 発達障害の子どもの心と行動がわかる本』、榊原洋一『最新図解 発達障害の子どもたちをサポートする本』、西永堅『子どもの発達障害と支援のしかたがわかる本』)
お子さんのことをご家庭だけで抱え込まず、積極的に支援機関を利用してください。
「ADHDと不登校のどちらについて相談すればいいんだろう」「どちらの相談先を探せばいいんだろう」と思うかもしれませんが、ADHDと不登校は、両方について相談できるところもよくあります。
相談先の例としては、以下のようなところがあります。
- 発達障害の専門家がいる医療機関(小児神経科、児童精神科、発達外来など。近くに小児精神科がない場合や、精神科に抵抗がある場合には、かかりつけの小児科医に相談しましょう)
- 小児科
- 学校の担任
- スクールカウンセラー
- 市区町村役所の子育て相談窓口
- 地域の保健センター、子育て支援センター、児童相談センター
- 発達障害支援センター
- 発達障害や不登校の親の会
- 民間の発達障害支援機関
- 学習塾
誰に相談すればいいのかわからない場合は、まずは、お子さんの担任や学校に相談してみましょう。
まとめ〜お子さんの声を受け止めて、温かく休ませましょう〜
児童精神科医で臨床心理士の田中康雄氏は、「二次障害は子どもからのSOSだと考えるといいでしょう」と書かれています。
不登校も、傷ついた子どものSOSです。親御さんは、まずはその声を受け止めて、温かくお子さんを休ませましょう。
二次障害の予防や回復のためには、できるだけ早くADHDの特性に気づき、自尊感情を高めていくことが大切です。
ADHDや不登校に関する支援機関を利用することで、あなたのお子さんのための具体的な方法が見つかると思います。
このコラムが、あなたとお子さんの役に立ったなら幸いです。
さて、私たちキズキ共育塾では、多くのADHDや不登校の生徒さんを学習面で支援しています。
特にADHDの傾向がある生徒さんは、授業に集中できない、宿題を忘れるなど、学習面で困難を抱えることが多く、それが原因で不登校になることも少なくありません。
キズキ共育塾では、講師と一対一で、生徒さんの特性に合った授業を作って行きます。
お話し中心の授業で講師とおしゃべりしながら、学校復帰や受験勉強など、次の一歩に向けた練習をしている生徒さんもいらっしゃいます。
ADHDで不登校のお子さんのことでお悩みでしたら、キズキ共育塾の概要をご覧の上、お気軽にご相談ください(親御さんだけでのご相談、お子さんと親御さんご一緒でのご相談も承っております)。
/Q&Aよくある質問
ADHDと不登校の関係を知りたいです。
ADHDで不登校の子どもに親ができる対応を知りたいです。