「親がうざい」あなたに伝える、短期的な5つの対処法と長期的な3つの改善方法
こんにちは。ライターの糸賀貴優です。
中高生のあなたは、親に対して「うざい」と思ったり、イライラしたりすることはありませんか?
「勉強をしなさい」と何度も言われる、気にしていることをからかわれる、親がイライラしている、理由はわからないけどなんだかうざい…。
人によって、それぞれの理由があると思います。
私自身も、高校生のころに母をうざいと思って大ゲンカになり、4か月の間一言も話さなかったことがありました。振り返ると本当に些細な理由でしたが、お互いのすれ違いやコミュニケーション不足によって、どんどん大ごとに発展してしまいました。
今では過去のケンカから学んだことを生かして、長期的に良好な関係を築いています。
親とはいえ、自分とは異なる一人の人間ですので、親を「うざい」と思うこと自体は問題ありません。
ですが、どうせならうざいと思わない関係性を築きたいですよね。この記事では、親を「うざい」と思う心理や、親は何を考えているのか、うざい親への対処法などを紹介します。
なお、最初に書いておきますが、この記事は親子の対立を煽るためのものではありません。また、あなた自身の言動や考えを振り返ることが必要なときもあるということもお伝えします。
この記事が、親に対するストレスを軽減する一助となれば幸いです。
目次
子どもが「うざい」と思いやすい親の4つの行動
はじめに、この記事の運営元であるキズキ共育塾の知見に基づき、中高生が「うざい」と思う、親のよくある行動を紹介します。
もしかしたら、あなたも経験したことがあるかもしれません。
よくある話ということは、対処法もあるということです。
とは言え、この記事に書かれていない場合でも、後で紹介する相談相手などを頼ることで、あなたに合った対処法が見つかります。
まずは気楽にお読みください。
行動①プライベートな空間に入ってくる
「自分のプライベートな空間に入ってくる(子どものプライバシーに配慮がない)」ことは、うざい原因の一つです。
例えば、次のようなことがあります。
- 勝手に自分の部屋に入ってくる
- 勝手に自分の私物を触っている
- 学校で起きたこと、友人関係や恋愛についてしつこく聞いてくる
- その他、全般的に行動を把握しようとする
突然部屋に入ってこられると、やましいことをしていなくても驚きます。
ノックや声がけをしてほしいですよね。
断りもなく自分の持ち物を触られたり探されたりされて、嫌な思いをする人もいます。
また、話しづらい内容を何度も聞かれたり、常に「どこで何をしているのか」を聞かれたりして、まるで監視されているかのように感じる人もいるのではないでしょうか。
行動②「勉強をしなさい!」と言ってくる
二つ目のうざい行動は、ことあるごとに「勉強や宿題について聞かれる」こと。
自分には自分のペースや計画があるのに、それらを気にせず聞かれたり指示されたりすると、うざいと思いますよね。
宿題に取り掛かろうとしたときや休憩中に言われたなら、なおさらでしょう。
「早くしなさい!」と言われると、かえって自分のペースが崩れてしまい、せっかくのやる気が削がれてしまうこともあります。
行動③傷つく言動をする
三つ目のうざい行動は、「言葉や態度で傷つけてくる」こと。
例えば、次のようなことがあります。
- 気にしていることをからかってくる
- 他人と比較して指摘してくる
- 手をあげたり、物にあたったりする
コンプレックスや悩みなど、気にしていることを指摘されて傷つくことは、不自然なことではありません。
また、「お兄ちゃんはできているのに」「近所の〇〇さんはすごいのに」など、友達、兄弟・姉妹、昔の親と比較されて、うざい思いをする人もいるでしょう。
行動④意見や価値観を押しつけてくる
四つ目は、「親の意見や価値観を押しつけてくる」こと。
例えば、次のようなことがあります。
- よいと思ったことはするように押しつけて、そうでないことは否定する
- 親が認めたもの以外は制限される
- 友達や恋人などの品定めをする
勉強、学校選び、習いごと、将来のことなど、親の価値観でよかれと思って勧めていることも、子ども自身がそう思わなければ「うざいもの」となりえます。
「親の言うことを聞きなさい」と意見を押しつけられて、反抗心が芽生える人もいるのではないでしょうか。
自分が大切にしている友達や恋人が常に親の評価の対象となり、ときに否定されたりというのは、気分のいいものではありません。
親を「うざい」と思う3つの理由
次に、これまで挙げたような親の行動を、なぜあなたが「うざい」と思うのか、その理由を紹介します。
理由①自立心が芽生えはじめている
一つ目は、「あなたに、親からの自立心が芽生えているから」です。
心身の成長によって、それまでは親、先生、友達の意見を聞いて決めてきたことも、一度自分で考えたい、と思うようになるのです。(参考:鈴木敏昭『青年期の心理とアイデンティティ』)
そんな時期に、自分と異なる価値観を強く主張されたり、自分の意見を否定されたりすれば、少なからずうざいと思うのは、自然なことです。
発達心理学者のエリクソンは、「人間が生涯をかけて行う発達には8つの段階がある」とする「ライフサイクル理論」を提唱しています。
そして、13〜22歳を「青年期」と呼び、「自我同一性(アイデンティティ)の確立」が課題となる重要な時期であると分析しています。
自我同一性とは、「自分が自分であることを確信するうえでの過程」のこと。
「自分は何者なのだろう」、「自分はこれまで何をしていたのだろう」といった問いに向き合う時期であると言われています。
次第に自分であらゆることを考える力がついていき、自分のことは自分で選択をしたいと思うようになる人もいます。
理由②親の言動に傷ついている
二つ目は、「親の言動に傷ついているから」です。
親に限らず、人から物理的・心理的に傷つく言動をされると、悲しい、悔しい、腹立たしいなどという気持ち、つまりうざい思いが生じます。
特に、あなたと異なる基準で、あなた自身やあなたが大切にしていることを判断されるときによくあることです。
この理由については、「あなたが何を大切に思っているのか」「なぜそれが大切なのか」を改めて理解できることがあります。
理由③その他のストレスと重なっている
三つ目は、「あなた自身の、そのほかのストレスと重なっているから」です。
複数のストレスにイライラしていると、親の言動が引き金となり、親に対してうざい思いを爆発させることがあります。
親をうざいと思ったときを振り返ると、「実は親とは関係ないことでイライラしていた」「〇〇について気になっていて、モヤモヤしていた」など、親とは異なる部分のストレスが思い浮かぶことはありませんか?
普段なら気にならないはずの親の言動も、そうしたときにはうざいと感じられるものです。
親がうざいことをする3つの理由
次に、なぜ親御さんはあなたに「うざい」と思われることをするのかについて、説明します。
親の考えを理解しようとすることが、次章以降の「対応」にも役立つと思います。
ご紹介する内容以外にも親の動機はあるでしょうが、「親という他人」が何を考えているのか、その理解の一助になると思います。
理由①あなたを心配している
一つ目は、「子どもの、つまりあなたの将来を心配しているから」です。
例えば、プライベートな空間に入ってくる、「勉強をしなさい!」と言ってくるなど、あなたにとっては「必要以上の干渉」や「過剰な把握」かもしれません。
ですが、親としては「子どもを心配しているがゆえの、当然の言動」と考えているということです。
悩みはないだろうか、大丈夫だろうかなどと考えるあまり、なんでも聞いたり干渉したくなったりするのかもしれません。
親は子どもに比べると人生経験が多い分、子どもに足りていない部分や必要なアドバイスがわかっていることもあります。
「こうしなさい」「これはしてはいけない」といった言葉の背景には、「あなたのためだから」と思っていることもあるのです。
理由②嫌がっていることに気づいていない
二つ目は、「子どもが傷ついていることに気づいていないから」です。
傷つく言動をする親の場合、もしかしたら、あなたが嫌がっていることや傷ついていることに気づいていないかもしれません。
親だからといって、子どもの気持ちを常に理解しているとは限りません。
また、何に傷つくかも人それぞれです。
親のうざい言動は、親としてはひどいことをしていると思わずに行っている可能性がある、ということです。
対処法の紹介で後述しますが、「自分がどういうことで傷つくのか」を伝えるなど、親子のコミュニケーション不足を解消することで改善に向かうこともあります。
理由③そのほかのストレスと重なっている
三つ目は、「そのほかのストレスと重なっているから」です。
前章でも説明しましたが、「ストレスの重なり」は親自身にも起こりえます。
子どもにきつく当たったり傷つける言動をしたりする背景には、別のことでストレスを抱えていたから…といった可能性があるということです。
私の場合は、母も私も別のことで複数のストレスが重なっている中で、お互いの些細な行動が目につき、4か月話さなくなるほどの大喧嘩に発展しました。
親をうざいと思った直後にできる5つの対処法
次に、親をうざいと思った「直後」に活かせる対処法を紹介します。
対処法①物理的に距離を取る
一つ目は「物理的に距離を取ること」です。
距離を取り、親との衝突をなるべく避ける方法です。
図書館に行く、友達と会う、ちょっと散歩に出るなど、気分を落ち着かせることができる空間に身を置いてみましょう。
特に、顔を合わせる度に親を「うざい」と思う・喧嘩になる場合は、距離を取ることが必要かもしれません。
もしあなたが実家を離れられるようでならば、試しに一度親元を離れてみることも、親子関係の改善に役立つこともあります。
中高生年齢では一人暮らしは難しいかもしれませんが、寮に入る、親戚の家に下宿するなどの方法はあります。
対処法②自分と親について客観的に省みる
二つ目は、「自分の状況を振り返る」ということ。
まず自分の悩みや気持ちを吐き出して心を落ち着かせて、次に客観的かつ冷静に状況を分析しましょう。
こうすることで、より具体的・長期的な解決方法が見つけやすくなります。
そのためには「人に話す」方法と、「紙に書き出す」方法があります。
■悩みを人に話す
親に対する自分の気持ちをありのままに話せる相手がいる場合は、話を聞いてもらうことで、心を落ち着かせることができます。
また、同世代の相手ならば共感してくれるかもしれませんし、親世代の相手なら親が何を考えているのかを代弁してくれるかもしれません。
心を落ち着かせた後に、他人の意見も聞くことで、自分が置かれている状況、親の考え、今後どうしたらいいかなどがわかっていきます。
また、「人の目」を通すことで、より客観的に自分の状況を見ることもできるようになります。
私は、友達にも、友達のお母さんにも相談していました。
友達のお母さんからは「普段のお母さんならそこまで怒らないと思うから、何か他の理由があるんじゃないかな?」と、自分や同世代の友達だけでは気づきにくいアドバイスをもらったのを覚えています。
また、私自身が学校の試験への焦りや部活の忙しさで、普段以上に疲れていることを自覚することもできました。
その後母と話したところ、実際に母は仕事で疲れていたことや、私が険悪な雰囲気をまとっているように見えることが気になっていたことを話してくれました。
母も私も、コミュニケーション不足でお互いが知らずに大変な状況にいたから、些細なことでぶつかっていたのです。
以降は、大変な状況にいる場合は共有するようにして、お互いサポートするように心がけ、ケンカすることもなくなりました。
■紙に書き出す
「親のどのような言動が嫌なのか」「なぜ嫌だと思うのか」と紙に書き出してみると、自分の気持ちが整理されて落ち着きます。
書き出した言動や気持ちは、今度の対応を考える上で役に立つでしょう。
また、自分と親の関係性や状況を考える過程で、別の気持ちに気づくこともあります。
例えば、「親への感謝の気持ちを忘れていた」「よく考えたら自分が悪かった」などが挙げられます。
親は、ご飯の準備・洗濯・掃除などをしてくれていませんか?
自宅に自分の部屋を提供してくれたり、お小遣いをくれたりしていませんか?
そういう、親がしてくれていることを振り返ることで、「ありがとう」という気持ちが芽生えることもあります。
すると、「うざいと思っていたけど、全体的にはそうでもなかったな」などと、親への認識が変わることがあるのです。
「感謝できる言動と、うざく思う言動は、話が別だ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、別は別です。
ですが、親にしてもらっていることを「当たり前」だと考えていると、親のうざい面だけが目についたり、親に対して抱く気持ちがネガティブなものだけになったりすることもあるのです。
考える余裕があるならば、「うざいと思う理由」を考えるのと同時に、「親にしてもらって嬉しいこと・感謝していること」を考えてみましょう。
対処法③親の行動の傾向を考える
三つ目は、「親の行動の傾向を知る」こと。
前項までの「親と自分の状況を客観的かつ冷静に考えること」も行った上で、親の行動の傾向を知ると、衝突が起きた際の対処法や、事前にトラブルを避ける方法を見つけることもできます。
自分なりにマニュアルなどを考えてもいいですし、人と話し合ってもいいですし、「親とどう向い合うか」という本や資料を参考にすることもできます。
ここでは一例として、「過干渉な親の考え方」について参考となる、NHKの「ウワサの保護者会 第23回『過干渉 やめたいけれど…』※PDF」をご紹介します。
対処法④話は聞き流す
四つ目は、「うざい思いをする親の発言は聞き流す」こと。
「傷つく言動をしないでほしい」と伝えても直してもらえないときは、話を聞き流す術を身につけるのが効果的な場合があります。
親がうざいことを言ってきたときには、別のことを考えて返事をしないようにしたり、「わかってる」「そうだね」などと適当にあいづちを打ったりしましょう。
もちろん、言われるがままの状況はとてもつらいことです。
また、根本的な解決にはなりませんし、親によっては「聞いているのか!」などと怒ってくることもあるでしょう。
ですので、この方法は、「まともに向き合ったり、意見を伝えたりするのとどっちがよいか」を検討した上で実施しましょう。
対処法⑤何かに没頭する
最後に、「何かに没頭する」ことも効果的です。
特に、「いつも親の言動に振り回されて苦しい」と思っている方にオススメです。
親をうざいと思った後に「何か」に没頭することで、親のことを考える時間を減らせます。
読書、ゲーム、音楽、勉強…なんでもよいので、何かに没頭してみましょう。
自分の意識が、その「夢中になれること」に集中するため、親の言動に左右されることが減るのです。
趣味や勉強など、自分が夢中になれるものを探してみましょう(この、「探す」こと自体でも意識を逸らせますよ)。
親の言動を改善してほしいときの、長期的な3つの方法
前の章では、「うざい」と思った直後に活かせる対処法を紹介しました。
しかし、それはそれとして、親と相互に歩み寄って、そもそもの関係性を長期的に改善したいと思っていませんか。
ここでは、長期的な視点から、親に言動を改善してもらうため、親との関係性を良好にするための対処法を紹介します。
方法①自分の思いを丁寧に説明する
一つ目の方法は「自分の思いを説明する」こと。
丁寧に伝えて、うざい思いをする言動を控えてもらう方法です。
「親のどのような言動が嫌なのか、なぜ嫌なのか」と自分の気持ちに向き合った後で、その内容を思い切って親に伝えてみてください。
伝えても否定されるかもしれない、聞いてくれないかもしれない、といった不安や恐れもあると思います。
ですが、親も一人の人間であり、あなたとは異なる他人です。
何も言わないままでは、あなたの感情を理解できるわけではありません。
だからこそ、親と向き合い丁寧に自分の気持ちを伝えることが重要なのです。
また、あなたの気持ちを伝えると同時に、あなたが知らなかった親の気持ちや考え、状況を知ることができるかもしれません。
方法②家族間のルールをつくる
二つ目は、「家族間のルールをつくる」こと。
あらかじめルールをつくることでお互いに譲れないポイントを共有し、踏み込まないようにする方法です。
例えば、「門限を決めたら、その門限は破らない」「友達や恋人に干渉しないと決めたら、具体的奈『危険』がない限りは干渉しない」などです。
ここで重要なのは、「親子で、お互いに決めたルールを守る」ということです。
ルールを決めても守ったり守らなかったりしていては、ルールを決めた意味がなく、また衝突が起きる可能性が高まります。
お互いに譲れない部分はルール化して守るということを意識してみてください。
方法③専門的な知識のある相談機関に仲介してもらう
最後の方法は、「専門的な知識のある相談機関に相談する」ことです。
第三者から適切なサポートを受けることで、お互いの理解を深める方法です。
どれだけ丁寧に思いを伝えても、親とあなただけでは話し合いが進まないこともあります。
またそもそも、親との関係をあなた一人で悩み続ける必要もありません。
あなた一人で悩まずに、専門的な知識のある相談機関を頼ってほしいです。
まずは、公的な相談相手がいます。
具体的には、担任の先生やスクールカウンセラー、公的な相談窓口や民間の相談窓口などです(インターネットで「〇〇区 子ども 相談」や、「〇〇市 中学生 親子関係 相談」で検索してみると見つかると思います)。
専門的な知識と経験を兼ね備えている相談機関であれば、親身に相談に乗って適切なアドバイスをくれたり、話し合いの仲介をサポートしてくれたりします。
一般的に、公的な相談窓口は無料で利用できます。
また、民間の相談機関(NPO法人、カウンセラー、子どもの生活を支援する団体など)もありますので、気になるところが見つかったなら連絡してみましょう。
ただし、民間の相談機関は有料だったり(、残念ながら悪質だったり)することもあります。
利用の前に、その団体について、「信頼できる大人」と一緒に調べてみることをオススメします。
自分の気持ちをすべて親に伝えるのは難しいことや、親に聞き入れてもらえないことへの悩みもしっかり聞いてくれる人たちを、ぜひ頼ってほしいと思います(私たちキズキ共育塾も、その一つです)。
最後に
今回のコラムでは、親を「うざい」と思う具体例や対処法、子どもと親の心理について紹介しました。
親と良好な関係を築くために、まずは「自分の気持ちを知ること」、そして、「様々な対処法を身につけること」が重要です。
そのためには、あなた一人で悩まず、安心できる人や専門的な相談機関に話してみてください。
この記事があなたのお役に立ったなら幸いです。
さて、私たちキズキ共育塾は、お悩みを抱える方々のための個別指導塾です。
生徒さんには、親子関係にお悩みを抱える方も珍しくありません。
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キズキ共育塾の概要をご覧の上、少しでも気になるようでしたらお気軽にご相談ください。
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