学びの多様化学校とは? 特徴や通学条件を解説

こんにちは。生徒さんの勉強とメンタルをサポートする完全個別指導塾・キズキ共育塾です。
このコラムを読んでいるあなたは、以下のような悩みを抱えていませんか?
- 学びの多様化学校が気になっている
- 学校に通えない理由があるが、進学意欲や学習意欲はある
- 学校に通えず、進路や将来に不安を抱えている
このコラムでは、学びの多様化学校の概要や特徴、通う際の注意点について解説します。
また、カリキュラムや通うための各種要件、類似サービスとの違いについても解説します。
このコラムが、学びの多様化学校に入ることを検討しているあなたの参考になれば幸いです。
私たちキズキ共育塾は、学びの多様化学校に関心のある人のための、完全1対1の個別指導塾です。
生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。
目次
学びの多様化学校とは?

学びの多様化学校とは、従来の学校とは異なる柔軟な教育のあり方を取り入れ、不登校状態にある人や多様な学び方を求める人に対応するために、特別な教育課程を編成した教育を行う学校のことです。
以前は不登校特例校という名称でしたが、児童生徒や教職員からの意見をふまえて、2023年8月31日に現在の名称に変更されています。
一般的な学校とは異なり、生徒に合わせて独自のカリキュラムが編成できたり、授業時間や登校時間を調整したりといった柔軟性が特徴です。
本制度は文部科学省が推進しており、文部科学大臣が指定する公立校を中心に全国の一部自治体で導入されています。(参加:文部科学省「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)(不登校児童生徒を対象とする特別の教育課程を編成して教育を実施する学校)について」)
特に学びの多様化学校は2025年の段階で58校が設置されており、学校数は年々増加傾向にあります。(参加:文部科学省「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧」)
学びの多様化学校5つの特徴
学びの多様化学校は、一般的な学校と大きく異なる点があります。
この章では、学びの多様化学校の5つの特徴について解説します。
特徴①自分に合った学び直しができる

学びの多様化学校では、一人ひとりの学習進度や理解度に応じて授業内容や登校時間を調整できます。
そのため、過去に授業についていけなかった経験があるお子さんでも、自分のペースで学び直しが可能です。
例えば、基礎から丁寧に学べるカリキュラムが用意されているほか、教員や支援スタッフが個別にサポートしてくれるため、自信を持って学習に取り組めます。
特徴②ICTを活用して柔軟に学べる
学びの多様化学校では、タブレットやパソコンなどのICTを活用した授業が行われており、通学が難しい日でもオンラインで授業に参加できる仕組みが整っています。
デジタル教材やeラーニングの導入により、自分のペースで学習できる環境が整っているため、理解できるまで自分のペースで繰り返し学べるのもメリットです。(参加:東洋経済education×ICT「一般の学校で実践は無理?不登校30万人超「学びの多様化学校」で行われていること」)
特に、学校の勉強についていけない人は、安心して柔軟に学べるでしょう。
特徴③個別の学習計画や生活支援が受けられる

生徒一人ひとりに合わせた個別の学習計画(IEP)が立てられるのも、学びの多様化学校の大きな魅力です。(参加:文部科学省「学びの多様化学校解説資料」)
これにより、学習の遅れや苦手を気にせずに、自分のペースで効率的に学べます。
また、学習内容だけでなく、生活面での支援も行われ、教員やスクールカウンセラー、ソーシャルワーカーが連携して心のケアを受けられるのも特徴です。
たとえば、学校生活に不安を感じる生徒には、始業時間の配慮のような登校に慣れるためのステップを細かく設定し、少しずつ学校生活に適応できるよう工夫されています。
特徴④不登校経験のある人も安心して通える
学びの多様化学校では生徒の心理的負担を減らす取り組みがなされており、不登校経験のある生徒でも安心して通えるような環境が整っています。
たとえば、少人数制の授業や、教室の代わりに落ち着いた雰囲気のスペースで学べるなど、従来の学校にはない配慮が行き届いています。
また、教職員も不登校に深い理解があり、学習よりもまずは生徒との信頼関係を築くことを重視しているため、社会性を育みつつ学校に対する不安やトラウマを少しずつ克服していくことが可能です。
特徴⑤公費・補助金で学費の負担が少ない

学びの多様化学校の多くは文部科学大臣が指定した公立学校の一部として設置されているため、基本的な学費は公費でまかなわれ、保護者の経済的負担が少なくて済みます。(参加:文部科学省「不登校児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校の概要」)
また、私立学校でも自治体の補助金制度が利用できることがあり、経済的に厳しい家庭でも通いやすい環境が整っています。(参加:足立区「私立学びの多様化学校の授業料の一部を助成します」)
さらに、教科書や教材費の支援があるケースも多く、教育費の心配をせずに質の高い学びを受けられるのは、学びの多様化学校ならではのメリットです。
学びの多様化学校の費用

学びの多様化学校の費用は、設置形態によって大きく異なります。公立校であれば基本的に学費は無料で、教材費やスクール用品など実費分のみの負担で済むことがほとんどです。
一方、私立校や一部の特別支援型スクールでは、授業料が発生します。中学校の授業料の平均は約47万6000円、高等学校の授業料の平均は約37万4600円となっています。また、授業料以外の納付金の平均は約29万4000円です。(参考:文部科学省「「不登校特例校に関する実態調査」結果 平成28年6月29日」)
自治体によっては、学費補助や通学交通費の支援が用意されていることもあるため、通学前に詳細を確認しておくと安心です。(参考:東京都「所得制限なく私立中学校等の授業料支援(10万円)が受けられます 9月2日からオンラインで申請受付を開始」)
学びの多様化学校に通える対象者の条件
学びの多様化学校は、主に不登校傾向にある児童・生徒や、学校に通うことが難しい子どもたちが対象となります。
具体的には年間30日以上の欠席が目安としてありますが、そのうえで不登校かどうかの判断は各学校や教育委員会などの管理機関が柔軟におこないます。(参考:文部科学省「不登校児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校の概要」)
また、転入の形式を取る本校型だけでなく、在籍校に籍を置いたまま通う分教室や学びの拠点なども多いため、出席扱いや成績評価の取り扱いについて、在籍校と連携を取る必要があります。
年齢や学年、心身の状態などによって条件が異なる場合もあるので、希望する場合はまず学校や教育委員会に相談してみましょう。
学びの多様化学校のカリキュラム例5選
学びの多様化学校では一般的に9時頃登校し16時頃下校するスケジュールが一般的ですが、その授業内容は学校によって大きく異なります。
そのため、学校選びの際は、カリキュラムも考慮するとより学ぶことが楽しく感じる環境になるでしょう。
この章では、学びの多様化学校のカリキュラム例を紹介します。
事例①八王子市立高尾山学園小学部・中学部

高尾山学園は、東京都八王子市にある公立の学びの多様化学校で、小学部・中学部を備えた小中一貫校です。
個別最適化されたカリキュラムが特徴で、生徒の状態に応じて登校時間や学習の方法を柔軟に調整できます。
校舎は自然環境に囲まれた落ち着いた空間にあり、心と身体を整えながら学ぶことができるのが魅力です。
特に、小学4年制~中学3年制の総合的な学習において、講座学習として教科にとらわれない個々の関心・意欲に応じた体験的な授業内容(スポーツ系・文化系・ものづくり系など)を週4時間設定しているのが大きな特徴です。(参考:八王子市立高尾山学園ホームページ)
事例②福岡市立百道松原中学校
福岡県福岡市の百道松原中学校は、2025年4月に新設された学びの多様化学校です。(参考:福岡市政だより「「学びの多様化学校」来年4月開校市立百道松原中学校」)
登校時間は通常より遅い9:30で、1日4時限までという柔軟な学習環境が魅力です。教室以外にもリラックスできる空間や相談しやすい環境を整え、丁寧なサポートが受けられます。
また、職場体験やソーシャルスキルを身に付ける活動を通して、社会に出ていけるようなスキルやメンタリティが身に付きます。(参考:福岡市「福岡市立百道松原中学校_開校告知」)
事例③神戸市立湊翔楠中学校【分校名】通称:みらいポート

神戸市では、2025年4月に湊翔楠中学校に設置されたみらいポートという分校型の学びの多様化学校が注目を集めています。
この分校では、不登校生徒の自立支援を中心とした学びが行われており、3学年40名程度の少人数制で安心して学べる環境が特徴です。
授業は9時スタートの5時間目までで、自分のペースでゆっくりと学べます。特に5時間目は学び直しの時間が設けられているため、授業に遅れる心配を軽減できるでしょう。(参考:神戸市「みらいポート」)
事例④浦安市立浦安中学校【分教室名】UMI
千葉県浦安市では2025年4月、UMI(うみ、U浦安で M未来を I彩る)という浦安中学校の分教室が設置されました。
中学1〜3年生の約30人を受け入れており、明るく開放的な教室や少人数での丁寧な指導が魅力です。(参考:浦安市「市立浦安中学校分教室UMIのしゅんこう式を行いました(令和7年3月27日)」)
事例⑤NHK学園高等学校【コース名】ライフデザインコース

通信制高校であるNHK学園高等学校のライフデザインコースは、学びの多様化の一環として設置されたコースです。
このコースでは、社会生活に必要な力を身につけることを重視しており、教科学習だけでなく、生活力や人間関係の構築方法、進路設計などに力を入れています。
スクーリングも少人数制で、教員の手厚いサポートを受けながら学べるため、自信を持って将来に向かって進める環境が整っています。(参考:NHK学園高等学校ホームページ「ライフデザインコース」)
学びの多様化学校に通う際の2つの注意点
学びの多様化学校は不登校の人を手厚くサポートする制度ですが、入学前に知っておきたい注意点もあります。
この章では、学びの多様化学校に通う際の注意点について解説します。
注意点①学校数が少ない

学びの多様化学校は年々設置数が増えてきてはいるものの、まだ全国的に普及しているとは言えません。
そのため、中には通いたくても通学可能範囲内に学校がないという人もいるでしょう。
どうしても通う場合は、通学に時間をかける、または引っ越しを検討しなければならないといった課題もあります。
現在は全国23都道府県に58校が開設されているため、まずは通学可能範囲に学びの多様化学校があるかさがしてみましょう。(参考:文部科学省「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧」
注意点②私立校は費用がかかる
学びの多様化学校には民間企業が運営している私立学校もあります。これらの学校では、施設費や授業料などがかかるため、公立と比べて費用負担が大きくなる可能性があります。
ただし、経済的に困難な家庭に向けた補助金や減免制度を設けている場合もあるので、入学前に必ず確認しましょう。
学びの多様化学校とフリースクールとの違い
学びの柔軟性で言えば、フリースクールも該当しますが、学びの多様化学校と異なる点がいくつかあります。
そもそもフリースクールとは、さまざまな理由で、学校に行かない選択をした子どもたちが通える学校以外の学びの場のことです。
この章では、学びの多様化学校とフリースクールとの違いについて解説します。
フリースクールについては、以下のコラムでも詳しく解説しています。入学条件や費用、メリットについて知りたい方は、ぜひご覧ください。
違い①現在の学校から転入する形になる

学びの多様化学校は、教育委員会や自治体が設置・認定する制度であり、基本的に在籍校からの転籍や転入という形で利用するのが一般的です。
一方、フリースクールは民間団体によって運営されており、学校籍を持たないまま通う場合もあります。
違い②出席扱いになり卒業資格を得られる
学びの多様化学校では、在籍校の出席扱いになるだけでなく、最終的に中学校や高校の卒業資格を得ることが可能です。
これは教育委員会が学びの多様化学校を制度の一部として位置づけているためで、学校としての正規の扱いを受けていることが前提です。
一方、フリースクールでは、要件を満たさない場合出席が認められず、卒業資格を得られないこともあるので注意しましょう。出席扱いになるかどうかの判断は、在籍校や教育委員会に委ねられています。(参加:文部科学省「義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」
学びの多様化学校とオルタナティブスクールとの違い
柔軟な教育という点では、オルタナティブスクールとの違いについて気になっている方もいるでしょう。
オルタナティブスクールとは、従来の公立・私立学校とは異なる教育アプローチを採用し、子どもたちの個性や学びのスタイルに応じた柔軟な教育を提供する学校のことです。(参考:NHK特集「新たな選択肢の学校“オルタナティブスクール”とは」)
この章では、学びの多様化学校とオルタナティブスクールとの違いについて解説します。
オルタナティブスクールについては、以下のコラムでも詳しく解説しています。入学条件や費用、メリットについて知りたい方は、ぜひご覧ください。
違い①不登校生徒の支援に特化している

学びの多様化学校は、不登校や登校しづらい子どもたちの学びを支援することを目的としているのが大きな特徴です。
一方、オルタナティブスクールは、教育理念や独自のカリキュラムを追求するために設立された民間教育施設であり、不登校支援を主眼としていないこともあります。対象とする生徒層や目的が異なるため、どちらが適しているかは対象者の状態や希望に応じて判断する必要があります。
違い②個別指導、グループ活動、キャリア教育が中心
学びの多様化学校では、文部科学省のガイドラインに沿った個別指導やキャリア教育、グループワークを通じた協働学習などが実施されています。これは、将来社会で自立するための力を養うことを目的としたものです。
一方、オルタナティブスクールでは、独自の教育方針に基づく活動が中心となっており、制度としての進学や卒業資格には直結しない場合もあります。
学びの多様化学校と通信制高校との違い
自分のペースで学習するという点については、通信高校との共通点を思い浮かべる方もいるでしょう。
そもそも、通信制高校とは、通信教育で学習する高等学校課程のことです。基本的に毎日通学する必要がないため、場所を選ばずに勉強できる点が特徴です。(参考:文部科学省「高等学校通信教育の質の確保・向上」)
この章では、学びの多様化学校と通信制高校との違いについて解説します。
通信制高校については、以下のコラムでも詳しく解説しています。入学条件や費用、メリットについて知りたい方は、ぜひご覧ください。
違い①対面での授業が中心

通信制高校はオンラインの自宅学習が中心で、年に数回のスクーリングを通じて単位を取得する形式が一般的です。
一方、学びの多様化学校は、可能な範囲で生徒が通学し、対面での授業や支援を受けることを重視しています。
つまり、対面によるコミュニケーションや日常のリズムを整える機会が多く設けられており、通学する習慣を取り戻したり、コミュニティへの苦手意識を払拭したりするための支援にもつながっています。
なお、学びの多様化学校でも、近年はICTを活用したオンライン授業を導入し、無理のない学習環境構築を促進している事例もあります。(参考:さいたま市「令和8年4月「学びの多様化学校」を開校します」
違い②柔軟にカリキュラムが組める
通信制高校もカリキュラムには柔軟性がありますが、学びの多様化学校では、より細かく個別対応がなされ、生活支援やメンタルサポートも組み込まれたサポートをおこなっています。
特に、社会性を育む場としての機能も重視されているため、単なる学習だけではない多面的な支援が魅力です。
まとめ:学びの多様化学校で自分らしく学ぼう

学びの多様化学校は、従来の教育の枠にとらわれない柔軟な学びの場として、多くの子どもたちの未来を支えています。
不登校や学びへの不安を抱える子どもたちにとって、安心して学び直しができる場所であり、一人ひとりの個性を尊重した学習が実現できる環境です。
学校数はまだまだ少ないという側面があるため、まずはお住まいの地域で利用できる学校があるか、調べてみてください。
このコラムが、学びの多様化学校入学を検討しているあなたの助けになれば幸いです。
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