夏休み明けの不登校になるのはなぜ? 気をつけたいポイントを解説
こんにちは。生徒さんの勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする完全個別指導塾・キズキ共育塾です。
このコラムを読んでくださっている親御さんの中には、1学期は元気に学校に通っていたお子さんが夏休み明けに突然行けなくなり、「なぜ…?どうすればいいの…?」とお悩みの方がいらっしゃるかもしれません。
夏休みやゴールデンウィークなどの長期休み明けは、不登校になりやすい時期と言われています。
親御さんとしては、「休み前までは普通に通っていたのになぜ…?」と戸惑われるでしょう。
実は、私自身も中学1年生の夏休み明けに学校に行けなくなり、不登校になりました。
このコラムでは、キズキ共育塾の知見や、筆者である私自身の経験から、夏休み明けに不登校が増える理由や、予防・対策、対応のポイントについて解説します。
お悩みを抱える親御さんにもお子さんにも、お役立てれば幸いです。
共同監修・不登校ジャーナリスト 石井志昂氏からの
アドバイス
子どもによって、不登校が必要な時期があります
夏休み明けは、不登校になる人がもっとも多い時期の一つです。前提として、不登校になるのは、親の育て方が悪かったり、子どもがなまけていたりするためではありません。文部科学省も、「不登校にはどの子どももなりうる。『問題行動』と見てはならない」と訴えています。
子どもによって、不登校が必要な時期があるのです。不安にさせるつもりはありませんが、無理に登校させる・させようとすると、過剰適応(環境に合わせるために、度を超えて自分を変えている状態)になり、自傷行為やOD(オーバードーズ:薬の大量摂取)に発展する危険性もあります。
「学校に戻す」よりも、お子さんが「学校を離れても大丈夫と思える安心できる環境をそろえる」ことを意識していただければと思います。そして、親御さんとお子さんをサポートする不登校の支援団体はたくさんあります。
私たちキズキ共育塾は、不登校状態にあるの人のための、完全1対1の個別指導塾です。
10,000人以上の卒業生を支えてきた独自の「キズキ式」学習サポートで、基礎の学び直しから受験対策、資格取得まで、あなたの「学びたい」を現実に変え、自信と次のステップへと導きます。下記のボタンから、お気軽にご連絡ください。
目次
夏休み明けに不登校になる6つの理由
夏休み明けの不登校によくある原因や例を6つ、ご紹介します。
お子さんに当てはまるものがあるかもしれません。チェックしてみてください。
ただし、子どもが不登校になる理由はさまざまです。
このコラムでは、特に夏休み明けに関係する理由をご紹介しますが、原因が他にある可能性もあることにご留意ください。
理由①息切れ・エネルギー切れ
夏休み明けに不登校になる理由の1つは、息切れ・エネルギー切れです。
学校では、授業・部活・生徒会・その他行事などで、がんばる場面や緊張する場面が多々あります。
1学期中はそういう場面になんとか対応できていたものの、夏休みに入るくらいで息切れ・エネルギー切れになることがあります。
そのまま気力などが補充されないと、がんばりが必要とされる学校へ通う気力がわかなくなります。
休み前まではすごく一生懸命がんばっていたのに、休みに入り急に無気力となり何もできなくなった場合は、息切れ・エネルギー切れの可能性があるでしょう。
理由②学校での負担の自覚
2つ目の理由は、夏休みをきっかけに学校での負担を自覚することです。
夏休み中に学校を離れて過ごすうちに、学校がある間は本人も気づかなかった負担に気づくことがあります。
例えば、夏休みに部活や勉強から離れることで、それらが大きな負担であったことに気づくことがあります。距離を置いたことにより、その苦しさに初めて気づくのです。
特定の大きな負担ではなく、一つひとつは小さな負担の積み重ねである場合もあります。
がんばり・緊張・苦しみなどを、1学期中は自分でも気づいていなかった点が、1つ目の理由とは異なります。
理由③生活リズムの乱れ
3つ目は、生活リズムの乱れです。
夏休み中は学校に合わせた生活の制約がなくなり、生活リズムが乱れやすくなります。
朝起きなければいけない予定や理由がないと、ついつい夜更かしをして夜型の生活になりがちです。
たまに夜更かしをしても、数日後にはいつもの生活リズムに戻せていれば問題ないでしょう。
ですが、夏休み中に夜型の生活が続くと、いざ学校が始まったときに簡単には朝型のリズムに戻せません。
朝起きられず学校に行けなかったり、無理やり起きても体調が優れなかったりすると、学校に行きにくくなるのです。
理由④宿題や課題ができていない
夏休みの宿題や課題ができていないことも、学校に行きにくい原因となります。
宿題というやるべきことをやっていないため、「先生から叱られたり友達からからかわれたりするかも…」という不安から、学校に行きにくくなるのです。
また、宿題ができていないことが、勉強や学力への自信を失うことに繋がる場合もあります。
ほかにも、夏休み明けに実施されるテストの勉強ができていないケースもあるでしょう。
このコラムをお読みになっているのが、「夏休み後に不登校にならないか不安」という段階で、さらにお子さんに仲のよい友達がいるようなら、「宿題やテスト勉強のことを、友達と話してみたら?」とお子さんに提案してみると、不登校の予防・対策になることがあります。
理由⑤2学期からの学校生活が憂鬱
これから先の学校生活を心配するあまり、学校に行けなくなることもあります。
夏休み明けの2学期は、一般的に他の学期よりも長く、かつ行事なども多い時期となります(地域や学校にもよります)。
勉強や部活も、1学期よりも難しくなったり本格化したりすることもあるでしょう。
1学期の時点では「まだ先だ」と思っていても、夏休みが終わり2学期が近づくことで、以下のような心理的な負担が先回りして、学校に行きにくくなるのです。
- 勉強がもっと難しくなったらついていけない
- 嫌な行事が近づいてきた
- 部活の練習がもっと大変になる
理由⑥夏休み明けの人間関係が不安
夏休み中に人間関係がリセットされるような気がしたり、「同級生との関係が、自分の知らないところで1学期と変わっているかも」と不安になったりすることで、不登校になることもあります。
夏休み中は、仲のよい友達以外と会う機会は限られます。
学校の人間関係を気にしなくてよい気楽な日々…と言えるかもしれませんが、交流がないことで不安が生じるともいえます。
例えば、「クラスメイトたちは、夏休み中も部活仲間と過ごしていたり、学習塾で親交が続いていたりする。部活や学習塾に入っていない自分だけ、周りとの距離が開いたのではないか。そんな自分が登校しても、きっと仲よくできない…」などといった不安です。
特に、1学期中からお子さんが人間関係に不安を感じていたのなら、ならなおさらでしょう。
このコラムをお読みになっているのが、「夏休み後に不登校にならないか不安」という段階で、なおかつお子さんに仲のよい友達がいるようなら、夏休み中にお子さんと友達の交流を後押ししてみると、不登校の予防・対策になることがあります。
夏休み明けの不登校の対応で気をつけたい5つのポイント
夏休み明けに不登校になる理由をお伝えしましたが、そのようなお子さんにどう対応すればよいかわからない、というお悩みをよくお聞きします。
この章では、夏休み明けの不登校への対応について解説します。
なお、これからお話する対応は夏休み明けの不登校に限った話ではありません。
基本的な対応は、夏休み明けの不登校でも、別のタイミングの不登校でも変わりません。
学校への復帰を見据えながらも、必ずしも学校に行かせるための対応だけでなく、お子さんにとってよりよい生活、よりよい将来のための対応として、参考にしてみてください。
ポイント①無理に学校に行かせない
まず悩まれるのが、学校へ行くよう促すか否かだと思いますが、無理には行かせないことが、とても重要になります。
1週間、2週間と休みが続くと、親御さんが不安を感じるのは当然です。
「無理にでも学校に行かせれば、そのまま行けるようになるのでは?」と思われることもあるかもしれません。
ですが、基本的にはお子さんが「休みたい」「行きたくない(行けない)」と言っていたり、態度から読み取れたりする場合には、無理に学校に行かせようとしないでください。
本人が望まないタイミングで無理やり学校に行かせても、よい結果が出ることはほとんどなく、むしろ余計に行きにくくなるなど、逆効果になることが多いからです。
ポイント②エネルギーが回復するまで休ませる
休むことを容認したとして、「じゃあいつまで休ませればよいの?」と次の疑問が湧いてくるかと思います。
まずは焦らず、お子さんのエネルギーが回復するのを待っていただくことが重要になります(お子さんのエネルギーを回復させていきましょう)。
休みが続くと焦る気持ちが募るものですが、お子さんのエネルギーが回復するまでは、しっかりと休ませましょう。
原因が何であれ、一度不登校になったお子さんは、多くの場合エネルギーが不足しており、学校や勉強にすぐに立ち向かうのは難しい状態です。
学校に行くことに限らず、家の手伝いや家での勉強も難しいかもしれません。
まずは何かに挑戦するためのエネルギーを回復させることを最優先させてください。
エネルギーを回復させるために大切なのは、学校や勉強など、本人にとって負担になることを取り除くことです。
学校を休んでいても、気がかりなことがあると心も体も休まりません。
何も考えずゆっくりさせる、少し余裕があれば好きなことをさせるなど、できるだけエネルギーの回復に集中できるような環境を整えてください。
私の場合は、夏休み明けに不登校になってから長い間、毎日学校に欠席連絡をしていました。
明日も行けなさそうだと自分の中でわかっているのに、翌朝にまた連絡しなければいけないという状況はプレッシャーでした。
前日の夜に「明日は行けるだろうか」、「明日も欠席連絡しないといけないのか…」と毎日憂鬱になり、その結果あまり眠れなかったこともありました。
こういう状況では、エネルギーの回復に時間がかかります。
できるだけ不安のない環境を整え、お子さんをゆっくりさせてあげましょう。
ポイント③焦らずできことから取り組む
心身ともにゆっくり休むことができると、エネルギーが少しずつ回復し、それに伴って気力も出てきて、活動的になっていきます。
そして、お子さん自身が学校へ行ってみようと思ったり、勉強を再開してみよう思ったりするのです。
この段階を示すサインの例には、直接的だと「そろそろ勉強しようかな(学校に行ってみようかな)」と言ったり、間接的には「暇だな…」と言ったりする、などがあります。
ですが、親御さんも本人も焦りすぎないことが大切です。
本人が望むのであれば、さまざまなことに挑戦しても問題ありません。
ですが、「焦らずに、できるところから」という心構えが重要になります。
なぜなら、いきなり「生活を全て元に戻す!」と意気込んでも、思った以上に疲れたり、思うようにいかなかったりすることがあるからです。
親御さんを不安にさせたくはないのですが、そういった状況になるとお子さんは、「やっぱり自分はダメだ…」と思い、気力を再び失う可能性もあります。
例えば、いきなり学校に行くのではなく、初めは学校に行くのと同じ時間に起きてみる、休日に学校まで登校してみるなど、少しずつできることから始めてみましょう。
学校や学校に関することに気持ちが向かないのであれば、まずはお子さんの好きなことから始めるのもオススメです。
不登校の子どもは、学校に行けない自分に自信を失っていることが少なくありません。
そのような場合は、好きなことをきっかけに少しずつ自信を回復していきましょう。それが、以前のように活動できるようになることに繋がります。
ポイント④学校復帰は本人の意思を優先する
いろんなことが少しずつできるようになってきたら、やはり気になるのが今在籍している学校への復帰でしょう。
お子さんがだんだん元気で活動的になってくると、「次は学校」と思う親御さんは多いと思います。
ですが、今所属している学校への復帰についても、本人の意思を優先しましょう。
本人の意に沿わず登校を再開させた場合は、気力・体力・諸々の不安などの関係で、再び不登校になる可能性があります。
さらに、自分の意思で登校を再開しても、再び不登校になることもあるのです。
これは、親御さんを不安にさせるためではなく、「再び不登校になることは珍しいことではないので、そうなっても思い詰めないでほしい」という思いからお伝えしています。
不登校の繰り返しについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
その上で、お子さんが「今所属している学校に、もう一回通ってみたいな」などと言ったときには、前項までと同様、焦らないことが大切になります。
最初から「毎日、全ての授業を受ける」ことを目標とせずに、例えば「保健室登校から始める」「まずは午後だけ行く」「つらいときには遅刻・早退もOKと考える」といった選択肢があることを、お子さんに伝えておきましょう。
ポイント⑤「今在籍している学校への復帰」以外も検討する
では、お子さんが「(気力・体力はあるけれど)今所属している学校には、もう行きたくない」という意思を示したらどうしたらよいでしょう。
まずお子さんに伝えてほしいのは、「今所属している学校には行かなくても大丈夫。もし将来のためにも今の日々を過ごすためにも、どこかで勉強したかったり、社会性を身につけたかったりするなら、そのような場所は今の学校以外にも色々あるよ。」ということです。。
もし、「今所属している学校は嫌だけれど、学校自体には行きたい」と言っている場合には、転校という選択肢があります。
不登校からの転校については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
学校に行かなくても、勉強する方法や社会性を身につけるための場所は他にもあります。
例えば、学習塾やフリースクール、習い事教室などです。
学校より手間がかかるかもしれませんが、学校に行かないと将来がなくなるわけではないということは、安心につながるはずです。
お子さんに伝えた上で、今所属している学校への復帰だけにこだわらず、お子さんの希望やお子さんに合ったやり方を一緒に探してみてください。
親御さん自身とお子さんのための3つのスタンス
これまでお伝えした対応は、主にはお子さんに向けたものです。
この章では、親御さんご自身のため、ひいてはお子さんのためとなるスタンスについて解説します。
スタンス①不登校の原因にこだわりすぎない
最初の方で少し触れましたが、(夏休み明けに)学校に行けなくなった原因を追究しても、不登校の解決にはつながらないことがあります。
逆に、不登校になった原因は解決しないままでも、次の一歩に進めることは少なくないのです。
例えば、夏休みで、部活の練習内容が辛いと自覚したことが原因で、夏休み明けに不登校になったとします。
この場合、原因の直接的な解決とは、部活の練習内容が変わること、でしょう。
ですが、仮に部活の練習内容が変わっても、不登校中に生活リズムが乱れた、不登校期間によって部活のメンバーと気まずくなった、などの理由から、不登校が続く可能性があります。
そして、そもそも生徒一人の都合で部活の練習内容が変わることは、現実的にはほぼ考えられません。
ですが、「部活の練習内容」が変わらなくても、「自分のできる範囲で練習すること」を顧問に認めてもらう、部活を辞める、転校するなどの対応を取ることで、次の一歩に進める可能性があります。
不登校の原因を追究・解決したくなるものですが、それは次の一歩に進むために必ずしも必要なことではありません。
「なぜ不登校になったのか」よりも、現状の把握と今後の対策に着目してみましょう。
ただし、以下のように、原因を無視してはいけないケースがあります。
- うつ病、統合失調症など精神的な疾患(精神疾患から無気力になる、生活リズムが崩れることで不登校になることもあります)
- 発達障害(学業や人間関係に困難を抱えやすい発達障害は、一見普通に見えて、ある部分の能力は高いケースもあるので、親が気づかないことも多いのです)
- 夫婦の問題、経済的問題など、子どもに悪影響を与える家庭内の問題
- 虐待
- いじめ
このような場合は、未来に向けての対策を考えるのと同時に、原因への対応につとめることも必要です(とは言えこれも、対応は直接的な解決とは限りません)」。
特に精神疾患や発達障害の可能性があるときは、すぐに精神科や心療内科を受診してください。
その他の問題も、その分野の専門家の力を借りることが大切です。
スタンス②専門家・第三者を頼る
不登校解決のためには、親子が学校や社会から孤立し、家庭の中だけで解決しようするのは避けた方がよいでしょう。
不安をあおるつもりではないのですが、そうなると不登校の長期化を招き、長期の引きこもりにつながる可能性があるのです。
逆に言うと、第三者の援助があると、お子さんも親御さんも、次の一歩に進みやすくなります。
第三者とは、不登校に詳しい人や、不登校支援を行う団体などの専門家のことです。
学校に在籍しているのであれば、担任や学年主任、スクールカウンセラーなどに相談してみてください。
以下のように、お住まいの自治体には相談窓口がありますので、利用を検討されてみてください。
名称などは自治体によって違っていることもありますので、お住まいの自治体のウェブサイトや代表電話でご確認ください。
- 児童相談所、児童相談センター
- 引きこもり地域支援センター
- 発達障害支援センター
- 教育センター(高校相当年齢)
民間では、不登校の支援団体として、全国の「不登校の親の会」や、私たちキズキ共育塾などがあります。
親だけ、または子どもだけで相談できる場所もありますので、「まずは自分だけで(子どもだけで)」と思う場合は、そういうところを探してみてください。
最近はインターネットや電話で不登校の相談を受け付けているところも多いので、家の近くに相談機関がなくても頼ることができます。
以下のコラムで、相談先について解説しています。ぜひご覧ください。
専門家には守秘義務があるので、相談に行ったからといってそれが周囲に知られることはありません。安心して相談してみてください。
ご本人だけ、親子だけ、ご家族だけで悩みを抱えずに、必ず専門家の助けを借りましょう。。
スタンス③親は親で生活を楽しむ
親は親で、自分の生活を充実させましょう。
「子どもが不登校なのに、私だけが仕事に行ったり、趣味のサークルを楽しんだりしていいのだろうか?」などと思われるかもしれませんが、親は親で自分の人生を楽しむことが、不登校の解決に繋がります。
そうはいっても、子どもが苦しんでいるときに自分だけ楽しめない、と思う親御さんもいらっしゃるでしょう。
ですが、親が自分の生活を充実させることで、以下のような効果が得られるのです。
(1)親子が社会から孤立することを防ぐ
親が生活を楽しむことで、視野が広くなり、社会からの孤立を防げます。
前述のとおり、親子とも外との繋がりがなくなり、家庭ごと地域から(世間・社会から)孤立するケースがあります。
親が子どものことで心にずっと不安を抱えていると、働きに出ていても、社会との心理的な距離が開いていくのです。
地域や社会から孤立すると、家族・家庭という密閉した空間の中で親の心・視点は子どもに向かう一方で、親子の不安はますます大きくなります。
親の大きな不安や心配が、子どもの心を圧迫していく…といった悪循環にも陥りかねません。
ぜひ、積極的に社会と関わることを意識してみましょう。
(2)親が大人のロールモデルになる
親が充実した生活を送ることで、大人のロールモデルを子どもに見せることができます。
充実している親の姿を見ると、子どもは「今は不登校で苦しいけど、大人になったらこんなふうに生活したい」と思えるようになることがあります。
子どもに「外の世界は楽しいよ」「大人になるっていいものだよ」と示すことが、不登校の次の一歩につながる可能性があるのです。
夏休み明けに不登校になった私が登校を再開するまで
夏休み明けに不登校が多くなるということをお伝えしましたが、最初にお伝えしたとおり、実は私もその1人でした。
中学1年生の夏休み明けに学校に行けなくなり、結果的に中3の一学期まで、約1年半の間不登校でした。
私が夏休みに不登校になった理由や、次の一歩に進んだ経緯をお伝えします。
①1学期に溜まっていた心身の疲れ
今になって夏休み明けに行けなくなった原因を振り返ると、1学期に溜まっていた心身の疲れだったように思います。
小学生の頃から体が弱く休みが多かった私は、中学に入りそんな自分を克服したいと思っていました。
そこで、いつも気を張り、勉強に部活にとがんばっていました。
がんばった結果が出たのか、中1の一学期は学校の休みも少なく、勉強や部活もよい結果が出るなど充実感のある日々でした。
②夏休みの部活で疲れがピークに
そして夏休みを迎えます。
夏休み中も、部活は毎日のようにありました。
炎天下の中、何時間も部活を行うことは、体力的に苦しく感じることも多かったです。
「今日は部活を休みたい」と思うこともありました。
ですが、「周りもがんばっているのに自分だけ休むわけにはいかない」「休んだら試合に出してもらえなくなるかも」などと考えると、休めませんでした。
体力的にも精神的にもつらさを感じながらも、お盆休みまではなんとかがんばって部活に行くことができていました。
ですが、あと10日程で夏休みが終わるタイミングで、私は突然部活に行けなくなりました。
疲労がピークに達して、部活に対してがんばろうと思う気持ちを持てなくなったのです。
③部活を休んだことから学校も休みがちに
部活の時間になると気持ちが憂鬱になり、部活を休む日々が続きました。
初めは、1〜2日休めば部活にまた行けるようになると思っていました。
ですが、数日休んでも体はキツく、部活に行く気持ちにはなれませんでした。
そして、部活に行けないまま夏休みが明けました。
少しずつ体力は回復してきており、学校には行こうと思っていたのですが、「部活はずっと休んでいるのに、学校に行ったらどう思われるのだろう?」と不安になり、学校も行きにくくなっていました。
そして、休みが続くと学校に行くハードルもどんどん高くなっていき、気がつくと不登校になっていました。
結果として、私は中1の夏休み明けから1年半の不登校生活を送りました。
そんな私は、中3になると、それまでのことがなかったことのように学校に行けるようになりました。
不登校を脱したきっかけと心の変化をお話しします。
④ボーッと過ごすうちに心身のエネルギーが回復
学校を休み始めてからしばらくは、何もする気になりませんでした。
何かをがんばることができなかったのです。ボーッとテレビを見たり、一日の大半をベッドに横になったりして過ごしました。
そんな日々をしばらく過ごしていると、少しずつですがエネルギーが回復してきたようで、何かやってみようかなと思えるようになってきました。
学校に行くことはハードルが高かったので、家にいながら本を読んだり、机に向かって少しだけ勉強したりするようになりました。
⑤回復しても自信の喪失から登校を再開できない
少しずつやる気も回復していき、できることも増えてきました。
ですが、学校には行ける気がしませんでした。
自信を失っていたのだと思います。
学校に行けないことにより、私は自信が全くなくなっていたのです。
「学校に行けない=中学生として最低限のことができていない」と考え、自分を恥ずかしい存在のように思っていました。
そんな恥ずかしい自分は学校に行っても認められず、つらい思いをするだけだと勝手に思い込んでいたのです。
体調的には学校に行けるような状態だったとは思うのですが、自信のなさが学校への恐怖や不安を生んでいました。
学校に行けないことが、自信の全てを奪っていたように感じます。
⑥親も最初はどうしたらいいのかわからなかった
私の不登校は、親も初めてのことで不安や戸惑いがあり、どう対応すればよいかわからなかったと思います。
親には「学校に行かせないといけない」という気持ちが強く、それが間接的に学校に行けていない自分を否定することにもつながっていました。
今の私には、「親は、私のためを思って、学校に行かせたがっていた」と理解できます。
ですが当時の私は、「学校が全てではない」「学校に行けなくても人の価値は変わらない」といった言葉を欲していました。
それだけで、ずいぶん気持ちも楽になっただろうと思います。
学校に行けないなら勉強をがんばろうと思い、テストでいい成績(テストの日だけ登校していました)をとっても、学校には行けないために、親からはなかなか褒められることがありませんでした。
とはいえ、一方で、親が私に協力してくれることも、もちろんありました。
⑦親の協力のもと趣味を通じて自信を回復
失った自信を回復したきっかけは、自分の好きなことでした。
趣味である囲碁を通して出会った同級生や大人の人たちとの関係の中で、徐々に自信が回復したのです。
勉強では、いくらがんばっても学校に行かないと認められませんでした。
ですが、趣味の世界では、学校に行っている・行っていないに関わらず、努力や成果を認めてもらえたのです。
さらに言えば、同好の士であるというだけでも、認めてもらえました。
親は、子どもが学校に行かずに囲碁をすることに対して、心配や不安もあったと思います。
ですが、私が囲碁を続けられるようにサポートしてくれました。
好きなことを続けることを認めてくれて、サポートし続けてくれたことは、今でもとても感謝しています。
囲碁を通じて、自分自身を認めてもらえる場に出会ったことで、少しずつ自信が回復していきました。
⑧担任が代わったことをきっかけに登校を再開
不登校になってから一年程で、少しずつ自信も回復していき、体調も回復していきました。
学校に行っていないという事実はありましたが、心身は以前のような状態に戻っていました。
そんな状態の中、中3になりました。
中3になると、担任の先生が他の学校からきた新しい先生に変わりました。
新しい先生に変わったことで、私はなんとなく「その先生の前では新しい自分でいれるのではないか」と思うことができ、学校にもう一度挑戦してみようと思えました。
そして、中3の初日から登校し、たまに休む日はあったものの中1の一学期のように学校に通えるようになりました。
心身の調子を整えつつ、親のサポートの中、好きなことを通じて自信を回復し、自分の中で「いまなら行ける!」と思うきっかけがあったことが、不登校の次の一歩に進めた大きな要因だったように思います。
私の体験談が、あなたと、あなたのお子さんのお役に立ったなら幸いです。
参考:学校休んだほうがいいよチェックリストのご紹介
2023年8月23日、不登校支援を行う3つの団体(キズキ、不登校ジャーナリスト・石井しこう、Branch)と、精神科医の松本俊彦氏が、共同で「学校休んだほうがいいよチェックリスト」を作成・公開しました。LINEにて無料で利用可能です。
このリストを利用する対象は、「学校に行きたがらない子ども、学校が苦手な子ども、不登校子ども、その他気になる様子がある子どもがいる、保護者または教員(子ども本人以外の人)」です。
このリストを利用することで、お子さんが学校を休んだほうがよいのか(休ませるべきなのか)どうかの目安がわかります。その結果、お子さんを追い詰めず、うつ病や自殺のリスクを減らすこともできます。
公開から約1か月の時点で、約5万人からご利用いただいています。お子さんのためにも、保護者さまや教員のためにも、ぜひこのリストを活用していただければと思います。
- 「学校休んだほうがいいよチェックリスト」はこちら(LINEアプリが開きます)
- 「学校休んだほうがいいよチェックリスト」作成の趣旨・作成者インタビューなどはこちら
- 「学校休んだほうがいいよチェックリスト」のメディア掲載・放送一覧はこちら
- 【オリジナル書籍プレゼント】学校外で友だちができるBranchコミュニティ(Branch公式LINEが開きます)
私たちキズキでは、上記チェックリスト以外にも、「学校に行きたがらないお子さん」「学校が苦手なお子さん」「不登校のお子さん」について、勉強・進路・生活・親子関係・発達特性などの無料相談を行っています。チェックリストと合わせて、無料相談もぜひお気軽にご利用ください。
まとめ〜夏休み明けに限らず不登校は心身のSOSです〜
夏休み明けは、1学期での無理や我慢が心身の不調として出やすいタイミングです。
すなわち、夏休み明けの不登校は、子どもからのSOSとも言えます。
まずはエネルギーの回復を優先させてください。心身の体調をしっかり整えてから、これからのことを考えるようにしましょう。
また、お子さんの様子が心配な場合は、今回お伝えした夏休み明けの不登校の予防・対策になる方法を実践してみてください。
さて、私たちキズキ共育塾は、お悩みを抱える方々のための個別指導塾です。
生徒さんの中には、夏休み明けに不登校になった方も大勢いらっしゃいます。
無料相談も承っており、ご相談いただければ、あなたのお子さんのための具体的なお話ができると思います。
キズキ共育塾の概要をご覧の上、少しでも気になるようでしたらお気軽にご相談ください(ご相談は無料です。また、親御さんだけ・お子さんだけでのご相談も承っています)。
Q&A よくある質問






