LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある小学生への接し方 勉強面でできることや役立つツールを紹介
こんにちは。LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある小学生のお子さんの勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする完全個別指導塾・キズキ共育塾です。
あなたは、「うちの小学生の子どもは、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)かもしれない…」とお悩みではありませんか?
- 教科書の音読がうまくできない…
- 計算をいつも間違える…
- 鏡文字を書いている…
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)を疑う理由は、様々だと思います。
このコラムでは、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある小学生のお子さんへの接し方や勉強面で親ができること、勉強に役立つツール、利用できる制度、支援機関を解説します。
最初にお伝えしますが、お子さんのことは親だけ・ご家庭だけで抱え込まず、専門家や支援機関に相談することが重要です。
このコラムが、あなたとあなたのお子さんの役に少しでも立てれば、嬉しいです。
目次
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の年齢別の特徴の現れ方
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)は、小学生になって本格的な学習を行うようになるまでは、判断が難しいとされています。
ただし、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある小学生のお子さんの中には、他の発達障害が併存する場合があります。
お子さんによってさまざまですが、小学生になる前の乳幼児期にも特徴があらわれることがありますし、就学してから特性がみられるお子さんもいます。
この章では、小学生前の幼児期と小学生時期に分けて、年齢別に見られるLD/SLD(学習障害/限局性学習症)の特徴を解説します。(参考:かなしろにゃんこ。、前川あさ美・監修・解説『発達障害 僕にはイラつく理由がある!』)
現れ方①小学生前の幼児期(1歳〜小学校入学)
本格的な学習が始まる前ですので、この特徴は、他の発達障害が併存する場合に限ります。
- 言葉や文字を覚えるのが遅い
- 折り紙が折れない、ボタンがとめられないなど手先が不器用
- 身体の使い方がぎこちない
現れ方②小学生時期(6歳〜12歳)
この時期に、ある特定の科目が苦手だったり、読み書きが苦手に感じたりする場合は、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の可能性があります。
以下の特徴が現れたと思える場合は、学校の先生や専門機関に相談してください。
- 文字が読めない
- 文章を読むのがぎこちない
- 憶測で文章を読む
- 行を飛ばして読む
- 鏡文字を書く
- 板書が苦手
- 文字が行やマス目からはみ出す
- 数が正確に数えられない
- 時計が読めない
- 計算が苦手
- 筆算の数字がずれる
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の小学生への接し方3選
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の特性が、家族の不安やストレスに繋がることも少なくありません。
お子さんの困難が家族のストレスに繋がり、家族のストレスがさらに困難を強固にしていくという、負のスパイラルに陥る可能性もあります。
そうならず、親子で「よりよく過ごす」ためには、お子さんのことを親御さんだけ、ご家族だけで抱え込まないことが大切です。
学校や公的な支援機関、民間の支援機関、同じようなお子さんを持つ「親の会」など、相談したり、悩みを共有したり、専門的・体験的な知見を得られたりできるところはたくさんあります。
この章では、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)を始めとした発達障害の特性を念頭に置いた上で、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある小学生のお子さんへの接し方を解説します。(参考:小池敏英・監修『LDの子の読み書き支援がわかる本』、バーバラ・エシャム・文、マイク&カール・ゴードン・絵、品川裕香・訳『算数の天才なのに計算ができない男の子のはなし 算数障害を知ってますか?』、文部科学省「特別支援教育」)
接し方①愛情のメッセージを絶やさない
「私はあなたが可愛くて、好きで、誰よりも愛している!」というメッセージを送り続けることを忘れないようにしましょう。
学校の授業でつまずいていたり、常によくない成績をとっていたりすると、子どもは自信をなくします。
ですので、子どもに自信をもたせ、自己の存在感、生きがい等を育てていくためには、子どもが「親に愛情を注がれている」という自覚を持つことが大切です。
そうすることで、親子の信頼関係も築き、保つことができます。
親子の信頼関係は、勉強以外にも、今後生きていく上での土台となっていくことでしょう。
接し方②子どもの発達の特性を理解する
お子さんの特性について、発達障害やLD/SLD(学習障害/限局性学習症)の知識を持った上で観察することで、支援機関や相談機関との話がスムーズに進みます。
他の発達障害が併存する場合には、勉強が関係ない部分でも「生きづらさ」を抱えることがあります。
可能な範囲で、お子さんのそうした特性を理解することが、将来的に社会生活をスムーズに送るためにも役立ちます。
接し方③細かいことはあまり注意しない
お子さんの不得意な部分について、細かいことに目をつむるようにしましょう。
不得意部分の改善に一生懸命になると、あれもこれもと気になって、「いつも注意をしている」ような状況に陥りがちです。
これが続くと、子どもは自信をなくし、家族はストレスがたまります。
改善のポイントは一つずつに絞り、そのポイントに関係ないことについてはあまり注意せず、順序立てて行っていくことが重要です。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある小学生に勉強面で親ができること〜特性別に解説〜
この章では、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)を始めとした発達障害の特性を念頭に置いた上で、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある小学生のお子さんへの、勉強面で親ができることを解説します。(参考:小池敏英・監修『LDの子の読み書き支援がわかる本』、バーバラ・エシャム・文、マイク&カール・ゴードン・絵、品川裕香・訳『算数の天才なのに計算ができない男の子のはなし 算数障害を知ってますか?』、文部科学省「特別支援教育」)
まずは、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)について知り、理解することが何より大切です。
その上で、お子さんが苦手な部分を発見し、本人に合った方法を見つけながらサポートしていきましょう。
ただし、親御さんはLD/SLD(学習障害/限局性学習症)の専門家でも、勉強の専門家でもありません。そして、子育ての専門家でもありません。
繰り返すとおり、「親だけ、家庭だけでなんとかしなくては」と思わず、紹介したような専門機関を頼ることが、お子さんのためにも親御さんのためにもなります。
積極的に、医療機関や専門家、支援機関を利用しましょう。
事例①「読む」ことに困難がある小学生の場合
文字や文章を読むことが苦手な読字障害(ディスレクシア)のある小学生のお子さんには、まずは簡単なことから始め、徐々にレベルを上げるようにしましょう。
例えば、最初は一文字ずつ覚えることからはじめ、段々と単語や語句のまとまり、文章を読めるようにする段階に移る、といった具合です。
そのために家族ができることは、単語や語句の読み方を聞かせて、意味を教えることなどです。
文字・単語を覚えた後は、例文をつくらせることで、語彙力を高める方向に導きます。
事例②「書く」ことに困難がある小学生の場合
書くことが苦手な書字表出障害(ディスグラフィア)のある小学生のお子さんの場合も、徐々にレベルを上げるようにしましょう。
書きの練習は、「なぞり書き」から行い、次は「お手本を写す」「聞いたことを書き取る」など、段々とレベルを上げていきましょう。
漢字の構成要素をイメージしながら書くのも効果的です。例えば、「森は木が3本」などと伝えると、より効果的でしょう。
書きやすいように、マス目の入ったノートを使ったり、書きやすい鉛筆などの文房具をそろえるのもよいでしょう。
事例③「計算する」ことに困難がある小学生の場合
計算が苦手な算数障害(ディスカリキュリア)のある小学生のお子さんは、たくさんの問題を解くよりも、一つの問題にじっくりと向き合って、正確に解けるように導きましょう。
答えを教えるときには、ただ数字を伝えるのではなく、「なぜそうなるのか」といった計算過程を示すことが大切です。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある小学生の勉強に役立つツール4選
この章では、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある小学生のお子さんの勉強に役立つツールを紹介します。
こちらで解説した勉強面で親ができることと合わせて実践することで、お子さんがより勉強に取り組みやすくなります。
紹介するもの以外にもツールは考えられます。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある小学生の子どもの支援を行っている支援団体や学習塾、家庭教師などにも相談しつつ、お子さんに合いそうなツールを探してみましょう。
授業中や勉強中にツールを使うことに抵抗感がある親御さんもいらっしゃるかもしれません。
ですが、特性のあるお子さんが適切に勉強をしていくため、お子さんの勉強に関する負担や苦手意識を減らすために、ぜひ検討してみてください。
ツール①電子機器(PC・タブレット・スマホ)
1つ目のツールは、パソコンやタブレット、スマホなどの電子機器です。
特に、書字表出障害(ディスグラフィア)がある場合、授業中に黒板に書かれていることや自習で勉強している内容などを、鉛筆やペンなどを使ってノートに書くことが難しいこともあります。
パソコンやタブレット、スマホなどの電子機器を使えば、キーボードでの入力やフリック入力などができるため、上手くノートをとれなかったり文字を覚えづらかったりすることによる負担を軽減できます。
なお、学校の授業でこれらの電子機器が使えるかどうかについては、担任の先生や学校との相談が必要です。
ツール②リスニング音源
リスニング教材も、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある小学生のお子さんの勉強に役立つツールの1つです。
文字を読むことに困難が生じる読字障害(ディスレクシア)では、文字が見えにくかったり、ぼやけて見えたり、黒塗りになっているように見えたりします。
そのため、紙や画面などに書かれている文字よりも、音声の方が情報を理解しやすい場合が多く、リスニング音源が役立つのです。
また、リスニング音源以外にも、読み上げ機能がある学習教材を取り入れたり、親御さんが教材などに書かれている内容を読み上げたりすることも、お子さんの勉強に役立ちます。
ツール③動画教材
動画教材も、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある小学生のお子さんの勉強にオススメのツールです。
特に、「聞くこと」に困難を抱えているお子さんは、音声だけでは情報を理解しづらいことが多くなります。
音声と同時に、絵や図、記号、映像などの視覚的な情報があれば理解がしやすく、勉強にも取り組みやすくなるのです。
最近では、YouTubeなどの無料で視聴できる勉強動画や通信教育の動画教材など、勉強に関する動画を比較的手軽に利用できるためオススメです。
ツール④電卓
最後に紹介するツールは、電卓です。
数字や数式、推論などが苦手な算数障害(ディスカリキュリア)がある場合は、電卓を使用することで勉強がスムーズに進みやすくなります。
こちらも、授業中に使用してよいかは、学校に確認しましょう。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある小学生が利用できる支援制度
小学生のお子さんがLD/SLD(学習障害/限局性学習症)だと診断された場合、児童福祉法や障害者自立支援法に基づいて様々な支援制度を利用できます。
この章では、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある小学生のお子さんが障害者手帳がなくても利用できる支援制度を2つ紹介します。(参考:厚生労働省「障害福祉サービスの利用について」)
いずれも申し込みの際は、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口に問い合わせてみてください。
制度①障害児通所支援
障害児通所支援とは、障害のある子どもが施設に通って支援を受けることができる支援制度のことです。(参考:厚生労働省「障害児支援施策」)
小学生を対象としているのは、主に6歳から18歳の子が授業後や休みの日に通う「放課後等デイサービス」です。
制度②地域生活支援事業
地域生活支援事業とは、障害のある人が自立した生活を送るために、住んでいる地域の特色や、利用者の状況に応じて支援を受けられる支援制度のことです。(参考:厚生労働省「地域生活支援事業」)
地域生活支援事業の中に、「日中一時支援事業」があり、さらに「タイムケア」と「レスパイト」があります。
「タイムケア」では、障害児の家族が仕事などで、子どもの面倒をみることができないときに預けることができます。
「レスパイト」では、障害児を日常的にサポートしている家族に、一時的な休息をつくることができます。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある小学生が利用できる支援機関
お子さんがLD/SLD(学習障害/限局性学習症)かどうかを判断できるのは、医療機関のみです。
そのため、お子さんにLD/SLD(学習障害/限局性学習症)の特徴に心当たりがある場合は、病院・医師や学校の先生、スクールカウンセラー、発達障害支援センター、かかりつけの小児科医、児童相談所などに相談してください。
医療機関でLD/SLD(学習障害/限局性学習症)と診断された、または明確な診断はされなかったけれどその傾向があると判断された場合は、学校や相談機関、支援機関を頼りましょう。
身近な公的専門機関としては、以下の機関があります。
- 保健センター
- 子育て支援センター
- 児童発達支援事業所
- 発達障害者支援センター
お住まいの地域によって名称が異なることもありますので、気になる場合はお住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口に相談してみてください。
支援機関は、民間にもたくさんあります。
例えば、インターネットで「お住まいの自治体名+LD/SLD(学習障害/限局性学習症)+支援」などと検索すると候補が見つかると思いますので、気になるところがあるなら問い合わせてみましょう。
ただし、中には高額な契約を求めてくる悪質な機関もあります。くれぐれも注意しましょう。トラブルにあった場合には、消費者ホットラインにご相談ください。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある小学生のお子さんのことを、親だけ、ご家庭だけで抱え込まず、ぜひ積極的に支援者を頼ってください。
民間の支援の一つとして、私たちキズキ共育塾では、LD/SLD(学習障害/限局性学習症) のあるお子さんについて、それぞれの特性に応じた支援を行うことが可能です。
その他の相談先については、以下のコラムで紹介しています。ぜひご覧ください。
私たちキズキ共育塾は、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある人のための、完全1対1の個別指導塾です。
生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)とは?
この章では、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の概要や原因、診断基準、種類を解説します。(参考:山末英典・監修『ニュートン式 超図解 最強に面白い!! 精神の病気 発達障害編』、厚生労働省「e-ヘルスネット 学習障害(限局性学習症)」、小池敏英・監修『LDの子の読み書き支援がわかる本』、バーバラ・エシャム・文、マイク&カール・ゴードン・絵、品川裕香・訳『算数の天才なのに計算ができない男の子のはなし 算数障害を知ってますか?』)
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の概要
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)とは、「読む」「書く」「計算する」「推論する」など、特定の学習行為のみに困難が生じる発達障害の一種のことです。
文部科学省は、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)を以下のように定義しています。
学習障害とは、全般的に知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、様々な困難に直面している状態をいいます。
(参考:文部科学省「学習障害」)
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)は、以下の3つの種類に分類されます。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある人は、全ての学習行為に困難が生じるというわけではありません。
いずれかの学習行為、または複数の学習行為に困難が生じている人もいます。「計算することのみが不得意」「読むことと書くことが不得意」などといったように、人によって様々です。
また、いずれの学習行為においても、人によって得意なこと、不得意なことは異なってきます。
例えば、一口に「読字障害」といっても、スムーズな音読が不得意な人もいれば、音読はできてもその内容を理解することが難しいという人もいます。
このように、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある人は、学習する事柄が総合的に不得意というわけではなく、「ごく一部の事柄に困難が生じる」、という点が大きな特徴なのです。
小学生になる前に読み書きや計算などを学ぶ子どももいますが、全員がそうであるわけではありません。そのため、小学生になるまでLD/SLD(学習障害/限局性学習症)に気がつかないことが多くあります。
また、苦手分野以外の能力には問題が見られないことが多く、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の判断は非常に難しいといわれています。
中には、自分の苦手がLD/SLD(学習障害/限局性学習症)によるものではなく、個人差の範疇だと誤解し、または周囲から誤解され、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)だと気づかないまま過ごしている人もいるでしょう。
また、学習障害(限局性学習症・限局性学習障害)の特徴は、人によってそれぞれです。さらに、他の発達障害がある人は、その特徴が合わせて出る場合もあります。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の原因
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の原因は不明です。
現在のところ、「脳の機能障害」と考えられています。
情報が目や耳から脳に伝達され、脳内で処理されるまでの過程で、何らかの問題が発生した結果であるとされているのです。
原因は、本人の努力不足、親の育て方、環境など「ではない」ということが明らかになっています。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の診断基準
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)は、「読む」「書く」「計算する」「推論する」のいずれかに困難が認められていることを言います。
精神疾患の世界的な診断基準の一つである『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』では、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の診断基準が以下のように詳しく示されています。(参考:日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』)
ただし、診断基準に当てはまるかどうかは、医師だけが判断できます。
いずれかの症状がみられる場合であっても、自身でLD/SLD(学習障害/限局性学習症)と判断しないようにしましょう。
学習や学業的技能の使用に困難があり、その困難を対象とした介入が提供されているにもかかわらず、下記の症状のうち少なくとも1つが存在し、少なくとも6カ月間持続していることで明らかになる
①的確または速度が遅く、努力を要する読字 (例:単語を間違ってまたはゆっくりとためらいがちに音読する、しばしば言葉を当てずっぽうに言う、言葉を発音することの困難さをもつ)
②読んでいるものの意味を理解することの困難さ (例:文章を正確に読む場合があるが、読んでいるもののつながり、関係、意味するもの、またはより深い意味を理解していないかもしれない)
③綴字の困難さ (例:母音や子音を付け加えたり、入れ忘れたり、置き換えたりするかもしれない)
④書字表出の困難さ (例:文章の中で複数の文法または句読点の間違いをする、段落のまとめ方が下手、思考の書字表出に明確さがない)
⑤数字の概念、数値、または計算を習得することの困難さ (例:数字、その大小、および関係の理解に乏しい、1桁の足し算を行うのに同級生がやるように数字的事実を思い浮かべるのではなく指を折って数える、算術計算の途中で迷ってしまい方法を変更するかもしれない)
⑥数学的推論の困難さ (例:定量的問題を解くために、数学的概念、数学的事実、または数学的方法を適用することが非常に困難である)
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の種類①読字障害(ディスレクシア)
読字障害(ディスレクシア、Dyslexia)とは、目で見た文字や文章を「読む」ことに困難が生じるLD/SLD(学習障害/限局性学習症)です。
目で見た文字や文章を「読む」ことに困難が生じる場合は、「読字障害(ディスレクシア)」に当てはまります。
具体的には、「読みの正確さ」「読みの速度」「読解力」のいずれかに困難が生じることをいいます。
こちらで紹介した診断基準の①と②に当てはまります。
特性の具体例
- 文字がぼやけて見える
- 文字が黒く塗りつぶされて見える
- 「わ」と「ね」、「シ」と「ツ」など、形が似た文字を識別できない
- 「っ」「ゃ」「ょ」などの小さい文字を認識できない
- ひらがなやカタカナの1文字ずつは読めて理解していても、漢字が理解できない
- ひらがなやカタカナの1文字ずつは読めて理解していても単語になると理解ができない
- 文章を読んでいる途中で読んでいる場所がわからなくなる
- 一部を飛ばして読む、適当に読むなど、文章をスムーズに読むことができない
- 単語や文節の途中で区切って読むなど、不自然な読み方になる
- 見た文字を音にして発声するのが苦手
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の種類②書字表出障害(ディスグラフィア)
書字表出障害(ディスグラフィア、Dysgraphia)とは、文字や文章を「書く」ことに困難が生じるLD/SLD(学習障害/限局性学習症)です。
文字や文章を「書く」ことに困難が生じる場合は、「書字表出障害(ディスグラフィア)」に当てはまります。
具体的には、「字の綴りの正確さ」「文法・句読点の正確さ」「書字表出の明確さ・構成力」のいずれかに困難が生じることをいいます。
こちらで紹介した診断基準の③と④に当てはまります。
特性の具体例
- 文字を正しく書けない、または書き写せない
- 左右が反転した鏡文字を書く
- 雰囲気で存在しない文字を書く
- 「わ」と「ね」、「シ」と「ツ」など、形が似た文字を書き間違える
- 誤字脱字や誤った書き順などの間違いが多い
- 板書ができない、または苦手
- 漢字を覚えられない、または覚えるのが苦手
- 文字の大きさや形がバラバラで、マス目や行からはみ出す
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の種類③算数障害(ディスカリキュリア)
算数障害(ディスカリキュリア、Dyscalculia)とは、「計算する」ことまたは「推論する」ことに困難が生じるLD/SLD(学習障害/限局性学習症)です。
「計算する」または「推論する」ことに困難が生じる場合は、「算数障害(ディスカリキュリア)」に当てはまります。
具体的には、「数字の概念の習得」「数値の習得」「計算の習得」「数学的な推論」のいずれかに困難が生じることをいいます。
こちらで紹介した診断基準の⑤と⑥に当てはまります。
特性の具体例
- 数字、記号の理解が苦手
- 数の順番、または大小の理解が難しい
- 繰り上げ、繰り下げがわからない
- 暗算が難しい
- 「+」「-」などの計算記号の認識ができない
- 図形・グラフの読み取りが難しい
補足①:LD/SLD(学習障害/限局性学習症)と知的障害は全く異なる
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)は、知的障害とは全く異なるものです。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のみがある人は、知的発達の遅れはありません。ただし、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)と知的障害の両方があるケースは存在します。
補足②:ほかの発達障害が併存していることもある
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)のある人は、他の発達障害が併存している可能性もあります。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)による特性だと思っていた困りごとに、別の発達障害が影響を与えていることもあります。
気になる場合は、病院や専門家、支援機関に相談することをオススメします。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)が併存する可能性があるADHDやASDなどの発達障害については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
まとめ〜悩みを緩和するためにも相談を〜
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)は、周囲から個人差の範囲とみなされることも多く、理解を得づらい発達障害です。
そのため、本人はつらい思いをしていることが少なくありません。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)に対し、できるだけ早く向き合い、小学生から特性を踏まえた教育や療育を始めることは、その後の人生にも良好な影響を与えます。
「子どもはLD/SLD(学習障害/限局性学習症)かもしれない」とお思いでしたら、すぐに医療機関や専門家、支援機関に相談してください。
相談は、本人のためだけでなく、家族の悩みを緩和するためにも有益です。
このコラムが、あなたと、あなたのお子さんの一助となったなら幸いです。
さて、私たちキズキ共育塾は、お悩みを抱える方々のための個別指導塾です。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の生徒さんにも、一人ひとりの特性に向き合った上での支援を行います。
無料相談も承っており、ご相談いただければ、「あなたのお子さん」のための具体的なお話ができると思います。
キズキ共育塾の概要をご覧の上、少しでも気になるようでしたらお気軽にご相談ください。ご相談は無料です。また、親御さんだけでのご相談も承っています。
Q&A よくある質問
小学生の子どもには、LD/SLD(学習障害/限局性学習症)があります。接し方を知りたいです。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の小学生への接し方として、以下が考えられます。
- 愛情のメッセージを絶やさない
- 子どもの発達の特性を理解する
- 細かいことはあまり注意しない
詳細については、こちらで解説しています。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の小学生の勉強に役立つツールを知りたいです。
LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の小学生の勉強に役立つツールとして、以下が考えられます。
- 電子機器(PC・タブレット・スマホ)
- リスニング音源
- 動画教材
- 電卓
詳細については、こちらで解説しています。