ADHDのある小学生の特徴 親ができる対応を解説

こんにちは。生徒さんの勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする完全個別指導塾・キズキ共育塾です。
ADHDの小学生のお子さんをお持ちの親御さんは以下のようにお悩みではないですか?
- ADHDのある小学生に多い特徴は?
- ADHDにある子供に親ができる対策は?
このコラムでは、ADHDのある小学生の特徴や抱えている困りごと、親御さんができる対策の具体例について解説します。
私たちキズキ共育塾は、ADHDのあるお子さんのための、完全1対1の個別指導塾です。
生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。
目次
ADHDとは?
このコラムでは、ADHDの定義や原因、男女による違いについて解説します。
特性や背景を知り、子どもたちが安心して成長できる環境づくりのヒントを得ていただければ幸いです。
ADHDの定義

ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害、Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)とは、不注意性や多動性・衝動性の特性から日常生活などに困難が生じる発達障害の一種のことです。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、田中康雄・監修『大人のAD/HD』、岩波明『大人のADHD─もっとも身近な発達障害』、司馬理英子『ササッとわかる 「大人のADHD」 基礎知識と対処法』、星野仁彦『それって、大人のADHDかもしれません』、e-ヘルスネット「ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療」)
ADHDの特性は大きく、以下の2つの特性に分けられます。
- 不注意性:忘れ物やケアレスミスが多い、注意散漫、整理整頓・管理が不得意
- 多動性・衝動性:落ち着きがない、気が散りやすい、後先考えず行動する
ADHDのある人だからといってすべての特性が生じるというわけではありません。いずれかの特性、または複数の特性から困難が生じている人もいます。
ADHDのある人は、必ず不注意性や多動性・衝動性が現れるというわけではなく、人によって特性の現れ方、得意なこと・不得意なことが違う点が大きな特徴です。
例えば、不注意性が目立つADHDのある子どもは忘れ物が多く、課題の手順を守るのが苦手です。また、多動性が目立つADHDのある子どもは授業中にじっと座っていることが難しいなど、異なる課題を抱えています。
同じADHDの診断を受けていても、得意や不得意は子どもによって異なるため、一人ひとりに合った支援や対応が必要です。
ADHDの概要や特性などについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
参考記事:キズキビジネスカレッジ(KBC)「ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)とは? 特性や診断基準を解説」
ADHDの原因
ADHDの原因は、現在の医学では明確に特定されていません。現在のところ、生まれつきの脳機能の障害が原因であると考えられています。
少なくとも、本人の努力不足や親の育て方、ストレス、環境などが原因ではないことは明らかになっています。発達障害は、原因不明かつ生まれつきのものであり、誰かに責任があるわけではありません。
厚生労働省の調査報告によると、ADHDは前頭前野における神経伝達物質であるドパミンの働きが年齢に応じた適切な機能を果たしていないことが原因の一つとされています。(参考:厚生労働省「発達障害支援に関わる専門家のための研修テキスト・ガイドブック」)
男の子と女の子の違い

ADHDの診断や特徴には、男女で違いが見られます。
日本小児臨床研究会の調査によると、女の子は幼少期の行動特性が軽微な場合が多いため、ADHDに気づかれにくく、診断が男の子よりも遅れる傾向があります。
一般的には、ADHDのある子どもは男の子が多いとされ、男女比は4:1とされています。しかし、軽症例を含めた調査では、男女比が1:1に近づくという結果も示されています。
男の子は多動性や衝動性が目立つため早期に診断されやすいのに対し、女の子は注意欠如が中心で目立ちにくいため、学校生活での困難が顕在化してから診断される場合が多くあります。(参考:厚生労働省「発達障害児の親に必要な育児支援の男女差について― ペアレントトレーニングの自発的受講者の分析を通して ― 」)
ADHDのある小学生の特徴

ADHDのある小学生の特性には、注意散漫や忘れ物の多さ、計画の苦手さが挙げられますが、一方で発想力や好奇心の強さなどの長所もあります。
ADHDのある小学生に見られる主な特性は、以下のとおりです。
- 忘れ物や失くし物が多い
- 気が散りやすい
- じっとしていられず落ち着きがない
- ケアレスミスが多い
- 確認作業が苦手
- 整理整頓が苦手
- 片づけができない
- 人の話を聞いていない
- 直接話しかけられても、話を聞いているように見えない
- マルチタスクやスケジュール管理が苦手
- 時間の経過を正確に把握できない
- 時間の見積もりが甘い
- 未来の予定を具体的にイメージできない
- 時間に対する焦燥感を感じにくい
- 思いついたままに発言し、行動する
- 他人の会話をさえぎったり、割り込んだりする
- おしゃべりが止まらず、人が口を挟む隙を与えない
- 順番を待つのが苦手
- 我慢をすることが苦手
- 衝動買いをすることがある
- 金銭管理が苦手
- 指示を最後までやり遂げず、仕事を終えられない
- 課題や仕事を計画的に進めることが困難である
- 特定のものごとに極端に熱中する
ADHDの特性は個人ごとに異なり、困難なだけでなく強みもあります。
適切なサポートを通じて、子どもの可能性を引き出し、困難を軽減できます。
ADHDのある小学生が日常生活で抱く4つの困りごと
この章では、ADHDのある小学生が日常生活で抱く困りごとについて解説します。
困りごと①じっとしていられない

1つ目の困りごとは、じっとしていられないことです。
ADHDのある小学生は、多動性や衝動性が強いことが挙げられるためです。
例えば、授業中に立ち歩いたり、周囲の子に大声で話しかけたりする場合があります。また、落ち着きがなく多弁になったり、体を動かし続けたり、走り回ったりする場合もあるでしょう。教材や物を乱暴に扱うなど、衝動的な行動が見られることもあります。
子ども自身がコントロールしづらい行動であるため、適切な理解とサポートを通じて、行動を導く環境作りが必要です。
困りごと②忘れ物が多い
2つ目の困りごとは、忘れ物が多いことです。
ADHDのある小学生は、情報を整理して記憶することが難しいため、物事の優先順位をつけたり、準備を計画的に行ったりするのが苦手です。。
例えば、連絡帳やノートを記入できなかったり、必要な持ち物を準備し損ねる場合があります。また、よそ見が多くケアレスミスが目立つ場合もあります。そのため、宿題や提出物を忘れることも少なくありません
困りごと③宿題や課題を期限内に提出できない

3つ目の困りごとは、宿題や課題を期限内に提出できないことです。
ADHDの特性として、時間の管理や計画的な行動が苦手であることが挙げられます。
たとえば、課題に取り組む前に必要な準備を整えるのが難しく、何を優先するべきかが分からなくなる場合があります。また、集中が途切れやすいため、課題を途中で放置して、未完のまま期限が過ぎることも少なくありません。
ADHDの特性を理解し、具体的なサポートや環境の工夫を取り入れましょう。
困りごと④順番やルールを守るのが難しい
4つ目の困りごとは、順番やルールを守るのが難しいことです。
ADHDのある小学生は、唐突な行動が多かったり、ルールを逸脱することが挙げられる為です。
たとえば、順番を待てず、質問に答える際に割り込む場合があります。他にも、他の子にちょっかいを出したり、道路へ突然飛び出したりといった行動が見られる場合もあるでしょう。
周囲の子どもとの関係を良好に保つためにも、適切な環境づくりが求められます。
ADHDのある小学生が勉強面で抱く3つの困りごと
この章では、ADHDの小学生が勉強面で抱く困りごとについて解説します。
困りごと①頭の回転は早いが作業が極端に遅い

1つ目の困りごとは、頭の回転が速い一方で作業が極端に遅いことです。(参考:政府広報オンライン「発達障害って、なんだろう?」)
ADHDのある小学生は、得意な分野では優れた能力を発揮する一方で、苦手な分野では集中力が途切れたり、順序立てて行動したりするのが難しい傾向にあります。
例えば、知識を言葉で表現するのは得意ですが、作業手順を守るのが難しく、思考と行動が噛み合わない場合があります。
得意分野を伸ばしながら苦手分野をサポートし、子どもの成長を後押しするのが大切です。
困りごと②落ち着いて考えればできる問題でもミスをする
2つ目の困りごとは、落ち着いて考えればできる問題でもミスをすることです。
ADHDのある小学生は、視覚的な情報を正確に処理するのが苦手な場合があり、行を飛ばしたり、解答欄に正確に記入できなかったりします。
また、こちらで解説する困りごとと関連しますが、周囲の刺激に影響されやすく、情報を選択する力が弱いのも、集中力が乱れる原因の一つと考えられています。
ミスを防ぐために、視覚的なサポートをしたり、環境の工夫を取り入れたりすると、子どもが自信を持って学習に取り組めます。(参考:独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター「指導・支援行動面でのつまずきと指導・支援」)
困りごと③集中力が持続しない

3つ目の困りごとは、集中力が持続しないことです。
ADHDのある小学生は、注意を持続する力が弱く、周囲の刺激に影響されやすい特性があります。
特に、興味の薄い内容では集中力が途切れやすい傾向が見られます。長時間取り組む課題を短い時間で区切り、達成感を得られるよう工夫すると効果的です。また、外部の刺激を減らした環境で学習を行うと、集中しやすくなる場合もあるでしょう。(参考:独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター「指導・支援行動面でのつまずきと指導・支援」)
ADHDのある小学生に親ができる5つの対応
日常生活や学習面での困りごとは、周囲から誤解されることも多く、親御さんはどう対応すればよいのか迷う場面もあるでしょう。
このコラムでは、ADHDのある小学生に親ができる対応について解説します。
前提:支援機関や専門家に相談する

ADHDのある小学生を育てる際には、専門の支援機関や専門家に相談することが大切です。
たとえば、発達障害者支援センターなどの公的機関では無料で相談が可能です。また、学習面でお困りの場合は、発達障害の子どもに特化した指導を行う学習塾なども選択肢の一つです。
親御さんが一人で悩みを抱え込むのではなく、周囲の協力を積極的に仰ぎましょう。
その上で、以下の対応を心掛けるとよいでしょう。
対応①できないことを叱らず小さな成功を認めてあげる
1つ目の対応は、できないことを叱らず、小さな成功を認めてあげることです。
ADHDのある小学生は、他の子どもが簡単にできることでもうまくできない場合があります。
失敗を責められると自己否定に陥る可能性があるため、できないことを叱らず、努力や小さな成功を認めてあげましょう。
たとえば、「今日は机に座って頑張っていたね」と具体的に褒めると、自信が芽生えます。
その上で、「こうするともっと良くなるよ」と改善策を前向きに伝えると、意欲的に取り組む姿勢が育まれます。失敗をしても寄り添いながら、励まし続けるのが重要です。
子どもが安心感を持ちながら成長していくための重要なステップとなります。
対応②正しい行動と間違った行動を具体的に教える

2つ目の対応は、正しい行動と間違った行動を具体的に教えることです。
ADHDのある小学生は、暗黙のルールや社会のマナーを理解するのが難しい場合があります。そのため、何がいけないのかだけでなく、どうすればよいのかを具体的に教えるのが重要です。
たとえば、公共の場で走り回った場合には「ここは他の人も使う場所だから、座ってお話ししようね」と具体的に伝えてみてください。また、「こうすれば相手も喜ぶよ」とポジティブな行動の効果を説明し、改善への意欲を引き出しましょう。
叱るだけでなく、どう行動するのが正解なのかを分かりやすく示すのを意識しましょう。
対応③子どもの気持ちを受け止め信頼関係を築く
3つ目の対応は、子どもの気持ちを受け止め信頼関係を築くことです。
ADHDのある小学生は、周囲から誤解を受けたり、自分の行動を否定されると自己肯定感を失いやすい傾向があります。
たとえば、子どもが失敗した際「どうしてできなかったの?」と叱るのではなく「どんな気持ちだった?」と聞き、子どもの感情に寄り添う姿勢を見せるのが大切です。また、「次は一緒に考えようね」と伝えると、親が自分の味方であると感じられるでしょう。
子どもの気持ちに共感し、行動を受け入れると信頼関係が深まり、子どもが安心して挑戦できる環境が作れます
対応④他の子どもの成長との違いを把握する

4つ目の対応は、他の子どもの成長との違いを把握することです。
ADHDのある小学生を育てる場合、一般的な基準と比較するのではなく、個々の特性や進歩に注目しましょう。
たとえば、他の子どもが短時間で宿題を終えるのに対し、ADHDのある小学生の場合は同じ課題に長時間を要する場合があります。「どうして遅いの?」と責めるのではなく、「自分なりに頑張って進めているね」と成長を認めてあげると、自己肯定感を育めます。
他の子どもと比較するのではなく、子どもの個性や成長に合わせた目標を設定し、温かく見守りましょう。子どもの安心感や自信につながるでしょう。
対応⑤常に愛情を伝え続ける
5つ目の対応は、常に愛情を伝え続けることです。
ADHDのある小学生は、日常生活で失敗や挫折を経験することが多く、自分に自信を持ちにくい傾向があります。
たとえば、課題に取り組む中でミスをした際も「頑張って取り組んでいるのがすごいよ」「いつも頑張るあなたが大好き」と声をかけると、失敗に対する不安を軽減できます。
また、日々の生活の中でいつでも味方だと伝え、その姿勢を見せ続けると子どもは安心感を得られるでしょう。
子どもに失敗や困難があっても、親からの無条件の愛情は、自然と子どもの自信と意欲を引き出せます。
ADHDのある小学生に対して家庭でできるサポートの具体例4選
この章では、ADHDのある小学生に対して家庭でできるサポートの具体例について解説します。
家庭でのちょっとした工夫やサポートによって、子どもの成長や自信を後押しできます。お子さん一人ひとりの特性に寄り添った対応を心掛け、子どもの可能性を広げるための参考にしてください。
サポート①体を動かす時間の確保とリズムのある生活をする

1つ目のサポートは、体を動かす時間を確保し、リズムのある生活に整えることです。
子どもの学習効率や取り組みやすさを向上させ、集中力の改善に効果的です。
具体的には、以下の方法で実践してみましょう。(参考:独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター「指導・支援行動面でのつまずきと指導・支援」)
方法①短いスパンで活動を切り替える
子どもが集中できる時間を基準に、活動を細かく区切り、読む、操作する、考える、書くなどの流れを組み合わせると、一つの課題に対して無理なく取り組めます。
方法②身体を動かす時間を設ける
勉強の合間にストレッチや軽い運動を取り入れると、エネルギーを発散させ次の課題に向けたリセットができます。
方法③見通しを持たせる
例えば「10分間でこの問題を解いたら、休憩しよう」というように、何を、どれくらい、どうすれば終わるのかを明確に伝えると、子どもが安心して集中できます。
方法④環境を整える
窓側を避けた席や、机の上には必要な課題だけを置くようにすることで、周囲の刺激を減らし、集中しやすい環境を作れます。
ADHDのある小学生は、一つの課題に集中する時間が短く、刺激に影響を受けやすい特性があります。短い活動を組み合わせたスケジュールや刺激を減らした環境作りなど、日常の工夫を取り入れると、子どもの成功体験を増やし、自信を育めます。
サポート②家庭と学校での忘れ物を減らす仕組みを作る
2つ目のサポートは、家庭と学校の連携を図り、忘れ物を減らす仕組みを作ることです。
具体的なルールや習慣を取り入れると、忘れ物を防ぎ、子どもの生活や学習のスムーズな進行を支援できます。
具体的には、以下の方法で実践してみましょう。(参考:独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター「指導・支援行動面でのつまずきと指導・支援」)
方法①メモを取る習慣を作る
メモ用紙をランドセルの特定のポケットに入れるルールを作り、必ずその場所に戻すよう徹底しましょう。また、メモが所定の場所にあるかを家庭でも確認する習慣をつけるとよいです。
方法②持ち物の数を減らす
通学時に持ち物を一つにまとめ、分散させない工夫をし、忘れ物のリスクを軽減します。
方法③視覚的なサポートを活用する
チェックリストやカラフルなマークを用いて、必要な持ち物を視覚的に確認しやすくします。
方法④毎日同じ場所に置く習慣をつける
机の上にランドセルを置くなど、ランドセルや必要なものを毎日同じ場所に置くルールを作り、探し物や忘れ物を減らします。
方法⑤成功体験を積ませる
忘れ物をしなかったり、メモを守れたりしたときは、大げさなくらい褒めて達成感を与えます。
家庭と学校で一貫した忘れ物対策の仕組みを作ると、忘れ物を減らし、よりスムーズに日常生活や学習に取り組めるでしょう。子どもが使う物や必要な物を明確に管理し、家庭と学校が一体となったサポートが必要です。
サポート③落ち着けるアイテムを使って感情をコントロールする

3つ目のサポートは、落ち着けるアイテムを活用して感情をコントロールする方法を取り入れることです。
子どもが突発的な行動を抑え、感情を安定させるサポートができます。
具体的には、以下の方法で実践してみましょう。(参考:広島県 支援者のための発達障害支援ガイドブック「衝動性・多動性の困難さ、感情のコントロール」)
方法①感情をコントロールするグッズを活用する
ゴムのボールやオイルタイマーなど、市販のコーピンググッズを日常的に使うと、感情が高ぶった際に落ち着く時間を持てます。
方法②習慣化を支援する
感情が高ぶったときの対処法をあらかじめ習慣化しておくと、突発的な行動を抑える助けとなります。
落ち着けるアイテムを活用して感情をコントロールする方法は、ADHDのある小学生が突発的な行動や感情の混乱を抑え、安定した状態で学習や日常生活に取り組むために有効です。
家庭や教室で使える具体的なアイテムや工夫を取り入れ、子どもの安心感を高め、自己コントロール力の向上が期待できるでしょう。
サポート④ルールや距離感を意識させる環境をつくる
4つ目のサポートは、ルールや距離感を意識させる環境をつくることです。
明確な配置や指示を通じて混乱を防ぐ目的で、以下の方法で実践してみましょう。(参考:広島県 支援者のための発達障害支援ガイドブック「衝動性・多動性の困難さ、感情のコントロール」)
方法①活動ごとにエリアを設定する
一つの場所を多目的に使わず、食事、おもちゃ、勉強など用途ごとにエリアを分けると混乱が少なくなります。例えば、おやつの皿やコップ、マスク置き場を明確に決め、子どもがどこに何を置くか迷わない環境をつくってみましょう。
方法②物の配置を明確にする
必要な材料や道具は専用の容器や固定した場所に配置します。書類などは記入箇所を印で示すなど、具体的に指示するとわかりやすくなります。
方法③整理整頓をサポートする
机の上の物をテンプレートや固定スペースを使って整理し、活動を進めやすくします。
例:課題に必要な道具をあらかじめ決まった場所にセットしておく
方法④座席や位置を提示する
教室や家庭内での座席や作業位置を明示し、子どもが自分の場所を理解しやすくなり、混乱を防げます。
明確なエリア分けや配置の工夫を取り入れると、子どもが混乱せずに生活や学習に取り組めます。環境整備が、ADHDのある小学生の安心感と自主性を育む助けとなるでしょう。
小学生のADHDに関するよくある2つの質問
この章では、小学生のADHDに関するよくある質問を紹介します。
Q1.ADHDの特性などについてどこで相談できますか?

ADHDに関する悩みや相談をする場合、以下の窓口を活用するのがオススメです。
- 発達障害者支援センター
- こころの健康相談統一ダイヤル
- 精神保健福祉センター
- 保健所・保健センター
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
Q2.ADHDのある子どもの育児に疲れました。親はどのようにメンタルケアをすればいいでしょうか?
ADHDのある小学生を育てる親御さんも、子育てがうまくいかず悩む場合もあるでしょう。
適切な支援や情報提供を受けると、お子さんへの対応や自身のメンタルケアがスムーズに進む可能性があります。
たとえば、ペアレントプログラムの活用がオススメです。
ペアレントプログラムとは、発達障害のある子どもがいる親御さんが、子どもの行動を適切に理解し、効果的な対応方法を学ぶためのプログラムのことです。
このプログラムは、各都道府県や指定都市に設置された発達障害者支援センターで実施されています。お住まいの地域の発達障害者支援センターに問い合わせると、具体的な開催情報や参加方法について確認できます。
また、厚生労働省のWEBサイトでは、ペアレントプログラムに関する詳細な情報や資料が提供されています。ぜひご覧ください。(参考:厚生労働省「発達障害者支援施策の概要」)
まとめ〜ADHDのある小学生は周囲の適切なサポートが大切です〜

ADHDのある小学生を育てる上では、まず親御さんがADHDの特性を理解することが重要です。親子間だけで問題を抱え込まず、専門機関や学習塾のような外部の力を積極的に頼るのも、子どもの成長につながります。
ADHDの特性からくる困りごとは、子ども自身にとっても、悩みや不安の種となりやすいものです。親御さんは、日頃から子どもの話を聞き、どのような困りごとがあるのか注視しましょう。困りごとを共有し、一緒に乗り越えていく姿勢が、子どもの安心感と自信を育てます。
小さい成功体験を積ませ、自己肯定感を養うと、成人後の社会生活に自信を持てるでしょう。
Q&A よくある質問