ADHDのある人に向いてる学習塾 塾選びのポイントを解説
目次
ADHDのある人の学習課題
この章では、ADHDのある人の学習課題について解説します。
課題①勉強の計画を立てるのが苦手
「勉強しよう」と思ったとき、まずやらなければならないことは、「勉強の計画を立てる」ことです。
今やるべき勉強を決めるためには、最終目標を定め、必要量を確認した上で、日割りにして、優先順位まで考える必要があります。
これは実際やるとなるととても難しいことです。
「計画を立てることが苦手」というADHDの特性がある場合は、さらに難易度が高くなります。
その結果、以下のような困りごとが出てきます。
- やるべきことが分からず勉強がすすまない
- 思いついたものから手をつける
- 集中できずになかなか終わらない
- 計画から抜けた未学習の部分が発生する
「勉強の計画は自分で立てなければならない」と思わずに、サポートを積極的に受けていきましょう。
課題②落ち着いて勉強に取り組むことが苦手
実際に勉強に取り組む場合、椅子に落ち着いて座り、目の前の宿題や授業中の課題など、やるべきことをこなしていく必要があります。
「落ち着いてものごとに取り組むことが苦手」というADHDの特性がある場合は、落ち着いて勉強に取り組むことは難しいでしょう。
その結果、以下のような悩みを抱える可能性があります。
- 教室や部屋の外の音が気になる
- 周りに生徒がたくさんいると気が散る
- 掲示物がたくさんあると気が散る
- 机付近に色々なものが置いてあると気になる
- 空調が寒かったり暑かったりすると落ち着かない
- 蛍光灯がまぶしいと気になる
ADHDの特性がある場合には、落ち着いた環境を整えることは勉強の大前提となります。
自分が落ち着いて学習できる環境を考えていきましょう。
課題③集中することが苦手
「集中する」とひとことで言っても、大きく分けて以下の4つの注意力が必要とされます。
- 注意の持続
- 選択的注意
- 注意の転換
- 注意の分配
勉強をするとなると、この4つの注意力を場面に応じて使う必要が出てくるため、さまざまな困りごとが出てきます。
宿題などの課題に集中するときには注意の持続が必要です。また、授業で先生の話を聞くときには注意の持続だけではなく、周りの音と先生の声を区別して必要なことに集中する選択的注意が求められます。
また、授業を聞きつつ指定された問題を解くときには、先生の話から指定された問題に注意の転換をしながら、同時に2つのことに注意の分配をする必要まででてきます。
「不注意で気が散りやすい」というADHDの特性がある場合には、以下のようなさまざまな困りごとが出てくる可能性があります。
- 宿題を最後まで終えられない
- 大勢に向けて話されると最後まで集中できない
- 長時間の授業では集中が最後まで保てない
- 板書だけに集中すると話を聞けない
- さまざまな課題を時間内に同時にこなすのが難しい
それぞれが持つ集中力の課題はさまざまなので、自分に合った勉強ができる環境を探してみましょう。
課題④気持ちを安定させることが苦手
勉強する際は、勉強に対するやる気を維持したり、勉強がつらかったり面倒に感じる気持ちを我慢して、最後までやり遂げる必要が出てきます。
特に受験勉強などでは、間違えてもめげずに繰り返し勉強するなどの作業を長く続ける必要もあります。
目標を決めて、自分の気持ちをコントロールし、最後までやり遂げる。この一連の作業はとても難しいことです。
「気持ちを安定させることが苦手」といった特性がある場合、以下のような困りごとがでてくるでしょう。
- なかなか勉強を始める気になれない
- 分からない問題が出てくるとやる気がなくなる
- やる気が持続しない
- 間違えると過度に落ち込む
気持ちを安定させるためには、頑張ったことが認められるなどの達成感の積み重ねが肝心です。
ADHDの特性がある場合、努力を要する課題もあります。「そのことに理解があり努力が認められる」「一つひとつ達成感を積み重ねていける」など、そのようなサポートが必要です。
また、特定の分野の習得と使用に著しく困難を感じる場合は、ADHDのほかにLD/SLD(学習障害/限局性学習症)がないかも確認してみましょう。
私たちキズキ共育塾は、ADHDのある人のための、完全1対1の個別指導塾です。
生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。
ADHDのある人に向いている学習塾のサポート
この章では、ADHDのある人に向いている学習塾のサポートについて解説します。
サポート①生徒にあわせた報酬を用意してくれる
1つ目は、「生徒にあわせた報酬を用意してくれる」ことです。(参考:榊原洋一「最新図解 ADHDの子どもたちをサポートする本」)
勉強の成果に応じた報酬があることで、勉強に対する前向きなエネルギーを持てるはずです。
適切な報酬を用意してくれる学習塾であれば、「気が進まないことだけれど、それをやれれば、自分が得をするから頑張ろう」と思えるようになるでしょう。そうすれば、勉強に取り組む姿勢が自然とできてくるはずです。
報酬の例として、「ポイント換算表を作る」というものがあります。
「宿題を2ページ終わらせる」などの目標を先生と決め、全て終わらせてきたら5ポイント、半分できたら2ポイント、1問でも解いてきたら1ポイント、などと設定します。
- 10ポイントたまったらゲーム時間を15分延長する
- 20ポイントたまったら欲しい文房具を買う
- 30ポイントたまったら欲しい漫画を買う
このような、自分にとって嬉しい報酬を講師と相談しながら決めていきます。
少しずつコツコツと目標を達成していく良い練習になります。
個別指導の塾などでは、このような個別のサポートを相談できるでしょう。
サポート②集中できる環境づくりをしてくれる
2つ目は、「集中できる環境づくりをしてくれる」ことです。
ADHDの特性がある場合は、注意力に課題があるため、自分が集中できる学習環境を整えることは必須条件となります。
集中するための環境を整えるサポートには、以下のようなものがあります。
- 必要なもの以外は全て片づける
- 掲示物、カレンダーなどを壁に貼らない
- 机には使う鉛筆と消しゴムのみにする
- 他人が目に入らない位置に机を向ける
- 外の音が聞こえづらい席を選べる
- 気持ちが落ち着く席を選べる
- 蛍光灯の明るさを調節出来る場合はする
- 空調が気になる場合は調整する
一人ひとり必要な環境は異なります。
自分にとって集中しやすい環境調整を相談できる学習塾を探してみましょう。
サポート③個別の勉強計画を立ててくれる
3つ目は、「個別の勉強計画を立ててくれる」ことです。
勉強するにあたって、達成したい目標や、勉強する目的はさまざまだと思います。
- 自分にとってベストな目標を設定する
- 必要なテキストを選定する
- 必要な勉強量、レベルを把握する
- スモールステップの勉強計画を立てる
- やるべきことを分かりやすいように一覧表にする
- 受験の最新情報を得る
以上のように、勉強計画にはさまざまな要素が必要になります。
とても大変な作業である上に、個人の目標に沿った計画が大切になるため、進捗状況に合わせて、随時調整しながらサポートしてもらえると安心でしょう。
サポート④視覚的支援がある
4つ目は、視覚的支援があることです。
ADHDの特性がある場合、目で見て分かりやすいことは、勉強においてとても大切なポイントになります。
- 宿題や連絡事項は口頭ではなくプリントにして渡す
- 計画を表にして印刷する
- 授業で守るルールなどは文字や絵でわかりやすく伝える
- やるべきことのリストをつくり、終わったら一つひとつチェックを入れていく
- 授業のポイントをまとめたプリントを渡す
- イメージが持てるようタブレット等で検索し実際の写真を見せる
以上のように、「視覚的に確認できる」サポートがあると、耳で聞くだけよりも分かりやすく、勉強にも集中しやすくなります。
このようなサポートがある学習塾だと安心でしょう。
サポート⑤ADHDの特性を理解した対応がある
5つ目は、ADHDの特性に理解があることです。
注意が散りやすかったり、落ち着かない行動などを、「本人のわがまま」などと誤解するのではなく、「何に困っているのか理解し、合う方法を探す」というような考え方で指導してくれる講師がいる学習塾がオススメです。
ADHDへの理解があることは最大のサポートになります。「歩き回って休憩をする」「気持ちを切り替えるための時間をもらう」などの対応が特別扱いではなく、必要なこととして理解されていることが大切です。
- 不必要に叱らない
- 肯定的な言葉かけを徹底する
- 達成感、成功体験を大事にする
- 失敗ができる
- トライアンドエラーの練習ができる
- 気分の落ち込みなどの二次的な課題がある場合には、ゆっくりと一人ひとりの話を聞く
特性へのサポートは、正しい知識と理解が不可欠です。このようなサポートがあれば、安心して通うことができるでしょう。
ADHDのある人に向いている学習塾を選ぶポイント
この章では、ADHDのある人に向いている学習塾を選ぶポイントを解説します。
ポイント①やる気と自信をくれる、失敗ができる環境
勉強において一番大切なことは、やる気です。
やる気を出すためには、「自分ならできる」「きっと大丈夫」といった自信や安心感が必要です。
ADHDの特性があると、集団生活においては、自信をなくしたり、やる気をなくすような場面が少なくありません。
特性に理解がある環境であれば、よい面を積極的に見てもらえるため、少しずつ成功体験を積み重ねていくことができるでしょう。
何かを始めるときは失敗がつきものです。いきなりうまくいくことは多くはありません。
その時に不必要に叱られることなく、失敗を重ねながらも何度もやり直そうと思えることがとても大切です。
やはり、その時には適切なサポートが求められます。
本人に合った目標設定をしてくれて、ひとつひとつクリアしていける、その都度認めてもらえたり、うまくいかなかった時には励ましてくれる、そのような場所が最適でしょう。
ポイント②生徒ごとの学習課題に沿った指導
ADHDの特性や学習課題は、一人ひとり違います。
加えて不登校や気分の落ち込みなどの二次的な課題がある場合には、ゆっくりと時間をかけて、一人ひとりに対応していくことも大切です。
そのため、それぞれの学習課題を見極め、必要な対策をしてくれる学習塾を選ぶといいでしょう。
集団授業を行う学習塾の場合、その学習塾の方針に合わせることがどうしても必要です。
そのため、個別に一人ひとりを見てくれる学習塾が安心でしょう。
ポイント③知識と経験のある講師
ADHDのある人へのサポートは、正しい知識と経験が不可欠です。
昨今、発達障害やADHDに対する認知が高まり、さまざまなサポートを受けられるようになってきましたが、「正しい理解に基づいた適切なサポートがあるかどうか」は、とても大事なポイントです。
正しい理解に基づき、指導をしてくれる先生がいることが重要です。
発達障害やADHDに対し理解を深めており、常に情報の更新を続けている学習塾を選ぶと安心でしょう。
ポイント④個別カリキュラムの有無
学習塾にはさまざまな指導カリキュラムがあります。
決まったテキストとカリキュラムスケジュールがあると、個別の事情に配慮することはどうしても難しくなります。
ADHDのある人の場合、本人に合った指導方法や必要なテキスト、必要な勉強環境がそれぞれ異なるでしょう。
そのため、個別に自分に合ったカリキュラムを組んでもらえる学習塾を選ぶことが大切です。
ポイント⑤オンラインや家庭教師などの指導形式
学習塾に通うことが難しかったり、自宅が一番集中できる場合もあると思います。
そういった場合、オンラインでも授業を受けられる学習塾や、家庭教師など、特性に応じて適切な指導形式を選択できるといいでしょう。
勉強は継続することが大切になります。基本的には学習塾で個別指導を受けながら、事情に応じてオンライン授業や家庭教師に形式を変更できるような、臨機応変な対応をしてくれる環境であれば続けやすくなるかもしれません。
ポイント⑥柔軟な対応
勉強は、継続することが大切であり、同時にやる気の持続はとても難しいことでもあります。
さまざまな状況に応じて、柔軟に対応してもらえるか、という点はとても大切になってきます。
「欠席した授業を振替できる」「当日にオンライン授業に変更してもらえる」など、臨機応変な対応ができる学習塾だと、継続して通いやすいでしょう。
また、その際、講師との相性も重要です。「講師の交代が可能か」「交代を気軽に申し出ることができるか」などの点もチェックしておきましょう。
ポイント⑦生徒も保護者も相談できる関係性
何か困ったことがあるときなどに相談できない雰囲気では、だんだんと行きづらくなるものです。
ADHDのある人の場合、特に細やかで臨機応変な対応が必要になるため、相談体制が柔軟な学習塾を選びましょう。
ADHDに関する知識やADHDのある人に対する指導経験があり、状況に応じた対応が可能な学習塾が安心です。
「プライバシーをしっかりと確保してくれるか」「直接相談しづらいことはオンラインやメールでも対応してくれるか」などの点もポイントでしょう。
補足:体験授業を受けてみましょう
実際に通うことではじめてわかることも多いものです。
特にADHDのある人の場合、「自分が集中できる環境かどうか」はしっかりと確認したいポイントです。
また、比較対象があるとあなたに適した条件が明確になるため、いくつかの学習塾に体験に是非行ってみることをオススメします。
ADHDのある人の学習塾の体験談
この章では、ADHDのある生徒さんによる、キズキ共育塾での体験談を紹介します。
みなさんの参考になれば幸いです。
体験談①発達障害に理解がある。1対1の個別指導形式の授業も決め手
娘は小学校不登校で、ADHDとASDの特性を持っています。
娘発達障害に理解があるキズキ共育塾であれば、の勉強の遅れを解消できると思い、入塾しました。1体1の個別指導形式の授業だったことも決め手です。
最近は、キズキで勉強したことやお話ししたことをよく教えてくれます。楽しく通塾できているようです。
体験談②多種多様なバックグラウンドを持つ講師陣に魅力
ADHDに関連して集中力が続かず、学校の授業中には本を読んだり歩いたりで、忘れ物も多い子ども。
キズキ共育塾は、そんな子どもをサポートする場所として、多種多様なバックグラウンドを持つ講師が多いところに魅力を感じました。
実際に子どもは先生との相性がいいようで、楽しく通ってます。
体験談③中学不登校から高校に進学した娘。「私の中学校はキズキだよね」と嬉しそうに」
娘にはADHDの特性があり、中学校を不登校でした。「このまま何も勉強しなくても大丈夫か」と不安になったときに、キズキ共育塾のことを知りました。
キズキ共育塾の創業者である安田祐輔さんにも発達障害があると知り、「塾自体に娘への理解がありそう」「通いやすそう」と思い、入塾しました。
それからは、先生に恵まれて、毎回楽しんで行くようになりました。生活面でもメリハリがつき、明るくなったと思います。おかげで高校に進学することができました。
先生は、娘の話を毎回熱心に聞いてくれて、本当にありがたかったです。高校進学に伴って休塾することになったときも、「なんでもいいからまた話に来てね」と言ってくれたと、娘が嬉しそうに話していたのが印象的でしたね。
娘は、「私の中学校はキズキだよね」と、楽しかったことや嬉しかったことをいまでも話してくれます。
ADHDとは?
ADHD(注意欠如・多動性障害、Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)とは、不注意性と多動性・衝動性を特徴とする発達障害の一種のことです。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、田中康雄・監修『大人のAD/HD』h、岩波明『大人のADHD─もっとも身近な発達障害』、司馬理英子『ササッとわかる 「大人のADHD」 基礎知識と対処法』、星野仁彦『それって、大人のADHDかもしれません』、e-ヘルスネット「ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療」)
- 不注意…忘れ物やケアレスミスが多く、確認作業を苦手とする
- 多動・衝動性…気が散りやすく、貧乏ゆすりなど常に身体を動かしていないと落ちつかない
ADHDの特性として、以下が挙げられます。
- 注意散漫で学習や仕事でのケアレスミスが多い
- 直接話しかけられても、話を聞いているように見えない
- 指示を最後までやり遂げず、仕事を終えられない
- 課題や仕事を計画的に進めることが困難である
- 他人の会話をさえぎったり、割り込んだりする
- 順番を待つのが苦手である
- 仕事の間違いやミスが目立つ
- 気が散りやすく、人の話を聞いていない
- 片づけができず、忘れ物や失くし物が多い
- おしゃべりが止まらず、人が口を挟む隙を与えない
- 順番が待てない
- ささいなことで口論するなど、我慢ができずにトラブルを起こす
- 衝動買いをして後悔する
まとめ〜どんな内容でも相談してみてください〜
ADHDのある人の学習塾選びにおいて最も大切なことは、「ADHDの特性に理解があるか」「自分に合った個別対応をしてくれる環境かどうか」です。
ADHDの特性がある場合、お子さんも親御さんも悩みを抱え込みがちだと思います。
しかし、まずはどんな内容でもいいので、相談してみてほしいと思います。
このコラムが、ADHDのあるあなたに合った学習塾選びの参考となれば幸いです。
私たちキズキ共育塾では、さまざまな相談を無料で行っています。ぜひお気兼ねなく、お気軽にお問い合わせください。
Q&A よくある質問
ADHDのある子どもに必要なサポートとはなんですか?
ADHDのある人に向いている学習塾のサポートとして、以下が考えられます。
- 生徒にあわせた報酬を用意してくれる
- 集中できる環境づくりをしてくれる
- 個別の勉強計画を立ててくれる
- 視覚的支援がある
- ADHDの特性を理解した対応がある
詳細については、こちらで解説しています。
子どもには、ADHDがあります。向いてる学習塾を知りたいです。
ADHDのある人に向いている学習塾を選ぶポイントとして、以下が考えられます。
- やる気と自信をくれる、失敗ができる環境
- 生徒ごとの学習課題に沿った指導
- 知識と経験のある講師
- 個別カリキュラムの有無
- オンラインや家庭教師などの指導形式
- 柔軟な対応
- 生徒も保護者も相談できる関係性
詳細については、こちらで解説しています。