高校生のいじめに対する対処法 親ができる対応を解説
こんにちは。生徒さんの勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする完全個別指導塾・キズキ共育塾です。
あなたは子どもがいじめにあっていて、どう対処してよいかわからずに悩んでいませんか?
高校生ともなると、誰にも相談できない、相談したくないというお子さんも増えます。相談の仕方や相談先がわからず、絶望感を抱いているお子さんもいます。
高校生のいじめ問題は放置すると、お子さんの生命や人生に大きく関わる可能性もあるため早期の解決が重要です。
このコラムでは、高校生のいじめに関する現状やいじめの兆候、対処法などについて解説しています。あわせて、いじめられているかもしれない高校生に親ができる対応についても解説します。
お子さんを守り、安全・安心につながる対処法を紹介しているため、ぜひ最後まで読んでください。
私たちキズキ共育塾は、いじめに悩んでいる人のための、完全1対1の個別指導塾です。
生徒さんひとりひとりに合わせた学習面・生活面・メンタル面のサポートを行なっています。進路/勉強/受験/生活などについての無料相談もできますので、お気軽にご連絡ください。
目次
いじめとは?
いじめとは、学校や職場などの集団内で、特定の個人を肉体的・精神的に苦しめる行為のことです。(参考:三省堂『大辞林 第四版』)
受けた本人がいじめだと思えば、それはいじめです。「これくらい」「遊びのつもりだった」などという言葉に惑わされず、いじめに対する正しい認識が必要です。
文部科学省は、いじめを以下のように定義しています。(参考:文部科学省「いじめの定義の変遷」、Gov法令検索「いじめ防止対策推進法」、法務省「「いじめ」をなくすために」)
児童生徒等に対して、当該児童生徒等が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒等と一定の人的関係にある他の児童生徒等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒等が心身の苦痛を感じているもの
(参考:文部科学省「いじめの定義の変遷」)
いじめの定義などについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
いじめの原因
文部科学省は、いじめの原因として「不満やストレス」を挙げています。(参考:文部科学省「いじめ対策Q&A」)
いじめの原因となる「不満やストレス」にも、さまざまな原因があると考えられます。
- 学校(友達・先生)での人間関係
- 勉強ができない・成績が上がらない
- 部活がつらい・周りについていけない
- 親が自分を見てくれない・兄弟姉妹と比べられる
いじめの原因などについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
高校生のいじめに関する現状
この章では、高校生のいじめに関する現状について解説します。
高校生のいじめ認知件数
2023年度の高校生のいじめ認知件数は1万7611件です。(参考:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」、文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」)
10年前の2013年度は1万1039件で、高校生のいじめ認知件数は増加傾向にあります。
いじめの内容は以下の割合となっています。
- 冷やかしやからかい,悪口や脅し文句,嫌なことを言われる:約59.6%
- パソコンや携帯電話等で,ひぼう・中傷や嫌なことをされる:約15.5%
- 仲間はずれ,集団による無視をされる:約15.2%
注目すべきは、パソコンやスマートフォンを使ったインターネットを介したいじめが2番目の割合にあることです。
現在の高校生は、親御さんの学生時代に比べてX(旧Twitter)やインスタグラムなどのSNS利用率が高く、インターネットを介して知り合ったり、出会ったりしやすくなっています。
SNSがきっかけで人間関係のトラブルに巻き込まれたりすることも少なくありません。また、SNSでの誹謗・中傷被害は、学校が把握しにくく、親御さんも気付きにくい特徴があります。(参考:文科省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」)
高校生のいじめ重大事態発生件数
いじめのうち深刻なものを、いじめ重大事態といいます。
いじめ重大事態とは、いじめられている児童生徒の生命や心身、財産などに重大な被害が生じた疑いがあると認められる事態や、一定の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認める事態のことを指します。(参考:文部科学省「重大事態の解説(案)」、e-Gov法令検索「いじめ防止対策推進法」、総務省「重大事態の再発防止の取組状況」)
第二十八条
学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。
一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
(参考:e-Gov法令検索「いじめ防止対策推進法」)
いじめ重大事態の発生件数は、2023年度で259件です。2013年度の発生件数24件と比べて、10年間で約10倍に増加しています。(参考:文科省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」)
いじめによってお子さんの生命や財産が奪われる可能性が大きくなっており、早期にいじめを見つけ、対処する必要があります。
補足:高校生の自殺者数
高校生の自殺者数は、2023年度で347人です。うち、いじめが原因の事例は2023年度は0人でした。しかし、2022年度の発生数354人のうち、5人がいじめを理由に自ら命を絶っています。(参考:厚生労働省自殺対策推進室「令和5年中における自殺の状況」、厚生労働省「令和5年版自殺対策白書」)
高校生の自殺者数は、小学生や中学生と比べて高い点が特徴です。
- 小学生:13人
- 中学生:153人
- 高校生:347人
背景として、現在の高校生はパソコンやスマートフォンなどで関連する情報を調べやすく、同じ年代の行動などに影響も受けやすいためと考えられます。
こうしたことから、親御さんは常にお子さんの支えでいることが大切です。
「あなたには私たちがついている」「家族はいつでもあなたの味方」というメッセージをお子さんに届け、寄り添っていきましょう。
親にできる行動については、こちらで解説しています。
いじめの兆候
この章では、いじめの兆候について解説します。
適切に対処していくためには、いじめの早期発見が重要です。
お子さんの様子をよく観察し、いじめの被害を受けていないかをチェックしてみましょう。(参考:厚生労働省「いじめのサイン発見シート」)
兆候①身体的な変化
いじめの兆候として、最もわかりやすいのがアザや傷跡です。
明らかに身体への暴力がある場合は、いじめを疑いましょう。
お子さんがアザや傷跡を見られないように身体を隠す素振りを見せる場合も、いじめのサインと見られます。
その他にも、以下のように日常的によく観察しなければ気付かない変化もあります。
- 表情が暗くなる
- 急激に痩せる
- 服装が乱れる
兆候②行動の変化
以下のような行動の変化にもいじめの兆候が見られます。
- 黙ることが多くなった
- 勉強をしなくなった
- よく泣くようになった
- 部屋に閉じこもるようになった
- 隠れるように行動するようになった
いじめにあうと心が不安定になり、以前にはなかった行動が見られる傾向にあります。
高校生のいじめへの具体的な対処法4選
この章では、いじめに対する具体的な対処について解説します。
基本的には、お子さんとご家庭だけで対処するのではなく、第三者に相談することを前提に対処します。
対処法①証拠収集
いじめの対処で最初にすべきことは、いじめの証拠を集めることです。
いじめの事実を確認できると、相談しやすくなったり、以下の対処法が考えやすくなったりします。
いじめの証拠を集めるポイントがいくつかあります。
- いじめの発生日時:いつ、どこでいじめが起きたのか
- いじめの内容:どのようないじめが行われたのか(言葉の暴力、身体的な暴力、無視、SNSでの嫌がらせなど)
- いじめの加害者:いじめの実行者や関与している人物の名前や立場
- 被害者(お子さん)の状態:いじめにより受けた心身の影響や変化
- 対応状況:すでに学校や関係者に相談した場合、その時の対応や結果
お子さんの気持ちに寄り添いながら、いじめの事実を詳細に集めていきましょう。
対処法②学校へ報告・相談
こちらの段階で集めたいじめの証拠をもとに、まずは学校に報告し、対応策を相談する場を申し入れましょう。
話し合いの中で、問題解決に向けてどのような対応を希望するのかをはっきりと学校に伝えましょう。
同じ校内に加害者がいる場合は、加害者との話し合いの場を設けたり、学校側から加害者に指導したりと、さまざまな対応が考えられます。
他校の生徒が加害者の場合でも同様に、ご家庭が希望する対応を伝えましょう。
対処法③第三者機関への相談
学校に相談しにくい場合は、いじめの証拠をもとに第三者機関への相談も検討しましょう。
相談できる第三者期間については、こちらで解説しています。
対処法④子どもへのケア
学校や第三者機関の報告・相談の対応と同時に、いじめを受けたお子さんのケアをしましょう。
相談先と連携しながら、お子さんを見守っていきましょう。
具体的な方法は、こちらで解説します。
補足:いじめ加害者が学校にいない場合、第三者機関へ協力を求めましょう
高校生は行動範囲が広くなり、交友関係も広がっていきます。
いじめの加害者がお子さんと同じ学校ではなく、他校の生徒さんの可能性や、大学生や社会人の可能性も含まれます。
このような場合は、お子さんが通っている学校から他校へ連絡をしてもらったり、第三者機関へ協力を求めたりしましょう。
また、SNSでの誹謗・中傷は、加害者の特定が難しくなる場合があります。
加害者が匿名や本人とひもづかないアカウントを使っている可能性があるからです。
誹謗・中傷の形跡を必ず残し、警察や弁護士に報告・相談するとよいでしょう。
いじめられているかもしれない高校生に親ができる対応
実際に子どもがいじめの被害にあった場合、どのように子どもに接したらよいのでしょうか?
この章では、いじめられているかもしれない高校生に親ができる対応について解説します。
対応①日頃からよく観察して子どもの変化に気づく
まず、いじめの兆候に早く気付くために、日頃からお子さんをよく観察しましょう。
忙しい生活を送っている高校生も中にはいると思いますが、毎日1度は会話をしたり、食事だけは一緒にしたり、お子さんと関わる時間を少しでも多く作るようにしましょう。
対応②子どもの話を聞く
高校生のお子さんと会話をしていますか?
多感で難しい時期かもしれません。もしかしたら、いじめ被害のショックで会話が弾まないかもしれません。
しかし、話を聞いてくれる大人が身近にいることは、高校生のお子さんにとっては大切なことです。
日頃から共感的にお子さんの話を聞いていると、「親は自分の話をいつも聞いてくれるんだ」という安心感が生まれ、親子の信頼関係が深まります。
お子さんとは進んで会話をし、話をよく聞くようにしましょう。
無理に話をさせるのではなく、お子さんが困っている時、悩んでいる時に相談してくれる関係性を意識してみてください。
対応③子どもの自己肯定感を支える
いじめが長期間続くと、お子さんの自己肯定感が低くなることがあります。
お子さんの良いところを認めたり、褒めたりし、お子さんの自己肯定感を支えましょう。
「あなたは〇〇が得意だね」「いつも頑張っているよね」と、日常的にお子さんが努力していること、優しさや誠実さなどを積極的に認め、肯定的に接するとよいです。
対応④子どもの感情を受け入れる
いじめを受けると、怒りや悲しみ、恥ずかしさや自己否定など、さまざまな感情をお子さんが抱える場合があります。
「あなたが悲しい気持ちになるのは当たり前だよ」「怒ってもいいんだよ」と、お子さんの感情を否定せずに受け入れていきましょう。
感情を受け入れてもらったお子さんは安心し、自分を守ってくれる家族を心強く感じるでしょう。
対応⑤安全で安心できる環境を作る
いじめを受けている環境から離れ、家庭では安全で安心できる環境を作っていきましょう。
家族と一緒に過ごす時間を増やし、お子さんの心身がリラックスする環境作りを心掛けてください。
映画を観たり、散歩をしたり、一緒に手作りのおやつを作ったりなど穏やかな気持ちになれる活動を取り入れてもいいですね。
いじめに関する相談先と支援機関
この章では、いじめに関する相談先と支援機関を紹介します。
お子さんや家庭でいじめを抱え込まないことが大切です。
詳しくはこちらの記事に掲載していますので、参考にしてください。
相談先①文部科学省 いじめ相談ホットライン
文部科学省のいじめ相談ホットラインは、「24時間子供SOSダイヤル」として知られており、24時間365日対応を目指しています。
いじめ問題やその他の子どものSOS全般に関する相談も受け付けています。
また、子ども自身だけでなく、親御さんからの相談にも対応しています。
相談先②教育相談センター
教育相談センターは、教育に関するさまざまな問題や悩みに対応するための相談窓口です。
不登校やいじめ、学校生活、子育て、発達に関する問題など、幅広い相談に対応しています。
相談は無料で、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフが対応し、学校と連携を図りながらお子さんの支援を行います。
相談先③児童相談所
児童相談所は、子どもの権利を守り、子どもとその家庭の問題に対して援助を行う支援機関です。
対象は0歳から17歳までの子どもで、保護者や周囲からの幅広い相談を受け付けています。
発達障害、いじめ、不登校、非行、虐待などの相談ができます。
相談先④警察、弁護士
生命の危険がある悪質ないじめの場合は、警察や弁護士への相談も視野に入れましょう。
その場合もこちらの対処法で紹介したとおり、集めたいじめの証拠が重要です。
まとめ〜いじめは抱え込まず、すぐに対処・相談を〜
いじめの対処は子ども一人、家庭だけで取り組むものではありません。
このコラムで解説してきたように、第三者機関に相談し、お子さんに寄り添いながら、対処することが大切です。
キズキ共育塾では、いじめを経験したお子さんをサポートしてきた実績があります。
体験談などを紹介するコラムもありますので、ぜひ参考にしてください。
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